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elf - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2024-07-13 08:07

2023-08-12 Sat

#5220. OED と World Englishes [world_englishes][elf][oed][variety][notice]

 先日 OED Online のインターフェースが突如変更された.見栄えや操作性が大幅に変化したため,毎日のように OED を利用している1ユーザーとしては,かなり戸惑ってしまったし,今もまだ戸惑っている.変更直後には大学院生などと「困ったねぇ」とやりとりしたほとだ.
 ただ,新インターフェースに慣れるために,当てもなくサイトをブラウズしていたら,これまで気づかなかった記事なども多く発見できた.今回紹介する World Englishes の項もその1つだ.
 OED は2028年に初版が出版されて100周年を迎える.その "The OED100 project" に向けて,OED は世界英語への関心を高めていくことに積極的な姿勢を示している.OED の編纂が始まった19世紀後半には,英語はまだ「真の世界語」ではなかった.しかし,現在では英語は17億5千万人の話者人口を擁する(British Council による調査)リンガフランカとして事実上の世界語となっている.とりわけこの100年を振り返ると,世界中で様々な英語の変種が出現し,標準化し,場合によっては規範化される世紀だった.OED も世界英語をめぐるこの急激な変化を反映し,様々な変種で一般的に使われている語句やその発音を積極的に採録していく姿勢を示している.
 上記のページは,OED が World Englishes に関する情報を提供するハブとなっており,リンクの張られているコンテンツを読み視聴していくだけでも,おおいに勉強になるだろう.とりわけページ下部に配置されている,各変種の案内へのリンクは重要である.OED は着実に進化している!


OED: World Englishes


Referrer (Inside): [2023-10-18-1]

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2023-03-05 Sun

#5060. 講座「英語の歴史と世界英語」のシリーズが終了ました [asacul][world_englishes][elf][lingua_franca][link][voicy][heldio]

 昨日3月4日,朝日カルチャーセンター新宿教室にて,シリーズ講座「英語の歴史と世界英語」の最終回となる「21世紀の英語のゆくえ」を対面・オンラインでお話ししました.これにて,昨年6月に始まった全4回にわたるシリーズが終了となりました.毎回質問を寄せ議論を盛り上げてくださったご出席の方々には,感謝申し上げます.ありがとうございました.
 改めてシリーズ全体の趣旨を振り返ります.以下を掲げていました.

 英語は現代世界において最も有力な言語です.しかし,英語の世界的拡大の結果,通常私たちが学んでいる「標準英語」以外にも様々な英語が発達しており,近年はその総体を「世界(諸)英語」 "World Englishes" と呼ぶことが増えてきました.
 この全4回のシリーズでは,世界英語とは何か,英語はいかにしてここまで拡大したのか,英語の方言の起源はどこにあるのか,そして今後の英語はどうなっていくのかといった問題に英語の歴史という視点から迫ります.


 目下,世界は急速に変化しています.このような現代世界において人と人をつなぐリンガ・フランカである英語と,私たちは今後どのように付き合っていけばよいのか.英語史の観点から世界英語に迫った今回のシリーズ講座は,この問題を考える糧となったはずです.
 世界英語 (world_englishes) については,本ブログや Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」でも関連する話題を多くお届けてしてきました.以下では,とりわけ講座と併走しつつ提供してきた記事・放送回を列挙します.復習などに役立てていただければ幸いです.
 なお,来年度は同じ朝日カルチャーセンター新宿教室にて新シリーズ「文字と綴字の英語史」を開始します.こちらについての詳細は近日中に改めてご案内致します.どうぞお楽しみに.

[ 第1回 世界英語入門 (2022年6月11日)]

 ・ hellog 「#4775. 講座「英語の歴史と世界英語 --- 世界英語入門」のシリーズが始まります」 ([2022-05-24-1])
 ・ heldio 「#356. 世界英語入門 --- 朝カル新宿教室で「英語の歴史と世界英語」のシリーズが始まります」
 ・ heldio 「#378. 朝カルで「世界英語入門」を開講しました!」

[ 第2回 いかにして英語は拡大したのか (2022年8月6日)]

 ・ hellog 「#4813. 朝カル講座の第2回「英語の歴史と世界英語 --- いかにして英語は拡大したのか」のご案内」 ([2022-07-01-1])
 ・ heldio 「#393. 朝カル講座の第2回「英語の歴史と世界英語 --- いかにして英語は拡大したのか」」

[ 第3回 英米の英語方言 (2022年10月1日)]

 ・ hellog 「#4875. 朝カル講座の第3回「英語の歴史と世界英語 --- 英米の英語方言」のご案内」 ([2022-09-01-1])
 ・ heldio 「#454. 朝カル講座の第3回「英語の歴史と世界英語 --- 英米の英語方言」」

[ 第4回 21世紀の英語のゆくえ (2022年3月4日)]

 ・ hellog 「#4954. 朝カル講座の第4回(最終回)「英語の歴史と世界英語 --- 21世紀の英語のゆくえ」のご案内」 ([2022-11-19-1])
 ・ hellog 「#5048. heldio で朝カル講座の第4回(最終回)「英語の歴史と世界英語 --- 21世紀の英語のゆくえ」の予告編をお届けしています」 ([2023-02-21-1])
 ・ heldio 「#630. 世界英語の ENL, ESL, EFL モデルはもう古い? --- 3月4日,朝カル新宿教室で「英語の歴史と世界英語」のシリーズが完結します」

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2023-02-14 Tue

#5041. 英語帝国主義の議論のために [linguistic_imperialism][youtube][link][elf][language_myth][linguistic_ideology][voicy][heldio]

