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contrastive_language_history - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2024-07-13 08:07

2024-05-11 Sat

#5493. 『言語の標準化を考える』への書評をいただきました --- 『社会言語科学』誌上にて [gengo_no_hyojunka][contrastive_language_history][notice][review]

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 ちょうど2年前の5月に,上掲の 高田 博行・田中 牧郎・堀田 隆一(編著)『言語の標準化を考える --- 日中英独仏「対照言語史」の試み』(大修館,2022年) が出版されました.言語の標準化 (standardisation) を主題としながら対照言語史 (contrastive_linguistics) という新アプローチを提唱した共著でした.著者間の議論を紙面に再現すべく特殊なレイアウトを施すなど,いろいろな意味で挑戦した本ですが,本作りにはその分多くの時間を要しました.
 このたび同著について『社会言語科学』誌上で丁寧な書評をいただきました.清沢紫織氏(北海学園大学)による6ページにわたる解説と論評です.J-STAGE 経由でこちらのページよりアクセスできます.ぜひご一読いただければ.


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 この書評は,(1) 本書の主題と構成,(2) 各章の概要と注目される点,(3) おわりにかえて,の3部立てで書かれています.本書の大きな特徴として,2点が指摘されています (73) .1つは「著者同士が自身の専門とする言語史を踏まえつつ,積極的に他の著者の論考にコメントや疑問点を述べ合っている点」,もう1つは「そうした他の著者からのコメントが論考と同時に一覧できるように各ページにレイアウトされている点」です.
 導入的な第1章については「この章は著者らが丹念な議論・意見交換を通じて導き出してきた言語の標準化研究の視座を提供する内容ともなっており,これから個別言語の標準化を研究しようとする者や既に取り組んでいる者にとっては頼もしい道標となることだろう」との評で締めくくられてます (74) .
 続く各章の概要と論評はいずれも示唆に富み,評者の視点を共有しながら,本書はこのようにも読めるのか,と多くの発見がありました.全体として,本書の狙いをすくい取り,丁寧な評を与えてもらったと感じています.
 本書についての書評は,今回のもののほかにも以下の2点が出されています.それぞれ J-STAGE よりアクセスできるので,合わせてお読みいただければ.

 ・ 家入 葉子 「書評:高田 博行・田中 牧郎・堀田 隆一(編著) 『言語の標準化を考える --- 日中英独仏「対照言語史」の試み』(大修館書店2022年6月刊,viii+247pp.)」 『歴史言語学』第11号(日本歴史言語学会編),2022年.47--54頁.  *
 ・ 片山 幹生 「書評:高田博行他編著 (2022) 『言語の標準化を考えるー日中英仏語「対照言語史」の試み』,東京:大修館書店,248 p.」 Revue japonaise de didactique du français 18.1--2 (2023): 134--37.  *

 『言語の標準化を考える』については,本ブログでも多く紹介してきました.gengo_no_hyojunka タグのついた記事群をご覧いただければと思います.

 ・ 高田 博行・田中 牧郎・堀田 隆一(編著)『言語の標準化を考える --- 日中英独仏「対照言語史」の試み』 大修館,2022年.
 ・ 清沢 紫織 「書評:高田博行・田中牧郎・堀田隆一(編著) 『言語の標準化を考える:日中英独仏「対照言語史」の試み』 大修館書店,2022」 『社会言語科学』第26巻第2号(社会言語科学会編),2024年.73--78頁.  *

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2024-04-28 Sun

#5480. 2022年の日本歴史言語学会のシンポジウム「日中英独仏・対照言語史ー語彙の近代化をめぐってー」の概要が公開されました [notice][jshl][symposium][historical_linguistics][lexicology][standardisation][emode][japanese][contrastive_language_history][german][french][chinese][latin][greek][renaissance]

 1年半ほど前のことになりますが,2022年12月10日に日本歴史言語学会にてシンポジウム「日中英独仏・対照言語史ー語彙の近代化をめぐって」が開かれました(こちらのプログラムを参照).学習院大学でのハイブリッド開催でした.同年に出版された,高田 博行・田中 牧郎・堀田 隆一(編著)『言語の標準化を考える --- 日中英独仏「対照言語史」の試み』(大修館,2022年)が J-STAGE 上で公開されました.PDF形式で自由にダウンロードできますので,ぜひお読みいただければと思います.セクションごとに分かれていますので,以下にタイトルとともに抄録へのリンクを張っておきます.

