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2025-02-11 Tue
■ #5769. 堀田隆一による英語史関連の音声配信プラットフォームの現在地まとめ [radio_broadcast][voicy][heldio][helwa][helkatsu][hel_education][heltalk][helsta][youtube]
本ブログの姉妹版・音声版として Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」を毎朝6時に配信しています.2021年6月2日に配信を始めてから,hellog 同様に毎日欠かさずに英語史の話題をお届けしてきました.
音声配信の heldio は,私の英語史活動こと「hel活」 (helkatsu) の最も重要なベースの1つとして軌道に乗ってきており,「英語史をお茶の間に」という趣旨に賛同して協力してくださるコアリスナーの方々にも恵まれ,(毎日配信なので苦しくも)楽しいhel活ライフを送っています.
heldio は Voicy という音声配信プラットフォームにて展開していますが,2024年7月21日より別の音声配信プラットフォーム stand.fm(スタエフ)の「英語史つぶやきチャンネル (heltalk)」というチャンネルにて,heldio の約3年遅れの再放送をお届けしています.さらに,この stand.fm を基点に,様々な音声・動画プラットフォーム (Podcast) で同コンテンツをマルチ配信しています.コンテンツの内容は同一ですが,ご自身のお好きなプラットフォームで heldio の英語史の話題をアーカイヴで聴くことができるようになっていますので,いずれもご利用ください.以下に掲載します.
ただし,現在毎朝お届けしている最新コンテンツは,Voicy heldio からのアクセスのみに限定されていますので,そちらからお聴きください.同様に,Voicy heldio のプレミアムリスナー限定配信「英語史の輪 (helwa)」やその他の有料配信も,Voicy プラットフォームからのみのアクセスとなりますのであしからず.
【 現在進行中の毎日の音声配信のソース heldio/helwa 】
・ Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」(毎朝6時配信)
・ Voicy プレミアムリスナー限定配信「英語史の輪 (helwa)」(毎週火木土の午後6時配信;月額800円)
【 上記 heldio の約3年遅れの再放送(毎日配信) 】
・ stand.fm 「英語史つぶやきチャンネル (heltalk)」
・ YouTube Podcast 版
・ Spotify 版
・ Amazon Music 版
・ Apple Podcast 版
【 上記の再放送の文字起こしサービス付き音声プラットフォーム 】
・ Listen 版
お好きなプラットフォームで「毎日」英語史の世界を堪能していただければ.
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2025-02-10 Mon
■ #5768. 2024年度に提出された卒業論文と修士論文の題目 [hel_education][sotsuron][shuron][khelf][seminar][link]
今年度,慶應義塾大学文学部英米文学専攻の堀田ゼミより13本の卒業論文と1本の修士論文が提出されました.以下,各々の題目を一覧します.私の英語史のゼミでどんなことが研究テーマとなるのかが伝わると思います.
[ 卒業論文 ]
・ The Shifts in Australian Accents: Tracing Changes Through Media Narratives
・ The Characteristics of the Suffix -ive: with Special Attention to Its Noun-Forming Function
・ De-pluralization of Data: A Synchronic and Diachronic Research on Latin-or-Greek Plurals in English
・ Productivity of Suffixes and Their Relationship with Hyphens: A Comparative Analysis across Genres
・ Complexity as a Motivating Factor behind the Choice of more or -er in Comparative Alternation
・ The Changes of Prepositional Verbs Born in the 20th Century: A Case Study of Adjust to, Aim for, Argue about, Complain about and Concentrate on.
・ The Decline of "May" in American English: Simplification as a Driving Force
・ A Study on the Polysemy of Fast through a Diachronic Analysis
・ The Varying Patronymic Surnames in England: Focusing on bare-form, s-form, and son-form
・ Changing Proverbs: Insights into the Use of English Proverbs
・ Analyzing the Stereotype of English Dialect: A Case Study of The TV Corpus, Interview.
・ Relationship between Slang and Its Speaker
・ The Linguistic Community of Singapore: Changes in Public Perception of Singlish After the Launch of Speak Good English Movement in 2000
[ 修士論文 ]
・ The Diffusion of Etymological Spellings in Early Modern English: Reference to the Latin Prefix Ad''- and Analogical Changes
今年度のゼミでも英語史・英語学に関する多様なテーマで研究がなされました.形態論,統語論,意味論,語用論,語法研究,名前学,社会言語学など,関心が多岐にわたっています.例年よりも文法研究が多めだったように思います.