 一昨日公開された YouTube 「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」の最新動画は「#101. 英語コンプレックスから解放される日はくるのか? --- 英語帝国主義と英語帝国主義批判を考える」です.英語帝国主義(批判)をめぐって2人で議論しています.よろしければご視聴ください.また,YouTube のコメント機能よりご意見などもお寄せいただければと思います.



 hellog でも英語帝国主義(批判)や,より一般的に言語帝国主義 (linguistic_imperialism) の話題を多く取り上げてきました.英語帝国主義を議論するに当たっては,現在の英語の覇権的な地位をよく認識しておく必要があることはもちろん,なぜ英語がここまで覇権的な言語になってきたのかという歴史を押さえておくことが肝心だと考えています.英語帝国主義をめぐる議論は英語史の重要な論題であり,まさに英語史の知見こそが,関連する議論に大きく貢献できるものと信じています.
 私自身,この議論に関してまだ明確な意見を固められているわけではありません.しかし,英語の帝国主義的な歴史や覇権的な側面を認めつつ,英語を完全に受容することも完全に拒絶することもできないもの,つまり全肯定も全否定もできない言語と考えています.今後も議論を続けていきたいと思います.
 英語帝国主義や言語帝国主義に関する書籍は多く出されていますが,周辺領域は広く深いです.まずは hellog から関連する記事をピックアップしてみました.今後の議論のためにご参考まで.

 ・ 「#1072. 英語は言語として特にすぐれているわけではない」 ([2012-04-03-1])
 ・ 「#1073. 英語が他言語を侵略してきたパターン」 ([2012-04-04-1])
 ・ 「#1082. なぜ英語は世界語となったか (1)」 ([2012-04-13-1])
 ・ 「#1083. なぜ英語は世界語となったか (2)」 ([2012-04-14-1])
 ・ 「#1194. 中村敬の英語観と英語史」 ([2012-08-03-1])
 ・ 「#1606. 英語言語帝国主義,言語差別,英語覇権」 ([2013-09-19-1])
 ・ 「#1607. 英語教育の政治的側面」 ([2013-09-20-1])
 ・ 「#1785. 言語権」 ([2014-03-17-1])
 ・ 「#1788. 超民族語の出現と拡大に関与する状況と要因」 ([2014-03-20-1])
 ・ 「#1838. 文字帝国主義」 ([2014-05-09-1])
 ・ 「#1919. 英語の拡散に関わる4つの crossings」 ([2014-07-29-1])
 ・ 「#2163. 言語イデオロギー」 ([2015-03-30-1])
 ・ 「#2306. 永井忠孝(著)『英語の害毒』と英語帝国主義批判」 ([2015-08-20-1])
 ・ 「#2429. アルファベットの卓越性という言説」 ([2015-12-21-1])
 ・ 「#2458. 施光恒(著)『英語化は愚民化』と土着語化のすゝめ」 ([2016-01-19-1])
 ・ 「#2487. ある言語の重要性とは,その社会的な力のことである」 ([2016-02-17-1])
 ・ 「#2549. 世界語としての英語の成功の負の側面」 ([2016-04-19-1])
 ・ 「#2673. 「現代世界における英語の重要性は世界中の人々にとっての有用性にこそある」」 ([2016-08-21-1])
 ・ 「#2935. 「軍事・経済・宗教―――言語が普及する三つの要素」」 ([2017-05-10-1])
 ・ 「#2986. 世界における英語使用のジレンマ」 ([2017-06-30-1])
 ・ 「#3004. 英語史は英語の成功物語か?」 ([2017-07-18-1])
 ・ 「#3010. 「言語の植民地化に日本ほど無自覚な国はない」」 ([2017-07-24-1])
 ・ 「#3011. 自国語ですべてを賄える国は稀である」 ([2017-07-25-1])
 ・ 「#3012. 英語はリンガ・フランカではなくスクリーニング言語?」 ([2017-07-26-1])
 ・ 「#3277. 「英語問題」のキーワード」 ([2018-04-17-1])
 ・ 「#3278. 社会史あるいは「進出・侵略」の観点からの英語史時代区分」 ([2018-04-18-1])
 ・ 「#3286. 津田幸男による英語支配を脱する試案,3点」 ([2018-04-26-1])
 ・ 「#3302.「英語の帝国」のたどった3段階の「帝国」」 ([2018-05-12-1])
 ・ 「#3315. 「ラモハン・ロイ症候群」」 ([2018-05-25-1])
 ・ 「#3470. 言語戦争の勝敗は何にかかっているか?」 ([2018-10-27-1])
 ・ 「#3603. 帝国主義,水族館,辞書」 ([2019-03-09-1])
 ・ 「#3767. 日本の帝国主義,アイヌ,拓殖博覧会」 ([2019-08-20-1])
 ・ 「#3851. 帝国主義,動物園,辞書」 ([2019-11-12-1])
 ・ 「#4279. なぜ英語は世界語となっているのですか? --- hellog ラジオ版」 ([2021-01-13-1])
 ・ 「#4467. インド英語は「崩れた英語」か「土着化した英語」か?」 ([2021-07-20-1])
 ・ 「#4536. 言語イデオロギーの根底にある3つの記号論的過程」 ([2021-09-27-1])
 ・ 「#4537. 英語からの圧力による北欧諸語の "domain loss"」 ([2021-09-28-1])
 ・ 「#4545. 「英語はいかにして世界の共通語になったのか」 --- IIBC のインタビュー」 ([2021-10-06-1])
 ・ 「#4829. 19世紀イギリス「白人の責務」から「英語帝国主義」へ」 ([2022-07-17-1])
 ・ 「#4830. 19世紀イギリスの植物園・動物園趣味と帝国主義」 ([2022-07-18-1])

 関連して Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」より「#145. 3段階で拡張してきた英語帝国」もお聴きください.


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