
OED Online は,3ヶ月に一度アップデートされます.最新のアップデートは昨年12月のもので,西アフリカ,マルタ,日本,韓国という4つの地域からの借用語に焦点が当てられています.日本語からの借用語も11語含まれていました.
英語史や語彙論の観点から,それぞれのセクションを要約しつつ,コメントを加えたいと思います.まずは "From abeg to yassa: New words from West Africa" です.ナイジェリア,ガーナ,ガンビア,リベリア,シエラレオネといった国々からの借用語が紹介されています.例えば,ガーナの伝統的なダンス Adowa (1928) や,ナイジェリア英語の bend down (and) select (古着,または古着市場)などがエントリーされることになったとのことです.正直なところ私にとっては縁遠い語彙という印象が拭えません.しかし,これらの国々では英語が公用語やそれに準ずる言語として機能しており,独自の英語変種 (World Englishes) が豊かに育っているという事実を,再認識させられました.
次に "From aljotta to pastizz: New words from Malta" です.地中海の島国マルタの英語変種(Maltese English)からの語彙です.マルタ語 (Maltese) は,EU の公用語の中で唯一,セム語派 (Semitic) に属しながらラテン文字で表記される言語です.記事内に,次の記述があります.
Maltese is the only Semitic language written in the Latin alphabet and is the only Semitic and Afroasiatic language among the official languages of the European Union.
今回追加された pastizz (リコッタチーズや豆の入ったパイ)や aljotta (魚のスープ)などは,イタリア語やシチリア語の影響も色濃く反映しており,言語混交の歴史を感じさせます.マルタの言語事情については,「#2228. マルタの英語事情 (1)」 ([2015-06-03-1]) や「#2229. マルタの英語事情 (2)」 ([2015-06-04-1]) をご覧ください.
さて,hellog として最も注目すべきは,もちろん "From Ekiden to White Day: New words from Japan" のセクションです.今回 OED に追加された日本語由来の英単語は以下の11語です.
・ brush pen (筆ペン)
・ Ekiden (駅伝)
・ love hotel (ラブホテル)
・ mottainai (もったいない)
・ Naginata (なぎなた)
・ PechaKucha (ペチャクチャ)
・ senbei (煎餅)
・ senpai (先輩)
・ Washlet (ウォシュレット)
・ White Day (ホワイトデー)
・ yokai (妖怪)
まず love hotel ですが,日本の独特な文化的空間を表す語として,もっと早く OED に取り入れられもよかったのではないかと思っていますが,今回晴れて(?)の収録となりました.関連して「#142. 英語に借用された日本語の分布」 ([2009-09-16-1]) もご覧ください.商標である Washlet も同様に,日本のトイレ文化の象徴として世界に認知された証でしょう.
興味深いのは mottainai の品詞分類です.日本語では形容詞ですが,OED では間投詞(および名詞)として登録されています.環境問題の文脈で「なんてことだ,もったいない!」という文脈で使われることが多いのだと思われます.
煎餅大好き人間としては,個人的に senbei の追加には拍手を送りたいと思います.定義の中で "usually . . . served with green tea" (たいてい緑茶とともに出される)と,日本の茶の間文化まで記述されているのがナイスです.
一方,PechaKucha については,私は寡聞にして無知でした.どうやら,20枚のスライドを各20秒でプレゼンする形式を指すそうです.Naginata や Ekiden は正統派の借用語と言えますが,senpai はサブカルチャー経由の借用語として存在感を示しているようです.海外のアニメファンの間では「自分に気づいてほしい憧れの対象」という文脈で notice me, senpai のようなミームで使われています.意味・語用の変容が生じていますね.
最後に "From ajumma to sunbae: New words from South Korea" です.ここには ajumma が入りました.日本語の「おばちゃん」に相当する語ですが,パーマヘアやサンバイザーといったステレオタイプな特徴とともに記述されているのがユニークです.
世界各地から英語へと流れ込む語彙の流入はとどまることを知りません.次回の OED アップデートも楽しみです.

OED Online は,3ヶ月に一度アップデートされます.最新のアップデートは昨年12月のもので,西アフリカ,マルタ,日本,韓国という4つの地域からの借用語に焦点が当てられています.日本語からの借用語も11語含まれていました.
英語史や語彙論の観点から,それぞれのセクションを要約しつつ,コメントを加えたいと思います.まずは "From abeg to yassa: New words from West Africa" です.ナイジェリア,ガーナ,ガンビア,リベリア,シエラレオネといった国々からの借用語が紹介されています.例えば,ガーナの伝統的なダンス Adowa (1928) や,ナイジェリア英語の bend down (and) select (古着,または古着市場)などがエントリーされることになったとのことです.正直なところ私にとっては縁遠い語彙という印象が拭えません.しかし,これらの国々では英語が公用語やそれに準ずる言語として機能しており,独自の英語変種 (World Englishes) が豊かに育っているという事実を,再認識させられました.
次に "From aljotta to pastizz: New words from Malta" です.地中海の島国マルタの英語変種(Maltese English)からの語彙です.マルタ語 (Maltese) は,EU の公用語の中で唯一,セム語派 (Semitic) に属しながらラテン文字で表記される言語です.記事内に,次の記述があります.
Maltese is the only Semitic language written in the Latin alphabet and is the only Semitic and Afroasiatic language among the official languages of the European Union.
