
あの名著が復刊されます! 市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』(研究社)が,1ヶ月後の2月25日に出版予定です(定価3300円).研究社公式HPの近刊案内より部分的に「試し読み」もできますので,ぜひチェックしてみてください.「英語史関連・周辺テーマの本」一覧にもアクセスできます.
本書の歴史をざっとたどってみます.
・ 1933--34年,市河三喜が雑誌『英語青年』(研究社)にて,後の『古代中世英語初歩』の母体となる連載記事を寄稿する
・ 1935年,市河三喜(著)『古代中世英語初歩』が出版される
・ 1955年,市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩』第2版(研究社)が出版される
・ 1986年,市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩』(研究社)が出版される(松浪による全面改訂)
・ 2023年,神山孝夫(著)『市河三喜伝』(研究社)が出版される
以下,hellog,heldio,その他で公開してきた『古英語・中英語初歩』に直接・間接に関係するコンテンツを時系列に一覧します.
・ 2025年4月28日,heldio で「#1429. 古英語・中英語を学びたくなりますよね? --- 市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩』第2版(研究社,1986年)」を配信
・ 2025年5月1日,ari さんが note で「#268 【雑談】市河・松浪(1986)「古英語・中英語初歩」こと,ÞOMEB を買ってみた件!!」を公開する
・ 2025年5月3日,ぷりっつさんが note で「Gemini 君と古英語を読む」シリーズを開始する(5月9日まで6回完結のシリーズ)
・ 2025年5月5日,hellog で「#5852. 市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩』第2版(研究社,1986年)」 ([2025-05-05-1]) が公開される
・ 2025年5月10日,helwa メンバーが本書を(計7冊以上)持ち寄って皐月収録会(於三田キャンパス)に臨む.参加者(対面あるいはオンライン)は,ari さん,camin さん,lacolaco さん,Lilimi さん,Galois さん,小河舜さん,taku さん,ykagata さん,しーさん,みーさん,寺澤志帆さん,川上さん,泉類尚貴さん,藤原郁弥さん.
・ 2025年5月12日,hellog で「#5859. 「AI古英語家庭教師」の衝撃 --- ぷりっつさんの古英語独学シリーズを読んで」 ([2025-05-12-1]) が公開される
・ 2025年5月15日,TakGottberg さんが,上記 heldio #1429 のコメント欄にて,(1986年版の)2011年第16刷の正誤表やその他の話題に言及(本記事の末尾を参照)
・ 2025年5月29日,heldio で「#1460. 『古英語・中英語初歩』をめぐる雑談対談 --- 皐月収録回@三田より」が配信される
・ 2025年10月5日,heldio にて「#1589. 声の書評 by khelf 藤原郁弥さん --- 神山孝夫(著)『市河三喜伝』(研究社,2023年)」が配信される
・ 2025年10月5日,hellog にて「#6005. khelf の新たなhel活「声の書評」が始まりました --- khelf 藤原郁弥さんが紹介する『市河三喜伝』」 ([2025-10-05-1]) が公開される
・ 2026年1月20日,研究社より新装復刊が公式にアナウンスされる
・ 2026年2月25日,出版予定
新装復刊を前に,本書とその周辺について,理解を深めていただければ.復刊の Amazon の予約注文はこちらよりどうぞ.
・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.
・ 神山 孝夫 『市河三喜伝 --- 英語に生きた男の出自,経歴,業績,人生』 研究社,2023年.

今年度は月1回,朝日カルチャーセンター新宿教室で英語史講座を開いています.シリーズタイトルは「歴史上もっとも不思議な英単語」です.英語史的に厚みと含蓄のある英単語を1つ選び,そこから説き起こして,『英語語源辞典』(研究社)や『英語語源ハンドブック』(研究社)等の記述を参照しながら,その英単語の歴史,ひいては英語全体の歴史を語ります.
1週間後,1月31日(土)の講座は冬期クールの初回となります.今回取り上げるのは,英語学習者にとって(そして多くの英語話者にとっても)最も馴染み深い副詞の1つでありながら,その来歴に驚くべき変遷を隠し持っている very です.
私たちは普段,何気なく「とても,非常に」という意味で very を使っています.機能語に近い役割を果たす,ごくありふれた単語です.しかし,英語史の観点からこの語を眺めると,そこには「強調」という人間心理につきまとう,激しい生存競争の歴史が見えてきます.以下,very をめぐって取り上げたい論点をいくつか挙げてみます.
・ 高頻度語の very は,実は英語本来語ではなく,フランス語からの借用語です.なぜこのような基礎的な単語が借用されるに至ったのでしょうか.
・ フランス語ではもともと「真実の」を意味する形容詞 (cf. Fr. vrai) であり,英語に入ってきた当初も形容詞として用いられていました.the very man 「まさにその男」などの用法にその痕跡が残っています.これがいかなるきっかけで強意の副詞となり,しかもここまで高頻度になったのでしょうか.
・ 強意語には「強意逓減の法則」という語彙論・意味論上の宿命があります.強調表現は使われすぎると手垢がつき,強調の度合いがすり減ってしまうのです.
・ 英語史を通じて,おびただしい強意語が現われては消えていきました.古英語や中英語で使われていた代表的な強意語を覗いてみます.
・ 多くの強意語が消えゆく(あるいは陳腐化する)なかで,なぜ very は生き残り,さらに現代英語においてこれほどの安定感を示しているのでしょうか.大きな謎です.
・ 一般的に「強調」とは何か,「強意語」とは言語においてどのような位置づけにあるのかについても考えてみたいと思います.
このように,very という一見単純な単語の背後に,形容詞から副詞への品詞転換,意味の漂白化,そして類義語との競合といった,英語語彙史上ののエッセンスが詰まっています.このエキサイティングな歴史を90分でお話しします.
講座への参加方法は,今期もオンライン参加のみとなります.リアルタイムでの受講のほか,2週間の見逃し配信サービスもあります.皆さんのご都合のよい方法でご参加いただければ幸いです.開講時間は 15:30--17:00 となっています.講座と申込みの詳細は朝カルの公式ページよりご確認ください.
なお,冬期クールのラインナップは以下の通りです.2026年の幕開けも,皆さんで英語史を楽しく学んでいきましょう!
- 第10回:1月31日(土) 15:30?17:00 「very --- 「本物」から大混戦の強意語へ」
- 第11回:2月28日(土) 15:30?17:00 「that --- 指示詞から多機能語への大出世」
- 第12回:3月28日(土) 15:30?17:00 「be --- 英語の「存在」を支える超不規則動詞」
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
日本英文学会の編集する学術誌『英文学研究』の第103巻(2026年)に,拙著(家入葉子・堀田隆一共著)『文献学と英語史研究』(開拓社,2023年)の書評が『英文学研究』に掲載されました.評者は愛知教育大学の小塚良孝氏です.
4ページ分の丁寧な書評を賜りました.小塚氏には,本書の刊行直後にも関連する研究発表会で司会をしていただくなど,お世話になりました.この場を借りて,改めて感謝申し上げます.
書評では,本書が意図した「文献学と英語史研究の融合」という視点や,近年の研究動向の整理について,評価していただきました.特に,伝統的な英語史研究における「古英語・中英語・近代英語という時代区分」「形態論・音韻論等の分野区分」「共時性と通時性という視点の区分」といった境界線を,絶対視せずに柔軟に乗り越えることの必要性を本書が説いている点について,的確に言及していただきました.これから英語史を志す学生や若手研究者にとっても,またすでに第一線で活躍されている研究者にとっても,本書が提示する見取り図が有用であることを認めていただいた形です.『英文学研究』がお手元にある方は,ぜひ pp. 226--30 の書評をご一読いただければ幸いです.
さて,ここで改めて,本書『文献学と英語史研究』について紹介しておきたいと思います.本書は,2023年1月に開拓社の最新英語学・言語学シリーズの第21巻として出版されました.
本書の最大の目的は,1980年代以降の約40年間にわたる英語史研究の動向を整理し,今後の展望を示すことにあります.英語史研究は,コーパス言語学の発達や隣接分野との連携により,この数十年で大きく変貌を遂げました.かつての「文献学」 (philology) の伝統と,現代的な「言語学」 (linguistics) の手法がいかに融合し,新しい知見を生み出しているのか.その最前線を,音韻論,綴字,形態論,統語論といった主要な分野ごとに詳説しています.本書の構成は以下の通りです.
・ 第1章 英語史研究の潮流
・ 第2章 英語史研究の資料とデータ
・ 第3章 音韻論・綴字
・ 第4章 形態論
・ 第5章 統語論
・ 第6章 英語史研究における今後の展望にかえて
・ 参考文献
・ 索引
本書に関連しては,hellog でも過去に多くの記事を書いてきました.以下に関連記事へのリンクを掲載しますので,あわせてご参照ください.
・ 「#4985. 新著が出ます --- 家入 葉子・堀田 隆一 『文献学と英語史研究』 開拓社,2022年.」 ([2022-12-20-1])
・ 「#5023. 新著『文献学と英語史研究』で示されている英語綴字史研究の動向と展望」 ([2023-01-27-1])
・ 「#5024. 「通史としての英語史」とは? --- 新著『文献学と英語史研究』より」 ([2023-01-28-1])
・ 「#5158. 家入葉子・堀田隆一著『文献学と英語史研究』(開拓社,2023年)を改めて紹介します」 ([2023-06-11-1])
また,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」や,YouTube 「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」でも,関連する話題をいくつかお届けしています.共著者の家入葉子先生(京都大学)との対談回もあります.本書の舞台裏や,英語史研究への熱い思いが語られていますので,未聴の方はぜひチェックしてみてください.
・ Voicy heldio: 「#609. 家入葉子先生との対談:新著『文献学と英語史研究』(開拓社)を紹介します」
・ Voicy heldio: 「#611. 家入葉子先生との対談の第2弾:新著『文献学と英語史研究』より英語史コーパスについて語ります」
・ Voicy heldio: 「#582. 「境界を意識し,境界を越える」 --- 新著『文献学と英語史研究』が伝えたいこと」
・ YouTube: 「家入葉子・堀田隆一『文献学と英語史研究』(開拓社,2023年)のご紹介 --- 言語学も同期する中心から周辺へ?」
今回の小塚氏による書評を機に,再び本書が英語史に関心を寄せる方々の目に留まり,新たな研究の種が蒔かれることを願っています.