過年度のゼミ卒業論文の題目についてはこちらの記事セットあるいは sotsuron をどうぞ.英語史分野のテーマ探しのヒントとなるかと思います.
ゼミ生はみな khelf (慶應英語史フォーラム)のメンバーです.khelf の英語史活動報告は以下で行なっていますので,ぜひ訪れてフォローなどしていただければ.
・ khelf 公式ホームページ
・ khelf 公式 X アカウント @khelf_keio
・ khelf 公式 Instagram アカウント @khelf_keio
2025-02-09 Sun
■ #5767. 『CNN English Express』2025年2月号の「特集 英語の新語30」 [voicy][heldio][asakaru][neologism][lexicology][word_formation][kikuchi_shota]

菊地翔太先生(専修大学)が1月21日付で公開された最新の note 記事「英語の新語30 ---『CNN English Express 2025年2月号』特集の紹介」に触発されて,同号を入手しました.ちょうど現代英語の新語に関する朝カル講座のための資料を探していたところだったこともあり,特集をありがたく楽しく読むことができました.菊地先生,ありがとうございます! 同誌2月号はこちらより入手できます.
特集で取り上げられた新語30語は雑誌編集部による選定ということで,選定基準は詳しく書かれていませんが,昨年中に多用され,今年も引き続き頻繁に使用されていくだろう単語がピックアップされているものと想定されます.以下の5つの分野で仕分けされています.
【環境・科学・健康】 heat dome, zero-dose, autumn sneezing syndrome, popcorn brain, anthrobot, decel
【経済・ビジネス】 greedflation, neobank, digital twin, employee experience, bag holder, wanderpreneur
【社会・家庭】 situationship, porch piracy, Barbiecore, anti-airport dad, range anxiety, bed rotting
【ネット関係・デジタル関連】 prompt, For You page, ELI5, doomscrolling, chronically online, enshittification
【スラング・若者言葉】 girl dinner, cap, bussin', brat, cash grab, the ick
各表現の解説と例文は,雑誌の特集に直接当たっていただければと思いますが,読者の皆さんは,どれくらいご存じでしたか? 私は多くを知らず,不勉強を思い知らされました.これを機に現代の新語に関心を寄せていきたいと思います.なお,この貴重な情報は,昨日予定通り開講された朝カル講座で活用することができました.
同雑誌との関連では,ちょうど6年前に「#3542. 『CNN English Express』2月号に拙論の英語史特集が掲載されました」 ([2019-01-07-1]) と題して記事を書いています.ぜひそちらもお訪ねください.
・ 「特集 英語の新語30」『CNN English Express』2025年2月号,朝日出版社,2025年.33--43頁.
2025-02-08 Sat
■ #5766. 「好きな英語の接尾辞を教えてください!」 --- 一昨日の heldio 配信回 [suffix][voicy][heldio][helwa][helkatsu][word_formation][morphology][lexicology][affixation]
一昨日の Voicy heldio は「#1348. 好きな英語の接尾辞を教えてください!」と題して,リスナーの皆さんに「推し接尾辞」をコメント欄で寄せてもらう,参加型hel活の回をお届けしました.この2日間で30件ほどのコメントが寄せられ,各リスナーのお気に入りの,あるいは気になる接尾辞が明らかになりつつあります.
そもそも英語の接尾辞 (suffix) って,何があったっけ? という反応が返ってきそうです.その決定版となる一覧はありませんが,本ブログでは以下の記事で接尾辞等を列挙してきたことがありますので,参考にしていただければ.
・ 「#5677. 『語根で覚えるコンパスローズ英単語』の接辞リスト(129種)」 ([2024-11-11-1])
・ 「#1478. 接頭辞と接尾辞」 ([2013-05-14-1])
・ 「#5718. ギリシア語由来の主な接尾辞,接頭辞,連結形」 ([2024-12-22-1])
緩めに定義すれば,接尾辞とは既存の単語の最後に付される何らかの意味・機能をもったパーツとなります(逆に単語の最初に付されるものは接頭辞 (prefix) です).しかし,ものによっては接尾辞なのか,そうでないのかを,形態論や音韻論の観点から厳密に仕分けることが難しいケースもあると思います(この辺りの突っ込んだ話題については,一昨日のプレミアム配信「【英語史の輪 #247】今朝の「推し接尾辞」お題(生配信)」で触れました).
今回はややこしい点は横に置いておき,あたなの好きな接尾辞を1つでも2つでも挙げてもらえれば.コメント欄は常にオープンしていますので,さらに多くの回答が集まってくることを期待しています.