今回追加された pastizz (リコッタチーズや豆の入ったパイ)や aljotta (魚のスープ)などは,イタリア語やシチリア語の影響も色濃く反映しており,言語混交の歴史を感じさせます.マルタの言語事情については,「#2228. マルタの英語事情 (1)」 ([2015-06-03-1]) や「#2229. マルタの英語事情 (2)」 ([2015-06-04-1]) をご覧ください.
さて,hellog として最も注目すべきは,もちろん "From Ekiden to White Day: New words from Japan" のセクションです.今回 OED に追加された日本語由来の英単語は以下の11語です.
・ brush pen (筆ペン)
・ Ekiden (駅伝)
・ love hotel (ラブホテル)
・ mottainai (もったいない)
・ Naginata (なぎなた)
・ PechaKucha (ペチャクチャ)
・ senbei (煎餅)
・ senpai (先輩)
・ Washlet (ウォシュレット)
・ White Day (ホワイトデー)
・ yokai (妖怪)
まず love hotel ですが,日本の独特な文化的空間を表す語として,もっと早く OED に取り入れられもよかったのではないかと思っていますが,今回晴れて(?)の収録となりました.関連して「#142. 英語に借用された日本語の分布」 ([2009-09-16-1]) もご覧ください.商標である Washlet も同様に,日本のトイレ文化の象徴として世界に認知された証でしょう.
興味深いのは mottainai の品詞分類です.日本語では形容詞ですが,OED では間投詞(および名詞)として登録されています.環境問題の文脈で「なんてことだ,もったいない!」という文脈で使われることが多いのだと思われます.
煎餅大好き人間としては,個人的に senbei の追加には拍手を送りたいと思います.定義の中で "usually . . . served with green tea" (たいてい緑茶とともに出される)と,日本の茶の間文化まで記述されているのがナイスです.
一方,PechaKucha については,私は寡聞にして無知でした.どうやら,20枚のスライドを各20秒でプレゼンする形式を指すそうです.Naginata や Ekiden は正統派の借用語と言えますが,senpai はサブカルチャー経由の借用語として存在感を示しているようです.海外のアニメファンの間では「自分に気づいてほしい憧れの対象」という文脈で notice me, senpai のようなミームで使われています.意味・語用の変容が生じていますね.
最後に "From ajumma to sunbae: New words from South Korea" です.ここには ajumma が入りました.日本語の「おばちゃん」に相当する語ですが,パーマヘアやサンバイザーといったステレオタイプな特徴とともに記述されているのがユニークです.
世界各地から英語へと流れ込む語彙の流入はとどまることを知りません.次回の OED アップデートも楽しみです.

昨日11月8日(土),朝日新聞デジタル版にインタビュー記事「世界で活躍,英語できないとダメ? 苦手意識を克服する「秘策」とは」が公開されました.この記事は,同紙の連載企画「今さら聞けない世界」の一環として,各分野の専門家へのインタビューを基にして,編集されたものです.
先日,連載の担当者の方より,「英語帝国主義」を念頭に,世界における英語の位置づけと,その英語に対して私たちはどのように臨めばよいかについて伺いたいとのご連絡をいただき,このインタビューを実施した次第です.貴重な機会をいただき,朝日新聞の関係者の方々に感謝申し上げます.
昨日公開されたデジタル版は有料記事となっておりますが,フルバージョンでお読みいただけます.また,紙面では本日11月9日(日)の朝刊に,同記事の短縮版が掲載される予定です.
さて,インタビュー(記事)の内容ですが,英語史研究者の立場から,英語が歴史を通じて築き上げてきた世界的な地位,日本語母語話者が英語学習で難しさを感じる構造的な要因,そして,苦手意識を乗り越えて自信をもって英語を使うための「秘策」についてお話ししました.
まず,国際的な舞台で英語が共通語 (lingua_franca) として機能しているという客観的事実をを確認しました.その上で,英語が世界的な地位を得た背景には,過去のギリシア語やラテン語など,かつての有力言語がたどった道筋と質的には同じ構造があることを指摘しています.特定の国家の政治的・経済的な力が,その言語の拡散を支えてきたという歴史的事実は,言語の力学を理解する上で重要です.この議論は,英語史における大きな論点の1つである「英語帝国主義批判」とも関わってきます.
次に,日本人にとって英語習得が難しいとされる構造的な理由についても触れました.日本語と英語は,発音や文法体系,語彙などの点で共通点が非常に少なく,言語の距離が遠いという事実があります.(数千年レベルで見れば)互いに方言といってよい関係にあるヨーロッパ諸語の母語話者と比べると,日本人が英語の習得に長い時間を要するのは,むしろ自然なことです.
さらに,単なる言語知識の問題を超えて,英米人と日本人の間には,コミュニケーションの土台となる宗教,歴史,文化,習慣の面での共通項も少なく,英語での会話における「作法」を知らないことが,習得のもう1つの大きな壁になっていることも指摘しました.欧州諸国の人々が英語での会話にあまり抵抗感がないのと比べると,日本人はいざ話そうとしたときに「そもそもどのように会話を始めたらよいのか」という戸惑いを感じやすいようです.
そして,記事のなかで最も注目していただきたいのが,苦手意識を克服し自信をもって話すための「秘策」です.具体的な内容はここでは伏せておきますが,英語史や社会言語学の知見に基づき,現在の世界の英語使用の実態に鑑みた,実践的なアドバイスとなっていると思います.鍵となるのは,世界の英語話者20億人のうち,英米人などの母語話者はマイノリティであるという事実です.
