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preterite-present_verb - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2019-01-16 06:55

2018-11-30 Fri

#3504. 助動詞の NICE features [auxiliary_verb][preterite-present_verb][syntax]

 be, do, have などの1次助動詞はもとより may, must, can, will, shall, ought (to), need, dare, used to などの法助動詞も含めたすべての助動詞には,共通する4つの統語・形態・音韻的特徴がある.頭文字をとって NICE features と称される.Coates (1983: 4) を参照している Gramley (186) より引用しよう.

N direct Negation (should > shouldn't)
I Inversion in questions (I will > Will I?)
C Code or reduced forms (I may go > so may you, i.e. without repeating the main verb go)
E Emphatic affirmation (Must we run? Yes, we múst)


 統語的にはほかにも,伝統的な助動詞は後ろに to 不定詞を従えないという特徴もある.
 形態的にも類似点が多い.may, can, will, shall からは,新しい弱変化過去形が作られてきたという共通点がある (cf. 「#66. 過去現在動詞」 ([2009-07-03-1])).また,いずれも不定詞,現在分詞,過去分詞の形態を欠いている.
 意味的には多種多様ではあるが,話者の態度や判断,いわゆる modality に関わるものが多い.

 ・ Gramley, Stephan. The History of English: An Introduction. Abingdon: Routledge, 2012.
 ・ Coates, J. The Semantics of the Modal Auxiliaries. London: Croom Helm, 1983.

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2017-11-26 Sun

#3135. -ed の起源 [suffix][preterite][participle][germanic][indo-european][verb][inflection][etymology][reduplication][gothic][grammaticalisation][preterite-present_verb][degemination]

 現代英語における動詞の過去(分詞)形を作る接尾辞 -ed は "dental suffix" とも呼ばれ,その付加はゲルマン語に特有の形態過程である(「#182. ゲルマン語派の特徴」 ([2009-10-26-1]) を参照).これによってゲルマン諸語は,語幹母音を変化させて過去時制を作る印欧語型の強変化動詞(不規則変化動詞)と,件の dental suffix を付加する弱変化動詞(規則変化動詞)とに2分されることになった.後者は「規則的」なために後に多くの動詞へ広がっていき,現代英語の動詞形態論にも大きな影響を及ぼしてきた(「#178. 動詞の規則活用化の略歴」 ([2009-10-22-1]),「#764. 現代英語動詞活用の3つの分類法」 ([2011-05-31-1]) を参照).
 現代英語の -ed のゲルマン語における起源については諸説あり,決着がついていない.しかし,ある有力な説によると,この接尾辞は動詞 do と同根ではないかという.しかし,do 自体が補助動詞的な役割を果たすということは認めるにせよ,過去(分詞)の意味がどこから出てくるのかは自明ではない.同説によると,ゲルマン語において do に相当する語幹が,過去時制を作るのに重複 (reduplication) という古い形態過程をもってしたために,同じ子音が2度現われる *dēd- などの形態となった.やがて中間母音が消失して問題の子音が合わさって重子音となったが,後に脱重子音化して,結局のところ *d- に収まった.つまり,-ed の子音は,do の語幹子音に対応すると同時に,それが過去時制のために重複した同子音にも対応することになる.
 では,この説は何らかの文献上の例により支持されるのだろうか.ゴート語に上記の形態過程をうかがわせる例が見つかるという.Lass (164) の説明を引こう.

