2015年7月まで開いていた旧掲示板へ投稿されたコメントのアーカイブ

このページでは,2015年7月まで開いていた旧版の掲示板に寄せられた投稿を閲覧できます.いずれも新しい順に並べています(ただし,記事ごとのコメント内部は古い順に).新しい掲示板は,こちらをご利用ください.

一般的な「素朴な疑問」への投稿

* hotta (2015-06-04 06:34:59)

 不定人称代名詞としての you や thou ですが,いずれも中英語期から例があるようです.特に後者は中英語の早期からあるようですね.調べて何か分かりましたら,記事に書きたいと思います.

* Pi (2015-06-03 21:24:31)

いつも勉強になる投稿をありがとうございます。
ひとつ、以前から気になっていることがあります。

'You know'や、'When you climb a tree, ....'などの仮のyouは、いつごろから、そしてどのような理由で登場したのだと考えられるのでしょうか?単数形thouが一般的だった時代でも、このような二人称の用法は存在していたのでしょうか。ご教授いただければ幸いです。

* uno.gakto (2015-05-30 08:39:58)

やはり、古英語まで遡らないと分からないことが多いのですね。ご紹介頂きました文献等を
参考に地道に勉強していきたいと思います。

本当に有難うございました。

* hotta (2015-05-29 08:26:20)

 仮想条件文で用いられる would は,古い接続法過去形に遡ります.古英語でもすでに直説法過去形と接続法過去形は大方マージしていましたが,一応のところかろうじて形態的な区別がついていました.なお,用法の多様性は古英語からみられます.OED を参照すると,ご質問に関連する知識を得られると思います.

* hotta (2015-05-29 08:26:20)

 仮想条件文で用いられる would は,古い接続法過去形に遡ります.古英語でもすでに直説法過去形と接続法過去形は大方マージしていましたが,一応のところかろうじて形態的な区別がついていました.なお,用法の多様性は古英語からみられます.OED を参照すると,ご質問に関連する知識を得られると思います.

* uno.gakto (2015-05-29 01:18:29)

早速の御回答を賜り、痛みいります。

歴史的に活用形がマージしたというのは理解致しました。それでは、willの過去として以外の個別の用法、たとえば、条件法('John would eat if he were hungry'のwould eat)としての用法ついて、

 ,修陵冕,使用されるようになったのは、直説法と接続法の活用形が形態的にマージする前か後か?
◆〜阿世箸垢譴弌元々、どちらの活用形が使われていたのか

を知ることは可能でしょうか?併せて御回答を賜れれば幸いです。

* hotta (2015-05-28 04:44:47)

 特別用法の would というのは,will の過去として以外の用法と理解してよいでしょうか? いずれにせよ,現在の would の形態とそのすべての用法は,will の過去形に遡ります.厳密には will の過去形には,直説法過去と接続法過去とがありましたが,両者は形態的にマージしました.

* uno.gakto (2015-05-27 18:19:40)

初歩的な質問で大変恐縮ですが、特別用法のwouldの由来について質問させていただきます。
このwouldは、現在の英語ではwillの過去形と同じ形をしていますが、これは、もともと過去形なのでしょうか。それとも、仮定法(subjunctive)形だったのものが、屈折変化の単純化により過去形と区別がつかなくなったものなのでしょうか。ご教示いただければ幸いです。

* Y.nakatani (2015-05-07 19:30:35)

こんばんは。
堀田先生の英語史の授業を受講させていただいているものです。

"A History of the English Language(sixth edition)" を読んでいまして、1点気になったことがあるので投稿させていただきます。

§46 The Verb のセクションに、古英語における時制は現在形と過去形のみであったという記述がなされています。
ここで、未来表現に関する質問です。
文法書などを見てみると、未来を表す表現に関しては、「未来形」という言葉を使わずに「未来を表す表現」としているものが散見されました。
動詞には、過去形・現在形という2時制に関しては動詞それ自体が活用しますが、未来形ではwillやbe going to などといった特定の言葉を使用してのみしか表現することができません。
また、文法書などには英語に未来という概念は存在しない、という記述が見られます。
これは、動詞が未来形という形に活用しないことに由来するものなのでしょうか。そして、なぜ古英語においては未来形の動詞活用が誕生しなかったのでしょうか。(現代英語もですが)
ご教授いただければ幸いです。

* yuma1986 (2014-12-23 23:24:34)

 迅速な回答をありがとうございます。それにも関わらず、反応が遅くなってしまい申し訳ありません。
 意味と現実的な有用性という仮説は、確かにありえそうだと思いました。金田一晴彦のアスペクトに関する動詞分類でも、「ている」を普通伴う動詞、という分類(「第4の動詞」)があったことからも、ありえそうに感じました。
 そのような語彙を日本語でも集めてみようとして、少し探してみたのですが、私の身近な日本語の辞書には態の偏りについての記述が見当たりませんでした。きっとあると私も思うんですが、どうなんでしょうか。また何かわかりましたら、こちらに書き込ませていただきます。

* hotta (2014-12-20 18:20:53)

 能動態と受動態を形態的に区別する言語であれば,おそらくは英語に限らず日本語にも他の多くの言語にも,ご指摘の「偏り」があるのではないかと推測します.鍵となるのは,問題の動詞の意味,もっといえばその意味の現実的な有用性ではないかと考えています.頻度や生産性ということにも近いように思います(関連して「#935. 語形成の生産性 (1)」と「#936. 語形成の生産性 (2)」をご参照ください).例えば,"to steal" あるいは「盗む」を取り上げますと,日常の環境では盗人が主語や主題になるよりも,盗まれたものや盗みに遭った人が被害を受けたという文脈で主語や主題となるケースのほうが多いと思われます.受動態のほうが頻度や有用性が高ければ,その方向で語法の固定化や構文化も進みやすくなり,ますます「偏り」が出てくるのではないでしょうか.と,このように考えてみました.「偏り」を示す動詞の意味的な特性なども探ってみると,共通項が出てくるかもしれません.おもしろそうですね.

* yuma1986 (2014-12-20 13:19:13)

いつも勉強させていただいております。
言語学を専攻する大学院生です。

質問は英語の動詞についてです。
英語の辞書をみているとと、「ふつう能動態で用いられる」とか、「受動態として用いられることが多い」という説明をよく見かけます。この偏りは何に由来するものなのでしょうか?ご教示いただければ幸いです。

* hotta (2014-12-10 13:04:49)

 Standard English のモデルについてのご質問ですが,それに直接答えるのは難しいところです.1つには,質問では "Standard English" を "prescriptive English" と同一視されているように見受けられますが,2つは異なるものとして考える必要があるからです.この区別については,#1246, #1396 辺りの記事をご覧ください.また,Standard English を話題にする場合には,書き言葉と話し言葉も区別する必要があります.例えば,英語には書き言葉における標準はあるといってよいですが,話し言葉における標準はないだろうと思います.後者には,標準を志向する焦点化 (focusing) が認められるくらいです.上記の区別をしたうえで,さらにその中で,おっしゃるように文法,語彙,発音,綴字などの言語諸部門を区別し,そこで初めて「モデル」があるのかないのか,あるとしたらそれは何なのかという問題を問い始められることになるのだろうと思います.
 このように考えると,質問のなかで触れられているモデルとしてのラテン語文法とは,Standard English の文法のモデルではありえず,あくまで prescriptive English の文法のモデル(の一部)であると言わざるをえません.また,モデルとしてのロンドン発音というご指摘については,確かにそれはおおまかにいって Standard English にも prescriptive English にも当てはまると思います.正確にいえば,ロンドン及びその近郊の教養層の発音といったところでしょうか.しかし,先にも述べたように,それとて固定化された「標準発音」のモデルではなく焦点化された「標準を目指す発音」のモデルととらえるべきものです.最後に,語彙のモデルについては,語源別(借用元言語別)に考えられているようですが,それは標準の問題とは関係しません.
 総合的なモデルの存在については,端的に「ない」と答えます.英語史的にいえば,後期中英語以降の異なる時期に複数の水脈がより合わさって,あるときはより意識的・人為的に,あるときはより無意識的・自然発生的に,英語の標準らしきものが徐々に形成されていったというのが実態です.簡単には記述できない歴史を背負っているので,本ブログでは standardisation とタグを付けた多くの記事で話題にしてきました.

* nono (2014-12-08 20:30:55)

はじめましてnonoと申します。堀田先生のサイトとても勉強になります。
今Standard Englishについて調べています。
そこでひとつ疑問になったことがあります。
Standard Englishにはモデルがあるのでしょうか?文法、発音、単語とカテゴリ分けしていくとそれぞれの言語から参考にして作られているように思われます。
文法についてはラテン語の文法活用が一番有効かと。発音はロンドンで話されていた発音方法からと思われているではないかと。
しかし単語に至ってはフランス語、ラテン語など多くの言語を取り入れられているため正確なモデルというものはないように思われます。
このようにカテゴリごとに見たとき、総合的に見たときモデルというのはあるのかという疑問に行き着きました。
それについて何かご指摘いただけると幸いです。

* hotta (2014-11-08 12:58:44)

 mayn't がなぜ一般的に用いられないかという問題は私にとっても謎で,前から記事としても取り上げようとは思っていました.ですが,一度調べかけてみて,難しそうだと思い,そのまま放っておいた問題なので,今回質問をいただいて,改めて考えてみたいと思います.すぐに調べられるかはわかりませんが,いずれ記事として取り上げられるようにしたいと思います.思いつきとしては,(1) may 自体がフォーマルな法助動詞になってきたのでインフォーマルな否定省略形とは相性が悪い,(2) 非標準的な ain't と押韻することとの関連などがありますが,いずれも speculation です.歴史的に調べてみたいところです.

* yamada (2014-11-08 04:40:16)

can notの縮約形can'tは正式な用法として扱われておりますが、may notの縮約形は扱われ方が異なります。mayn'tは辞書のmayの項目では正式な用法として記載されていません。これは何故なのでしょうか?
付加疑問文、He may come, mayn't he?は文法的に正しいと言えるのでしょうか?

