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heldio - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2026-06-22 00:05

2026-06-20 Sat

#6263. 6月27日(土)の朝カル講座「ghost を探って古英語原文の世界へ」回 [asacul][notice][kdee][hee][etymology][hel_education][helkatsu][heldio][me][oe][kochushoho][pchron][adverb][preposition][link][voicy]


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 1週間後の6月27日(土) 15:30--17:00 に,今年度の2回目となる朝日カルチャーセンター新宿教室でのオンライン講座が開かれます.昨年度より継続しているシリーズ「歴史上もっとも不思議な英単語」の通算第15弾ということで,今回は「ghost を探って古英語原文の世界へ」と題して,皆が気になる単語 ghost を深掘りしていきます.
 現代英語の ghost の最も普通の語義は「幽霊」ですね.この世ではしばしば恐れられている,あの不思議な存在です.しかし,本来は広く「精霊」 (spirit) を表わし,あらゆるものに生命を吹き込むパワーを表わしていましたが,歴史の過程で意味の縮小が起こったことになります.キリスト教の「聖霊」は the Holy Spirit と言いますが,古くは the Holy Ghost と言われたのも,この経緯と関係しています.
 また,発音や綴字の観点からも興味深い事実があります.古英語や中英語では gast のような綴字が普通でした.母音として ā という長母音をもっていたのです.ところが現代では /oʊ/ という2重母音になっていますね.また,後期中英語以降,どこからともなく綴字に <h> の文字が紛れ込み,現代では ghost となっていますね.講座では,<gh> という綴字の様々な謎にも触れていきたいと思っています.その他,動詞としての ghost,「幽霊語」 (ghost_word) の話題,もちろん ghost の語源自体にも触れていきます.
 講座の後半には,本シリーズの「古い英語の原文で味わう」趣旨に沿って,市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』(研究社,2026年)より古英語のなかに実際に現われる "ghost" を覗いてみます.丁寧に解説しますので,古英語初心者の方も心配無用です.また,上掲書をお持ちでなくても講座資料として配付しますのでご安心ください.
 講座の詳細とお申込みは,朝カルのこちらの公式ページをご覧ください.
 なお,この先の夏期クールのテーマと日程をお伝えしておきます.夏期もシリーズを継続していきます.そちらの詳細・お申し込みはこちらのページよりどうぞ.

 ・ 夏期第1回(2026年7月25日):歴史上もっとも不思議な英単語 --- "king" を探って古英語原文の世界へ
 ・ 夏期第2回(2026年8月22日):歴史上もっとも不思議な英単語 --- "riddle" を探って古英語原文の世界へ
 ・ 夏期第3回(2026年9月26日):歴史上もっとも不思議な英単語 --- "through" を探って中英語原文の世界へ

 いずれの講座につきましても,多くの方の受講をお待ちしております.



 ・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.
 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2026-06-19 Fri

#6262. B&C の第64節 "Influence of The Benedictine Reform on English" (1) --- Taku さんとの超精読会 [bchel][oe][benedictine_reform][christianity][lexicology][borrowing][latin][loan_word][link][voicy][heldio][anglo-saxon][history][helmate]



 昨日に引き続き,英語史の名著,Baugh and Cable のテキスト(第6版)を,helwa の志高き仲間たちと徹底的に腑に落としていく「超精読会」の記録です.この熱気あふれる現場の音声をそのままお届けする Voicy heldio の配信シリーズも,おかげさまで息長く続いています.
 今朝配信の heldio 最新回では,新しい節の冒頭を精読する回をお届けしています.「#1846. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (64-1) with Taku さん --- helwa 北千住オフ会より」 です.本日のブログ記事はこの最新音源と密接にリンクした誌上実況中継となります.
 今回も,helwa/heldio のコミュニティを熱く盛り上げてくださっている重要ヘルメイトであり,コアリスナーの Taku さんことhttps://www.ntu.ac.jp/research/kyoin/kodomo/gakoukyouiku/kaneta_t.html">金田拓さん(帝京科学大学)に,水先案内人として精読をリードしていただきました.
 さて,今回からはいよいよ "Influence of The Benedictine Reform on English" と題された新セクションへ突入します.前回まで追ってきた「ベネディクト改革」という歴史的うねりが,実際の英語の語彙にどのような変化をもたらしたのか,具体的な借用語 (loan_word) のリストとともに検証していくことになります.今回の精読のターゲットとなった英文を以下に掲げます(Baugh and Cable, pp. 84--85).第64節の冒頭から,およそ30分弱をかけて計6文の細部を解剖していきました.

The influence of Latin upon the English language rose and fell with the fortunes of the church and the state of learning so intimately connected with it. As a result of the renewed literary activity just described, a new series of Latin importations took place. These differed somewhat from the earlier Christian borrowings in being words of a less popular kind and expressing more often ideas of a scientific and learned character. They are especially frequent in the works of Ælfric and reflect not only the theological and pedagogical nature of his writings but also his classical tastes and attainments. His literary activity and his vocabulary are equally representative of the movement. As in the earlier Christian borrowings, a considerable number of words have to do with religious matters: alb, Antichrist, antiphoner, apostle, canticle, cantor, cell, chrism, cloister, collect, creed, dalmatic, demon, dirge, font, idol, nocturn, prime, prophet, sabbath, synagogue, troper.


 この B&C 超精読シリーズの過去の足跡については,すべてアーカイヴに網羅されており,いつでもバックナンバーにアクセス可能です.各回へのナビゲーションは,「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) をハブとしてご利用ください.英語史のロマンに知的好奇心をくすぐられた方は,ぜひ本書をお手元にご用意の上,この音声を道しるべに深い読書体験を味わっていただければ幸いです.さらに,「ただ聴くだけでなく,自分も対面やオンラインの現場に飛び込んでリアルタイムに議論の輪に加わりたい!」という熱量をお持ちの方は,ぜひ Voicy のプレミアムリスナー限定配信チャンネルである「英語史の輪 (helwa)」へのご参加をご検討ください.知的なお祭りをともに楽しめる仲間を,いつでもお待ちしております.


Baugh, Albert C. and Thomas Cable. ''A History of the English Language''. 6th ed. London: Routledge, 2013.



 ・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.

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2026-06-18 Thu

#6261. B&C の第63節 "The Benedictine Reform" (7) --- Taku さんとの超精読会 [bchel][oe][benedictine_reform][christianity][link][voicy][heldio][anglo-saxon][history][helmate]



 英語史を学ぶ者にとってのバイブルとも言える Baugh and Cable の名著(第6版)を,helwa の志高きメンバーとともに1文ずつ(いな,1語ずつ)じっくりと読み解いていく「超精読会」を,半定期的なペースで重ねています.この濃密な読書会の空気感をそのままお届けする Voicy heldio の音声配信シリーズも,気づけば継続中です.開始から3年近くが経過しましたが,歩みは着実に進んでおり,現在は第63節の後半戦に突入しています.
 今朝の heldio にて,その最新の配信回を公開いたしました.「#1845. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (63-7) with Taku さん --- helwa 北千住オフ会より」です.本日のブログ記事はこの音声配信とがっちり連動する形でのアップデートとなります.
 今回も,heldio/helwa コミュニティを牽引するヘルメイトでありコアリスナーの Taku さんこと金田拓さん(帝京科学大学)に,ナビゲーターとして精読を力強くリードしていただきました.現場に集まった数名のギャラリーとともに,テキストの奥底に潜む歴史的背景を掘り起こすような,いつもながらのディープな読みを堪能する時間となりました.
 今回の読書会でターゲットとした英文を以下に提示します(Baugh and Cable, pp. 83--84) .第63節の幕引きに近い箇所から,およそ40分もの時間をかけて計6文を緻密に読み解いていきました.10世紀後半のベネディクト改革の英語史上の意義を堪能してください!

One of the objects of special concern in this work of rehabilitation was the improvement of education---the establishment of schools and the encouragement of learning among the monks and the clergy. The results were distinctly gratifying. By the close of the century the monasteries were once more centers of literary activity. Works in English for the popularizing of knowledge were prepared by men who thus continued the example of King Alfred, and manuscripts both in Latin and the vernacular were copied and preserved. It is significant that the four great codices in which the bulk of Old English poetry is preserved date from this period. We doubtless owe their existence to the reform movement.


 この B&C 読書会のこれまでの軌跡については,すべてアーカイヴ化されており,いつでも過去回へアクセスが可能です.各配信回へのナビゲーションリンクは,過去の記事「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) にまとまっていますので,ぜひそちらをご参照ください.知的好奇心を刺激された方は,ぜひご自身でも本書を入手され,この超精読会の音声をガイドブック代わりにお聴きいただければ幸いです.また「聴くだけでなく,対面やオンラインの現場でリアルタイムに議論に加わりたい!」という熱意をお持ちの方は,ぜひ Voicy のプレミアムリスナー限定配信チャンネルである「英語史の輪 (helwa)」の門を叩いてみてください.皆さんのご参加を心よりお待ちしております.


Baugh, Albert C. and Thomas Cable. ''A History of the English Language''. 6th ed. London: Routledge, 2013.



 ・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.

