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history_of_linguistics - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2023-01-26 12:49

2023-01-02 Mon

#4998. 新著『文献学と英語史研究』が今月中旬に出ます [notice][philology][history_of_linguistics][methodology][youtube][gvs][bunkengaku]

 年末の記事「#4985. 新著が出ます --- 家入 葉子・堀田 隆一 『文献学と英語史研究』 開拓社,2022年.」 ([2022-12-20-1]) で公表しましたが,来たる1月12日以降に新著『文献学と英語史研究』が発売となります.A5版,264ページ,税込3,960円です.すでに Amazon 等で予約可能となっています.

Variational Studies on Pronominal Forms in the History of English



 昨日の元日はたまたま日曜日でしたので,毎週水・日の午後6時に配信している YouTube 「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」の新作動画が夕方に公開されました.第89弾「家入葉子・堀田隆一『文献学と英語史研究』(開拓社、2023年)のご紹介 --- 言語学も同期する中心から周辺へ?」です.こちらで新著『文献学と英語史研究』を紹介していますので,ぜひご覧いただければ幸いです.



 英語史の入門書ではなく英語史研究のガイドブックという趣旨の本です.開拓社の「最新英語学・言語学シリーズ」の第21巻として,シリーズの趣旨に沿って,1980年代以降の英語史研究を振り返り,今後の英語史研究の展望を示す内容となっています.
 直近40年ほどの英語史研究を概括するといっても,コーパス言語学や社会語用論研究の興隆など多くの新機軸が続々と生じた世代ですので,厚さ1.5cmほどの今回の本ではなかなかカバーしきれません.本書では原則として伝統的な言語学の区分に従って,音韻論,綴字,形態論,統語論の分野ごとに個々の「問題」を取り上げ,その問題のどの側面が研究されてきており,どの側面が未解決なのかを整理しています.個々の問題について,なるべく多くの参考文献を付すことを心がけました.
 1例を示します.私が執筆を担当した第3章第6節「大母音推移」では,英語史上よく知られたこの問題が,この数十年間の間にどのように扱われてきて,近年はどのような位置づけにあるのかを,3ページほどの紙幅で概説しています.いくつかのポイントを示します.

 ・ 大母音推移 (gvs) は,従来考えられてきたような一枚岩の音変化ではないことが明らかとなってきており,近年の研究では「大母音推移」と括弧付きで呼ばれることが多くなってきたこと
 ・ この音変化の研究史は長いが,それは Krug (2017) によく要約されていること
 ・ 近年の最も重要な研究として Stenbrenden (2016) が挙げられること
 ・ 「大母音推移」はその前後の関連する諸々の母音変化と合わせて,全体として記述される必要があること
 ・ Ritt (2012) が,「大母音研究」にはリズム等時性や主要クラス語の固定強勢といった韻律的な観点からも考察を加える必要があると主張していること

 本書は,このように英語史上の各問題について論点を整理し,さらなる考察や調査につながる情報を提示することを目指しています.長く英語史研究のお供としていただければ嬉しく存じます.
 執筆者としてはなかなか難産の本でしたので,こうして上梓される運びとなり安堵しています.著者による新著紹介は,note のこちらのページ「新著紹介:家入 葉子・堀田 隆一『文献学と英語史研究』(開拓社,2022年)」からも逐次発信していますので,合わせてご覧ください.

 ・ 家入 葉子・堀田 隆一『文献学と英語史研究』 開拓社,2022年.

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2022-12-20 Tue

#4985. 新著が出ます --- 家入 葉子・堀田 隆一 『文献学と英語史研究』 開拓社,2022年. [notice][philology][history_of_linguistics][methodology][bunkengaku]

 京都大学の家入葉子先生と堀田の共著となる,英語史研究のハンドブック『文献学と英語史研究』が開拓社より出版されます.発売は新年の1月中旬辺りになりますが,Amazon ではすでに予約可能となっています(A5版,264ページ,税込3,960円).

Variational Studies on Pronominal Forms in the History of English



 本書は,開拓社の最新英語学・言語学シリーズ(全22巻の予定)の第21巻としての位置づけで,それ自体が変化と発展を続けるエキサイティングな分野である「英語史」と「英語文献学」の過去40年ほどの研究動向を振り返りつつ,未来への新たな方向を提案するという趣旨となっています.なお,本書の英文タイトルは Current Trends in English Philology and Historical Linguistics です.
 本書で取り上げている話題は,英語史研究の潮流と展望,資料とデータ,音韻論,綴字,形態論,統語論が主です.英語史分野で研究テーマを探すためのレファレンスとして利用できるほか,通読すれば昨今の英語史分野で何が問題とされ注目されているのかの感覚も得られると思います.本の扉にある【本書の内容】は以下の通りです.

文献資料の電子化が進んだ20世紀の終盤以降は,英語史研究においてもコーパスや各種データベースが標準的に利用されるようになり,英語文献研究は飛躍的な展開を遂げた.英語史研究と現代英語研究が合流して英語学の分野間の連携が進んだのも,この時代の特徴である.本書はこの潮流の変化を捉えながら,音韻論・綴字・形態論・統語論を中心に最新の英語史研究を紹介するとともに,研究に有用な電子的資料についても情報提供する.


 章立ては以下の通りです.章ごとに執筆者は分かれていますが,互いに原稿を交換し検討が加えられています.

 第1章 英語史研究の潮流 (執筆者:家入)
 第2章 英語史研究の資料とデータ (堀田,家入)
 第3章 音韻論・綴字 (堀田)
 第4章 形態論 (堀田)
 第5章 統語論 (家入)
 第6章 英語史研究における今後の展望にかえて (家入)


 家入先生がウェブ上ですでに本書の紹介をされていますので,リンクを張っておきます.

 ・ 研究・授業関連の投稿ページ
 ・ 「コトバと文化のフォーラム - Castlecliffe」のブログ記事

 本書については,今後 hellog や Voicy の「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」などの媒体で情報発信していく予定です.長く参照され続ける本になればと思っています.どうぞよろしくお願いいたします.

 ・ 家入 葉子・堀田 隆一 『文献学と英語史研究』 開拓社,2022年.

Referrer (Inside): [2023-01-02-1]

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2022-10-20 Thu

#4924. クジラ構文と斎藤秀三郎 [syntax][history_of_linguistics][prescriptive_grammar][comparison][adjective][adverb][english_in_japan]

 つい先日,ゼミの学生と「クジラ構文」の発祥について議論になった.そのときは,調べてみる価値があるね,おもしろそうだね,と話していた.そもそも「クジラ構文」とは,いかにも日本の英語教育(受験英語業界)に特有の jargon ぽい.ある段階で不動の地位を得たのだろうなと思っていたのだが,導入したのは斎藤秀三郎先生の Practical English Grammar (1898--99) らしい.斎藤浩一著『日本の「英文法」ができるまで』の p. 112 に次のようにあった.前後の文脈も合わせて引用する.