* hotta (2014-08-15 07:30:54)

 ye = the の問題につきまして,引用にあたっては一般の書式に従って当該ブログの URL を明記してくれれば問題ありません.
 その他の先行研究については,詳しく調べてはいませんが,ぜひ複数の書誌や雑誌論文に当たって丹念に探してみてください(そして,教えてください!).それでも出てこないようであれば,未開拓の問題なのでチャンスととらえ,自らで開拓してみてください.こちらも,何かわかってきましたら,また記事などでお知らせします.

* na (2014-08-11 04:53:25)

堀田先生、こんにちは。

ただ今冠詞yeについてちょっと調べているのですが、言及している文献がなかなか見つかりません。
OEDや英語の語源辞典を見ましたが、せいぜいthorn起源ということしか記述が無く、いつ使われていたという情報が堀田先生のブログ(#1428 "ye" = "the") しか見つからなくて困っております。
寺澤芳雄先生の語源辞典と堀田先生の御本は残念ながら手元にありません。
PPCMEを持っていないので、できれば先生の数字を引用させて頂きたいのですが、その場合はどうすればよいでしょうか?
Dr Hotta's figure shows...と先生のお名前を出すべきか、それとも単にIn PPCME the number of ye as a determiner is ...と書くか(でもこれだとデータ盗用?)。
17世紀ですたれたということを書きたいのですが、OEDの使用年代表記だけでは物足りない気がしまして。

それにしても、どうして17世紀で廃れたのに看板に残っている(復活した)んでしょうね? 
看板はデータに含まれないだけなんでしょうか。
唯一見つけたCromwell (1949)の論文で、誰かがye = theは本物ではなく”偽物”のMSや印刷物に多いと言っている、と書いてあるのが興味深いです。

* tabe (2014-06-27 21:12:28)

再帰代名詞の使用についての質問に詳しいご説明を頂き有難うございました。遅ればせながら御礼申し上げます。

ところで、latinのpupaを語源とする以下のquintet?を見つけました
pupa 繭
pupil 瞳
pupil 生徒 (Old French pupille 経由)
puppet 操り人形 (Old French popette 経由)
puppy 子犬 (Middle French poupée 経由)

派生語も含めればもっと増えるかもしれません。

* hotta (2014-05-29 20:33:32)

 put と but の母音が,ともに唇音に後続しているにもかかわらず,異なっている点について,質問をいただきました.この質問に回答するためには,but の発音の歴史を古くまで遡る必要はありません.p にせよ b にせよ,その直後の母音に中舌化が生じるかどうかは,必ずしも予測可能ではありません.例えば,pull, push, put, bull, bush, butcher は非中舌母音を示しますが,pug, pun, puff, bulb, but, bus は中舌母音を示します.つまり,「唇音のために非中舌母音が保存される」というのは必ずしも正しくなく,「唇音のために非中舌母音が保存されるケースがある」というのが妥当かと思います.音声条件を精緻化しても,いずれの結果になるかの予測は難しいようです.この件については,いずれブログで取り上げたいと思います.

* a (2014-05-24 09:34:01)

cutがʌの発音になること、putは唇音のためʊが保存されたと学びましたがbutの発音の歴史を教えて頂けませんか

* hotta (2014-04-11 12:38:33)

 仏独語などと比較して,現代英語では再帰代名詞の存在が目立たない点について質問いただきました.正確に回答しようとすれば細かく調査する必要があるのですが,現在知っている,あるいは考えている範囲で回答します.
 「昔は再帰代名詞が必要だったのが、段々といらなくなったのか、それとも初めから必要なかったのか」でいえば,前者が妥当です.英語にも古くは再帰代名詞を必要とする動詞が多数ありました.それは現代仏独語と対比される動詞群で,運動や姿勢を表わす動詞 (ex. go, return, run, sit, stand, turn) ,心的状態を表わす動詞 (ex. doubt, dread, fear, remember) ,獲得を表わす動詞 (buy, choose, get, make, procure, seek, seize, steal) ,その他 (bear, bethink, rest, revenge, sport, stay) です.これらの動詞は初期近代英語までは仏独語と同じように再帰代名詞とともに用いられていたのですが,その後,現代英語にかけて,多くは再帰代名詞を脱落させていきました.
 脱落の潮流は現在も着々と続いており,それは adjust (oneself) to, behave (oneself), dress (oneself), hide (oneself), identify (oneself) with, prepare (oneself) for, prove (oneself) (to be), wash (oneself), worry (oneself) などで,再帰代名詞のない単純な構造が好まれる傾向に反映しています.Quirk et al. (358) は,このような動詞を "semi-reflexive verb" と呼んでいます.
 英仏独語を含む印欧諸語では,祖語からの遺産として,再帰的・中間態的な動詞(ご質問のなかで「能格動詞」と呼ばれているもの)としての用法が連綿と受け継がれてきましたが,英語では特に近代英語期辺りから非再帰的・能動的な用法に置換されてきているということだと思います.

* tabe (2014-04-08 15:03:37)

堀田先生。このサイトでは、いつも色々と勉強させていただいております。ありがとうございます。

さて、以前から疑問に思っているのですが、フランス語やドイツ語などの言語では、能格動詞を自動詞として使う場合、再帰代名詞が必要なことが多いのに、英語では再帰代名詞のない方が普通なのはなぜなのでしょうか。
たとえば、ドイツ語で
Lange nicht gesehen. Aber du hast dich gar nicht verändert!
と言うところ、英語では、
Long time no see. But you haven't changed at all!
のように、再帰代名詞を使わないで済んでしまいます。
英語でも
Sometimes history repeats itself.
のような表現もあるのですが、いずれにせよ、英語で再帰動詞というのはかなり例外的な存在ではないかと思います。

これは、昔は再帰代名詞が必要だったのが、段々といらなくなったのか、それとも初めから必要なかったのか、どちらなのでしょうか。

ご教授いただければ幸いです。

* hotta (2014-03-31 08:01:24)

 詳しく調べたわけではありませんが,以下,私見です.ppm (= parts per million) 「百万分率」は微量な物質の空気中濃度などを表わす単位です.あくまで比率の単位であり,体積や重量の単位ではないという点がポイントなのではないでしょうか.体積や重量であれば,○○mg/L (milligram(s) per litre) などと具体的な単位名がつくはずですが,あくまで比率なので中性的に「割合」「部分」を表わす part(s) を仮に用いているのだと思います.例えば,汚染物質濃度 0.04 ppm を説明的に言い換えれば,0.04 parts out of one million parts (of air) ということかと思います.
 本当はもっと中性的なのは,仮の単位も一切表に出さずに *per million としてやることで,実際に per cent (%)や per mill (‰) がその方法をとっていますが,これらも化学の世界では厳密には ppc (= parts per cent) と ppt (= parts per thousand) と表記されるようです.ppm は per cent や per mill に比べれば専門性が高く,日常的に使う機会も少なそうなので,*per million と省略されて用いられることはないのだろうと考えています.近年は日常化してきていますけれど・・・.

* 石崎 陽一 (2014-03-21 22:09:37)

「百万分の一、百万分率」を表す parts per million(= ppm)という言い方において、parts はどのような意味で使われているのでしょうか? ご教示いただければ幸いです。

* hotta (2014-01-04 04:18:54)

 石崎先生,interpretor → interpreter の変化という問題のご指摘,ありがとうございました.まだ少し調べたにすぎませんが,-or → -er の鞍替えは,interpreter に限らずいくつかの語で生じているようなので,単発ではなく集団で考えるほうがよいのではないかという印象をもっています.-er, -eur, -or, -our などの動作主接尾辞の問題は,通時的にも共時的にも難しそうですが,少しずつ調べてみたいと思います.調べた結果は,何らかの形でフィードバックします.

* 石崎 陽一 (2013-12-31 23:11:12)

堀田先生。いつも勉強させていただいております。ありがとうございます。
さて、寺澤芳雄 編『英語語源辞典(縮刷版)』(研究社、1999年、p.731)によりますと、interpreterという語において、語尾 -er が用いられるようになったのは16世紀からとされています。-er が優勢になった背景にはどんな事情があったのでしょうか。ご教示いただけたら幸いです。

* hotta (2013-10-19 21:03:16)

 分音記号 (diaeresis) については,とりあえず #870 の記事 http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2011-09-14-1.html を参照ください.分音記号の有無で意味の違いはないと思います.

* Ryuta Nakajima (2013-10-19 17:32:50)

naïveにだけ見られる特別なiには何か意味はありますか?教えてください。

* Ryuta Nakajima (2013-10-19 16:55:06)

naïveの2つのspellingに意味の違いはあるのですか?

* hotta (2013-10-07 06:15:00)

 ギリシア語 onoma の語頭母音についてですが,背景には印欧語比較言語学の「喉頭音理論」を巡る議論があります.近いうちに関連する記事を書きたいと思います.

* piano (2013-10-05 22:41:20)

Online Etymology Dictionaryでnameを調べますと、"PIE *nomn-"とあり、ほとんどの言語において"n"で始まっていますが、Greekなど一部で"n"の前に母音があるのを不思議に思いました。何か訳があるのだろうと思います。ご教示いただけるとうれしいです。

* hotta (2013-09-12 17:55:14)

 英 title と仏 titre の対応はおもしろいですね.フランス語史の話題ですので,どこまで調べられるかわかりませんが,近々に記事にしたいと思います.

* luca (2013-09-12 02:50:55)

先日のトピックで羅stellaと英starの関係について触れられていましたが、さらに疑問に感じたことがあります。
それは、仏titreと英titleの関係です。これにはどういう経緯があったのでしょうか。
ラテン語ではtitulusなので、この変化はあくまでフランス語内での変化なのでしょうか。
ご教授いただければ幸いです。

* hotta (2013-08-24 15:57:33)

 語源的にはラテン語 "stella" の "l" は説明しにくいのですが,ある段階で "r"→"l" の子音変化が生じたというわけではないと考えています.詳細は,近々,記事にまとめたいと思います.