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2026-06-14 Sun

#6257. 「なぜさんたんげん目撃マップ」企画が走り出しています [notice][nazesantangen][nazesantangen_witness][heldio]

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 6月10日(水),NHK出版新書『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』(通称『なぜさんたんげん』)が発売されました.大変ありがたいことに,皆さんの熱い応援のおかげで発売前増刷となり,発売後もご好評いただいています.心より御礼申し上げます.
 本書の刊行に合わせて,このたび全国のリアル書店での本書の目撃情報を皆さんと共有し,ともに楽しむための新企画「なぜさんたんげん目撃マップ」を立ち上げました.
 本企画は,全国のリアル書店を訪れた皆さんから「ここに『なぜさんたんげん』が並んでいた!」「こんな風に平積みされていた!」という目撃情報を寄せていただき,それをもとに著者が Google Map 上にピンを立てて「見える化」していくという試みです.私自身は現在,イギリスのスコットランドに滞在しているところですが,数千キロ離れた地からも,日本地図の上に次々とピンが立っていく様子を不思議な,かつ熱い気持ちで見つめています.
 企画がスタートしてまだ間もない状況ですが,本日23:50の段階で,日本全国のあちらこちらの書店に計19本のピンが立っており,素晴らしい走り出しです.これまでにご報告をいただいた皆さん,本当にありがとうございます.地図は,直接 Google Map の URL からアクセスできるほか,こちらの 『なぜさんたんげん』著者公式HPからもジャンプすることができます.
 hellog 読者の皆さんにも,地元や学校・職場近くや旅先のリアル書店へ足を運ばれた際には,ぜひ本書を探していただき,目撃情報をテキストや写真でご報告いただけますと幸いです.SNS へは #なぜさんたんげん目撃マップ とハッシュタグを付けて投稿していただけますと,著者が定期的に巡回して受け取ることができます.あるいは,毎朝お届けしている Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の任意の配信回のコメント欄より,お知らせいただく形でもけっこうです.
 ただし,書店での写真撮影に関しましては,ぜひ留意していただきたいマナーがあります.撮影の可否や SNS へのアップロードに関する対応は書店さんによって対応が異なりますので,必ず事前に書店員さんへ「写真を撮ってよいですか」「SNS にあげても良いですか」と一言お声がけをいただき,そのご指示に従っていただきますようお願いいたします.ご報告はテキストのみでも十分ですので,気軽にご参加ください.
 皆さんからお寄せいただく1本1本のピンが,本書を,そして英語史を日本全国へと広げていく大きな力となります.ぜひ,この発売後のお祭りをコミュニティの皆さんと一緒に楽しんでいければと願っています.皆様の積極的なご参加を心よりお待ちしています.
 一昨日の heldio でも「#1839. 「なぜさんたんげん目撃マップ」企画を立ち上げました」として本企画をご案内していますので,そちらも合わせてお聴きいただければ.



 ・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.

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2026-06-08 Mon

#6251. 『なぜさんたんげん』の担当編集者・田中さんとの対談シリーズの続編 [notice][nazesantangen][nhkpb][voicy][heldio][ranking][sobokunagimon]



 先日の記事「#6244. 『なぜさんたんげん』の担当編集者・田中さんと対談しています」 ([2026-06-01-1]) の続編です.
 いよいよ発売日まであと2日と迫りました,NHK出版新書『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』(通称『なぜさんたんげん』)に関する heldio 対談の続編をお届けします.今回は直近に配信された2回の対談回(Part 3 および Part 4)のエッセンスをぎゅっとまとめてご紹介したいと思います.

 ・ 第3回対談(6月4日配信),「#1831. 『なぜさんたんげん』総選挙の結果を編集者・田中菜乃香さんとともにレビュー」
 ・ 第4回対談(6月7日配信),「#1834. 新書『なぜさんたんげん』はベースとなった連載記事からいかに成長したか --- 編集者・田中菜乃香さんとの対談 Part 4」

 まず,6月4日に配信した Part 3 では,5月下旬に実施した「24の疑問総選挙」の確定結果を,著者の私から編集の田中さんへ初めてサプライズシェアする,という企画を行ないました.96名もの方にご投票いただきまして,その節は皆さん本当にありがとうございました.
 注目の第1位は,我々の期待と狙い通り,やはり「なぜ3単現の s をつけるのか」が38%の得票率でダントツのトップでした.もしこれが1位でなかったら本書のタイトルはどうなっていたんだという恐怖もありましたが,一安心です.驚いたのは2位以下のランキングで,第2位に「なぜ現在分詞と動名詞は同じ -ing で表されるのか」(21%),第3位に同率で「なぜ時・条件を表す副詞節では未来のことも現在形で表すのか」と「アルファベット最後の文字 z のミステリー」(19%)がランクインしたことです.
 田中さんも指摘されていましたが,学校文法の定番である go/went のような理不尽度の高い具体的な疑問よりも,むしろ抽象度や玄人好みの高い問いが上位へ食い込んできたのは意外な結果でした.対談では,お互いの「推し疑問」についても初めて語り合っており,田中さんは自明すぎて普通は疑問にすら思わない数詞の「one, two の綴字と発音の謎」や「eleven, twelve の形」を挙げられ,さすがプロの編集者というべき鋭い視点に唸らされました.私は「I の大文字問題」や,「there is/are 構文」に一票を投じています.
 続いて,6月7日に配信した Part 4 では,数年にわたる雑誌連載から新書へと編み直すプロセスにおいて,編集者と著者がどのような共同作業をしてきたのか,その舞台裏を赤裸々にトークしました.
 元の雑誌連載は中学生向けに相当優しく書かれていたため,二字熟語を制限するなど日本語の言い回しを徹底的にチューニングしていましたが,新書化にあたっては大人向けの文体へと仕立て直す大がかりな文体調整を行ないました.そのなかで,単行本ならではの魅力として加わったのが,いくつかの「書き下ろし」コンテンツです.
 とりわけ大きな柱となったのが,今回の新書で新たに追加された「there is/are 構文」に関する節です.これは田中さんからの「教科書における学習順序を意識したときに,中学2年生で習うテーマが穴になっているので,存在を表す構文について書いてほしい」という具体的なリクエストから生まれた,文字通りの書き下ろしです.後から付け足したピースであるにもかかわらず,英語における SVO の語順や主語の必須性といった収載済みの統語論的テーマとみごとに融合し,味わい深い節として仕上がりました.
 さらに,Amazon 事前予約特典として用意した1節分の書き下ろし「なぜ doubt のスペリングに b があるのか」についても言及しています.実は,田中さんが私に最初にくださった連載の打診メールで,私が過去に書いた doubt に関するウェブ記事「圧倒的腹落ち感!英語の発音と綴りが一致しない理由を専門家に聞きに行ったら,犯人は中世から近代にかけての「見栄」と「惰性」だった.」を読まれていたことが触れられており,この思い出深いテーマが巡り巡って発売直前の特典として結実したという,言語史ならぬ「本の歴史」の美しい結末には深い感慨を覚えます.

 この2回の対談を通じて改めて強く実感したのは,同じ1冊の本を対象にしていても,著者・研究者の目線と,プロのエディターとしての目線では,見ている角度やポイントが全く異なるということです.お互いの視点が火花を散らし,アドバイスを潤滑剤としながら融合したからこそ,2日後に世に出る新書が,このような形に成長してきたのだと確信しています.
 音声配信では,文字通り2人の息づかいやプロフェッショナルとしての裏話が満載ですので,ぜひ heldio の音声を直接お聴きいただき,本を手に取る前のワクワク感を高めていただければ幸いです.どうぞお楽しみに.

 ・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.

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2026-06-04 Thu

#6247. helwa 3周年 --- データで振り返るプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 [voicy][heldio][helwa][notice][helkatsu][helmate][hel_education]