・ 小塚 良孝 「書評:家入葉子・堀田隆一著 『文献学と英語史研究』 開拓社 2023年 xii + 251pp.」 『英文学研究』 第103巻,2026年.226--30頁.
・ 家入 葉子・堀田 隆一 『文献学と英語史研究』 開拓社,2023年.

昨年の6月に『英語語源ハンドブック』が研究社より刊行されてから,早いもので7ヶ月ほどが経ちます.おかげさまで多くの方に手に取っていただき,好意的な反響をいただいております.さて,本書は「ハンドブック」と銘打ってはいますが,辞書のように引くだけでなく,通読していただくことも想定した作りになっています.この「通読」に挑戦する読者が増えているようです.
さらにありがたいことに,この「通読」のプロセスや成果を,ブログや SNS などで発信してくださる方々がいらっしゃり,少しずつ増えてきています.ウェブ上に展開するこれらのコンテンツは,これから本書を手に取る方,あるいは現在通読中の方にとって,よい伴走者となると思います.今回は,それぞれのコンテンツ作成者の方々への感謝の気持ちも込めて,現在ウェブ上で確認できる関連コンテンツをいくつか紹介したいと思います.
まず,教育的な視点からの通読シリーズです.
・ 「研究社の英語語源ハンドブックの Word of the Day」 (ari さん blogspot)
・ 「小学生と学ぶ英語史」 (みーさん note)
ari さんの記事は英語教員向けの「大人のための」通読シリーズとなっており,現場の先生方にとっても有益な情報が満載です.一方,みーさんは「小学生のための」通読シリーズという,これまで誰も足を踏み入れたことのない領域に挑戦されています.英語史の裾野が広がっていることを実感し,感銘を受けています.
続いて,ゲルマン語比較言語学的な観点から本書を読み解くという,硬派かつユニークな試みを紹介します.
・ 「『英語語源ハンドブック』にこじつけて学ぶドイツ語」 (ykagata さん Hatena Blog)
・ 「『英語語源ハンドブック』にこじつけて学ぶドイツ語」に便乗して眺めるスウェーデン語」 (り~みんさん note)
ykagata さんはドイツ語の観点から,そしてそれに呼応する形で,り~みんさんはスウェーデン語の観点から英語語源を眺めるという新機軸を展開されています.英語,ドイツ語,スウェーデン語は同じゲルマン語派 (Germanic) の姉妹言語なので,これらを比較対照することは語源学習において非常に有効です.
プロフェッショナルな視点からの感想や書評も見逃せません.
・ 「#翻訳者英語語源ハンドブック1日1語感想」 (天野優未さん X)
・ 「【2025年のベスト本】『英語語源ハンドブック』について,思ったことを語り尽くす.」 (やるせな語学さん)
翻訳者である天野さんからは,常に日英語を対照している翻訳のプロとしての鋭いコメントをいただいています.また,やるせな語学さんには,大変丁寧な書評を執筆していただきました.著者が意図した細部まで読み込んでいただいていることに感謝いたします.
それから,身内ではありますが khelf(慶應英語史フォーラム)のメンバーによる活動も紹介させてください.
・ 「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」 (khelf 寺澤志帆さん)
こちらは『英語語源辞典』が主テキストではありますが,『英語語源ハンドブック』への言及も頻繁になされています.綴字の歴史という観点から語源を深掘りする際に非常に参考になります.
最後に,版元である研究社による公式コンテンツです.
・ 「英語語源クイズ」 (研究社 note)
本書の編集者によるクイズ形式の記事です.英語史や語源の授業,あるいは英語学習のちょっとした余興などに,大いに活用できる内容となっています.
私としては『英語語源ハンドブック』を通読するというムーヴメントを作りたいと密かに(公に?)願っています.上記の方々はその先駆者たちです.語源の学習は,1語1語の背景にある歴史や文化を紐解く旅のようなものです.1人で黙々と進むのも楽しいものですが,こうしてウェブ上で自身の学びや発見を共有することで,その旅はより豊かなものになるはずです.
これらに続く通読挑戦者が現われ,少しでも多くの方が関連コンテンツを発信してくれるようになれば,英語史の楽しみもさらに広がっていくことと思います.皆さんも,ぜひこの「通読ムーヴメント」に参加してみませんか?

ちょうど1ヶ月後のことになりますが,2月21日(土)の夜,朝日カルチャーセンター新宿教室にて,井上逸兵さん(慶應義塾大学)と私のコンビによる特別講座が開講されます.タイトルは「いのほたチャンネル出版記念講座:AI時代にこそ必要な「言語学的思考」とは」です.
この講座は,昨年2025年10月にナツメ社より刊行された共著『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』(略称「いのほたなぜ」)の出版を記念しての開講となります.本書は YouTube 「いのほた言語学チャンネル」が元となっていますが,その2人が YouTube とも書籍とも異なる朝カルという場にて対談します.井上さんは教室で,堀田はオンラインで登場する予定です.
昨今,生成AIの進化は目覚ましく,言葉の壁が技術的に消えつつあるかのように見えます.そのような時代において,なぜ私たちはあえて言語学を学び,語学を続ける必要があるのでしょうか.本講座では,社会言語学と英語史,それぞれを専門とする2人が「人にとって言葉とは何なのか」という根源的な問いについて語り合います.
AI が生成するテキストが世界を埋め尽くすようになると,人間言語はどうなっていくのか.コーパス言語学の役割はどうなるのか.そして,語学や言語学を学ぶことの意味はどのように変容するのか.AI 時代だからこそ欠かせない言語への深い理解,すなわち「言語学的思考」の意義について,講座を通じて考えていきます.講座の最後には質疑応答の時間も設けます.
講座の概要は以下の通りです.
・ タイトル:いのほたチャンネル出版記念講座:AI時代にこそ必要な「言語学的思考」とは
・ 日時:2月21日(土)18:30--20:00
・ 受講方法:教室(新宿)あるいはオンライン (Zoom) の自由選択.2週間の見逃し配信のサービスもあります.
・ お申し込み:こちらのページよりどうぞ.
当日は,私たちの運営する「いのほた言語学チャンネル」がどこへ向かうのか,といった未来の話も飛び出すと思います.教室で,あるいはオンラインで,皆様とお会いできるのを楽しみにしています.見逃し配信もありますので,当日ご都合のつかない方もぜひ.

・ 井上 逸兵・堀田 隆一 『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』 ナツメ社,2025年.

OED Online は,3ヶ月に一度アップデートされます.最新のアップデートは昨年12月のもので,西アフリカ,マルタ,日本,韓国という4つの地域からの借用語に焦点が当てられています.日本語からの借用語も11語含まれていました.
英語史や語彙論の観点から,それぞれのセクションを要約しつつ,コメントを加えたいと思います.まずは "From abeg to yassa: New words from West Africa" です.ナイジェリア,ガーナ,ガンビア,リベリア,シエラレオネといった国々からの借用語が紹介されています.例えば,ガーナの伝統的なダンス Adowa (1928) や,ナイジェリア英語の bend down (and) select (古着,または古着市場)などがエントリーされることになったとのことです.正直なところ私にとっては縁遠い語彙という印象が拭えません.しかし,これらの国々では英語が公用語やそれに準ずる言語として機能しており,独自の英語変種 (World Englishes) が豊かに育っているという事実を,再認識させられました.
次に "From aljotta to pastizz: New words from Malta" です.地中海の島国マルタの英語変種(Maltese English)からの語彙です.マルタ語 (Maltese) は,EU の公用語の中で唯一,セム語派 (Semitic) に属しながらラテン文字で表記される言語です.記事内に,次の記述があります.
Maltese is the only Semitic language written in the Latin alphabet and is the only Semitic and Afroasiatic language among the official languages of the European Union.
今回追加された pastizz (リコッタチーズや豆の入ったパイ)や aljotta (魚のスープ)などは,イタリア語やシチリア語の影響も色濃く反映しており,言語混交の歴史を感じさせます.マルタの言語事情については,「#2228. マルタの英語事情 (1)」 ([2015-06-03-1]) や「#2229. マルタの英語事情 (2)」 ([2015-06-04-1]) をご覧ください.
さて,hellog として最も注目すべきは,もちろん "From Ekiden to White Day: New words from Japan" のセクションです.今回 OED に追加された日本語由来の英単語は以下の11語です.
・ brush pen (筆ペン)
・ Ekiden (駅伝)
・ love hotel (ラブホテル)
・ mottainai (もったいない)
・ Naginata (なぎなた)
・ PechaKucha (ペチャクチャ)
・ senbei (煎餅)
・ senpai (先輩)
・ Washlet (ウォシュレット)
・ White Day (ホワイトデー)
・ yokai (妖怪)
まず love hotel ですが,日本の独特な文化的空間を表す語として,もっと早く OED に取り入れられもよかったのではないかと思っていますが,今回晴れて(?)の収録となりました.関連して「#142. 英語に借用された日本語の分布」 ([2009-09-16-1]) もご覧ください.商標である Washlet も同様に,日本のトイレ文化の象徴として世界に認知された証でしょう.
興味深いのは mottainai の品詞分類です.日本語では形容詞ですが,OED では間投詞(および名詞)として登録されています.環境問題の文脈で「なんてことだ,もったいない!」という文脈で使われることが多いのだと思われます.
煎餅大好き人間としては,個人的に senbei の追加には拍手を送りたいと思います.定義の中で "usually . . . served with green tea" (たいてい緑茶とともに出される)と,日本の茶の間文化まで記述されているのがナイスです.
一方,PechaKucha については,私は寡聞にして無知でした.どうやら,20枚のスライドを各20秒でプレゼンする形式を指すそうです.Naginata や Ekiden は正統派の借用語と言えますが,senpai はサブカルチャー経由の借用語として存在感を示しているようです.海外のアニメファンの間では「自分に気づいてほしい憧れの対象」という文脈で notice me, senpai のようなミームで使われています.意味・語用の変容が生じていますね.
