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最終更新時間: 2025-12-04 10:26

2025-12-03 Wed

#6064. 「いのほた言語学チャンネル」で言語変化における「見えざる手」仮説を解説しました [notice][invisible_hand][language_change][causation][link]



 11月30日(日)に公開された「いのほた言語学チャンネル」の最新回で「#390. 言語はなぜ変化するのかにもいろいろ説があるが,この仮説,納得!?」をお届けしました.hellog でもたびたび取り上げてきた,言語変化に関する「見えざる手」仮説 (invisible_hand theory) について導入した回となります.
 皆さん,高速道路などで事故も工事もないのに発生する「謎の渋滞」に巻き込まれたことがあるかと思います.英語ではこれを traffic jam out of nowhere と呼ぶのですが,実はこの現象と言語変化のメカニズムには,驚くべき共通点があるのです.
 動画では,この理論を提唱した Rudi Keller の考えに基づき,まずはこの交通渋滞の例え話から解説を始めています.先頭の車がふとした拍子に少し減速すると,後続車は衝突を避けるために安全マージンをとって,前の車よりも少し強めにブレーキを踏みます.これが後ろへ後ろへと連鎖していくとどうなるか.最終的には完全停止し,その後続車の一群は渋滞にはまる,という誰も望んでいなかった結果が生まれてしまうのです.
 ここで重要なのは,ドライバーの誰も「渋滞を作ってやろう」などとは考えていないという点です.1人ひとりは安全に走りたいという合理的な動機で行動しているだけにもかかわらず,小さな行動が集団的に蓄積すると,個人の意図とはかけ離れて,渋滞という社会的な現象が引き起こされてしまいます.この「ミクロな個人の意図」と「マクロな全体の結果」の間にあるパラドックスこそが,「見えざる手」と呼ばれるものの正体です.
 そして,これは言語の変化にもそのまま当てはまります.私たちも普段,「日本語の文法を変えてやろう」とか「英語の発音を歴史に残るように変化させよう」などという意図をもって言語を使用しているわけではありません.ただ,目の前の相手にうまく伝えたい,あるいは少し楽に発音したいなどとと思いつつ,日々の言葉を発しているだけです.しかし,そうした無意識の微調整の機会が積み重なり,多くの人々に伝播していくと,数十年,数百年というスパンで見たときに,大きな言語変化となって現われるのです.
 動画内では,井上さんとの対話を通じて,この意図せざる結果がいかにして生じるのか,一見するとブラックボックス的な「見えざる手」の仕組みについてお話ししています.
 アダム・スミスが経済学で説いた「神の見えざる手」が,まさか言語学に応用できるとは,と意外に思われるかもしれません.しかし,言語変化を説明する1つの有力な仮説ですので,ぜひ動画本編でそのロジックを楽しんでいただければと思います.
 なお,このテーマについては hellog の過去記事でもたびたび取り上げてきました.動画を観て,もう少し理論的な背景を知りたいと思われた方は,ぜひ invisible_hand のタグの付いた記事群,そのなかでもとりわけ以下の記事を合わせてお読みいただければ.

 ・ 「#8. 交通渋滞と言語変化」 ([2009-05-07-1])
 ・ 「#2539. 「見えざる手」による言語変化の説明」 ([2016-04-09-1])

 ・ Keller, Rudi. On Language Change: The Invisible Hand in Language. Trans. Brigitte Nerlich. London and New York: Routledge, 1994.

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2025-12-02 Tue

#6063. ウェブ月刊誌 Helvillian の12月号が公開されました [helwa][heldio][notice][helmate][helkatsu][helvillian][link]


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 今月も出ました! helwa メンバー有志による毎月の hel活 (helkatsu) の成果をまとめたウェブマガジン『月刊 Helvillian 〜ハロー!英語史』の最新号です.一昨日12月28日(金)に最新号となる12月号(通算第14号)が公開されています.
 まずは Helvillian の編集に関わられている委員の皆さん,お疲れ様でした,いつもありがとうございます.「英語史」という目立たない分野の同人雑誌の刊行が14ヶ月も続くというのは,関係者の不断の支持と,何よりも編集委員の熱量の証だと思います.しかし,それにしても驚いています.改めて感謝を申し上げます..
 さて,毎月の恒例となりましたが,本記事で最新号のラインナップを紹介したいと思います.

【 「旅」特集,そして寄稿本数は増し増し 】

 今回の Helvillian は,特集テーマ「旅」への寄稿が多く,なんと次号を含めて前後編の2本立てにすることが決定されたとのこと.Helvillian の記事の厚みも読み応えも,確実に増していることがわかりますね.雑誌として安定期に入ったと言ってよいのではないでしょうか.
 表紙デザインは Lilimi さんがご担当.写真提供は私,堀田隆一で,ニュージーランドのダニーデンにあるオタゴ大学の時計台です.いつもながらプロ顔負けの見事なレイアウトで仕上げてくださいました.ありがとうございます!
 最初の「表紙のことば」も,編集委員会からの打診により,僭越ながら私が寄稿いたしました.オタゴ大学のシンボルである時計台の写真とともに,スコットランドから1万8千キロ離れたこの地にやってきた初期移民たちに思いを馳せる文章を寄せました.私自身が目下旅人のようなものですし,英語史も英語という言語の「旅」を考える学問でもありますので,今回の特集テーマに通じる部分があるかと思います.
 注目の特集「旅【前編】」に寄せられた記事は以下の通りです.

 ・ ari さんによる「失われた都 Winchester を巡る旅」
 ・ mozhi gengo さんによる「Moxibustion はモエグサモヤシ~信州小旅行の途上で」
 ・ 川上さんによる「passenger」
 ・ camin さんによる「若いとき,チチェスター滞在に行ったときのこと」

 「旅」というテーマは,英語史と相性が良いこともあり,個性豊かな記事が集まりました.それぞれが独自の視点から「旅」を捉えていますね.

【 日常化した「hel活」が相互啓発の場へ 】

 特集に続いて,半ば定着した「シリーズ」ものの記事が各項目に並びます.ykagata さんとり~みんさんは,それぞれ「『英語語源ハンドブック』にこじつけて学ぶドイツ語」と「『英語語源ハンドブック』にこじつけて学ぶスウェーデン語」のシリーズにおいて,『英語語源ハンドブック』を活用しつつ,各々の関心言語の話題を展開しています.lacolaco さんによる「KDEE通読」ノートも着々と進み,C の項目のコンプリートが報告されています.helwa メンバーの日々のhel活が,お互いに啓発し合いながら,新たなhel活へと繋がっていっている様子が見て取れます.
 さらに,みーさんによる「連載 教室日誌」,ハンドルネーム「無職さん」こと佐久間さんによる専門性の高い記事,ari さん,川上さん,mozhi gengo さん,umisio さん等の安定感抜群の寄稿者による多様な話題が並びます.特に川上さんは,安定連載の「やってます通信」のほかに,最近は助動詞に取り憑かれておられるようで,関連する記事が蓄積されてきています.
 camin さんの FAUX-AMIS クイズ,そして,新刊書「いのほたなぜ」を推してくださっているという点において,Grace さんによる「いのほたなぜ~言語学の世界へようこそ~」および金田拓さんによる「『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』を読んで,英語の世界を散歩しよう」も必読です.皆さん,幅広い「言語学への誘い」の記事を寄せてくださっています.

【 helwa の活動報告と編集後記 】

 「Helwa のあゆみ/活動報告」では,Galois さんがこの1ヶ月の2つのイベントを紹介されています.

 ・ 10月25日(土),北千住& zoom オフ会
 ・ 11月8日(土),堀田と kendama_player さんの対談

 このような活動を通じて,ヘルメイトどうしの和が着実に広がり,深まっていることを感じます.
 そして,Helvillian 毎号の最後を飾るのは「Helvillian 編集後記」です.今回は Grace さんによる季節の移ろいを感じさせる美しい文章で締めくくられています.

 最新号もこのように素晴らしい雑誌が仕上がりました.編集委員の Lilimi さん,Galois さん,Grace さん,umisio さんにおかれましては,良質な雑誌を毎月届けてくださることに心からの感謝を申し上げます.そして,すべての寄稿者と helwa メンバーの皆さんにも,熱意ある活動とそのご支援に感謝いたします.
 最新号や過去号をご覧になり,英語史や言語学の話題に興味を持たれた方,あるいは自分も発信したいと思われた方は,ぜひ新たな月となりましたので helwa にお入りください.Voicy プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」は,毎週火木土の午後6時に配信しています.月額800円のサブスクで,初月無料サービスがあります.まずは覗いてみてくださいね.

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2025-11-10 Mon

#6041. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第7回「I --- 1人称単数代名詞をめぐる物語」をマインドマップ化してみました [asacul][mindmap][notice][etymology][personal_pronoun][case][oe][indo-european][link][hel_education][sound_change][gvs]

 10月25日(土)に,今年度の朝日カルチャーセンターのシリーズ講座「歴史上もっとも不思議な英単語」の第7回が,秋期クールの第1回として開講されました.テーマは「I --- 1人称単数代名詞をめぐる物語」です.誰もが知る超基本語でありながら,英語史の観点から見ると,この小さな単語 I は,その短い生涯に多くのドラマを凝縮させていることが分かります.
 今回の講座より,開講時間は 15:30--17:00 へと変更となり,また開講方式はオンラインのみとなりました.新しい形でのスタートとなりましたが,多数の方にご参加いただき,感謝申し上げます.
 講座と関連して,事前に Voicy heldio にて「#1602. 10月25日の朝カル講座は I --- 1人称単数代名詞に注目」を配信し,また hellog にて「#6021. 10月25日(土),朝カル講座の秋期クール第1回「I --- 1人称単数代名詞をめぐる物語」が開講されます」 ([2025-10-21-1]) を投稿していました.
 1人称単数代名詞 I の歴史は,まさに英語史上の音変化の縮図といえます.古英語,この単語は ic という形をとっていましたが,中英語期から近代英語期にかけて数々の音変化が起こり,現代の形に繋がっていきました.
 この第7回講座の内容を markmap によりマインドマップ化して整理しました(画像をクリックして拡大).復習用にご参照ください.


