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italic - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2019-05-20 08:12

2018-03-23 Fri

#3252. 日本十進分類法 (NDC) 10版の3次区分表 [taxonomy][italic][linguistics]

 「#3248. 日本十進分類法 (NDC) 10版」 ([2018-03-19-1]) では2次区分表を紹介したが,今回は言語(学)に関する「80」台に注目し,その下位区分を3次区分表により紹介したい.3次区分では3桁の番号が用いられているが,以下のマインドマップでは「800 言語」「830 英語」「890 その他の諸言語」の詳細を示している.日本語,フランス語などは,英語と下位区分がほぼ同じなので省略した.PDF版SVG版でもどうぞ.

Detailed NDC10 in Mindmap

 残念ながら「英語史」を主題とするズバリ3桁の数字はないのだが,さらに細分化した「830.2」なる区分がまさに「英語史」.さらにいえば,古英語は「830.23」,中英語は「830.24」,近代英語は「830.25」となっている.お見知りおきを.

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2018-03-19 Mon

#3248. 日本十進分類法 (NDC) 10版 [taxonomy][italic][thesaurus][semantics][htoed]

 国立国会図書館では,平成29年4月より日本十進分類法 (NDC) の新訂10版が適用されている(こちらの案内を参照).10版の分類基準(2017年1月版)はこちら (PDF).  *
 9版から10版への内容的な変更はほとんどなく,用語の整備が主である.10版の綱目表(第2次区分表)に基づき,以下のマインドマップを作ってみた(PDF版SVG版もどうぞ).

NDC10 in Mindmap

 私の関心は特に「80 言語」あたりにあるが,9版から少し変わったのは,「84 ドイツ語」だったものが「84 ドイツ語.その他のゲルマン諸語」となったところである.同様に,「85 フランス語」「86 スペイン語」「87 イタリア語」もそれぞれ「85 フランス語.プロバンス語」「86 スペイン語.ポルトガル語」「87 イタリア語.その他のロマンス諸語」と名目上拡充された.「90 文学」の対応する部分にも同様の拡充が施されている.もちろん,このような拡充や細分化は始めればキリがないし,どこまで表記するかは,図書分類上の現実的な問題ともおおいに絡んで決定的な対処法はないだろう.
 日本十進分類法は図書に関する分類法 (taxonomy) の1つだが,いわば百科事典的な分類法ともいえる.分類法といえば,意味論や類義語辞典 (thesaurus) 編纂においても意味分類は最も難しい問題だが,これらの諸分野は森羅万象の整理という共通の課題を抱えているとわかる.
 英語史との関係でいえば,本格的な歴史的類義語辞典 HTOED の分類表を,「#3159. HTOED」 ([2017-12-20-1]) 経由で参照されたい.

Referrer (Inside): [2018-03-23-1]

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2017-05-24 Wed

#2949. ロマンス語の分類 [family_tree][indo-european_sub-family][italic][map]

 イタリック語派の歴史的な分岐と分類については,「#1467. イタリック語派(印欧語族)」 ([2013-05-03-1]) で概要を説明した.現代のロマンス語を分類するに当たっても,(俗)ラテン語からの歴史的な分岐を考えるのが一般的だが,分岐に関わる言語的基準の選び方によって,複数の分類が可能となる.また,共時的には地理的な分布も無視できないため,やはり様々な分類が生じる.社会言語学的な考慮を含めると,さらに問題は複雑化し,「#1660. カタロニア語の社会言語学」 ([2013-11-12-1]) で触れたような政治的な側面が議論に関わってくる.
 このような言語の派生と区分についての一般的な議論としては,川口が非常に易しく解説しており,有用である.その上で,川口 (85) は,ロマンス語について歴史的観点と地理的観点を組み合わせた区分の1例を,以下のように提示している.