最後に "From ajumma to sunbae: New words from South Korea" です.ここには ajumma が入りました.日本語の「おばちゃん」に相当する語ですが,パーマヘアやサンバイザーといったステレオタイプな特徴とともに記述されているのがユニークです.
世界各地から英語へと流れ込む語彙の流入はとどまることを知りません.次回の OED アップデートも楽しみです.

「#6099. heldio 2025年第4四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 1月13日までオープン」 ([2026-01-07-1]) でご案内したとおり,去る2025年の第4四半期(10月--12月)における Voicy heldio のベスト配信回を決めるリスナー投票(1人10票まで)を実施しました.1月13日をもって投票を締め切りました.年始のお忙しい中,25名の皆さんよりご投票いただきました.いつもながら熱い応援をいただき,ありがとうございました.
投票結果をまとめましたので,本記事にて報告いたします.本日の heldio でも「#1693. heldio 2025年第4四半期のリスナー投票の結果発表」として報告しているので,ぜひお聴きください.
今回は9月開催の「英語史ライヴ2025」の熱気が残る対談回や,khelf(慶應英語史フォーラム)メンバーによる書評回,そしてニュージーランド特集など,バラエティに富んだランキングとなりました.以下に上位(4%以上)の配信回を掲載します.
【 第1位(36%)】
「#1605. まさにゃん&川上の素朴な疑問に答えよう --- 「英語史ライヴ2025」にて have to と must の違いを徹底討論」
【 第2位(32%)】
「#1586. 名前×英語史 with 小河舜さん&青木輝さん --- 「英語史ライヴ2025」より」
「#1592. 声の書評 by khelf 泉類尚貴さん --- 滝沢直宏(著)『コーパスと英文法』(研究社,2017年)」
「#1632. ニュージーランド英語はどこから来たのか?」
【 第3位(28%)】
「#1642. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第24弾」
【 第4位(24%)】
「#1590. 声の書評 by khelf 木原桃子さん --- 武内信一(著)『英語文化史を知るための15章』(研究社,2009年)」
「#1591. 声の書評 by khelf 寺澤志帆さん --- 寺澤芳雄(著)『聖書の英語の研究』(研究社,2009年)」
「#1596. 声の書評 by 小河舜さん&疋田海夢さん --- 苅部恒徳(編著)『英語固有名詞語源小辞典』(研究社,2011年)」
「#1620. なぜ going to が「ゴナ」,want to が「ワナ」になるの? (1)」
【 その他(4%)】
「#1636. キュウリの酢漬け gherkin」
「#1637. 1890年前後のニュージーランド英語のコイネー化」
「#1638. 海をまたいで等語線」
「#1639. Speight's 醸造所より pump で水を汲んでいます」
「#1645. Helvillian 12月号が公開! --- 特集は「旅」」
「#1655. なぜ I was の短縮形はないの?」
「#1658. 12月20日の朝カル講座は one --- 単なる数から様々な用法へ広がった語」
「#1661. 言及数トップの英単語はアレ! --- 語源ハンドブック索引より」
「#1665. 拙著『はじめての英語史』の10刷が出ています --- コンパニオンサイトもどうぞ」
「#1666. クリスマス企画「英語史小ネタ50連発」がスタート --- 拙著『はじめての英語史』のプレゼントもあります」
「#1672. ラムステーキ丼とラムチョップ生姜焼き」
「#1676. 2025年のhel活もおおいに盛り上がりました --- リスナーの皆さんへの感謝を込めて」
2025年第4四半期の結果を振り返ってみましょう.まず,第1位に輝いたのは「#1605. まさにゃん&川上の素朴な疑問に答えよう --- 「英語史ライヴ2025」にて have to と must の違いを徹底討論」でした.「英語史ライヴ2025」での公開収録の模様をお届けした回ですが,have to と must という学習者にとっても身近なテーマを,まさにゃんと川上さんという heldio おなじみのメンバーが熱く,深く議論した点が評価されました.ライヴ感たっぷりの回でしたね.同じくライヴ関連では,第2位の「#1586. 名前×英語史 with 小河舜さん&青木輝さん --- 「英語史ライヴ2025」より」もランクインしており,イベントの余韻がランキングにも色濃く反映されています.
第4四半期の大きな特徴として特筆すべきは,khelf メンバーによる「声の書評」シリーズの躍進です.同率第2位の #1592 を筆頭に,第4位には #1590, #1591, #1596 と実に4本もの書評回が上位に食い込みました.これらも「英語史ライヴ2025」での企画でしたので,ライヴの勢いがいかに凄まじかったかが知られます.この書評シリーズは,英語史を専攻する大学院生や教員が,専門書や良書をリスナーに向けて丁寧に紹介するものでした.「本×音声×英語史」という組み合わせが,知的好奇心旺盛な heldio リスナーの皆さんに深く刺さった結果といえると思います.学びのコミュニティとしての khelf の成熟を感じさせます.
また,ランキングの随所に見られるのがニュージーランド関連の話題です.同率第2位の「#1632. ニュージーランド英語はどこから来たのか?」を筆頭に,投票獲得率4%の層には「#1637. 1890年前後のニュージーランド英語のコイネー化」や「#1638. 海をまたいで等語線」も入っています.これは私が第4四半期を通じて同国に滞在していたからで,その土地の言葉や文化を肌で感じて発信する「旅する英語史」の側面も楽しんでいただけたものと理解しています.
ほかには,第3位に入った「#1642. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第24弾」のような定番シリーズの安定感も見逃せません.また,「#1620. なぜ going to が「ゴナ」,want to が「ワナ」になるの? (1)」や「#1655. なぜ I was の短縮形はないの?」のような「英語の素朴な疑問」は heldio の原点であり,常に高い需要があることを再確認しました.
個人的には食レポシリーズの「#1672. ラムステーキ丼とラムチョップ生姜焼き」を上位4%に選んでいただけたのが嬉しいですね.
まとめると,2025年第4四半期は「ライヴ」「書評」「旅」という3つのキーワードに集約されるように思います.教室の中だけの英語史にとどまらず,外へ飛び出し,本を紐解き,仲間と語り合う.そんな動的な「hel活」の様子がランキングからも見えてきます.
2025年も1年間,heldio をお聴きいただきありがとうございました.2026年も,リスナーの皆さんの知的好奇心を刺激するような,多角的でディープな英語史の世界をお届けしていきたいと思います.引き続き,heldio をよろしくお願いいたします.
先月,2025年12月は,知識共有プラットフォーム mond に寄せられた疑問の計8件に回答しました.
受験勉強に励む高校生からの熱心な質問や,日常のふとした語彙の疑問,さらには日英語の表記体系の比較など,バラエティに富んだ問いが寄せられました.回答を作成する過程で,私自身も改めて英語の歴史や仕組みについて考えさせられることが多く,勉強になっています.質問をお寄せいただいた方々,ありがとうございました.
以下に時間順に8つの問いと,対応する mond の問答へのリンクを張ります.週末の読み物としてどうぞ.
1. 短縮形についに質問です.なぜ,I wasの短縮形が無いんですか?
2. 英語の受験勉強の傍ら,英文法史を学んでいる高三です.関係代名詞は代名詞なのですか? また,形容詞的に修飾するという説明は,英語史的に正しいのでしょうか?
3. recipe(作り方・調理法)という単語について質問します.この単語のつづり方から想像される発音は,i が二重母音で語末の e が読まない字・・と思うところですが,実際はそうではなく,特に語末の e も発音するのは英単語ではかなり珍しいと思います.どうしてこのような変な発音なのですか.
4. 形容詞と同形の副詞と,そこに -ly がついた副詞で意味が異なりますが,不思議です.どうしてこのようにややこしいことになったのでしょうか?
5. 付帯状況の「with O C」は どのようにして生まれたのですか?
6. God save the king. が,三単現であるべきところ,原形を用いた仮定法だと習いました.ならば,You eat sushi. ならば,「君よ寿司を食べ給へ」という意味にも,時と場合によってはなり得ますか?
7. nowadaysという語に関して二つ質問です.(1) nowadays には now"a"day"s" となぜ単数形を表す a と複数形を表す s がどちらもついているのでしょうか? (2) 同じような意味の語に recently がありますがなぜ nowadays は現在形に,recently は現在完了形に使うという棲み分けがなされたのでしょうか?
8. 日本語では,聞いて音が分かったが漢字の表記が分からない場合,とりあえず仮名で書くという方法をとることができますが,英語では綴りが分からないとそもそも書いて残すことができません.音は分かるが綴りが分からないときは,どう対処しているのですか.
とりわけ6番目の God save the king. と You eat sushi. を比較した質問は,仮定法現在の衰退と残存,そして祈願や命令の機能という英語史の大きなテーマに関わるユニークな話題でした.また,8番目の日本語の仮名表記と英語の綴字に関する問いは,文字論的な観点から非常に鋭い指摘を含んでおり,回答していて知的興奮を覚えました.おかげさまで良問答とも非常に大きな反響をいただきました.
さて,ここで mond での質問受付について重要なお知らせがあります.先日の hellog 記事「#6105. mond での質問受付方式を変更します --- スーパーレター(優先パス)の導入」 ([2026-01-13-1]) でお伝えした通りですが,mond の「スーパーレター」(有料質問)機能を「回答の優先パス」として位置づけることにしました.数ある質問の中から,スーパーレターとしていただいたものを優先的に検討させていただきます(確約ではありませんが,回答の可能性は格段に高まります).もちろん,従来の無料での質問も引き続き歓迎いたします.
以上,英語史というニッチな分野での発信活動を,無理なく,長く,そして楽しく続けていくための持続可能性を考慮した決断です.ご理解いただければ幸いです.2026年も,引き続き皆さんの素朴な疑問に答えていきたいと思います.
「#6103. 「【2026年新春特別講義】情報発信を習慣化する方法」 --- Voicy 有料放送を配信しています」 ([2026-01-11-1]) でお知らせしたとおり,3連休初日の正午より Voicy にて有料の特別講義「情報発信を習慣化する方法」を配信しています.
