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hellog〜英語史ブログ / 2024-01

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2024-01-31 Wed

#5392. 中英語の姓と職業名 [name_project][me][onomastics][personal_name][occupational_term][etymology][oe][morphology][lexicology][word_formation][agentive_suffix][by-name]

 「名前プロジェクト」 (name_project) との関連で,中英語期の人名 (personal_name),とりわけ現代の姓 (last name) に相当する "by-name" あるいは "family name" に関心を抱いている.古英語や中英語にみられる by-name の起源は,Clark (567) によれば4種類ある(ただし,古中英語に限らず,おおよそ普遍的な分類だと想像される).

 (a) familial ones, viz. those defining an individual by parentage, marriage or other tie of kinship
 (b) honorific and occupational ones (categories that in practice overlap)
 (c) locative ones, viz. those referring to present or former domicile
 (d) characteristic ones, often called 'nicknames'

 このうち (b) は名誉職名・職業名ととらえられるが,中英語におけるこれらの普通名詞としての使用,そして by-name として転用された事例に注目している.中英語の職業名は多々あるが,Clark (570--71) を参照しつつ,語源的・形態論的に分類すると以下のようになるだろうか.

 1. フランス語(あるいはラテン語?)からの借用語 (French loanword)
   barber, butcher, carpenter, cordwainer/cordiner, draper, farrier, mason, mercer, tailor; fourbisseur, pestour
 2. 本来語 (native word)
   A. 単一語 (simplex)
     cok, herde, smith, webbe, wrighte
   B. 複素語 (complex),すなわち派生語や複合語
     a. 動詞ベース
       bruere/breuster, heuere, hoppere/hoppestre; bokebynder, bowestrengere, cappmaker, lanternemaker, lymbrenner, medmowere, rentgaderer, sylkthrowster, waterladestre
     b. 名詞ベース
       bureller, glovere, glasier, madrer, nailere, ropere, skinnere; burelman, candelwif, horseknave, maderman, plougrom, sylkewymman; couherde, swynherde, madermongere, stocfisshmongere, ripreve, bulleward, wodeward, wheelewrighte

 古中英語の人名をめぐる話題については,以下の hellog 記事でも取り上げてきたので要参照.

 ・ 「#590. last name はいつから義務的になったか」 ([2010-12-08-1])
 ・ 「#2365. ノルマン征服後の英語人名の姓の採用」 ([2015-10-18-1])
 ・ 「#5231. 古英語の人名には家系を表わす姓 (family name) はなかったけれど」 ([2023-08-23-1])
 ・ 「#5297. 古英語人名学の用語体系」 ([2023-10-28-1])
 ・ 「#5338. 中英語期に人名にもたらされた2つの新機軸とその時期」 ([2023-12-08-1])
 ・ 「#5346. 中英語期に英語人名へ姓が導入された背景」 ([2023-12-16-1])
 ・ 「#5299. 中英語人名学の用語体系」 ([2023-10-30-1])

 ・ Clark, Cecily. "Onomastics." The Cambridge History of the English Language. Vol. 2. Ed. Olga Fischer. Cambridge: CUP, 1992. 542--606.

Referrer (Inside): [2024-03-09-1]

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2024-01-30 Tue

#5391. 「いのほたチャンネル」リニューアル初回は「グリムの法則」 [grimms_law][inohota][notice][comparative_linguistics][indo-european][germanic][sound_change]

 「#5388. YouTube 「いのほたチャンネル」で200回記念として初めてのライヴ配信を行ないました」 ([2024-01-27-1]) で紹介したように,記念すべき200回をライヴ配信でお届けしました.その後,300回に向けての新たな一歩として,一昨日の18時に第201回を配信しました.オープニングやエンディングを含め,いろいろとリニューアルしています(←すべて井上逸兵さんにお任せ)ので,ぜひご覧ください.
 言語学の古典・基本シリーズのつもりで,堀田がグリムの法則 (grimms_law) で有名なドイツの比較言語学者 Jacob Grimm (1785--1863) を紹介しています.「リニューアルしました!言語学者グリム兄弟の偉業とは?ーなぜ童話を収集?」です(14分ほどの動画).



 「グリムの法則」の入門というよりもグリム(兄弟)の入門という内容でしたが,今後は法則自体にも注目していきたいと思います.この hellog でも,すでに grimms_law の各記事で取り上げていますので,予習や復習に役立てていただければ.
 グリムの法則は,比較言語学的にも謎の多い音変化です.現代の比較言語学者 Ringe (93--94) の評を挙げておきましょう.

