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denmark - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2024-11-09 11:39

2010-06-22 Tue

#421. デンマークと英語の接点は? [denmark][germanic]

 FIFA World Cup の次なる相手はデンマーク.ということで,今回はタイムリーに「デンマークと英語の関係」について.古代から現代にかけてデンマーク(語)と英語(学)とは,何かにつけて関わりが深い.以下は要点のみで詳しい解説は載せていないが,主に hellog 内の記事へのジャンプを豊富に含めているので参照を.以下と同じ内容をPDFスライドにしたもののほうが見やすいかもしれないので,そちらもどうぞ.

1. デンマーク語と英語はともにゲルマン系
2. ジュート人はデンマークに分布
3. 古代ゲルマン文化・文学を共有
4. 古代デンマーク語は英語に多大な影響を与えた
5. 著名な英語・ゲルマン語学者が輩出
6. 現在のデンマークは ESL 国へ


1. デンマーク語と英語はともにゲルマン系

 ・ See [2009-10-26-1] for Germanic languages
 ・ Danish = a mod. lang. of North Germanic
 ・ English = a mod. lang. of West Germanic
 ・ Old Norse = a common ancestor of modern Danish, Swedish, Norwegian, Icelandic, etc.

2. ジュート人はデンマークに分布

 ・ The Angles, Saxons, Jutes の故地 ([2010-05-21-1])
 ・ Hengist and Horsa がブリテン島へ第一歩を ([2009-05-31-1])
 ・ Kent や the Isle of Wight へ比較的小規模な定住

3. 古代ゲルマン文化・文学を共有

 ・ ルーン文字 ( the Runic Alphabet ) ( see http://www.omniglot.com/writing/runic.htm )
 ・ ゲルマン神話
 ・ 古英語で書かれた最高の英雄詩 Beowulf の舞台はデンマーク

4. 古代デンマーク語は英語に多大な影響を与えた

 ・ 8世紀後半?11世紀前半,ヴァイキングによるイングランド侵略
 ・ 基本語や機能語の高頻度語を中心に約900語が英語に入った
 ・ 英語の人名 ・地名に大きく貢献 ex. Derby; Johnson
 ・ 言語接触により英語の屈折の衰退が加速した ([2009-06-26-1])
 ・ その他,多くの計り知れない影響を与えた (old_norse)

5. 著名な英語 ・ゲルマン語学者が輩出

 ・ Rasmus Rask (1787--1832) cf. Grimm's Law ([2009-08-07-1])
 ・ Karl Verner (1846--96) cf. Verner's Law ([2009-08-09-1])
 ・ Otto Jespersen (1860--1943) ([2010-04-02-1])

6. 現在のデンマークは ESL 国へ

 ・ デンマーク人は英語が得意
 ・ 国内コミュニケーションのための英語
 ・ EFL → ESL への language shift ([2009-06-23-1])

 似たような記事としては「アイスランド語と英語の関係」と題する記事を[2010-04-20-1]で書いたので,そちらも参照.

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2009-06-23 Tue

#56. 英語の位置づけが変わりつつある国 [esl][efl][denmark][language_shift][future_of_english]

 以下の国名リストから何が連想されるだろうか.

 ・Argentina
 ・Belgium
 ・Costa Rica
 ・Denmark
 ・Ethiopia
 ・Honduras
 ・Lebanon
 ・Myanmar
 ・Nepal
 ・Netherlands
 ・Nicaragua
 ・Norway
 ・Panama
 ・Somalia
 ・Sudan
 ・Suriname
 ・Sweden
 ・Switzerland
 ・United Arab Emirates

 これは国内での英語の位置づけが EFL ( English as a Foreign Language ) から ESL ( English as a Second Language ) の地位へと変化しつつある国のリストである ( Graddol 11 ).こうした国では,専門職や高等教育といった領域を中心に,国内コミュニケーションのために英語が用いられる機会が増えているという.
 北欧人の英語が上手なことはよく知られているが,私がデンマークを訪れたときに,ある印象的な出来事があった.Shakespeare の Hamlet の舞台となった Kronborg Castle の観光ツアーに参加したときのこと.10名以上いた参加者のうち,私が唯一の外国人であり,残りは皆デンマーク人だった.そこでツアー開始時にツアーガイドから自然に発せられた一言,「これからの観光案内は英語でいたします」.参加者の一人で中学生くらいとおぼしき若者がジェスチャーで「英語は苦手だよ」と冗談めかしていたが,その後ツアーはごく自然に英語で進行した.英語が国内でも広く受け入れられている証拠だろう.
 英語が ESL の地位を得つつあるデンマークのような国が増えてきていることは,英語の未来を考える上で重要な意味をもつだろう.

 ・Graddol, David. The Future of English? The British Council, 1997. Digital version available at http://www.britishcouncil.org/learning-research-futureofenglish.htm

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