 つづく形容詞論,副詞論においても,従来の枠組みや形式規則群が踏襲されたうえで,これに含まれる個別表現の意味が重視された.例えば「不定」を表す certain や some, any の違いのほか,(a) few や (a) little の用法,さらには every, each, all, ever, always, since, ago, often, either, nearly, almost, still, same などの用法がその類義語と対比されるかたちで解説されたのである.
 くわえて,例えば形容詞 other の用法と連動して,'one after the other' や 'one after another' などの表現が紹介されたことに象徴されるように,個々の表現に関連するイディオムや構文も大量に体系化されることになった.この結果,現代のわれわれにとってもなじみ深い 'would rather A than B' や 'no / not more /less than' をはじめ,'A whale is no more a fish than a horse is.', 'He saves what little money he earns.' といった定番の例文も導入された


 日本の英文法史に燦然と輝くクジラ構文の登場である.
 こうしたものを「定番構文」とくくってみると,改めてその具体性に驚く.暗記すべき1つの構文として目の前に現われるので,影響力が大きいのだ.「英語の規範文法」という概念こそ18世紀イングランドからの借り物だが,それ自体は大雑把で抽象的である.それを,斎藤秀三郎流の「イディオモモロジー」という装置に流し込むと,ミンチのように細かくされ,個々の具体的な「定番構文」となって出てくる.ここまで具体的な単位に落とし込まない限り,英語を母語としない学習者にとって「規範文法」などをまともに学ぶことはできないだろう.そんな日本人学習者の心理を汲み取って斎藤秀三郎が定式化した数々の「定番構文」の最も有名なものの1つ,それが「クジラ構文」なのではないか.

 ・ 斎藤 浩一 『日本の「英文法」ができるまで』 研究社,2022年.

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2022-10-18 Tue

#4922. 形態論と統語論の区別を廃した斎藤秀三郎 [morphology][syntax][history_of_linguistics][english_in_japan]

 連日,斎藤浩一著『日本の「英文法」ができるまで』を引用・参照している.
 日本の「学習英文法」を完成させ「日本英学界の巨人」とも称される斎藤秀三郎 (1866--1929) の主著の1つに Practical English Grammar (1898--99) がある.斎藤英文法の重要な特徴の1つとして,形態論(品詞論や語形論とも)と統語論の垣根を取り払ったことがある.斎藤浩一 (110) より説明を引用する.

 まず全体に関わることとして,伝統的な「品詞(語形)論」と「統語論」の区別が撤廃されたことが注目される.すなわち彼自身の言葉を借りれば,'In learning a language so slightly inflected as English, the study of form should go hand in hand with that of meaning. There is no need of separating English Syntax from English Etymology. The student must know the use and meaning of the different forms' というのである(斎藤秀三郎 Practical English Lessons, No. 2 (Fourth Year) 訂正再版,1901年).
 つまり斎藤は,英語の形式的特性に対する考慮から,従来の体系を支配していた「縦割り」の組織を廃し,新たに「形式」 ('form') と「意味」 ('meaning') にもとづく記号の体系として横断的に文法事象を捉えていたのである.


 「#4917. 2500年に及ぶ「学習英文法」の水脈 --- 斎藤浩一(著)『日本の「英文法」ができるまで』より」 ([2022-10-13-1]) で確認したように,日本における英文法の伝統は,究極的には西洋のギリシア語やラテン語の文法論に遡る.これらの西洋古典語は屈折語であるから,その文法論は当然ながら形態論に大きく依拠するものであった.一方,近代以降の英語は屈折語としての性質を大幅に失い,主として統語論に依存する文法をもつに至っていたが,それにもかかわらず文法論は形態論に重きを置く伝統にしがみついてきたために,何ともチグハグな英文法論が築かれる始末となった.
 この点を鋭く見抜き,なんとなれば形態論と統語論の区別など無用にしてしまおうと言い放ったのが,日本人である斎藤秀三郎だったわけだ.なかなか痛快な話しではないか.

 ・ 斎藤 浩一 『日本の「英文法」ができるまで』 研究社,2022年.

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2022-10-17 Mon

#4921. Murray の英文法の9品詞論 [parts_of_speech][lowth][prescriptive_grammar][history_of_linguistics][category]

 一昨日の記事「#4919. Lowth の英文法の9品詞論」 ([2022-10-15-1]) を受けて,今回は Lindley Murray (1745--1826) の品詞論について.Murray といえば,「#2592. Lindley Murray, English Grammar」 ([2016-06-01-1]) でも取り上げた通り,Lowth などを下敷きにしつつ,18世紀規範英文法を集大成した「英文法の父」である.
 1795年に English Grammar, adapted to the different classes of learners; With an Appendix, containing Rules and Observations for Promoting Perspicuity in Speaking and Writing を出版するや爆発的な人気を誇り,その売り上げは1850年までに150万部以上を記録したという.斎藤 (42) によると,English Grammar は「日本最初の本格的な英文法書」となる渋川敬直による『英文鑑(えいぶんかがみ)』 (1840--41) の底本ともなった.
 Murray の英文法は Lowth などを引き継ぎ,9品詞論が基本となっている.斎藤 (45) より区分を示そう.

(1) 冠詞 (Article): Definite/Indefinite
(2) 名詞 (Substantive or Noun): Common/Proper
   数 (Number): Singular/Plural
   格 (Case): Nominative/Possessive/Objective
   性 (Gender): Masculine/Feminine/Neuter
(3) 形容詞 (Adjective)
   比較 (Comparison): Positive/Comparative/Superlative
(4) 代名詞 (Pronoun): Personal※1/Relative※2/Adjective※3
   ※1 人称 (Person): First/Second/Third
   ※2 Interrogative は,Relative pronoun の一部
   ※3 Adjective: Possessive/Distributive/Demonstrative/Indefinite
(5) 動詞 (Verb): Active (Transitive)/Passive/Neuter (Intransitive)
   法 (Mood or Mode):
      Indicative/Imperative/Potential/Subjunctive/Infinitive
   時制 (Tense):
      Present/Past (Imperfect)/Perfect(現在完了のこと)/Pluperfect(過去完了のこと)/First future(単純未来形のこと)/Second future(未来完了のこと)
   分詞 (Participle),助動詞 (Auxiliary or helping Verbs)
   能動態・受動態 (Active voice/Passive voice)
   規則・不規則・欠如動詞 (Regular/Irregular/Defective)
(6) 副詞 (Adverb):
   Number/Order/Place/Time/Quantity/Manner or quality/Doubt/Affirmation/Negation/Interrogation/Comparison
(7) 前置詞 (Preposition)
(8) 接続詞 (Conjunction): Copulative/Disjunctive
(9) 間投詞 (interjection)


 同じ9品詞論でも Lowth の区分との間に若干の差異がある.例えば名詞の格のカテゴリーについて,Murray は Lowth の Nominative/Possessive に加えて Objective も含めている.また,分詞について Lowth は法のカテゴリーに含めているが,Murray は動詞の1形式とみている.
 全体として Murray の9品詞論は,現代的な英文法観にまた一歩近づいているということができるだろう.