The origin of the weak preterite is a perennial source of controversy. The main problem is that it is a uniquely Germanic invention, which is difficult to connect firmly with any single IE antecedent. Observing the old dictum ex nihilo nihil fit (nothing is made out of nothing), scholars have proposed numerous sources, none of which is without its difficulties. The main problem is that there are at least three consonantisms: /d/ (Go nasida 'I saved', inf. nasjan), /t/ (Go baúhta 'I bought', inf. bugjan), and /s/ (Go wissa 'I knew', inf *witan).
   But even given this complexity, the most likely primary source seems to be compounding of an original verbal noun of some sort with the verb */dhe:-/ 'put, place, do' (OHG tuon, OE dōn, OCS dějati 'do', Skr dádhati 'he places', L fēci 'I made, did').
   This leads to a useful analysis of a Gothic pret 3 ppl like nasidēdun 'they saved':
   
(7.18) nas - i -dē - d - un
       SAVE-theme-reduplication-DO-3 pl

I.e. a verbal root followed by a thematic connective followed by the reduplicated perfect plural of 'do'. This gives a periphrastic construction with a sense like 'did V-ing'; with, significantly, Object-Verb order . . ., i.e. (7.18) has the form of an OV clause 'NP-pl sav(ing) did'. An extended form also existed, in which a nominalizing suffix */-ti/ or */-tu/ was intercalated between the root and the 'do' form, e.g. in Go faúrhtidēdun 'they feared', which can be analysed as {faúrh-ti-dē-d-un}. This suffix was in many cases later weakened; first the vowel dropped, so that */-ti-d-/ > */-td-/; this led to assimilation */-tt-/, and then eventual reinterpretation of the /t/-initial portion as a suffix itself, and loss of the 'do' part from verbs of this type . . . . The problematic /s(s)/ forms may go back to a different (earlier) development also involving */-ti/, in which the sequence */tt/ > /s(s)/ . . . but this is not clear.


 要するに,-ed 付加の原型は次の通りだ.まず動詞語幹に名詞化する形態操作を施し,いわば動名詞のようなものを作る.その直後に,do の過去形 did のようなものを置いて,全体として「(動詞)の動作を行なった」とする.このようにもともとはOV型の迂言的な統語構造として始まったが,やがて全体がつづまって複合語のようなものとしてとらえられるようになり,形態的な過程へと移行した.この段階に至って,-ed に相当する部分は,語彙的な要素というよりは接尾辞,すなわち拘束形態素と解釈された.一種の文法化 (grammaticalisation) の例とみてよいだろう.
 上の引用で Lass は Go wissa に言及するとともに,最後に /s(s)/ を巡る問題に言い及んでいるが,対応する古英語にも過去現在動詞 wāt の過去形として wiste/wisse があり,音韻形態的に難しい課題を投げかけている.これについては,「#2231. 過去現在動詞の過去形に現われる -st-」 ([2015-06-06-1]) を参照されたい.

 ・ Lass, Roger. Old English: A Historical Linguistic Companion. Cambridge: CUP, 1994.

Referrer (Inside): [2018-06-24-1] [2018-06-19-1]

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2017-05-30 Tue

#2955. Godd hit wite [swearing][preterite-present_verb][subjunctive][ancrene_wisse][anglo-norman]

 中英語では「神にかけて」「キリストにかけて」に相当する各種表現が誓言として常用される.その1変種として,God (hit) wot という表現がある.現代英語でいえば (as) God knows (it) ほどに相当する形式だ.wot という形態は,歴史的には過去現在動詞である中英語の witen (to know) が,直説法現在3人称単数に屈折した形態である(「#66. 過去現在動詞」 ([2009-07-03-1]) を参照).
 これと似て非なるものが,Godd hit wite という表現である.ここで用いられている wite という形態は,上と同じ witen の「接続法」現在3人称単数形である.つまり,機能としては祈願となり,let God know it ほどの意味になる.最近 Bennett and Smithers 版で Ancrene Wisse の一部を読んでいたときに,この表現に出会った.A. ll. 151--52 に,次のようにある.

Godd hit wite and he hit wat, me were leouere þet ȝe weren alle o þe spitel-uuel þen ȝe weren ontfule . . . .
(God be my witness to it---and he knows it---I had rather you were all lepers than that you should be envious)


 ここでは Godd hit witehe hit wat の両表現が並んでいるので,その区別に気づきやすい.接続法の用法の機微を感じられる例である.
 Onions が,接続法を用いた方の表現について,おもしろい論考を寄せている (334--35) .