* piano (2013-08-20 09:25:05)

Online Etymology Dictionaryでstarを調べますと、ラテン語だけ"stella" と最後の子音が"l"になっています。"r"→"l"という子音の変化はしばしば起こることなのでしょうか。ご教示いただけるとうれしいです。

* hotta (2013-08-15 09:30:35)

 仏英対応語の語頭の e の有無という問題について,歴史的には複雑ですが,おもしろい事情があります.早速,本日(2013年8月15日)の記事にまとめてみましたのでご参照下さい.
 英語における(語頭)子音連結という話題は,少し大きい話題ですので,改めて記事にする機会があればまとめてみたいと思います.

* adoxa (2013-08-14 20:10:49)

たまたまこちらのサイトを尋ねました。記事の量と質に驚いております。専攻は農学と門外漢ですが現在言語に興味を持っているので、自分の疑問をぶつけることができればとおもい質問します。
現代英語とフランス語の名詞を比較したとき
英screen 仏ecran
英stage 仏etage
英sponge 仏eponge
など語頭のsの後に無声閉鎖音が続くときフランス語ではsがeになっているように思います。これはなぜなのでしょうか。
フランス語は語頭の子音連結を避ける傾向があるのでしょうか。
またよろしければ(特に語頭の)子音連結についての解説をお願いいたします。

* ムーミン立山 (2012-12-23 21:56:54)

既に紹介または解明されているのかもしれませんが、
readの過去形の発音がなぜ[red]なのか英語史の観点から説明が可能であればご教示ください。

* hotta (2012-11-10 06:33:35)

 1人称単数代名詞の日英差については,そのうちに記事として取り上げたいと思います.

* maron (2012-11-08 17:49:31)

なぜ日本語では自分のことを私、ぼく、おれ、拙者などの表現があるのに英語は自分のことを言うとき I しかないのですか? 

記事ごとのコメント

Comments to 2015-06-11-1

* meg.D (2015-07-04 19:27:24)

むしろなぜ、theの母音は母音で始まる語の前で脱落してth'appleのようにならなかったのでしょうか。ロマンス語などを見ると、そうなってもおかしくなかったように思うのですが。その萌芽はあったが発達しなかったのか、そもそもそんな形跡も見られないのか、もしご存知でしたらご教示ください。

* hotta (2015-07-05 00:39:12)

 記事内でリンクを張っている ##906, 907の記事でも触れましたが,中英語期や初期近代英語期には th'apple のような形が普通に見られ,後の英語でも,ことによればフランス語の定冠詞ように elision が通用されることになっていた可能性があります.しかし,少なくとも標準英語ではそうはなりませんでした."innovative failure" の一例ですが,なぜそのようになったのかは確かに英語史上のおもしろい問題だと思います.近代英語期にかけて,接辞のパターンが proclicisation から encliticisation へと変化したという言語内的な要因によって阻止された可能性がある一方で,各単語を明確に発音することを求める規範主義の発想が強くなってきた時代の潮流もあるのではないかと考えています.

* meg.D (2015-07-06 00:09:49)

早速のご回答ありがとうございます。リンクに注意が及ばず、余計なお手間を取らせて申し訳ありません。遅れ馳せながら関連記事も拝見しましたが、大変勉強になりました。規範主義の影響については基礎知識を欠いており十分飲み込めておりませんが、接語化パターンの変化との関連性のご指摘は腑に落ちるものでした。屈折語尾が衰退して分析的な表現が発達すれば、音声的に弱い機能要素が語彙要素に先行する傾向が強まる訳ですから、一方でprocliticからencliticへと移行するのは少々不思議に感じましたが、むしろ、語尾が消失したことでencliticizationの余地が拡大したと捉えるべきかも知れない、というのは性急な憶測でしょうか(屈折の豊かなラテン語に-queのようなencliticがある訳ですし。もっとも、音声的な問題だとするなら、アクセント類型の関与も思い浮かぶところです)。

Comments to 2015-05-16-1

* OE,ME 知りたい! (2015-05-27 04:17:12)

すごく知識を得られるブログで、感謝です!
ネットでなく、紙の辞書で、古英語や中英語から引いて現在の語がわかるものはありますか?教えてください(*^_^*)

* hotta (2015-05-30 18:21:59)

 古英語,中英語の冊子体の辞書についてですが,古英語の入門的定番を挙げます.

 (1) Hall, John Richard Clark, ed. *A Concise Anglo-Saxon Dictionary.* With a supplement by Herbert D. Meritt. 4th ed. Cambridge: CUP, 1960.

あとは,大部となりますが,
 
 (2) Bosworth, Joseph, T. Northcote Toller and Alistair Campbell, eds. *An Anglo-Saxon Dictionary.* Vol. 2: *Supplement* by T. N. Toller; Vol. 3: *Enlarged Addenda and Corrigenda* by A. Campbell to the *Supplement* by T. N. Toller. Oxford: OUP, 1882--98, 1908--21, 1972.

といったところでしょうか.

 中英語については,オンライン版もありますが,やはり *MED* になってしまいます.

 (3) Kurath, H., S. M. Kuhn, and J. Reidy, eds. *Middle English Dictionary*. Ann Arbor: U of Michigan P, 1962--2001.

簡易的にはチョーサーのグロッサリーを代用するという方法もあります.

 (4) Davis, Norman, Douglas Gray, Patricia Ingham, and Anne Wallace-Hadrill, eds. *A Chaucer Glossary*. Oxford: Clarendon, 1979.

あとは,各時代のアンソロジーの類いにはたいてい巻末にグロッサリーが付いていますので,入門ということであれば当面は十分に有用だと思います.

Comments to 2015-05-04-1

* 神山孝夫 (2015-05-10 18:39:34)

拙文をご紹介いただきまして誠に恐縮です.
一点のみ申し添えますが,ご紹介いただいた r 音の変化についての説は無名時代のイェスペルセンが発したものでして,不肖神山の発案にかかるものではありません.堀田さんはもちろんご承知でしょうが,記事をご覧いただく方々にはくれぐれも誤解いただきませんよう.以上老婆心ながら.

Jespersen, Otto 1889 The articulations of speech sounds represented by means of analphabetic symbols. Marburg: Elwert.

* hotta (2015-05-11 07:05:07)

 神山さん,言葉足らずのご紹介でミスリーディングになってしまい,すみませんでした.御論考の p. 48以降でイェスペルセン案の再評価を試みられているということでした.
 御論考を通じて,かねてより疑問だった「様々な r」の問題について考えさせられ,とても勉強になりました.状況が整理されたように思います.ありがとうございました!

* 神山孝夫 (2015-05-11 08:24:11)

迅速なご対応,ならびに過分なおことばをありがとうございました.
貴サイトのますますのご繁栄のほどをお祈り申し上げます.

Comments to 2015-01-07-1

* Cerise (2015-05-16 04:18:05)

母音字の話題は多いですが今回は子音字についての質問です.
子音s,x(,ss)を無声で読むか有声で読むかについて
まず,英語においては有声/無声どちらで読むかについて規則性や原則は存在するのでしょうか.あるいは全くばらばらなのでしょうか.
また,それは歴史的にはどのように変化や決定をしてきているのでしょうか.

次に,多くの子音が有声/無声と対立して複数存在して使われるのに対してs/xが有声,無声両方に使われるのは歴史的にはどのような由来があるのでしょうか.
(せっかくzがあるのにあまり使われないことも気になります.)
また,フランス語借用語では有声/無声の関係はフランス語と同じなのでしょうか.それとも違うものがあるのでしょうか.

* hotta (2015-05-16 18:14:40)

 ご質問が複数なので,(当面の)回答も複数に分けたいと思います.まず現代英語を共時的にみますと,<s> や <x> に対応する発音が有声か無声かという点については,音環境に応じてある程度までは定式化とはいわずとも傾向の指摘はできます.ただし,その傾向を条件づける音環境そのものが多数あり複雑なので,実用的な役には立ちにくいです.英語学習書であまり見かけないのは,そのためだろうと思います.傾向から逸脱する多くの語においても,残念ながら予想通り,個別に覚えるほかありません.傾向と呼んできたものは,例えば *Longman Pronunciation Dictionary* の Pronunciation Guide などに詳しいです.
 2つ目に,上記の様々な傾向の歴史的背景については,音韻変化と綴字変化の歴史を組み合わせて考えれば,かなりよく説明できるのではないかという感覚をもっています.しかし,傾向そのものが多岐にわたるので,それをもたらした音韻と綴字の変化を通時的に跡づけようとする試みは,なかなか骨が折れそうです.とりわけ重要な少数の傾向については,いずれ取り上げられればと思います.いま回答できるのは,歴史的な説明をつけられるところはつけられるだろうという程度です.Jespersen, Otto. *A Modern English Grammar on Historical Principles*. Part 1. Sounds and Spelling. 1954. London: Routledge, 2007. 辺りが詳しいはずです.
 3つ目に,フランス借用語については <s> の音価が英仏両言語で共通するかどうかという質問です.比率としては同じものが圧倒的なのではないかという印象ですが,違うものも絶対数でいえば少なくないのではないかと思います.違うものについては,2つ目の質問への回答で示唆したように,特に英語側での音韻変化によって説明できるものが多いはずです.例えば,<ss> に関するものでは,"possess'', ''dessert'' が英仏語でそれぞれ有声と無声で異なりますが,英語側の音韻変化として説明できます.
 上記の問題に歴史的に迫るのであれば,<s> や <x> だけではなく,摩擦音系列の他の子音字も合わせて考察していくことが欠かせません.そうでないと,<s> の独自性,<s> がとりわけ無声か有声かの問題にさらされやすい理由が浮き彫りにならないからです.折をみて,いずれ取り上げられればとは思いますが,骨が折れそうなのでできるかどうか・・・.

Comments to 2014-12-12-1

* 名無しさん (2015-01-31 21:34:26)

ところで、中国の伝統的な音韻学では、字音を分解して出てくるのは韻母と声母で両方とも母ですね。
まさか四声が父というわけでもあるまいに、中国人は違和感を覚えなかったのでしょうか?