 ・ 斎藤 浩一 『日本の「英文法」ができるまで』 研究社,2022年.

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2022-10-15 Sat

#4919. Lowth の英文法の9品詞論 [parts_of_speech][lowth][prescriptive_grammar][history_of_linguistics][category]

 最も著名な18世紀の規範文法家 Robert Lowth (1710--87) とその著書 A Short Introduction to English Grammar (1762) について,hellog では「#2583. Robert Lowth, Short Introduction to English Grammar」 ([2016-05-23-1]) や lowth の各記事で取り上げてきた.昨日の記事「#4918. William Bullokar の8品詞論」 ([2022-10-14-1]) を受けて,Lowth の品詞論を確認しておこう.Lowth は9品詞を掲げている.以下,斎藤 (26--27) より.

(1) 冠詞 (Article): Definite/Indefinite
(2) 名詞 (Substantive, or Noun): Common/Proper
   数 (Number): Singular/Plural
   格 (Case): Nominative/Possessive
   性 (Gender): Masculine/Feminine/Neuter
(3) 代名詞 (Pronoun):
   Personal/Relative/Interrogative/Definitive/Distributive/Reciprocal
   ※ 人称 (Person): First/Second/Third
(4) 形容詞 (Adjective), (5) 副詞 (Adverb)
   比較 (Comparison): Positive/Comparative/Superlative
(6) 動詞 (Verb): Active (Transitive)/Passive/Neuter (Intransitive)
   法 (Mode): Indicative/Imperative/Subjunctive/Infinitive/Participle
   時制 (Tense):
      Present/Past/Future
      Present Imperfect/Present Perfect/Past Imperfect
      Past Perfect/Future Imperfect/Future Perfect
      ※ 'Imperfect' は,現代の「進行形」に相当
   助動詞 (Auxiliary),規則・不規則動詞 (Regular/Irregular)
   欠如動詞 (Defective)
(7) 前置詞 (Preposition)
(8) 接続詞 (Conjunction): Copulative/Disjunctive
(9) 間投詞 (interjection)


 Bullokar の8品詞論と比べて Lowth の9品詞論について注目すべき点は,冠詞 (Article) が加えられていること,名詞から形容詞が分化し区別されるようになっていること,分詞が動詞の配下の1区分として格下げされていることである.斎藤 (27) も述べている通り「全体として見れば,現代のわれわれにとりなじみ深い概念の多くが成立していることも事実であり,これこそ16世紀以来続いた試行錯誤の一応の到達点だった」と理解することができる.

 ・ 斎藤 浩一 『日本の「英文法」ができるまで』 研究社,2022年.

Referrer (Inside): [2022-10-17-1]

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2022-10-14 Fri

#4918. William Bullokar の8品詞論 [history_of_linguistics][latin][emode][bullokar][parts_of_speech][greek][latin]

 「#2579. 最初の英文法書 William Bullokar, Pamphlet for Grammar (1586)」 ([2016-05-19-1]) でみたように,Bullokar (c. 1530--1609) による Pamphlet for Grammar (1586) という小冊子が,英語史上初の英文法書といわれている.今回は Bullokar の品詞区分を覗いてみたい.
 まず,品詞区分について先立つ伝統を確認しておこう.古くアレクサンドリアで Dionysius Thrax (c. BC170--BC90) がギリシア語に8品詞を認めたのが出発点である.オノマ(名詞・形容詞),レーマ(動詞),メトケー(分詞),アルトロン(冠詞),アントーニュミアー(代名詞),プロテシス(前置詞),エピレーマ(副詞),シュンデスモス(接続詞)である(斎藤,p. 11).
 これを受け継いだのが,後に絶大な影響力を誇るラテン語文法を著わした Donatus (c. 300--399) である.ただしラテン語には冠詞ないので取り除かれ,間投詞が加えられた.結果として数としては8品詞にとどまっている.名詞 (nomen),代名詞 (pronomen),動詞 (verbum),副詞 (adverbium),分詞 (participium),接続詞 (coniunctio),前置詞 (praepositio),間投詞 (interiectio) である.後の Priscianus (fl. 500) もこれに従った(斎藤,pp. 14--15).
 時代は下って16世紀のイングランド.Donatus の影響のもと,1509年に出版された William Lily のラテン語文法の英訳版 Short Introduction of Grammar (1548) が一世を風靡していた.これに依拠して書かれたのが Bullokar の英文法書 Pamphlet for Grammar (1586) だったの.
 ラテン語文法の伝統を受け継いで,Bullokar は英語にも8品詞を認めた.名詞,代名詞,動詞,副詞,分詞,接続詞,前置詞,間投詞である.Bullokar (115 (22)) の原文によると次のようにある(Bullokar 特有のスペリングにも注意).

Spech may be diuyded intoo on of thæȝ eiht parts: too wit, Nown, Pronoun, Verb (declyned). Participle, Aduerb, Coniunction, Preposition, Interiection, (vn-declyned).


 つまり,8品詞の伝統は Thrax → Donatus → Lily → Bullokar とリレーしながら,1700年にわたり保持されてきたのである.そして,Bullokar の後も英文法では8品詞が受け継がれていくことになる.凄まじい伝統と継続の力だ.

 ・ 斎藤 浩一 『日本の「英文法」ができるまで』 研究社,2022年.
 ・ Bullokar, William . Bref Grammar and Pamphlet for Grammar. 『William Bullokar: Book at large, Bref Grammar and Pamphlet for Grammar. P. Gr.: Grammatica Anglicana. Edmund Coote: The English Schoole-maister』英語文献翻刻シリーズ第1巻.南雲堂,1971年.pp. 107--64.

Referrer (Inside): [2022-10-15-1]

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2022-10-13 Thu

#4917. 2500年に及ぶ「学習英文法」の水脈 --- 斎藤浩一(著)『日本の「英文法」ができるまで』より [prescriptive_grammar][lowth][history_of_linguistics][greek][latin][elt][review][english_in_japan]

 今年5月に研究社より出版された斎藤浩一(著)『日本の「英文法」ができるまで』を読んだ.古代のギリシア語文法から始まり,ラテン語文法に受け継がれ,西洋諸言語に展開し,幕末・明治期に日本にやってきた,2500年に及ぶ(英)文法研究の流れを一望できる好著である.

斎藤 浩一 『日本の「英文法」ができるまで』 研究社,2022年.

Saito-Grammar_front_cover.jpg



 本書第1章の最初のページに「日本の「学習英文法」には,じつに2500年余りにも及ぶ長大な言語分析の伝統が盛り込まれている」 (p. 8) とあり,次のような見取り図が示されている.あまりに適切で,核心を突いており,分かりやすくて感動してしまった.