Their equation with certain Continental Germanic formulæ has been overlooked, and in general their force has been misapprehended. Their meaning is: "Let God (or Christ) know (it)," "God be my witness (to it)," "I call God to witness." They are strong asseverations, and are virtually equivalent to "I declare to God." They are therefore more forcible than God wot, Goddot . . . .


 ゲルマン諸語でも中オランダ語,中低地ドイツ語,中高地ドイツ語に接続法を用いた対応表現が見られる.中英語からの用例はそれほど多く文証されているわけでないのだが,Onions (335) が引用しているように,12世紀の Anglo-Norman の Mestre Thomas による Horn という作品に,次のような箇所がある.

Seignurs bachelers, bien semlez gent bevant,
Ki as noeces alez demener bobant;
Ben iurez wite God, kant auerez beu tant. (Horn, l. 4011, ed. Brede and Stengel.)

(Young gentlemen, you have all the appearance of drinking fellows, who go to weddings to behave uproariously; you swear "wite God" when you are in liquor.)


 この表現が,実際には誓言として常用されていたことを間接的に示す証拠となるのではないか.

 ・ Bennett, J. A. W. and G. V. Smithers, eds. Early Middle English Verse and Prose. 2nd ed. Oxford: OUP, 1968.
 ・ Onions, C. T. "Middle English (i) WITE GOD, WITE CRIST, (ii) GOD IT WITE." The Review of English Studies 4.15 (1928: 334--37).

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2015-06-06 Sat

#2231. 過去現在動詞の過去形に現われる -st- [preterite-present_verb][phonetics][conjugation][inflection]

 過去現在動詞 (preterite-present_verb) については,「#58. 助動詞の現在形と過去形」 ([2009-06-25-1]) と「#66. 過去現在動詞」 ([2009-07-03-1]) でみてきたが,その古英語における例である wāt (to know) と mōt のパラダイムを眺めていると,気になることがある.過去現在動詞の過去形は,新しい弱変化動詞であるかのように歯音接尾辞 (dental suffix) を付すので,それぞれ *witte, *mōtte などとなりそうなものだが,実際に古英語に文証される形態は wiste/wisse, mōste などである(以下の表では,関連する過去形の箇所を赤で示してある).-st- のように s が現われるのはどういうわけだろうか.

Present Indicative
Sg. 1wātmōt
2wāstmōst
3wātmōt
Pl.witonmōton
Present Subjunctive
Sg.witemōte
Imperative
Sg.wite 
Pl.witað 
Preterite Indicative
Sg. 3wiste, wissemōste
Pl.wiston, wissonmōston
Preterite Subjunctive
Sg.wiste, wissemōste
Infinitivewitan 
Infl.inf.to witanne 
Pres.part.witende 
Pa.part.witen 


 wiste の異形として,wisse という形態がみられるのが鍵である.Hogg and Fulk (301) によると,

In the pret. of wāt, forms with -st- are more frequent than those with -ss- already in EWS, except in Bo, although -ss- is the older form, reflecting PGmc *-tt- . . . . Wiste was created analogically by the re-addition of a dental preterite suffix at a later date; such forms are found in the (sic) all the WGmc languages. Pa.part. witen is formed by analogy to strong verbs . . . .


 ゲルマン祖語では,上で想定したように *witte, *mōtte に相当する語形が再建されているが,この -tt- が -ss- へと変化したようだ.後者が,古英語で文証される wisse に連なったということだろう.しかし,改めてこの語尾に歯音接尾辞 t を付して過去形であることを明示したのが,古英語で一般的に見られる wiste だというわけである.そして,mōste は過去現在動詞の仲間としてこの wiste に倣ったものだという (Hogg and Fulk 306) .
 一般に過去現在動詞の過去形は,語源的には「二重過去形」と称することができるが,wiste, mōste に関しては,上の経緯に鑑みて「三重過去形」と呼べるのではないか.

 ・ Hogg, Richard M. and R. D. Fulk. A Grammar of Old English. Vol. 2. Morphology. Malden, MA: Wiley-Blackwell, 2011.