It remains unclear whether Grimm's Law was, in any sense, a unitary natural sound change, or a series of changes that need not have occurred together. It is true that no sound change can be shown to have occurred between any of the components of Grimm's Law; but since Grimm's Law was among the earliest Germanic sound changes, and since the other early changes that involved single non-laryngeal obstruents affected only the place of articulation and rounding of dorsals, that could be an accident. In any case, Grimm's Law is most naturally presented as a sequence of changes that counterfed each other.


 ・ Ringe, Don. From Proto-Indo-European to Proto-Germanic. Oxford: Clarendon, 2006.

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2024-01-29 Mon

#5390. 印欧語における word, root, stem, theme, ending [morphology][indo-european][germanic][comparative_linguistics][reconstruction][terminology][inflection][oe]

 どの学問分野でもよくあることだが,印欧語比較言語学においても専門家にしか通じない類いの術語は多い.標題に掲げた形態論上の用語がその典型だろう.関連する話題は「#700. 語,形態素,接辞,語根,語幹,複合語,基体」 ([2011-03-28-1]) で取り上げたが,そこで挙げたもの以上に特化した学術用語という感がある.
 それぞれ word 「語」, root 「語根」, stem 「語幹」, theme 「語幹形成素」, ending 「語尾」と訳せるが,訳が与えられただけで理解が深まるわけでもない.これらは印欧祖語における以下の形態論的分析が前提となっている.

                  ┌─ ROOT
       ┌─ STEM ─┤
       │          └─ THEME
WORD ─┤
       │
       └─────── ENDING



 ROOT は語彙的意味を担う部分である.THEME はもとは何らかの文法的機能を担っていた可能性があるが,すでに印欧祖語の段階において,意味を担わない純粋な語幹形成要素として機能していた.直後の屈折語尾を形成する ENDING への「つなぎ」と考えておけばよい.ROOT + THEME が STEM となり,それに ENDING が付加されて,具体的な WORD の語形となる.
 例えば「馬」を意味するラテン語の単数主格形 equusequ (ROOT) + u (THEME) + s (ENDING) と分析され,同じくギリシア語の hipposhipp (ROOT) + o (THEME) + s (ENDING) と分析される.
 古英語以降の比較的新しい段階にあっては,印欧祖語における上記の形態的区分はすでに透明性を欠き,ROOT, THEME, ENDING が互いに融合してしまっていることも多い.したがって,上記の前提は厳密にいえば共時的な分析には不向きだ.しかし,通時的・歴史的には有意味であるし,比較言語学の分野における慣習的な前提となっているために,古英語文法の文脈でも(ほとんど説明がなされないままに)前提とされていることが多い.
 なお,THEME には母音幹と子音幹があり,ゲルマン祖語や古英語の名詞論において,前者は「強変化名詞」,後者は「弱変化名詞」と通称される.THEME を欠く "athematic" なる語類も存在するので注意を要する.
 以上,Lass (123--26) を参照して執筆した.

 ・ Lass, Roger. Old English: A Historical Linguistic Companion. Cambridge: CUP, 1994.

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2024-01-28 Sun

#5389. 語用論的な if you like 「こう言ってよければ」の発展 (2) [pragmatics][discourse_marker][lmode][construction_grammar][politeness][comment_clause][syntax][constructionalisation][corpus][speed_of_change]

 先日 Voicy heldio にて「#961. 評言節 if you like 「そう呼びたければ」と題して,口語の頻出フレーズ if you like の話題をお届けした.



 実は私自身も忘れていたのだが,この問題については hellog で「#4593. 語用論的な if you like 「こう言ってよければ」の発展」 ([2021-11-23-1]) として取り上げていた.その過去の記事でも参照・引用した Brinton の論文を改めて読み直し,if you like および類義表現について興味深い歴史的事実を知ったので,ここに記しておきたい.
 Brinton は挿入的に用いられる if you choose/like/prefer/want/wish の類いを "if-ellipitical clauses" (= "if-ECs") と名付けている (273) .意味論・語用論の観点から,2種類の if-ECs が区別される.1つめは省略されている目的語が前後のテキストから統語的に補えるタイプである ("elliptical form") .2つめは目的語を前後のテキストから補うことはできず,もっぱらメタ言語的な挿入説として用いられるタイプである ("metalinguistic parenthetical") .各タイプについて,Brinton (281) が歴史コーパスから拾った例を1つずつ挙げてみよう.

