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lexicon - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2019-02-16 06:31

2019-02-12 Tue

#3578. 黒人英語 (= AAVE) の言語的特徴 --- 語彙,語法,その他 [aave][variation][variety][slang][lexicon][ame]

 「#3576. 黒人英語 (= AAVE) の言語的特徴 --- 発音」 ([2019-02-10-1]),「#3577. 黒人英語 (= AAVE) の言語的特徴 --- 文法」 ([2019-02-11-1]) に続き,McArthur より AAVE の言語的特徴を紹介する.今回は語彙,語法,その他について.

 (1) goober (peanut), yam (sweet potato), tote (to carry), buckra (white man) などは西アフリカの語彙に遡る.

 (2) 内集団で homeboy / homegirl (自分の近所出身の囚人),homies (homegirls) などが用いられる.

 (3) ある集団を軽蔑して呼ぶ名称として honkie / whitey (白人),redneck / peckerwood (田舎の貧しい(南部の)白人)などが用いられる.

 (4) 俗語として bad / cool / hot (良い),crib (家,住居),short / ride (車)などが用いられる.

 (5) 日常的な語法として,stepped-to ((喧嘩で)有利な),upside the head (頭のところで(殴られる)),ashy ((皮膚が)脱色して)などが用いられる.

 (6) 多くの AAVE 表現が,アメリカ英語の口語にも拡がっている.hip / hep (ポピュラーカルチャーに通じている人),dude (男)

 (7) アフリカの口頭伝統に由来する様々な表現が,やはりアメリカ英語の口語に拡がっている.the dozens (相手の母親に対する侮辱発言),rapping (雄弁で巧みな言葉遣い),shucking / jiving (白人を言葉巧みにからかったり,だましたりすること),sounding (言葉による対決)など.

 とりわけ語彙や表現の領域で顕著なのは,上にも述べたように,一般のアメリカ英語の口語・俗語にも多く入り込んでいることだ.アメリカ英語を論じる上で(ということは,ある程度は標準英語を論じる上でも),AAVE は無視できないくらいの存在感をもっているのである.とりわけ AAVE のポップカルチャーの言語への影響力は大きい.

 ・ McArthur, Tom, ed. The Oxford Companion to the English Language. Oxford: OUP, 1992.

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2018-12-19 Wed

#3523. 構文文法における構文とは? [construction_grammar][terminology][grammar][lexicon]

 構文文法 (Construction Grammar) における構文 (construction) とは,その他の学派や一般でいわれる構文とは異なる独特の概念・用語である.Goldberg (4) によれば,次のように定義される.

C is a CONSTRUCTION iffdef C is a form-meaning pair <Fi, Si> such that some aspect of Fi or some aspect of Si is not strictly predictable from C's component parts or from other previously established constructions.


 Goldberg (4) は次のように続ける.

Constructions are taken to be the basic units of language. Phrasal patterns are considered constructions if something about their form or meaning is not strictly predictable from the properties of their component parts or from other constructions. That is, a construction is posited in the grammar if it can be shown that its meaning and/or its form is not compositionally derived from other constructions existing in the language . . . .


 要するに,形式と機能において,その言語の既存の諸要素から合成的に派生されているとみなせなければ,すべて構文であるということになる.ということは,Goldberg (4) が続けるように,次のような結論に帰着する.

In addition, expanding the pretheoretical notion of construction somewhat, morphemes are clear instances of constructions in that they are pairings of meaning and form that are not predictable from anything else . . . . It is a consequence of this definition that the lexicon is not neatly differentiated from the rest of grammar.


 この定義によれば,形態素も,形態素の合成からなる語の多くも,確かに各構成要素からその形式や機能を予測できないのだから,構文ということになる.このように構文文法の特徴の1つは,生成文法などと異なり,語彙 (lexicon) と文法 (grammar) を明確に分けない点にある.

 ・ Goldberg, Adele E. Constructions: A Construction Grammar Approach to Argument Structure. Chicago: U of Chicago P, 1995.

Referrer (Inside): [2018-12-20-1]

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2013-06-08 Sat

#1503. 統語,語彙,発音の社会言語学的役割 [variation][syntax][lexicon][variety][sociolinguistics][terminology][linguistic_area]