 昨日の記事「#6236.heldio 5周年 --- データで振り返る heldio の進化」 ([2026-06-03-1]) に続いて,5月28日時点での Voicy のアナリティクスに基づく記事をお届けします.一昨日2026年6月2日は,heldio 5周年記念日であると同時に,実は helwa 3周年記念日でもありました.Voicy heldio 開始からちょうど2年目に当たる日に,プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」を開始したのでした.
 helwa は週2回ベースで配信を始めましたが,途中から週3回ペースとなり今に至ります.3年間で積み上げてきた helwa の配信数は,449本に達しました.冷静に考えると,これはなかなか異常なペースです.普通の有料コミュニティであれば,数十本の限定雑談や月1回のイベント程度で終わることも多いかと思いますが,helwa は heldio とは異なるもう1つの英語史コミュニティへと成長してきました.
 当初は,これほどニッチな学術分野で有料チャンネルを始めて本当に人が集まるのか,どのような雰囲気の場になるのか,大きな不安があったのも事実です.しかし,蓋を開けてみればそこは heldio 通常回の特典音源の置き場ではなく,日常的な英語史雑談,Discord 上での交流,オフ会ルポ,書籍の共同企画,学会の裏話など,多岐にわたる談義が繰り広げられる「英語史サロン」へと発展していきました.そして,helwa リスナーを増やすことを主目的とするのではなく,英語史を一緒に楽しむ仲間を作ることが最重要視される,そのような空間に育ってきたのです.
 この3年間における最大の成果の1つは,音声配信チャンネルというオンラインの枠を飛び出し,オフ会や「英語史ライヴ」など,現実のコミュニティが実現したことでしょう.泊まりがけのオフ会も複数回開催され,その熱気はこのコミュニティから生まれた月刊ウェブマガジン Helvillian などで熱くレポートされています.英語史という実利の外側にある学問が,学生,社会人,教員といった幅広い層の垣根を越えて,純粋な大人の「居場所」となったことは,きわめて感慨深いことです.
 しかし,helwa がもたらした最大の変革は,「英語史が雑談になった」という点に尽きるかもしれません.本来,英語史は大学の講義室や専門論文のなかに閉じ込められた世界でした.それがこのコミュニティでは,「その語源おもしろい」「その発音変化わかる」「それ英語史的な発想だよね」といった言葉が日常的に交わされています.オフ会での乾杯の挨拶もすっかり古英語の Wes hal! に定着しています.英語史が一部の専門家だけのものではなく,コミュニティの皆さんの間で一種の「生活言語」として根付いているといったらよいでしょうか.
 常連文化,内輪ネタ,定番フレーズが自然発生するその空気感は,深夜ラジオ共同体にかなり近いものがあるように思っています.「英語史」という硬派なテーマなのに,やっていることは深夜ラジオというギャップが,何ともおもしろいところです.また,リスナーの皆さんが単なる受信者にとどまらず,コメントや note や SNS を利用した発信者となってhel活を推進し,英語史エコシステムを想像している点も,helwa の本質といえます.
 英語史研究者としては「英語史って,本来こんなふうにワイワイ雑談する分野じゃなかったんですよ(笑)」と,嬉しい悲鳴を上げたいです.この helwa という舞台裏の熱量とエネルギー源があるからこそ,表舞台である heldio の5年間にわたる毎日更新も維持されてきたと思っています.3年間で醸成されたこの愛すべきニッチ共同体の文化を,今後もさらにディープに,そして楽しく発展させていきたいと考えています.
 新たな月となりました.heldio リスナーの皆さんにおかれましては,heldio 5周年かつ helwa 3周年の機会に,ぜひ「英語史の輪 (helwa)」へご入会ください.helwa は毎週火木土の午後6時に配信しています.月額800円のサブスクで,初月無料サービスがありますので,まず試しにお入りいただければ.今月は helwa では『なぜさんたんげん』の裏話が多くなるはずです.
 一昨日の helwa 「【英語史の輪 #0453】helwa 3周年 --- 英語史エコシステムが完成した」を,ぜひお聴きください.

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2026-06-03 Wed

#6246.heldio 5周年 --- データで振り返る heldio の進化 [voicy][heldio][helwa][notice][helkatsu][hel_education][sobokunagimon]



 昨日2026年6月2日,Voicy チャンネル「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」は,おかげさまで5周年を迎えることになりました.丸5年間,毎日マイクやレコーダーに向かって英語史を語り続けてきたことになりますが,この機会に Voicy のアナリティクスから抽出されたデータを皆さんと共有しつつ,この5年間の heldio の進化を振り返ってみたいと思います.アナリティクスは5月28日時点のデータを用いています.
 まず配信回数ですが,5年間で2,340本を配信してきました.これは毎朝6時の heldio 通常配信のほか,生配信や特別配信,そしてプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」の配信を加えた総数です.我ながら,英語史という単一テーマで,よく持ったと思います.単なる毎日更新にとどまらず,英語史というニッチな学術分野において,これだけの高頻度で5年間メディアが回り続けたというのは,リスナーの皆さんにとっても「え,そんな本数だったの!?」と驚かれるのではないでしょうか.
 では,リスナーの皆さんにとって,heldio への「入口」となったのはどのような回だったのでしょうか.歴代の総再生回数および新規リスナー獲得数のランキングを見てみると,きわめて一貫した heldio の原点が見えてくるように思われます.
 不動の歴代1位に君臨しているのは,記念すべき初回配信である「#1. なぜ A pen なのに AN apple なの?」(合計リスナー3,104人,新規獲得1,757人)です.これは完全に他を圧倒する入口回となっています.ここで重要なのは,この回が扱っているテーマが a/an の使い分けという,中学1年生で習う初歩的で素朴な疑問である点です.ここから分かるのは,heldio の原点がハードルの高い専門知識の講義ではなく,誰もが抱く学校英語への違和感や日常の小さな謎に寄り添う姿勢だったということです.
 もう1つの興味深いデータとして,2022年の「#408. 自己紹介:英語史研究者の堀田隆一です」(新規995人)と,2024年の「#1171. 自己紹介 --- 英語史研究者の堀田隆一です」(新規989人)という,2回の自己紹介回がどちらもヒットしている現象が挙げられます.リスナーさんの関心が,英語史そのものだけでなく,それを語っているパーソナリティにも向いているものと理解してよいのでしょうか.その辺りが謎ではあります.
 また,外部コミュニティとの接続という点では,人気 YouTube チャンネル「ゆる言語学ラジオ」さんにお招きいただいた際の 「#705. ゆる言語学ラジオにお招きいただき初めて出演することに!」(新規609人)が爆発的な流入を生みました.「英語史をお茶の間に」というモットーが,専門界隈の外へと届いた象徴的な瞬間でした.さらに,純粋な歴史の話題だけでなく,「#729. なぜ英語を学ばなければならないの?」(新規558人)のように,英語教育や現代人の英語観を照らす類いの話題も,強い新規流入を呼び込んでいます.トップに近い配信回を眺めまわしてみると,結局のところ違和感を共有する「英語に関する素朴な疑問」(sobokunagimon)が核であったことが示されています.
 一方で,年別の平均リスナー数の推移を見ると,数字の上では減少傾向にあるように見えます.これには様々な原因があると思いますが,Voicy と同一のコンテンツを,他の音声配信プラットフォームでも配信し始めたので,Voicy 単独でのリスナー数が減ったということが大きいように思われます.もう1つは,リスナー集団の中心がライト層からコア層へシフトしてきたようにも感じます.リスナー数が減少した分,チャンネルが成熟していったのではないかと私は分析しています.
 実際に現在のアナリティクスによれば,「とても熱心なリスナー」が72.7%,「熱心なリスナー」が7.9%を占めており,全体の約8割が濃いリスナーを占める,そのようなチャンネルへと進化しています.そして,この超コア化・定着化を支える巨大な「地下アーカイブ」となっているのが,3年間で449本を積み上げてきた「英語史の輪 (helwa)」の存在です.ここでは,日常的な英語史談義,Discord 上での交流,オフ会報告,コアな研究雑談などが蓄積され,単なる有料配信メンバーの集団という以上の濃いコミュニティが形成されています.
 リスナーさんたちの属性分析からも,heldio の独特な受容スタイルが浮かび上がってきます.まず,男女比が男性45.9%,女性43.8%(無回答10.2%)と,ほぼ五分五分で均衡しています.一般に,語学学習系番組は女性に偏りやすく,IT・学術雑談系は男性に偏りやすい傾向がありますが,heldio はその中間に位置しています.大人の知的雑談メディアとしてバランスよく受け入れられているものと考えています.
 年齢層を見ると,30代が24.3%,40代が25.5%,50代が23.1%となっており,実に大人の30--50代で全体の約73%を占めています.まさに「学び直し」や通勤・家事の合間の知的時間を求める成熟したリスナー層です.さらに職業分布では,会社員が46.3%,自営業が12.5%を占め,英語教員や学生といった層だけでなく,実務の外側にある純粋な知的好奇心として英語史を楽しんでいる一般のビジネスパーソンが圧倒的多数派のようです.
 さらに国内での地域的な広がりを見ると,東京が38.9%と最大ですが,大阪6.7%,神奈川6.0%,千葉3.9%,北海道3.6%と続き,全国(さらには海外)に薄く広く分散しています.大学の講義室であれば物理的な制約がありますが,インターネットの音声配信という特性を活かし,英語史の地方分散化が数字として実現しているのは,興味深いファクトです.
 これらすべてのデータを総括するならば,この5年間は,「マスメディア的なリスナー数の拡大」ではなく「英語史に関心を寄せるリスナーの着実な増加」を示す時間だった,ということです.実利的な英語スキルのためではなく,「英語っておもしろい」「言葉って不思議だな」という感覚を共有し,英語について雑談する文化圏・公共圏がここに誕生したのです.
 大学の研究者が専門分野を掲げてこのようなコミュニティを形成できたことは,稀な事例ではないかと思っています.これまで heldio を支え,一緒に知的な遊び場を作ってくださったリスナーの皆さんに,改めて心より感謝申し上げます.
 これからも heldio は様々な進化を遂げていくものと思われます.直近では,今月6月10日発売予定の近刊 『英語史で解く英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』(NHK出版新書)をめぐるお祭り企画やイベントも目白押しです.
 新たな月となりましたし,heldio 5周年のこの機会に,Voicy プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」への入会もぜひご検討ください.helwa は毎週火木土の午後6時に配信しています.月額800円のサブスクで,初月無料サービスがありますので,まず試しに覗いてみていただければ.今月は helwa でも『なぜさんたんげん』の話題が多くなるだろうと思います.
 昨日の heldio 「#1829. heldio 5周年 --- データで振り返る heldio の進化」もお聴きいただければ.それでは,明日もいつも通り,朝6時に heldio でお会いしましょう.

Referrer (Inside): [2026-06-04-1]

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2026-06-01 Mon

#6244. 『なぜさんたんげん』の担当編集者・田中さんと対談しています [notice][nazesantangen][nhkpb][voicy][heldio]



 連日,6月10日に発売予定の新書『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』(NHK出版)に関連する記事を書いています.
 今回は,NHK出版の本書担当編集者と著者が heldio で対談した様子をお伝えしたいと思います.発売前に,二人三脚で本を作ってきた編集者と著者が語り合う様子が公開されるというのも珍しいかと思います.これまで2回にわたって対談してきました.