「英語帝国主義」については,本ブログでも linguistic_imperialism のタグの着いた記事をはじめとして,様々に議論してきました.ここでは Voicy heldio の関連回をご案内しておきたいと思います.ぜひお聴きいただければ.
・ 「#1607. 英語帝国主義から世界英語へ」
・ 「#145. 3段階で拡張してきた英語帝国」
改めて,紙面では本日11月9日(日)の朝刊に短縮版が掲載される予定ですので,そちらからもご一読いただければ幸いです.
9月27日(土)に,今年度の朝日カルチャーセンターのシリーズ講座「歴史上もっとも不思議な英単語」の第6回(夏期クールとしては第3回)が新宿教室にて開講されました.テーマは「English --- 慣れ親しんだ単語をどこまでも深掘りする」です.あまりに馴染み深い単語ですが,これだけで90分語ることができるほど豊かなトピックです.
講座と関連して,事前に Voicy heldio にて「#1574. "English" という英単語について思いをめぐらせたことはありますか? --- 9月27日の朝カル講座」を配信しました.
この第6回講座の内容を markmap によりマインドマップ化して整理しました(画像をクリックして拡大).復習用にご参照いただければ.

なお,この朝カル講座のシリーズの第1回から第4回についてもマインドマップを作成しています.
・ 「#5857. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第1回「she --- 語源論争の絶えない代名詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-05-10-1])
・ 「#5887. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第2回「through --- あまりに多様な綴字をもつ語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-06-09-1])
・ 「#5915. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第3回「autumn --- 類義語に揉み続けられてきた季節語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-07-07-1])
・ 「#5949. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第4回「but --- きわめつきの多義の接続詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-08-10-1])
・ 「#5977. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第5回「guy --- 人名からカラフルな意味変化を遂げた語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-09-07-1])
シリーズの次回,第7回は,10月25日(土)「I --- 1人称単数代名詞をめぐる物語」と題して開講されます.秋期クールの開始となるこの回より,開講時間は 15:30--17:00,開講方式はオンラインのみへ変更となります.ご関心のある方は,ぜひ朝日カルチャーセンター新宿教室の公式HPより詳細をご確認の上,お申し込みいただければ幸いです.
一昨日 YouTube 「いのほた言語学チャンネル」の最新動画が配信されました.題して「#373. これからの英語はどうなる?AIと世界の英語・英語の未来を読む:多様化・AI・世界化」です.今回は,まさに今,私たちが目の当たりにしている言語とテクノロジーの劇的な交錯について,井上さんと議論を深めました.
この話題を選んだきっかけは,私が以前出演させていただいた「文藝春秋PLUS 公式チャンネル」で,関連する英語史トークを展開したことにあります.そのトークの最後のほうで,英語の多様性やその未来について触れたのですが,同じテーマを「いのほた言語学チャンネル」でもさらに掘り下げてみようと考えた次第です.今や生成AIによるリアルタイム通訳も実用的になりつつあり,英語の未来を考える上で,これは避けて通れない話題となっています.
いのほた動画では,英語(ひいては言語一般)のもつ「2つの相反する力」について議論しました.1つは,英語が世界の共通語,つまりコミュニケーションの道具としての役割を果たす「求心力」 (centripetal force) です.世界には約7000もの言語があると言われますが,その中で英語は最も広く通用する言語として,私たちの学習目標となってきました.異なる言語を話す人々を結びつける強力なツールとしての英語,という側面です.
しかし,同時に英語(ひいては言語一般)にはもう1つの側面があります.それは「遠心力」 (centrifugal force) です.20世紀後半以降,世界英語 (world_englishes) という現象が顕著になり,世界各地で標準英語から逸脱した多様な英語が生まれ,話されています.これは,各々の地域の話者が,独自の英語変種を通じて自身のアイデンティティを表現しようとする動きにほかなりません.言語が単なるコミュニケーションの道具にとどまらず,所属する集団や個人のアイデンティティを示す手段となるわけです.結果として,同じ英語を話していても,お互いにとって理解しにくい方向に枝分かれしていくという,一見矛盾した状況が生じています.
私は,この求心力と遠心力こそが,言語のダイナミズムを支える両輪であると考えています.結びつけようとする力と,分かち隔てようとする力.これらは常に拮抗し,揺れ動くことで言語変化の原動力となっているのです.社会がグローバル化すれば求心力が強まり,個々が多様性を志向すれば遠心力が強まる.まるで振り子のように揺れ動きながら,言語は機能し続けていると言えます.この2つの相反する力については,「#1360. 21世紀,多様性の許容は英語をバラバラにするか?」 ([2013-01-16-1]) や「#2073. 現代の言語変種に作用する求心力と遠心力」 ([2014-12-30-1]) もご参照ください.
そして,人類史上長らく続いてきたこの言語のダイナミズムに,今,生成AIという前代未聞の技術が投入されてきています.これまでのコンピューター技術は標準的な英語のみを扱ってきたと言ってよいですが,AIは多様な英語をも処理できるようになりつつあります.これは,英語がインフラとしての基盤的役割を今後も担い続けるのかどうかという根本的な問いを突きつけているとも言えます.言語の求心力と遠心力のバランスは,AIの発展によってどのように変容していくのか,今後注視していくべき現象です.
2020年代は,人類言語史における大きな転換点として記憶されることになるかもしれません.私たちは今,その歴史の瞬間に立ち会っていると言えます.英語の未来,そして言語そのものの未来がどうなっていくのか,引き続き注目していきたいと考えています.ぜひ,今回の「いのほた言語学チャンネル」の配信をご覧いただき,皆さんも一緒に考えてみていただければ.
