hellog〜英語史ブログ     ChangeLog 最新    

keiyukai - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2019-07-20 06:59

2018-10-31 Wed

#3474. 慶友会での講演を終えて [keiyukai][hel_education]

 先週末の土日,2回にわたって大阪慶友会にて「歴史上の大事件と英語」と「英語のスペリングの不思議」と題する講演の機会をいただきました(各々 [2018-10-29-1], [2018-10-30-1] を参照).2日間にわたる趣旨として「新たな英語の見方を提案する」を掲げていました.この目的がどのくらい達成されたかは心許ないところですが,参加された方々から多くの反応をいただき,たいへん心強く感じました.参加された皆さんの学びに対する意欲と吸収しようとする意識の高さには,圧倒されました.
 講演後,講演に対して次のようなコメントをいただきました.

 ・ 苦手意識をもっていた英語に対して,ちょっと違った角度から向き合えるようになりそう.
 ・ 今までおぼろげに「なぜ英語は○○なのだろう?」と思っていた疑問が氷解した.
 ・ 今の英語も,いろいろな歴史的な事情があってこんな風になってきたんだなと分かった.
 ・ 英語に,フランス語やラテン語を仰ぎ見るような時代があったなんて!
 ・ 英語は苦手で嫌いだったけれども「英語史」はおもしろいなと思った.

 「こんなコメントを待っていました」というコメントをいただいたと思っていいます.日本では(否,世界中で)「スキルとしての英語」という捉え方が勢いを増すなかで「教養としての英語」「歴史的産物としての英語」という視点はマイノリティでしょう.しかし,背景を知ることで英語学習のモチベーションが高まったり,知的好奇心を刺激されることがあるのであれば,それは長い目で見て英語学習そのものに跳ね返ってくるはずです(そして,そもそも語学とは長い目でみないと習得できない代物です).英語史は,まさに「急がば回れ」を実践している分野だと信じています.
 英語史は,文法や綴字などについての「英語の素朴な疑問」に答えてくれるミクロな相談役であるばかりでなく,私たちが21世紀の今,いかに英語に向き合っていくべきかという疑問に指南を与えてくれるマクロな助言者として,堅実な事実と解釈を提供する責任を負っている分野と認識しています.そのような認識のもと,私も研究・教育活動を行なっています.
 大阪慶友会の皆さん,数々のナイス・リアクションにつき,改めて感謝申しあげます.

[ | 固定リンク | 印刷用ページ ]

2018-10-30 Tue

#3473. 慶友会講演 (2) --- 「英語のスペリングの不思議」 [keiyukai][spelling][spelling_pronunciation_gap][etymological_respelling][hel_education][slide]

 昨日の記事「#3472. 慶友会講演 (1) --- 「歴史上の大事件と英語」」 ([2018-10-29-1]) に続き,10月28日に大阪慶友会で行なった講演「英語のスペリングの不思議」のスライドをアップしておきます.

   1. 「英語のスペリングの不思議」
   2. はじめに
   3. 以下の単語のスペリングの何が「不規則」?
   4. 取り上げる話題
   5. I. 515通りの through --- 中英語のスペリング
   6. 「515通りの through」の要点
   7. 1. ノルマン征服と方言スペリング
   8. ノルマン征服から英語の復権までの略史
   9. 515通りの through
   10. through 異綴りワースト10
   11. ここで素朴な疑問
   12. 6単語でみる中英語の方言スペリング
   13. <i> か <u> か <e> か
   14. busy, bury, merry, etc.
   15. 14世紀後半以降のロンドンの言語事情
   16. ここで素朴な疑問
   17. 「ランダムに見える選択」の他の例
   18. Chaucer, The Canterbury Tales の冒頭より
   19. 第7行目の写本間比較
   20. 2. スペリングの様々な改変
   21. フランス語のスペリング習慣より
   22. 縦棒回避の傾向
   23. 2重字 <sh> の歴史
   24. その他の改変
   25. 3. スペリングの再標準化の兆し
   26. 「515通りの through」のまとめ
   27. II. doubt の <b> --- 近代英語のスペリング
   28. 「doubt の <b>」の要点
   29. 1. 語源的スペリング (etymological spelling)
   30. debt の場合
   31. 語源的スペリングの例
   32. island は「非語源的」スペリング?
   33. 2. 緩慢なスペリング標準化
   34. 印刷はスペリングの標準化を促したか?
   35. 3. 近代英語期の辞書にみるスペリング
   36. Robert Cawdrey's A Table Alphabeticall (1603)
   37. Samuel Johnson's Dictionary of the English Language (1755)
   38. 「doubt の <b>」のまとめ
   39. おわりに
   40. 参考文献

Referrer (Inside): [2018-10-31-1]

[ | 固定リンク | 印刷用ページ ]