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 なお,この朝カル講座のシリーズの第1回から第6回についてもマインドマップを作成しています.

 ・ 「#5857. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第1回「she --- 語源論争の絶えない代名詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-05-10-1])
 ・ 「#5887. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第2回「through --- あまりに多様な綴字をもつ語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-06-09-1])
 ・ 「#5915. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第3回「autumn --- 類義語に揉み続けられてきた季節語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-07-07-1])
 ・ 「#5949. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第4回「but --- きわめつきの多義の接続詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-08-10-1])
 ・ 「#5977. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第5回「guy --- 人名からカラフルな意味変化を遂げた語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-09-07-1])
 ・ 「#6013. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第6回「English --- 慣れ親しんだ単語をどこまでも深掘りする」をマインドマップ化してみました」 ([2025-10-01-1])

 シリーズの次回,第8回は,11月29日(土)に「take --- ヴァイキングがもたらした超基本語」と題して開講されます.秋期クールは引き続きオンラインのみで,開講時間は 15:30--17:00 です.ご関心のある方は,ぜひ朝日カルチャーセンター新宿教室の公式HPより詳細をご確認の上,お申し込みいただければ幸いです.

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2025-10-31 Fri

#6031. ウェブ月刊誌 Helvillian の11月号が公開されました [helwa][heldio][notice][helmate][helkatsu][helvillian][link][hellive2025]


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 10月28日,helwa メンバー有志による毎月の hel活 (helkatsu) の成果をまとめたウェブマガジン『月刊 Helvillian 〜ハロー!英語史』の2025年11月号が公開されました.今号で通算第13号となります.
 まずは今回も編集委員としてご尽力くださった Galois さん,Lilimi さん,Grace さん,umisio さん,そして多彩な記事を寄稿してくださった執筆者の皆さんに,心より感謝と労いの言葉を申し上げます.多忙な日々のなか,これだけの知的好奇心と熱意のこもった記事を世に出し続けているという事実は,驚嘆に値します!
 今号の表紙デザインは Galois さんがご担当されており,掲げられているカンタベリー大聖堂の写真は lacolaco さんによる撮影です.そして,今号のトップを飾るのは,その lacolaco さんが寄せられた「表紙のことば」.lacolaco さんが9月にロンドン訪問した折に行なった「英語史的な聖地巡礼 "helgrimage (hel + pilgrimage)" あるいは "hel旅"」について,素直な感想が綴られています.そのhel旅の詳しい紀行は,別途 note 記事の形でも寄稿されていますので,ぜひお読みください.まさに英語史は「英語の歴史」というよりも「英語と歴史」!
 そして,今号の特集は「英語史ライヴ2025の余韻に浸る」です.去る9月13日に開催された「英語史ライヴ2025」の興奮と感動を,参加者やリスナーの各々の視点から振り返っています.Galois さんは,ライヴ当日の昼食時に,ジャーゴンの話題で盛り上がった旨を文章にされています.Grace さんは,ライヴと連動して提出された数々の「helwa コンテンツ」への再挑戦の意味を込めて,自身で編まれたコーパスに基づく本格的な調査として「学長式辞の言葉遣いを辿る」を寄稿されています.camin さんは「英語史ライヴ2025レポート:朝から晩まで英語史に浸る一日」として,ライヴ当日の様子を伝えてくださいました.「知的好奇心でつながるコミュニティの熱量と心地よさを改めて感じた一日でした」と締めくくられています.
 川上さんは「helwa メンバーのお話を聴きました」と題する記事を前後編に分けて寄稿されており,ライブ参加者へのインタビューを通して,英語を学ぶ意義についての議論を深められています.これを受けて umisio さんは「私は今英語とこうやって付き合っています~」と題する記事で,大人になってからの学びは楽しい,と結論しています.さらに ykagata さんもこの話題を受けて「「英語を学ぶ意義」を中高生に問われても困らないよう備える」として,この問題についての議論と対話を続けられました.ライヴに参加された方も,残念ながら参加できなかった方も,ぜひこの特集記事を読んで,ライヴの熱量とその余韻を味わっていただければと思います.
 充実した特集記事群の後には,連載や個別の寄稿記事が続きます.こちらも同じように充実しています.『英語語源ハンドブック』に取材した記事では,ykagata さんによる連載「『英語語源ハンドブック』にこじつけて学ぶドイツ語」が取り上げられています.川上さんによる,すっかりお馴染みの「やってます通信」も健在です.lacolaco さんの「連載 英語語源辞典通読ノート C (cross-crystal)」も順調で,一昨日の hellog 記事でお伝えした通り,C の項目を完走したとのことです(祝).
 「無職さん」こと佐久間さんは,今回も「「ご遺体」Leiche/lich と「好き」 like の不思議な関係(英語史)」と「歯科での英語診療科名の語源(英語史)」という,専門分野と英語史をユニークに結びつけた記事を2本寄稿されています.ari さんの連載・寄稿は今回も精力的で,英語史クイズ,通読 DEPN,hel-manga,古英語学習ノートなど,ヴァラエティ豊かな記事が並びます.川上さんは,昨今,助動詞に注目しているようで,must 関連の記事を複数寄稿されています.
 フランス語史を研究されている camin さんの「スイスのフランス語圏のフランス語」を書かれています.インドの諸言語や印欧祖語に並々ならぬ関心を寄せる mozhi gengo さんも,語源をめぐる多彩な記事を継続的に公開されており,その日頃からの熱量には頭が下がります.金田拓さんによる Essays の精読シリーズも健在です.古参の umisio さんも,いつもながらの新鮮な視点から英語史や言語問題について数々の記事を寄稿されています.
 直近1ヶ月のヘルメイトによる活動を報告する「Helwa のあゆみ」は,編集委員の Grace さんがまとめてくださいました.最後は,お楽しみの編集後記.編集委員4名が,Helvillian が2年目に入ったことを祝い,1年前の立ち上げのことを懐かしみ,今後の展開に期待しつつ,和気藹々とおしゃべりしている様子が,文章から伝わります.
 今号も,英語史という専門分野を軸にしながらも,読者の知的好奇心を刺激する多様な話題が揃っています.ウェブ月刊誌 Helvillian は,単なる英語史の知識の集積に留まらず,執筆者それぞれの「英語や言語との付き合い方」を垣間見せてくれます.hellog 読者の皆さんにおかれましては,ぜひ本誌を隅々まで読んでお楽しみください.そして,ぜひ helwa にお入りいただき,一緒にhel活を盛り上げていっていただければ.

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2025-10-20 Mon

#6020. 「いのほたなぜ」が第5位 --- Amazon 売れ筋ランキング英語部門 [notice][inohotanaze][inohota][inoueippei][youtube][helkatsu][link]

 連日,様々なメディアで新刊書『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』(ナツメ社)をご紹介しています.本書そのもののみならず,特設HPや関連のコンテンツも読んだり視たり聴いたりしていただけているようです.X(旧 Twitter)のハッシュタグ #いのほたなぜ でご意見やご感想などをお寄せいただけるよう呼びかけていますが,すでに読者の方々より,本書を手に取っている写真や書店・書棚の写真なども上げていただいています.Amazon レビューのほうにも,好意的なご感想の第1弾が届いています.温かく力強い応援,ありがとうございます.
 Amazon ランキング(英語部門)のほうは,発売後,舞台が「新着ランキング」から「売れ筋ランキング」に移り,激しい争いとなっています.それでも,一昨日の第9位から,今朝の時点で第5位までジワジワと上がってきました.


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 目下,共著者の井上さんや,ライターさん,ナツメ社の編集者さんなどとも協力して,少しでも広く本書の存在を知っていただくべく広報に専念しています.英語学・英語史の魅力を最大限に引き出し,それを皆さんに伝えたいからです.実際,本書の元となった YouTube 「いのほた言語学チャンネル」も,同じ趣旨で3年半以上続けているのです.そして,この始めてから16年半になろうとしているご覧のブログもまた,同じです.
 ここ数日間の本書に関連する各メディアでのコンテンツを以下に挙げておきます.

 ・ 井上&堀田による YouTube ショート動画:「いのほた本発売!--井上逸兵・堀田隆一『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』」

 ・ heldio: 「#1599. 「いのほたなぜ」本日発売」
 ・ heldio: 「#1603. 「英語学」って何? --- 「いのほたなぜ」のプロローグより」

 ・ hellog: 「#6015. 本日「いのほたなぜ」が出ます」 ([2025-10-15-1])
 ・ hellog: 「#6016. 「いのほたなぜ」の特設HPを公開しました」 ([2025-10-16-1])
 ・ hellog: 「#6017. SNS投稿のためにハッシュタグ「いのほたなぜ」をお使いください」 ([2025-10-17-1])
 ・ hellog: 「#6019. 「いのほた本」出版に合わせて YouTube ショート動画も公開しました」 ([2025-10-19-1])

 また,すでにご紹介した特設HPでは,冒頭に日替わりの「本日の注目章」を掲載しています.今日10月20日の注目章は「20. 「家に連絡するの?」は英語で何と言う?」です.この章と紐付いた「いのほた言語学チャンネル」の動画へもリンクが張られています.また,章と動画を結びつける全リンクは,特設HPの末尾に一覧していますので,そちらもご利用ください.引き続き「いのほたなぜ」そして「いのほた言語学チャンネル」の応援のほど,よろしくお願い致します.