 ・ イベリア・ロマンス語群:イベリア半島のロマンス語(ポルトガル語,ガリシア語,スペイン語,カタルーニャ語...)
 ・ ガリア・ロマンス語群(フランス語,オック語(南フランス),ピエモンテ語(北イタリア)...)
 ・ イタリア・ロマンス語群(イタリアの諸地方語)
 ・ サルデーニャ語(ログドーロ語,カンピダーノ語)
 ・ ラエティア・ロマンス語群(フリウリ語(北イタリア),ラディン語(北イタリア),エンガディン語(北イタリア),ロマンシュ語(スイス))
 ・ ダルマティア・ロマンス語群(20世紀初頭に最後の話者が死亡したダルマティア語)
 ・ ダキア・ロマンス語(ルーマニア語等)

 サルデーニャ島で話される主要な地域語であるログドーロ語やカンピダーノ語は,イタリア語ではなくラテン語から直接派生した言語であり,ロマンス語のなかでは最も古い状態を残しているという.  *

 ・ 川口 順次 「ロマンス語をめぐって」『地中海の魅力2014,地中海の誘惑2015』 慶應大学文学部,2017年.81--86頁.

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2013-11-12 Tue

#1660. カタロニア語の社会言語学 [italic][sociolinguistics]

 Catalan (カタロニア語)は,主としてスペイン東部・北東部の Catalonia と Valencia で話され,the Balearic Islands およびフランスの Roussillon および Andorra でも話されているロマンス系言語である.話者人口は約700万人.言語的には Spanish にも Occitan (or Languedoc or Provençal) にも近いが,両者から区別される特徴はある.12世紀のアラゴン王国の公用語で同時期からの文学伝統をもつが,フランコ政権において標準スペイン語 (=Castilian) の専制的な圧力のもとでその autonomy が危ぶまれた.しかし,20世紀後半には言語的独立を順調に回復し,現在は上記の地方において政治,教育,公共の主たる言語として繁栄している.
 カタロニア語についての情報は,Ethnologue より Catalan を参照されたい.以下は,こちらより持ってきたスペインとポルトガルの言語地図である.カタロニア語は,主として地中海を東に臨む海岸線沿いに分布している.

Linguistic Map of Portugal and Spain

 カタロニア語の抑圧の歴史を,Trudgill (129--31) に従って概観しよう.それは,18世紀始めのカスティリア (Castile) による併合に端を発した.18世紀半ばには,カタロニアの学校にスペイン語による教育が導入され,19世紀半ばにはすべての政治文書や適法契約がスペイン語で書かれるよう義務づけられた.スペイン内戦以前の1931--39年の自由主義の時代にはカタロニア語が復権したが,続く Franco 独裁政権下 (1939--75) では再び抑圧が始まり,学校でのカタロニア語使用は完全に禁止された.政権後期には,規制は少し緩和し,カタロニア語の本や雑誌も出版されるようになったが,いまだ新聞はなかったし教育でも禁止されたままだった.しかし,1970年代の民主化以降,カタロニア語を巡る状況は著しく好転し,autonomy が確立されつつある.

 ・ Trudgill, Peter. Sociolinguistics: An Introduction to Language and Society. 4th ed. London: Penguin, 2000.

Referrer (Inside): [2017-05-24-1]

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2013-05-03 Fri

#1467. イタリック語派(印欧語族) [indo-european][family_tree][italic][latin][indo-european_sub-family][map]

