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interrogative - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2019-01-19 05:57

2018-12-15 Sat

#3519. 感嘆文と疑問文の近さ [optative][interrogative][exclamation][tag_question][syntax][word_order][construction_grammar][inversion]

 この2日間の記事「#3517. if を使わずに V + S とする条件節」 ([2018-12-13-1]),「#3518. 条件節と疑問文の近さ」 ([2018-12-14-1]) で,統語的・意味論的な観点から「疑問」「接続法」「願望」「条件」の接点を探ってきた.この仲間に,もう1つ「感嘆」というキーワードも参加させたい.
 感嘆文では,疑問文で典型的に起こる V + S の語順がしばしば採用される.Jespersen (499) から例文を挙げよう.

 ・ Sh Merch II. 2. 106 Lord, how art thou chang'd
 ・ Sh Merch II. 3.16 Alacke, what heinous sinne is it in me To be ashamed to be my Fathers childe
 ・ BJo 3.133 what a vile wretch was I
 ・ Farquhar B 321 What a rogue is my father!
 ・ Defoe G 44 what fool must he be now that they have given him a place!
 ・ Goldsm 658 What a fool was I, to think a young man could learn modesty by travelling
 ・ Macaulay H 2.209 What a generation of vipers do we live among!
 ・ Thack N 180 What a festival is that day to her | What (how great) was my surprise when they were engaged!
 ・ Bennett C 2.12 What a night, isn't it?


 最後の例文では付加疑問がついているが,これなどはまさに感嘆文と疑問文の融合ともいうべき例だろう.感嘆と疑問が合わさった「#2258. 感嘆疑問文」 ([2015-07-03-1]) も例が豊富である.
 また,感嘆と願望が互いに近しいことは説明を要しないだろう.may 祈願文が V + S 語順を示すのも,感嘆の V + S 語順と何らかの関係があるからかもしれない.
 may 祈願文と関連して,Jespersen (502) に,Dickinson, European Anarchy 74 からの興味深い例文があったので挙げておこう.

"The war may come", says one party. "Yes", says the other; and secretly mutters, "May the war come!"


 may 祈願は,疑問文に典型的な V + S 語順を,願望や感嘆のためにリクルートした例と考えてみるのもおもしろそうだ.

 ・ Jespersen, Otto. A Modern English Grammar on Historical Principles. Part 5. Copenhagen: Munksgaard, 1954.

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2015-07-03 Fri

#2258. 感嘆疑問文 [interrogative][exclamation][tag_question][syntax][word_order][negative]

 Hasn't she grown! のような,疑問文の体裁をしているが発話内の力 (illocutionary force) としては感嘆を示す文について考える機会があり,現代英語における感嘆疑問文 (exclamatory question) について調べてみた.以下に Quirk et al. (825) の記述をまとめる.
 典型的には,Hasn't she GRÒWN!Wasn't it a marvellous CÒNcert! のように否定の yes-no 疑問文の形を取り,下降調のイントネーションで発話される(アメリカ英語では上昇調も可).意味的には非常に強い肯定の感嘆を示し,下降調の付加疑問と同様に,聞き手に対して回答というよりは同意を期待している.
 否定 yes-no 疑問文ほど頻繁ではないが,肯定 yes-no 疑問文でも,やはり下降調に発話されて,同様の感嘆を示すことができる(アメリカ英語では上昇調も可).ˈAm ˈI HÙNGry!, ˈ Did ˈhe look anNÒYED!, ˈHas ˈshe GRÒWN! の如くである.
 統語的には否定であっても肯定であっても,意味としては肯定の感嘆になるというのがおもしろい.統語的な極性が意味的にあたかも中和するかのような例の1つである (cf. 「#950. Be it never so humble, there's no place like home. (3)」 ([2011-12-03-1])) .しかし,Has she grown!Hasn't she grown! の間には若干の違いがある.否定版は明らかに聞き手に同意や確認を求めるものだが,肯定版は命題を自明のものとみなしており聞き手の同意や確認を求めているわけではないという点である.したがって,自らのことを述べる Am I hungry! などにおいては,同意や確認を求める必要がないために,統語的に肯定版が選ばれる.否定版と肯定版の微妙な差異は,次のようなパラフレーズを通じてつかむことができるだろう.

 ・ Wasn't it a marvelous CÒNcert! = 'What a marvelous CÒNcert it was!'
 ・ Has she GRÒWN! = 'She HÀS grown!'


 否定版と肯定版とで,発話に際する話者の前提 (presupposition) が関わってくるということである.語用論的にも興味深い統語現象だ.

 ・ Quirk, Randolph, Sidney Greenbaum, Geoffrey Leech, and Jan Svartvik. A Comprehensive Grammar of the English Language. London: Longman, 1985.