【古代】ギリシア語文法
  ≪ローマ帝国,カトリック教会の興隆≫
【(古代~)中世】ラテン語文法
  ≪宗教改革≫
【16~18世紀】英文法
  ≪19世紀イギリスのアジア進出≫
【19~20世紀】日本の「学習英文法」


 ≪ ≫に囲まれている語句は,時代を動かした「媒介項」を表わしているという.英文法史のエッセンスを,ここまで端的に(7行で!)大づかみにした図はみたことがない.見事な要約力.
 古代ギリシア語文法からラテン語文法を経て,初期近代のヴァナキュラーとしての英文法を模索する時代に至るまでの歴史(日本における「学習英文法」に注目する本書の観点からみると「前史」)については,hellog でも様々に記事を書いてきた.とりわけ古典語との関連では,次のような話題を提供してきたので,関心のある方はぜひ以下をどうぞ.

 ・ 「#664. littera, figura, potestas」 ([2011-02-20-1])
 ・ 「#892. 文法の父 Dionysius Thrax の形態論」 ([2011-10-06-1])
 ・ 「#1256. 西洋の品詞分類の歴史」 ([2012-10-04-1])
 ・ 「#1257. なぜ「対格」が "accusative case" なのか」 ([2012-10-05-1])
 ・ 「#1258. なぜ「他動詞」が "transitive verb" なのか」 ([2012-10-06-1])

 本書では,英語学史の奥深さを堪能することができる.昨今,近代英語期に関しては英語史と英語学史の研究の融合も起こってきているので,ぜひこのトレンドをつかみたいところ.

 ・ 斎藤 浩一 『日本の「英文法」ができるまで』 研究社,2022年.

Referrer (Inside): [2022-11-16-1] [2022-10-18-1]

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2022-08-25 Thu

#4868. 英語の意味を分析する様々なアプローチ --- 通信スクーリング「英語学」 Day 4 [english_linguistics][semantics][prototype][metaphor][metonymy][cognitive_linguistics][polysemy][voicy][2022_summer_schooling_english_linguistics][history_of_linguistics][lexicology][semantic_field]

 言葉の意味とは何か? 言語学者や哲学者を悩ませ続けてきた問題です.音声や形態は耳に聞こえたり目に見えたりする具体物で,分析しやすいのですが,意味は頭のなかに収まっている抽象物で,容易に分析できません.言語は意味を伝え合う道具だとすれば,意味こそを最も深く理解したいところですが,意味の研究(=意味論 (semantics))は言語学史のなかでも最も立ち後れています(cf. 「#1686. 言語学的意味論の略史」 ([2013-12-08-1])).
 しかし,昨今,意味を巡る探究は急速に深まってきています(cf. 「#4697. よくぞ言語学に戻ってきた意味研究!」 ([2022-03-07-1])).意味論には様々なアプローチがありますが,大きく伝統的意味論と認知意味論があります.スクーリングの Day 4 では,両者の概要を学びます.



1. 意味とは何か?
  1.1 「#1782. 意味の意味」 ([2014-03-14-1])
  1.2 「#2795. 「意味=指示対象」説の問題点」 ([2016-12-21-1])
  1.3 「#2794. 「意味=定義」説の問題点」 ([2016-12-20-1])
  1.4 「#1990. 様々な種類の意味」 ([2014-10-08-1])
  1.5 「#2278. 意味の曖昧性」 ([2015-07-23-1])
2. 伝統的意味論
  2.1 「#1968. 語の意味の成分分析」 ([2014-09-16-1])
  2.2 「#1800. 様々な反対語」 ([2014-04-01-1])
  2.3 「#1962. 概念階層」 ([2014-09-10-1])
  2.4 「#4667. 可算名詞と不可算名詞とは何なのか? --- 語彙意味論による分析」 ([2022-02-05-1])
  2.5 「#4863. 動詞の意味を分析する3つの観点」 ([2022-08-20-1])
3. 認知意味論
  3.1 「#1961. 基本レベル範疇」 ([2014-09-09-1])
  3.2 「#1964. プロトタイプ」 ([2014-09-12-1])
  3.3 「#1957. 伝統的意味論と認知意味論における概念」 ([2014-09-05-1])
  3.4 「#2406. metonymy」 ([2015-11-28-1])
  3.5 「#2496. metaphor と metonymy」 ([2016-02-26-1])
  3.6 「#2548. 概念メタファー」 ([2016-04-18-1])
4. 本日の復習は heldio 「#451. 意味といっても様々な意味がある」,およびこちらの記事セットより




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2022-04-29 Fri

#4750. 社会言語学の3つのパラダイム [sociolinguistics][history_of_linguistics][language_change]

 社会言語学 (sociolinguistics) と一口にいっても,幅広い領域なので研究内容は多岐にわたる.「#2545. Wardhaugh の社会言語学概説書の目次」 ([2016-04-15-1]) を眺めるだけでも,扱っている問題の多様性がうかがえるだろう.
 社会言語学を研究対象となる現象の規模という観点からざっくり2区分すると,「#1380. micro-sociolinguistics と macro-sociolinguistics」 ([2013-02-05-1]) でみた通りになる.一方,学史的な観点を踏まえると,社会言語学では大きく3つのパラダイムが発展してきたので,3区分することも可能だ.以下は,Dittmar による3区分に依拠した Nevalainen and Raumolin-Brunberg (18) の表である.社会言語学の見取り図として有用だ.

Paradigm/DimensionSociology of languageSocial dialectologyInteractional sociolinguistics
Object of study* status and function of languages and language varieties in speech communities* variation in grammar and phonology
* linguistic variation in discourse
* speaker attitudes
* interactive construction and organization of discourse
Mode of inquiry* domain-specific use of languages and varieties of language* correlating linguistic and sociological categoriesorganization of discourse as social interaction
Fieldwork* questionnaire
* interview
* sociolinguistic interview
* participant observation
* documentation of linguistic and non-linguistic interaction in different contexts
Describing* the norms and patterns of language use in domain-specific conditions* the linguistic system in relation to external factors* co-operative rules for organization of discourse
Explaining* differences of and changes in status and function of languages and language varieties* social dynamics of language varieties in speech communities
* language change
* communicative competence; verbal and nonverbal input in goal-oriented interaction


 "Sociology of language", "Social dialectology", "Interactional sociolinguistics" の3つのパラダイムは,それぞれ Joshua Fishman, William Labov, John Gumperz という著名な研究者と結びついている.
 近年,英語史研究においても言語変化に関する社会言語学の洞察と方法論が導入され,「英語歴史社会言語学」という新領域の人気が急上昇している.ただし,英語史研究で注目されている社会言語学のパラダイムは,言語変化 (language_change) を扱う "Social dialectology" に限定されていることに注意.関連して「#4700. 英語史と社会言語学」 ([2022-03-10-1]) も参照.

 ・ Nevalainen, Terttu and Helena Raumolin-Brunberg. Historical Sociolinguistics: Language Change in Tudor and Stuart England. 2nd ed. Abingdon: Routledge, 2017.
 ・ Dittmar, Norbert. Grundlagen der Soziolinguistik. Tübingen: Max Niemeyer, 1997.