* 名無しさん (2015-02-11 14:03:44)

言葉ができてしばらくの間は母系社会だったからではないでしょうか。親子の間で血縁関係が確実なのは母と子の間だけです。婚姻制度も一夫一婦制の元となる対偶婚になっていなければ、父親が誰かはっきりと判らなかったようですし、一緒に暮らしていなかったという話もあります。日本も平安時代の初期ごろまでは、子供は母の実家で養育されていたそうです。なので父の存在感が稀薄なのは、致し方ないかと。

Comments to 2014-05-22-1

* あよら (2014-05-25 13:19:52)

この次の記事#1852から最新の記事#1854までの固定リンクはNot Foundとの表示で対処していただけたらと思ってるのですが.

Comments to 2014-04-18-1

* Reiko I (2015-06-10 20:14:11)

いつも楽しく勉強させていただいています。現在、大学院で語末にdark Lのある語の聞き取りについての研究をしております。

dark Lに無強勢の母音を続けた場合、その母音が後ろよりになるのか、質問させていただきたいと思い、コメントいたしました。次の例文のような、ofのəの定義について困っております。
ex (the) pawl of the animal

軟口蓋音/k//g//ŋ/の前後では、əも後ろよりになる(Gimson)と読んだことがあります。「軟口蓋音」ではなく、「軟口蓋化したL=dark L」の前後でも、このようなəが後ろよりになるという現象はあるのでしょうか。

このような研究を取り扱っている論文や著書はなかなか存在しておらず。。。

お忙しい中、恐縮ですが、先生のお知恵を拝借できれば幸いです。よろしくお願いいたします。

* hotta (2015-06-12 09:19:26)

 dark [l] の後位置の schwa の実現についてですが,調音音声学のきわめて専門的な問題ですので,残念ながら私には的確に答えることができません・・・.文献を見つけられたり,実験で確かめられたりしたら,ぜひお教えください.

Comments to 2014-01-15-1

* tani (2014-01-15 09:27:40)

堀田先生、おはようございます。

今日のdoubletという展開は意外でした。てっきり、今日のthroughの次は今日のShakespeareを予想していたもので…(内容と関係ないコメントで失礼しました)。

Comments to 2013-11-22-1

* syntax (2014-09-20 15:55:46)

非常に細かいことですが、Robertsのfirst nameはIanなので、Roberts, Iです。Jになっています。内容に関しては、V-to-I movementに関しては、共時的にも、英語の叙述文ではVはV位置に留まるがフランス語等はV位置からI位置に移動するという言語交差的事実の他、英語内でも疑問文では助動詞はI(最終的にはより高い位置のC)に移動すると1980年代から言われていますが、言語交差的・言語内的構造間の統語構造差に加え、歴史言語学的にもバラエティ・変化があるんですね。RobertsやLightfootの考えが正しいかは別にしても面白い話題です。

* hotta (2014-09-21 11:47:50)

 Roberts, "I". とのご指摘ありがとうございます.訂正させていただきます.V-to-I movement の分析は,助動詞位置の問題のみならず副詞位置の問題などにも関与し,一見すると関係の薄そうな現象が1つの原理で説明されるという生成文法の長所と魅力が最もよく現われている例の1つと思います.歴史的に応用するにあたっては,共時的な分析とは異なる難しさがありますが,それも含めて歴史的変化と生成文法の知見をいかに融和させるかが最もおもしろいところだと考えています.

Comments to 2013-09-30-1

* kmomose (2013-09-30 07:39:14)

6月には、高橋鵬二さんという方が、外来語を使いすぎているということでNHKを提訴しています。まだ決着は付いていないはずですが。
すでにご存じのことでしたら、お許しください。

Comments to 2013-08-27-1

* 石崎 陽一 (2013-08-27 20:17:18)

堀田先生。いつも勉強させていただいております。ありがとうございます。久しぶりにコメントさせていただきます。

生きている動物は古来の英語だが、料理されると征服者であるノルマン人のことばになったという説は W. Scott の Ivanhoe に引用され、また H. Bradley の The Making of English(p.88)にも言及されて有名になりましたが、初出は恐らく J. Wallis の Grammatica Linguae Anglicanae 第4版(1674年)の序文だとされているようですね。

* hotta (2013-08-30 08:42:59)

 石崎先生,初出についての貴重なコメントをありがとうございます.近代の文法史に明るい方からのご指摘は,大変ありがたいです.早速 Wallis の序文を参照してみます.今後とも,いろいろとご指摘ください.

Comments to 2013-08-14-1

* 入野田 克俊 (2014-02-07 12:20:10)

大学受験の予備校で英語の講師をしている者です。
the world over に関して記述のある日本語サイトで検索したところ、こちらの記事に当たりました。
the world over が昨日実施された東京慈恵会医科大の入試問題に出ていました(over を書かせる問題)。

talk things over も同じようなものでしょうか?

rob A of B は B of A が語順転倒したものであるという記述が江川『英文法解説』にありますが(§276の解説)、それとも何かつながる話なのでしょうか?

教える立場としては興味を惹かれるところです。

* hotta (2014-02-09 15:02:21)

 "talk things over" などのいわゆる句動詞では,確かに小辞 (particle; A で表わす) の位置は概ね可動で,VOA, VAO いずれの語順も可能です.これは,"the world over" の場合と同じ解釈でよいと思います.つまり,over は本質的に副詞として機能しているので位置はどちらでもよいのだという説明です.ただし,"rob A of B" については,位置の転倒といっても転倒している要素が上記の場合と異なるように思われますし,以前に少し調べたことがあるのですが,そもそもこの転倒説の根拠が不明ですので,上記とは別の話だと考えています."rob A of B" については,そのうち記事にできればと思っています.

Comments to 2013-05-07-1

* K.I.C (2013-05-25 11:46:43)

教員退職者です。
いつも興味深く拝読しております。
生徒の学習負担を減らすために取り組んできたことの裏付けがこのサイトにちりばめられています。
新しい知見を得てうなる場面も多々ございます。
先生のような方に教わる学生さんは幸せです。
これほどの頻度で更新なされておいでなのに誤字脱字が見受けられないことにも驚愕しております。

さて、学生でもないのに投稿いたしましたのは、時期を同じくしてこのようなページに出会ったからです(ときどき日本人として答えております)。
http://bit.ly/16fA2i1
オーストラリア人が日本人に Golden Week は和製英語なのかと尋ねられて戸惑った様子がうかがえます。
和製英語なのでしょうが、
Golden Week/golden week という句は1951年より前から使われており、英語として十分受け入れられる表現のようです。
「和製英語=英語としては通じないもの」というくくりにこの表現を入れてよいのかと考えさせられていた矢先でしたので、ついつい投稿したくなってしまいました。

先生はどのようにお考えでしょうか。
お示しくだされば幸いに存じます。

* hotta (2013-05-26 08:13:38)

 K.I.C さま,たいへん興味深いご指摘をありがとうございました.この問題をよくよく考えてみましたら,語彙的革新の類型論,借用の類型論にかかわる大きな話題に発展する可能性があるのではないかと思えてきました.どこまで整理できるかわかりませんが,近々にブログで取り上げ,回答させていただきます.その折には,あらためてご意見,ご批判をいただければと思います.

Comments to 2012-08-15-1

* Yoshi (2012-08-17 18:43:44)

大変勉強になりました。何か大きな災厄とか戦争などによる教師の不足によって、新しい教育の流れが起こるというのは、アルフレッドのウェッセクスを思い出しました。しかし、ペストでフランス語の先生が足りなくなるというのが、媒介言語の変化を生み出したという説は、私はいまひとつ納得しきれないです。

英語を媒介にするようになったひとつの要因として私が想像するのは、学習者層がより広くなっているのではないかということです。つまり、豊かな商工業者層から、学校に行く子弟が増えているのではないかと思えます。幼少から家庭内である程度のフランス語を聞く習慣があったと思われるジェントリーと違い、彼らは家の中では英語ばかりだったでしょうから。14世紀末くらいから、フランス語使用は段々と法廷用語に限られてきつつあると思うのですが、書き言葉の使用や識字率はどんどん上がっているわけで、教育で使われる言語も3言語から、日常語としての英語と記録用語としてのラテン語の2言語に収斂しつつあるのではないかと思えます。 Yoshi

Comments to 2012-08-06-1

* maruken (2012-08-07 15:13:24)

まったくの門外漢ですが、今回の記事についてドイツ語との比較で大変おもしろいと思いましたのでコメントいたします。
 英語では序数の数字に送り仮名的なものがつくという件、ドイツ語では単なるピリオドが同じ働きをしています。これは全くの記号であって送り仮名でさえありませんが、このような例もあるのでしょうか?

* hotta (2012-08-08 08:42:50)

 ドイツ語でも英語のように "1ste", "2te", "3te" と「送り仮名」を振るやりかたもありますが,おっしゃるとおり "1.", "2.", "3." もあります.このピリオドの動機づけは,おそらく,省略ということなのだろうと思いますが,機能としては「送り仮名」的になっているのは確かですね.ピリオドは文字というよりは記号(より正確には punctuation mark )ですが,記号が送り仮名に相当する機能を帯びているというのはおもしろいですね.他の例はすぐには思い浮かびませんが,考えてみたいと思います.
 関連して,日本語には慣用で送り仮名の省略というのがあります.「申し込み」の代わりに「申込」,「取り扱い」の代わりに「取扱」などです.これなどは,英語の例として,"August 8" と書かれているのをイギリス式に "August the eighth" と読み下すような例が挙げられるでしょうか.

* ts (2013-08-17 19:19:23)

表記の揺れですが、法律関係では 2nd, 3rd の代わりに 2d, 3d も使います。

* hotta (2013-08-18 04:54:21)

 2d, 3d はみたことがありませんでした.そうすると,2nd vs 2d は英語における送り仮名の揺れの例として言及できますね.ありがとうございました.