「いのほた言語学チャンネル」と言えば,10月15日に「いのほた本」が出ます! 詳細は,ぜひ「#5973. 「いのほた本」が出ます! --- 井上 逸兵・堀田 隆一 『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』(ナツメ社)」 ([2025-09-03-1]) の記事をどうぞ.
イギリスからみて地球の裏側にあることから「対蹠地」 (the Antipodes) と称されるオーストラリアとニュージーランド.この2つの地域で行なわれている英語変種は,それぞれオーストラリア英語 (Australian English; AusE),ニュージーランド英語 (New Zealand English; NZE) といわれる.
歴史的,地理的,文化的に近い変種なので,しばしば一緒に扱われる.一般的には国としての「大きさ」の違いが念頭にあるからか,AusE がメインで NZE がサブと扱われることが多い.もちろん,このような認識は NZE 話者にとっては快いものではないだろう.
両変種の研究史をみても,AusE のほうが手厚く扱われてきたという事情はある.しかし,ここ30年ほどの間に事情が変わってきた.NZE は AusE と比べて,いな他の主要な英語変種と比べても,さかんに研究されるようになってきたのである.両変種を同じ章のなかで概説している Williams の冒頭の段落を引用する (1996) .
The concept of a joint chapter on Australian (AusE) and New Zealand English (NZE) is controversial, especially to New Zealanders who might justly object to being treated simply as an appendix to Australia. Initially, the description of NZE lagged behind that of the variety across the Tasman: in the early 1990s, there was a more substantial body of research on AusE; the situation has been rectified, however, and NZE is no longer "the dark horse of World English regional dialectology" (Crystal 1995: 354) but one of the most researched varieties worldwide . . . . In fact, as far as the evolution of the regional accent is concerned, much better evidence is available for NZE . . . . The history of the two varieties receives separate treatment in volume 5 of the Cambridge History of the English Language (Burchfield 1994). The histories of Australia and New Zealand are closely connected, however . . . , and the following account will not treat the development of the two varieties separately. Instead, the historical account of their accents, lexicon, grammar, and dialects will take a comparative approach in order to tease out the common ground and differences in the development of the two inner-circle varieties in the south Pacific.
先日の記事「#5974. New Zealand English のメイキング」 ([2025-09-04-1]) で触れたように,AusE と NZE の関係は複雑である.深い関係にあることは確からしいが,何がどこまで互いの影響によるものなのか具体的につかめないことが多いからだ.今後の本ブログでも,両変種の「つかず離れず」を味わっていこうと思う.
・ Williams, Colin H. "Varieties of English: Australian/New Zealand English." Chapter 127 of English Historical Linguistics: An International Handbook. 2 vols. Ed. Alexander Bergs and Laurel J. Brinton. Berlin: Mouton de Gruyter, 2012. 1995--2012.
・ Crystal, David. The Cambridge Encyclopedia of the English Language. Cambridge: CUP, 1995.
「#5956. 100の場所で英語史を学ぶ本 --- A History of the English Language in 100 Places」 ([2025-08-17-1]) で紹介した書籍をパラパラと読んでいるが,意識的に場所と紐付けて英語史を考えるという視点に相変わらず興奮している.
この本の序文 (9--10) を,David Crystal が書いている.その序文全体が読ませる文章となっているのだが,私が読んでとりわけ印象に残った2段落を引用しよう.
Some places are included in this book because the people --- in some cases the person --- who lived there played an important role in the development of the standard language. Others are included because they identify the political and social factors that fostered the spread of the language language within the British Isles and around the world. Others are here because they represent the way their communities evolved a linguistic individuality that forms part of the kaleidoscopic mix of varieties we conveniently refer to as 'English'.
It is an exercise in linguistic gazetteering, and one thing that strikes me about it is its highly personal character. It's impossible to say everything relevant about a place --- 100 things must have happened in London or New York that could be said to bear on the development of English. And 100 other places might compete as candidates for a particular theme. Selectivity is inevitable when creating a language's geobiography. No two people's selection for A History of the English Language in 100 Places would ever be the same. The fascination lies in the choices made, and the reasons for them. (9--10)
gazetteering, geobiography という用語が,きれいにはまっていて気持ちよい.いずれも,先日の heldio 配信回で提案した「#1517. etymography 「語誌学」の妄想」とも関連してきそうである.
また,英語史の場所100選という作業が個人的であるという指摘も,まさにその通りであり説得力がある.ということは「あなたが選ぶ英語史ゆかりの場所100選」なる企画を立ち上げることもできるだろう.100選は大変なので10選くらいから始めてもよいかもしれない.

・ Lucas, Bill and Christopher Mulvey. A History of the English Language in 100 Places. London: Robert Hale, 2013.

【 はじめに 】
このたび,ANAホールディングズが発行する季刊誌『ていくおふ』第179号(2025年夏号)に,「英語史から読み解く これからの英語との向き合い方」と題するエッセイを寄稿いたしました.作り込んだ図表を含む8ページにわたる,中身の詰まった記事です.
なぜ航空業界の発行する雑誌に「英語史」の話題が,と驚かれた方もいらっしゃるかもしれません.私も寄稿のお話をいただいたときには少し考え込んだのですが,航空といえば国際性,国際性といえば英語ですので,思ったよりも大きな飛躍はありません.考えているるうちに,むしろ英語史的な視点を導入するのにうってつけの機会ではないかと感じ始めました.