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2022-04-21 Thu

#4742. Oxford Bibliographies による統語変化研究の概要 [hel_education][history_of_linguistics][bibliography][syntax][grammaticalisation][generative_grammar][language_change]

 分野別に整理された書誌を専門家が定期的にアップデートしつつ紹介してくれる Oxford Bibliographies より,"Syntactic Change" の項目を参照してみた(すべてを読むにはサブスクライブが必要).Acrisio Pires と David Lightfoot による選書で,最終更新は2013年,最終レビューは2017年となっている(そろそろ更新されないかと期待したい).  *
 英語史の分野では統語変化研究が非常に盛んであり,我が国でも先達のおかげで英語統語論の史的研究はよく進んでいる.しかし,学史を振り返ってみると,統語変化研究の隆盛は20世紀後半以降の現象といってよく,それ以前は音韻論や形態論の研究が主流だった.1950--60年代の生成文法の登場と,それに触発されたさまざまな統語研究のブームにより,英語史の分野でも統語への関心が高まってきたのである.21世紀に入ってからは,とりわけ文法化 (grammaticalisation) が注目され,統語変化研究は新局面に突入した.上記の "Syntactic Change" の項のイントロダクションより引用する.

Linguistics began in the 19th century as a historical science, asking how languages came to be the way they are. Almost all of the work dealt with the changing pronunciation of words and "sound change" more broadly. Much attention was paid to explaining why sounds changed the way they did, and that involved developing ideas about directionality. Work on syntax was limited to compiling how different languages expressed clause types differently, notably Vergleichende Syntax der Indogermanischen Sprachen, by Berthold Delbrück. With the greatly increased attention to syntax in the latter half of the 20th century, approaches to syntactic change were enriched significantly. Most of the work on change, both generative and nongenerative, continued the 19th-century search for an inherent directionality to language change, now in the domain of syntax, but other approaches were developed seeking to understand new syntactic systems arising through the contingent conditions of language acquisition.


 Oxford Bibliographies からの話題としては,「#4631. Oxford Bibliographies による意味・語用変化研究の概要」 ([2021-12-31-1]) と「#4634. Oxford Bibliographies による英語史研究の歴史」 ([2022-01-03-1]) も参照.

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2022-03-31 Thu

#4721. 構造主義言語学とは? [structuralism][history_of_linguistics][terminology][saussure][heldio]

 1ヶ月ほど前に始めた「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」も,週2回のペースを守りつつ,昨日第10回を迎えることができました.視聴者の皆さん,ありがとうございます.
 その昨日の第10回は,これまでに比べてかなり硬派といえば硬派な話題です.「ゲンゴガクシ」についてです.言語学史 (history_of_linguistics) は,言葉に関心のあるすべての人にとって実はかなりおもしろい分野なのですが,それを分かりやすく説明するのは簡単ではありません.
 収録を通じて,言語学そのもの以上に言語学史に深い関心を抱くと互いに知った2人が,20世紀前半の学界の潮流を決定づけた構造主義言語学 (structural linguistics) について話しをしてみました.構造主義は歴史言語学を敵に回したか!?ー言語学理論のおもしろさ【井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル # 10 】をご視聴ください.



 構造主義言語学とは何か? 私にはとうてい端的に説明できる自信がないので,イヴィッチの言語学史の概説 (81--82) に頼りたいと思います.

 構造主義言語学の時代は,ヨーロッパとアメリカで共に1930年の少し前に始まった.
  他の学問分野においてもそうであるが,言語学における構造主義はまず第一に既知の事実に対する新しい見方を意味している.即ち,既知の事実が体系の中で機能している点に注目して検討を加える見方である.同時にこの構造主義的な見方は,言語の社会的な(つまりコミュニケーションの)機能の強調,歴史的現象と或一時点における一言語体系の諸特徴との明確な区別をも伴うものである.
 この時代の先駆者はそれ以前に,ある者は早くも19世紀に,そこかしこに現れていた.しかしこれらの孤立した試みはその時代の人々の注意をひくことはなかった.真に人々の耳をそばだたせ,今日なお鳴り響いている最初の声を発したのはフェルディナン・ドゥ・ソシュール Ferdinand de Saussure であった.ドゥ・ソシュールが初めて言語学における新しい思想によってその時代の人々に強い影響を与えたことと,その直接の影響下になかった人々さえも彼の思想の根底にあるのと同一の理論的基盤から出発したことによって,ドゥ・ソシュールは今では構造主義言語学の創始者と見なされている.
 構造主義言語学のイロハともいえるドゥ・ソシュールの基本的言語学説は,以下のようなものである.
 言語は体系であり,体系として研究すべきである:個々の事実を単独に取り上げるのではなく,常に全体として見るべきである.且つ細かい事柄の一つ一つは体系の中での位置によって規定されるということを考慮に入れるべきである.
 言語はまず第一に相互理解の目的を果たす社会的現象であり,そのようなものとして研究すべきである:音と意味との相互関係は,コミュニケーション過程において決定的な重要性を持つので,常にこれを念頭に置くべきである.
 言語の発展と言語の実現されている[一時点の]状態とは,根本的に異る別の現象である.従って,方法論の点から見て,言語の現在の状態を解釈する時に歴史的な規準を持ち込むことは許されない.
 他の学問分野と同様に,言語学においても構造主義は不変のもの invariants の探究,余情な redundant 現象と関与的な relevant 現象を分離しようとする努力,を含んでいる.
 構造主義言語学の信奉者たちはすべて,客観的な分析基準(メンタリスティックな規準の入る余地をなくすようなもの)を見出そうと希求している.


 イヴィッチの説明はさらに延々と続くのですが,この辺りで止めておきましょう.
 YouTube 動画内でも述べた通り,私にとって構造主義言語学とは「マトリックス思考」です.今朝の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) でも「構造主義言語学とはマトリックス思考である」と題してしゃべっていますので,よろしければどうぞ.



 ・ ミルカ・イヴィッチ 著,早田 輝洋・井上 史雄 訳 『言語学の流れ』 みすず書房,1974年.

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2022-03-18 Fri

#4708. 世界英語の静的モデルの形成 --- Strang, Quirk et al., Kachru [world_englishes][model_of_englishes][dynamic_model][history_of_linguistics]

 世界英語 (world_englishes) のモデル化 (model_of_englishes) の歴史は,優に半世紀を超える.もっともよく参照されている図式は,Quirk et al. による ENL (English as a Native Language), ESL (English as a Second Language), EFL (English as a Foreign Language) の3区分モデルといってよいだろう(「#173. ENL, ESL, EFL の話者人口」 ([2009-10-17-1]) を参照).
 それを受けて,Kachru が新たな解釈を加え,批判的に "Three Circles" のモデルを唱えたこともよく知られている.Quirk et al. のものとそっくりの同心円ではあるが,それぞれを Inner Circle, Outer Circle, Expanding Circle と呼び変えたのである.各サークルが規範に対してどのような立場にあるかという観点から,それぞれを norm-providing, norm-developing, norm-dependent とみなした点に新しさがあった(「#217. 英語話者の同心円モデル」 ([2009-11-30-1]),「#222. 英語話者の同心円モデル (2)」 ([2009-12-05-1]) を参照).
 これらの最初期の世界英語モデルは,まずもって分かりやすく,広く受け入れられるに至ったが,その一方で「#4472. ENL, ESL, EFL という区分の問題点」 ([2021-07-25-1]) でみたように,しばしば批判にもさらされてきた.近年は Quirk et al. と Kachru のあまりに静的なモデルに飽き足りず,より動的なモデルが提案されてきている.これについては「#4497. ポストコロニアル英語変種に関する Schneider の Dynamic Model」 ([2021-08-19-1]) を参照されたい.
 さて,当初の静的なモデルは,上に述べたように Quirk et al. が提案し,それに Kachru が批判的に反応したという経緯で知られるようになったものと認識していたが,Percillier (6) によると,学史としては Quirk et al. の前段階に Strang の提案があったようだ.これは知らなかった.