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 ・ 井上 逸兵・堀田 隆一 『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』 ナツメ社,2025年.

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2025-10-13 Mon

#6013. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第6回「English --- 慣れ親しんだ単語をどこまでも深掘りする」をマインドマップ化してみました [asacul][mindmap][notice][kdee][hee][etymology][hel_education][link][sound_change][spelling_pronunciation_gap][anglo-saxon][jute][history][germanic][oe][world_englishes][demonym][suffix][onomastics]

 9月27日(土)に,今年度の朝日カルチャーセンターのシリーズ講座「歴史上もっとも不思議な英単語」の第6回(夏期クールとしては第3回)が新宿教室にて開講されました.テーマは「English --- 慣れ親しんだ単語をどこまでも深掘りする」です.あまりに馴染み深い単語ですが,これだけで90分語ることができるほど豊かなトピックです.
 講座と関連して,事前に Voicy heldio にて「#1574. "English" という英単語について思いをめぐらせたことはありますか? --- 9月27日の朝カル講座」を配信しました.
 この第6回講座の内容を markmap によりマインドマップ化して整理しました(画像をクリックして拡大).復習用にご参照いただければ.


lib/asacul_most_attractive_words_in_hel_06_20250927_mindmap_large.png



 なお,この朝カル講座のシリーズの第1回から第4回についてもマインドマップを作成しています.

 ・ 「#5857. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第1回「she --- 語源論争の絶えない代名詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-05-10-1])
 ・ 「#5887. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第2回「through --- あまりに多様な綴字をもつ語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-06-09-1])
 ・ 「#5915. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第3回「autumn --- 類義語に揉み続けられてきた季節語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-07-07-1])
 ・ 「#5949. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第4回「but --- きわめつきの多義の接続詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-08-10-1])
 ・ 「#5977. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第5回「guy --- 人名からカラフルな意味変化を遂げた語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-09-07-1])

 シリーズの次回,第7回は,10月25日(土)「I --- 1人称単数代名詞をめぐる物語」と題して開講されます.秋期クールの開始となるこの回より,開講時間は 15:30--17:00,開講方式はオンラインのみへ変更となります.ご関心のある方は,ぜひ朝日カルチャーセンター新宿教室の公式HPより詳細をご確認の上,お申し込みいただければ幸いです.

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2025-10-11 Sat

#6011. リスナー投票による heldio 2025年第2四半期のランキング [voicy][heldio][notice][ranking][link][helkatsu][hellive2025]

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 「#6001. heldio 2025年第3四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 10月7日までオープン」 ([2025-10-01-1]) でご案内したとおり,今年の第3四半期(7月--9月)における Voicy heldio のベスト配信回を決めるリスナー投票(1人10票まで)を実施しました.10月7日をもって投票を締め切りました.今回は25名のリスナーの皆さんよりご投票いただきました.ご投票いただき,ありがとうございました.
 投票結果をまとめましたので本記事にて報告いたします.本日の heldio でも「#1595. heldio 2025年第3四半期のリスナー投票の結果発表」として報告しているので,ぜひお聴きください.



 今回も主として対談回が上位を独占しました.以下に上位7位までの計33配信回を掲載します(全結果は本記事のソースHTMLをご覧ください).



【 第1位(40%)】

 「#1507. またまた嶋田珠巳先生といっしょにコメント返し」
 「#1581. 歯科医学×英語史 with 無職さん --- 「英語史ライヴ2025」より」

【 第2位(32%)】

 「#1498. いきなり井上逸兵さんと生配信(のアーカイヴ)」
 「#1513. 「語源は思考の糧である」 --- 小塚語録より」
 「#1576. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック with 小河舜さん --- 「英語史ライヴ2025」より」

【 第3位(28%)】

 「#1495. do の不思議を専門家に尋ねる --- 名古屋オフ会に矢冨弘さん登場」
 「#1577. helwa メンバー発信!中高生のあなたへ,私は今こうやって英語(外国語)とつきあっています --- 「英語史ライヴ2025」より」

【 第4位(24%)】

 「#1493. 知覚動詞構文と知覚の直接性について --- 名古屋オフ会で村岡宗一郎さんと対談」
 「#1533. Wulfstan 版「主の祈り」で古英語音読 --- プチ英語史ライヴ from 横浜」
 「#1570. ゼミ合宿飲み会で,継続こそがすべてという話しをしました」

【 第5位(20%)】

 「#1497. 『英語語源ハンドブック』の重版決定 --- 昨日お昼の緊急生配信より」
 「#1527. crocodile の怪 --- lacolaco さんと語源学を語る(プチ英語史ライヴ from 横浜)」
 「#1535. 笑,草,gaers を考える --- 北澤茉奈さんとの対談」
 「#1545. 「グリムの法則」は本当はラスクが見つけていた」

【 第6位(16%)】

 「#1547. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック for 夏スク「英語史」(後編)」
 「#1566. 英語史の用語辞典? --- まずは『英語学・言語学用語辞典』を紹介します」
 「#1573. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (62-3) with Taku さん --- 「英語史ライヴ2025」より」

【 第7位(12%)】

 「#1500. that 節を語ろう --- 名古屋オフ会より生配信」
 「#1506. 綴字と発音の乖離は歴史の遺産--- 『スペリングの英語史』より」
 「#1509. Mrs. の発音はなぜ「ミスターズ」ではないのか --- khelf ゼミ生高野さんの「英語史コンテンツ」」
 「#1514. 語源論法に要注意」
 「#1518. 現代英語の but,古英語の ac」
 「#1534. 10人で千本ノック --- プチ英語史ライヴ from 横浜」
 「#1544. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック for 夏スク「英語史」(前編)」
 「#1546. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (62-1) The Earlier Influence of Christianity on the Vocabulary」
 「#1551. 「文藝春秋PLUS」で再び英語史をお話ししてきました」
 「#1555. 英語の規範はいかにしてできたのか? --- 昨日 Mond に寄せられた疑問に回答しました」
 「#1557. 日本音声学会の音声学セミナーで「現代英語の発音と「大母音推移」」をお話しします」
 「#1563. life/live ペアの怪について」
 「#1569. 「いのほたなぜ」予約爆撃アワー --- 「英語史ライヴ2025」より」
 「#1578. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第21弾」
 「#1579. 「大母音推移」は解体していくのか? --- 9月28日(日)の音声学セミナーに向けて」
 「#1583. alligator でワニワニパニック --- khelf 寺澤志帆さんと語る」




 改めて2025年第3四半期も対談回が圧倒的強さを維持しました.第1位に輝いた「#1507. またまた嶋田珠巳先生といっしょにコメント返し」「#1581. 歯科医学×英語史 with 無職さん --- 「英語史ライヴ2025」より」は,いずれもゲスト対談者との掛け合いが中心で、知的ながらも親しみやすい雰囲気が好評を博したようです.
 第2位に入った「#1498. いきなり井上逸兵さんと生配信(のアーカイヴ)」「#1513. 「語源は思考の糧である」 --- 小塚語録より」「#1576. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック with 小河舜さん --- 「英語史ライヴ2025」より」の3本についても,研究者仲間との即興的なやりとり,あるいはそこから飛び出たメッセージを味わっていただいたものと理解しています.いずれも研究と日常の境界を越えていく heldio らしさが体現されている回だと思います.
 第3四半期のもう1つの特徴は,8月2日の「プチ英語史ライヴ from 横浜」や9月13日の「英語史ライヴ2025」など,収録会を複数回開催し,そこでの熱気がリスナーの皆さんにも伝わる機会が多かった点でしょうか.例えば,

 ・ 「#1577. helwa メンバー発信!中高生のあなたへ,私は今こうやって英語(外国語)とつきあっています --- 「英語史ライヴ2025」より」
 ・ 「#1493. 知覚動詞構文と知覚の直接性について --- 名古屋オフ会で村岡宗一郎さんと対談」
 ・ 「#1533. Wulfstan 版「主の祈り」で古英語音読 --- プチ英語史ライヴ from 横浜」
 ・ 「#1527. crocodile の怪 --- lacolaco さんと語源学を語る(プチ英語史ライヴ from 横浜)」
 ・ 「#1573. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (62-3) with Taku さん --- 「英語史ライヴ2025」より」

が上位に入っています.こうした現場の熱が伝わるライヴ回は,リスナー参加型の英語史体験という heldio の方向性を定めるものとなっています.
 ほかには,ランキングの中位から下位にかけてを見てもわかるとおり,トピックの多様化がいっそう推し進められました.『英語語源ハンドブック』,グリムの法則,朝カル講座,月刊ウェブマガジン Helvillian,『英語史新聞』,「英語のなぜ5分版」やってます通信など様々です.heldio/helwa リスナーの皆さんの力をお借りして,heldio が英語史を軸にしたネットワーク・メディアとして育ってきたことを実感します.
 まとめると,2025年第3四半期は対談・ライヴ・交流など複数の軸が互いに補強し合い,heldio がhel活コミュニティとして成熟してきた四半期だったといえます.
 今回のリスナー投票にご参加いただいた皆さん,ご協力ありがとうございました.皆さんからのフィードバックは,今後の heldio 配信に向けて大きなヒントとなります.2025年第4四半期も,英語史の魅力と学びの楽しさをお届けしてきたいと思います.上記の結果を参考に,まだお聴きでない配信回がありましたら,ぜひご聴取ください.

