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lob - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2019-06-18 04:59

2015-09-15 Tue

#2332. EEBO のキーワードを抽出 [eebo][lob][corpus][keyword][text_tool][emode]

 コーパスからキーワードを拾うという分析を,「#317. 拙著で自分マイニング(キーワード編)」 ([2010-03-10-1]),「#518. Singapore English のキーワードを抽出」 ([2010-09-27-1]),「#880. いかにもイギリス英語,いかにもアメリカ英語の単語」 ([2011-09-24-1]) で紹介してきた.今回は初期近代英語を中心的に扱うテキスト・データベース EEBO (Early English Books Online) より,キーワードを拾ってみたい.
 EEBO から個人的に収集した初期近代英語のテキスト集(全11億語以上)に対し,WordSmith の KeyWords 抽出機能を用いた.参照コーパスとしては,現代イギリス英語を代表するものとして LOB コーパスを指定した.本来は参照コーパスのほうがずっと大規模ではなければならないのだが,EEBO が大きすぎるということで,今回は目をつぶっておきたい.狙いは,現代英語と比べて使用頻度の著しく高い初期近代英語の語を拾い出すということである.当時の社会を特徴づける語彙が集まるはずである.
 キーワード性を示す指標の高い順に,500語までのリストがたちどころに得られた.いずれも小文字で示す.

[ Top 100 ]

amp, note, god, and, that, hath, them, christ, shall, haue, thou, they, thy, so, all, our, not, their, upon, doth, vnto, of, unto, his, king, yet, or, hee, eacute, vs, ye, him, lord, thee, which, bee, doe, saith, men, onely, but, vpon, be, nor, de, c, gods, by, faith, holy, great, church, your, o, as, selfe, wee, owne, ad, con, est, things, then, such, therefore, himselfe, may, y, to, sin, grace, cause, tis, us, mr, ther, kings, thereof, let, spirit, man, al, vp, yea, any, this, ac, s, pro, ing, com, thus, e, against, forth, re, shew, whom, l, wherein

[ -- 200 ]

loue, ly, selves, scripture, self, law, st, those, thing, cor, sinne, being, glory, euery, death, good, sonne, true, neuer, whereof, iohn, againe, psal, pope, religion, ed, hym, soule, hast, lib, ex, heaven, agrave, whiche, pray, neither, downe, acirc, tion, quod, my, sed, fore, soul, nature, euen, dayes, is, p, apostles, euer, till, feare, chap, ver, rom, vnder, ma, qui, vse, according, giue, power, ouer, mans, egrave, lesse, se, doctrine, ne, ment, meanes, themselues, shal, d, sins, viz, prince, did, vertue, wicked, honour, earth, ut, blessed, princes, ter, apostle, th, persons, que, thinke, same, others, lords, ought, pag, truth, none, kingdome

[ -- 300 ]

tho, si, cap, goe, if, beene, flesh, et, christs, make, fathers, concerning, reason, body, mercy, selues, enemies, bishops, farre, v, bishop, ar, hearts, wil, likewise, other, rome, name, obedience, en, wise, cum, speake, finde, nay, iesus, we, conscience, manner, non, heart, sinnes, it, yt, hauing, saints, generall, mat, contrary, worke, wit, sayd, whereby, covenant, wherefore, gen, passe, poore, lorde, publick, word, mens, suffer, na, heare, mee, ei, heb, divers, christians, therein, theyr, minde, shalt, bloud, shewed, certaine, vers, un, son, amongst, ibid, ca, jesus, betwixt, quae, scriptures, say, divine, thine, rest, countrey, besides, di, heauen, cannot, qu, therfore, godly, sent

[ -- 400 ]

m, moses, these, christian, called, n, vn, false, should, paul, also, discourse, meane, without, booke, whence, shee, emperour, souls, place, thereby, yeares, tyme, lawes, peace, what, dis, behold, foure, citie, giuen, israel, anno, liberty, thence, gospel, cast, ograve, aboue, souldiers, tooke, sa, priests, gaue, fol, maketh, places, pardon, te, warre, saviour, wayes, saint, thinges, will, themselves, kinde, suche, bene, love, salvation, yeare, towne, spirituall, esse, fa, duke, majesty, brethren, laws, alwayes, workes, ab, lest, for, wrath, wordes, soules, done, sunt, angels, vel, ry, liue, ted, ty, looke, repentance, dr, beare, prayer, keepe, faire, ii, parts, helpe, iudge, no, churches, r