   One such earlier model is the ENL-ESL-EFL model. The abbreviations used in the name of this model refer to the categories English as a Native Language, English as a Second Language, and English as Foreign Language (sic) respectively. These labels were coined by Quirk et al. (1972: 3--4) and describe three types of English based on the function of the language in a given country or territory. The idea of this categorisation goes back to Strang (1970: 17--18), who uses the labels A-speakers, B-speakers, and C-speakers. In this context, Strang also argues that A- and B-speakers develop their own local norms, whereas C-speakers rely on the standard of one of the major English-speaking communities (1970: 18--19). In their relabelling of Strang's suggestion, Quirk et al. (1972) do not mention this latter point, which has led to a general interpretation of the ENL-ESL-EFL model as implying ENL norms.
   A further model, the Three Circles model (Kachru 1985), also referred to as the Kachruvian Circles, draws a similar distinction into Inner, Outer, and Expanding Circles of English (henceforth, InnerC, OuterC, and ExpandingC), the difference being that the distribution of varieties of English around the world is described without implying that non-native forms are in any way deficient in comparison to native forms. Further, Kachru (1985: 16--17) describes the InnerC as norm-providing, the OuterC as norm-developing, and the ExpandingC as norm-dependent, the latter meaning that without norms of its own, the ExpandingC follows norms from the InnerC. In excluding the OuterC from the norm-dependent category, Kachru picks up on the point made by Strang (1970: 18--19) which was excluded by Quirk et al. (1972). This represents a break from the approach implicit in the ENL-ESL-EFL model, in which only the InnerC could be seen as a "norm maker", and the OuterC/ExpandingC as "norm breakers" (Kachru 1985: 17).


 すると,学史的には以下のような関係だったということになる.これはなかなか意味深長である.

                             +-----> Quirk et al. (1972) -----+
                             |                                |
                             |                                v
          Strang (1970) -----+-------------------------------->-----> Kachru (1985) 

 ・ Quirk, Randolph, Sidney Greenbaum, Geoffrey Leech, and Jan Svartvik. A Grammar of Contemporary English. London: Longman, 1972.
 ・ Kachru, B. B. "Standards, Codification and Sociolinguistic Realism: The English Language in the Outer Circle." English in the World. Ed. R. Quirk and H. G. Widdowson. Cambridge: CUP, 1985. 11--30.
 ・ Percillier, Michael. "Adapting the Dynamic Model to Historical Linguistics: Case Studies on the Middle English and Anglo-Norman Contact Situation." Chapter 2 of English Historical Linguistics: Historical English in Contact. Ed. Bettelou Los, Chris Cummins, Lisa Gotthard, Alpo Honkapohja, and Benjamin Molineaux. Amsterdam: Benjamins, 2022. 5--33.
 ・ Strang, Barbara M. H. A History of English. London: Methuen, 1970.

Referrer (Inside): [2022-03-19-1]

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2022-03-10 Thu

#4700. 英語史と社会言語学 [youtube][sociolinguistics][pragmatics][history_of_linguistics][variation]

 昨日,井上逸兵さんとの YouTube の第4弾が公開されました.pleaseの使いすぎはキケン!?ーコミュニケーションの社会言語学【井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル #4 】と題するおしゃべりですが社会言語学 (sociolinguistics) という分野について概観してみました.



 社会言語学は井上氏と私が関心を共有する分野です.そもそも英語史研究は伝統的に,扱う時代の社会的・文化的な背景を考慮するのが一般的です.言語と社会の関係を考察する社会言語学とは本質的に相性がよいのです.20世紀後半より社会言語学が理論的に成熟してくると,英語史研究もその成果を取り込み,新たな可能性が開かれてきました.とりわけ言語項の社会的な変異の存在を前提とする "variationist" な言語観は,社会言語学から生み出されたもので,昨今の英語史研究でも一般的に採用されています.
 社会言語学の取り上げる話題は多岐にわたります.「#2545. Wardhaugh の社会言語学概説書の目次」 ([2016-04-15-1]) などを概観すると,カバーする範囲の広さが分かると思います.言語と方言,標準化,地域方言,社会方言,レジスター,リンガ・フランカ,ピジン語,クレオール語,ダイグロシア,2言語使用,多言語使用,コードスイッチング,アコモデーション,言語変化,サピア=ウォーフの仮説,プロトタイプ,タブー,婉曲表現,おしゃべり,呼称,ポライトネス,発話行為,協調の原理,ジェンダー,言語差別,言語権,言語計画など,キーワードを挙げ始めると止まりません.英語史でも,これらの各々を念頭において研究することが可能です.
 今回の YouTube では,ミクロとマクロの社会言語学に触れました.ミクロな社会言語学では,例えば典型的に2人の間の相互行為 (interaction) に注目するようなアプローチが取られます.語用論にも接近することが多いです.一方,マクロな社会言語学では,2人にとどまらず言語共同体というより大きな単位で言語と社会の関係をとらえようとします.しかし,井上氏も私も,両者は地続きだという考え方をしています.
 社会言語学のミクロとマクロについては,以下の記事も参照してください.

 ・ 「#1380. micro-sociolinguistics と macro-sociolinguistics」 ([2013-02-05-1])
 ・ 「#1623. セネガルの多言語市場 --- マクロとミクロの社会言語学」 ([2013-10-06-1])
 ・ 「#2005. 話者不在の言語(変化)論への警鐘」 ([2014-10-23-1])
 ・ 「#3204. 歴史社会言語学と歴史語用論の合流」 ([2018-02-03-1])

 社会言語学に関心をもった方は,ぜひ「#1480. (英語)社会言語学概説書の書誌」 ([2013-05-16-1]) よりいずれかの概説書を手に取ってみてください.

Referrer (Inside): [2022-04-29-1]

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2022-03-07 Mon

#4697. よくぞ言語学に戻ってきた意味研究! [history_of_linguistics][semantics][youtube][cognitive_linguistics][pragmatics]

 昨日,井上逸兵さんとの YouTube の第3弾が公開されました.今回は井上編です.いかにして若き井上青年は言語に関心をもったのか? 必殺営業トークは言語学のネタになるのか?!・「英語学への入り口(井上編)」をご覧ください.