16年半以上にわたって毎日発信を続けてきた経験に基づき,習慣化に関する考え方や,「ネタ切れ」対策,メディア・ミックスの有効性などを,全5チャプター(約28分)に凝縮し,本気の講義としてお届けしています.冒頭チャプターは無料となっていますので,ご関心のある方はぜひお聴きください
今回の有料放送の特典の1つとして,コメント欄を通じた質疑応答があります.情報発信を始めたい,あるいは続けているが悩みがある,というリスナーの方々から,切実かつ実践的な質問が寄せられています.それらに対して私が回答した内容が,他の方にとっても何かしら役立つかもしれないと思い,ここでその一部を要約して紹介したいと思います.
1つ目は,講義の Chapter 4 「メディア・ミックスの魔力」に関連して寄せられた質問です.
ブログ,音声,SNS など複数のメディアを連携させることの重要性は理解しつつも,技術的な側面がまったく分かりませんという相談です.新しいツールを使いこなすには学習が必要であり,それがハードルとなって継続が阻害されてしまうというのは,多くの方が直面する壁だと思います.
私は,これに対して「手段を目的に従属させる」という考え方をしています.スキルが身についてから発信するのではなく,発信したいという熱意や目的が先にあって,そのために必要最低限のスキルを,走りながら身につけていくという順序です.近年では生成AIなどの便利なツールもあります.当面の目的に必要な程度であれば,少々の時間と忍耐で解決できることが多いものです.目的の力が大きければ,手段の習得に伴う面倒くささは相対的に小さく見えます.楽しみながら自分のために一歩を踏み出すことが,結果としてスキルの向上にもつながると考えています.
2つ目は,2点の関連する質問です.
まず,発信しようと調べているうちに話題が膨らみすぎて,1日では手に負えなくなるが,どうすればよいか,という問いでした.発信者として,よくある悩みだと思います.
私の回答は,分割推奨です.話題が膨らむというのは,それが良いテーマである証拠です.1日で消化してしまうのはもったいない.むしろ,2回,3回と続くシリーズものにしてしまえばよい,という考え方です.
次に,1日分のコンテンツとして発信するに足る「60点」の基準をどこに置くか,という質問です.これについても,私はシリーズ全体として質を高める,という視点を提案し,回答しました.単発のコンテンツで100点満点を目指すのではなく,初回は中途半端でもよいので世に出し,シリーズ化して時間をかけて育てていく.それが数ヶ月,あるいは数年かけて完結したときに,深みのあるコンテンツへと昇華していればよいのではないかと思っています.
いずれも実際のコメント欄では,もっと言葉を尽くして回答していますが,問答の雰囲気はつかめたかと思います.有料放送のコメント欄では,このように情報発信に関する具体的な悩みや相談に対して,私から直接回答させていただいています.
「今年こそは発信を始めたい/定期的に続けたい」という方は,ぜひこの機会に 「【2026年新春特別講座】情報発信を習慣化する方法 --- 16年半,1日も欠かさず発信し続けた「継続の仕組み」」を聴取いただき,コメント欄も活用して2026年のスタートダッシュを決めていただければと思います.

昨年後半のことになりますが、知識共有サービス mond を通じて私に寄せられた「英語に関する素朴な疑問」に回答した2つの記事が、X(旧Twitter)上でともに330万インプレッションを超えるという,まさかのお祭り騒ぎを経験しました.「英語史をお茶の間に」をモットーに英語史活動「hel活」 (helkatsu) を推進する身としては望外の喜びです.
ありがたいことに質問箱には日々多くの投稿が寄せられてきており,現在ではストックが380件近くに達しています.いただいた質問にはすべて目を通していますし,可能な限り答えたいという気持ちはやまやまなのですが,良質な回答を心がけており,数日に1件を取り上げるのが物理的な限界である,というのが正直なところです.
そこで,今後も質の高い回答を継続し,かつ活動を持続可能なものとするために,質問受付の方針を少し変更させていただくことにしました.
具体的には,mond の機能である「スーパーレター」(有料質問)を「回答の優先パス」として位置づけることにしました.これまでもスーパーレター機能自体はオンにしていましたが,今後はこれを「優先的に目を通し,回答を検討する」ためのチケットとして活用させていただきます.数ある質問の中から,スーパーレターとしていただいたものを優先順位の上位に置き,回答を心がけます(確約ではありませんが,可能性は格段に高まります).
ここで誤解のないように強調しておきたいのは,mond の仕様上,課金が発生するのは私が「回答した場合のみ」であるという点です.スーパーレターを送ったとしても,私が回答を作成せず(あるいはできず)に期間が過ぎれば,質問者の方に金銭的な負担は一切生じません.あくまで,膨大な質問の山の中から優先的にピックアップさせていただくための仕組み,あるいは私の専門性への対価として投げ銭を伴う「本気の質問」への優遇措置,と捉えていただければ幸いです.いただいた収益については「hel活」の維持・発展のために使わせていただきます.
もちろん,従来の無料での質問も引き続き大歓迎です.「ちょっと聞いてみたい」という気軽な疑問こそが,意外と学問的に深い問いを含んでいることも多いからです.ただし,こちらは上述の通りストックが積み上がっているため,私がその時の気分や関心に合わせて「気ままに」選ばせていただく,いわば「抽選」に近い形となります.運良く選ばれたらラッキー,くらいの感覚で投稿していただければと思います.これまで通り,おもしろい質問や,多くの英語学習者が共有しているであろう疑問には,無料・有料を問わず積極的に答えていくつもりです.
mond での回答作成は,私自身にとっても学びの多いプロセスとなっています.専門外の視点からの素朴な疑問にハッとさせられることもあれば,回答を書くために調べ直す過程で新たな知見が得られることもあります.
以上は,英語史というニッチな分野での発信活動を,無理なく,長く,そして楽しく続けていくための持続可能性を考慮した決断です.皆様から寄せられる熱意ある質問には,プロフェッショナルとして向き合いたいと考えています.そのための環境作りとして,ご理解いただければ幸いです.
質問は以下のリンクより受け付けています.英語の語源,文法,発音の歴史など,素朴な疑問からマニアックな質問まで,皆さんからの声をお待ちしています.
昨日1月10日(土)の正午に,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて,久々となる有料放送を公開しました.Voicy 公式の「有料放送」特別企画に参加する形での特別配信となります.題して「【2026年新春特別講座】情報発信を習慣化する方法 --- 16年半,1日も欠かさず発信し続けた「継続の仕組み」」です.
年が明けて早10日が過ぎました.「今年こそは毎日ブログを書く」「音声配信に挑戦する」「自分の YouTube チャンネルをもつ」「SNS で発信を始める」.そのような New Year's resolutions (新年の抱負)を掲げた方も多いことでしょう.しかし,どうでしょう.すでに三日坊主の影が忍び寄ってきている,あるいは既に挫折してしまったという方も少なくないかもしれません.いわゆる New Year's Blues です.
「自分は意志が弱いから」と諦めるのは早すぎます.多くの人が継続に失敗するのは性格のせいではありません.「続けるためのシステム」を構築するところまでたどり着いていないだけなのです.
私は英語史研究者として,この hellog を2009年5月から16年半以上,6,103日にわたり1日も欠かさず更新し続けてきました.また,Voicy の heldio も2021年6月から毎朝6時に休みなく配信してきました.その他,YouTube,X(旧Twitter), note など多角的にメディア・ミックスを展開していますが,これらを継続できています.
なぜこれほどまでに続けられるのか.それは,毎日やるほうが時々やるより圧倒的にラクだからです.
今回の Voicy 有料放送は,2026年のスタートダッシュを決めるための「本気の講義」となっています.16年半実践し続けてきた私がたどり着いたメソッドを紹介しています.
特に Chapter 2 で触れている「習慣を服装 (habit) のように扱う」という点は重要です.英語の habit (習慣)は,語源を遡るとラテン語の habēre "to have, hold" に由来します.そこから「身につけているもの;服装,衣服」の意味が生じました.習慣とは,毎朝服を着るように,あるいは顔を洗うように,生活の一部として「身にまとう」ものです.
放送は全5チャプター構成で,総収録時間は約28分20秒です.忙しい皆さんがスキマ時間に一気に聴き通せるよう,16年半分のエッセンスを凝縮しました.講義のアウトラインは以下の通りです.
・ Chapter 1. 【無料・導入】なぜ私が「情報発信の習慣化」を語れるのか
・ Chapter 2. 【本編】毎日発信 --- 基本中の基本
・ Chapter 3. ネタ切れ上等 --- インプットの最大のチャンス
・ Chapter 4. メディア・ミックスの魔力 --- 複線化はむしろ継続を助ける
・ Chapter 5. おわりに --- テクニックを超えた「情熱」
なお,Chapter 1 はどなたでも無料でお聴きいただけます.まずは再生ボタンを押し,9分ほどの導入部を聴いてみてください
本講義の価格は,2026年の「26年」にかけて2,600円に設定しました(アプリ決済よりもお得な Web からの購入価格です).書籍1冊分よりも高い設定ですが,これには「2026年を本気で変えたい人にだけ聴いてほしい」という強いメッセージを込めています.ただ聴き流すのではなく,この2,600円を「2026年こそやり抜くという決意表明」として捉えていただける方にお届けしたいと考えています.
購入者特典その他について,3点ほど付け加えます.
1. 講義のなかで,いくつかの逆転思考についてお話ししていますが,この逆転サイクルを図示したインフォグラフィックを提供します.
2. コメント欄では情報発信の習慣化に関する質問・相談にお答えします.とりわけこの3連休に寄せられたコメントには,必ずコメントバックします.皆さんの情報発信継続(あるいは開始)をめぐるお悩み,あるいは堀田がサイクルの○○の段階でどのように考えたり行動したりしているのか,といった質問等,何でもかまいません.皆さんの1年の抱負を披露する場として利用していただくのもOKです.
3. コメント欄でのやりとりが充実してきましたら,heldio 通常回や他の媒体で話題を取り上げさせていただき,皆で考える機会を設けたいと思います.また,「延長講義」として新たなチャプターを追加して議論を続けていくことも検討しています.
閉じた空間ですので,コメント欄では密度の濃いやりとりか可能になると思います.ぜひ今回の特別有料配信の機会を最大限にご活用ください.
