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2026-01-19 Mon
■ #6111. Morris の Austral English の序文より [australian_english][dictionary][lexicography][lexicology][oed][melbourne][new_zealand_english]
昨日の記事「#6110. Edward Ellis Morris --- オーストラリア英語辞書の父」 ([2026-01-18-1]) に引き続き,Morris と彼が編纂した辞書 Austral English (1898年刊行)について.この辞書の序文に当たる "ORIGIN OF THE WORK" というセクションに,後に完成する OED との関係が明記されている.
. . . the noblest monument of English scholarship is The New English Dictionary on Historical Principles, founded mainly on the materials collected by the Philological Society, edited by Dr. James Murray, and published at the cost of the University of Oxford. The name New will, however, be unsuitable long before the Dictionary is out of date. Its right name is the Oxford English Dictionary ('O.E.D.'). That great dictionary is built up out of quotations specially gathered for it from English books of all kinds and all periods; and Dr. Murray several years ago invited assistance from this end of the world for words and uses of words peculiar to Australasia, or to parts of it. In answer to his call I began to collect; but instances of words must be noted as one comes across them, and of course they do not occur in alphabetical order. The work took time, and when my parcel of quotations had grown into a considerable heap, it occurred to me that the collection, if a little further trouble were expended upon it, might first enjoy an independent existence. Various friends kindly contributed more quotations: and this Book is the result.
このような事情で,このオーストラリア・ニュージーランド英語の辞書は OED と連動して生み出された点でユニークである.以下,Kel (92--100) の記述を参考に,Austral English をめぐる注目すべき事柄をいくつか示そう.
・ Morris が主に収集したのは (1) 既存の英単語だが意味・用法が異なる "altered words",そして (2) アボリジニー諸言語からの借用語である.
・ オーストラリアのイギリス植民地としての歴史は当時まだ120年ほどの短いものだったが,それでも約2000の見出し語を含む500ページに及ぶ辞書が編纂されたというのは,対蹠地における造語の豊かさ物語っている.
・ 編纂方法が OED と同じ「歴史的原則」に基づいていたというのも辞書編纂史上,特筆すべき出来事である.OED の完成は Austral English の30年後の1928年だったことを考えると,ある意味では,歴史的原則に基づいた学術的な英語辞書の一番乗りだったともいえる.
・ kangaroo の項目は7ページに及ぶ.
・ この辞書には批判もあった.Morris は本質的にイギリス出身のエリート学者であり,オーストラリア英語を最も顕著に特徴づける話し言葉や俗語には注意を払っていない,という批判だ.Morris の選語は書き言葉に偏っており,網羅性に欠けていた,と.確かにその通りだが,それは OED とておおよそ同じ状況だったことは考え合わせておいてよいだろう.
・ Morris, Edward Ellis, ed. Austral English: A Dictionary of Australasian Words, Phrases and Usages. London: Macmillan, 1898.
・ Richards, Kel. The Story of Australian English. Sydney: U of New South Wales, 2015.
2026-01-18 Sun
■ #6110. Edward Ellis Morris --- オーストラリア英語辞書の父 [australian_english][dictionary][lexicography][lexicology][oed][link][biography][melbourne][new_zealand_english]

(Photograph of Edward Morris, by Johnstone, O'Shannessy & Co, c1900, State Library of Victoria, H4705)
オーストラリアの Melbourne と英語史を掛け合わせると,Edward Ellis Morris (1843--1902) の名前が浮かび上がってくる.1898年に Austral English: A dictionary of Australasian words, phrases and usages with those aboriginal-Australian and Maori words which have become incorporated in the language, and the commoner scientific words that have had their origin in Australasia と題するオーストラリア英語・ニュージーランド英語の語彙を集め,初めて本格的に辞書を編纂した人物である.
当時 Oxford にて New English Dictionary (後の Oxford English Dictionary)を編纂していた James Murray (1837--1915) は,世界中の有志に呼びかけ,英単語の引用文例を収集していた.オーストラリア英語からの素材を提供していた有志こそが,メルボルン大学の現代語・文学の教授 Morris その人だった.後にその素材を独立させて辞書として編んだのが,Austral English である.