 1. I said no, they are copper, but if you choose, you shall have them (1763 John Routh, Violent Theft; OBP)
 2. I ought to occupy the foreground of the picture; that being the hero of the piece, or (if you choose) the criminal at the bar, my body should be had into court. (1822 De Quincy, Confessions of an English Opium Eater; CLMETEV)

 いずれも choose という動詞を用いた例である.前者は if you choose to have them のようにテキストに基づいて目的語を補うことができるが,後者はそのようには補えない.あくまでメタ言語的に if you choose to say so ほどが含意されている用法だ.
 歴史的には,前者のタイプの用例が,動詞を取り替えつつ18--19世紀に初出している.そして,おもしろいことに,後者のタイプの用例がその後数十年から100年ほど遅れて初出している.全体としては,類義の動詞が束になって,ゆっくりと似たような用法の拡張を遂げていることになる.Brinton (282) の "Dating of if-ECs" と題する表を掲げよう.近代英語期の様々なコーパスを用いた初出年調査の結果である.

 Earliest elliptical formEarliest metalinguistic parenthetical
if you choose17631822
if you like17231823
if you wish18191902/PDE
if you prefer18481900
if you want1677/18241934



 さらにおもしろいのは,メタ言語的な用法の初例を誇る if you choose は,現在までに人気を失っていることだ.一方,最も新しい if you want もメタ言語的な用法としての頻度は目立たない.安定感のあるのはその他の3種,like, wish, prefer 辺りのである.類義の動詞が束になって当該表現と用法を発展させてきたとしても,後の安定感に差が出たのはなぜなのだろうか.とても興味深い.

 ・ Brinton, Laurel J. "If you choose/like/prefer/want/wish: The Origin of Metalinguistic and Politeness Functions." Late Modern English Syntax. Ed. Marianne Hundt. Cambridge: CUP, 2014.

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2024-01-27 Sat

#5388. YouTube 「いのほたチャンネル」で200回記念として初めてのライヴ配信を行ないました [youtube][inohota][notice]

 1月24日(水)の19:00より,同僚の井上逸兵先生と運営しているYouTube 「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」で初のライヴ配信を試みました.200回記念としての挑戦企画でした.当日は無事にライヴ配信できたようで一安心.多くの方々に生で視聴していただき,多くのコメントもチャットを通じて寄せていただき,ありがとうございました.目下,アーカイヴ配信として視聴できますので,観ていない方はぜひどうぞ.「#200. 井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネルライブ配信」(64分ほどの配信です).



 200回記念の飲み会回ということで,英語学・言語学の話題は時折挟み込まれる程度で,実質的には雑談となっていますが,今後「いのほたチャンネル」(←公式の略称と決定しました)を続けていくにあたり様々な示唆を得ました.とりわけ寄せていただいたコメントからはおおいに刺激を受けました.チャットはまさにライヴ感満載という感じで楽しかったですね.「200回おめでとうございます」「家族でみています」「楽しそう」などのコメントをいただきましたが,2人は本当に楽しかったですヨ.また時折ライヴでお届けできればと.
 「いのほたチャンネル」は毎週(水)(日)の午後6時に配信しています.水曜日はゲストをお招きしての飲み会回「言語学バル」,日曜日は井上・堀田の2人による選りすぐりの英語学・言語学の話題をお届けしています.
 このチャンネルにゲスト出演してしてもよいという言語学界隈の方,ぜひお声がけください!

Referrer (Inside): [2024-07-19-1] [2024-01-30-1]

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2024-01-26 Fri

#5387. methinks のたどった変化は文法化でもあるし語彙化でもある [lexicalisation][grammaticalisation][methinks][semantic_change][subjectivication][intersubjectivication]

 この2日間の記事で,興味深い振る舞いを示す methinks の話題を取り上げてきた(「#5385. methinks にまつわる妙な語形をいくつか紹介」 ([2024-01-24-1]) および「#5386. 英語史上きわめて破格な3単過の -s」 ([2024-01-25-1])).
 Wischer は,この周辺的な表現の歴史を調査し,それが経てきた変化は文法化 (grammaticalisation) の側面をもつとともに,語彙化 (lexicalisation) の側面ももつ変化であると論じた.例えば,methinks に(間)主観的意味の発生や命題的意味の消失という点では文法化の事例と考えられるし,一方で義務性の欠如という点ではむしろ語彙的な性質を示しており,語彙化の1例とも考えられ得る.Wischer (365) より,論文の結論部を引用する.