【 「標準英語」はいつから標準だったのか? 】
今回の記事では,1500年以上にわたる英語の歴史をふり返りながら,「標準化」と「脱標準化」という2つのベクトルのせめぎ合いに注目しました.英語はその誕生以来,外部の言語と接触し,地域的・社会的・文化的な要因によって常に姿を変えてきた言語です.
例えば中世の英語は,現代のような「正しい英語」という規範が存在しない,きわめて多様な状態にありました.ある時代にはフランス語に押されて地位を失いましたし,またある時代には,印刷術や教育制度の普及によって「標準英語」が形成されていくことになりました.しかし,それはロンドンの中・上流階級の言葉遣いをモデルにした,ふわっとして捉えどころのない虚構的な代物にすぎませんでした.
【 「世界諸英語」の時代へ――英語の多様性は今に始まったことではない 】
英語は紆余曲折を経て世界語となりましたが,一方でいまだに多様性に満ちた言語でもあります.現代の私たちは,アメリカ英語やイギリス英語だけでなく,インド英語,シンガポール英語,ナイジェリア英語など,英語の多様な「顔」と日常的に向き合っています.訪日観光客の増加や国際交流の進展によって,日本に暮らしながらも多様な英語に触れる機会が増えてきたので,この現状は理解するのに難しくないはずです.
様々な英語を聞いて「これって正しい英語なの?」と戸惑う場面もあるかもしれません.しかし,英語史をふり返ると,そうした多様性はむしろ英語本来の姿だとわかります.一度たりとも均質だったことはなく,むしろ常に揺れ,変わり続けてきた言語なのです.
この認識こそが,現代のグローバルな言語状況を読み解く上での出発点になります.
【 これからの英語との付き合い方とは? 】
本エッセイの締めくくりでは,こうした歴史的背景を踏まえたうえで,現代を生きる私たちが英語とどのように向き合うべきかについて,4点を指摘・提案しました.
1. 絶対的な「正しい英語」は存在しない
「標準英語」とは,歴史的・社会的に構築された規範であり,それ自体が一つの変種にすぎません.英語(ひいては言語)の本質は常に変化と多様性にあります.
2. 状況に応じた柔軟な運用がカギ
書き言葉/話し言葉,フォーマル/インフォーマルなど,目的に応じてスタイルを使い分ける力が求められます.「どれが正しいか」ではなく,「何が適切か」を見極める視点が大切です.
3. 多様な英語変種への寛容性と理解
世界中の非母語変種の英語に触れたとき,違和感や誤用と断ずる前に,その背景と特徴に目を向けることが重要です.
4. 英語史からの学び
発音と綴字の乖離,語彙の多さ,文法のゆれなど,英語の「なぜ?」に,たいていの場合,上手に答えてくれるのは「英語史」です.英語の歴史を知ることで,英語への視野が広がります.
英語が「世界の言語」としてさらに多様化し続けるなか,私たちはどのようにその変化とつき合っていくべきなのか.そのヒントを,英語史という長いスパンから探ってみませんか? 興味を持たれた方は,ぜひ本誌をお手に取ってみてください.
【 雑誌『ていくおふ』について 】
本エッセイは,ANAによる『ていくおふ』という季刊誌の記事として掲載されています.今回ご紹介した記事のほかにも,空間認知と建築体験に関する記事や,空港の地理学的考察などに関する記事をなども掲載されています.
『ていくおふ』第179号をご希望の方は,公式HPより詳細をご確認ください.ANA公式スマホアプリからも入手可能となっております.
なお,今回のエッセイについては,heldio にて「#1490. 「英語史から読み解く これからの英語との向き合い方」 --- ANA『ていくおふ』179号より」として配信していますので,そちらもぜひお聴きください.
・ 堀田 隆一 「英語史から読み解く これからの英語との向き合い方」『ていくおふ』第179号(2025年夏号),ANAホールディングズ.2025年5月.33--40頁.

先日,高橋真理子先生(関西学院大学)と Voicy heldio で2度にわたり対談させていただきました.昨年昭和堂より出版されている『World Englishes 入門』より,高橋先生の執筆された第8章「ヨーロッパと中東の英語」について,著者じきじきにお話をうかがうという回でした.
・ 「#1294. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 高橋真理子先生とのヨーロッパと中東の英語をめぐる対談」(2024年12月14日配信)
・ 「#1300. 高橋真理子先生とのアフタートーク --- 『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)の第8章「ヨーロッパと中東の英語」をめぐって」(2024年12月20日配信)
今回は,知っているようで意外と知らないヨーロッパと中東の英語事情について,本書第8章の記述を土台にしつつ,高橋先生にご解説いただきました.この広い地域には多様な言語,文化,民族が分布しています.そのなかで英語がいかにリンガフランカ (lingua_franca) として機能しているのか,社会的にどのように位置づけられているのか,いかなる英語変種が用いられているのか.様々な疑問が生じます.さらに,なぜヨーロッパと中東が,同じ章で扱われているのでしょうか.アフタートークを含め,今回の対談では,このような質問にお答えいただきました.
ぜひ,これまでの『World Englishes 入門』関連の hellog 記事や heldio 対談回へ,we_nyumon を通じてアクセスしていただければと思います.
最後に,アフタートークでも触れましたが,高橋先生の最近のご単著にもご注目ください.『アジア英語における口語表現の比較』(ナカニシヤ出版,2023年)です.高橋先生,このたびは対談のお時間を割いていただきまして,ありがとうございました!