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2025-10-09 Thu

#6009. 現在から過去へ遡る「遡及的英語史」の魅力 --- 「いのほた言語学チャンネル」より [notice][inohotanaze][inohota][inoueippei][hel][historiography][link]



 10月5日(日)に YouTube 「いのほた言語学チャンネル」より最新動画が配信されました.「#377. 角度を変えると,歴史は別物になる --- 遡及的英語史:理解は「今」から始まる」と題して,通常の通時的な歴史叙述とは異なる,現在から過去へと遡る「遡及的記述」という方法論について,井上さんと議論しました.今回注目した本は,英語史の古典的名著の1つ Strang, Barbara M. H. A History of English. London: Methuen, 1970. です.この本を学生時代に読んだとき,目から鱗が落ちました.
 歴史を語る方法として,多くの皆さんが思い浮かべるのは,最も古い時代から順に新しい時代へと進み,現代に至るという「年代順記述」でしょう.教科書も講義も,ほとんどはこのオーソドックスな方法を採用しています.しかし,Strang はその常識を覆し,出版当時の1970年代の「現在」から遡って,200年ずつのブロックで「過去」へと記述を進めるという斬新なアプローチをとりました.本格的な英語史書でこの手法を一貫して採用したのは,Strang が最初でしょう.
 この遡及的記述には,いくつかのメリットがあります.まず第1に,現代に生きる私たちが抱く「なぜ今こうなっているのか?」という疑問からスタートできることです.現代の問題意識を起点に過去を遡ることで,歴史が単なる暗記科目ではなく,常に現代と関連づけられる生きた学問として捉えやすくなります.
 第2に,情報は過去に遡るほど少なくなり,やがては靄に包まれていくという,知り得ることの限界に関する自然な現実に合致している点です.遡及的な記述は,明確なところから曖昧な部分へと自然に徐々に消えていく感があり,歴史の不思議とロマンへも誘ってくれます.
 第3に,歴史に始まりも終わりもないという本質を表現できる点です.従来の記述では,便宜的に設定された始点と終点によって歴史が枠にはめられてしまいますが,実際には英語という言語に特定の「始まり」はなく,その物語は未来へと "to be continued" していくものであり「終わり」もないのです.
 もちろん,遡及的記述には,言語変化の因果関係の説明が難しいというデメリットも存在します.原因は時間的に前にあり,結果は後に来るという「原因と結果の法則」は揺るぎありません.遡及的な順序では,「なぜこうなったのか?」という問いかけに対し,直感的に逆行する説明を強いられるため,ストレートな議論がしにくいという欠点があります.Strang 自身もこの点は認識しており,200年ごとのブロック内部では年代順に記述を進めることで因果関係を説明しようと試みています.
 しかし,この一風変わった試みは,歴史の見方に新たな視点を与えてくれることは間違いありません.インドヨーロッパ祖語の系統樹を上下反転させてみるだけでも,見え方が大きく変わるように,歴史の「角度を変える」ことは,私たちの理解を深めるための重要な一歩となります.
 この Strang の英語史書は,英語史の初めの1冊としてふさわしいかといえば,まったくふさわしくありません.順当な年代順記述から始めるのがよいでしょう.しかし,英語史にある程度慣れてきたところで読んでみると,その斬新さにきっと驚かれると思います.ぜひ今回の動画をご覧いただき,この遡及的な歴史記述の世界に触れてみてほしいと思います.
 同じような議論は,これまでの hellog や heldio でも展開していますので,そちらも合わせてご参照ください.

 ・ hellog 「#253. 英語史記述の二つの方法」 ([2010-01-05-1])
 ・ hellog 「#2720. 歴史の遡及的記述の長所と短所」 ([2016-10-07-1])
 ・ heldio 「#656. 現在から過去にさかのぼる英語史」

 「いのほた言語学チャンネル」と関連して,1つお知らせがあります.6日後の10月15日(水)に「いのほた本」が出ます! 詳細は,ぜひ「#5973. 「いのほた本」が出ます! --- 井上 逸兵・堀田 隆一 『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』(ナツメ社)」 ([2025-09-03-1]) の記事をご覧ください.

 ・ Strang, Barbara M. H. A History of English. London: Methuen, 1970.

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2025-10-02 Thu

#6002. ウェブ月刊誌 Helvillian の10月号が公開されました [helwa][heldio][notice][helmate][helkatsu][helvillian][link][hee][helwa_contents][khelf]


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 9月28日,helwa メンバー有志による毎月の hel活 (helkatsu) の成果をまとめたウェブマガジン『月刊 Helvillian 〜ハロー!英語史』の2025年10月号が公開されました.今号で通算第12号となり,創刊から1年間を駆け抜けたことになります.おめでとうございます!
 今号は khelf(慶應英語史フォーラム)会長の青木輝さんによる「表紙のことば」から始まり,各執筆者の知的好奇心が凝縮された,たいへん読み応えのある号となっています.
 今号の特集は「ことばにまつわる大人の自由研究」,あるいは【helwaコンテンツ2025】です.ari さんは restaurant の語源に迫り,Grace さんは a gob ofgobs of の文法化に注目しています.川上さんは Poor as they are, they are generous. にみられる as の用法を,lacolaco さんは crocodile の綴字の変異を,Lilimi さんは登山用語の社会言語学をそれぞれ論じています.mozhi gengo さんは Tokyoite などにみられる接尾辞の記事を,umisio さんは heldio をきっかけとした本との再会や朝ドラを題材とした話題を綴っています.川上さんによる人気シリーズ「「英語のなぜ」やってます通信」も健在です.
 『英語語源ハンドブック』に取材した記事も豊富です.ari さんは「HEEシリーズ」として,また ykagata さんも「『英語語源ハンドブック』にこじつけて学ぶドイツ語」シリーズとして,豊かな話題を提供してくださっています.著者の1人として感謝を申し上げます.
 個別の寄稿も非常に充実しています.「無職さん」こと佐久間さんは,歯科医史からみた tooth 類の語源や診療科名の語源など,専門分野と英語史を結びつけたユニークな記事を3本寄せています.ari さんは先の特集・連載に加えて,日常的な話題から英語史クイズ,古英語学習ノートに至るまで,縦横無尽に記事をお書きです.川上さんは,法助動詞の連続がなぜ許されないかという問題に迫っています.mozhi gengo さんも,いつものように語源解き明かしを中心に知的好奇心をくすぐる記事を多数執筆されいます.
 金田拓さんによる Francis Bacon の Essays 精読ノートは必読です.umisio さんは,NHK の「チコちゃんに叱られる!」の出演者(←誰?)に関する話題を含め,いつもながらの融通無碍な記事を寄稿されています.ykagata さんによる,ドイツ語の nicht müssen に関する徹底的な調査報告も読み応えがあります.
 最後に,Grace さんによる helwa の活動報告と,umisio さんによる編集後記で今号が締めくくられています.まさに知の饗宴.ぜひ隅々までお楽しみください.
 今号もこれだけの充実した内容が揃ったのは,ひとえに編集委員として尽力されている Grace さん,Lilimi さん,Misato さん,umisio さんのおかげです.この場を借りて心より感謝申し上げます.
 今号については,heldio でも「#1584. Helvillian 10月号が公開! --- 特集は「ことばにまつわる大人の自由研究【helwaコンテンツ2025】」」としてご紹介しています.ぜひお聴きいただければ.


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2025-10-01 Wed

#6001. heldio 2025年第3四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 10月7日までオープン [voicy][heldio][notice][link][ranking]


 3ヶ月に一度の恒例企画となっていますが,本ブログの音声版・姉妹版というべき毎朝配信の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」より,今年の第3四半期にお届けしてきた配信回(全92回)のなかからベスト回を決めるリスナー投票イベントを開催しています.1人10票まで投票できます.投票会場は10月7日(火)23:59 までオープンしています(あるいは以下のQRコードよりどうぞ).この機会に聴き逃した過去配信回を聴取いただき,じっくり選んでいただければと思います.


heldio 2025年第3四半期のベスト回を決めるリスナー投票





 各配信回へのアクセスは,本記事末尾の一覧あるいは音声コンテンツ一覧よりどうぞ.7月1日配信の「#1493. 知覚動詞構文と知覚の直接性について --- 名古屋オフ会で村岡宗一郎さんと対談」 (2025/07/01) から9月30日配信の「#1584. Helvillian 10月号が公開! --- 特集は「ことばにまつわる大人の自由研究【helwa コンテンツ2025】」」 (2025/09/30) までの92回分が投票の対象となります.
 今朝,同じ投票を呼びかける「#1586. heldio 2025年第3四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 10月7日までオープン」を Voicy より配信しました.そちらも合わせてお聴きください.



 過去のリスナー投票企画については,ranking の各記事をご覧ください.