振り返ってみれば,以前にも似たような heldio 企画を楽しんだことがありました.そのときは「推し前置詞」を募ったのですが,以下の通り,おおいに盛り上がりました.
・ 「#5516. あなたの「推し前置詞」は何ですか?」 ([2024-06-03-1])
・ 「#5517. 大学生に尋ねました --- あなたの「推し前置詞」は何ですか?」 ([2024-06-04-1])
・ 「#5578. 「推し前置詞」で盛り上がった helwa 配信回のスレッドを公開」 ([2024-08-04-1])
2025-02-07 Fri
■ #5765. 品詞とは何か? --- Bloomfield の見解 [pos][terminology][linguistics][history_of_linguistics][category][structuralism]
一昨日の記事「#5763. 品詞とは何か? --- ただの「語類」と呼んではダメか」 ([2025-02-05-1]) で,"parts of speech" (品詞),"word-class" (語類),"form-class" (形式類)といった近似する用語群について考えた.アメリカ構造主義の旗手 Bloomfield は,代表的著書 Language (§12.11) にて,この3つを区別して考えている.
The syntactic form-classes of phrases . . . can be derived from the syntactic form-classes of words: the form-classes of syntax are most easily described in terms of word-classes. Thus, in English, a substantive expression is either a word (such as John) which belongs to this form-class (a substantive), or else a phrase (such as poor John) whose center is a substantive; and an English finite verb expression is either a word (such as ran) which belongs to this form-class (a finite verb), or else a phrase (such as ran away) whose center is a finite verb. An English actor-action phrase (such as John ran or poor John ran away) does not share the form-class of any word, since its construction is exocentric, but the form-class of actor-action phrases is defined by their construction: they consist of a nominative expression and a finite verb expression (arranged in a certain way), and this, in the end, again reduces the matter to terms of word-classes.
The term parts of speech is traditionally applied to the most inclusive and fundamental word-classes of a language, and then, in accordance with the principle just stated, the syntactic form-classes are described in terms of the parts of speech that appear in them. However, it is impossible to set up a fully consistent scheme of parts of speech, because the word-classes overlap and cross each other.
form-class は語句の統語的な役割に対応する単位,word-class はその form-class の典型的な主要部を示す語の属する語彙的な区分,parts of speech はその word-class の伝統的で基本的な型,ということになるだろうか.
あえてすっきりまとめるのであれば,それぞれ統語的単位,語彙的単位,語彙・統語・形態的単位といってよい.「品詞」 (parts of speech) は実用的な便利さゆえに広く用いられているが,実際には複合的(で意外と複雑)な単位ということになる.
・ Bloomfield, Leonard. Language. 1933. Chicago and London: U of Chicago P, 1984.
2025-02-06 Thu
■ #5764. 2月8日(土)の朝カルのシリーズ講座第11回「英語史からみる現代の新語」のご案内 [asacul][notice][kdee][etymology][hel_education][helkatsu][link][lexicology][vocabulary][contact][borrowing][word_formation][compounding][derivation][shortening][loan_word][voicy][heldio]

・ 日時:2月8日(土) 17:30--19:00
・ 場所:朝日カルチャーセンター新宿教室
・ 形式:対面・オンラインのハイブリッド形式(1週間の見逃し配信あり)
・ お申し込み:朝日カルチャーセンターウェブサイトより
今年度の朝カルシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」が,月に一度のペースで順調に進んでいます.主に『英語語源辞典』(研究社)を参照しながら,英語語彙史をたどっていくシリーズです.
明後日2月8日(土)の夕刻に開講される第11回は,「英語史からみる現代の新語」と題して,いよいよ現代英語,すなわち20--21世紀の英語の語彙に焦点を当てます.
現代英語は,新語の洪水とも言える語彙の爆発的増加の時代を迎えています.デジタル技術の発展や社会の急速な変化に伴い,新たな単語や表現が次々と誕生していますが,その背後には歴史的に一貫した語形成の型が存在します.接頭辞や接尾辞の追加による「派生」,複数の単語を組み合わせる「複合」,既存の単語の「短縮」,フレーズの頭文字を取る「頭字語」などです.
今回の講座では,英語史の各時代の傾向にも注意を払いながら,現代英語における新語導入の特徴を浮き彫りにしていきます.特に上述のような語形成の多様な方法に注目し,それらどのように現代社会の変化や文化的潮流を反映しているのかを探ります.これらの語形成のプロセスを理解することは,現代英語の語彙のダイナミズムを読み解く鍵となるはずです.いつものように『英語語源辞典』などを参照しながら進めていきます.