Morris は,1843年,英領インドで会計課長を務めていた父のもと Madras で生まれた.教育はイギリスで受け,ラグビー学校やオックスフォード大学でエリートとして育ち,古典,法律,近代史を学び,フランス語やドイツ語を習得した.1875年,メルボルン英国教会グラマースクールの校長に任命されてオーストラリアに渡り,生涯をその地で過ごした.1884年にはメルボルン大学の教授として招かれ,現代語・文学で教鞭を執った.1902年,滞在中のイングランドで他界し,ロンドンの Kensal Green Cemetery に眠っている.
Morris は敬虔なクリスチャン,慈善家,教育家だった.1884--88年には Melbourne Shakespeare Society を創設し初代会長となっている.このように多分野で活動した Morris の多くの著作のうち最も著名なものが,オーストラリア英語研究の記念碑というべき Austral English である.Morris はこの著作により,1899年に同大学最初の文学博士号を授与されている.現代まで続くオーストラリア英語辞書の系譜の祖といってよい.
・ Biography by Australian Dictionary of Biography
・ Biography by Dictionary of Australian Biography
・ Biography by People Australia
・ Wikipedia
・ Austral English: A Dictionary of Australasian Words, Phrases and Usages by Project Gutenberg
・ Morris, Edward Ellis, ed. Austral English: A Dictionary of Australasian Words, Phrases and Usages. London: Macmillan, 1898.
2026-01-17 Sat
■ #6109. リスナー投票による heldio 2025年第4四半期のランキング [voicy][heldio][notice][ranking][link][helkatsu][hellive2025][khelf][book_review][nz_english][sobokunagimon]

「#6099. heldio 2025年第4四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 1月13日までオープン」 ([2026-01-07-1]) でご案内したとおり,去る2025年の第4四半期(10月--12月)における Voicy heldio のベスト配信回を決めるリスナー投票(1人10票まで)を実施しました.1月13日をもって投票を締め切りました.年始のお忙しい中,25名の皆さんよりご投票いただきました.いつもながら熱い応援をいただき,ありがとうございました.
投票結果をまとめましたので,本記事にて報告いたします.本日の heldio でも「#1693. heldio 2025年第4四半期のリスナー投票の結果発表」として報告しているので,ぜひお聴きください.
今回は9月開催の「英語史ライヴ2025」の熱気が残る対談回や,khelf(慶應英語史フォーラム)メンバーによる書評回,そしてニュージーランド特集など,バラエティに富んだランキングとなりました.以下に上位(4%以上)の配信回を掲載します.
【 第1位(36%)】
「#1605. まさにゃん&川上の素朴な疑問に答えよう --- 「英語史ライヴ2025」にて have to と must の違いを徹底討論」
【 第2位(32%)】
「#1586. 名前×英語史 with 小河舜さん&青木輝さん --- 「英語史ライヴ2025」より」
「#1592. 声の書評 by khelf 泉類尚貴さん --- 滝沢直宏(著)『コーパスと英文法』(研究社,2017年)」
「#1632. ニュージーランド英語はどこから来たのか?」
【 第3位(28%)】
「#1642. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第24弾」
【 第4位(24%)】
「#1590. 声の書評 by khelf 木原桃子さん --- 武内信一(著)『英語文化史を知るための15章』(研究社,2009年)」
「#1591. 声の書評 by khelf 寺澤志帆さん --- 寺澤芳雄(著)『聖書の英語の研究』(研究社,2009年)」
「#1596. 声の書評 by 小河舜さん&疋田海夢さん --- 苅部恒徳(編著)『英語固有名詞語源小辞典』(研究社,2011年)」
「#1620. なぜ going to が「ゴナ」,want to が「ワナ」になるの? (1)」
【 その他(4%)】
「#1636. キュウリの酢漬け gherkin」
「#1637. 1890年前後のニュージーランド英語のコイネー化」
「#1638. 海をまたいで等語線」
「#1639. Speight's 醸造所より pump で水を汲んでいます」
「#1645. Helvillian 12月号が公開! --- 特集は「旅」」
「#1655. なぜ I was の短縮形はないの?」
「#1658. 12月20日の朝カル講座は one --- 単なる数から様々な用法へ広がった語」
「#1661. 言及数トップの英単語はアレ! --- 語源ハンドブック索引より」
「#1665. 拙著『はじめての英語史』の10刷が出ています --- コンパニオンサイトもどうぞ」
「#1666. クリスマス企画「英語史小ネタ50連発」がスタート --- 拙著『はじめての英語史』のプレゼントもあります」
「#1672. ラムステーキ丼とラムチョップ生姜焼き」
「#1676. 2025年のhel活もおおいに盛り上がりました --- リスナーの皆さんへの感謝を込めて」
2025年第4四半期の結果を振り返ってみましょう.まず,第1位に輝いたのは「#1605. まさにゃん&川上の素朴な疑問に答えよう --- 「英語史ライヴ2025」にて have to と must の違いを徹底討論」でした.「英語史ライヴ2025」での公開収録の模様をお届けした回ですが,have to と must という学習者にとっても身近なテーマを,まさにゃんと川上さんという heldio おなじみのメンバーが熱く,深く議論した点が評価されました.ライヴ感たっぷりの回でしたね.同じくライヴ関連では,第2位の「#1586. 名前×英語史 with 小河舜さん&青木輝さん --- 「英語史ライヴ2025」より」もランクインしており,イベントの余韻がランキングにも色濃く反映されています.