Comments to 2012-07-20-1

* 石崎 陽一 (2012-07-25 18:08:57)

堀田隆一先生。拙ブログへのご訪問とご紹介、そしてコメントをありがとうございます。私自身は18世紀の英文法史が専門ですが、英語史は学部時代から関心の一つであり続けています。紀伊半島くらいの広さの地域で話されていた一部族の方言が世界語になる物語にロマンを感じる者です。先生のご著書も拝読させていただいておりました。このたびは直接交流をさせていただくことができ、光栄に存じます。ブログをやっててよかった! 先生の記事を拝見し、アプローチの仕方からして勉強になりました。内容もしっかり噛み砕こうと思います。今後ともお付き合いさせていただけましたら、幸いです。何卒よろしくお願い申し上げますm(_ _)m

* hotta (2012-07-29 08:57:02)

 石崎先生,コメントへの反応をありがとうございます.「アーリーバードの収穫」では,英文解釈に関わる文法の機微から,英語の歴史的な背景知識まで,幅広く関心をひく話題が提供されており,英語学習者にとって参考になることはもとより,英語研究に携わる私のような者にとっても問題を考える契機となっています.生徒さんはさぞかし楽しく先生の英語の授業を受けているでしょうね!
 私のほうこそ「本当に,ブログをやっていてよかった」です.今後も,興味深い話題に「引っかかってゆく」かもしれませんが,よろしくお願いいたします.どうぞお付き合させてください.

Comments to 2012-06-11-1

* Cerise (2014-12-10 10:54:50)

日本語で『まま』は「母」ではなく「食事」を示し,「父」は『ちち』,「母」は『はは』ですが,これは例外なのでしょうか.

* hotta (2014-12-10 13:04:14)

 擬音語から発生したということだとすると例外ということになりますが,記事内のパーセンテージで示したように,通言語的には実際はかなり多くの例外があるのではないでしょうか.古くは「ハ」(< *「パ」)は女性の尊称とされ,「チ」は『古事記』にも男性の尊称と理解される例があることから,すでに上代では両者の区別がつけられていたようです.究極の起源が擬音だとしても,長い歴史のなかで音韻変化なり類推なりの干渉が働く可能性も高いですし,有史以前の状況は推測するよりほかないですね.

Comments to 2012-05-13-1

* 名無しさん (2013-04-11 13:22:59)

こんにちは。いつもブログを読んでいるのですが、
ひとつ訂正したいことがあります。「韓国語が日本語と同じように『べた書き』である」との趣旨がありますが、韓国語は英語と同じように厳格に分かち書きをします。
ご存知の上で私が誤解をしていたら、大変申し訳ありません。

* hotta (2013-04-11 14:42:17)

 分かち書きについてのご指摘,ご訂正,ありがとうございました.現行の韓国語の表記では,文節単位での分かち書きが行なわれていますね.かつての漢字ハングル交じり文ではべた書きもあったということからの,完全なアナクロでした.訂正いたします.

Comments to 2012-04-24-1

* キキョウ (2012-07-23 00:22:42)

先生、43番目の was が wad になっています。
不仕付けなコメントで申し訳ありません。いつも楽しみにして読ませていただいています。

* hotta (2012-07-23 06:24:37)

ありがとうございます,訂正しておきました.

* higashi (2015-01-28 23:18:51)

初めまして。いつもたのしく拝見させていただいております。
私は中高生に英語を教えているのですが、未だに「なぜif節等では未来形ではなく現在形を使う」のかがいまいちよく分かりません。歴史的にはどのような説明がされるのか、ご教示お願いできますでしょうか。

* hotta (2015-01-29 09:11:59)

 時・条件の副詞節における will の不使用について歴史的に正確に説明しようとすると厄介なところもありますが,大筋としては以下の通りです.古い英語では問題の副詞節に現われる動詞の形態は,直説法ではなく仮定法の現在で表されていました.例えば,if it be fine tomorrow のようにです.近代英語期以降,仮定法が衰退し形態的に直説法に吸収されていくと,前述の節は if it is fine tomorrow となりました.したがって,当初から問題の節内で助動詞 will が用いられるということは一般的ではなく,動詞は現在形(ただし「仮定法」現在)が普通だったということです.
 現代の共時的な観点からは「未来の出来事として will が用いられるべき副詞節内であるにもかかわらず will が現われないのはなぜか」という問題意識が生じそうですが,通時的な観点からは,時・条件の副詞節と will の結びつきは最初から不在だったと述べることができます.歴史的には,上記の問題意識よりもむしろ,仮定法現在がなぜ,どのように近代英語期以降に衰退し,直説法現在に吸収されていったかという問いが重要になってきます.

Comments to 2012-03-26-1

* 747 (2012-04-30 01:11:42)

失礼しました。投稿に失敗したと思い二重投稿したかもしれません。

* 747 (2012-04-30 01:16:00)

手話は現地の音声言語とは基本的に無関係の言語だとされています(書き言葉からの借用は多い)。
Wikipediaで「日本手話」と検索してみてください。
中大のOPACでは、この本が詳しいと思います。
ろう者はストレンジャー / 木村晴美著/shsproc?id=BA81969799

* hotta (2012-04-30 20:20:42)

 「手話は現地の音声言語とは基本的に無関係」という場合の「基本的に」が,発生と発展のことを指すのであれば,ご指摘の通り「音声を土台として文字や手話が派生し」という記述は正しくなかったことになりますので,削除して訂正します.ただし,日本語対応手話や Cued Speech という音声言語ベースの手話「も」あります.

* 747 (2012-05-01 21:45:54)

前回、不慣れなためなかなか投稿に成功せず、文字数を削ったりいろいろした結果、変なコメントになってしまい申し訳ありませんでした。
(出典を引こうとURLを書いたのが原因のようでした)
先生の2009年の記事では「手話言語は,名実ともに,歴とした言語」と記してあるにもかかわらず前編の記事で「原則として音声言語を視覚へ写し取ったものである」という記述を見つけたので、あれっ?と思った次第です。
『言語』の手話言語学特集の号は不勉強で読んでおりませんが、日本手話話者の大多数は耳が聞こえないため、音声言語を写し取ることはできません。強いていえば、書記日本語から借用語を大量に受け入れているとは言えます。
日本語対応手話の場合は、手話とはいっても日本手話の形態・統語論を使用せず、(書記)日本語を逐語訳して線条的に配列したものなので、いわばピジンに似ています(手指日本語とも呼ばれます)。これの話者は聾者もいますが、多くが中途失聴者や手話学習者なので、つまり日本語が第一言語のため、なかなかクレオール化しません。

本筋とは関係ない話のうえ、釈迦に説法も甚だしいとは思いましたが、上記の記述が「手話は音声言語に由来する」という学術的にはすでに放棄された認識を連想させやすいのではないかと思いコメントさせていただきました。

* hotta (2012-05-02 04:31:54)

 詳細なご指摘,ありがとうございました.改めて,感謝します.手話についてはもう少し勉強すべきと感じました.
 URLの入力については,以前スパム投稿があったので一時的に禁止にしておいたもので,ご迷惑をおかけしました.当面,解除します.

Comments to 2012-02-24-1

* eto ichiro (2012-02-24 07:33:32)

フランス語のvenirの過去分詞は、venuのはずですが、、、、

* hotta (2012-02-24 08:46:36)

 失礼,訂正します.ありがとうございます.

Comments to 2012-02-22-1

* A (2012-02-23 06:38:26)

私の出身地の方言は「アクセントが無い」といわれます。正確には「アクセントの概念が無い」のですが、他地域の人には「アクセントが意味の分別に機能しない」ということが分からず、また地元の人はそもそもアクセントが何か分からない(おそらく高低差は異音にすぎない)ので、結局誰もわかってくれません。

* hotta (2012-02-23 13:44:05)

 アクセントをもつ方言話者には,一型アクセントということがよく理解されないということですね.これは,言語体系の差異の理解が難しいということを,外国語を引き合いに出さずとも身近に感じられる例として,おもしろいと思います.あるカテゴリー(今回の場合はアクセント)が関与的な言語(方言)と非関与的な言語(方言)とでは,互いの話者にとって相手の体系が物珍しく感じられるものですね.
 私は英語の複数形の研究をしていますが,英語母語話者に日本語には数というカテゴリーが体系的には存在しないと述べると不思議そうな顔をする人もあります.

Comments to 2012-02-18-1

* malpicos (2012-04-22 23:51:40)

「ゴム」と「ガム」とならんで、独Gummi「ゴム」から入った「グミ」も入れて欲しいです。三重語ですね。

* hotta (2012-04-23 03:40:55)

 なるほど,「グミ」ですね.ありがとうございます.

* ts (2013-08-19 02:34:43)

借用元言語が同じ場合もあります。ストライクとストライキ、トラックとトロッコなどがそうです。ドライバー(運転手、二泊目にアクセント核)とドライバー(ねじ回し、平板アクセント)とドライバ(デバイスドライバ、平板アクセント)というのもあります。

Comments to 2012-01-13-1

* Yoshi (2012-01-13 17:50:01)

楽しく分かりやすいエントリー、ありがとうございます。強調語って、興味が尽きません。veryが元の「本当の(に)」という意味を失って、純粋の強調のみを表し始めた途端に、その力を失い始め、形骸化していくのでしょうね。これはもしかしたら、他の強調語にも適用できるルールかもしれませんね。100年後、いや300年後のveryがどうなっているかタイムマシンで見に行ってきたいものです。

関連して、veryで物足りないような時、現代では、意味を持った副詞(truly、terribly、wickedly, etc.)で強めることが多いですね。terribly happyなんて一見矛盾したことを言いますが、そのうち、veryのように、terriblyも「怖いくらい」というニュアンスを失う時もあるのかしら・・・。

こういう副詞の中でも、強調の意味を持つ副詞を殊更に使うのは興味深いです(exceedingly, extremely)。extremeはflat adverbもあるようです。しかも、こうした言葉も盛衰の波に洗われるのは、archaicになっているpassing(ly)の例で分かります。

Comments to 2012-01-04-1

* Yoshi (2012-01-04 16:30:06)

いつも楽しいトピックを提供して下さり、ありがとうございます。

確かに、realという副詞はドラマなどでよく聞きます。述部の副詞goodと副詞realを組み合わせた'He plays real good.' なんていう表現も聞きます。素人考えでは、他の副詞・形容詞の組み合わせと異なり、語感の上で、realとreallyが近いことも何らかの影響があるかも、なんて思ったりしました。realは、現在、徐々にveryを駆逐しつつあるあるのではないかとも感じもします。そうしてみると、どうもflat adverbになりやすいのは、強調語なんでしょうか。exceeding fineなんていうのも可能と思います。

veryもかってはおそらく形容詞だけだったと思いますが、副詞が主になりました。veryがとって代わったのは多分fullなんでしょうね(今もfull wellとは言いますね)。というような、英語史上の強調の副詞の盛衰や口語・文語における棲み分けなど面白い話題だと思いました。 Yoshi

* hotta (2012-01-06 10:12:26)

 おっしゃるとおり,very やその他の強調副詞の歴史的発達を参照すると,現在の real の副詞用法についても示唆を得られるかもしれませんね.実際に中英語では,-ly 形と単純形の両形が認められる強調副詞が少なくありませんでした.
 また,強調語が単純形となりやすいというご指摘は的を射ているように思いました.強調語には,程度を表わす形容詞・副詞であればなんでも修飾できてしまうという適用範囲の広さがありますし,使い古されて意味的に弱化しやすいという傾向があるために次々に代替語が必要とされるという事情も関与しているように思います.
 関連して,very についても近々取り上げたいと思います.コメントありがとうございました.