Referrer (Inside): [2017-11-26-1]

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2013-08-24 Sat

#1580. 補充法研究の限界と可能性 [suppletion][analogy][arbitrariness][frequency][taboo][preterite-present_verb]

 補充法 (suppletion) は広く関心をもたれる言語の話題である.go -- went -- gone, be -- is -- am -- are -- was -- were -- been, good -- better -- best, bad -- worse -- worst, first -- second -- third など,なぜ同一体系のなかに異なる語幹が現われるのか不思議である.言語における不規則性の極みのように思われるから,とりわけ学習者の目にとまりやすい.
 しかし,専門の言語学においては,補充法への関心は必ずしも高くない.補充法を掘り下げて研究することには限界があると感じられているからだろう.その理由としては,(1) 単発であること,(2) 形態的に不規則で分析不可能であること,(3) 範列的な圧力 (paradigmatic pressure) から独立しており,形態的な類推 (analogy) が関与しないこと,などが挙げられる.つまり,個々の補充形は,文法のなかで体系的に扱うことができず,語彙項目として個別に登録されているにすぎないものと理解されている.一般にある語がなぜその形態を取っているのかが恣意的 (arbitrary) であるのと同様に,補充形がなぜその形態なのかも恣意的であり,より深く掘り下げられる種類の問題ではないということだろう.補充法の特徴を何かあぶりだせるとすれば,一握りの極めて高頻度の語にしか見られないということくらいである.
 Hogg は,一見すると矛盾するように思われる "Regular Suppletion" という題名を掲げて,補充法研究の限界を打ち破り,可能性を開こうとした.補充法は,形態理論の研究に重要な意味をもつという.Hogg は,英語史からの補充法の例により,次の4点を論じている.
 1つ目は,"the replacement of one suppletion by another" の例がみられることである.すでに古英語では yfel -- wyrsa -- wyrsta の補充法の比較が行なわれていたが,中英語では原級の語幹が入れ替わり,現代英語の bad -- worse -- worst へと至った.現在では,前者は evil -- more evil -- most evil となっている.yfel は極めて一般的な語義「悪い」を失い,宗教的な語義へ転じていったことにより,worse -- worst に対応する原級の地位を失い,後から一般的な語義を獲得した bad に席を譲ったということになる.Hogg は,古英語 *bæd はタブーだったために文証されていないだけであり,実際には14--18世紀に文証される badder -- baddest とともに,規則的な比較変化を示していたはずだと推測している (72) .あくまで仮説ではあるが,evilbad について,比較級変化は以下のような歴史的変化を経ただろうとしている (72) .

evilworseworse, more evilmore evil
badbadderworse, badderworse


 2つ目は,"the preference for suppletion over regularity" であり,go -- went に例をみることができる."to go" の補充過去形として古英語 ēode が中英語 went に置き換えられたことはよく知られている.それによって went の本来の現在形 wendwended という規則的な過去形を獲得したことが,英語史上も話題になっている.went の例で重要なのは,規則形よりも補充形が好まれるという補充法の傾向を示すものではないかということだ.ただし,北部方言やスコットランド方言では,別途,規則形 gaidgaed が生み出されたという事実もある.
 3つ目は,"the addition of regularity without disturbance of the suppletion" である.古英語 bēon の3人称複数現在形の1つ syndon は,印欧祖語 *-es からの歴史的な発展形である syndsynt という補充形に,過去現在動詞 (preterite-present_verb) の現在複数屈折語尾 -on を加えたものである.本来的に形態的類推を寄せつけないはずの語幹に,形態的類推による屈折語尾を付加した興味深い例である.これは,上で触れた (2), (3) の反例を提供する.
 4つ目は,"the creation of a new regular inflection on the basis of suppletion" である.古英語 bēon の1人称現在単数形の1つ (e)am は,Anglia 方言では語尾 -m の類推により非歴史的な bīom を生み出した.同方言ではこれが一般動詞に及び,非歴史的な1人称現在単数形 flēom (I flee) や sēom (I see) をも生み出すことになった.本来,補充形の内部にあって分析されないはずの -m がいまや形態素化したことになる.
 Hogg (80--81) は,以上のように補充法の語彙的,形態的な注目点を明らかにしたうえで,"[S]uppletion is not merely a linguistic freak which does no more than give a small amount of pleasure to a rather giggling schoolboy. . . . [S]uppletion is a dynamic process." と述べ,補充法研究の可能性を探りながら,論文を閉じている.