 ・ 趣旨説明 「日中英独仏・対照言語史 --- 語彙の近代化をめぐって」(高田博行,学習院大学)
 ・ 講演1 「日本語語彙の近代化における外来要素の受容と調整」(田中牧郎,明治大学)
 ・ 講演2 「中国語の語彙近代化の生態言語学的考察 --- 新語の群生と「適者生存」のメカニズム」(彭国躍,神奈川大学)
 ・ 講演3 「初期近代英語における語彙借用 --- 日英対照言語史的視点から」(堀田隆一,慶應義塾大学)
 ・ 講演4 「ドイツ語の語彙拡充の歴史 --- 造語言語としてのアイデンティティー ---」(高田博行,学習院大学)
 ・ 講演5 「アカデミーフランセーズの辞書によるフランス語の標準化と語彙の近代化 ---フランス語の標準化への歩み」(西山教行,京都大学)
 ・ ディスカッション 「まとめと議論」

 講演3を担当した私の抄録は次の通りです.
 

初期近代英語期(1500--1700年)は英国ルネサンスの時代を含み,同時代特有の 古典語への傾倒に伴い,ラテン語やギリシア語からの借用語が大量に英語に流れ込んだ.一方,同時代の近隣ヴァナキュラー言語であるフランス語,イタリア語,スペイン語,ポルトガル語などからの語彙の借用も盛んだった.これらの借用語は,元言語から直接英語に入ってきたものもあれば,他言語,典型的にはフランス語を窓口として,間接的に英語に入ってきたものも多い.さらには,借用要素を自前で組み合わせて造語することもしばしば行なわれた.つまり,初期近代英語における語彙の近代化・拡充は,様々な経路・方法を通じて複合的に実現されてきたのである.このような初期近代英語期の語彙事情は,実のところ,いくつかの点において明治期の日本語の語彙事情と類似している.本論では,英語と日本語について対照言語史的な視点を取りつつ,語彙の近代化の方法と帰結について議論する.


 先に触れた編著書『言語の標準化を考える』で初めて対照言語史 (contrastive_language_history) というアプローチを導入しましたが,今回の論考はそのアプローチによる新たな挑戦として理解していただければと思います.

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 ・ 高田 博行・田中 牧郎・彭 国躍・堀田 隆一・西山 教行 「日中英独仏・対照言語史ー語彙の近代化をめぐってー」『歴史言語学』第12号(日本歴史言語学会編),2024年.89--182頁.
 ・ 高田 博行・田中 牧郎・堀田 隆一(編著)『言語の標準化を考える --- 日中英独仏「対照言語史」の試み』 大修館,2022年.

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2023-01-08 Sun

#5004. 聖書で英語とフリジア語を比較 --- まさにゃんの note 記事の紹介 [notice][frisian][bible][link][masanyan][khelf][contrastive_linguistics][comparative_linguistics][contrastive_language_history][germanic][voicy][heldio]

 昨日の記事「#5003. 聖書で英語史 --- 寺澤盾先生の著書と講座のご案内」 ([2023-01-07-1]) で,聖書が英語の通時的な比較に適したテキストであることを述べました.内容が原則として古今東西同一だからです.ということは,聖書は通言語的な比較にも適しているということになります.ギリシア語,ラテン語,英語,フランス語,ドイツ語,中国語,日本語などの間で手軽に言語比較できてしまいます.つまり,聖書は対照言語学 (contrastive_linguistics),比較言語学 (comparative_linguistics),そして対照言語史 (contrastive_language_history) の観点からも有用なテキストとなります.
 年末に,khelf(慶應英語史フォーラム)の会長のまさにゃんが,自身の note にて「ゼロから始めるフリジア語(シリーズ企画)」を開始しました.フリジア語は年末から始めたにわか趣味とのことです(笑).1日目2日目3日目4日目と,4日分の記事が掲載されています.「創世記」より英語訳 In the beginning God created the heaven and the earth. とフリジア語訳 Yn it begjin hat God de himel en de ierde skepen. を主に比べながら,軽妙な口調でフリジア語超入門を展開しています.
 フリジア語 (Frisian) は,比較言語学的に英語と最も近親の言語とされています.この言語について hellog でも以下の記事で触れてきましたので,ぜひご覧ください.

 ・ 「#787. Frisian」 ([2011-06-23-1])
 ・ 「#2950. 西ゲルマン語(から最初期古英語にかけての)時代の音変化」 ([2017-05-25-1])
 ・ 「#3169. 古英語期,オランダ内外におけるフリジア人の活躍」 ([2017-12-30-1])
 ・ 「#3435. 英語史において低地諸語からの影響は過小評価されてきた」 ([2018-09-22-1])
 ・ 「#4670. アジェージュによる「フリジア語の再征服」」 ([2022-02-08-1])

 Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」でも「#40. 英語に最も近い言語は「フリジア語」」にて解説しています.ぜひお聴きください.


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