Comments to 2012-01-01-1

* タツノオトシゴ (2012-01-01 18:58:03)

あけましておめでとうございます!

新年最初の記事、Magic〈e〉ありがとうございます!

小学生の頃に聞いたことがあっただけで、言語学としても用語として扱われていて驚きました。

音声学はあまりやらないのですが 最近興味を持ち始めたのでこういった記事は非常に参考になります!
以前にも沢山音声に関する記事を書いていらっしゃるようなので参照させていただきます。

Comments to 2011-12-29-1

* Yoshi (2011-12-29 08:38:54)

度々コメントしてして済みません。でも私のような言語学の素人にもとっても面白い考え方です。初歩的な英語史の本を読んだだけだと、屈折が衰えた代わりに語順の縛りが強くなってそれを補ったと思っていましたが、それ以外の要素が色々あるんですね。

そこで、的外れの質問かもしれず恐縮ですが、英語では屈折が弱くなるのと並行して、例えば前置詞などの機能語を使ってそれを補ったりするわけですが、そういうのは、この考え方で言えば、2次元的な要素が弱まり、 syntagma markingなしでも分かる1次元的な要素で補うと言うことでしょうか?

* hotta (2011-12-29 16:29:01)

橋本氏は,英語における屈折の衰退,語順の固定,前置詞の発達の相互関係については触れておらず,また私も syntagma marking の考え方を完全に理解できているわけではないので心許なくはありますが,ご指摘の点について,syntagma marking とはそのような意味ではないだろうと考えます.

屈折の衰退を補うかのように前置詞の使用が発達してきたという英語史の過程を認める場合に,前者が2次元的で,後者が1次元的ということにはならないと思います.「次元」は橋本を解釈した私の用語でして,音声として出力されてくるものを1次元,それ以前に頭の中で組み立てられている統語形態ツリーを2次元と想定しています.とすると,屈折にせよ,前置詞句にせよ,2次元には違いありません.その統語形態ツリーをところどころ音声上で匂わすヒントが syntagma marker である,という考え方ですから,屈折の場合にはその語尾が,前置詞句の場合には主要部となる前置詞が,当該の syntagma 単位のそれぞれ終わりと始めを標示しているということになりましょうか.

syntagma marking とは,抽象的なだけに,個々の問題を説明するに当たっては強力すぎるかなとも感じてはいます.ただ,応用範囲は広そうですね.

Comments to 2011-12-28-1

* Yoshi (2011-12-29 07:59:30)

単純に考えてみると、主格がheの場合、文の最初の語なので状況が全くつかめないことがありそうですが、斜格のhim, hemの場合、既に主語が出ているからこうだろう、とか、その文以外でも前後の文によりこうだろう、と、主格よりずっと確定しやすいのではないでしょうか。従って、新しい形を急いで取り入れる必要がなかったのでは? これは頻度の問題ではなく、斜格というcaseの性格から生じそうなことと思いますが・・・。

関連して興味を感じることですが、同じ作品とか写本で、theyと複数のheなどが混在するものも色々とあるかと思います。そうしたテキストの場合、どういう場合にtheyで、どうだったらheか、分けられるのか、それともアト・ランダムなのか、ということです。ら抜き言葉など、日本語でも新しい表現が使われる場合、歴史的な大きな時間の流れや地域差に加え、書き手や話し手の社会的な地位、年齢、その発話が起こる文脈・文体など幾つかの要素が関わってくるでしょう。同様の事が、they / heにも言えるのかどうか、気になりました。例えば、現代の英語や日本語でのように、知的職業の人は古い形を使いがちなど言えると面白いです。

* hotta (2011-12-29 16:03:11)

なるほど,主格と斜格の語用上の違いに起因する時間差ではないかとのご指摘は妥当のように思います.それも含めて,頻度の差ということになるのかもしれません.また,初期中英語のような混乱期のテキストを読んでみると,一見すると完全な混乱,めちゃくちゃな分布としか思えない人称代名詞形態の使用にしばしば出くわします.詳しく調査したことはありませんが,相当に手強い問題のように思います.

* saiki (2012-01-28 13:46:04)

高校生です。ちょうどこのあたりを勉強していて助かります

Comments to 2011-12-26-1

* タツノオトシゴ (2012-01-01 19:04:16)

先生がもっていらっしゃる(った)院生さん達はどのようなテーマで論文を書かれているんですか?

ゼミ生さん達は相当幅広い範囲で興味深いタイトルですが、それ程広いと先生も大変そうですね(;

* hotta (2012-01-06 10:19:55)

 大学院生の研究テーマも様々で,近現代英語の英米差,中英語における3人称代名詞形態の通時的変化と方言分布,動詞の強弱移行の歴史的発展などです.着いて行くというよりは,一緒に勉強してゆく,教え教わってゆくという感じです.

Comments to 2011-12-23-1

* Yoshi (2011-12-23 11:14:46)

手元の英和辞典では、'Money makes the mare (to) go'と、toに括弧が付いていました。今のネィティブ・スピーカーは、toなしで使う人もいるのかな。韻律的に完璧、という点については、この諺はイギリスのnursery rhymeの一行から作られた諺のようですので、もっともですね。

昔、 toのつかないhelpはアメリカニズムと教わったことを思い出しました。アメリカ英語は、昔の用法を温存している場合が多いという印象ですが、今またtoなしのhelpの用法が増えていると言うことは、アメリカ英語の影響力でしょうか。それにつれて、昔の用法に戻っていると言うことでしょうね。面白い現象ですね。

* hotta (2011-12-23 20:40:18)

これまであまり話題に取り上げてきませんでしたが,諺の歴史というのも調べてみるとおもしろそうですね.たいてい外来のものだったり,語句を入れ替えた複数の variation が文証されたりします.そのなかで,とりわけ語呂のよいものが広く受け入れられてゆくという傾向が見られるのではないかと推測します.いずれ調べてみたいと思います.

help と不定詞の構文については,近年,多くの研究があり,明日の記事でも少し触れる予定です.

コメント,ありがとうございました.

Comments to 2011-12-22-1

* Yoshi (2011-12-23 10:21:23)

こんにちは。先生のブログの内容の多彩さ、正確さ、そして何よりも更新の多さには圧倒されてます。

さて、人の姓ですが、poll taxが1つのきっかけだったとは、なるほど、と思いました。そうした行政的な面に加え、都市化と人口移動の活発化により、小さなコミュニティーの中での区別で済まなくなったことも大きいと思いました。また、法的文書の広まりで、文書の上だけで人の区別が可能である必要も出て来たのではないかと思います。

最初は「of+地名」が多かったんですね。でも今ではofがなくなって、John Denhamとか、Jack Londonという具合になっていますね。フランス語ではde Galleなんて具合にdeが残っているのが興味深いです。また、その後、John Smithのような職業名が主体になり、地名よりも多くなったようなのは時代の変化でしょうね。農民が圧倒的に多かった時代は、職業と言っても大してバラエティーがないでしょうから。地名にしろ、職業名にしろ、最初は、「Denham村のyyさん」という「xx村」の部分の意味が生きていたのでしょうけど、そのうち、それが単なる姓として、Londonに住んでいても「Denham村の」Johnとか、大工であっても、John Smithだったりするのでしょうが、その移行期に興味を感じます。最初、混乱したのじゃないかなあ、と思いました。

Comments to 2011-07-25-1

* matsuo (2011-08-08 12:44:47)

#819を拝見しました。永年抱えていた疑問が氷解し、感謝しています!中学校で英語を教えていて、よく「?」とひっかかることがあります。大概はALTに尋ね(彼らは専門家ではないので空ぶる事が多い)、辞書辞典に当たり、何とか解決してきました。でも「なぜ所有格では'sがつくのか?」という事について答えてくれる資料はありませんでした。どうも有難うございます。HPを見たら、そういうずっと温めていた「?」についての説明が多いようなので、これからしばしば訪れさせていただきます。

* hotta (2011-08-09 19:53:29)

 コメント,ありがとうございます.念のために補足しますが,現代英語の apostrophe "s" の直接の起源は,#819 で説明した his 属格ではありません.その起源は,古英語の男性および中性の強変化名詞 (a-stem, i-stem, u-sutem) の単数属格の屈折語尾 -es にあります.古英語の名詞のなかではこの屈折タイプが最も多く,中英語期以降に,-(e)s の形態で属格語尾として全名詞に一般化したというのが英語史の通説です(古英語の名詞の屈折については,#26 などを参照).#819 は,この -(e)s 属格の一般化の流れに his 属格という用法が乗っかったのだろうという議論でして,his 属格が apostrophe "s" を先導したという逆の方向の議論は,一般的にはなされていないと思います.

