11月16日,表記の慶友会にて講演を行ないました.講演の概要は,先日の記事「#5684. 東京ポニークラス慶友会での講演「英語標準化の歴史」をマインドマップ化してみました」 ([2024-11-18-1]) で公開した通りです.
当日の講演後,同じ会場でそのまま,英語に関する素朴な疑問に答える「千本ノック」 (senbonknock) を音声収録しました.会場参加者およびオンライン参加者より疑問を寄せていただき,その疑問に回答しつつ,周辺に話題を広げていくというトークコーナーです.おかげさまで,9つの問題をめぐって,80分ほどの活気ある交流の時間となりました.
長尺となりましたので,全体を前半と後半に分け,各々を先週と今週で Voicy heldio より配信しました.収録環境の都合により音声がガサついているところがありますが,ご了承いただけますと幸いです.聴取の便のため,以下に各質問および対応するチャプター分秒を示します.
【前半(約50分) 「#1271. 東京ポニークラス慶友会での千本ノック (1)」】
(1) Chapter 2, 00:00 --- なぜ英語では I や you はこの形しかないのか?
(2) Chapter 2, 07:25 --- なぜ If I were you のように仮定法では were なのか?
(3) Chapter 3, 04:30 --- 英語は単純化しているのか複雑化しているのか?
(4) Chapter 5, 00:00 --- 日本語では動物の役割語として「?だワン」「?だニャン」などが聞かれますが,英語には対応するものがあるのですか?
(5) Chapter 6, 00:00 --- なぜ不規則動詞というものがあるのですか?
【後半(約40分) 「#1275. 東京ポニークラス慶友会での千本ノック (2)」】
(6) Chapter 2, 00:00 --- なぜ英語には文法上の性がないのですか?
(7) Chapter 3, 00:30 --- なぜ good の比較級は better なのですか?
(8) Chapter 4, 01:03 --- 「through Tシャツ」について,そしてなぜ昔の発音は分かるのですか?
(9) Chapter 5, 00:00 --- 例えば biz のような書き言葉における文字遊びのような略記は今後どうなっていくのでしょうか?
いかがでしたでしょうか? これからも英語史のおもしろさ,言語学の魅力を探究していきたいと思います.
一昨日11月16日(日),東京ポニークラス慶友会にて「英語標準化の歴史」と題して講演させていただきました.対面・オンラインで参加された皆さん,ありがとうございました.講演後の質疑応答も長時間にわたって盛り上がりました.懇親会でも皆さんと貴重な交流の機会を持つことができました.準備・運営に当たられた慶友会メンバーの方々に心より感謝申し上げます.
講義自体は2時間超となりました.それでも時間が足りないくらいでしたが,講義内容を markmap というウェブツールを利用してマインドマップ化しました(画像としてはこちらからどうぞ).515通りの through の話題から入り,英語史における言語的多様性と標準化 (standardisation) のサイクル,最後には20--21世紀の世界英語 (world_englishes) 現象を議論しました.
一昨日11月16日(日),東京ポニークラス慶友会にて「英語標準化の歴史」と題して講演させていただきました.対面・オンラインで参加された皆さん,ありがとうございました.講演後の質疑応答も長時間にわたって盛り上がりました.懇親会でも皆さんと貴重な交流の機会を持つことができました.準備・運営に当たられた慶友会メンバーの方々に心より感謝申し上げます.
講義自体は2時間超となりました.それでも時間が足りないくらいでしたが,講義内容を markmap というウェブツールを利用してマインドマップ化しました(画像としてはこちらからどうぞ).515通りの through の話題から入り,英語史における言語的多様性と標準化 (standardisation) のサイクル,最後には20--21世紀の世界英語 (world_englishes) 現象を議論しました.
先週末の10月14日(土)の午後,船橋の某所で開催された千葉慶友会の講演会にて「英語学習に役立つ英語史 --- 英語はこんなにおもしろい」をお話ししました.事前の準備から当日のハイブリッド開催の運営,そして講演会後の懇親会のアレンジまで,スタッフの皆さんにはたいへんお世話になり,感謝しております.ありがとうございました.とりわけ懇親会では千葉慶友会内外からの参加者の皆さんと直接お話しすることができ,実に楽しい時間でした.
90分ほどの講演の後,その場で続けて Voicy heldio の生放送をお送りしました.前もって運営スタッフの方々と打ち合わせしていた企画なのですが,事前に参加予定者より「英語に関する素朴な疑問」を寄せていただき,当日の投げ込み質問も合わせて,私が英語史の観点から回答していくのを heldio でライヴ配信しようというものです.
そちらの様子は,昨日 heldio のアーカイヴにて「#868. 千葉慶友会での「素朴な疑問」コーナー --- 2023年10月14日の生放送」として配信していますので,お時間のあるときにお聴きください(1時間弱の長尺となっています).