第4四半期の大きな特徴として特筆すべきは,khelf メンバーによる「声の書評」シリーズの躍進です.同率第2位の #1592 を筆頭に,第4位には #1590, #1591, #1596 と実に4本もの書評回が上位に食い込みました.これらも「英語史ライヴ2025」での企画でしたので,ライヴの勢いがいかに凄まじかったかが知られます.この書評シリーズは,英語史を専攻する大学院生や教員が,専門書や良書をリスナーに向けて丁寧に紹介するものでした.「本×音声×英語史」という組み合わせが,知的好奇心旺盛な heldio リスナーの皆さんに深く刺さった結果といえると思います.学びのコミュニティとしての khelf の成熟を感じさせます.
また,ランキングの随所に見られるのがニュージーランド関連の話題です.同率第2位の「#1632. ニュージーランド英語はどこから来たのか?」を筆頭に,投票獲得率4%の層には「#1637. 1890年前後のニュージーランド英語のコイネー化」や「#1638. 海をまたいで等語線」も入っています.これは私が第4四半期を通じて同国に滞在していたからで,その土地の言葉や文化を肌で感じて発信する「旅する英語史」の側面も楽しんでいただけたものと理解しています.
ほかには,第3位に入った「#1642. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第24弾」のような定番シリーズの安定感も見逃せません.また,「#1620. なぜ going to が「ゴナ」,want to が「ワナ」になるの? (1)」や「#1655. なぜ I was の短縮形はないの?」のような「英語の素朴な疑問」は heldio の原点であり,常に高い需要があることを再確認しました.
個人的には食レポシリーズの「#1672. ラムステーキ丼とラムチョップ生姜焼き」を上位4%に選んでいただけたのが嬉しいですね.
まとめると,2025年第4四半期は「ライヴ」「書評」「旅」という3つのキーワードに集約されるように思います.教室の中だけの英語史にとどまらず,外へ飛び出し,本を紐解き,仲間と語り合う.そんな動的な「hel活」の様子がランキングからも見えてきます.
2025年も1年間,heldio をお聴きいただきありがとうございました.2026年も,リスナーの皆さんの知的好奇心を刺激するような,多角的でディープな英語史の世界をお届けしていきたいと思います.引き続き,heldio をよろしくお願いいたします.
2026-01-16 Fri
■ #6108. 先月,mond で8つの問いに回答しました [mond][sobokunagimon][notice]
先月,2025年12月は,知識共有プラットフォーム mond に寄せられた疑問の計8件に回答しました.
受験勉強に励む高校生からの熱心な質問や,日常のふとした語彙の疑問,さらには日英語の表記体系の比較など,バラエティに富んだ問いが寄せられました.回答を作成する過程で,私自身も改めて英語の歴史や仕組みについて考えさせられることが多く,勉強になっています.質問をお寄せいただいた方々,ありがとうございました.
以下に時間順に8つの問いと,対応する mond の問答へのリンクを張ります.週末の読み物としてどうぞ.
1. 短縮形についに質問です.なぜ,I wasの短縮形が無いんですか?
2. 英語の受験勉強の傍ら,英文法史を学んでいる高三です.関係代名詞は代名詞なのですか? また,形容詞的に修飾するという説明は,英語史的に正しいのでしょうか?
3. recipe(作り方・調理法)という単語について質問します.この単語のつづり方から想像される発音は,i が二重母音で語末の e が読まない字・・と思うところですが,実際はそうではなく,特に語末の e も発音するのは英単語ではかなり珍しいと思います.どうしてこのような変な発音なのですか.