 ・ 第1回対談(5月13日配信),「#1809. 一昨日の『なぜさんたんげん』予約爆撃アワー生配信をアーカイヴでお届け」(対談自体は終わりの30分ほどをお聴きください)
 ・ 第2回対談(5月30日配信),「#1826. 『なぜさんたんげん』の裏側をお話しします --- NHK出版編集者・田中菜乃香さんとの対談 Part 2」

 今回は,直近に配信された第2回対談の主旨をご紹介します.

 対談の大きな柱となったのは,本書のタイトル決定に至るまでの長い舞台裏です.5月11日の「予約爆撃アワー企画」の初速や Amazon での好調な動き,またNHK出版デジタルマガジンでの第1章第5節(まさに「なぜ3単現の s をつけるのか」の目玉の節)の先行無料公開が3万ページビューを突破したことなど,発売前の大きな反響を喜びつつ,その魅力の根源がタイトル周りの議論にあったことを振り返りました.
 実は,タイトルが最終的に決まったのは3月末から4月初めという,かなりギリギリのタイミングであり,そこに至るまでには数百通りもの組み合わせを検討するプロセスがありました.編集の田中さんは,手探りだった本文の調整以上にタイトル周りで「自分を信じられるか」という疑心暗鬼に陥った瞬間があったと明かしてくれました.とりわけ,一時はタイトルから「3単現の s」という文言そのものを消去しようとした段階すらあった旨,触れられています.それは「サブタイトルに説明を付け足すのは長さに甘えているのではないか」という葛藤から生じた迷いでしたが,編集者と著者の間では盛り上がっていた意見に対して,社内の経験豊富な先輩たちのノウハウや蓄積に基づく異なる案が潤滑剤として加わったことで,最終的に現在の形に落ち着きました.このプロセスを通じて,この本を本当に必要としている層の読者は,自分に必要なのが「英語史」であるとは気づいていない,という原点に立ち返ることができたのは,編集者および著者にとって非常に大きな成果でした.
 また,本書のもう1つの魅力として,文体調整と用語解説へのこだわりが挙げられます.中高生向けの連載をベースとしつつも,新書という大人向けのジャンルに仕立て直すにあたり,ある程度の専門用語もあえて交えるという挑戦を試みました.ただし,専門知識がない読者でも自然と読み進められるよう,丁寧な言い換え表現や解説は加えてあります.読者の代表としての編集者目線と,伝えたい熱意が先走りがちな著者・研究者目線という,2つのプロフェッショナルな視点が火花を散らしつつも,最終的に融合したからこそ,今回の形にこぎつけることができたのだと,改めて実感させられる対談となりました.

 以上が第2回対談の概要となりますが,第1回・第2回ともに,ぜひ上記の音声配信を直接お聴きいただければと思います.編集者と著者の息づかいが伝わるかと思います.
 近日中に対談の続編をお届けする予定ですので,どうぞお楽しみに.

 ・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.

Referrer (Inside): [2026-06-08-1]

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2026-05-31 Sun

#6243. 6月10日発売予定の『なぜさんたんげん』の現況 --- 勢いが増してきています [voicy][heldio][notice][nazesantangen][nhkpb]


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 一昨日,NHK出版公式Xアカウントより,6月10日の発売を目前に控えた新書『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』(NHK出版)の出来上がり見本の写真が公開されました.
 おかげさまで本書の勢いが増してきています.著者として,またこの20日間プロモーションに奔走してきた身として,ただただ驚きと感謝の念を禁じ得ません.
 現時点の最新データですが,Amazon 新着ランキングの「英語」部門では,第1位をキープし続けています.これだけでも十分にありがたいことなのですが,さらに驚くべきニュースが飛び込んできました.「英語」部門の1つ上のカテゴリーである「語学・辞事典・年鑑」部門でも,ついに初めて第1位を記録したのです.
 Amazon の「語学・辞事典・年鑑」という部門は,ありとあらゆる語学書や巨大な辞典類がひしめき合う巨大な要塞です.そこで1位を獲得したということは,皆さんの本書への期待が思いのほか大きいことを示しています.
 ちなみに,この「語学・辞事典・年鑑」のさらに1つ上のカテゴリーは,もはや「本」全体です.そして,そのすべての「本」のなかで競う総合売れ筋ランキングにおいて,本書は発売前にもかかわらず,目下514位にまで躍進しました(一昨日お昼現在).なお,売れ筋ランキングの「英語学」部門では相変わらず2位に付けています.全体として,勢いは加速しているといってよいです.
 発売前でのこの熱気は,英語史という分野が本当に「お茶の間」に届き始めていることを示唆します.まだ予約注文のボタンを押されていない方は,ぜひ歴史的瞬間の単なる目撃者ではなく共犯者となっていただければ! 皆さんと一緒に,発売日に向けてのお祭りをさらに盛り上げていければ幸いです.
 Amazon からの予約で,特典(書き下ろしの1節)がついてきます.ぜひこちらからご予約ください → https://amzn.to/4tf4K5k

 ・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.

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2026-05-30 Sat

#6242. ついに通算第20号 --- 英語史の月刊ウェブマガジン Helvillian の2026年6月号が公開されました [helwa][heldio][notice][helmate][helkatsu][helvillian][link][nazesantangen]


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 一昨日の5月28日(木),英語史をテーマとする日本(世界でも?)唯一の月刊ウェブマガジン Helvillian 6月号が公開されました.通算第20号となる節目の号です.前号の紹介記事で「次号はいよいよ第20号の大台に乗る」と期待を寄せていましたが,こうして実際に形になり,継続の重みと有志ヘルメイトの皆さんの自発的なエネルギーに改めて深い敬意を表します.
 今号の「表紙のことば」を担当されたのは taku さんです.ダイバーの taku さんが,ダイビングと英語史の共通点をアクロバティックに指摘されています.実は私もダイバーなのですが,「ダイビング×英語史」は考えたことがなかったので,今回 taku さんのことばを読んで目から鱗が落ちました.taku さんにお寄せいただいた表紙の写真はもちろん海面下の絶景.表紙デザインは,編集委員のお一人 Galois さんが手がけられました.
 続く本編は,この1ヶ月のあいだに主に note 上で公開されたヘルメイトさんたちの記事群の抜粋一覧です.6月10日に発売予定の拙著 #なぜさんたんげん こと『英語史で解く英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』(NHK出版新書)を応援してくださる記事も多く含まれており,感謝に堪えません.
 まず ari さんによる記事は,今月も圧倒的な質と量で,お馴染みの「ari 節」が安定的に炸裂しています.マカロンと増大辞をめぐる語源の話題から,『なぜさんたんげん』カウントダウン企画をマンガで応援する「英子さんたんげん」シリーズまで,縦横無尽のhel活振りです.
 Grace さんは「新・家庭の常備「薬」なぜさんたんげん」と題する記事のなかで,近刊についてすでにウェブ公開されている部分のみを手がかりに,著者が近刊にこめた意図を鋭い洞察で暴いてくれています.著者として早くも身ぐるみを剥がされてしまったと感じています.恐るべし Grace 節!
 今号の特筆すべき点として,kendama_player さんが note で初投稿を果たされたことが挙げられます.「ROAD TO 英語学・英語史」と題して,ご自身の英語史との出会いを振り返られています.新たな書き手の登場にコミュニティの広がりを感じ,嬉しい思いです.
 lacolaco さんの「英語語源辞典通読ノート」は D ゾーンを順調に走行中で,今回は dental から desert までの単語をカバーしています.lacolaco さんが切り開いた「辞書を通読する」という道は,後に他のヘルメイトも歩むことになり,最も堅実で強力なhel活コンテンツに成長しました.そのような同志の1人が,あまねちゃんです.今号から『英語語源辞典』を気軽に通読する新シリーズを立ち上げられ,abacus から abyss に至るまで4本の記事を連発されています.この辞典通読ムーブメントの連鎖には,驚きを禁じ得ません.
 mozhi gengo さんの寄稿の多さと視野の広さにも,相変わらず圧倒されます.インド英語の「クセ」に関する話題や,vacuum の <uu> という不思議な綴字の謎,さらには英領インド側から見たイギリスにとってのペルシャという歴史的な話題にまで筆が及んでいます.ペルシャ語の hastam が英語の I am に対応するという比較言語学的な指摘など,知的好奇心を大いに刺激されます.
 教育・普及の観点からは,sorami さんの中学生向け英語語源クイズが第8弾・第9弾へと到達し,ラテン語の紹介や数の接頭辞を取り上げています.またみーさんの「小学生と学ぶ英語史」シリーズは128回に到達し(実際には本日までに140回に届こうというところ),継続力にただただ脱帽するばかりです.
 佐久間さんは,日本歯科医史学会の特別講演のお知らせや,『語源で学ぶ医学英単語ハンドブック』を通じた医学英語教育の新たな地平についての議論により,医学の世界と言語研究の成果の交差点を探る希有なhel活を展開されています.
 ykagata さんは,毎日連続投稿100回を優に超える活躍振りで,「ドイツ語×英語史」の話題を中心としつつ,いまや最も幅広いテーマでhel活を展開するヘルメイトとなっています.「「プチプチ」のドイツ語」や「カルビーのパッケージ仕様変更についてのドイツ語圏での報道を読む」など,タイトルだけ見ても読まざるを得ない記事が並びます.番外編として「『紀元前からのこだわり?なぜ3単現の s をつけるのか』にこじつけて学ぶドイツ語」も投稿されています.
 umisio さんの記事群は,今号でも鋭い批評性とユーモアが同居しています.川上語録の深掘りシリーズ最終回,国語の教科書や大河ドラマをめぐる歴史の考察,さらには「「英語史で解く英文法の謎 なぜ[3単現のs]をつけるのか」というタイトルのなぜ」シリーズも開始されました.
 専門的な英語史の窓としては,川上さんによる「古英語の規範意識」および「重なる三単現 s」の2本の論考が,誌面に重厚な学術的深みを与えています.私自身も,新刊書の予約をめぐる御礼や,応援マガジンの始動について微力ながら記事を寄せさせていただきました.
 巻末は Grace さんによる「あゆみ」と,編集委員4名による第20号到達までの道のりを振り返っての「編集後記」で美しく締めくくられています.
 このように通算第20号は,記念の号にふさわしく,質量ともに過去最高水準の充実ぶりとなっています.有志の皆さんのエネルギーによって紡がれるこの知的空間を,ぜひ時間をかけてゆっくりと味わっていただければ幸いです.
 「読むだけでなく,自分もこのhel活の輪に加わってみたい」という方は,ぜひプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」の扉を叩いてみてください.ともに学び,ともに創る喜びが,そこには溢れています.

