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newspaper - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2021-12-08 15:53

2021-11-16 Tue

#4586. 英米の主な新聞を創刊年順に一覧 [newspaper][corpus]

 英語新聞の歴史的なコーパスがいくつか公開されている.17世紀後半から18世紀にかけての新聞テキストを集めた Zurich English Newspaper Corpus (= ZEN) は,よく知られているものの1つである(その他の新聞コーパスについては CoRD などを参照).また,コーパスとして編まれていなくとも近現代の新聞は次々とアーカイヴ化されており,新聞を用いた英語史研究は今後増えていくことが予想される.
 英米の主な新聞を創刊年順にまとめておこうと思い『英語便利辞典』 (pp. 194--96) を参照して一覧を作った.(発行)部数は,英国紙については2005年7月4日から31日までの平均「販売部数」,米国紙については2004年9月1日から2005年3月31日までの平均「販売部数」となっており,少し古い情報であることに注意.あくまで参考までに.

[ 英国の主な新聞 ]

創刊年紙名部数特徴
1783-The Herald73,963日刊;創刊から途切れることなく刊行されている世界最古のスコットランド英字紙.
1785-The Times698,043日刊;歴史が最も古い,影響力のある新聞の一つで,大判からタブロイドに変えてから人気が高い.中道右派が基調.London Times, The Times of London と呼ばれることもある.
1791-The Observer445,738英国初の日曜紙;海外の報道に強い高級紙.左派が基調.
1817-The Scotsman66,053日刊;スコットランドで大きな影響力をもち,responsible journalism (責任あるジャーナリズム)の模範例と見なされる.
1821-The Guardian358,345日刊;インテリ向けの高級紙.同紙の愛読者を Guardian reader (中流階級で教育ある左寄りの人)と言うこともある.
1822-The Sunday Times1,338,616英国を代表する高級日曜紙;The Times の姉妹紙.中道右派が基調.
1843-The News of the World3,701,099日曜紙;有名人のゴシップや醜聞など低俗な記事が売りのタブロイド紙.名誉毀損で訴えられることも多い.
1855-The Daily Telegraph912,319日刊;The Guardian, The Times とともに英国三大高級紙の一つと称される.右派(保守)・中流階級的報道がベース.
1888-The Financial Times410,306日刊;英国の伝統ある経済専門誌.英国の経済政策に影響を与えると言われる.
1896-The Daily Mail2,420,601日刊紙;社説は党派に左右されない大衆タブロイド紙.充実した海外報道で有名.
1900-The Daily Express835,937日刊;ニュースの煽情的な扱いで知られる大衆紙.
1903-The Daily Mirror1,752,948日刊;政治的には中道左派.読者の興味をそそる人の話題などを多く取り上げる大衆タブロイド紙.
1964-The Sun3,343,486日刊;若い世代の読者にねらいを定めた大衆タブロイド紙で,スターのゴシップ記事でも有名.
1986-The Independent255,603日刊;英国の日刊全国紙としては一番歴史が浅い高級タブロイド紙.中道左派が基調.


[ 米国の主な新聞 ]