4. 形容詞と同形の副詞と,そこに -ly がついた副詞で意味が異なりますが,不思議です.どうしてこのようにややこしいことになったのでしょうか?
5. 付帯状況の「with O C」は どのようにして生まれたのですか?
6. God save the king. が,三単現であるべきところ,原形を用いた仮定法だと習いました.ならば,You eat sushi. ならば,「君よ寿司を食べ給へ」という意味にも,時と場合によってはなり得ますか?
7. nowadaysという語に関して二つ質問です.(1) nowadays には now"a"day"s" となぜ単数形を表す a と複数形を表す s がどちらもついているのでしょうか? (2) 同じような意味の語に recently がありますがなぜ nowadays は現在形に,recently は現在完了形に使うという棲み分けがなされたのでしょうか?
8. 日本語では,聞いて音が分かったが漢字の表記が分からない場合,とりあえず仮名で書くという方法をとることができますが,英語では綴りが分からないとそもそも書いて残すことができません.音は分かるが綴りが分からないときは,どう対処しているのですか.
とりわけ6番目の God save the king. と You eat sushi. を比較した質問は,仮定法現在の衰退と残存,そして祈願や命令の機能という英語史の大きなテーマに関わるユニークな話題でした.また,8番目の日本語の仮名表記と英語の綴字に関する問いは,文字論的な観点から非常に鋭い指摘を含んでおり,回答していて知的興奮を覚えました.おかげさまで良問答とも非常に大きな反響をいただきました.
さて,ここで mond での質問受付について重要なお知らせがあります.先日の hellog 記事「#6105. mond での質問受付方式を変更します --- スーパーレター(優先パス)の導入」 ([2026-01-13-1]) でお伝えした通りですが,mond の「スーパーレター」(有料質問)機能を「回答の優先パス」として位置づけることにしました.数ある質問の中から,スーパーレターとしていただいたものを優先的に検討させていただきます(確約ではありませんが,回答の可能性は格段に高まります).もちろん,従来の無料での質問も引き続き歓迎いたします.
以上,英語史というニッチな分野での発信活動を,無理なく,長く,そして楽しく続けていくための持続可能性を考慮した決断です.ご理解いただければ幸いです.2026年も,引き続き皆さんの素朴な疑問に答えていきたいと思います.
2026-01-15 Thu
■ #6107. 中英語における「男性化への傾向」 [gender][me][personification][mond][toponymy][personification][mond]

一昨日,知識共有プラットフォーム mond にて,古風な英語で船を she で受ける慣習に関する質問に回答しました.一般に,英語における船や国名,抽象名詞の擬人化は,中英語期にフランス語やラテン語の文法性(およびそれに付随する文学的伝統)の影響を受けて定着したものと考えられます.古英語の文法性が直接継承されたわけではなく,一度文法性が崩壊した後に,外来の修辞的慣習として再構築された「後付けの性」であるという解釈です.
回答では,国名がラテン語の -ia 語尾(女性名詞)の影響で女性化しやすかったことなどに触れましたが,一方で,中英語の擬人的性付与の実態はそれほど単純ではなかったことにも言及しました.「国名や抽象名詞に女性性を与えるケースは確かに目立ちますが,男性性が付与される例も散見されます」と述べたとおりです.
この主張の根拠として,Mustanoja (51) の記述があります."Trend Towards Masculine Gender" と題する節で,中英語にみられる不思議な現象が紹介されています.以下にフルで引用します.
TREND TOWARDS MASCULINE GENDER. --- A feature which seems to be peculiar to the ME development is a tendency of nouns to assume the masculine gender. Not very much is known about this phenomenon, except that it seems to be at work in a large number of ME nouns, native or borrowed from other languages, with concrete or abstract meanings, which tend to assume the masculine gender without any apparent reason and often in contrast to the gender of the corresponding nouns in Latin and French. The fact, for example, that earth (OE feminine) is usually treated as a masculine in ME has been assigned to this peculiar trend towards the masculine gender. This trend has also been thought to account for the occasional use of nature and youth (OE geoguþ, fem.) as masculines. As pointed out above (p. 48), church is often feminine in ME; its occasional use as a masculine noun has also been ascribed to the general tendency of nouns towards the masculine gender. Geographical names are normally neuter, but Robert of Gloucester occasionally treats them as masculines: --- Engelond his a wel god lond; . . . þe see geþ him al aboute, he stond as in an yle (3); --- þe Deneis vor wraþþe þo asailede vaste þen toun and wonne him (RGlouc. 6050; a number of MSS read þe toun and hit). Examples of this kind could be multiplied many times over. It is possible that in several cases of this kind the masculine gender will be satisfactorily explained in some other way when enough evidence has accumulated to clarify its development; yet even if this should happen it can hardly be denied that a tendency towards the masculine gender exists in ME.