Comments to 2011-05-23-1

* 名無しさん (2014-12-24 23:38:31)

Anglo-Saxon からの借用とは理解できません, 大陸に残ったアングル人やサクソン人の話す言語からの借用という意味でしょうか, そうではないと思いますが

* hotta (2014-12-25 04:05:45)

 確かに Anglo-Saxon からの「借用」ではありませんでした.ここでは単に英語本来語という意味で理解してください.

Comments to 2011-05-15-1

* 家根橋伸子 (2011-09-30 15:08:15)

記事中の話し言葉の優位性の理由の文章がとても簡潔で分かりやすいので授業のpptで一部を使わせていただくかもしれません。出典は示します。よろしいでしょうか。

* hotta (2011-09-30 20:03:42)

 記事の中で利用できる部分がありましたら,ぜひお使いください.自分もそのような使い方をし,他の方にもそのような使い方をしてもらいたいと考えながら,記事を書いていますので,嬉しいです.ありがとうございました.

* 家根橋伸子 (2011-10-03 14:57:49)

ありがとうございます。使用させていただきます。これからも記事を楽しみにしております。

Comments to 2011-03-27-1

* 中川憲二 (2012-10-18 17:49:31)

全くの門外漢ですが、40年ほど前にテヘラン大学(文)に留学していました。ペルシャ語という点からコメントします。fatherはpedar、motherはmadar、brotherはbaradar、sisterはkhaharです。daughterはdokhtar、縮小形がdokht、sonは小生レベルのペルシャ語からは紐解けません。

Comments to 2011-03-16-1

* okamoto (2011-03-16 22:10:32)

先生のブログ拝見させていただいております。
塾で英語を教えているのですが、一つどうしても分からないことがあって、ずうずうしいのですが英語史に関連したものであるので質問させていただきたいです。
生徒から「どうしてsisterだけbrother,mother,fatherみたいにtherで終わってないの?」ときかれました。
自分で調べたところsisterは印欧祖語の*swésōrにまでさかのぼってbrotherなどと違って*swéと*h₁ésh₂に分解できるというところまで調べることができましたが、結局どうしてtherではなくterのつづりのまま現代に残ったのかはっきりしたことがわかりませんでした。
お手数ではありますお答えいただければ幸いです。

* hotta (2011-03-21 17:29:44)

 father, mother, brother は <th> をもっているのに,sister はなぜ <t> なのか.これは素朴で非常におもしろい疑問ですが,調べてみると背景にいろいろと込み入った事情があります.一言では説明しにくいので改めて記事にできればと思っていますが,取り急ぎ要点のみ述べます.
 語源的に関連する daughter も合わせて親族名詞5語の音韻形態の歴史を調べてみると,問題の子音の起源と発展は見事なほどに各者各様です.印欧祖語の再建形から同じ振る舞いをして現代標準英語形に至ったのは father と mother のみで,brother, daughter, sister はそれぞれ各様の発展を経て現在に至っています.father と mother の2語が brother と同じ <th> を示すようになったのは,中英語後期より後の話しで(#480 の記事を参照),それまでは fader, moder などと <d> をもっていました.sister に至っては,okamoto さんの調べられたとおり,そもそも印欧祖語では <t> にしろ <th> にしろ問題の子音はなかったわけで,ゲルマン語の段階で類推により <t> が挿入されたものです.
 事情は複雑ですが,印欧祖語の段階では( sister を除いて) *-ter の語尾で統一していたと考えられる問題の親族名詞群が,後の歴史で各者各様に音声変化を経てきた結果,現代標準英語として見ると,たまたま father, mother, brother, sister, daughter という形で分布しているということです.
 最初の素朴な疑問に戻りますと,sister が仲間はずれであるという以前に,father, mother, brother の <th> の一致自体が(ある意味では確かに語源的なのですが)偶然なわけです.具体的な形態を示さずに要点だけ説明したのでわかりにくいかもしれません.機会があれば記事にします.

* okamoto (2011-03-22 03:48:08)

丁寧な回答ありがとうございました。

>sister が仲間はずれであるという以前に,father, mother, brother の <th> の一致自体が(ある意味で確かに語源的なのですが)偶然なわけです.

なるほど、親族関係で同じような形をしているのに実は偶然なんですね。似たようなつづりの単語はどこかでつながっているのが当然だと思っていましたが、逆にこういうこともあるのですね。勉強になりました。また記事にしていただいた時には読ませていただきます。

Comments to 2011-03-11-1

* milan (2011-03-12 00:11:46)

寺澤盾氏の「英語の歴史」という著書の中で御名前を拝見しました。ferという語根は印欧語のpor(前)、bher(宿す)から由来するとのことなのですが、これら2つの「fer」はどのように異なるのでしょうか?
稚拙な質問で申し訳ないのですが、ご存知でしたらお答えいただけたら嬉しいです。

* hotta (2011-03-14 15:02:10)

 ご質問の件ですが,端的にいえば英語の語根として言及されている "fer" には2種類あり,1つは英語本来語由来(より広くゲルマン系)のもの,もう1つはラテン・フランス語語由来(より広くロマンス系)のものです.2つはまったく別ものとして考える必要があります.前者は "before", "for", "first",後者は "confer", "offer", "refer" などを説明します.ただし,前者の語群で母音が異なっていることから示唆されるとおり,e をもつ "fer" を英語本来語としての語根とみなす理由はないように思われます.ゲルマン祖語レベルでは *fur あるいは *for が再建された形です.
 機会があれば,改めて記事でも触れたいと思います.

* milan (2011-03-19 01:11:53)

図々しい質問に解説していただき大変有難うございました。語根という言葉の認識が甘く、それについも触れていただき、申し訳ありませんでした。

Comments to 2011-01-01-1

* おはる (2011-01-01 21:43:38)

そういえば、hareはドイツ語でHaseですね。

* 名無しさん (2011-01-01 23:19:22)

hareとrabbitというと、『不思議の国のアリス』の白ウサギと三月ウサギを思い出します。『鏡の国のアリス』でHaigha (=hare)がAnglo-Saxon messengerなのはrabbitではなくhareがOE系の語だからでしょうかね。

Comments to 2010-12-10-1

* m.iwasaki (2010-12-10 22:33:57)

心臓止まるかと思いました;
web版もあったんですね!
というか、web版が出来るほど権威ある(?)辞書だったんですね・笑

まぁ、私がしたかった作業はwebじゃ出来なさそうですが…
webでしか出来ない事もありますが、紙も私は好きです

* hotta (2010-12-12 07:31:24)

Web版ではブラウズできないので辞書を素材とした卒論研究は確かに無理ですね.今回のために Hobson-Jobson の辞書について勉強したのですが,編纂に大きな苦労の詰まった味わいのある辞書のようで,見直す機会になりました.英語の一変種が標準変種に受け入れられていく契機を用意したというか,一変種の存在感を示したというか,そのような意義のある辞書のように思いました.Anglo-Indian とは何なのか,それは一変種なのか数変種の混合なのか,などいろいろな問題はありますが,Hobson-Jobson は記念碑的な辞書といえそうです.

Comments to 2010-10-26-1

* yamataku (2010-10-26 09:24:57)

本題から若干それているかもしれませんが…
「次に,/uː/ となった <oo> の一部(歯音 /k, t, d/ が後続するものの一部)が16〜17世紀に短化 (  shortening ) を起こし /ʊ/ となった.」
とありますが、/k/は歯音ではないと思います。「舌を使う破裂音が後続するものの一部」のほうが正しいと思うのですがどうでしょうか?

* hotta (2010-10-26 23:39:35)

 /k/ はご指摘の通り歯音ではありませんでした.「歯音」を削除します.<oo> に対応する3種類の発音については近代英語期には大分揺れがあったようです.調べるとおもしろそうなので,改めて報告したいと思います.

Comments to 2010-10-24-1

* an (2010-10-30 22:47:46)

歴史語用論の研究をたくさん見たわけではありませんが、名前が示すとおり、どうもあれは英語史の一分野というよりは語用論の一分野のような気がします。シェイクスピアを歴史語用論ではなく語用論で分析した論文もあるので、語用論と歴史語用論は別なのでしょうが……。

Comments to 2010-10-14-1

* miura (2010-10-14 09:34:45)

こんにちは、いつも黙って読んでるばかりなので、たまにはコメントを…
家入先生の_Verbs of implicit negation and their complements in the history of English_ (2010)の§1.5と6.3でも史的コーパスとしてのOEDの有用性が議論されています。結論としてはHoffmann (2004)に近く、難点はあるもののデータ分析に十分注意を払えば貴重な言語資料となる、というものでした。
対象範囲がOEDに近い通時コーパスとして、Penn Parsed Corpusシリーズがありますが、使い方をマスターするのに多少訓練がいりますし、統語研究が一般的な用途ですよね。語彙研究にも使えなくはないですけど、PPCME2は韻文がOrmulumだけなのが個人的には残念です…

* hotta (2010-10-14 21:30:00)

貴重なコメントをありがとうございます.個人的に OED を多用していながら,ツールとしての OED の価値についてはそれほど注意を払ってこなかった嫌いがあり,調べだしているところです.Penn Parsed Corpus シリーズは合わせるとカバーする時代範囲が広いので,確かにある意味で OED の代替手段に使えそうですが,おっしゃるとおりやや敷居が高いですよね.私のCDラックでは埃をかぶっています,そろそろ重い腰を上げないと・・・.