創刊年紙名部数特徴
1847-The Chicago Tribune平日版 573,744,土曜版 515,253,日曜版 953,814日刊;米国中西部を代表する保守系新聞.
1851-The New York Times平日版 1,136,433,土曜版 1,047,574,日曜版 1,680,582日刊;Washington Post と並んで,米国で最も伝統を誇り,影響力の強い高級紙として定評がある.日曜版の高級書評紙 Book Review も有名.
1877-The Washington Post平日版 751,871,土曜版 686,327,日曜版 1,000,565日刊;首都ワシントンを発行地とする高級紙として,国内政治関係の記事が詳しい.ピューリッツア賞受賞のウォーターゲート事件報道がよく知られている.
1881-The Los Angeles Times平日版&土曜版 907,997,日曜版 1,253,849日刊;The New York Times に次ぐ米国二大新聞の一つで,米国西部を代表する.リベラルな論調で,カリフォルニア州民,ロサンゼルス市民の信頼の置ける情報源になっている.
1889-The Wall Street Journal平日版 2,070,498日刊全国紙;世界的に評判の高い経済専門誌で,実業家・経済人の間で最も広く購読されている.アジア版,ヨーロッパ版などもある.
1908-The Christian Science Monitor平日版 59,179日刊国際史;他紙と異なり,海外ニュースは通信社に頼らず,世界各国に駐在する自社記者の記事を主に掲載する.Eメール版,PDA版,PDF版も利用可.
1919-The New York Daily News平日版 735,536,土曜版 574,959,日曜版 835,121日刊;別名 New York's Hometown Newspaper として知られるタブロイド紙.政治的には中道穏健派で,見出しや写真の扱いに定評がある.
1982-The Washington Times平日版 103,017,土曜版 80,377,日曜版 42,775日刊;首都ワシントンで歴史がある Washington Post 紙に対抗して発行された.政治・政策の報道が詳しい.
1982-USA Today平日版(金曜を除く) 2,199,052,金曜版 2,612,946日刊全国紙;大判の新聞 (broadsheet) に始めて全色彩を使ったパイオニアで,写真や図などが多く読みやすい.同紙が実施するさまざまな世論調査でも知られる.発行部数は全米第一位.


 ・ 小学館外国語辞典編集部(編) 『英語便利辞典』 小学館,2006年.

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2021-06-07 Mon

#4424. 英語新聞記事見出しの通時的変化 [newspaper][syntax][genre][pragmatics]

 英語新聞に関する言語学的研究の歴史について,Fries の概説を読んだ.コンパクトながらも要点がまとまっており,この分野に本格的な関心を寄せたことはなかったものの,改めておもしろそうな分野だと認識することができた.特に関心をもったのは見出し (headline) の通時的変化である.以下に,Fries (1070--71) の内容を紹介したい.
 新聞の見出し研究は70年を超える歴史を有する.「見出し」といっても,日々私たちが見慣れているタイプの見出し (headline proper) のほかにもいくつかの種類がある.17世紀から18世紀初頭にかけては,記事の出所と日時 (dateline) をもって見出しとする慣習がごく普通だった.
 また,国名・都市名・話題名などを1, 2語で端的に表現する項見出し (section heading) も一般的だった (ex. "LONDON", "AUSTRIA", "BIRTHS", "SHIP NEWS") .現代の新聞でいえば,ページの上部に1語で印刷されているテーマに相当するものと考えられる.
 20世紀の初めからは,続く段落を際立たせる中見出し (crosshead) も現われてきた.
 私たちが見慣れている通常の見出し (headline proper) は,実は古くから当然のようにあったわけではない.18世紀までは上記のように見出しといえば dateline が原則であり,headline proper が広く使われるようになってきたのは19世紀に入ってからである.その後,着実に分布が広がっていき,平均語数も1,2語程度から7語の長さにまで成長した.
 headline proper は,統語的にいえば名詞的見出しと動詞的見出しに分けられる.名詞的見出しとは The earthquakes, The Russian epidemic, Surrender of General Johnston, Brazil and Portugal, Russian and India のようなタイプを指す.
 一方,動詞的見出しには,To cease fire, Normal life returning to Krefeld, Recall suggested のように非定形動詞を用いるものもあれば,German Cabinet resigns のように定形動詞を用いるものもある.いずれも19世紀まではほとんど現われず,動詞的見出しはすぐれて現代的な特徴といってよい.
 統語的というよりは意味的な観点から見出しを分類すると,Arrival of the La Plata, Destructive Fires, Prices up のような "relational" なタイプと,A Scotch Ghost のような純粋に場所に関する(名詞的な)"regional" なタイプに分けられる.
 新聞は,メディアとしての発展とともに,その言語的特徴をも大きく変化させてきた.近代英語期の重要なジャンルとして,新聞英語の歴史的研究には大きな可能性がありそうだ.

 ・ Fries, Udo. "English and the Media: Newspapers." Chapter 68 of English Historical Linguistics: An International Handbook. 2 vols. Ed. Alexander Bergs and Laurel J. Brinton. Berlin: Mouton de Gruyter, 2012. 1063--75.

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