本シリーズ講座の各回は独立していますので,過去回への参加・不参加にかかわらず,今回からご参加いただくこともできます.過去10回分については,各々概要をマインドマップにまとめていますので,以下の記事をご覧ください.
・ 「#5625. 朝カルシリーズ講座の第1回「英語語源辞典を楽しむ」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-20-1])
・ 「#5629. 朝カルシリーズ講座の第2回「英語語彙の歴史を概観する」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-24-1])
・ 「#5631. 朝カルシリーズ講座の第3回「英単語と「グリムの法則」」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-26-1])
・ 「#5639. 朝カルシリーズ講座の第4回「現代の英語に残る古英語の痕跡」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-04-1])
・ 「#5646. 朝カルシリーズ講座の第5回「英語,ラテン語と出会う」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-11-1])
・ 「#5650. 朝カルシリーズ講座の第6回「英語,ヴァイキングの言語と交わる」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-15-1])
・ 「#5669. 朝カルシリーズ講座の第7回「英語,フランス語に侵される」をマインドマップ化してみました」 ([2024-11-03-1])
・ 「#5704. 朝カルシリーズ講座の第8回「英語,オランダ語と交流する」をマインドマップ化してみました」 ([2024-12-08-1])
・ 「#5723. 朝カルシリーズ講座の第9回「英語,ラテン・ギリシア語に憧れる」をマインドマップ化してみました」 ([2024-12-27-1])
・ 「#5760. 朝カルシリーズ講座の第10回「英語,世界の諸言語と接触する」をマインドマップ化してみました」 ([2025-02-02-1])
本講座の詳細とお申し込みはこちらよりどうぞ.『英語語源辞典』(研究社)をお持ちの方は,ぜひ傍らに置きつつ受講いただければと存じます(関連資料を配付しますので,辞典がなくとも受講には問題ありません).

第11回については,Voicy heldio でも「#1345. 2月8日(土)の朝カル講座「英語史からみる現代の新語」に向けて」としてご案内していますので,ぜひお聴きください.
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
2025-02-05 Wed
■ #5763. 品詞とは何か? --- ただの「語類」と呼んではダメか [pos][terminology][linguistics][history_of_linguistics][category][structuralism]
昨日の記事 ([2025-02-04-1]) に続き,品詞 (parts of speech, or pos) という概念・用語をめぐる話題.今回は Crystal の言語学用語辞典を繰ってみた.
part of speech The TRADITIONAL term for a GRAMMATICAL CLASS of WORDS. The main 'parts of speech' recognized by most school grammars derive from the work of the ancient Greek and Roman grammarians, primarily the NOUN, PRONOUN, VERB, ADVERB, ADJECTIVE, PREPOSITION, CONJUNCTION and INTERJECTION, with ARTICLE, PARTICIPLE and others often added. Because of the inexplicitness with which these terms were traditionally defined (e.g. the use of unclear NOTIONAL criteria), and the restricted nature of their definitions (reflecting the characteristics of Latin or Greek), LINGUISTS tend to prefer such terms as WORD-class or FORM-class, where the grouping is based on FORMAL criteria of a more UNIVERSALLY applicable kind.
ギリシア語やラテン語の文法の遺産を引き継いだ歴史的で伝統的な文法範疇 (category) であることが強調されており,それが必ずしも明確な語彙の区分であるわけではないことにも触れられている.従来,品詞は概念的な語彙区分として理解されることが多かったが,実際にはそれも "unclear" (不明確)であるとすら述べられている.
加えて,Crystal は言語学ではむしろ "word-class" (語類)や "form-class" (形式類)と呼ぶ向きも多いと述べている.確かに「品詞」という用語を敢えて避けるケースはありそうだ.「品詞」できれいに割り切れない場合に,より一般的な概念・用語としての「語類」を持ち出すことはあると思う.
それでも,言語学においては,拠って立つ理論次第ではあるが,「品詞」はあまりに便利すぎて手放せないケースのほうが多いのではないか.方便としてここまで踏み固められた「品詞」を手放すのは惜しい.
・ Crystal, David, ed. A Dictionary of Linguistics and Phonetics. 6th ed. Malden, MA: Blackwell, 2008. 295--96.
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最終更新時間 | 2025-02-11 19:48 |
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