   Methinks passed through a syntactic lexicalization process which was not accompanied by an addition of a specific semantic component, but rather by an opposite semantic change: Impersonal think has no longer a meaning of its own. It cannot combine with other persons any more (*himthinks, *us thought ...). So, methinks has lost its original propositional meaning denoting an act of cognition and has acquired an exclusively speaker-oriented, or interpersonal, meaning. This change can be regarded as an increase in subjectivity. Thus it operates as a marker of evidentiality, and as such it has become a member of a relatively closed class. Although we can notice an increase in frequency in Early Modern English, methinks never becomes obligatory, but always stands in free variation with expressions like I think, it seems to me, obviously etc. Grammatical elements of this kind are less constrained and therefore situated at the periphery of grammar.
   And this must also be the reason for the relatively shortlasting existence of methinks. Linguistic elements, once they are grammaticalized, normally have a rather stable position in the language, whereas lexical units are less constrained, more flexible and pass out of existence more easily.


 文法化と語彙化という2つの過程は,必ずしも相反するものではない.それぞれに重なり合うところもあれば,異なるところもある,そのような関係だということになる.methinks の遂げた変化は複雑であり,1つの過程に落とし込んで説明するのは難しい.

 ・ Wischer, Ilse. "Grammaticalization versus Lexicalization: 'Methinks' there is some confusion." Pathways of Change: Grammaticalization in English. Ed. Olga Fischer, Anette Rosenbach, and Dieter Stein. Amsterdam: John Benjamins, 2000. 355--70.

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2024-01-25 Thu

#5386. 英語史上きわめて破格な3単過の -s [3ps][impersonal_verb][verb][inflection][agreement][analogy][shakespeare][link][methinks]

 昨日の記事「#5385. methinks にまつわる妙な語形をいくつか紹介」 ([2024-01-24-1]) の後半で少し触れましたが,近代英語期の半ばに methoughts なる珍妙な形態が現われることがあります.直説法・3人称・単数・過去,つまり「3単過の -s」という破格の語形です.生起頻度は詳しく調べていませんが,OED によると,Shakespeare からの例を初出として17世紀から18世紀半ばにかけて用例が文証されるようです.英語史上きわめて破格であり,希少価値の高い形態といえます(英語史研究者は興奮します).
 OEDmethinks, v. の異形態欄にて γ 系列の形態として掲げられている5つの例文を引用します.

a1616 Me thoughts that I had broken from the Tower. (W. Shakespeare, Richard III (1623) i. iv. 9)
1620 The draught of a Landskip on a piece of paper, me thoughts masterly done. (H. Wotton, Letter in Reliquiæ Wottonianæ (1651) 413)
1673 I had..coyned several new English Words, which were onely such French Words as methoughts had a fine Tone wieh them. (F. Kirkman, Unlucky Citizen 181)
1711 Methoughts I was transported into a Country that was filled with Prodigies. (J. Addison, Spectator No. 63. ¶3)
1751 The inward Satisfaction which I felt, had spread in my Eyes I know not what of melting and passionate, which methoughts I had never before observed. (translation of Female Foundling vol. I. 30)


 methoughts の生起頻度を詳しく調べていく必要がありますが,いくつかの例が文証されている以上,単なるエラーで済ませるわけにはいきません.この形態の背景にあるのは,間違いなく3単現の形態で頻度の高い methinks でしょう.methinks からの類推 (analogy) により,過去形にも -s 語尾が付されたと考えられます.逆にいえば,このように類推した話者は,現在形 methinks の -s を3単現の -s として認識していなかったかとも想像されます.他の動詞でも3単過の -s の事例があり得るのか否か,疑問が次から次へと湧き出てきます.
 実はこの methoughts という珍妙な過去形の存在について最初に教えていただいたのは,同僚のシェイクスピア研究者である井出新先生(慶應義塾大学文学部英米文学専攻)でした.その経緯は,先日の YouTube チャンネル「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」にて簡単にお話ししました.「#195. 井出新さん『シェイクスピア,それが問題だ! --- シェイクスピアを楽しみ尽くすための百問百答』(大修館書店)のご紹介」をご覧ください.



 関連して,井出先生とご近著について,以下の hellog および heldio でもご紹介していますので,ぜひご訪問ください.

 ・ hellog 「#5357. 井出新先生との対談 --- 新著『シェイクスピア それが問題だ!』(大修館,2023年)をめぐって」 ([2023-12-27-1])
 ・ heldio 「#934. 『シェイクスピア,それが問題だ!』(大修館,2023年) --- 著者の井出新先生との対談」

 英語史にはおもしろい問題がゴロゴロ転がっています.