 今回のおしゃべりのキーワードは「意味の復権」だと思っています.言語やコミュニケーションの要諦は,意味を伝え合うことのはずです.ところが,近代言語学においては意味の研究は避けられきたのです.発音や文字は耳に聞こえ目に見えるので調べようがあります.ところが,意味はどうにも捉えどころがないので,研究したいとしても方法がなく,後回しになってしまうのです.
 言語学の歴史をひもとくと,やはり意味の扱いは常に弱かったことが分かります.しかし,言語にとって本質的である「意味」の議論がなくなったら,言語学もおしまいのはずです.ですので,低調ではあれ,やはり意味の議論は続いていました.「#1686. 言語学的意味論の略史」 ([2013-12-08-1]) を読んでいただきたいのですが,低調ながらも,形に対する意味の側からの主張は抵抗は,確かに存在し続けました.
 その我慢の結果といってよいのでしょうか,アンチの台頭といってよいのでしょうか,ついに1970年代くらいから,形ではなく意味を本拠とする言語理論が次々と現われてきました.認知意味論 (cognitive_linguistics) や語用論 (pragmatics) といった,新しいタイプの意味論 (semantics) です.こうして,意味研究が復権してきました.
 「意味論」は英語で semantics と言います.複数形の -s が語尾についています.私は常々思うのですが,19世紀以来,低調ながらも様々な「意味論s」が生まれてきたわけですが,古い意味論の上に新しい意味論が乗っかって累積してきたという形での発展というよりは,古い意味論と新しい意味論が横並びになって発展してきたように思うのです.文字通りの複数形の「意味論s」です.
 こうして意味研究が言語学に(よくぞ)戻ってきたわけですが,私の趣味としては,様々な「意味論s」が併存していることが非常におもしろいなぁと思って眺めています.

Referrer (Inside): [2022-08-25-1]

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2022-02-23 Wed

#4685. Campbell による glottochronology 批判 [glottochronology][history_of_linguistics][comparative_linguistics][methodology]

 アメリカの言語学者 Swadesh により提唱された glottochronology (言語年代学)については,「#1128. glottochronology」 ([2012-05-29-1]),「#1729. glottochronology 再訪」 ([2014-01-20-1]),「#2659. glottochronology と lexicostatistics」 ([2016-08-07-1]),「#2660. glottochronology と基本語彙」 ([2016-08-08-1]),「#2661. Swadesh (1952) の選んだ言語年代学用の200語」 ([2016-08-09-1]) をはじめとして glottochronology の各記事で取り上げてきた.
 個別言語の基本語彙はゆっくりではあるが一定の速度で置き換えられていくという仮説に基づく歴史言語研究の方法論だが,言語学の主流派からは手厳しい非難を浴びており,すでに過去の仮説とみなされることも多い.様々な批判があるが,今回は短いながらも的確な Campbell の議論 (264) に耳を傾けてみよう.実に手厳しい.

Glottochronology, which depends on basic, relatively culture-free vocabulary, has been rejected by most linguists, since all its basic assumptions have been challenged . . . . Therefore, it warrants little discussion here; suffice it to say that it does not find or test relationships, but rather it assumes that the languages compared are related and proceeds to attach a date based on the number of core-vocabulary words that are similar between the languages compared. This, then, is no method for determining whether languages are related or not.
   A question about lexical evidence in long-range relationships has to do with the loss or replacement of vocabulary over time. It is commonly believed that "comparable lexemes must inevitably diminish to near the vanishing point the deeper one goes in comparing remotely related languages" . . . , and this does not depend on glottochronology's assumption of a constant rate of basic vocabulary loss through time and across languages. In principle, related languages long separated may undergo so much vocabulary replacement that insufficient shared original vocabulary will remain for an ancient shared kinship to be detected. This constitutes a serious problem for those who believe in deep relationships supported solely by lexical evidence.


 ・ Campbell, Lyle. "How to Show Languages are Related: Methods for Distant Genetic Relationship." Handbook of Historical Linguistics. Ed. Brian D. Joseph and Richard D. Janda. Oxford: Blackwell, 262--82.

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2022-02-06 Sun

#4668. Lowth と Priestley --- 2人の規範文法家の本当の関係 [prescriptivism][prescriptive_grammar][lowth][priestley][history_of_linguistics][lmode]

 今世紀に入ってから,従来の英語史では盤石な定説とされていた「18世紀=規範主義の時代」が相対化されるようになってきた.「18世紀=規範主義の時代」という全体的な理解は変わらないが,当時の規範文法家たちの態度は,部分的には記述的な側面がかなりあったし,お互いの間に温度差もあった,といった具合に再評価が進んできたのである.この傾向については「#2815. 18世紀の規範主義の再評価について (1)」 ([2017-01-10-1]),「#2816. 18世紀の規範主義の再評価について (2)」 ([2017-01-11-1]) で触れた.
 伝統的には,Robert Lowth (1710--1787) は A Short Introduction to English Grammar (1762) で強い規範的な態度を示したのに対して,ライバル関係にあった Joseph Priestley (1733--1804) は The Rudiments of English Grammar; Adapted to the Use of Schools with Observations on Style (1761) で穏健で記述的な態度を示したとして対比されるのが常だった.
 しかし,先行研究を参照した山本 (100) によると「記述文法家に近い言語観を有していたとされる Priestley も,初版では,prescriptive comment はわずか 22 comments だけであったが,第2版では,238 comments,10倍以上の増加が確認されている」という.Lowth の成功を目の当たりにして,焦った Priestley が強めの規範文法家に転身した,という風にも見える.一般に「ライバル関係」にあったと言われるが,実は Priestley が Lowth を勝手にライバル視していたということのようだ(山本,p. 98).
 いくつかの文法項目を取り上げて Lowth と Priestley の扱いを比較対照した後,山本 (108) は次のように締めくくっている.

Lowth と Priestly が執筆した文法書は,ともに規範的であり,記述的であったことは言うまでもないが〔中略〕,規範的な姿勢については,相対的なものであることが確認された.彼らの文法書は,文法項目によって異なる規範が適用されていただけでなく,その規範は時に積極的に,時には消極的であったことを本稿では提示した.Lowth は,関係代名詞の省略について,明確性の欠如の観点から推奨されない,つまり強い規範的態度を示し,Priestley は関係代名詞 that の使用について,Lowth よりも更に強い規範的立場をとっていた.動名詞については,両者ともに積極的に規範的なコメントを発しているが,二重比較に対しては,Lowth は,規範的立場を,Priestley は,記述的立場をそれぞれとった.このように,Lowth と Priestley の文法書には,各文法項目に対して more proscriptive か more descriptive か,だけではなく,more proscriptive か less proscriptive といったより詳細な態度まで反映されていた.18世紀の規範文法書の研究の興味深さの1つは,各文法家の言語観の微妙な相違を探求することにあると言える.


 ・ 山本 史歩子 「2人の規範文法家:Robert Lowth と Joseph Priestley」『青山学院大学 教育人間科学部紀要』第10号,2019年,93--111頁.