 ・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.

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2026-05-28 Thu

#6240. 『なぜさんたんげん』24の疑問・総選挙の結果発表 [voicy][heldio][notice][nazesantangen][nhkpb][helkatsu][ranking][sobokunagimon]


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 5月22日(金)よりスタートしていました,6月10日発売の新刊『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』の発売前大イベント「『なぜさんたんげん』24の疑問・総選挙」 (in Slido) ですが,5月26日(火)の 23:59 をもちまして,予定通りに投票を締め切りました.最終的な投票総数は96件にのぼりました.深夜のラストスパートにかけて票を投じてくださった皆さん,そしてSNS等でこのお祭りを一緒に盛り上げてくださったすべての方々に,著者として心より御礼申し上げます.ありがとうございました.
 一昨日お届けした中間報告の記事「#6238. 今晩投票締切 --- 『なぜさんたんげん』24の疑問・総選挙,現在大激戦中」 ([2026-05-26-1]) では,2位グループの凄まじいデッドヒートの様子をお伝えしましたが,その後,どのような結末を迎えたのでしょうか.お待たせいたしました.ここに最終結果の確定順位と得票率を,降順にてご報告いたします.皆さんの「推し疑問」がどこに着地したのか,ぜひお確かめください.



1位:問5. なぜ3単現の s をつけるのか (38%)
2位:問9. なぜ現在分詞と動名詞は同じ -ing で表されるのか (21%)
3位:問7. なぜ「時・条件を表す副詞節」では未来のことも現在形で表すのか (19%)
3位:問21. アルファベット最後の文字 Z のミステリー (19%)
5位:問20. どのように単語ごとのアクセントの位置が決まるのか (18%)
6位:問1. なぜ英語の語順は SVO なのか (16%)
6位:問3. なぜ存在を表すのに There is/are .... という構文を使うのか (16%)
6位:問4. なぜ疑問文に do が現れるのか (16%)
9位:問2. なぜ英語の文には主語が必要なのか (15%)
9位:問8. なぜ仮定法では if I WERE a bird となるのか (15%)
11位:問15. なぜIは大文字で書くのか (11%)
11位:問24. 単数の they とは何か (11%)
13位:問12. なぜ go の過去形は went になるのか (10%)
13位:問17. なぜ know や high には発音されない文字があるのか (10%)
15位:問6. なぜ will を使って未来を表すのか (8%)
15位:問14. なぜAの読みは「アー」ではなく「エイ」なのか (8%)
17位:問13. なぜ形容詞の比較級には -er と more があるのか (6%)
17位:問16. 「マジック e」とは何か (6%)
19位:問18. なぜ one, two はこのスペリングでこの発音なのか (5%)
19位:問22. なぜ英語には類義語が多いのか (5%)
19位:問23. なぜ英語には省略語が多いのか (5%)
22位:問19. なぜ eleven, twelve というのか (4%)
23位:問11. なぜ child の複数形は children になるのか (3%)
24位:問10. なぜ foot の複数形は feet になるのか (2%)




 いかがでしょうか.最終結果を眺めてみますと,中間発表からの数時間でさらなるドラマが生まれていたことが分かります.
 まず,栄えある第1位に輝いたのは「問5. 3単現の s」でした.得票率38%で,他を寄せ付けない圧倒的な強さで王座に君臨しました.まさに本書のタイトルにふさわしい,英語学習者にとって最大の謎であることが証明された形です.
 そして,最も注目すべきは2位以下の大激戦の結末です.中間報告で21%の同率2位に並んでいた三つ巴の争いから,頭一つ抜け出したのは「問9. -ing」でした.単独2位を死守したその背景には,文法上の役割が異なるのに形が同じであることへの,根深いモヤモヤ感があったのでしょうか.一方で,受験英語の定番「問7. 時・条件の副詞節」は,後半で怒涛の追い上げを見せた「問21. 文字 Z のミステリー」に捕らえられ,19%で同率3位という結果になりました.Z の謎がここまで上位に食い込んでくるとは,正直なところ著者としても予想していませんでした.文字・綴字史のロマンが皆さんに伝わったということなのかもしれません.
 対照的に,英語史の定番中の定番である「問12. went の謎」 (10%) や「問11. children の謎」 (3%),「問10. feet の謎」 (2%) といった不規則変化の面々は,最終的にも下位グループに沈むことになりました.これらは一見すると風変わりな不規則変化にすぎませんが,その向こう側には壮大な英語史のカラクリが潜んでいます.本書では,その奥深さが伝わるのではないかと期待しています.
 今回の総選挙で上位にランクインした話題については,本書の発売を待つことなく,今後の Voicy heldio にて「先出し深掘り解説」としてお届けしていく予定です.どの疑問の背後にどのようなダイナミックな歴史が隠されているのか,ぜひ楽しみにお待ちください.
 今回の総選挙を通じて,皆さんと一緒に英語史のビッグウェーブをさらに高く大きくできたことを,重ねて感謝いたします.6月10日の新書発売に向けて,ここからさらにお祭りムードを加速させていきます.
 特典(1節分の書き下ろし)もついてくる Amazon での予約注文にて本書をご予約いただければ.

 ・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.

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2026-05-20 Wed

#6232. 『英語語源辞典』を読みこなせるようになりたい方へ [voicy][heldio][inohota][kenkyusha][notice][link][kdee][hel_education][khelf][helwa][asakaru]


寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.



 昨日の記事「#6231. 研究社ロケ in 「いのほた言語学チャンネル」の第2弾と第3弾が公開されています」 ([2026-05-19-1]) でご案内した研究社ロケ回の第3弾では,『英語語源辞典』の読みこなしについても話題となりました.
 編集者の星野龍さん,中川京子さん,青木奈都美さんとのお話しのなかで,『英語語源辞典』(や OED の語源関係欄)は,情報がぎっしり詰め込まれており,専門的な記号や略称も多いので,一般読者は読みこなすのが難しい.一般の英語学習者が,同辞典の良さを本格的に味わおうと思えば,読み解き方の手ほどきが必要なほどだ.そのための講座やガイドブックがあるとよい,という趣旨のお話しも出ました.
 一般の方々にとって『英語語源辞典』を使いこなすのが容易ではないことは,同辞典を激推ししてきた私自身も気付いており,そのためにいくつかの活動もしてきました.1つは,動画内で私自身も触れている通り,Voicy チャンネル「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」のなかで,まさに『英語語源辞典』読み解き講座に近い配信回をしばしばお届けしてきました.英語史を専攻する大学院生などとともに,同辞典の読み方を解説したり,議論したりしています.以下に主だった回を一覧します.

 ・ 2023年10月23日 heldio にて「#875. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (1) --- 藤原くんと foot を語る」が配信され,藤原郁弥さんとの画期的なシリーズの幕開きとなる.ちなみに,この回は2023年の heldio 配信回のリスナー投票で第2位に入った.
 ・ 2023年10月26日 heldio にて「#878. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (2) --- 藤原くんと foot を語る」が配信される.
 ・ 2023年11月8日 heldio にて「#891. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (3) --- khelf 藤原くんと marble を語る第1弾」が配信される.ちなみに,この回は2023年の heldio 配信回のリスナー投票で第9位に入った.
 ・ 2023年11月11日 heldio にて「#894. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (4) --- khelf 藤原くんと marble を語る第2弾」が配信される.
 ・ 2023年11月14日 heldio にて「#897. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (5) --- khelf 藤原くんと marble を語る第3弾」が配信される.
 ・ 2023年12月15日 heldio にて「#928. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (6) --- khelf 藤原くんと2重語 compute/count を語る」が配信される.
 ・ 2024年1月31日 heldio にて「#975. 『英語語源辞典』の収録語彙」が公開される.
 ・ 2024年2月2日 heldio にて「#977. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (7) --- khelf 藤原くんと同音異義語 bank の項を精読する」が配信される.
 ・ 2024年2月3日 heldio にて「#978. 『英語語源辞典』の語義・初出年代 --- khelf 藤原くんと凡例を読もう」が配信される.凡例を熟読するという稀代な企画がスタート.
 ・ 2024年6月6日 heldio にて「#1101. 『英語語源辞典』凡例読みシリーズ with 藤原郁弥さん&青木輝さん」が配信される.
 ・ 2024年07月26日 heldio で「#1153. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (8) --- khelf 藤原くんと king の項を精読する」が公開される.
 ・ 2024年08月24日 heldio で「#1182. 【緊急のご報告】研究社『英語語源辞典』新装版が重版決定!」が公開される.
 ・ 2024年09月23日 heldio で「#1212. 『英語語源辞典』の「語源学解説」精読 --- 「英語史ライヴ2024」より」が公開される.
 ・ 2024年10月21日 heldio で「#1240. 『英語語源辞典』の「語源学解説」精読 (2) --- KDEE の編集方針を理解しよう」が公開される.
 ・ 2024年10月26日 heldio で「#1236. mine を『英語語源辞典』で読み解く」が公開される.
 ・ 2024年11月14日 heldio で「#1264. 『英語語源辞典』通読はキツい,無理!」が公開される.
 ・ 2024年11月16日 heldio で「#1266. chair と sit --- 『英語語源辞典』精読会 with lacolaco さんたち」が公開される.
 ・ 2024年12月26日 heldio で「#1306. 『英語語源辞典』の「語源学解説」精読 (3) --- 印欧語比較言語学の学史をたどる」が公開される.
 ・ 2025年04月25日 heldio で「#1426. 『英語語源辞典』をランダム読み --- khelf メンバーとの思いつき企画」が公開される.