2018-10-29 Mon

#3472. 慶友会講演 (1) --- 「歴史上の大事件と英語」 [keiyukai][hel_education][slide][christianity][runic][latin][loan_word][bible][norman_conquest][french][ame_bre][spelling][webster][history]

 一昨日,昨日と「#3464. 大阪慶友会で講演します --- 「歴史上の大事件と英語」と「英語のスペリングの不思議」」 ([2018-10-21-1]) で案内した大阪慶友会での講演が終了しました.参加者のみなさん,そして何よりも運営関係者の方々に御礼申し上げます.懇親会も含めて,とても楽しい会でした.
 1つめの講演「歴史上の大事件と英語」では「キリスト教伝来と英語」「ノルマン征服と英語」「アメリカ独立戦争と英語」の3点に注目し「英語は,それを話す人々とその社会によって形作られてきた歴史的な産物である」ことを主張しました.休憩を挟んで180分にわたる長丁場でしたが,熱心に聞いていただきました.通時的な視点からみることで,英語が立体的に立ち上がり,今までとは異なった見え方になったのではないかと思います.
 この講演で用いたスライドを,以下にページごとに挙げておきます.

   1. 「歴史上の大事件と英語」
   2. はじめに
   3. 英語史の魅力
   4. 取り上げる話題
   5. I. キリスト教伝来と英語
   6. 「キリスト教伝来と英語」の要点
   7. ブリテン諸島へのキリスト教伝来
   8. 1. ローマン・アルファベットの導入
   9. ルーン文字とは?
   10. ルーン文字の起源
   11. 知られざる真実 現存する最古の英文はルーン文字で書かれていた!
   12. 古英語アルファベットは27文字
   13. 2. ラテン語の英語語彙への影響
   14. ラテン語からの借用語の種類と謎
   15. 外来宗教が英語と日本語に与えた言語的影響の比較
   16. 3. 聖書翻訳の伝統の開始
   17. 各時代の英語での「主の祈り」の冒頭
   18. 聖書に由来する表現
   19. 「キリスト教伝来と英語」のまとめ
   20. II. ノルマン征服と英語
   21. 「ノルマン征服と英語」の要点
   22. 1. ノルマン征服とは?
   23. ノルマン人の起源
   24. ノルマン人の流入とイングランドの言語状況
   25. 2. 英語への言語的影響は?
   26. 語彙への影響
   27. 英語語彙におけるフランス借用語の位置づけ
   28. 語形成への影響
   29. 綴字への影響
   30. 3. 英語への社会的影響は?
   31. 堀田,『英語史』 p. 74 より
   32. 「ノルマン征服と英語」のまとめ
   33. III. アメリカ独立戦争と英語
   34. 「アメリカ独立戦争と英語」の要点
   35. 1. アメリカ英語の特徴
   36. 綴字発音 (spelling pronunciation)
   37. アメリカ綴字
   38. アメリカ英語の社会言語学的特徴
   39. 2. アメリカ独立戦争(あるいは「アメリカ革命」 "American Revolution")
   40. アメリカ英語の時代区分
   41. 独立戦争とアメリカ英語
   42. 3. ノア・ウェブスターの綴字改革
   43. ウェブスター語録 (1)
   44. ウェブスター語録 (2)
   45. ウェブスターの綴字改革の本当の動機
   46. 「アメリカ独立戦争と英語」のまとめ
   47. おわりに
   48. 参考文献

Referrer (Inside): [2018-10-31-1] [2018-10-30-1]

[ | 固定リンク | 印刷用ページ ]

2018-10-21 Sun

#3464. 大阪慶友会で講演します --- 「歴史上の大事件と英語」と「英語のスペリングの不思議」 [notice][keiyukai][hel_education]

 講演のお知らせです.来週末の10月27日(土)と28日(日)に,2日間にわたって大阪慶友会にて標記の演題でお話しすることになっています.会場は,大阪は天満橋のドーンセンターです.以下のような内容で話す予定です.

■ 1日目 「歴史上の大事件と英語」 2018年10月27日(土)13:30--17:00

 イギリスへのキリスト教の伝来,ヴァイキングの侵攻,ノルマン征服,黒死病,印刷術,宗教改革,ルネサンス,米国独立革命,大英帝国などの大事件が英語という言語に及ぼした甚大な影響を話題にします.

■ 2日目 「英語のスペリングの不思議」 2018年10月28日(日)10:00--12:00

 なぜ knight や doubt というスペリングには発音しない k,gh,b のような文字があるのか? なぜ color と colour,center と centre のような不要とも思える代替スペリングがあるのかなど個々の単語のスペリングの「なぜ?」に迫ります.

 両日ともに,時間をたっぷり取っていただいているので,参加される皆さんとおしゃべりしながら楽しくいきたいと思います.懇親会も楽しみです.

Referrer (Inside): [2018-10-29-1]

[ | 固定リンク | 印刷用ページ ]

Powered by WinChalow1.0rc4 based on chalow