[ -- 500 ]

dy, vsed, prophet, outward, ble, ap, spake, sect, armes, notwithstanding, come, h, naturall, maner, crosse, popes, sayth, pa, papists, whatsoever, gospell, iudgement, writ, noble, hoc, par, sacrifice, dye, worship, ons, af, eternal, leaue, ob, euill, am, sacrament, diuers, both, ghost, quam, lye, yee, comming, secondly, how, iustice, sword, daies, father, vi, before, prayers, bodie, whome, councell, nec, though, faithfull, lawe, humane, aut, wel, mi, hir, iii, worthy, isa, easie, ugrave, nowe, lawfull, ere, seene, priest, glorious, serue, commanded, earle, forme, thither, eternall, prophets, turne, iewes, mo, im, halfe, matth, manifest, wilt, are, words, iust, betweene, affections, ocirc, li, ned, creatures

 対象としたのは EEBO から収集した平テキストであり,そこには多くの注記やタグも含まれている.それを除去するなどの特別なテキスト処理は施していないので,雑音も相当混じっていることに注意したい.実際,1位の amp はタグの一部であり,2位の note も注記を表わす記号と考えてよいので,いずれも無視すべきだが,ここではキーワード抽出結果をそのまま提示することにした.
 現代でも高頻度語ではあるが,初期近代では綴字が異なる hath, haue, doth, hee, vs, bee などが上位に来ることは理解できるだろう.また,現代では古風となっている2人称単数代名詞 thou, thy, thee の顕著なことも理解できる.
 おもしろいのは,現在でも現役ではあるが,それほど顕著ではなくなっている語である.例えば,リストの上位にキリスト教的な語が多いことに気づく.200位以内に限ってざっと拾うだけでも、god, christ, gods, faith, holy, church, grace, spirit, loue, scripture, sinne, glory, death, pope, religion, soule, heaven, pray, soul, apostles, vertue, wicked, honour, blessed, apostle などが挙がる.チューダー朝,スチュアート朝ともに,キリスト教に翻弄され続けた時代だったことも関係するだろう.逆にいえば,現代がいかに世俗化したか,ということでもある.
 綴字としては,無音の <e> の自由な付加・脱落,<u> と <v> 及び <i> と <j> の混在,shall の顕著な使用,ye の残存などが挙げられるだろう (see 「#373. <u> と <v> の分化 (1)」 ([2010-05-05-1]),「#374. <u> と <v> の分化 (2)」 ([2010-05-06-1]); 「#1650. 文字素としての j の独立」 ([2013-11-02-1])) .また,現在では堅苦しい機能語も多い (ex. upon, vnto, nor, therefore, thereof, whereof) .

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2010-09-18 Sat

#509. Dracula に現れる whilst (2) [corpus][lob][brown][bnc][oanc][coca][lmode][conjunction]

 昨日の記事[2010-09-17-1]の続編.Dracula に現れる同時性・対立を表す接続詞の3異形態 while, whilst, whiles の頻度を,20世紀後半以降の英米変種における頻度と比べることによって,この60〜110年くらいの間に起こった言語変化の一端を垣間見たい.用いたコーパスは以下の通り.

 (1) Dracula ( Gutenberg 版テキスト ): 1897年,イギリス英語.
 (2) LOB Corpus ( see also [2010-06-29-1] ): 1961年,イギリス英語.
 (3) BNC ( The British National Corpus ): late twentieth century,イギリス英語.
 (4) Brown Corpus ( see also [2010-06-29-1] ): 1961年,アメリカ英語.
 (5) OANC (Open American National Corpus): 1990年以降,アメリカ英語.
 (6) Corpus of Contemporary American English (BYU-COCA): 1990--2010年,アメリカ英語.

 各コーパスにおける接続詞としての while, whilst, whiles の度数と3者間の相対比率は以下の通り.

 whilewhilstwhiles
(1) Dracula14 (12.61%)95 (85.59%)2 (1.80%)
(2) LOB517 (88.68%)66 (11.32%)0 (0.00%)
(3) BNC48,761 (89.41%)5,773 (10.59%)0 (0.00%)
(4) Brown592 (100.00%)0 (0.00%)0 (0.00%)
(5) OANC7,893 (100.00%)0 (0.00%)0 (0.00%)
(6) COCA246,207 (99.82%)447 (0.18%)0 (0.00%)


 Draculawhilst の比率が異常に高い.はたして同時代のイギリス英語の文語の特徴なのだろうか.この表だけ眺めると,20世紀前半にイギリス英語で whilst が激減し,同世紀後半以降は10%程度で安定したと読める.アメリカ英語では20世紀後半では whilst はほぼ無に等しく,問題にならない.whiles に至っては,関心の発端であった Dracula での2例のみ(他に副詞としては1例あった)で,あとはどこを探しても見つからなかった.しかも,その Dracula の2例というのはいずれも訛りの強い英語を話すオランダ人医師 Van Helsing の口から発せられているもので,同時代イギリス英語でどの程度 spontaneous form であったかは分からない.
 今回の調査はもとより体系的な調査ではない.ジャンルの区別や作家の文体を意識していないし,比較する時代の間隔はたまたま入手可能なコーパスに依存したにすぎない.英米変種での比較というのも思いつきである.しかし,興味深い問いが新たに生まれたので,今後は追跡調査をしてみたい.