情報発信のみならず,学習,研究,ビジネスなどあらゆる事柄の継続に応用できる「一生モノの思考」です.覚悟の決まった方は,本編(Chapter 2 以降)でお会いしましょう!
heldio 2025年第4四半期のベスト回を決めるリスナー投票を,2025年1月7日(水)より1月13日(火) 23:59 までこちらの投票コーナーにて受け付けています(あるいは以下のQRコードよりどうぞ).ぜひ皆さんのマイベスト10を選んでいただければ幸いです.

上記の通り,本ブログの音声版・姉妹版ともいえる毎朝配信の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」より,2025年第4四半期にお届けしてきた配信回(全92回)のなかからベスト回を決めるリスナー投票イベントを開催します.1人10票まで投票できます.投票会場は本日1月7日(水)から1月13日(火)23:59 までオープンしていますので,この機会に聴き逃した過去配信回などを聴取いただき,マイベストの10件をじっくり選んでいただければと思います.
各配信回へのアクセスは,本記事末尾の一覧,あるいは音声コンテンツ一覧よりどうぞ.10月1日配信の「#1585. heldio 2025年第3四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 10月7日までオープン」から12月31日配信の「#1676. 2025年のhel活もおおいに盛り上がりました --- リスナーの皆さんへの感謝を込めて」までの92回分が投票の対象となります.
過去のリスナー投票企画については,ranking の記事をご覧ください.
今朝,同じ投票を呼びかける heldio 配信回をお届けしました.そちらもお聴きいただきつつ,皆さん,奮ってご投票ください.
・ 「#1585. heldio 2025年第3四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 10月7日までオープン」 (2025/10/01)
・ 「#1586. 名前×英語史 with 小河舜さん&青木輝さん --- 「英語史ライヴ2025」より」 (2025/10/02)
・ 「#1587. Lilimi さんと語る続・登山用語 --- 「英語史ライヴ2025」より」 (2025/10/03)
・ 「#1588. 日本音声学会の音声学セミナー「現代英語の発音と「大母音推移」」を振り返って」 (2025/10/04)
・ 「#1589. 声の書評 by khelf 藤原郁弥さん --- 神山孝夫(著)『市河三喜伝』(研究社,2023年)」 (2025/10/05)
・ 「#1590. 声の書評 by khelf 木原桃子さん --- 武内信一(著)『英語文化史を知るための15章』(研究社,2009年)」 (2025/10/06)
・ 「#1591. 声の書評 by khelf 寺澤志帆さん --- 寺澤芳雄(著)『聖書の英語の研究』(研究社,2009年)」 (2025/10/07)
・ 「#1592. 声の書評 by khelf 泉類尚貴さん --- 滝沢直宏(著)『コーパスと英文法』(研究社,2017年)」 (2025/10/08)
・ 「#1593. khelf メンバー4人でコーパスを語る --- 「英語史ライヴ20205」より」 (2025/10/09)
・ 「#1594. 続・コーパスとは何か? --- khelf メンバー3名で議論しています」 (2025/10/10)
・ 「#1595. heldio 2025年第3四半期のリスナー投票の結果発表」 (2025/10/11)
・ 「#1596. 声の書評 by 小河舜さん&疋田海夢さん --- 苅部恒徳(編著)『英語固有名詞語源小辞典』(研究社,2011年)」 (2025/10/12)
・ 「#1597. khelf 疋田海夢さんによる英語史の名著 Growth and Structure を読む連載がスタート」 (2025/10/13)
・ 「#1598. khelf 寺澤志帆さんと allay を語る --- 「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」より」 (2025/10/14)
・ 「#1599. 「いのほたなぜ」本日発売」 (2025/10/15)
・ 「#1600. 「いのほたなぜ」の特設HPをオープンしました」 (2025/10/16)
・ 「#1601. 英仏語のアルコール漬けの語源的綴字 --- 「英語史ライヴ2025」より camin さん,寺澤志帆さん,川上さんのラリー」 (2025/10/17)
・ 「#1602. 10月25日の朝カル講座は I --- 1人称単数代名詞に注目」 (2025/10/18)
・ 「#1603. 「英語学」って何? --- 「いのほたなぜ」のプロローグより」 (2025/10/19)
・ 「#1604. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第22弾」 (2025/10/20)
・ 「#1605. まさにゃん&川上の素朴な疑問に答えよう --- 「英語史ライヴ2025」にて have to と must の違いを徹底討論」 (2025/10/21)
・ 「#1606. don't have to と must not の違いは結局…? --- 「英語史ライヴ2025」の懇親会2次会にて」 (2025/10/22)
・ 「#1607. 英語帝国主義から世界英語へ」 (2025/10/23)
・ 「#1608. 「いのほたなぜ」のコラム紹介 --- 井上&堀田は何者?」 (2025/10/24)
・ 「#1609. date という果物を知っていますか?」 (2025/10/25)
・ 「#1610. hel活のハブ "The HEL Hub" がオープン!」 (2025/10/26)
・ 「#1611. 1人称単数主格代名詞の歴史的異形は◯◯種類」 (2025/10/27)
・ 「#1612. なぜ ic が I になったのか?」 (2025/10/28)
・ 「#1613. この30年間で海外体験はこう変わった」 (2025/10/29)
・ 「#1614. Helvillian 11月号が公開! --- 特集は「英語史ライヴ2025の余韻に浸る」」 (2025/10/30)
・ 「#1615. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第23弾」 (2025/10/31)
・ 「#1616. 3文字規則で日英語対照 --- 「いのほたなぜ」より」 (2025/11/01)
・ 「#1617. conceive, deceit, receipt, perception のチグハグ --- 「いのほたなぜ」より」 (2025/11/02)
・ 「#1618. 質問箱サービス mond での回答 --- 4年弱ほど続けてもうじき100件」 (2025/11/03)
・ 「#1619. 「英語史の世界を覗いてみよう」 --- 都内の学校でリモート講義」 (2025/11/04)
・ 「#1620. なぜ going to が「ゴナ」,want to が「ワナ」になるの? --- 中高生からの素朴な疑問」 (2025/11/05)
・ 「#1621. 日本食と言語景観 --- NZ のスーパーより」 (2025/11/06)
・ 「#1622. 続・日本食と言語景観 --- NZ のスーパーより」 (2025/11/07)
・ 「#1623. 「ダニーデン」はエディンバラの古名」 (2025/11/08)
・ 「#1624. known の2音節発音に思いをめぐらせて」 (2025/11/09)
・ 「#1625. 朝日新聞インタビュー記事 --- 「英語帝国主義」再考」 (2025/11/10)
・ 「#1626. The Canterbury Bight 「カンタベリー湾」」 (2025/11/11)
・ 「#1627. New Zealand の Zealand とは?」 (2025/11/12)
・ 「#1628. ニュージーランド最古のオタゴ大学の時計台の前より」 (2025/11/13)
・ 「#1629. yam を食べたが語源のほうがおいしかった --- NZ食レポ」 (2025/11/14)
・ 「#1630. Thomas Burns の墓碑」 (2025/11/15)
・ 「#1631. アメリカ英語は嫌われ者?」 (2025/11/16)
・ 「#1632. ニュージーランド英語はどこから来たのか?」 (2025/11/17)
・ 「#1633. 「オーストラリアとニュージーランドの英語」 --- 『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)第3章のご紹介」 (2025/11/18)
・ 「#1634. 「オーストラリアとニュージーランドの英語」著者の岡戸浩子先生とのお話しを受けて --- 『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)」 (2025/11/19)
・ 「#1635. torch か flashlight か?」 (2025/11/20)
・ 「#1636. キュウリの酢漬け gherkin」 (2025/11/21)
・ 「#1637. 1890年前後のニュージーランド英語のコイネー化」 (2025/11/22)
・ 「#1638. 海をまたいで等語線」 (2025/11/23)
・ 「#1639. Speight's 醸造所より pump で水を汲んでいます」 (2025/11/24)
・ 「#1640. 11月29日の朝カル講座は take --- ヴァイキングがもたらした超基本語」 (2025/11/25)
・ 「#1641. ありがとうございます,「いのほた」冠詞回が絶好調です」 (2025/11/26)
・ 「#1642. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第24弾」 (2025/11/27)
・ 「#1643. なぜ He turned linguist. では無冠詞なの? --- umisio さんからの冠詞の疑問」 (2025/11/28)
・ 「#1644. ラム肩肉赤ワイン煮込みパスタ」 (2025/11/29)
・ 「#1645. Helvillian 12月号が公開! --- 特集は「旅」」 (2025/11/30)
・ 「#1646. 英語史は英語教育のハブとなる --- 上五島での研修会を終えて」 (2025/12/01)
・ 「#1647. heldio の「配置換え」をしました --- より便利になった聴取方法のご案内」 (2025/12/02)
・ 「#1648. Take an umbrella with you. の with you ってなぜ必要なんですか? --- 中学生からの素朴な疑問」 (2025/12/03)
・ 「#1649. Bunches & Bows --- ダニーデンの素敵な花屋さん」 (2025/12/04)
・ 「#1650. lamb 「子羊(肉)」に捧げるレクイエム」 (2025/12/05)
・ 「#1651. numb と nimble --- take に駆逐された niman の化石的生き残り」 (2025/12/06)
・ 「#1652. 「Take an umbrella with you. の with you の謎」への反応をご紹介」 (2025/12/07)
・ 「#1653. Take an umbrella with you. の with you のもう1つの役割」 (2025/12/08)
・ 「#1654. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (62-4) with Taku さん --- オンライン超精読会より」 (2025/12/09)
・ 「#1655. なぜ I was の短縮形はないの?」 (2025/12/10)
・ 「#1656. なぜ public school は私立なのに public なのですか?」 (2025/12/11)
・ 「#1657. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (62-5) with Taku さん --- オンライン収録会より」 (2025/12/12)
・ 「#1658. 12月20日の朝カル講座は one --- 単なる数から様々な用法へ広がった語」 (2025/12/13)
・ 「#1659. Voicy heldio 配信の現況 --- フォロワー7000人達成記念」 (2025/12/14)
・ 「#1660. ファミリーマートと摩訶不思議 --- 語源ハンドブック索引より」 (2025/12/15)
・ 「#1661. 言及数トップの英単語はアレ! --- 語源ハンドブック索引より」 (2025/12/16)
・ 「#1662. ページ順にソートして見えてくるもの --- 語源ハンドブック索引より」 (2025/12/17)
・ 「#1663. 『英語語源ハンドブック』の担当編集者より語源クイズ (1)」 (2025/12/18)
・ 「#1664. 『英語語源ハンドブック』の担当編集者より語源クイズ (2)」 (2025/12/19)
・ 「#1665. 拙著『はじめての英語史』の10刷が出ています --- コンパニオンサイトもどうぞ」 (2025/12/20)
・ 「#1666. クリスマス企画「英語史小ネタ50連発」がスタート --- 拙著『はじめての英語史』のプレゼントもあります」 (2025/12/21)
・ 「#1667. 「英語史小ネタ50連発」初日の成果は?」 (2025/12/22)
・ 「#1668. nowadays の「a」と「s」の謎,あなたは説明できますか?」 (2025/12/23)
・ 「#1669. 川上さんと ari さんに伺う「英語教育×英語史」 --- 北千住忘年会より」 (2025/12/24)
・ 「#1670. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (63-1) with Taku さん --- helwa 忘年会より」 (2025/12/25)
・ 「#1671. クリスマス企画から年末企画への転換について --- XのAPI制限事件の犯人は「私」でした(笑)」 (2025/12/26)
・ 「#1672. ラムステーキ丼とラムチョップ生姜焼き」 (2025/12/27)
・ 「#1673. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (63-2) with Taku さん --- helwa 忘年会より」 (2025/12/28)
・ 「#1674. 年末企画「英語史小ネタ50連発」の引用リポストは大晦日まで受け付けます」 (2025/12/29)
・ 「#1675. Helvillian 1月号が公開! --- 特集は引き続き「旅」」 (2025/12/30)
・ 「#1676. 2025年のhel活もおおいに盛り上がりました --- リスナーの皆さんへの感謝を込めて」 (2025/12/31)
12月20日(土)に,今年度の朝日カルチャーセンターのシリーズ講座「歴史上もっとも不思議な英単語」の第9回が,秋期クールの第3回として開講されました.テーマは「one --- 単なる数から様々な用法へ広がった語」でした.