6件ほどの素朴な疑問にお答えしました.以下に分秒を挙げておきますので,聴く際にご利用ください.
(1) 02:25 --- 外国語からカタカナに音訳するときに何かルールはありますか.この質問をする理由は,例えば本によって「フロベール」だったり「フローベール」だったりすることがあるからです.また,カタカナを英語らしく発音するコツはありますか.
(2) 14:43 --- 英語の「パラフレーズ」の歴史的遷移について,なにか参考資料をご存知でしたら教えていただければ嬉しいです.Academic Writing を勉強している途中で興味を持ちました.
(3) 21:34 --- 英単語には island など読まない文字があるのはなぜですか?
(4) 30:43 --- 世界における言語の多様性の問題,および諸言語は今後どのように展開(分岐か収束か)していくのかという問題
(5) 39:05 --- 動詞によって目的語に -ing をとるか to 不定詞をとるかが決まっているのはなぜですか?
(6) 44:05 --- なぜ英語には無生物主語構文があるのですか?
時間内に取り上げられたのは6件のみですが,他にも多くの疑問をいただいていましたので,いずれ hellog/heldio で取り上げたいと思います.
実は慶友会の講演と絡めての Voicy heldio ライブの千本ノックは初めてではありません.同様の雰囲気をさらに味わいたい方は,3ヶ月半ほど前の「#5179. アメリカ文学慶友会での千本ノック収録を公開しました」 ([2023-07-02-1]) もご訪問ください.
6月17日(土)の午後,アメリカ文学慶友会にてオンライン講演をさせていただきました.「文字と文学の英語史 --- letter(s) の系譜」と題して2時間ほどお話しした後,活発な質疑応答の時間を経て,講演会が終了しました.事前の準備から当日の運営まで労を執っていただいたスタッフの方々,そして参加いただいた皆様にお礼申し上げます.
本セッションの終了後,続けてオンライン懇親会の場を設けていただきました.その懇親会のなかで,アメリカ文学慶友会のメンバーの皆さんのご協力を得まして,事前に打ち合わせしていたとおり,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」のために千本ノックを実施・収録いたしました.本日 heldio にて公開しましたので,お知らせします.「#762. アメリカ文学慶友会の懇親会での千本ノック」です.50分ほどの長さとなっていますので,お時間のあるときにお聴き下さい.
9本ほどのノックを受けた形になります.以下に分秒を挙げておきますので,聴く際にご利用いただければ.
(1) 00:19 --- 人称代名詞とジェンダーの問題
(2) 12:24 --- 同族目的語風の表現
(3) 15:34 --- 話し言葉と書き言葉における変化の量・速度
(4) 21:50 --- 数万年前の言語の姿は?
(5) 26:05 --- イタリック語派に属するフランス語には意外なことにゲルマン語的要素がある!
(6) 29:17 --- 英語の主語省略
(7) 33:28 --- 船や国を受ける she
(8) 38:00 --- 名前隠し
(9) 42:45 --- 単複同形の名詞
「#3774. 広島慶友会での講演「英語史から見る現代英語」のお知らせ」 ([2019-08-27-1]) でお知らせしたとおり,先週末の土日にわたって広島慶友会にて同演題でお話ししました.5月の準備の段階から広島慶友会会長・副会長さんにはお世話になっていましたが,当日は会員の皆さんも含めて,活発な反応をいただき,英語・日本語の話題について広く話し会う機会をもつことができました.
初日の土曜日には,「英語史で解く英語の素朴な疑問」という演題でお話しし,その終わりのほうでは,参加者の皆さんから具体的な「素朴な疑問」を募り,それについて英語史の観点から,あるいはその他の観点から議論できました.特に言語ごとに観察される「クセ」とか「フェチ」の話題に関しては,その後の懇親会や翌日の会にまで持ち越して,楽しくお話しできました(言語の「フェチ」については,fetishism の各記事を参照).
2日目の日曜日には,「英語の方言」と題して,方言とは何かという根本的な問題から始め,日本語や英語における標準語と諸方言の話題について話しました.こちらでも活発な意見をいただき,私も新たな視点を得ることができました.
全体として,土日の公式セッションおよび懇親会も含めまして,参加された皆さんと一緒に英語というよりは,言語について,あるいは日本語について,おおいに語ることができたと思います.非常に有意義な会でした.改めて感謝いたします.
せっかくですので,講演で用いたスライド資料をアップロードしておきます.
・ 講演会 (1): 英語史で解く英語の素朴な疑問
・ 講演会 (2): 英語の方言
今週末8月31日(土)の14時?17時,および翌日9月1日(日)の10時?12時に,広島慶友会にて「英語史から見る現代英語」と題する2回の講演を行ないます.場所は,広島YMCA国際文化センター3号館3階です.公式の案内はこちらです.