 ・ 「#1493. 知覚動詞構文と知覚の直接性について --- 名古屋オフ会で村岡宗一郎さんと対談」 (2025/07/01)
 ・ 「#1494. Helvillian 7月号が公開! --- 古英語を嗜もう」 (2025/07/02)
 ・ 「#1495. do の不思議を専門家に尋ねる --- 名古屋オフ会に矢冨弘さん登場」 (2025/07/03)
 ・ 「#1496. heldio 2025年第2四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 7月10日までオープン」 (2025/07/04)
 ・ 「#1497. 『英語語源ハンドブック』の重版決定 --- 昨日お昼の緊急生配信より」 (2025/07/05)
 ・ 「#1498. いきなり井上逸兵さんと生配信(のアーカイヴ)」 (2025/07/06)
 ・ 「#1499. 『英語史新聞』第12号が公開されました」 (2025/07/07)
 ・ 「#1500. that 節を語ろう --- 名古屋オフ会より生配信」 (2025/07/08)
 ・ 「#1501. 「主の祈り」で味わう古英語の文体 --- Helvillian 7月号掲載,小河舜さんによる渾身の記事」 (2025/07/09)
 ・ 「#1502. 「21」をどのように表現するか? --- 複合数詞の問題」 (2025/07/10)
 ・ 「#1503. 7月19日(土)午後,朝カルで「深堀り『英語語源ハンドブック』徹底解読術 出版記念・鼎談」を開講します」 (2025/07/11)
 ・ 「#1504. khelf メンバーによる『英語史新聞』第12号の読みどころ紹介」 (2025/07/12)
 ・ 「#1505. heldio 2025年第2四半期のリスナー投票の結果発表」 (2025/07/13)
 ・ 「#1506. 綴字と発音の乖離は歴史の遺産--- 『スペリングの英語史』より」 (2025/07/14)
 ・ 「#1507. またまた嶋田珠巳先生といっしょにコメント返し」 (2025/07/15)
 ・ 「#1508. 『The Japan Times Alpha J』の7月11日号で特別記事を掲載していただいています」 (2025/07/16)
 ・ 「#1509. Mrs. の発音はなぜ「ミスターズ」ではないのか --- khelf ゼミ生高野さんの「英語史コンテンツ」」 (2025/07/17)
 ・ 「#1510. 「辞書」雑談 by khelf メンバー6名」 (2025/07/18)
 ・ 「#1511. 言語はどのように生まれたか --- ゆる言語学ラジオの水野太貴さんの『中央公論』連載「ことばの変化をつかまえる」より」 (2025/07/19)
 ・ 「#1512. 朝カルの『英語語源ハンドブック』著者鼎談の直前収録」 (2025/07/19)
 ・ 「#1513. 「語源は思考の糧である」 --- 小塚語録より」 (2025/07/21)
 ・ 「#1514. 語源論法に要注意」 (2025/07/22)
 ・ 「#1515. 7月26日の朝カル講座 --- 皆で but について考えてみませんか?」 (2025/07/23)
 ・ 「#1516. 語源学者は複数の語源説があるとき,どのようにしてどちらが正しいと判断するのですか?」 (2025/07/24)
 ・ 「#1517. etymography 「語誌学」の妄想」 (2025/07/25)
 ・ 「#1518. 現代英語の but,古英語の ac」 (2025/07/26)
 ・ 「#1519. コメント返し 2025/07/26(Sat)」 (2025/07/27)
 ・ 「#1520. あなたの推し接続詞を教えてください」 (2025/07/28)
 ・ 「#1521. Helvillian 8月号が公開! --- 特集は「辞書からことばの世界をのぞく」」 (2025/07/29)
 ・ 「#1522. 「英語史」の講義を終えて --- 2025年度前期版」 (2025/07/30)
 ・ 「#1523. YouTube での英語史ショート動画シリーズ「helshort」をゆるゆると始めています」 (2025/07/31)
 ・ 「#1524. khelf の英語史専攻大学院生の平均注目年代は?」 (2025/08/01)
 ・ 「#1525. 本日は「プチ英語史ライヴ from 横浜」で英語史漬け」 (2025/08/02)
 ・ 「#1526. 「あなたの推し接続詞」を語る回 --- プチ英語史ライヴ from 横浜」 (2025/08/03)
 ・ 「#1527. crocodile の怪 --- lacolaco さんと語源学を語る(プチ英語史ライヴ from 横浜)」 (2025/08/04)
 ・ 「#1528. 『英語語源ハンドブック』重版出来 --- 本書のLPを作りました」 (2025/08/05)
 ・ 「#1529. あなたの『英語語源ハンドブック』の推しの項目は? (1) --- プチ英語史ライヴ from 横浜」 (2025/08/06)
 ・ 「#1530. あなたの『英語語源ハンドブック』の推しの項目は? (2) --- プチ英語史ライヴ from 横浜」 (2025/08/07)
 ・ 「#1531. あなたの『英語語源ハンドブック』の推しの項目は? (3) --- プチ英語史ライヴ from 横浜」 (2025/08/08)
 ・ 「#1532. Helvillian 8月号の紹介 by 編集委員 --- プチ英語史ライヴ from 横浜」 (2025/08/09)
 ・ 「#1533. Wulfstan 版「主の祈り」で古英語音読 --- プチ英語史ライヴ from 横浜」 (2025/08/10)
 ・ 「#1534. 10人で千本ノック --- プチ英語史ライヴ from 横浜」 (2025/08/11)
 ・ 「#1535. 笑,草,gaers を考える --- 北澤茉奈さんとの対談」 (2025/08/12)
 ・ 「#1536. 『英語語源ハンドブック』の著者の1人小塚良孝さんが ZIP-FM に出演!」 (2025/08/13)
 ・ 「#1537. I と my/me/mine は補充法 --- 『英語教育』9月号に『英語語源ハンドブック』の書評が掲載されました」 (2025/08/14)
 ・ 「#1538. 『英語語源ハンドブック』の宴 --- 「いのほた言語学チャンネル」最新回より」 (2025/08/15)
 ・ 「#1539. 8月23日の朝カル講座 --- guy で味わう英語史」 (2025/08/16)
 ・ 「#1540. リスナーの皆さんの「推し接続詞」を紹介します」 (2025/08/17)
 ・ 「#1541. 英語史を通じて接続詞はどんどん増えてきた」 (2025/08/18)
 ・ 「#1542. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第19弾」 (2025/08/19)
 ・ 「#1543. 今日から1週間,夏期スクーリング「英語史」」 (2025/08/20)
 ・ 「#1544. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック for 夏スク「英語史」(前編)」 (2025/08/21)
 ・ 「#1545. 「グリムの法則」は本当はラスクが見つけていた」 (2025/08/22)
 ・ 「#1546. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (62-1) The Earlier Influence of Christianity on the Vocabulary」 (2025/08/23)
 ・ 「#1547. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック for 夏スク「英語史」(後編)」 (2025/08/24)
 ・ 「#1548. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (62-2) The Earlier Influence of Christianity on the Vocabulary」 (2025/08/25)
 ・ 「#1549. 『英語語源ハンドブック』正誤表の公開,そして yes の語源」 (2025/08/26)
 ・ 「#1550. 夏スク「英語史」が終わりました」 (2025/08/27)
 ・ 「#1551. 「文藝春秋PLUS」で再び英語史をお話ししてきました」 (2025/08/28)
 ・ 「#1552. Helvillian 9月号が公開! --- 特集は「ことばにまつわる大人の自由研究」」 (2025/08/29)
 ・ 「#1553. 9月13日(土)に「英語史ライヴ2025」を開催します」 (2025/08/30)
 ・ 「#1554. 昨日の朝日サンヤツに『英語語源ハンドブック』が掲載 --- そして英語史ライヴ (live) の語源」 (2025/08/31)
 ・ 「#1555. 英語の規範はいかにしてできたのか? --- 昨日 Mond に寄せられた疑問に回答しました」 (2025/09/01)
 ・ 「#1556. khelf 寺澤志帆さんの「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」が好調です --- RSS も用意されています」 (2025/09/02)
 ・ 「#1557. 日本音声学会の音声学セミナーで「現代英語の発音と「大母音推移」」をお話しします」 (2025/09/03)
 ・ 「#1558. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第20弾」 (2025/09/04)
 ・ 「#1559. 10月15日に「いのほた本」が出ます! --- ご予約はちょっとお待ちいただければ」 (2025/09/05)
 ・ 「#1560. 1週間後は「英語史ライヴ2025」 --- 特設ページもご覧ください」 (2025/09/06)
 ・ 「#1561. OED の使い道を考える with 泉類尚貴さん --- プチ英語史ライヴ from 横浜」 (2025/09/07)
 ・ 「#1562. 「英語史ライヴ2025」の千本ノックのための英語に関する素朴な疑問を募集」 (2025/09/08)
 ・ 「#1563. life/live ペアの怪について」 (2025/09/09)
 ・ 「#1564. 苅部恒徳(編著)『英語固有名詞語源小辞典』(研究社,2011年)」 (2025/09/10)
 ・ 「#1565. 「英語史ライヴ2025」が明後日に迫りました --- 裏で起こっていることをチラッと」 (2025/09/11)
 ・ 「#1566. 英語史の用語辞典? --- まずは『英語学・言語学用語辞典』を紹介します」 (2025/09/12)
 ・ 「#1567. 「英語史ライヴ2025 by khelf & helwa」が始まります」 (2025/09/13)
 ・ 「#1568. 「英語史ライヴ2025」が終わった帰りの電車で --- 小河舜さん&まさにゃん」 (2025/09/14)
 ・ 「#1569. 「いのほたなぜ」予約爆撃アワー --- 「英語史ライヴ2025」より」 (2025/09/15)
 ・ 「#1570. ゼミ合宿飲み会で,継続こそがすべてという話しをしました」 (2025/09/16)
 ・ 「#1571. khelf 大学院生の研究テーマ」 (2025/09/17)
 ・ 「#1572. 「いのほたなぜ」が英語部門で第2位をマーク --- 超ざっくり英語史年表もついています」 (2025/09/18)
 ・ 「#1573. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (62-3) with Taku さん --- 「英語史ライヴ2025」より」 (2025/09/19)
 ・ 「#1574. "English" という英単語について思いをめぐらせたことはありますか? --- 9月27日の朝カル講座」 (2025/09/20)
 ・ 「#1575. おかげさまで『英語語源ハンドブック』の再重版決定! --- 用語解説の「大母音推移」を読んでみます」 (2025/09/21)
 ・ 「#1576. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック with 小河舜さん --- 「英語史ライヴ2025」より」 (2025/09/22)
 ・ 「#1577. helwa メンバー発信!中高生のあなたへ,私は今こうやって英語(外国語)とつきあっています --- 「英語史ライヴ2025」より」 (2025/09/23)
 ・ 「#1578. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第21弾」 (2025/09/24)
 ・ 「#1579. 「大母音推移」は解体していくのか? --- 9月28日(日)の音声学セミナーに向けて」 (2025/09/25)
 ・ 「#1580. 「ゆる言語学ラジオ」『ターゲット1900』回にお邪魔してきました」 (2025/09/26)
 ・ 「#1581. 歯科医学×英語史 with 無職さん --- 「英語史ライヴ2025」より」 (2025/09/27)
 ・ 「#1582. 『英語語源ハンドブック』にこじつけて学ぶドイツ語 with ykagata さん --- 「英語史ライヴ2025」より」 (2025/09/28)
 ・ 「#1583. alligator でワニワニパニック --- khelf 寺澤志帆さんと語る」 (2025/09/29)
 ・ 「#1584. Helvillian 10月号が公開! --- 特集は「ことばにまつわる大人の自由研究【helwaコンテンツ2025】」」 (2025/09/30)