・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
・ 高橋 真理子 『アジア英語における口語表現の比較』 ナカニシヤ出版,2023年.
一昨日11月16日(日),東京ポニークラス慶友会にて「英語標準化の歴史」と題して講演させていただきました.対面・オンラインで参加された皆さん,ありがとうございました.講演後の質疑応答も長時間にわたって盛り上がりました.懇親会でも皆さんと貴重な交流の機会を持つことができました.準備・運営に当たられた慶友会メンバーの方々に心より感謝申し上げます.
講義自体は2時間超となりました.それでも時間が足りないくらいでしたが,講義内容を markmap というウェブツールを利用してマインドマップ化しました(画像としてはこちらからどうぞ).515通りの through の話題から入り,英語史における言語的多様性と標準化 (standardisation) のサイクル,最後には20--21世紀の世界英語 (world_englishes) 現象を議論しました.
去る10月,山口美知代先生(京都府立大学)と Voicy heldio で3度にわたり対談させていただきました.
最初の2回は,昨年昭和堂より出版された『World Englishes 入門』の共著者のお一人として世界英語 (world_englishes) について,とりわけ「カリブ海の英語」と「中華世界の英語」について,お話しを賜わりました.
・ 「#1231. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 山口美知代先生とのカリブ海の英語をめぐる対談」(2024年10月12日配信)
・ 「#1235. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 山口美知代先生との中華世界の英語をめぐる対談」(2024年10月16日配信)
「カリブ海の英語」は,おそらく多くの方々にとってあまり馴染みのない変種と思われますが,それだけに英語の世界の奥深さが伝わるはずです.一方,「中華世界の英語」はずっと身近な気はするものの,具体的には知らないことが意外と多いのではないでしょうか.
2回の対談を通じて,世界の隅々で英語が用いられていることが再確認できたと思います.ぜひ,これまでの『World Englishes 入門』関連の hellog 記事や heldio 対談回へ,we_nymon を通じてアクセスしていただければ.
さて,山口先生との第3回目の対談回では,今年開拓社より出版されました単著『ハリウッド映画と英語の変化』について,著者直々にご紹介いただきました.「#1241. 著者と語る『ハリウッド映画と英語の変化』(開拓社,2024年) --- 山口美知代先生との対談」(2024年10月22日配信)をお聴きください.
『ハリウッド映画と英語の変化』については,今年の4月11日の heldio にて私単独で「#1046. 山口美知代『ハリウッド映画と英語の変化』(開拓社,2024年)」としても紹介していますので,そちらもお聴きください.hellog 記事としては「#5469. 山口美知代『ハリウッド映画と英語の変化』(開拓社,2024年)」 ([2024-04-17-1]) をどうぞ.
山口先生,お忙しいところ,対談のお時間を割いていただきまして,ありがとうございました!
・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
・ 山口 美知代 『ハリウッド映画と英語の変化』 開拓社,2024年.

先日,菊地翔太先生(専修大学)と話しをする機会があり,大学の授業で標題の本 The Long Journey of English: A Geographical History of the Language をテキストとして用いているとのこと.昨年出版された,社会言語学の泰斗 Peter Trudgill による英語史の本です.伝統的な英語史書というよりは,主題・副題からも読み取れる通り,英語拡大史の本といったほうが分かりやすいと思います.当然ながら,世界英語 (world_englishes) の話題とも密接に関連してきます.私は未読ですが,早速入手はしました.これから読み進めつつ,菊地先生や学生の皆さんとともに議論したいな,などと思っています.
まず,本書の目次を挙げておきましょう.
Prologue: A View from the Birthplace
1 Where It All Started: The Language Which Became English
2 The Journey Begins: The First Movement South
3 Interlude: A View from the Celtic Island
4 Heading West Again: The North Sea Crossing, 400--600
5 Anglo-Saxons and Celts in the British Highlands, 600--800
6 And Further West: Across the Irish Sea, 800--1200
7 Atlantic Crossing: On to the Americas, 1600--1800
8 Onwards to the Pacific Shore
9 Across the Equator: Into the Southern Hemisphere, 1800--1900
10 Some Turning Back: English in Retreat
11 Meanwhile . . . Britain and the British Isles from 1600
12 Transcultural Diffusion: The New Native Englishes
Epilogue: Sixteen Hundred Years On
タイトルで "Geographical" と謳っている通り,本書内には地図が豊富です.また,巻末には参考文献一覧と索引が付いています.皆さんも一緒に読んでみませんか.
なお,菊地先生は,今後「hel活」 (helkatsu) としてご自身の note 上で英語史関連の記事を書かれていくつもりだとおっしゃっていました.本書の話題も出てくるかもしれませんね.たいへん楽しみです.
・ Trudgill, Peter. The Long Journey of English: A Geographical History of the Language. Cambridge: CUP, 2023.
Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」では,5月15日(水)と18日(土)の2回にわたり,加藤拓由先生(岐阜聖徳学園大学)との対談をお届けしました.「#1080. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 加藤拓由先生とのインドの英語をめぐる対談」と「#1083. 小学校英語教育事情の日印比較 --- 加藤拓由先生との対談」です.それぞれお聴きください.
加藤先生は小学校英語教育のご専門で,インドでの教育経験もあり,昨年出版された大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂)の第4章「インドの英語」を,榎木薗鉄也先生とともに執筆されています.今回の対談では,執筆の裏事情や,インドの言語事情および小学校英語の日印比較についてお話を伺いました.