 印欧語族の語派解説シリーズ (see indo-european_sub-family) の第5弾として,Baugh and Cable (28--30) と Fennell (28--29) により,広大なイタリック語派 (Italic Albanian) を取り上げる.
 この語派で歴史上もっとも重要な言語は,いうまでもなくラテン語 (Latin) だが,ラテン語が歴史上に台頭してくる以前のイタリアにおける言語分布をさらっておこう.紀元前600年までは,西に非印欧語族の Etruscan,北西に不詳の Ligurian なる言語が行なわれていた.北東では Venetic,最南東では Messapian が話されており,これらは「#1457. アルバニア語派(印欧語族)」 ([2013-04-23-1]) で触れた Illyrian の親戚ともいわれる.南部とシチリアはギリシャ植民地でギリシャ語が話されていた.このような印欧語・非印欧語ののるつぼのなかで,Latium においてラテン語が勢力を伸ばしてきた.
 ラテン語は厳密には Latin-Feliscan 語群の分派である.この語群と姉妹関係にあるのが,Oscan-Umbrian 語群で,前者は中南部の Samnium や南の半島部で,後者は Latium の北東部の限られた地域で行なわれていた.しかし,ラテン語の伸張により,これらの親戚諸言語は影を潜め,やがて置き換えられていった.ローマ帝国の拡大とともにラテン語はイタリア半島にとどまらず,Corsica と Sardinia の島を紀元前231年に,Spain を紀元前197年に,Provence を紀元前121年に,Dacia を紀元107年に植民地とし,ラテン語を広めた.そして,ブリテン島へラテン語が同様にして伝わったのも紀元1世紀のことだった.
 ヨーロッパ各地へ拡散したラテン語は,異なる時代の異なる変種として持ち込まれたことに加え,現地の基層言語の影響もあって,独自の言語的発達を遂げることとなった.これらのラテン語から派生した言語群を Romance 諸語と呼んでいる.ガリアに根付いて発展したフランス語 (French) は,中世には Norman, Picard, Burgundian, Ile-de-France (Paris) 方言に分かれていたが,カぺー朝 (987--1328) の確立により,Ile-de-France (Paris) 方言が公用語,文学語として優勢となり,13世紀以降はこの方言が標準フランス語と同義になった.一方,フランス南部では langue d'oïl のフランス語とは一線を画す langue d'oc の Provançal が話されている.Provançal は,11世紀より文証されるが,とりわけ12--13世紀にトルバドゥールの言語として栄えた.しかし,以降,Provançal は北のフランス語に押され,現在では方言の地位に甘んじている.
 イベリア半島では,スペイン語 (Spanish) とポルトガル語 (Portuguese) が比較的近い関係を保ちながら現在まで行なわれている.この2言語は後に南アメリカへ進出し,現代世界において非常に大きな役割を果たしている.特にスペイン語は,11世紀より文証されているが,現在,英語をしのいで世界第2位の母語話者人口を有する超大言語である([2010-05-29-1]の記事「#397. 母語話者数による世界トップ25言語」を参照).イタリア半島で行なわれてきたイタリア語 (Italian) は,話し言葉としてのラテン語が直接に受け継がれているとだけあって,他のロマンス語よりも長い歴史を保っている.イタリア語は10世紀から文証され,標準変種となった Florentine Italian により Dante (1265--1321), Petrarch (1304--74), Boccaccio (1313--75) が文学を著わし,ルネサンス期にはヨーロッパ中に威信を誇った.ルーマニア語 (Romanian) はロマンス諸語のなかでは最も東に位置するが,ローマ軍の駐屯地として長い間,ローマと関係を保った.最古の文献は16世紀と新しい.
 上の2段落で述べたロマンス系主要6言語のほかにも,注記すべき言語・方言が存在する.イベリア北東部や Corsica にも分布する Catalan は多くの伝統文学をもつ.その他は,イベリア北西部の Galician,スイス南東部や Tyrol に行なわれる Rhaeto-Romanic 語群の Romansch,ベルギー南部で話される Walloon などを挙げておこう.
 なお,上に挙げたロマンス諸語は,Cicero (106--43 B. C.) や Virgil (70--19 B. C.) の表わした Classical Latin からではなく,民衆の口語変種 Vulgar Latin から派生したものである.
 イタリック語派の分布図は,Distribution of Romance languages in Europe を参照.  *

 ・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 5th ed. London: Routledge, 2002.
 ・ Fennell, Barbara A. A History of English: A Sociolinguistic Approach. Malden, MA: Blackwell, 2001.

Referrer (Inside): [2017-05-24-1]

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