 また,私は数年来朝日カルチャーセンター新宿教室にて定期的に英語史関連の講座を開いてきましたが,とりわけ2024年度の毎月の講座では,「語源辞典でたどる英語史」をシリーズタイトルとして掲げて,事実上の『英語語源辞典』読み解き講座を展開していました.現行の毎月講座でも,『英語語源辞典』は常に参照し,その一部を精読するということを続けています.今週土曜日に予定されている5月回でも,もちろん参照する予定です(先日の hellog 記事「#6228. 「again を探って中英語原文の世界へ」 --- 今年度の朝カル英語史シリーズ第2回」([2026-05-16-1]) をご参照ください).
 ほかには,上記 Voicy heldio から派生したプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」khelf(慶應英語史フォーラム)のメンバーによる,『英語語源辞典』をめぐる様々な活動も,『英語語源辞典』の読みこなしに貢献しています.とりわけ同辞典の通読に挑戦されているお2人 lacolaco さんによる note 上の「英語語源辞典通読ノート」寺澤志帆さんの連載企画「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」は要注目です.ari さんによる『英語語源辞典』で一人遊びするアプリ「#266【KQ2】ゴラクエを update して遊ぶ!!」も参照ください.
 上記のように,これまでにも仲間たちと私とで様々な活動を展開してきましたが,『英語語源辞典』を読みこなせるようになるための「体系的」な講座やガイドブックなどは,確かに存在しませんでした.どのくらいの需要があるのか,という問題はありますが,今回のいのほた動画で触れている通り,一考の余地はあるかもしれません.
 読者の皆さん,需要はありますか?

 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2026-05-17 Sun

#6229. 月刊誌『英語教育』の「いのほた連載」第3回 --- 英語史の3つの扉:ことばの考察に通時的な次元を復活させる [inohota][youtube][inohota_rensai][hel_education][hel][sociolinguistics][notice][inohotanaze][comparative_linguistics][philology][historical_linguistics][language_change][voicy][heldio]


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  *

 5月14日,大修館書店より月刊誌『英語教育』6月号が発売されました.今年度,同僚の井上逸兵さん(慶應義塾大学教授)とともに配信している YouTube 「いのほた言語学チャンネル」をベースとして,連載企画「いのほた言語学チャンネル PRESENTS 英語を深める社会言語学・英語史の視点」を始めています.
 連載第3回となる今回は,私がメイン執筆者として「英語史の3つの扉:ことばの考察に通時的な次元を復活させる」を書いています.前号の井上さんによる「社会言語学の3つの扉:人はことば「で」何をしているのか」への返答のような形になります.井上さんからの温かいコメントも最後に付いた文章です.
 今回の記事タイトルは,前号の井上さんの記事タイトルへのオマージュ(いや,パロディというべきでしょうか)として生まれたものです.井上さんがそう来るなら,私としては「英語史の3つの扉」しかない,と直感し,先にタイトルが決まりました.では,その3つとは何か.それは後から考え出すという,いかにも「いのほた」らしいライブ感のある記事執筆です.
 記事では,英語史への3つの入口として,「比較言語学」 (),「文献学」 (philology),「歴史言語学」 (historical_linguistics) を取り上げています.第1の扉「比較言語学」では,文献に残らない祖語の姿を「再建」 )という手法によって浮かび上がらせる営みを論じました.第2の扉「文献学」では,1文字・1語に宿る言語的・社会的文脈を丁寧に読み解くことの醍醐味を述べています.そして第3の扉「歴史言語学」では,言語変化 (language_change) のメカニズムを体系的に追う視点を紹介しました.3者はそれぞれ異なる分野でありながらも「社会と言語の接点」という点で通底しています.この締めくくりによって,社会言語学を専門とされる井上さんとのコラボ的なエッセイとして仕上げることができたかな,と感じています.
 なお,本連載は月々メイン執筆者を交代するスタイルをとっており,サブの側がコメントを数行添える形式をとっています.今回,井上さんからは「英語史ってロマンですねー」という言葉をいただきました.「いのほた言語学チャンネル」のゆるいライブ感を,誌面でも少しずつ体現できているとすれば,望外の喜びです.
 本連載記事と関連して,heldio でも先日「#1812. 英語史の3つの扉 --- 『英語教育』の「いのほた連載」第3弾より」としてお話ししました.あわせてお聴きください.

 ・ 井上 逸兵・堀田 隆一 「いのほた言語学チャンネル PRESENTS 英語を深める社会言語学・英語史の視点 第3回 英語史の3つの扉:ことばの考察に通時的な次元を復活させる」『英語教育』2026年6月号,大修館書店,2026年5月14日.44--45頁.

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2026-05-16 Sat

#6228. 「again を探って中英語原文の世界へ」 --- 今年度の朝カル英語史シリーズ第2回 [asacul][notice][kdee][hee][etymology][hel_education][helkatsu][heldio][me][oe][kochushoho][pchron][adverb][preposition][link][voicy]


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 1週間後の5月23日(土) 15:30--17:00 に,今年度の2回目となる朝日カルチャーセンター新宿教室でのオンライン講座が開かれます.昨年度より継続しているシリーズ「歴史上もっとも不思議な英単語」の通算第14弾ということで,今回は「again を探って中英語原文の世界へ」と題して,日常的な副詞 again とその双子の兄弟である前置詞 against に注目します.
 講座では,『英語語源辞典』や『英語語源ハンドブック』を参照しつつ,この単語の語源や意味・形態上の発達を追いかけ,副詞 again と前置詞 against とで棲み分けがなされるようになった背景に迫ります.本来は接頭辞にすぎなかった形態素が,独立した単語となっていくという興味深い歴史をもっているのです.関連して,古英語の前置詞全体についても概観する予定です.
 この単語の発音やスペリングの変化・変異にも注目します.異形が非常に多く,古英語や中英語の辞書ではどの形が見出し語に上がっているのかを予想するのが困難なほどです.
 また,この春期クールでは,2月25日に研究社より刊行された伝説的入門書,市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』(研究社,2026年)を参考テキストとして活用します.今回はこの入門書に収載されている初期中英語のテキスト Peterborough Chronicle より,again を含む,中世の拷問をおどろおどろしく描写する箇所を少々読んでみたいと思います.
 中英語の原文が初めてという方も心配は要りません.上記参考テキストについても,講座で読む部分については配付資料内で引用しますので,受講に必須ではありませんが,テキストには現代英語訳や辞書も付属していますので,あれば学びが深まると思います.
 講座の詳細とお申込みは,朝カルのこちらの公式ページをご覧ください.See you again!

(以下,後記:2026/05/18(Mon))
 今回の講座については Voicy heldio でも案内を放送しています.ぜひ「#1814. again を探って中英語原文の世界へ --- 5月23日(土)『古中初歩』による朝カルシリーズ第2回」をお聴きください.