あまりに当たり前の単語ですが,英語史的には実に奥の深い語彙項目で,じっくり鑑賞するに値する対象です.いかにして基本的な数詞の役割から,文法化を経て不定冠詞となり,不定代名詞となり,支柱語となったのでしょうか.基本語だけに,そこから語形成を経て生じた関連語も多く,その1つひとつもやはり興味深い歴史をたどっています.実際,講義の90分では語りきれないほどでした.それほど one の世界は深くて広くて深いのです.
この朝カル講座第9回の内容を markmap によりマインドマップ化して整理しました.復習用にご参照いただければ.

なお,この朝カル講座のシリーズの第1回から第8回についてもマインドマップを作成してるので,そちらもご参照ください.
・ 「#5857. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第1回「she --- 語源論争の絶えない代名詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-05-10-1])
・ 「#5887. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第2回「through --- あまりに多様な綴字をもつ語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-06-09-1])
・ 「#5915. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第3回「autumn --- 類義語に揉み続けられてきた季節語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-07-07-1])
・ 「#5949. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第4回「but --- きわめつきの多義の接続詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-08-10-1])
・ 「#5977. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第5回「guy --- 人名からカラフルな意味変化を遂げた語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-09-07-1])
・ 「#6013. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第6回「English --- 慣れ親しんだ単語をどこまでも深掘りする」をマインドマップ化してみました」 ([2025-10-01-1])
・ 「#6041. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第7回「I --- 1人称単数代名詞をめぐる物語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-11-10-1])
・ 「#6076. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第8回「take --- ヴァイキングがもたらした超基本語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-12-15-1])
シリーズは次回より冬期クールに入ります.次回の第10回は新年1月31日(土)に「very --- 「本物」から大混戦の強意語へ」と題して開講されます.開講形式は引き続きオンラインのみで,開講時間は 15:30--17:00 です.ご関心のある方は,ぜひ朝日カルチャーセンター新宿教室の公式HPより詳細をご確認の上,お申し込みいただければ幸いです.
昨日の記事「#6096. 「英語史小ネタ50連発」の数字を分析してみました」 ([2026-01-04-1]) では,年末年始の特別企画として X (旧 Twitter) 上で展開した「英語史小ネタ50連発」の反響の数字について,AIの助けを借りながら分析してみました.
分析を通じて改めて実感したのは,この企画自体が単なるお祭りイベントを超えて,実践的な「英語史アウトリーチの実証研究」の場となっていたということです.もちろんSNSという特殊な空間における実証研究というにとどまり,その結果がどこまで一般的に当てはまるものなのかは分かりません.ただ,人々が英語史の話題にどう反応し,どう拡散していくのかの大きなヒントは得られたように思います.今回の企画は,1種の「英語史×SNS言語行動学」の実践だったともいえそうです.
昨日の記事で触れた通り,とりわけ日常的で既習の単語や文法事項について,その由来を掘り起こして疑問を解いたり,綴字と発音の乖離の背景を示したりする小ネタへの反響が圧倒的でした.私のような英語史研究者が重要だと信じている問題と,一般の英語学習者が知りたいと思っている事柄の間に,たいていズレがあることは,長年実感してきました.しかし,「英語史をお茶の間に」というアウトリーチを本気で考えるのであれば,そのズレの理解こそが鍵となります.
今回の50連発企画では,その鍵をいただいたような気がします.英語史が世間にどう受け取られるかについての貴重な知見が得られました.このメタ的な問題については,hel活をさらに推進していくために,今後も深掘りしていきたいと考えています.
研究者は得てして内容の正確さにこだわりすぎ,話題がどんどん高度になっていく傾向があります.しかし,受け手にとって重要なのは,それが自分の疑問に答えてくれるかどうか,だろうと思います.例えば語源カテゴリの小ネタであっても,単なる知識の陳列ではなく,読者の常識を揺さぶる問いの形になっているかどうかが,エンゲージメントを左右したわけですから.
一般には英語史は専門的で難しそうというイメージが定着していると思います.しかし,英語史は日常的な話題にも対応できるばかりか,むしろそれが得意なのです.発信する立場からは,難しいから届かないのではなく,届け方の角度に改善の余地があるだけなのだ,と理解しておきたいと思います.その角度がピタッと合いさえすれば,英語史は最高のコンテンツとなり学問分野となるのです.
2026年は,hel活をさらに力強く推進していきます.2026年,英語史が飛躍する年となりますように.

昨日の記事「#6095. 「英語史小ネタ50連発」一覧」 ([2026-01-03-1]) では,年末企画「英語史小ネタ50連発」の各小ネタへのリンクやアナリティクスを提示しました.この数字をAIの借りながら分析してみると,示唆に富む結果が浮かび上がってきました.おもしろい点は多々あるのですが,とりわけ企画者の立場からの「気づき」に注目して,10点ほど選んでみました.
1.「16. 英語と最も近い言語は?」への圧倒的な注目度
2.1万という最多のインプレッションを記録した小ネタです.「英語はどこから来たのか」「親戚は誰か」という系統論への関心は,やはり英語史の「王道」であることを再確認しました.教科書的な答えとして「フリジア語」と回答しましたが,リプライでは「スコッツ語では?」「アメリカ語では?」と考えさせられる反応が寄せられました.
2. 「04. English はメチャクチャ変な綴字」への共感
1.6万インプレッションに加え,ブックマークも37件と最多クラス.学習者が日々感じる「綴字と発音の乖離」というフラストレーションに対し,歴史的な視点から変であることを指摘するタイプの話題は,強い引きがあるようです.
3. 「08. なぜ両足で歩くのに on feet ではなくて on foot なの?」の驚異的なエンゲージメント率
インプレッションは3,947と中規模ですが,いいねが314と際立っています.エンゲージメント率に換算すると8.3%に達し,全50ネタの中でダントツの1位.「数」に関する素朴な疑問は,刺さりやすいようです.
4.「語源」カテゴリの小ネタの安定感
全50ネタのうち「語源」カテゴリは17件と最多でした.平均的な反応も安定しており,英語語源が英語史という分野を支える強力なコンテンツであることを改めて実感しました.
5.「10. Japan の語源は?」への反応にみられる身近な話題の効果
インプレッション自体は控えめながら,エンゲージメント率は3.48%と全体で2位でした.読者が自分事として反応しやすい話題だったからでしょうか.一般に難しい単語よりも既に知っている単語を取り上げるほうが注目されるようです.日常的な単語について,これまで気づかなかった問題点を指摘されたり,常識を覆されたりする際に感じるショックが魅力なのだろうと思われます.
6. 「37. silly は 「幸せ」だった?」からみえてくる「意味変化」の鉄板性
「幸せ」から「愚か」へという意味の変化は,6,353インプレッションを集めました.昔は異なる意味だったという意外性は,一般に小ネタとして強力なようです.
7.「07. なぜ doubt には 読まない b の綴字があるの?」などの黙字の話題も堅調
反応率が3%を超えており,黙字への関心の強さが窺われます.理不尽にいえる綴字の背後にルネサンス期の「ラテン語かぶれ」が隠れているという話題は,確かに鉄板ネタです.
8. 文法の話題は「理由付き」で伸びる
3単現の -s,仮定法過去 If I were you,SVO語順の話題など,文法的な小ネタは鉄板です.単にそのような規則があるとだけ習ってきた層に,実は歴史的な理由があると伝えることで,納得感が生じるからだと思われます.「英語史は文法事項の供養の場である」と言ってもよいでしょう.
9.連発企画の「完走」の喜びを共有していただきました
統計を見ると,最初と最後で数字が跳ね上がる傾向があります.特に番外編となる最後の投稿「51. 英語史小ネタ50連発 無事に完走しました!」は3,000インプレッションを超え,企画シリーズものとして認知・応援していただいたことが窺われました.