大雑把な演題ではありますが,初日の土曜日は,英語に関する様々な素朴な疑問を具体的に取り上げ,英語史の観点から解決していくという趣旨で話しを進める予定です.講演の後半には,参加している皆さんからの疑問を受け付け,一緒に議論していくということも考えています.関連して,同趣旨の本ブログ記事「#3677. 英語に関する「素朴な疑問」を集めてみました」 ([2019-05-22-1]),あるいは sobokunagimon の各記事もご覧ください.
2日目の日曜日のセッションは,英語の方言について考えます.そもそも方言とは何か,言語と方言とはどう異なるのかという話しから始め,日本語の諸方言を参照しつつ,イングランドで話されている現代英語の地域方言をのぞいてみます.言語・方言の死,方言差別,世界の様々な英語,世界語としての英語のもつ求心力と遠心力などの話題に触れながら,英語の枠内にとどまらず,広く言語・方言の多様性について考えていきたいと思います.この議論を通じて,私たちが日々学び,用いている標準英語が,現代世界においてどのような立ち位置にあるか,よく分かるようになると思います.今後の英語との付き合い方を考える上で参考になるはずです.こちらの話題に関しては,dialect や world_englishes などの記事を参照ください.
先週末の土日,2回にわたって大阪慶友会にて「歴史上の大事件と英語」と「英語のスペリングの不思議」と題する講演の機会をいただきました(各々 [2018-10-29-1], [2018-10-30-1] を参照).2日間にわたる趣旨として「新たな英語の見方を提案する」を掲げていました.この目的がどのくらい達成されたかは心許ないところですが,参加された方々から多くの反応をいただき,たいへん心強く感じました.参加された皆さんの学びに対する意欲と吸収しようとする意識の高さには,圧倒されました.
講演後,講演に対して次のようなコメントをいただきました.
・ 苦手意識をもっていた英語に対して,ちょっと違った角度から向き合えるようになりそう.
・ 今までおぼろげに「なぜ英語は○○なのだろう?」と思っていた疑問が氷解した.
・ 今の英語も,いろいろな歴史的な事情があってこんな風になってきたんだなと分かった.
・ 英語に,フランス語やラテン語を仰ぎ見るような時代があったなんて!
・ 英語は苦手で嫌いだったけれども「英語史」はおもしろいなと思った.
「こんなコメントを待っていました」というコメントをいただいたと思っていいます.日本では(否,世界中で)「スキルとしての英語」という捉え方が勢いを増すなかで「教養としての英語」「歴史的産物としての英語」という視点はマイノリティでしょう.しかし,背景を知ることで英語学習のモチベーションが高まったり,知的好奇心を刺激されることがあるのであれば,それは長い目で見て英語学習そのものに跳ね返ってくるはずです(そして,そもそも語学とは長い目でみないと習得できない代物です).英語史は,まさに「急がば回れ」を実践している分野だと信じています.
英語史は,文法や綴字などについての「英語の素朴な疑問」に答えてくれるミクロな相談役であるばかりでなく,私たちが21世紀の今,いかに英語に向き合っていくべきかという疑問に指南を与えてくれるマクロな助言者として,堅実な事実と解釈を提供する責任を負っている分野と認識しています.そのような認識のもと,私も研究・教育活動を行なっています.
大阪慶友会の皆さん,数々のナイス・リアクションにつき,改めて感謝申しあげます.
昨日の記事「#3472. 慶友会講演 (1) --- 「歴史上の大事件と英語」」 ([2018-10-29-1]) に続き,10月28日に大阪慶友会で行なった講演「英語のスペリングの不思議」のスライドをアップしておきます.
1. 「英語のスペリングの不思議」
2. はじめに
3. 以下の単語のスペリングの何が「不規則」?
4. 取り上げる話題
5. I. 515通りの through --- 中英語のスペリング
6. 「515通りの through」の要点
7. 1. ノルマン征服と方言スペリング
8. ノルマン征服から英語の復権までの略史
9. 515通りの through
10. through 異綴りワースト10
11. ここで素朴な疑問
12. 6単語でみる中英語の方言スペリング
13. <i> か <u> か <e> か
14. busy, bury, merry, etc.
15. 14世紀後半以降のロンドンの言語事情
16. ここで素朴な疑問
17. 「ランダムに見える選択」の他の例
18. Chaucer, The Canterbury Tales の冒頭より
19. 第7行目の写本間比較
20. 2. スペリングの様々な改変
21. フランス語のスペリング習慣より
22. 縦棒回避の傾向
23. 2重字 <sh> の歴史
24. その他の改変
25. 3. スペリングの再標準化の兆し
26. 「515通りの through」のまとめ
27. II. doubt の <b> --- 近代英語のスペリング
28. 「doubt の <b>」の要点
29. 1. 語源的スペリング (etymological spelling)
30. debt の場合
31. 語源的スペリングの例
32. island は「非語源的」スペリング?