Referrer (Inside): [2025-11-10-1] [2025-10-11-1]

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2025-09-19 Fri

#5989. B&C の第62節 "The Earlier Influence of Christianity on the Vocabulary" (3) --- Taku さんとの超精読会 [bchel][latin][borrowing][christianity][link][voicy][heldio][anglo-saxon][history][helmate][oe][hellive2025]



 先日 Voicy heldio でお届けした「#1548. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (62-2) The Earlier Influence of Christianity on the Vocabulary」の続編を,今朝アーカイヴより配信しました.「#1573. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (62-3) with Taku さん --- 「英語史ライヴ2025」より」です.これは去る9月13日(土)の「英語史ライヴ2025」にて,朝の7時過ぎから生配信でお届けしたものです.
 今回の超精読会も前回と同様に,ヘルメイトの Taku さんこと金田拓さん(帝京科学大学)に司会を務めていただきました.現場には,私のほか数名のヘルメイトもギャラリーとして参加しており,早朝からの熱い精読会となっています.40分ほどの時間をかけて,18文ほどを読み進めました.2人の精読にかける熱い想いを汲み取りつつ,ぜひお付き合いいただければ.
 以下に,精読対象の英文を掲載します(Baugh and Cable, pp. 81--82) .

It is obvious that the most typical as well as the most numerous class of words introduced by the new religion would have to do with that religion and the details of its external organization. Words are generally taken over by one language from another in answer to a definite need. They are adopted because they express ideas that are new or because they are so intimately associated with an object or a concept that acceptance of the thing involves acceptance also of the word. A few words relating to Christianity such as church and bishop were, as we have seen, borrowed earlier. The Anglo-Saxons had doubtless plundered churches and come in contact with bishops before they came to England. But the great majority of words in Old English having to do with the church and its services, its physical fabric and its ministers, when not of native origin were borrowed at this time. Because most of these words have survived in only slightly altered form in Modern English, the examples may be given in their modern form. The list includes abbot, alms, altar, angel, anthem, Arian, ark, candle, canon, chalice, cleric, cowl, deacon, disciple, epistle, hymn, litany, manna, martyr, mass, minster, noon, nun, offer, organ, pall, palm, pope, priest, provost, psalm, psalter, relic, rule, shrift, shrive, shrive, stole, subdeacon, synod, temple, and tunic. Some of these were reintroduced later.


 B&C読書会の過去回については「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) をご覧ください.今後もゆっくりペースですが,続けていきます.ぜひ本書を入手し,超精読にお付き合いいただければ.


Baugh, Albert C. and Thomas Cable. ''A History of the English Language''. 6th ed. London: Routledge, 2013.


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2025-09-08 Mon

#5978. ONZE --- Origins of New Zealand English Project [link][new_zealand_english][variety][language_change][bibliography]

 ニュージーランド英語 (new_zealand_english) の起源を探る調査が1980年代後半から活発化してきている.その中心的な役割を果たしてきたのが ONZE (Origins of New Zealand English Project) というプロジェクトだ.ニュージーランドのカンタベリ大学が拠点となっている.
 Williams (1998--99) による簡単な紹介を読んでみよう.

For the origins of the New Zealand accent, a unique set of data are available in the form of recordings made throughout rural New Zealand in the 1940s, among them some of the first New-Zealand-born speakers of English which allowed people on the Origins of New Zealand English Project (ONZE n.d.) to document the embryonic stages of the New Zealand accent.


 ONZE の調査とその成果については,Gordon (et al.) や Trudgill の一連の研究が詳しい.以下に主要な論著の書誌を挙げておく.

 ・ Gordon, Elizabeth. "That Colonial Twang: New Zealand Speech and New Zealand Identity." Culture and Identity in New Zealand. Ed. David Novitz and Bill Willmott. Wellington: GP Books, 1989. 77--90.
 ・ Gordon, Elizabeth. "The Origins of New Zealand Speech: The Limits of Recovering Historical Information from Written Records." English World-Wide 19(19): 61--85.
 ・ Gordon, Elizabeth and Andrea Sudbury. "The History of Southern Hemisphere Englishes." Alternative Histories of English. Ed. Richard Watts and Peter Trudgill. London: Routledge, 2002. 67--86.
 ・ Gordon, Elizabeth, Lyle Campbell, Jennifer Hay, Margaret MacLagan, Andrea Sudbury, and Peter Trudgill. New Zealand English: Its Origins and Evolution. Cambridge/New York: Cambridge UP, 2004.
 ・ Trudgill, Peter. Dialects in Contact. Oxford: Blackwell, 1986.
 ・ Trudgill, Peter. "A Window on the Past: 'Colonial Lag' and New Zealand Evidence for the Phonology of Nineteenth-Century English." American Speech 74(3): 227--39.
 ・ Trudgill, Peter. New Dialect Formation: The Inevitability of Colonial Englishes. Edinburgh: Edinburgh UP, 2004.
 ・ Trudgill, Peter, Elizabeth Gordon, Gillian Lewis, and Margaret Maclagan. "Determinism in New-Dialect Formation and the Genesis of New Zealand English." Journal of Linguistics 36: 299--318.

 ・ Williams, Colin H. "Varieties of English: Australian/New Zealand English." Chapter 127 of English Historical Linguistics: An International Handbook. 2 vols. Ed. Alexander Bergs and Laurel J. Brinton. Berlin: Mouton de Gruyter, 2012. 1995--2012.

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2025-09-07 Sun

#5977. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第5回「guy --- 人名からカラフルな意味変化を遂げた語」をマインドマップ化してみました [asacul][mindmap][notice][kdee][hee][etymology][hel_education][link][personal_pronoun][eponym][grammaticalisation][semantic_change]

 8月23日(土)に,今年度の朝日カルチャーセンターのシリーズ講座「歴史上もっとも不思議な英単語」の第5回(夏期クールとしては第2回)となる「guy --- 人名からカラフルな意味変化を遂げた語」が,新宿教室にて開講されました.
 講座と関連して,事前に Voicy heldio にて「#1539. 8月23日の朝カル講座 --- guy で味わう英語史」を配信しました.
 この第5回講座の内容を markmap によりマインドマップ化して整理しました(画像をクリックして拡大).復習用にご参照ください.


lib/asacul_most_attractive_words_in_hel_05_20250823_mindmap_large.png



 なお,この朝カル講座のシリーズの第1回から第3回についてもマインドマップを作成しています.

 ・ 「#5857. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第1回「she --- 語源論争の絶えない代名詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-05-10-1])
 ・ 「#5887. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第2回「through --- あまりに多様な綴字をもつ語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-06-09-1])
 ・ 「#5915. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第3回「autumn --- 類義語に揉み続けられてきた季節語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-07-07-1])
 ・ 「#5949. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第4回「but --- きわめつきの多義の接続詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-08-10-1])

 シリーズの次回,第6回は,9月27日(土)に「English --- 慣れ親しんだ単語をどこまでも深掘りする」と題して開講されます.ご関心のある方は,ぜひ朝日カルチャーセンター新宿教室の公式HPより詳細をご確認の上,お申し込みいただければ.