10. カテゴリより「問いの形」こそが重要
たとえば同じ「語源」カテゴリの小ネタでも,導入の文句が疑問,否定,逆説だと伸びやすく,平叙の説明だと伸びにくい傾向が現われました.
今回の企画は,振り返ってみれば,皆さんが英語史のどんな話題に惹かれるのかを調査する実験のようなものになっていたのかもしれません.当初は年末のお祭りイベントで盛り上がろうという趣旨だったのですが,結果的にこのような興味深い示唆が得られたことに驚いています.AIの助けがなければ,ここまで分析できなかっただろうと思います.これらの気づきを,今後のhel活に活かしていきたいと思います.改めまして,ご参加,ご協力いただいた皆さん,ありがとうございました!
クリスマス・年末企画として,私の X(旧Twitter)アカウント @chariderryu 上で展開した「英語史小ネタ50連発」.X API のトラブルに見舞われるも,手動で公開するなどして何とかかんとかつなぎ,12月29日に無事終了したことは,12月30日の記事「#6091. 「英語史小ネタ50連発」を完走しました」 ([2025-12-30-1]) でお伝えした通りです.皆さんの温かい応援に改めて感謝いたします.
年末のhel活お祭りイベントとなりましたが,この企画は拙著『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』の第10刷重版を記念し,研究社公式のプレゼント企画も兼ねていました.小ネタに引用リポストを投稿していただき,最もおもしろいコメントをくださった3名に第10刷をプレゼントするというものでした.今朝の heldio にて,厳正なる選定に基づく受賞者3名の発表等を行なっております.ぜひ「#1679. 『はじめての英語史』第10刷プレゼントは誰の手に? --- 年末の「英語史小ネタ50連発」の引用リポストより」をお聴きください.
さて,企画はこれで終了となりますが,「英語史小ネタ50連発」の各小ネタの内容やリンクなどを整理しておきたいと思います.以下がその一覧となりますが,リンクやカテゴリなどの情報は実は heldio/helwa コアリスナーの ari さんが有志で準備してくださったものです.実際 ari さんは,昨日のご自身の note 記事「#513【hel活】英語史小ネタ50連発を楽しんだ!!」で情報をまとめられています(ari さん,ありがとうございます!).その基本情報の上に,Xのアナリティクスの数値を加えたのが,こちらの表となります(数値は12月31日時点のものです).ぜひ合わせてご参照・ご活用ください.
昨年,日本で刊行された英語史関連の書籍としては,唐澤一友・小塚良孝両氏との共著『英語語源ハンドブック』(研究社)が話題を呼びました.6月18日に刊行される前から待望との評価をいただき,刊行後もおおいにご好評いただき,3ヶ月で3重版が決定しました.年末には,追加資料(索引)も研究社公式HPより公開され,さらにハンドブックの利便性と楽しみ方が増しています.本書の特設HPも設けていますので,ぜひご活用ください.
昨日,朝日・読売両新聞朝刊のサンヤツ広告(1面下の広告欄)にて,本書が宣伝されました.元旦からのハンドブックの強力な「推し」により,2026年も英語史界隈が盛り上がっていくこと間違いなし,と喜びながら確信した次第です.
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左の朝日新聞の広告で横に並んでいる円満字二郎著『難読漢字ときあかし辞典』は,実は『英語語源ハンドブック』と縁の深い書籍です.両書ともに,各見出しに「キャッチコピー」が付されており,一目で概要をつかめる工夫が凝らされているという共通点があります.それもそのはず,円満字二郎氏による「ときあかし」シリーズの原点である『漢字ときあかし辞典』が採用していた「キャッチコピー」の工夫を,『英語語源ハンドブック』は意識的に真似たという事情があるのです.英語と日本語とで扱っている言語こそ異なりますが,今回の朝日サンヤツ広告では,いわば後輩が先輩と肩を並べていることになります.
そんなわけで,改めて『英語語源ハンドブック』でもキャッチコピーに注目していただければと思います.最近,私の視界の範囲内ではありますが,『英語語源ハンドブック』通読のムーヴメントが起こってきています.通読もよし,気軽にページをめくるもよし,2026年も『英語語源ハンドブック』を使い倒して楽しんでいただければ.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
明けましておめでとうございます.2026年の幕開けです.本年も「英語史をお茶の間に」をモットーに,皆様の知的好奇心を刺激する「hel活」 (helkatsu) を力強く推進していきます.
日々の更新を続けるこの「hellog~英語史ブログ」に加え,音声メディアの Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」,heldio のプレミアム版でディープなhel活コミュニティでもある「英語史の輪 (helwa)」,そして YouTube 「いのほた言語学チャンネル」もあわせてよろしくお願いいたします.
さて,新年の恒例行事として,昨年1年間に執筆・公開された hellog 記事のなかから,アクセスの多かった上位50件を振り返ります.過年度の振り返りについては,「#5728. 2024年 hellog でよく読まれた記事ベスト50」 ([2025-01-01-1]) ほか,過去の元日記事にリンクをまとめてあります.
以下が,2025年に公開された記事のランキング(1位から50位まで)です.
・ 「#5738. 516番目の through を見つけました」 ([2025-01-11-1]) (963回閲覧)
・ 「#5762. 品詞とは何か? --- 日本語の「品詞」を辞典・事典で調べる」 ([2025-02-04-1]) (800回閲覧)
・ 「#5745. アルファベットの文字頻度」 ([2025-01-18-1]) ([2025-01-18-1]) (558回閲覧)
・ 「#5831. 2025年度の「英語史」講義が始まります --- 慶應義塾大学文学部英米文学専攻の必修科目」 ([2025-04-14-1]) (442回閲覧)
・ 「#5736. アイルランド語 (Irish) とアイルランド英語 (Irish English) はまったく異なる言語である」 ([2025-01-09-1]) (349回閲覧)
・ 「#5860. 「ん」の発音の実現形」 ([2025-05-13-1]) (250回閲覧)
・ 「#5832. なぜ古英語の語順規則は緩かったのか? --- 語順の2つの原理から考える」 ([2025-04-15-1]) (234回閲覧)
・ 「#5973. 「いのほた本」が出ます! --- 井上 逸兵・堀田 隆一 『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』(ナツメ社)」 ([2025-09-03-1]) (228回閲覧)
・ 「#5959. 2025年度の夏期スクーリング「英語史」講義が始まります」 ([2025-08-20-1]) (214回閲覧)
・ 「#5935. 現代英語の等位接続詞一覧」 ([2025-07-27-1]) (197回閲覧)
・ 「#5841. クリストファー・バーナード(著)『英語句動詞分類辞典』(研究社,2025年)」 ([2025-04-24-1]) (175回閲覧)
・ 「#5836. 「ゆる言語学ラジオ」のターゲット1900回 --- matter や count が「重要である」を意味する動詞であるのが妙な件」 ([2025-04-19-1]) (174回閲覧)
・ 「#5728. 2024年 hellog でよく読まれた記事ベスト50」 ([2025-01-01-1]) (173回閲覧)
・ 「#5748. egg の英語史」 ([2025-01-21-1]) (171回閲覧)
・ 「#5830. 英語史概説書等の書誌(2025年度版)」 ([2025-04-13-1]) (154回閲覧)
・ 「#5778. connection か connexion か?」 ([2025-02-20-1]) (143回閲覧)
・ 「#5936. 現代英語の従位接続詞一覧」 ([2025-07-28-1]) (136回閲覧)
・ 「#5905. ローマ字表記,ヘボン式を基本に --- 70年ぶりの方針転換へ」 ([2025-06-27-1]) (135回閲覧)
・ 「#5863. 撥音「ん」の歴史」 ([2025-05-16-1]) (131回閲覧)
・ 「#6059. take --- 古ノルド語由来の big word の起源と発達」 ([2025-11-28-1]) (129回閲覧)
・ 「#5865. 撥音「ん」の理論的解説」 ([2025-05-18-1]) (129回閲覧)
・ 「#5840. 「類音牽引」 --- クワノミ,*クワツマメ,クワツバメ,ツバメ」 ([2025-04-23-1]) (123回閲覧)
・ 「#5735. 19世紀,英語がフランス語に及ぼした影響」 ([2025-01-08-1]) (119回閲覧)
・ 「#5846. 言語地理学」 ([2025-04-29-1]) (118回閲覧)
・ 「#5768. 2024年度に提出された卒業論文と修士論文の題目」 ([2025-02-10-1]) (116回閲覧)
・ 「#5864. 6月18日(水)に本が出ます! 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著)『英語語源ハンドブック』(研究社)」 ([2025-05-17-1]) (116回閲覧)
・ 「#5852. 市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩』第2版(研究社,1986年)」 ([2025-05-05-1]) (115回閲覧)
・ 「#5928. 多義語 but」 ([2025-07-20-1]) (112回閲覧)
・ 「#5879. 時制の一致を考える」 ([2025-06-01-1]) (110回閲覧)
・ 「#5819. 開かれたクラス,閉じたクラス,品詞」 ([2025-04-02-1]) (106回閲覧)
・ 「#5792. 「言語変化の要因とそのメカニズム」 --- 『言語の事典』の1節より」 ([2025-03-06-1]) (105回閲覧)
・ 「#5803. corpse, corse, corpus, corps の4重語」 ([2025-03-17-1]) (105回閲覧)
・ 「#5855. ギリシア語由来の否定の接頭辞 a(n)- と英語の不定冠詞 a(n) の平行性」 ([2025-05-08-1]) (103回閲覧)
・ 「#5786. なぜ she の所有格と目的格は her で同じ形になるのですか? --- いのほた YouTube 版」 ([2025-02-28-1]) (101回閲覧)
・ 「#5815. 安形麻理・安形輝『ヴォイニッチ写本』(星海社,2024年)」 ([2025-03-29-1]) (96回閲覧)
・ 「#5920. 「財産」となった一日の記録 --- ひつまぶしのタレより濃かった名古屋オフ会」 ([2025-07-12-1]) (92回閲覧)
・ 「#5777. 形容詞から名詞への品詞転換」 ([2025-02-19-1]) (91回閲覧)
・ 「#6062. Take an umbrella with you. の with you はなぜ必要なのか? --- mond の問答が大反響」 ([2025-12-01-1]) (91回閲覧)
・ 「#5754. divers vs diverse」 ([2025-01-27-1]) (90回閲覧)
・ 「#5859. 「AI古英語家庭教師」の衝撃 --- ぷりっつさんの古英語独学シリーズを読んで」 ([2025-05-12-1]) (89回閲覧)
・ 「#5923. could の <l> は発音されたか? --- 『英語語源ハンドブック』の記述をめぐって」 ([2025-07-15-1]) (89回閲覧)
・ 「#5996. khelf の疋田海夢さんが Growth and Structure 連載を始めています」 ([2025-09-26-1]) (89回閲覧)
・ 「#5868. 『英語語源ハンドブック』 Amazon 新着ランキングの「英語」部門で第1位!」 ([2025-05-21-1]) (88回閲覧)
・ 「#5823. helito --- カードゲーム ito を用いた英語史の遊び」 ([2025-04-06-1]) (87回閲覧)
・ 「#5954. 「子供」を意味する古英語 bearn,現代スコットランド方言の bairn について --- ykagata さんのブログ記事より」 ([2025-08-15-1]) (86回閲覧)
・ 「#5838. 方言はこう生まれる --- 水野太貴さんによる『中央公論』の連載より」 ([2025-04-21-1]) (85回閲覧)
・ 「#5997. 「ゆる言語学ラジオ」で『英語語源ハンドブック』が紹介されました --- 人気シリーズ「ターゲット1900」回に再出演」 ([2025-09-27-1]) (85回閲覧)
・ 「#5785. フランス語に入った英単語 --- 月刊『ふらんす』の連載記事第12弾(最終回)」 ([2025-02-27-1]) (85回閲覧)
・ 「#5747. egg の綴字の歴史」 ([2025-01-20-1]) (84回閲覧)
・ 「#5808. 英語の母音変化の傾向」 ([2025-03-22-1]) (84回閲覧)
ランキングを眺めてみますと,ある傾向が見て取れます.まず第1位の「through の 516 番目の異綴字」 ([2025-01-11-1]) は,単一の語をめぐる話題でありながら,英語史における「綴字の多様性」という現象が読者の皆さんの知的好奇心を強く惹きつけた結果といえそうです.