33. 2. 緩慢なスペリング標準化
34. 印刷はスペリングの標準化を促したか?
35. 3. 近代英語期の辞書にみるスペリング
36. Robert Cawdrey's A Table Alphabeticall (1603)
37. Samuel Johnson's Dictionary of the English Language (1755)
38. 「doubt の <b>」のまとめ
39. おわりに
40. 参考文献
一昨日,昨日と「#3464. 大阪慶友会で講演します --- 「歴史上の大事件と英語」と「英語のスペリングの不思議」」 ([2018-10-21-1]) で案内した大阪慶友会での講演が終了しました.参加者のみなさん,そして何よりも運営関係者の方々に御礼申し上げます.懇親会も含めて,とても楽しい会でした.
1つめの講演「歴史上の大事件と英語」では「キリスト教伝来と英語」「ノルマン征服と英語」「アメリカ独立戦争と英語」の3点に注目し「英語は,それを話す人々とその社会によって形作られてきた歴史的な産物である」ことを主張しました.休憩を挟んで180分にわたる長丁場でしたが,熱心に聞いていただきました.通時的な視点からみることで,英語が立体的に立ち上がり,今までとは異なった見え方になったのではないかと思います.
この講演で用いたスライドを,以下にページごとに挙げておきます.
1. 「歴史上の大事件と英語」
2. はじめに
3. 英語史の魅力
4. 取り上げる話題
5. I. キリスト教伝来と英語
6. 「キリスト教伝来と英語」の要点
7. ブリテン諸島へのキリスト教伝来
8. 1. ローマン・アルファベットの導入
9. ルーン文字とは?
10. ルーン文字の起源
11. 知られざる真実 現存する最古の英文はルーン文字で書かれていた!
12. 古英語アルファベットは27文字
13. 2. ラテン語の英語語彙への影響
14. ラテン語からの借用語の種類と謎
15. 外来宗教が英語と日本語に与えた言語的影響の比較
16. 3. 聖書翻訳の伝統の開始
17. 各時代の英語での「主の祈り」の冒頭
18. 聖書に由来する表現
19. 「キリスト教伝来と英語」のまとめ
20. II. ノルマン征服と英語
21. 「ノルマン征服と英語」の要点
22. 1. ノルマン征服とは?
23. ノルマン人の起源
24. ノルマン人の流入とイングランドの言語状況
25. 2. 英語への言語的影響は?
26. 語彙への影響
27. 英語語彙におけるフランス借用語の位置づけ
28. 語形成への影響
29. 綴字への影響
30. 3. 英語への社会的影響は?
31. 堀田,『英語史』 p. 74 より
32. 「ノルマン征服と英語」のまとめ
33. III. アメリカ独立戦争と英語
34. 「アメリカ独立戦争と英語」の要点
35. 1. アメリカ英語の特徴
36. 綴字発音 (spelling pronunciation)
37. アメリカ綴字
38. アメリカ英語の社会言語学的特徴
39. 2. アメリカ独立戦争(あるいは「アメリカ革命」 "American Revolution")
40. アメリカ英語の時代区分
41. 独立戦争とアメリカ英語
42. 3. ノア・ウェブスターの綴字改革
43. ウェブスター語録 (1)
44. ウェブスター語録 (2)
45. ウェブスターの綴字改革の本当の動機
46. 「アメリカ独立戦争と英語」のまとめ
47. おわりに
48. 参考文献
講演のお知らせです.来週末の10月27日(土)と28日(日)に,2日間にわたって大阪慶友会にて標記の演題でお話しすることになっています.会場は,大阪は天満橋のドーンセンターです.以下のような内容で話す予定です.
■ 1日目 「歴史上の大事件と英語」 2018年10月27日(土)13:30--17:00
イギリスへのキリスト教の伝来,ヴァイキングの侵攻,ノルマン征服,黒死病,印刷術,宗教改革,ルネサンス,米国独立革命,大英帝国などの大事件が英語という言語に及ぼした甚大な影響を話題にします.
■ 2日目 「英語のスペリングの不思議」 2018年10月28日(日)10:00--12:00
なぜ knight や doubt というスペリングには発音しない k,gh,b のような文字があるのか? なぜ color と colour,center と centre のような不要とも思える代替スペリングがあるのかなど個々の単語のスペリングの「なぜ?」に迫ります.
両日ともに,時間をたっぷり取っていただいているので,参加される皆さんとおしゃべりしながら楽しくいきたいと思います.懇親会も楽しみです.
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