Mustanoja によれば,中英語には名詞を男性名詞として扱う独自の傾向があったということです.この現象の詳細はあまり解明されていないようですが,本来語か借用語か,あるいは具体的意味か抽象的意味かに関わらず,多くの名詞において,明確な理由もなく男性化する事例が見られるというのです.しかも,対応するラテン語やフランス語の名詞が女性である場合や,古英語で女性であった場合でも,中英語では男性として扱われることがあるというから,一見するとランダムに生じているかのように思われます.
Mustanoja は,これらの事例のいくつかは将来的に別の理由で説明がつくかもしれないと慎重に述べながらも,中英語期に「男性化への傾向」が存在したこと自体は否定しがたいと結んでいます.
ここから示唆されるのは,中英語期にかけての文法性の崩壊と,それに続く自然性や擬人法への移行期において,性の付与は意外と揺れ動いていたようだということです.
英語史では,例外として片付けられがちな事例にこそ,言語変化のダイナミズムを解き明かす鍵が潜んでいることがあります.船は she で受けるという著名な事例の裏で,別のおもしろい事例がひっそりと隠れていたということは銘記しておいてよいですね.
・Mustanoja, T. F. A Middle English Syntax. Helsinki: Société Néophilologique, 1960. 88--92.
2026-01-14 Wed
■ #6106. 有料公開中の「【2026年新春特別講義】情報発信を習慣化する方法」に寄せられた質問より [voicy][heldio][notice][communication_of_information]
「#6103. 「【2026年新春特別講義】情報発信を習慣化する方法」 --- Voicy 有料放送を配信しています」 ([2026-01-11-1]) でお知らせしたとおり,3連休初日の正午より Voicy にて有料の特別講義「情報発信を習慣化する方法」を配信しています.
16年半以上にわたって毎日発信を続けてきた経験に基づき,習慣化に関する考え方や,「ネタ切れ」対策,メディア・ミックスの有効性などを,全5チャプター(約28分)に凝縮し,本気の講義としてお届けしています.冒頭チャプターは無料となっていますので,ご関心のある方はぜひお聴きください
今回の有料放送の特典の1つとして,コメント欄を通じた質疑応答があります.情報発信を始めたい,あるいは続けているが悩みがある,というリスナーの方々から,切実かつ実践的な質問が寄せられています.それらに対して私が回答した内容が,他の方にとっても何かしら役立つかもしれないと思い,ここでその一部を要約して紹介したいと思います.
1つ目は,講義の Chapter 4 「メディア・ミックスの魔力」に関連して寄せられた質問です.
ブログ,音声,SNS など複数のメディアを連携させることの重要性は理解しつつも,技術的な側面がまったく分かりませんという相談です.新しいツールを使いこなすには学習が必要であり,それがハードルとなって継続が阻害されてしまうというのは,多くの方が直面する壁だと思います.
私は,これに対して「手段を目的に従属させる」という考え方をしています.スキルが身についてから発信するのではなく,発信したいという熱意や目的が先にあって,そのために必要最低限のスキルを,走りながら身につけていくという順序です.近年では生成AIなどの便利なツールもあります.当面の目的に必要な程度であれば,少々の時間と忍耐で解決できることが多いものです.目的の力が大きければ,手段の習得に伴う面倒くささは相対的に小さく見えます.楽しみながら自分のために一歩を踏み出すことが,結果としてスキルの向上にもつながると考えています.
2つ目は,2点の関連する質問です.
まず,発信しようと調べているうちに話題が膨らみすぎて,1日では手に負えなくなるが,どうすればよいか,という問いでした.発信者として,よくある悩みだと思います.
私の回答は,分割推奨です.話題が膨らむというのは,それが良いテーマである証拠です.1日で消化してしまうのはもったいない.むしろ,2回,3回と続くシリーズものにしてしまえばよい,という考え方です.