Referrer (Inside): [2018-12-15-1]

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2013-01-02 Wed

#1346. 付加疑問はどのくらいよく使われるか? [interrogative][tag_question][ame_bre][corpus][frequency][statistics]

 現代英語の会話では,付加疑問がよく使われる.だが,具体的にどのくらいよく使われるのだろうか.そもそも一般的に疑問文はどのくらいの頻度で生起するのか.そのなかで,付加疑問はどれくらいの割合を占めるのか.このような疑問を抱いたら,まず当たるべきは Biber et al. の LGSWE である.
 最初の問題については,p. 211 に解答が与えられている.疑問符の数による粗い調査だが,CONV(ERSATION) では40語に1つ疑問符が含まれているという.会話コーパスでは,転写上,疑問符が控えめに反映されている可能性が高く,実際には数値以上の頻度で疑問文が生起しているはずである.テキストタイプでいえば,次に大きく差を開けられて FICT(ION) が続き,NEWS と ACAD(EMIC) では疑問文の頻度は限りなく低い.
 次に,各サブコーパスにおいて,疑問文全体における付加疑問の生起する割合はどのくらいか.p. 212 に掲載されている統計結果を以下のようにまとめた.各列を縦に足すと100%となる表である.

(* = 5%; ~ = less than 2.5%)CONVFICTNEWSACAD
independent clausewh-question******************************
yes/no-question************************
alternative question~~~~
declarative question***~~
fragmentswh-question******
other********
tagpositive*~~~
negative*****~~


 CONV において付加疑問の生起比率が高いことは当然のように予測されたが,同サブコーパスの疑問表現全体のなかで25%を占めるということは発見だった.そのなかでも,肯定の is it? よりも否定の isn't it? のタイプのほうがずっと多い.また,FICT が CONV におよそ準ずる分布を示すのは,フィクション内の会話部分の貢献だろう.一方,NEWS と ACAD で付加疑問の比率が低いのは,この表現と対話との結びつきを強く示唆するものである.また,この2つのサブコーパスでは,完全な独立節での疑問文,特に wh-question が相対的に多いのが注意を引く.
 付加疑問の生起比率に関心をもったのは,実は,Schmitt and Marsden (192) に次のような記述を見つけたからだった.

Tag questions (i.e., regular questioning expressions tagged onto a sentence) exist in both American and British English, with British speakers perhaps using them more than Americans: "That's not very nice, is it?" Peremptory and aggressive tags tend to be used more in British English than in American English: "Well, I don't know, do I?" (192)


 残念ながら,Biber et al. では付加疑問の頻度の英米差を確かめることはできない.別途,英米のコーパスで調べる必要があるだろう.

 ・ Schmitt, Norbert, and Richard Marsden. Why Is English Like That? Ann Arbor, Mich.: U of Michigan P, 2006.
 ・ Biber, Douglas, Stig Johansson, Geoffrey Leech, Susan Conrad, and Edward Finegan. Longman Grammar of Spoken and Written English. Harlow: Pearson Education, 1999.

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2012-08-27 Mon

#1218. 話し言葉にみられる whom の衰退 [pde_language_change][interrogative][relative_pronoun][corpus][ame][preposition_stranding]

 現代英語における whom の衰退については,多くの研究がある.現代英語でもよく知られた言語変化であり,本ブログでも ##622,624,860,301,737 の各記事で触れてきた.かつての卒論学生にもこの話題を扱ったものがある ([2010-12-26-1]) .
 最近の研究としては,Iyeiri and Yaguchi がある.これは,Michael Barlow が編纂し,Athelstan より有償で提供されている The Corpus of Spoken Professional American English (CSPAE) に基づいた研究である.CSPAE は,1990年代の専門アメリカ英語の話し言葉コーパスで,(1) White House での記者会見,(2) The University of North Carolina の教授会,(3) 数学テスト委員会の国家会議,(4) 読解テスト委員会の国家会議の,4つの状況が区分されており,全体として200万語から成る.また,CLAWS7 でタグ付けされている.研究の狙いは,whom は形式張った文体,特に書き言葉において使用されるといわれるが,では,形式張った話し言葉という環境でどの程度使われるのだろうかという問いに答えることである.
 調査結果に従えば,spoken professional American English においては,whom の衰退は否定できないものの,いまだある程度の頻度では見られる.whom が生起する環境にも明らかな傾向があり,前置詞の直後においては最もよく保たれている(ただし,この環境ですら who の使用例は皆無ではない).一方,前置詞懸垂 (preposition_stranding) にはおいては who が通例である.また,who(m) が前置詞の目的語ではなく動詞の目的語として機能している場合には,より大きな揺れが見られる.
 疑問詞としての whom と関係詞としての whom を比べると,前者のほうが衰退が激しい.これを説明するのに,筆者らは Rohdenburg による "Complexity Principle (transparency principle)" を援用している.これは,"[i]n the case of more or less explicit grammatical options the more explicit one(s) will tend to be favored in cognitively more complex environments" (cited in Iyeiri and Yaguchi, p. 185) という原理で,whom の議論に当てはめると,関係詞を含む構文は認知上より複雑であり,より明示的な格標示を要求する,ということになる.
 上述のとおり,whom の衰退は現代英語の言語変化として取り上げられることが多い.このような話題について,references に参考資料がまとめられているのはありがたい.また,話し言葉コーパスの使用にも関心がわいた.関連して,The Michigan Corpus of Academic Spoken English というコーパスも参照.

 ・ Iyeiri, Yoko and Michiko Yaguchi. "Relative and Interrogative Who/Whom in Contemporary Professional American English." Germanic Languages and Linguistic Universals. Ed. John Ole Askedal, Ian Roberts, Tomonori Matsushita, and Hiroshi Hasegawa. Tokyo: Senshu University, 2009. 177--91.

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