 ・ Hogg, Richard. "Regular Suppletion." Motives for Language Change. Ed. Raymond Hickey. Cambridge: CUP, 2003. 71--81.

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2009-07-03 Fri

#66. 過去現在動詞 [preterite-present_verb][conjugation]

 [2009-06-25-1]過去現在動詞 ( preterite-present verb ) に触れた.過去現在動詞 とは,本来は強変化動詞だったが,その過去形が現在の意味を表すようになり,改めて弱変化で過去形が作られるようになった動詞である.そのため,強弱変化動詞 ( strong-weak verb ) とも呼ばれる.古英語には,以下のような過去現在動詞があった.古英語の不定詞を挙げる.

 ・āgan "to own" > PDE to own
 ・cunnan "to know" > PDE can
 ・dugan "to avail"
 ・"dare" (不定詞を欠く) > PDE dare
 ・(ge)munan "to remember"
 ・magan "can" > PDE may
 ・"must" (不定詞を欠く) > PDE must
 ・schulan "shall" > PDE shall
 ・þurfan "need"
 ・unnan "to grant"
 ・witan "to know" > PDE wit

 magan "can" ( > PDE may ) の古英語での屈折を見てみよう.

Present Indicative Subjunctive
1st sg. mæg mæge
2nd sg. meaht, miht
3rd sg. mæg
pl. magon mægen


Past Indicative Subjunctive
1st sg. meahte, mihte meahte
2nd sg. meahtest, mihtest
3rd sg. meahte, mihte
pl. meahton, mihton meahten


 一般の動詞の屈折を知っている者であれば,現在形の屈折が強変化動詞の過去屈折にそっくりであること,そして過去形の屈折が弱変化動詞の過去屈折にそっくりであることがわかるだろう.現代英語の may -- might のペアは,形態的には,過去形と二重過去形という関係なのである.

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2009-06-25 Thu

#58. 助動詞の現在形と過去形 [auxiliary_verb][preterite-present_verb][cycle]

 昨日の記事で,must に過去形が欠けているのは,もともと古英語で過去形だったからだと述べた.また,もともと過去の意味を表したものが徐々に現在の意味を表すようになるというのは,must だけでなく,現代英語の主要な助動詞 could, might, should, would においても,現在まさに起こっていることを示した.どうやら助動詞には,過去→現在という意味変化が起こりやすいようだ.
 それがなぜかは措いておくとして,過去→現在の意味変化を示す別の衝撃的な例を挙げてみよう.
 これまで現在形という前提で話を進めてきた can, may, shall は,なんとこれ自体が形態的には過去形なのである.つまり,古英語よりもっと古い段階で,過去→現在の意味変化を経ていたのである.古英語では,このような(助)動詞を過去現在動詞 ( preterite-present verb ) と呼んでいる.
 そうだとすると,could, might, should という形態は過去形の過去形,いわば二重過去形とでも呼ぶべき形態だということになる.そして,現代英語では,その二重過去形までもが現在を表す意味を獲得しつつある・・・.
 過去→現在の意味変化が歴史の中でこれほどまでに繰り返されてきたことを考えると,当然,次のサイクルが予期される.実際に,"I should have studied harder for the exam" や "Don't worry---they could've just forgotten to call" などの「過去形助動詞 + have + 過去分詞」が,いわば三重過去形として新たなサイクルを始めている.
 このサイクルは永遠に繰り返されるのだろうか?言語の変化は不思議である.

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