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2022-01-28 Fri

#4659. ソシュールによる言語学の3つの目標 [linguistics][history_of_linguistics][saussure]

 壮大なタイトルの記事を掲げてしまったが,これはあくまで壮大な言語学者である Saussure (1857--1913) の言葉 (6) .昨日も引用した The Routledge Linguistics Encyclopedia (3rd ed.) からの孫引き,しかも英訳で失礼するが,次の通り (xxxvii) .

1. to describe all known languages and record their history (this involves tracing the history of language families and, as far as possible, reconstructing the parent languages of each family);
2. to determine the forces operating permanently and universally in all languages, and to formulate general laws which account for all particular linguistic phenomena historically attested;
3. to delimit and define linguistic itself.


 要するに,共時態も通時態も含め言語のあらゆる側面について「記述」「理論」「メタ」の3点から攻めよ,ということと理解した.
 3つめの点などは本当に鋭い.どこからどこまでが言語学の範疇なのか,という問いである.言語学の自立性という問題にも通じるが,約1世紀後の議論を先取りするようなことを指摘している(というよりも最重要課題の1つとして挙げているのだから驚く).ソシュールが記号論的な視野をもって言語を眺めていたことがよく分かる.

 ・ Saussure, F. de. Course in General Linguistics. Trans. W. Baskin. London: Fontana/Collins, 1983. (First edition published 1916).
 ・ Malmkjær, Kirsten, ed. The Routledge Linguistics Encyclopedia. 3rd ed. London and New York: Routledge, 2010.

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2022-01-27 Thu

#4658. 20世紀の言語学の3段階 [linguistics][history_of_linguistics]

 The Routledge Linguistics Encyclopedia の序章 (xxv) に,20世紀以降,この約100年間の欧米における言語学の発展の図式が記されていた.3つの段階に分けられている.その区分を示そう.

Phase 1: The emergence of modern linguistics (1911--33)
1911 Saussure's third (final) lecture series in Geneva
       Boas's 'Introduction' to Handbook of American Indian Languages
1912 Daniel Jones becomes Head of Department of Phonetics, University of London
1913 Death of Saussure (1857--1913)
1914 Bloomfield's Introduction to the Study of Language
1916 Saussure's Cours de linguistique géenerale
1921 Sapir's Language
1924 Linguistic Society of America founded
1925 First volume of the journal, Language
1928 First International Congress of Linguists (The Hague)
1932 First International Congress of Phonetic Sciences (Amsterdam)
1933 Bloomfield's Language

Phrase 2: A time of transition (c. 19025--60)
1923 Malinowski's 'The problem of meaning in primitive languages'
1926 Linguistic Circle of Prague founded
1938 Death of Trubezkoy (1890--1938)
1939 Trubetzkoy's Grndzüge der Phonologie
       Death of Sapir (1884--1939)
1941 Death of Whorf (1897--1941)
1942 Death of Boas (1858--1942)
1944 J.R. Firth becomes Professor of General Linguistics, University of London
1949 Death of Bloomfield (1887--1949)
1951 Harris's Methods in Structural Linguistics
1953 Weinreich's Languages in Contact
1956 Jacobson and Halle's Fundamentals of Language
1957 Chomsky's Syntactic Structures

Phrase 3: The expansion and diversification of linguistics (since 1960)
1961 Halliday's 'Categories of the theory of grammar'
1963 Greenberg's Universals of Language
1964 Chomsky's Aspects of the Theory of syntax
1966 Labov's The Social Stratification of English in New York City
1973 Halliday's Explorations in the Functions of Language
1981 Chomsky's Lectures on Government and Binding
1985 Halliday's Introduction to functional Grammar
1986 Chomsky's Knowledge of Language
1995 Chomsky's The Minimalist Program


 第1期は,ソシュールの影響力のもとに,欧米が曲がりなりにも歩調を揃えながら共時的・構造主義的言語学を確立させた時代.第2期は,欧米の間で異なる方向に言語学が発展していった時代.第3期は,言語学の観点が多様化を遂げた時代と要約できるだろう.

 ・ Malmkjær, Kirsten, ed. The Routledge Linguistics Encyclopedia. 3rd ed. London and New York: Routledge, 2010.

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2022-01-16 Sun

#4647. 言語とジェンダーを巡る研究の動向 [gender][gender_difference][sociolinguistics][history_of_linguistics][hellog_entry_set][variation][anthropology]

 本ブログでは主に社会言語学の観点から言語とジェンダーの問題を様々に取り上げてきた.gendergender_difference の各記事,とりわけ私が厳選した「言語と性」に関する記事セットを参照されたい.
 言語とジェンダーを巡る研究は,言語使用の男女差という問題にとどまらない.むしろ,男女差の問題は昨今は流行らなくなってきている.言語におけるジェンダーは,初期の研究で前提とされてきたように固定的な属性ではなく,むしろ動的な属性であるととらえられるようになってきたことが背景にある.Swann et al. からの引用 (165--66) により,現代の研究の動向をつかんでおきたい.

language and gender The relationship between language and gender has long been of interest within SOCIOLINGUISTICS and related disciplines. Early twentieth-century studies in LINGUISTIC ANTHROPOLOGY looked at differences between women's and men's speech across a range of languages, in many cases identifying distinct female and male language forms (although at this point language and gender did not exist as a distinct research area). GENDER has also been a SOCIAL VARIABLE in studies of LANGUAGE VARIATION carried out since the 1960s, a frequent finding in this case being that, among speakers from similar social class backgrounds, women tend to use more standard or prestige language features and men more vernacular language features. There has been an interest, within INTERACTIONAL SOCIOLINGUISTICS, in female and male interactional styles. Some studies have suggested that women tend to use more supportive or co-operative styles and men more competitive styles, leading to male DOMINANCE of mixed-gender talk. Feminist researchers, in particular, have also been interested in SEXISM, or sexist bias, in language.
   Studies that focus simply on gender differences have been criticised by feminist researchers for emphasising difference (rather than similarity); seeing male speech as the norm and female speech as deviant; providing inadequate and often stereotypical interpretations of WOMEN'S LANGUAGE; and ignoring difference in POWER between female and male speakers.
   More recently (and particularly in studies carried out since the late 1980s and 1990s) gender has been reconceptualised to a significant extent. It is seen as a less 'fixed' and unitary phenomenon than hitherto, with studies emphasising, or at least acknowledging, considerable diversity among female and male speakers, as well as the importance of CONTEXT in determining how people use language. Within this approach, gender is also seen less as an attribute that affects language use and more as something that is performed (or negotiated and perhaps contested) in interactions . . . .


 前世紀末以降,ジェンダーによる言語使用の差異というよりも,言語によるジェンダーの生成過程のほうに研究の関心が移ってきた,と要約できるだろう.構造主義からポスト構造主義への流れ,とも表現できる.

 ・ Swann, Joan, Ana Deumert, Theresa Lillis, and Rajend Mesthrie, eds. A Dictionary of Sociolinguistics. Tuscaloosa: U of Alabama P, 2004.

Referrer (Inside): [2022-01-17-1]

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