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2025-08-31 Sun

#5970. ウェブ月刊誌 Helvillian の9月号が公開されました [helwa][heldio][notice][helmate][helkatsu][helvillian][link][hee][helwa_contents_for_hellive2024][hellive2024][hellive2025][petit_hellive_from_yokohama]


helvillian_202509.png



 去る8月28日,helwa メンバー有志が note 上で毎月共同制作している hel活 (helkatsu) ウェブマガジン『月刊 Helvillian 〜ハロー!英語史』の2025年9月号が公開されました.これで通算第11号となり,月刊誌として着実に歩みを進めています.
 今号の「表紙のことば」は,編集委員の1人でもある umisio さんによるものです.美しい五島列島の風景写真とともに,心温まるエッセイが添えられています.このような素晴らしい土地から helwa の活動にも加わっていただいていることに,改めて感謝の念が湧きます.
 今号の特集は「言葉にまつわる大人の自由研究【helwaコンテンツ2024】」です.これは昨夏に helmate 有志の方々から寄せられたコンテンツ群を改めて紹介するもので,いずれも読み応えのある珠玉の論考ばかりです.1年前の夏の盛り上がりを追体験できるとともに,来たる9月13日(土)に開催を控える「英語史ライブ2025」への期待感を高める企画ともなっています.
 特集はもう1つあります.8月上旬に横浜で開催した「プチ英語史ライヴ from 横浜」のルポです.私から寄稿させていただきましたが,当日の楽しい収録回の雰囲気が伝わる記事になっているかと思います.
 さらに今号では,6月に出版された『英語語源ハンドブック』に関連するコンテンツも充実しています.特に注目すべきは,ykagata さんによる新シリーズ「新しい語源ハンドブックにこじつけて学ぶドイツ語」で,英語史とドイツ語の繋がりを学ぶことのできる,知的好奇心をそそる内容です.
 お馴染みとなった連載執筆陣も健在です.川上さんの「やってます通信」,lacolaco さんの「英語語源辞典通読ノート」,みーさんの「教室日誌」などが並びます.常連の寄稿者である Grace さん,ari さん,camin さん,mozhi gengo さんらの記事も必読です.camin さん(片山幹生さん)による「日本語で読めるフランス語史の本」は,フランス語や英仏対照言語史に関心のある方にとって貴重な文献リストです.
 巻末は,Grace さんによる「Helwa のあゆみ/活動報告(2025年9月)」と,編集委員4名(umisio さん,Galois さん,Lilimi さん,Grace さん)による座談会風の「Helvillian 編集後記(2025年9月)」で締めくくられます.編集後記では,helwa 内で静かなキーワードとなっている「五島オフ会」の話題で盛り上がっており,helwa コミュニティの未来に向けた夢が語られています.
 月刊 Helvillian は,helwa コミュニティによる活発な hel活の賜物です.ぜひ多くの皆さんに Voicy プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」のメンバーになっていただき,hel活に参加いただければ幸いです.
 Helvillian のバックナンバーはこちらのページにまとまっています.hellog の helvillian タグのついた各記事もお読みください.
 今号については,heldio でも「#1552. Helvillian 9月号が公開! --- 特集は「ことばにまつわる大人の自由研究」」としてご紹介しています.ぜひお聴きください


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2025-08-25 Mon

#5964. B&C の第62節 "The Earlier Influence of Christianity on the Vocabulary" (2) --- Taku さんとの超精読会 [bchel][latin][borrowing][christianity][link][voicy][heldio][anglo-saxon][history][helmate][oe]



 一昨日に Voicy heldio でお届けした「#1546. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (62-1) The Earlier Influence of Christianity on the Vocabulary」の続編を,今朝こちらのアーカイヴより配信しました.
 同著の第62節の第1段落の後半部分,But で始まる部分から段落終わりまでを,ヘルメイトの Taku さんこと金田拓さん(帝京科学大学)と超精読しています.21分ほどの時間をかけて,じっくりと10行半ほど読み進めました.2人のおしゃべり,蘊蓄,精読にかける熱い想いを汲み取っていただければ幸いです.
 精読対象の英文を,前回取り上げた箇所も含めて掲載します(Baugh and Cable, p. 81) .ぜひ超精読にお付き合いください.

62. The Earlier Influence of Christianity on the Vocabulary.
From the introduction of Christianity in 597 to the close of the Old English period is a stretch of more than 500 years. During all this time Latin words must have been making their way gradually into the English language. It is likely that the first wave of religious feeling that resulted from the missionary zeal of the seventh century, and that is reflected in intense activity in church building and the establishing of monasteries during this century, was responsible also for the rapid importation of Latin words into the vocabulary. The many new conceptions that followed in the train of the new religion would naturally demand expression and would at times find the resources of the language inadequate. But it would be a mistake to think that the enrichment of the vocabulary that now took place occurred overnight. Some words came in almost immediately, others only at the end of this period. In fact, it is fairly easy to divide the Latin borrowings of the Second Period into two groups, more or less equal in size but quite different in character. The one group represents words whose phonetic form shows that they were borrowed early and whose early adoption is attested also by the fact that they had found their way into literature by the time of Alfred. The other contains words of a more learned character first recorded in the tenth and eleventh centuries and owing their introduction clearly to the religious revival that accompanied the Benedictine Reform. It will be well to consider them separately.


 B&C読書会の過去回については「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) をご覧ください.今後もゆっくりペースですが,続けていきます.ぜひ本書を入手し,超精読にお付き合いいただければ.


Baugh, Albert C. and Thomas Cable. ''A History of the English Language''. 6th ed. London: Routledge, 2013.


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2025-08-23 Sat

#5962. B&C の第62節 "The Earlier Influence of Christianity on the Vocabulary" (1) --- Taku さんとの超精読会 [bchel][latin][borrowing][christianity][link][voicy][heldio][anglo-saxon][history][helmate][oe]



 今朝の Voicy heldio で「#1546. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (62-1) The Earlier Influence of Christianity on the Vocabulary」を配信しました.一昨日,ヘルメイトの Taku さんこと金田拓さん(帝京科学大学)とともに,久しぶりの Baugh and Cable 超精読会を開きました.1時間を越える熱い読書会となりましたが,1時間以上をかけて読み進めたのは第62節の第1段落のみです.その豊かな読解の時間を heldio 収録してあります.その様子を,前編と後編の2回に分けて,heldio アーカイヴとして配信します.
 第62節では,古英語期の比較的早い時期におけるラテン語からの語彙的影響について,具体例とともに論じられています.精読を味わうとともに,2人のおしゃべりも楽しみながら,古英語とラテン語の関係に思いを馳せてみてください.
 今朝の配信回で対象とした部分のテキスト(Baugh and Cable, p. 81) を以下に掲載しますので,超精読にお付き合いいただければ.

62. The Earlier Influence of Christianity on the Vocabulary.
From the introduction of Christianity in 597 to the close of the Old English period is a stretch of more than 500 years. During all this time Latin words must have been making their way gradually into the English language. It is likely that the first wave of religious feeling that resulted from the missionary zeal of the seventh century, and that is reflected in intense activity in church building and the establishing of monasteries during this century, was responsible also for the rapid importation of Latin words into the vocabulary. The many new conceptions that followed in the train of the new religion would naturally demand expression and would at times find the resources of the language inadequate.


 B&C読書会の過去回については「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) をご覧ください.


Baugh, Albert C. and Thomas Cable. ''A History of the English Language''. 6th ed. London: Routledge, 2013.



 ・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.

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2025-08-20 Wed

#5959. 2025年度の夏期スクーリング「英語史」講義が始まります [hel_education][hellog][heldio][hellog_entry_set][link][helkatsu][notice][khelf][inohota][hel_herald]

 本日,慶應義塾大学通信教育課程の夏期スクーリング科目「英語史」が開講されます.来週の月曜日までの6日間にわたる集中講義です.
 本日の初回講義では,本ブログの記事を組み合わせながら英語史の世界への導入を図ります.履修生の皆さんは,いつでもこちらの記事に戻ってきてください.また,この記事と同趣旨で「英語史夏期スクーリング 2025」という見やすい特設HPも用意しましたので,そちらもお気に入り等に登録してご参照ください.



1. イントロ
   1.1. 不定冠詞 aan について: 「#831. Why "an apple"?」 ([2011-08-06-1]),heldio 「#1. なぜ A pen なのに AN apple なの?」
   1.2. 「英語史」講義担当者の紹介: note 「堀田隆一のプロフィール」heldio 「#1171. 自己紹介 --- 英語史研究者の堀田隆一です」,「#2. 自己紹介」 ([2009-05-01-2])
2. 英語史の世界へようこそ
   2.1. 英語史の魅力4点: 「#4546. 新学期の始まりに,英語史の学び方」 ([2021-10-07-1])
      (1) 英語の見方が180度変わる
      (2) 英語と歴史(社会科)がミックスした不思議な感覚の科目
      (3) 素朴な疑問こそがおもしろい
      (4) 現代英語に戻ってくる英語史
   2.2. 「#4361. 英語史は「英語の歴史」というよりも「英語と歴史」」 ([2021-04-05-1]): 魅力 (2) に通じます
   2.3. 「なぜ英語史を学ぶのか」の記事セット: 様々な角度から「なぜ学ぶのか」を検討してみました(cf. heldio 「#444. 英語史を学ぶとこんなに良いことがある!」heldio 「#112. 英語史って何のため?」でも取り上げています)
3. 英語に関する素朴な疑問
   3.1. 「#1093. 英語に関する素朴な疑問を募集」 ([2012-04-24-1]): 魅力 (3) に通じます
   3.2. 3166件の素朴な疑問
   3.3. これまで hellog で取り上げてきた素朴な疑問集
   3.4. 知識共有サービス「Mond」で英語・言語に関する素朴な疑問に回答しています
4. 英語史を日常の風景に
   4.1. 「#5097. hellog の読み方(2023年度版)」 ([2023-04-11-1]): 2009年5月1日より毎日更新している英語史のブログです.この hellog の効果的な使い方の tips をどうぞ.合わせて「#5728. 2024年 hellog でよく読まれた記事ベスト50」 ([2025-01-01-1]) もご覧ください.
   4.2. 音声コンテンツ一覧 (heldio & hellog-radio): hellog の音声版というべき Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) .2021年6月2日より毎朝6時に1本10--20分ほどで英語史の話題をお届けしています.日々の英語史の学びのためにフォローしてください.英語史の話題が日常になります.「#5093. heldio の聴き方(2023年度版)」 ([2023-04-07-1]),「#5727. 2024年 heldio 配信でよく聴かれた回ベスト30」 ([2024-12-31-1]),「#5098. 英語史を学び始めようと思っている方へ hellog と heldio のお薦め回一覧(2023年度版)」 ([2023-04-12-1]),「#5921. リスナー投票による heldio 2025年第2四半期のランキング」 ([2025-07-13-1]) も参照.
   4.3. 「#5091. khelf の沿革,活動実績,ミッションステートメント」 ([2023-04-05-1]): khelf HP,公式 X アカウント @khelf_keio,公式 Instagram アカウント @khelf_keio より情報を発信しています.
   4.4. 「#5917. 『英語史新聞』第12号が公開されました」 ([2025-07-09-1]): 世界初の英語史を主題とする新聞の第12号です.
   4.5. khelf イベント2025年度版「英語史コンテンツ50」が展開中です: 今年6月20日より休日を除く毎日,英語史を専攻する通学課程のゼミ生・院生,通信課程の卒業生を中心とする khelf メンバーから手軽に読める「英語史コンテンツ」がウェブ上にアップされてきます.上記だけでは足りないという方は,過年度の同企画もどうぞ.
   4.6. 「いのほた言語学チャンネル」(旧「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」): 2022年2月26日より同専攻の井上逸兵先生(英語学・言語学)と一緒に週2回(水)と(日)の午後6時に動画を公開しています
5. 講義の進め方
   5.1. 講義スライド(パスワード付きPDF),テキスト,リアクションペーパー提出課題,試験,評価について
   5.2. 指定テキストは拙著『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』(研究社,2016年).本書のコンパニオン・サイトもあります.
   5.3. 英語史の読書案内:「#5830. 英語史概説書等の書誌(2025度版)」 ([2025-04-13-1]),「#4557. 「英語史への招待:入門書10選」」 ([2021-10-18-1]),heldio 「対談 英語史の入門書」
   5.4. 過年度の「英語史」履修生の言葉: 「#5939. 2025年度前期,英語史の授業を通じて何を学びましたか?」 ([2025-07-31-1]),「#5393. 2023年度,1年間の「英語史」の講義を終えて」 ([2024-02-01-1]),heldio 「#974. 1年間の「英語史」の講義を終えて --- 2023年度版」
6. 履修生よりライヴで寄せられた英語の素朴な疑問に即興で答える「千本ノック」