インドの言語事情,第4章で書かれたコラムに関する裏話,小学校英語教育などについてお話ししただきましたが,私にとっては初めて知ることが多く,たいへん新鮮で啓発的な対談の機会となりました.皆さん,ぜ対談回を聴取いただき,ご意見やご質問などがありましたら,Voicy のコメント欄より書き込んでいただければと思います.
インド英語については,第4章の共著者の榎木薗鉄也先生とも2回にわたり Voicy で対談したことがあります.それぞれ以下の記事よりアクセスできますので,そちらもお聴きください..
・ 「#5365. 「インドの英語」をめぐって榎木薗鉄也先生と対談 --- 大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)の第4章」 ([2024-01-04-1])
・ 「#5375. 榎木薗鉄也先生とインド英語について対談しました」 ([2024-01-14-1])

・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.

2024年度も,いろいろな折に,さまざまな形式で英語史の学びを深めることができます.そのなかでもイチオシが寺澤盾先生(青山学院大学教授,東京大学名誉教授)による,NHKカルチャー青山教室のオンライン講座です.講座「世界の英語 その多様性と拡大の歴史」が,来たる5月18日(土) 15:30--17:00 に幕開きとなります(リアルタイムオンライン講義形式で「見逃し配信」もあり).
1年間かけて5回,指定の土曜日の 15:30--17:00 に開講される予定です.予定とラインナップは次の通りです.
・ 第1回:2024年5月18日(土) 「ブリテン諸島における英語変種 (1)」
・ 第2回:2024年7月13日(土) 「ブリテン諸島における英語変種 (2)」
・ 第3回:2024年9月21日(土) 「オセアニアにおける英語変種」
・ 第4回:2024年11月16日(土) 「アジアにおける英語変種」
・ 第5回:2025年1月18日(土) 「アフリカにおける英語変種」
シリーズ全体の趣旨を,HP より引用します.
皆さんの多くがこれまで学んできた英語は,おそらく標準英語(標準アメリカ英語または標準イギリス英語)ではないでしょうか.この講義では,昨年に引き続き,「世界の英語:その多様性と拡大の歴史」というテーマで,世界のさまざまな地域で使用されている多様な英語変種について考察していきます.今年度は,まず,ブリテン諸島で話されているイギリス英語以外の英語変種,具体的にはスコットランド英語,ウェールズ英語,アイルランド英語について,それらの英語変種の背後にある社会文化史もあわせて学んでいきます.その後は,オセアニア,アジア,アフリカなどで話されている英語変種にも着目します.
世界英語 (world_englishes) の話題は私も本ブログや Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 などで多く取り上げてきましたが,今や英語史の1領域として確立しつつあると言ってよいでしょう.英語史の学び,英語の学び,世界情勢の理解にも役立つ重要なテーマとして,関心を寄せてみてはいかがでしょうか.
以上,(寺澤先生ご本人の許可もいただきつつ)今年度の注目の英語史関連講座をご紹介いたしました.関連して,Voicy heldio/helwa のコアリスナーで,note 上でめざましいhel活 (helkatsu) を展開されている Grace さんも,寺澤先生の同講座を紹介されています.「~heldioガイド~【J】Jun Terasawa(寺澤盾)先生」をご覧いただければ.
OED Online は3ヶ月に一度のペースでアップデートがなされています.最新のアップデートは先月(2024年3月)のもので,Updates の一覧よりアクセスできます.
今回のアップデートを特徴づけるのは,なんと日本語からの借用語です.関連記事として "Words from the land of the rising sun: new Japanese borrowings in the OED" が公開されていますが,これは必読です.
今回 OED のアップデートで日本語からの借用語が注目されたのは,たまたまというわけではなく,とある背景があったようです.上記記事によると,OED 編纂チームが,昨年建学150周年を迎えた東京外国語大学(←私の出身大学です,おめでとう!)のパートナー研究者とコラボし,その研究成果に基づいて,これらの日本語単語を収録したということのようです.今回だけで23語の日本語単語が OED に新しく収録されるに至ったのですが,この数は1回のアップデートとしてはなかなかのものです.その23語とは,具体的には以下の通り.
donburi (n.), hibachi (n.), isekai (n.), kagome (n.), karaage (n.), katsu (n.), katsu curry (n.), kintsugi (n.), kirigami (n.), mangaka (n.), okonomiyaki (n.), omotenashi (n.), onigiri (n.), santoku (n.), shibori (n.), takoyaki (n.), tokusatsu (n.), tonkatsu (n.), tonkatsu sauce (n.), tonkotsu (n./1), tonkotsu (n./2), washi tape (n.), yakiniku (n.)
日本語母語話者としてはツッコミどころが満載で楽しいです.じっくり掘ってみてください.
・ tonkotsu という語はなんと2つの見出しが立っている.我々の知る「豚骨」(スープ,ラーメン)は tonkotsu2 だが,別に tonkotsu1 もあるという.皆さん,後者は何のことだか分かりますか?
・ donburi の語源解説で,日本語「どんぶり」は「ざぶんと」を意味した副詞用法と関係するのではないかとあり,日本語の語源まで学べてしまうスゴさが.
・ katsu 「カツ」は "boomerang word"
・ kintsugi 「金継ぎ」が,工芸技術の意にとどまらず美学的世界観へと昇華されていた!
・ isekai 「異世界」と tokusatsu 「特撮」は,さすが日本のサブカルというべき採録.