 ・ Dracula と同時代の他のイギリス文語では各異形の頻度はどうなのか
 ・ 20世紀前半に whilst が激減したように見えるのは本当なのか,本当だとしたらその背景に何があるのか
 ・ アメリカ英語のより古い段階では whilst はもっと頻度が高かったと考えてよいのか
 ・ whiles はいつ頃まで普通に見られたのか,あるいはそもそも普通に見られる形態ではなかったのか
 ・ the whilethe whilst などの複合形については頻度はどうだったのか

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2010-03-07 Sun

#314. -ise か -ize か (2) [spelling][bre][bnc][lob][flob][corpus][suffix][z]

 [2010-02-26-1]の記事で取りあげた話題の続編.先日の記事では,単語によって比率は異なるものの,イギリス英語では -ise と -ize の両方の綴字が行われることを,BNC に基づいて明らかにした.高頻度20語については,おおむね -ise 綴りのほうが優勢ということだった.
 通時的な観点がいつも気になってしまう性質なので,そこで新たな疑問が生じた.-ise / -ize のこの比率は,過去から現在までに多少なりとも変化しているのだろうか.大昔までさかのぼらないまでも,現代英語の30年間の分布変化だけを見ても有意義な結果が出るかもしれないと思い,1960年代前半のイギリス英語を代表する LOB ( Lancaster-Oslo-Bergen corpus ) と1990年代前半のイギリス英語を代表する FLOB ( Freiburg-LOB corpus ) を比較してみることにした.
 それぞれのコーパスで,前回の記事で取りあげた頻度トップ20の -ise / -ize をもつ動詞について,その変化形(過去形,過去分詞形,三単現の -s 形,-ing(s) )を含めた頻度と頻度比率を出してみた(下表参照).

itemLOB: rate (freq)FLOB: rate (freq)
-ise-ize-ise-ize
recognise59.6% (99)40.4% (67)71.8% (127)28.2% (50)
realise63.2% (134)36.8% (78)68.7% (125)31.3% (57)
organise65.6% (42)34.4% (22)67.2% (43)32.8% (21)
emphasise37.7% (20)62.3% (33)62.9% (39)37.1% (23)
criticise52.0% (13)48.0% (12)80.0% (24)20.0% (6)
characterise0.0% (0)100.0% (4)56.3% (18)43.8% (14)
summarise35.3% (6)64.7% (11)64.7% (11)35.3% (6)
specialise56.3% (18)43.8% (14)81.8% (27)18.2% (6)
apologise68.8% (11)31.3% (5)70.6% (12)29.4% (5)
advertise100.0% (41)0.0% (0)100.0% (55)0.0% (0)
authorise77.4% (24)22.6% (7)68.2% (15)31.8% (7)
minimise90.0% (9)10.0% (1)80.0% (16)20.0% (4)
surprise100.0% (182)0.0% (0)100.0% (173)0.0% (0)
supervise100.0% (10)0.0% (0)100.0% (9)0.0% (0)
utilise70.0% (7)30.0% (3)83.3% (5)16.7% (1)
maximise50.0% (2)50.0% (2)50.0% (9)50.0% (9)
symbolise50.0% (3)50.0% (3)40.0% (4)60.0% (6)
mobilise66.7% (2)33.3% (1)20.0% (1)80.0% (4)
stabilise58.3% (7)41.7% (5)33.3% (3)66.7% (6)
publicise81.8% (9)18.2% (2)84.6% (11)15.4% (2)


 いずれも100万語規模のコーパスなので,トップ20とはいっても下位のほうの語の頻度はそれほど高くない.だが,全体的な印象としては,-ise の綴字が30年のあいだにじわじわと増えてきているようである.頻度比率に大きな変化の見られないものも確かにあるが,著しく伸びたものとして emphasise, criticise, characterise, summarise, specialise などがある.ただ,これはあくまで印象なので,全体的に,あるいは個別の単語について統計的な有意差があるのかどうかは別に検証する必要がある.また,LOB には characterise は一例も例証されないが characterisation は確認されたことからも,動詞だけでなく名詞形の -isation / -ization も合わせて調査する必要がある.さらには,対応するアメリカ英語の状況も調査し,イギリス英語の通時的変化(もしあるとすればであるが)と関係があるのかどうかを探る必要がある.

Referrer (Inside): [2011-12-17-1] [2010-07-17-1]

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