 以上,スクーリングの1週間,そしてその後も,知的興奮に満ちた英語史ライフをお楽しみください! 関連して「#5593. 2024年度の夏期スクーリング「英語史」講義が始まります」 ([2024-08-19-1]) もどうぞ.
 なぜ英語史を学ぶのか.迷ったら,まず「#444. 英語史を学ぶとこんなに良いことがある!」を.


Referrer (Inside): [2025-08-21-1]

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2025-08-11 Mon

#5950. ウェブ月刊誌 Helvillian の8月号が公開されました [helwa][heldio][notice][helmate][helkatsu][helvillian][link][hee][dictionary][lexicography][gcs]


Helvillian_202508.png



 7月28日,helwa のメンバー有志が note 上で毎月制作している hel活 (helkatsu) ウェブマガジン『月刊 Helvillian 〜ハロー!英語史』の2025年8月号が公開されています.毎月順調に続いており,今号で通算第10号となります.
 表紙のことばは,コアリスナーの Ko さんの手筒花火の写真とエッセイ.三河で約450年の歴史をもつ伝統行事とのことです.盛夏を感じさせます.行事も熱い,hel活も熱い!
 続いて今号の特集.「辞書からことばの世界をのぞく」と題して,辞書 (dictionary) や辞書学 (lexicography) に関して書かれた記事が寄せ集められています.その筆頭を飾るのは,英語史研究者泉類尚貴さん(関東学院大学)による「OED の弱点?:構文研究を例に」です.大補文推移 (Great Complement Shift; gcs) を例題として,OED をコーパスとして用いることの是非を論じています.その後,川上さん,mozhi gengo さん,ari さんからの特集に関連する複数の記事が続きます.
 今号の特集の2つめは6月29日に開催された「名古屋オフ会」です.オフ会をもろもろ手配していただいた Lilimi さんによるルポ,および私自身のルポが掲載されています(掲載していただきありがとうございます!).
 今号は,『英語語源ハンドブック』刊行直後の時期に制作が始まったため,同書についても多くの記事を寄せていただきました.著者の1人として,盛り上げに貢献いただきまして感謝申し上げます.ari さん,り~みんさん,mozhi gengo さん,金田拓さん,umisio さんによる寄稿がありました.
 連載やその他のレギュラー記事も健在です.みーさんの「教室日誌」,camin さんの "faux amis" シリーズ,ari さんの英語史・英語教育ブログ,川上さんの「素朴な疑問」記事,mozhi gengo さんの印欧語ブログ(そろそろこう呼んでよいですね)などの記事群です.また,しーさんの「英語の語源を立体的に楽しむ方法」は,私自身が掲げている「英語史探求の3点セット」の有効な使い方を披露してくださっています.金田拓さんの「Helvillian 7月号を読んで,古英語世界に足を踏み入れよう!」は Helvillian と古英語へのエールです.umisio さんによる記事「ito エンジョイ2回目」は,カードゲーム ito の魅力を改めて伝えています.
 今号の締めくくりは,Galois さんによる「Helwa のあゆみ/活動報告(2025年8月)」「Helvillian 編集後記(2025年8月)」です.helwa 周辺のhel活の過去,現在,未来が展望されています.
 月刊 Helvillian は,helwa コミュニティによる活発なhel活の賜物です.ぜひ多くの皆さんに Voicy プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」のメンバーになっていただき,hel活に参加いただければ幸いです.
 Helvillian のバックナンバーはこちらのページにまとまっています.hellog の helvillian タグのついた各記事もお読みください.
 今号については,Voicy heldio でも2回ほどご紹介しています.とりわけ後者は編集員や寄稿者との直々の対談となっていますので,ぜひお聴きください.

 ・ 「#1521. Helvillian 8月号が公開! --- 特集は「辞書からことばの世界をのぞく」
 ・ 「#1532. Helvillian 8月号の紹介 by 編集委員 --- プチ英語史ライヴ from 横浜」


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2025-08-10 Sun

#5949. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第4回「but --- きわめつきの多義の接続詞」をマインドマップ化してみました [asacul][mindmap][notice][kdee][hee][etymology][hel_education][lexicology][but][conjunction][adverb][preposition][conversion][pragmatics][link]

 7月26日(土)に,今年度の朝日カルチャーセンターのシリーズ講座「歴史上もっとも不思議な英単語」の第4回(夏期クールとしては第1回)となる「but --- きわめつきの多義の接続詞」が,新宿教室にて開講されました.
 講座と関連して,事前に Voicy heldio にて「#1515. 7月26日の朝カル講座 --- 皆で but について考えてみませんか?」「#1518. 現代英語の but,古英語の ac」を配信しました.
 この第4回講座の内容を markmap というウェブツールによりマインドマップ化して整理しました(画像をクリックして拡大).復習用にご参照ください.


lib/asacul_most_attractive_words_in_hel_04_20250726_mindmap_large.png



 なお,この朝カル講座のシリーズの第1回から第3回についてもマインドマップを作成しています.

 ・ 「#5857. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第1回「she --- 語源論争の絶えない代名詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-05-10-1])
 ・ 「#5887. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第2回「through --- あまりに多様な綴字をもつ語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-06-09-1])
 ・ 「#5915. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第3回「autumn --- 類義語に揉み続けられてきた季節語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-07-07-1])

 シリーズの次回,第5回は,8月23日(土)に「guy --- 人名からカラフルな意味変化を遂げた語」と題して開講されます.ご関心のある方は,ぜひ朝日カルチャーセンター新宿教室の公式HPより詳細をご確認の上,お申し込みいただければ.

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2025-07-22 Tue

#5930. 7月26日(土),朝カル講座の夏期クール第1回「but --- きわめつきの多義の接続詞」が開講されます [asacul][notice][conjunction][preposition][adverb][polysemy][semantics][pragmatics][syntax][negative][negation][hee][kdee][etymology][hel_education][helkatsu][link]


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 今年度朝日カルチャーセンター新宿教室にて,英語史のシリーズ講座を月に一度の頻度で開講しています.今年度のシリーズのタイトルは「歴史上もっとも不思議な英単語」です.毎回1つ豊かな歴史と含蓄をもつ単語を取り上げ,『英語語源辞典』(研究社)や新刊書『英語語源ハンドブック』(研究社)などの文献を参照しながら,英語史の魅力に迫ります.
 今週末7月26日(土)の回は,夏期クールの初回となります.機能語 but に注目する予定です.BUT,しかし,but だけの講座で90分も持つのでしょうか? まったく心配いりません.but にまつわる話題は,90分では語りきれないほど豊かです.論点を挙げ始めるとキリがないほどです.

 ・ but の起源と発達
 ・ but の多義性および様々な用法(等位接続詞,従属接続詞,前置詞,副詞,名詞,動詞)
 ・ "only" を意味する but の副詞用法の発達をめぐる謎
 ・ but の語用論
 ・ but と否定極性
 ・ but にまつわる数々の誤用(に関する議論)
 ・ but を特徴づける逆接性とは何か
 ・ but と他の接続詞との比較

 but 「しかし」という語とじっくり向き合う機会など,人生のなかでそうそうありません.このまれな機会に,ぜひ一緒に考えてみませんか?
 受講形式は,新宿教室での対面受講に加え,オンライン受講も選択可能です.また,2週間限定の見逃し配信もご利用できます.ご都合のよい方法で参加いただければ幸いです.講座の詳細・お申込みは朝カルのこちらのページよりどうぞ.皆様のエントリーを心よりお待ちしています.

(以下,後記:2025/07/23(Wed))
本講座の予告については heldio にて「#1515. 7月26日の朝カル講座 --- 皆で but について考えてみませんか?」としてお話ししています.ぜひそちらもお聴きください.



 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

Referrer (Inside): [2025-07-26-1] [2025-07-24-1]

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