 ・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.
 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

Referrer (Inside): [2026-05-20-1]

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2026-05-15 Fri

#6227. World Englishes の新書が登場 --- 寺澤盾(著)『世界の英語 --- 5大陸に広がる多様な Englishes』〈中公新書〉 [world_englishes][notice][heldio][review][nazesantangen]


『世界の英語 --- 5大陸に広がる多様な Englishes』



 「#6211. 寺澤盾先生が PIVOT TALK に出演して【世界の英語と日本人】をお話しされています」 ([2026-04-29-1]) で少し触れましたが,英語史界隈で待望の新書が上梓されました.英語史研究者の寺澤盾先生(青山学院大学教授,東京大学名誉教授)による『世界の英語 --- 5大陸に広がる多様な Englishes』〈中公新書〉です.3月25日に刊行されました.
 本書は,『英語の歴史:過去から未来への物語』(2008年),『英単語の世界 --- 多義語と意味変化から見る』(2016年)に次ぐ,寺澤先生の新書3部作の3冊目となります.
 本書の最大の特徴は,タイトルに「歴史」や「英語史」という言葉こそ冠していませんが,その実体はきわめて濃密な(特に近現代の)英語史の本である,という点にあります.17世紀以降の大英帝国の拡大とともに,英語がどのように世界へ拡散し,各地の土着の言語と接触しながら変容を遂げてきたのでしょうか.その動的なプロセスを「5大陸」という壮大なスケールで描き出したのが本書です.「世界英語」 (world_englishes) をめぐる議論の現在地を把握するための決定版といえます.
 寺澤先生は本書の中で,英語を単なる言語の枠組みに閉じ込めていません.むしろ,英語を軸とした優れた「社会科の本」になっているものと,私は読みました.世界各地の英語を論じることは,その地域の歴史,地理,政治,そして文化そのものを論じることにほかなりません.世界史的な大事件がどのように言語に刻印されているのか,あるいは地理的な条件がいかに変種間の差異を生み出してきたのか.本書を読み進めることは,英語というフィルターを通して,複雑な現代世界を読み解くようなものです.
 構成の妙も見逃せません.全編を通して,専門的な知見に基づきながらも,一般の読者が興味を持ち続けられるようなエピソードが随所に散りばめられています.写真,グラフ,表,地図などの図版も豊富で,コラムや「豆知識」コーナーも工夫が凝らされています.本文に続く付きものとしては,文献案内,世界英語対照年表,用語解説,人名・作品名・事項索引,語句索引などが丁寧に編集されています.学術的な厳密さを一切妥協することなく,それでいて新書というフォーマットにふさわしい,語りかけるような平易な文体や構成で作られていることに驚嘆せざるを得ません.
 本書は日本における英語のあり方についても鋭い示唆を与えてくれます.「世界の英語」を知ることは,私たちの多くが学んできた「標準英語」という概念がいかに限定的なものであるかを気づかせてくれます.多様な Englishes の存在を認めることは,英語学習において完璧主義に陥りがちな日本人英語学習者にとって,ある種の救いになるのではないでしょうか.多層的な歴史背景を持つ各国の英語の姿を鏡として,ひるがえって,日本人がいかに英語と向き合い,共生していくべきかという未来志向の問いが,本書の底流には流れています.
 私個人としても,本ブログでご案内している通り,来たる6月10日に初めての新書『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』を上梓します.寺澤先生が長年培ってこられた「英語史×新書」の熟練には遠く及びませんが,身が引き締まる次第です.寺澤先生の三部作を並べて読むことで,英語史という学問が持つ懐の深さと,現代社会におけるその意義を存分に味わうことができるはずです.英語に関わるすべての人に読んでもらいたい3冊です.
 新刊書『世界の英語』については,先日 Voicy heldio にて「#1805. 寺澤盾(著)『世界の英語 --- 5大陸に広がる多様な Englishes』〈中公新書〉」としても取り上げました.本記事よりも詳細にご紹介していますので,そちらも合わせてお聴きいただければと思います.



 ・ 寺澤 盾 『世界の英語 --- 5大陸に広がる多様な Englishes』 中央公論新社〈中公新書〉,2026年.

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2026-05-12 Tue

#6224. 祝!近刊『英語史で解く英文法の謎』Amazon 2部門で第1位 [heldio][notice][nazesantangen][nhkpb][ranking]

 やりました! 来たる6月10日に NHK出版新書より発売予定の拙著『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』が,Amazon の新着ランキング「英語」部門「新書」部門の2部門において,第1位を獲得しました.ランキングが刻一刻と変化するなかで,5月12日 00:20 に確認した状況です.

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 昨晩の heldio 「予約爆撃アワー」生配信でお伝えした数時間後に,この嬉しいニュースを確認することができました.予約段階からこれほど多くの方々に関心を持っていただき,著者としてこれほど心強く,ありがたいことはありません.応援してくださった皆様,本当にありがとうございます.
 昨晩の生配信でも熱く語りましたが,本書はNHK出版の担当の編集者さんと二人三脚で,英語史のおもしろさをいかに読者に届けるか,その思いを込めて作り上げた書籍です.昨日の生配信の様子は,近日中にアーカイブとして公開する予定ですので,制作秘話などに興味のある方はぜひそちらをお聴きください.
 発売日の6月10日まで,あと約30日あります.この1ヶ月間,待機している皆さんが待ちくたびれることのないよう,本ブログ,heldio, helwa, YouTube 等の様々な媒体を通じて,発売前のお祭りを盛り上げるべく本書に関する多様な仕掛けを繰り出していく予定です.
 まずは,昨晩,私の X アカウント @chariderryu より,発売前のカウントダウン企画を立ち上げました.本書に関連する有意義なつぶやきを,毎日1つ,お届けします.第1弾はこちらです.ぜひアカウントをフォローしていただければと思います.
 皆さんも,SNS や note 等の発信のアカウントをお持ちであれば,ぜひ本書に関連する話題に触れていただけますと幸いです.その際には,ぜひ公式の統一ハッシュタグ #なぜさんたんげん を添えていただけますと幸いです.本書をより多くの方に届けるための大きな推進力となりますので,よろしくお願いいたします.著者としてもできる限り反応していきたいと考えています.
 ちなみに,本記事を公開した 20:20 現在も,上記と同じ第1位をキープしています.また,新着ランキング「英語」部門の1つ上のカテゴリーである「新着,語学・辞事典・年鑑」部門では第4位,売れ筋ランキングの「英語」部門では第24位につけています.
 このたびの喜びと感謝につきましては,今朝の heldio 配信回「#1808. 多謝!『なぜさんたんげん』が【英語】部門と【新書】部門で第1位を獲得」でも爆発させましたので,ぜひお聴きください.
 「英語史をお茶の間に」広めるための私の挑戦は,今回の新刊によって新たなステージに入ります.皆様と一緒に,「3単現の s」という小さな窓から,数千年にわたる英語の壮大な歴史を覗き見る喜びを分かち合えればと願っています.

 ・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.

Referrer (Inside): [2026-05-18-1]

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2026-05-11 Mon

#6223. 本日夕方7時,heldio 生配信にて『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』の「予約爆撃アワー」をお届けします [voicy][heldio][notice][nazesantangen][sobokunagimon][heltube][youtube][twitter][nhkpb]



 1ヶ月後の2026年6月10日(水),NHK出版より拙著『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』が刊行されます.初の新書出版であり,編集担当の方と二人三脚で時間をかけて作り上げた思い入れの深い1冊となります.本書は,英語を学んでいる,あるいは教えているすべての方にお届けしたい本となっています.英語の素朴な疑問 (sobokunagimon) は英語史が解決してくれる,この認識を世の中の当たり前にしたい,そんな思いを込めて作った本です.
 発売まであと1ヶ月となった本日5月11日(月)の午後7時より,Voicy チャンネル「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」にて生配信をお届けします.題して「【ライヴ】近刊『英語史で解く 英文法の謎』予約爆撃アワー」です.この生配信中に,リスナーの皆さんに Amazon より一斉に予約注文していただくことで,本書の注目度,そして英語史という分野の認知度を一気に高めようというお祭り企画です.Amazon 予約注文された方には特典もつきます.この特典についても,今晩,じっくりとお話しいたします.
 19:00の生配信開始直後は,通信環境の確認を兼ねて数分間の雑談からスタートします.19:30くらいまでには,私のほうから新書の案内や予約注文の呼びかけなど,今回の企画の骨子をお話しする予定です.そして,生配信の目玉は19:30頃からのゲスト対談です.本書のもととなった連載記事の頃より編集を担当してくださったNHK出版の田中菜乃香さんにご登壇いただく予定です.田中さんには,連載記事や今回の新書の編集にまつわる逸話,編集者の立場から見た連載と新書の違い,さらには本書のタイトルの決定経緯や,著者である私への「今だから言えること」など,時間の許す限りたっぷりとお話を伺いたいと考えています.30分では収まりきらない予感もしていますが・・・
 今晩の「予約爆撃アワー」企画については,昨晩公開した heltube (私のhel活 YouTube チャンネル)での動画,および今朝の heldio の配信回でも熱烈に広報を行なっています.ぜひそちらもチェックして,今晩のお祭りの気分を高めていただければ幸いです.

 ・ 昨晩公開した heltube 動画:「2026年5月11日(月)19:00より heldio 生配信で近刊の「予約爆撃アワー」を実施します」
 ・ 今朝公開した heldio 音声配信:「#1807. 今晩7時生配信,近刊書の「予約爆撃アワー」」

 とりわけ前者の heltube 動画では,私が現在滞在中のスコットランド,アバディーンの様子も見ていただけます.町の南側を流れるディー川の河口付近,地元で Fittie と呼ばれる港の周辺を毎日ジョギングするのが日課となっています.北海に注ぐこの川の河口では,野生のイルカに遭遇することもあり,自然の豊かさを肌で感じながら過ごしています.その様子もご覧になりつつ,今晩7時の heldio 生配信への準備を整えていただければと思います.
 「英語史をお茶の間に」を実現すべく,皆様の熱い「爆撃」をお待ちしています.今晩のライヴでは,ぜひコメント・質問等を投げ込んでいただけますと幸いです.今晩7時,heldio でお会いしましょう!
 なお,今後の本書の広報に際して,ハッシュタグは #なぜさんたんげんの平仮名8文字で統一いたします.本書の応援,何卒よろしくお願いいたします.

 ・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.