OED における日本語借用語の話題としては,OED 公式の以下の記事も参照.
・ Words of Japanese origin
・ From anime to zen: Japanese words in the OED
年末の12月29日,『World Englishes 入門』を紹介する Voicy heldio のシリーズ企画の一環として,インド英語をご専門とする榎木薗先生(元中京大学)との対談回として「#942. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 榎木薗鉄也先生とのインドの英語をめぐる対談」を配信しました.
その後,榎木薗鉄也先生とは肩の凝らないアフタートークも収録しまして,このたび「#954. インド英語を語る --- 榎木薗鉄也先生との対談」として公開しました.30分超の対談回ですが,お聴きになるとますますインド英語が身近になり,インド英語に関心を抱くのではないかと思います.
榎木薗先生は40年の研究歴をもつ筋金入りのインド英語通で,昨年には『インド英語のリスニング〈新装版〉』(研究社)も出版されています.
グローバルサウスの盟主としてのインドの国際的な存在感は高まっており,インドの人々の話す英語もまた国際的な認知度が上がっています.日本では英米変種のブランドとしての地位が確立しており,インド英語はあくまで二流という位置づけで捉えられてきた経緯がありますが,21世紀が進むにつれ,従来のそのような捉え方は変わってくるかもしれません.今後インド英語とその地位の変化については,英語史的にも目が離せません.ぜひ「英語」ではなく「世界英語」 (world_englishes) という広い枠組みで,英語(変種)を眺めてみてください.皆さんの英語世界,さらに言語世界が,ぐんと拡がるはずです.

・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
年末の12月29日,10月に昭和堂から出版された『World Englishes 入門』を紹介する Voicy heldio のシリーズ企画の一環として「#942. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 榎木薗鉄也先生とのインドの英語をめぐる対談」を配信しました.榎木薗先生(元中京大学)は,本書の第4章「インドの英語」の著者の1人です(もう1方は加藤拓由先生).33分ほどの音声コンテンツとなっています.お時間のあるときにお聴きください.
今回ご紹介いただいた第4章「インドの英語」 (pp. 69--84) は,以下の構成となっています.章末には「研究テーマ」コーナーと参考文献が付されています.

・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
Voicy heldio にて小林めぐみ先生(成蹊大学)との対談回を配信しています.「#936. 映画と World Englishes は相性がよい! --- 小林めぐみ先生との対談」と題して,映画を用いた World Englishes の英語教育・言語教育というテーマでお話しいただいています.本編は10分ほどです.ぜひお聴きください.
昨今は NetFlix や YouTube などで配信される映画やドラマを通じて,世界の様々な英語変種が身近に聞かれるようになってきました.このような資源は,英語学習・教育(特にリスニング)の教材としても役立ちますし,世界各地の言語事情や英語事情を理解する上でも貴重です.小林先生はこの点に注目し,大学の英語や(社会)言語学の授業で,積極的に映画と World Englishes を導入されているとのことでした.そして,本編の最後では,小林先生の推しが「○○英語(映画)」であることが明らかにされます.皆さんの推しの英語変種は何でしょうか?
今回の小林先生との対談は第2弾でして,前回の第1弾は先日12月12日に「#925. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 小林めぐみ先生との韓国の英語をめぐる対談」として配信しています.こちらも今回の内容と関連が深いので,ぜひお聴きいただければ.また,関連する hellog 記事「#5345. 「韓国の英語」 --- 大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)の第10章」 ([2023-12-15-1]) も合わせてどうぞ.

・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
10月に昭和堂から出版された『World Englishes 入門』について,本ブログでも多く取り上げてきています.先日,本書の第12章「韓国の英語」を執筆された小林めぐみ先生(成蹊大学)と Voicy heldio にて対談しました.韓国は身近な国ですし,韓国が過酷な学歴社会であることや,関連する教育事情についての情報も入ってくることはあります.しかし,とりわけ英語教育事情については,知っているようでほとんど知らなかったことに,本書を読んで気づきました.今回の対談では執筆者の先生に直接お話しを伺い,たいへん勉強になりましたし,何よりもおしゃべりを楽しむことができました.小林先生,ご出演ありがとうございました.そして,今後ともどうぞよろしくお願いいたします.
本編で30分ほどの音声コンテンツとなっています.「#925. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 小林めぐみ先生との韓国の英語をめぐる対談」です.ぜひお聴き下さい.
今回話題となった本書の第10章「韓国の英語」 (pp. 163--75) は,以下の構成となっています.章末には「研究テーマ」コーナーと参考文献も付されています.

・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
本ブログでたびたび紹介している,この10月に昭和堂から出版された『World Englishes 入門』より,第12章「モンゴルの英語」というユニークな話題を紹介します.モンゴルの言語事情や英語学習・教育事情は,多くの日本人にとって未知の領域ではないでしょうか.私自身も,まったくといってよいほど知りませんでした.
先日,この章を執筆された梅谷博之先生(明海大学)と Voicy heldio にて対談する機会を得ました.初めてお目にかかっての対談でしたが,あまりに楽しくおもしろいおしゃべりとなり,いろいろな意味で目を開かれました.梅谷先生,ありがとうございました.そして,今後ともどうぞよろしくお願いいたします.「#901. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 梅谷博之先生とのモンゴルの英語をめぐる対談」です.本編で20分ほどの音声コンテンツとなっています.
今回取り上げた本書の第12章「モンゴルの英語」 (pp. 189--99) は,以下の構成となっています.

・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
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