 これまでの記事でも言語項(目) (linguistic item) という術語を用いてきた.これは変異を示しうるあらゆる言語単位を指すための術語として,Hudson (21--22) によって導入されたものである.より一般的な言語学用語では "lexical items" (単語), "sounds" (発音), "constructions" (構文)などと単位が区別されているが,いずれも社会的な変異を示すという点で違いはなく,単位が何であれ,それを指示できる術語が欲しいというわけである.
 しかし,あえて言語項目を上記3つの単位に区別して,それぞれの単位における変異がもつ社会言語学的な機能を考えるとき,そこに差はあるのだろうか.つまり,単語の変異,発音の変異,構文の変異とを比べると,社会言語学的にみて,変異の質に違いはあるのだろうか.
 この問題を考察するにあたって,日本語でも英語でも,発音の変異は単語や構文の変異とは異なる扱いを受けやすいという事実を指摘しておこう.地域方言について話題にするとき,一般に,語彙や文法の違いよりも,発音の違いを指摘することが多い.訛り (accent) として言及されるものである.英語の英米差でも,語彙にも文法にも相違点はあるが,それぞれの変種の母語話者は,まず発音によって相手の変種を認識する.音声は物理的な現象として直接的な変異のインデックスとみなされやすいという事情がありそうだ.そこで,発音は話者の出自を示す社会言語学的な機能を,他の単位よりも強くもっていると仮定することができる.では,それに対して語彙や構文の変異はどのような機能をもっていると仮定できるか.
 Hudson (44--45) は,バルカン半島や南インドの言語圏 (linguistic area) において,文法項目が言語の垣根を越えて広がっている例を挙げながら,構文などの文法項目は語彙や発音に比べて変異の量が少ないという仮説を立てている.一方,これらの言語圏では,語彙の変異は社会的な差異を表わすのに有効に活用されている.ここから,Hudson (45) は言語項目を構成する3つの単位について,一般的な仮説を提起した.

A very tentative hypothesis thus emerges regarding the different types of linguistic items and their relations to society, according to which syntax is the marker of cohesion in society, with individuals trying to eliminate alternatives in syntax from their individual language. In contrast, vocabulary is a marker of divisions in society, and individuals may actively cultivate alternatives in order to make more subtle social distinctions. Pronunciation reflects the permanent social group with which the speaker identifies.


 団結を表わす構文,相違を表わす語彙,アイデンティティを表わす発音.検証すべき仮説として,実に興味をそそられる.

 ・ Hudson, R. A. Sociolinguistics. 2nd ed. Cambridge: CUP, 1996.

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2013-04-06 Sat

#1440. 音節頻度ランキング [syllable][corpus][lexicon][phonetics][frequency][statistics]

 「#1424. CELEX2」 ([2013-03-21-1]) で紹介した巨大データベースで何かしてみようと考え,Version 2 で新たに加えられた音節頻度 (English Frequency, Syllables) のサブデータベースにより,現代英語で最も多い音節タイプのランキングを得た.
 これは,CELEX2 のもとになっているコーパス全体のうち,7.26%を構成する約130万語の話し言葉サブコーパスから引き出された音節頻度であり,タイプ頻度ではなくトークン頻度によるものである.つまり,話し言葉におけるある単語の頻度が高ければ,その分,その単語に含まれる音節タイプの頻度も高くなるということである.例えば,of を構成する "Ov" (= /ɒv/) と表現される音節は,第4位の頻度である.なお,強勢の有無は考慮せずに頻度を数えている.
 以下のリストに挙げる音素表記は,IPA ではなく CELEX 仕様の独特の表記なので,先に対応表を挙げておこう.

CELEX2 Phonetic Character Set

 では,以下にランキング表でトップ50位までを掲載する.高頻度の単音節語の音節タイプがそのまま上位に反映されていて,あまりおもしろい表ではないが,何かの役に立つときもあるかもしれない.

RankSyllableFrequency
1eI72971
2Di:60967
3tu:31446
4Ov30108
5In29906
6&nd28709
7aI23822
8lI19728
9@19566
10rI14356
11ju:12598
12dI12465
13D&t12118
14It11504
15wOz10834
16fO:r*9778
17Iz9517
18tI9161
19fO9042
20Sn,8969
21hi:8928
22r@n8638
23bi:8505
24bI7936
25nI7068
26wID7046
27On7030
28&z6919
29O:l6569
30h&d6240
31E6165
32bl,6021
33sI5836
34@U5824
35t@r*5687
36&t5652
37hIz5564
38bVt5416
39mI5397
40s@5391
41nOt5357
42D@r*5339
43I5283
44tId5259
45DeI5162
46IN5063
47t@5053
48s@U4974
49baI4894
50h&v4769


 全ランキング表を見たい方は,タブ区切り形式で Syllable Frequency Rank Table by CELEX2 を参照.ブラウザ上で閲覧したい方は,こちらからどうぞ.全体としては11492の異なる音節タイプが登録されており,頻度が1以上のものは7934タイプある.「#1023. 日本語の拍の種類と数」 ([2012-02-14-1]) の最後で,英語の音節タイプが日本語に比べて驚くほど多種多様であることに触れたが,この数をみれば納得できるだろう.関連して,syllable の各記事を参照.
 なお,CELEX2 のマニュアルには以下の但し書きが記されていたので,再掲しておく.

Please note that the English corpus used by CELEX for deriving these frequencies contains only 7.3% spoken material. This means there is a rather tenuous relationship between the full frequency figures, which are based on written forms, and the syllable frequencies, which merely refer to phonemic conversions of these graphemic transcriptions. Of course it could be argued that frequencies of syllables, as lexical sub-units, are less liable to get skewed from differences in medium than full words, but it has to be taken into account that NO FIRM EVIDENCE ABOUT SPOKEN FREQUENCIES can be derived from these data.

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