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2026-05-09 Sat

#6221. 医学専門家と『医学英単語ハンドブック』(研究社,2026年)について対談しました [heldio][helwa][review][notice][kenkyusha][etymology][vocabulary][latin][greek][lexicology][scientific_english][word_formation][combining_form][etymology][grimms_law]


野中 泉(編著)・森田 勝之(編著)・木下 晃吉(監修) 『語源で学ぶ 医学英単語ハンドブック』 研究社,2026年.



 上掲書については,hellog でも「#6209. 4月23日,研究社から英語語源本が2冊 --- 『コンパスローズ英単語〈新装版〉』と『医学英単語ハンドブック』」 ([2026-04-27-1]) で紹介しました.そこで少し触れていたように,その後,この本をめぐって,医学専門家で heldio/helwa のコアリスナーの「無職さん」こと,佐久間泰司さんと対談する機会を得ました.そちらの音源を heldio 対談として公開していますので,「#1800. 『医学英単語ハンドブック』(研究社,2026年)を片手に「無職さん」と対談」をお聴きください(53分ほどの対談です).



 対談では,専門家である無職さんの視点から,本書の画期的な特徴について多角的に語っていただきました.まず驚かされたのは,従来の医学ラテン語の教本は,格変化などの文法事項から入るものが多く,専門外の学生にはきわめてハードルが高かったという実態です.それに対して本書は,語源 (etymology) と連結形 (combining_form) に特化しており,理系人間にとって非常に馴染みやすく,とっつきやすい構成になっているとのことです.
 医学用語の世界では,解剖学用語はラテン語,疾患名はギリシア語が主流であるという興味深い住み分けについても議論が及びました.無職さんによれば,解剖学用語は国際的にラテン語で統一されている一方,ルネサンス期以降に発達した疾患名などにはギリシア語由来の語彙が流入したという背景があるようです.私のような英語史研究者の視点からは,これらが近代英語期以降の科学語彙の爆発的な増加とどのように関わっているのかという点が最大の関心事となりますが,従来の医学の現場では,これらを単なる記号として「丸暗記」してきたという実情も浮き彫りになりました.
 本書の魅力の一つとして,ギリシア神話に絡めたコラムの充実が挙げられます .例えば眠りの神 Hypnoshypnosis(催眠)の関係など,神話という人間臭い物語から説き起こされる語源解説は,私のような文系人間にとっても読み物としておもしろいものです.無職さんも,こうしたコラムがあることで本を開く心理的障壁が下がり,学習の継続につながると太鼓判を押してくれました.
 一方で,専門家の立場からの要望として,発音記号やアクセント表示の有無,あるいは dent-tooth のような一般語と専門語の結びつきを説明してくれる「グリムの法則」 (grimms_law) の解説があればさらに有意義だったのではないか,といった贅沢なツッコミも飛び出しました.しかし,全体としては,無数の医学用語を要素の足し算で効率よく学べる,これまでにない体系的なハンドブックに仕上がっているという評価で一致しました.
 医学英語はもちろん,科学英語 (scientific_english) や語形成 (word_formation) に興味のある方はもちろん,英語史の観点から語彙の国際性を考えてみたい方にとっても,本書は示唆に富む一冊です.医学関係者ならずとも,ぜひ手に取って,その重厚な語源の世界に触れてみてください.
 また,佐久間さんご自身による関連する note 記事「『語源で学ぶ医学英単語ハンドブック』に見る,医学英語教育の新たな地平」も公開されています.そちらもぜひお読みください.

 ・ 野中 泉(編著)・森田 勝之(編著)・木下 晃吉(監修) 『語源で学ぶ 医学英単語ハンドブック』 研究社,2026年.

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2026-05-07 Thu

#6219. 5月11日(月)夕刻,新書『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』(NHK出版新書)の「予約爆撃アワー」を実施します [notice][nazesantangen][sobokunagimon][3sp][heldio][nhkpb]

 本日は重要なお知らせがあります.先日 Voicy heldio で「#1793. 新書が出ます!5月11日(月)の夕刻に予約爆撃アワー」としてお伝えしましたが,このたび初めて新書を上梓することになりました.

 ・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.

 発売日は1ヶ月少々先の6月10日(水)です.GWが終わり,今週末が明けて5月11日(月)辺りが,ちょうど発売の1ヶ月前となりますので,そのタイミングで近刊書に関する様々な情報開示を始めていきたいと考えています.
 まずは,5月11日の夕刻に,Voicy heldio の生配信で「予約爆撃アワー」企画を打ち上げます.生配信をお聴きになりながら,ぜひそのタイミングで Amazon より本書を予約注文していただき,注目度を高めるのにご協力いただけますと幸いです.生配信では,本書についてももろもろご紹介したいと思います.
 すでに Amazon の予約受付は始まっていますが,ぜひ5月11日の夕刻の「お祭り」の時間までお待ちください.なお,Amazon から予約いただいた方は,発売後にある「特典」を受け取ることができます.そちらもご期待ください.

 近刊書のベースとなっているのは,2021--2022年度のNHKテキスト『中高生の基礎英語 in English』において毎月掲載されていた連載「歴史で謎解き 英語のソボクな疑問」です.その原稿に大幅な加筆・修正を施し,このたび新書化しました.英語を学び直している社会人の方から,日頃英語教育に携わっている先生方,英語史という分野に初めて触れるという方まで,幅広く読んでいただける1冊に仕上がりました.「英語に関する素朴な疑問」に英語史の観点から答えるスタンダード編というべき本となっています.
 タイトルにも掲げた「3単現の s」 (3sp) は,英語学習者が最初期に出会う英文法の謎の代表格ですね.なぜ主語が3人称・単数で,文の時制が現在のときにだけ,わざわざ -s をつけなければならないのか.なぜ他の人称などでは,つける必要がないのか.こうした素朴な疑問に対して,英語史の視点から光を当てることで,一見不条理に見える英文法のルールがいかにして形成されてきたのかを解説していきます.本書には,3単現の -s 以外にも,英語史的な知見から英文法の謎をスッキリ解決するトピックを凝縮して詰め込んでいます.

 近刊書に関連する話題は,今後,hellog, heldio, YouTube, X などのメディアでたっぷりお届けしていく予定です.その皮切りとなるのが,5月11日(月)夕刻の「予約爆撃アワー」企画となります.ぜひスケジュールを空けて生配信をお待ちいただければ幸いです.また,当日の聴き逃しのないよう,この機会にぜひ「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」をフォローしていただけますと幸いです.本書の出版をきっかけに,皆さんと一緒にますます英語史を盛り上げていければと思います.

 ・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.

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2026-05-05 Tue

#6217. みーさんの「小学生と学ぶ英語史」シリーズが100回を突破しています [helkatsu][hel_education][hee][note][notice][voicy][heldio][helwa]


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 heldio/helwa のコアリスナーであるみーさんが,note 上で展開されている連載「小学生と学ぶ英語史」が,先日4月21日に記念すべき第100回に到達しました.1月12日の連載開始以来,一日も欠かすことなく毎日更新を続けての100回達成です.この偉業に,心よりお祝い申し上げます.
 このシリーズは『英語語源ハンドブック』の項目をベースとしながら,みーさんご自身が教えられている英語教室での経験を活かし,小学生にもわかるように丁寧に,かつ優しくかみ砕いて解説されているものです.タイトルには「小学生と学ぶ」とありますが,その内容は決して小学生向けに限定されるわけではありません.各記事には語源に関する確かな知識に加え,学習上の助けとなる周辺知識やエピソードが豊富に盛り込まれており,中高生や大学生,さらには学び直しを志す大人の学習者にとっても,非常に示唆に富む内容となっています .
 みーさんの記事の魅力は,何といっても語り口の柔らかさにあります.『英語語源ハンドブック』の記述をそのまま提示するのではなく,目の前にいる子供たちがどこで躓き,どこで目を輝かせるのかを熟知した教育実践者としての視点が貫かれています.たとえば,lady の語源が「パンをこねる女性」であるという話から,聖母マリアにちなむ ladybug 「てんとう虫」の話題へと繋げ,子供たちの好奇心を刺激する手法などは,まさにその真骨頂と言えるでしょう .
 また,みーさんは,hel活をしている helwa の仲間たちがアルファベット順に語源をたどる試みにインスピレーションを受け,ご自身も a, b, c ... と一巡し,また a に戻るという独自のルーティンを確立されました.このように志を同じくする仲間たちが互いに刺激し合い,学びを深めていく姿は,まさに「英語史をお茶の間に」を体現するものだと思います.
 このたび,100回突破を祝して heldio にてみーさんとの対談を収録しました.4月28日(火)の朝に配信した「#1794. 祝・みーさん「小学生と学ぶ英語史」100回記念対談」です.連載を始めたきっかけから,日々の継続のコツ,そして教室での子供たちの生の反応まで,たっぷりとお話しを伺っています.



 さらに,同日の夕方に,プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」でも,対談の続編を「【英語史の輪 #0438】みーさんとお祝い対談(今朝の続き)」と題して配信しています.こちらでは,よりリラックスした雰囲気で,継続の仕組みや仲間との交流について深掘りしています.ご関心のある方は,あわせてお聴きください.
 英語史という分野は,一見すると難解に思われがちですが,みーさんのように橋渡しをされる方がいれば,小学生であっても「印欧祖語」 (indo-european) などの用語も自然に使いこなすようになるのです.こうした英語史の草の根の活動が,英語教育の現場に新しい風を吹き込むことを期待してやみません.読者の皆様も,ぜひみーさんの note を訪れ,フォローしたり温かいコメントを寄せていただければと思います

 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

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