Comments to 2010-10-01-1

* タクマ (2013-09-19 00:22:17)

科学技術史が専門なので畑違いですが、コメントさせて戴きます。
故あって、今月1ヶ月北京に滞在しています。
「総合の指標」「融合の指標」で検索して、
色々探した結果、貴サイトにたどり着きました。
(英語のサイトはなぜかアクセスできませんでした。当局によってブロックされているのではないかと勘ぐっています。言語学者が国によって警戒されることは時々耳にしますので。)

中国語(北京語)を勉強し始めてまだ日が浅いですが、
中学・高校で習った漢文のイメージとはかなり違います。
言うならば「アルタイ語化」(かっこ付きですが)されてしまっています。
前置詞・後置詞はもちろん、強調やリズム保持のためだけに添えられる漢字があったりします。
また、話題提示のために目的語を文頭に引っ張り出すための特別な前置詞まであります。
前置詞・後置詞の多用は、民族接触による「分析化」だと解釈できないこともないですが、
強調・リズムのための添え字や話題提示用前置詞の存在は、「膠着語」化と言ってよいのではないか、と思いました。

(2013年9月18日)

* タクマ (2013-09-20 01:19:55)

【訂正】
先のコメントで、「話題提示のために目的語を文頭に引っ張り出すための特別な前置詞」と書きましたが、調べ直したところ、間違っていました。
以下に訂正します。
上述の前置詞は、具体的には介詞「把」のことで、
「把」構文によって目的語を動詞の前に持ってくることはできます。
しかし、目的語を文頭にまでもってくるわけではなく、
またその狙いも話題提示ではありませんでした。
(目的語に処置を加えた結果こうなったというニュアンスを持たせるためだそうです。)
それから、「前置詞+目的語」を文頭に持ってきて話題提示を行うことは、いわゆる「屈折語」(やはり括弧付きですが)にもあるので、
アルタイ語的な特徴としてあげること自体が不適当でした。
失礼を致しました。

「強調やリズムのために語尾に添える字」についても、もう少し検討し直してみようと思います。
(貴記事にも書かかれているように、「〜化」とか「〜的」といっても、もともと原理的に明瞭な分別ができないので、
アマチュアが調べまわってもそれほど甲斐がないかも知れませんが。)

Comments to 2010-09-25-1

* 名無しさん (2010-09-25 22:50:39)

こんばんは。ギリシャ語から直接借入する場合でもラテン語化してから借入するのはどうしてだかご存知でしたら、解説をお願いします。 ギリシャ語の発音問題はηをエータと読むかイータと読むかでしたっけ? 現代日本語だと、βは古典式にベータなのに、φはファイ、θはシータと現代風で不統一です。古典→現代ギリシャ語の発音変化は興味深いものがありますが、トルコに何世紀も支配されていたことによる言語接触の影響が強そうで、一筋縄ではいかなそうです。

* hotta (2010-09-27 22:52:52)

 ご質問ありがとうございます.「ギリシャ語から直接借入する場合でもラテン語化してから借入するのはどうしてだか」に関してですが,具体的にはどういうことでしょうか? 例えば <υ> を <y> に書き換えるような現象ですか?
 また,ギリシア語の発音問題(正音論争)については,Knowles (67--68) 以上には調べていません.現在の英語国で古典語の発音を英語的な発音で通す件については,かつて何かで関連する話題を読んだのですが失念しました.これ,結構おもしろい問題ですよね.日本では原則的に原音主義でやっていると思うので.
 以上の点で,今後あらたに調べたり思い出したりしたことがあれば記事にします.私も知りたいので何か分かりましたら,是非お知らせください.ありがとうございました.

Comments to 2010-05-03-1

* あっきー (2015-07-12 11:17:51)

 こんにちは。慶應義塾大学で先生の「英語史機廚鮗講している学生です。授業の復習を兼ねて、興味深く拝読しております。

 「系統」と「影響」について少し混乱しております。系統図を見ると、英語とフランス語・ラテン語は同系統ではなく、影響を受け合った関係にある。そしてその根拠として〈英語文化がフランス語・ラテン語文化から強い影響を受けた〉という歴史的事実がある、ということになると思います。
 ここで疑問に思うのは「そうした歴史的事実があることにより、同系統にあるという可能性は完全に排除することが出来るのか」ということです。また「なぜ英語とドイツ語は同系統にあると断定できたのか」ということも気になります(歴史的事実を見る限り、フランス文化ほどドイツ文化の影響を受けているとは考えにくいですが)。

 お忙しいとは思いますが、是非先生のご意見を伺えればと思います。

* hotta (2015-07-13 07:19:58)

 2つの異なる言語において語形などが比較される場合に,それは系統による類似性なのか,影響による類似性なのかという問題について質問をもらいました.
 「英語文化がフランス語・ラテン語文化から強い影響を受けたという歴史的事実」があり,それが分かっているからこそ,これこれのケースは「影響」による類似性と言い切れるのだ,という言い方をしましたが,実際にはほとんどの場合,もっと強い言語学的な根拠があります.高度に専門的な比較言語学や文献学の世界では,各言語の多くの語について語源形や現在の形に至るまでの歴史が詳しく調べられており,母音1つ,子音1つに至るまで徹底的に研究されています.その成果に照らして,ほとんどの場合,ある英単語が印欧祖語やゲルマン祖語から「系統」としてその語形を引き継いでいるのか,あるいは例えばフランス語から「影響」を受けた(=借用した)のかが明確に区別されます.上で触れた「歴史的事実」は,この強い言語学的な根拠を,むしろ補佐する役割といったほうが正確かもしれません.

* あっきー (2015-07-13 15:17:28)

 こんにちは。早速ご返答を頂きましてありがとうございました!
 授業においても「再建の一例」について、”foot”を例に挙げられた説明がありましたが、授業で説明された以上に複雑なプロセスを経ているということを再認識しました。
 OEの分析がPDEのなぜを解く手掛かりになることが非常に多く、この再建のプロセスについても、今後学習を深めていきたいと思っています。
 今後ともよろしくお願い致します。

Comments to 2010-04-08-1

* 森本卓三 (2012-08-18 12:24:56)

<346フランス語ir動詞」について>

「英語はどういうわけか複数人称にのみ表れる /s/ を,語幹の一部としてくっつけたまま借用してきたのである」となっていますが、

列挙されているフランス語の動詞は複数人称だけでなく単数人称にも現れます。(例)je finis / tu finis

* 森本卓三 (2013-09-20 11:17:33)

「複数人称にのみ表れる /s/ を」 は 「複数人称にのみ表れる s の発音を」と言う意味だったのですね。
どうも失礼しました。

Comments to 2010-03-27-1

* hotta (2012-05-24 20:13:21)

 英語の母語話者ではない者に「懐かしさ」がわかる(ように感じる)のは,不思議といえば不思議ですね.本文中で「暖かさと懐かしさ」とカギ括弧つきで書いたのは,これが主観的な評価の表現であり,私以外の英語非母語話者にも同じ感覚が共有されているかどうかは,よくわからないからです.もう少し客観的に表現すれば,三層構造として挙げた単語リストのなかで,英語本来語の系列は借用語の系列よりも「基本的で,頻度が高く,とりわけ口語で用いられやすい傾向がある」と言えます.これは典型的に子供の発する言葉です.母語話者の子供は,まず本来語から覚え始め,徐々に高度な借用語へと進みます.
 英語の非母語学習者も,基本的で,頻度が高く,とりわけ口語で用いられやすい本来語から覚え始め,徐々に高度な借用語へと進むのが通例です.母語話者が子供のときにゆっくりとたどる道筋を,学習者は意識的に速く進んでゆくというスピードの違いはありますが,道筋自体はおよそ同じだということです.「懐かしさ」の感覚が非母語話者にも共有されるとすれば,この辺りに鍵がありそうです.

* 名無しさん (2012-05-25 12:54:08)

そうなんですね。私も本来語には懐かしさを感じるので、理由がわかってスッキリした気がします。ありがとうございました。これからも先生のブログを読んでいろいろと勉強させていただきます。

Comments to 2009-12-15-1

* 名無しさん (2011-01-09 13:39:20)

中性が中世になっています

Comments to 2009-08-01-1

* 森本卓三 (2012-08-18 10:54:24)

「 語幹は本来語だが接辞はフランス語」が他にもあります。
beautiful:beauté(フランス語「美」)+ ful
charming: charm(フランス語「魅惑する」)+ing
survival :(フランス語survivre「生き残る」+al)

Comments to 2009-06-14-1

* 平野 (2014-06-11 19:15:09)

私は、中・高等学校で教員をしています。今日、生徒から再帰代名詞の所有格と目的格について質問を受けました。この質問についてはその場で答えられなかったので、この記事を読みました。僕自身大変勉強になりました。これからも生徒からの英語の素朴な疑問を流さず、勉強していきます。
この記事を執筆下さりありがとうございます!

* hotta (2014-06-11 21:18:16)

 平野先生,記事への反応ありがとうございます! 本ブログの記事が間接的にであれ何か英語教育に役に立つことがあるとすれば,続けてきた甲斐もあったかと感じます.素朴な疑問が出てきたら,ぜひ流さずにお寄せください,一緒に考えてみたいと思います.なお,この問題に対するアプローチも諸説あるようですので,http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/cat_reflexive_pronoun.html もご覧ください.

Comments to 2009-05-11-1

* syu (2014-03-11 09:19:12)

carpは単複同形ではありませんよ。

Comments to 2009-05-01-1

* 森本卓三 (2013-03-19 12:51:11)

英語の語源がノルマンコンケストによってイギリスを支配したフレンチノルマンのフランス語よりも古フランス語の方が圧倒的に多い理由は何でしょうか?

* hotta (2013-03-19 14:43:56)

 中英語期のフランス語借用の大雑把な傾向としては,初期はノルマン・フレンチから少数の専門語,以降は古フランス語から多数の一般語という対比が見られます.1204年に John 王がノルマンディを喪失して以来,ノルマン・フレンチの影響が衰退し,代わってパリの標準フランス語(=古フランス語)が英語に影響を与えるようになります.おりしも13世紀には標準フランス語が国際語として威信を誇っており,英語が目指すターゲットとしてもふさわしいと考えられました.また,13世紀は,イングランドのフランス系貴族ですらフランス語の能力を失い始め,母語を英語へと乗り換え始めた時期です.英語へ乗り換える際にも,これまで慣れ親しんできたフランス的な物事や文化を表わす単語とは決別できず,それらを大量に英語へ引き連れながら乗り換えたと考えられます.
 関連する記事を以下に書いていますので,ご参照ください.
 ・ http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2009-08-22-1.html
 ・ http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2012-08-14-1.html
 ・ http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2012-08-18-1.html

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