次に目立つのは,日本語の音声に関する記事です.「ん」の発音やその歴史に関する一連の記事が高順位に食い込んでいます.これは,英語史を相対化するために日本語を見つめ直す,という視点が読者の皆さんの間に定着してきたことを示すものかもしれません.
また,2025年は書籍出版が相次いだ年でもありました.唐澤一友・小塚良孝両氏との共著『英語語源ハンドブック』,井上逸兵氏との共著『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』に関係する話題が,よく読まれています.これらは heldio や YouTube 「いのほた言語学チャンネル」,さらには『ゆる言語学ラジオ』との連動企画も関連しており,メディアミックス展開が効果的だったのではないかと考えています.
学術的なトピックとしては,「品詞とは何か」や「語順」といった,基本的でありながらも歴史的に掘り下げると非常に深いテーマが,上位に含まれています.これも hellog らしいところです.「AI古英語家庭教師」のような最新技術と英語史学習を組み合わせた話題も,今の時代を反映しています.
本年も,これらの記事を入り口として,より多くの方が英語史の深淵な世界に足を踏み入れてくださることを願っています.まずは新年の学び始めとして,上記の一覧から気になる記事を読んでみてはいかがでしょうか.2026年も,hel活へのご注目とご協力のほど,よろしくお願い申し上げます.
昨日12月29日,クリスマス・年末企画として,X(旧Twitter)アカウント @chariderryu 上で展開していた「英語史小ネタ50連発」を完走することができました.当初は25日のクリスマスまでに完結させる予定で進めておりましたが,途中で X (旧 Twitter) の API トラブルや私自身の操作ミスなどもあり,急遽「年末企画」へと仕切り直しての完走となりました.
数日間,投稿が滞ったり不規則になったりとご心配をおかけしましたが,温かく見守ってくださった読者・リスナーの皆様,そしてスポンサーとして全面的にバックアップしてくださった研究社に,この場を借りて厚く御礼申し上げます.
今回の企画は,単に小ネタを披露するだけではなく,拙著『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』の第10刷重版を記念したプレゼント企画も兼ねております.同書が2桁の増刷を重ねることができましたのも,ひとえに皆様の応援のおかげです.
プレゼントの応募方法は,公開された小ネタに対し,X 上で「引用リポスト」の形でコメントをいただくというものです.「おもしろい」引用リポストをくださった方の中から,私の独断と偏見で3名を選定し,年明けに研究社より第10刷を直送させていただきます.
この「おもしろい」には,funny, interesting, illuminating などの多義的な意味を込めています.引用リポストの締め切りは,明日12月31日の大晦日の夜までといたします.まだ時間はありますので,今からでも50個のネタをざっと振り返り,ぜひ引用リポストする形でご応募ください.
今回の50連発では,スペリング,語彙,意味変化,統語論など,英語史の多岐にわたる分野をカバーするよう努めました.例えば,反響の大きかったものとしては以下のような小ネタがありました.
・ 「04. English はメチャクチャ変な綴字」
・ 「06. なぜ new something ではなく something new なの?」
・ 「11. なぜ go の過去形は | went なの?」
・ 「16. 英語と最も近い言語は?」
・ 「37. silly は「幸せ」だった?」
各投稿のスレッドには,より深く学びたい方のために,拙著の関連章の紹介や heldio へのリンクも添えてあります.年末年始の隙間時間に,英語史の広大な海を少しずつ回遊していただければ幸いです.
なお,本企画の最終盤の案内については,昨日の heldio でも「#1674. 年末企画「英語史小ネタ50連発」の引用リポストは大晦日まで受け付けます」として配信しておりますので,あわせてお聴きください.
新年には,この50連発の振り返り放送なども予定しております.2025年も,引き続き hellog, heldio, そして X アカウントでの発信にご注目いただければと思います.
・ 堀田 隆一 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』 研究社,2016年.

昨日12月28日,1年の締めくくりに相応しい,待望の最新号が届きました! helwa メンバーによる1ヶ月の熱いhel活 (helkatsu) の成果をまとめたウェブマガジン『月刊 Helvillian 〜ハロー!英語史』第15号(2026年1月号)が公開されました.
編集委員の皆さん,今回はとりわけ年末のお忙しいなかでの編集作業,本当にお疲れ様でした.ついに通算15号.一過性の勢いによる雑誌制作ではなく,1つの文化としてこの雑誌が定着してきたことに深い敬意と驚きを禁じ得ません.今年は英語史の楽しさを広める発信基地として,Helvillian にはおおいに活躍していただきました.
それでは,新春号の豪華ラインナップを紹介していきましょう.
【 特集「旅(後編)」:さらに広がる英語史の地平 】
先月号から続く特集「旅」ですが,後編も負けず劣らずの充実ぶりです.ari さんは,フィッツジェラルドや肺炎をキーワードに,私的な回想と文学を交えた重厚なエッセイを寄せてくれました.川上さんは,「旅」の縁語である fare の歴史を紐解いています.みーさんは Route 66 の旅日記を前後編の圧倒的なボリュームで展開してくださいました(表紙画像もみーさんの車旅からのご提供です).さらに umisio さんによる「旅をする人・しない人」というメタ的な視点からの考察もあり,英語史の枠組みを超えた「移動と言語と人間」のドラマが描き出されています.
【 深化する連載陣と多才な寄稿者たち 】
り~みんさんによる「「『英語語源ハンドブック』にこじつけて学ぶドイツ語」に便乗して眺めるスウェーデン語」では each に注目しています.川上さんの「やってます通信」も堅調です.lacolaco さんの「英語語源辞典通読ノート」も D の項に分け入っています.
みーさんの「教室便り」のシリーズに続き,今回の新機軸として「こじこじ先生」による Sora (生成AI)を活用した動画も見所です.助動詞や慣用句の解説が,洋画の1シーンとして学べます.Grace さんによる近著紹介記事は,英語史界隈で注目の藤井香子(著)『古英語への扉』(大修館書店,2025年)についてです.佐久間さん(無職さん)による「シェークスピアにみる英国での外科医の地位」は,当時の社会史を考察するエッセイです.英語史の学習を強力にバックアップする記事が目立ちますね.
さらに,安定感のあるレギュラー執筆陣の記事が続きます.ari さんはスコットランド紙幣の話題から book の綴りの謎まで八面六臂の活躍を見せ,mozhi gengo さんのマルチリンガルな連載では「Srpsko-Hrvatski Jezik」シリーズが第10回に読んでいます.umisio さんの「国語の教科書」をめぐる鋭い論考や,私の五島列島上陸をめぐるドキュメント風の記事など,どこを切り取っても「おいしい」内容となっています.
【 熱い! helwa の活動報告 】
そして Grace さんによる「Helwa のあゆみ/活動報告」へと続きます.この1ヶ月のhel活の濃密さには目を見張るものがあります.まずは11月29日と12月20日に開催された「北千住オフ会」.taku さん提供の会場にて,飲食を交えつつ熱い議論が展開された旨が報告されています.特に12月は忘年会も兼ねて多くのヘルメイトがオフ会に集結し,「どのように helwa にたどり着いたのか?」のような原点を振り返る会となりました.
12月7日の「B&C超精読会」にも言及があります.英語史の古典的名著 Baugh and Cable を,有志で超精読しようという試み.この「超」に込められたテキストへの向き合い方は,英文の読み方を根本から変えてしまうポテンシャルを秘めています.住む場所も職業も違えど英語(史)の学びという縁で結ばれた仲間たちが楽しげに活動している様子は,hel活の理想形です.
今号も,表紙担当の Galois さん,目次作成の Lilimi さんを始め,Grace さん,umisio さんという編集委員カルテットの尽力により,最高の号が完成しました.編集者の皆さん,寄稿者の皆さん,あらためましてありがとうございました.
この年末年始を機会として,hellog 読者の皆さんも,このhel活コミュニティに加わってみませんか? 興味を持たれた方は,ぜひプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」 の扉を開いてみてください.毎週火・木・土の午後6時に,heldio と変わらぬ熱量でお届けしています.
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