次に,1日分のコンテンツとして発信するに足る「60点」の基準をどこに置くか,という質問です.これについても,私はシリーズ全体として質を高める,という視点を提案し,回答しました.単発のコンテンツで100点満点を目指すのではなく,初回は中途半端でもよいので世に出し,シリーズ化して時間をかけて育てていく.それが数ヶ月,あるいは数年かけて完結したときに,深みのあるコンテンツへと昇華していればよいのではないかと思っています.
いずれも実際のコメント欄では,もっと言葉を尽くして回答していますが,問答の雰囲気はつかめたかと思います.有料放送のコメント欄では,このように情報発信に関する具体的な悩みや相談に対して,私から直接回答させていただいています.
「今年こそは発信を始めたい/定期的に続けたい」という方は,ぜひこの機会に 「【2026年新春特別講座】情報発信を習慣化する方法 --- 16年半,1日も欠かさず発信し続けた「継続の仕組み」」を聴取いただき,コメント欄も活用して2026年のスタートダッシュを決めていただければと思います.
2026-01-13 Tue
■ #6105. mond での質問受付方式を変更します --- スーパーレター(優先パス)の導入 [mond][notice][helkatsu][sobokunagimon]

昨年後半のことになりますが、知識共有サービス mond を通じて私に寄せられた「英語に関する素朴な疑問」に回答した2つの記事が、X(旧Twitter)上でともに330万インプレッションを超えるという,まさかのお祭り騒ぎを経験しました.「英語史をお茶の間に」をモットーに英語史活動「hel活」 (helkatsu) を推進する身としては望外の喜びです.
ありがたいことに質問箱には日々多くの投稿が寄せられてきており,現在ではストックが380件近くに達しています.いただいた質問にはすべて目を通していますし,可能な限り答えたいという気持ちはやまやまなのですが,良質な回答を心がけており,数日に1件を取り上げるのが物理的な限界である,というのが正直なところです.
そこで,今後も質の高い回答を継続し,かつ活動を持続可能なものとするために,質問受付の方針を少し変更させていただくことにしました.
具体的には,mond の機能である「スーパーレター」(有料質問)を「回答の優先パス」として位置づけることにしました.これまでもスーパーレター機能自体はオンにしていましたが,今後はこれを「優先的に目を通し,回答を検討する」ためのチケットとして活用させていただきます.数ある質問の中から,スーパーレターとしていただいたものを優先順位の上位に置き,回答を心がけます(確約ではありませんが,可能性は格段に高まります).
ここで誤解のないように強調しておきたいのは,mond の仕様上,課金が発生するのは私が「回答した場合のみ」であるという点です.スーパーレターを送ったとしても,私が回答を作成せず(あるいはできず)に期間が過ぎれば,質問者の方に金銭的な負担は一切生じません.あくまで,膨大な質問の山の中から優先的にピックアップさせていただくための仕組み,あるいは私の専門性への対価として投げ銭を伴う「本気の質問」への優遇措置,と捉えていただければ幸いです.いただいた収益については「hel活」の維持・発展のために使わせていただきます.
もちろん,従来の無料での質問も引き続き大歓迎です.「ちょっと聞いてみたい」という気軽な疑問こそが,意外と学問的に深い問いを含んでいることも多いからです.ただし,こちらは上述の通りストックが積み上がっているため,私がその時の気分や関心に合わせて「気ままに」選ばせていただく,いわば「抽選」に近い形となります.運良く選ばれたらラッキー,くらいの感覚で投稿していただければと思います.これまで通り,おもしろい質問や,多くの英語学習者が共有しているであろう疑問には,無料・有料を問わず積極的に答えていくつもりです.
mond での回答作成は,私自身にとっても学びの多いプロセスとなっています.専門外の視点からの素朴な疑問にハッとさせられることもあれば,回答を書くために調べ直す過程で新たな知見が得られることもあります.
以上は,英語史というニッチな分野での発信活動を,無理なく,長く,そして楽しく続けていくための持続可能性を考慮した決断です.皆様から寄せられる熱意ある質問には,プロフェッショナルとして向き合いたいと考えています.そのための環境作りとして,ご理解いただければ幸いです.
質問は以下のリンクより受け付けています.英語の語源,文法,発音の歴史など,素朴な疑問からマニアックな質問まで,皆さんからの声をお待ちしています.
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| 最終更新時間 | 2026-01-19 12:06 |
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