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generative_lexicon - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2019-07-20 06:59

2017-02-23 Thu

#2859. "quolia role" [generative_lexicon][semantics]

 語彙意味論のアプローチの1つに,Pustejovsky の生成語彙論 (Generative Lexicon) がある.この理論では,語の意味を分析するのに "quolia role" という考え方が導入される.Cruse (149--50) の用語解説に基づいて要約すると,以下の通りである.
 語の概念の特性には "quolia roles" と呼ばれるいくつかのタイプが区別され,文脈によって活性化されるタイプが異なる,という前提に立つ.Pustejovsky によれば,名詞で考えると4つの quolia roles が区別されるという."formal", "constitutive", "telic", "agentive" である(これは,アリストテレスの4原因説を思い起こさせる).

formal: This includes information about an item's position in a taxonomy, what it is a type of, and what sub-types it includes.
constitutive: This includes information about an item's part-whole structure, its physical attributes like size, weight, and what it is made of, and sensory attributes like colour and smell.
telic: This includes information about how an item characteristically interacts with other entities, whether as agent or instrument, in purposeful activities.
agentive: This includes information about an item's 'life-history', how it came into being, and how it will end its existence.


 "formal" は語彙・概念上のタイプ,"constitutive" は物理的・認知的なタイプ,"telic" は目的・存在理由に関わるタイプ,"agentive" は出自・来歴に関わるタイプと概略的に示されるだろうか.
 Pustejovsky によると,名詞の意味は,これら各々の quolia role に対して詳細が与えられることによって定義づけられる.このように語の意味が独立した quolia roles から構成されると考えることにより,両義性の問題がきれいに説明されるというのが,この理論のセールスポイントだ.
 例えば,Pete finished the book yesterday. という文は,本を「読み終えた」のか「書き終えた」のかという2つの解釈が可能である.この両義性は,名詞 book を構成するどの quolia role が活性化されるかに基づくものとして説明される.「読み終えた」という解釈においては,名詞 book の telic role,すなわち「人に読まれるものとしての本」という目的・存在理由に関わる役割が活性化されるが,「書き終えた」という解釈においては,agentive role,すなわち「人に書かれたことによって存在している本」という出自・来歴に関わる特性が活性化されると考えることができる.

 ・ Cruse, Alan. A Glossary of Semantics and Pragmatics. Edinburgh: Edinburgh UP, 2006.

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