 ・ Wischer, Ilse. "Grammaticalization versus Lexicalization: 'Methinks' there is some confusion." Pathways of Change: Grammaticalization in English. Ed. Olga Fischer, Anette Rosenbach, and Dieter Stein. Amsterdam: John Benjamins, 2000. 355--70.

Referrer (Inside): [2024-09-17-1] [2024-01-26-1]

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2024-01-24 Wed

#5385. methinks にまつわる妙な語形をいくつか紹介 [3ps][impersonal_verb][verb][syntax][inflection][hc][agreement][analogy][shakespeare][methinks]

 非人称動詞 (impersonal_verb) の methinks については「#4308. 現代に残る非人称動詞 methinks」 ([2021-02-11-1]),「#204. 非人称構文」 ([2009-11-17-1]) などで触れてきた.非人称構文 (impersonal construction) では人称主語が現われないが,文法上その文で用いられている非人称動詞はあたかも3人称単数主語の存在を前提としているかのような屈折語尾をとる.つまり,大多数の用例にみられるように,直説法単数であれば,-s (古くは -eth) をとるということになる.
 ところが,用例を眺めていると,-s などの子音語尾を取らないものが散見される.Wischer (362) が,Helsinki Corpus から拾った中英語の興味深い例文をいくつか示しているので,それを少々改変して提示しよう.

(10) þe þincheð þat he ne mihte his sinne forlete.
       'It seems to you that he might not relinquish his sin.'
       (MX/1 Ir Hom Trin 12, 73)

(11) Thy wombe is waxen grete, thynke me.
       'Your womb has grown big. You seem to be pregnant.'
       (M4 XX Myst York 119)
     
(12) My lord me thynketh / my lady here hath saide to you trouthe and gyuen yow good counseyl [...]
       (M4 Ni Fict Reynard 54)
     
(13) I se on the firmament, Me thynk, the seven starnes.
       (M4 XX Myst Town 25)


 子音語尾を伴っている普通の例が (10) と (12),伴っていない例外的なものが (11) と (13) である.(11) では論理上の主語に相当する与格代名詞 me が後置されており,それと語尾の欠如が関係しているかとも疑われたが,(13) では Me が前置されているので,そういうことでもなさそうだ.OEDmethinks, v. からも子音語尾を伴わない用例が少なからず確認され,単純なエラーではないらしい.
 では語尾欠如にはどのような背景があるのだろうか.1つには,人称構文の I think (当然ながら文法的 -s 語尾などはつかない)との間で混同が起こった可能性がある.もう1つヒントとなるのは,当該の動詞が,この動詞を含む節の外部にある名詞句に一致していると解釈できる例が現われることだ.OED で引用されている次の例文では,methink'st thou art . . . . というきわめて興味深い事例が確認される.

a1616 Meethink'st thou art a generall offence, and euery man shold beate thee. (W. Shakespeare, All's Well that ends Well (1623) ii. iii. 251)


 さらに,動詞の過去形は3単「現」語尾をとるはずがないので,この動詞の形態は事実上 methought に限定されそうだが,実際には現在形からの類推 (analogy) に基づく形態とおぼしき methoughts も,OED によるとやはり Shakespeare などに現われている.
 どうも methinks は,動詞としてはきわめて周辺的なところに位置づけられる変わり者のようだ.中途半端な語彙化というべきか,むしろ行き過ぎた語彙化というべきか,分類するのも難しい.

 ・ Wischer, Ilse. "Grammaticalization versus Lexicalization: 'Methinks' there is some confusion." Pathways of Change: Grammaticalization in English. Ed. Olga Fischer, Anette Rosenbach, and Dieter Stein. Amsterdam: John Benjamins, 2000. 355--70.

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2024-01-23 Tue

#5384. 言語学史の名著の目次 [toc][history_of_linguistics][review]


ミルカ・イヴィッチ 著,早田 輝洋・井上 史雄 訳 『言語学の流れ』 みすず書房,1974年.



 「#5371. 言語学史のハンドブックの目次」 ([2024-01-10-1]) の記事で,現代の言語学史のハンドブックを1冊紹介した.言語学史の本も数あれど,私が名著だと思って何度も読み返しているのは,上記のイヴィッチ著『言語学の流れ』である.原著はセルボクロアチア語による Pravci u lingvistici (19563年)だが,これが1965年に Trends in Linguistics (Mouton) として英訳され,その英訳版に基づいて1974年に邦訳されたのが上掲の本である.
 英米や西欧のみならずスラヴ系の言語学の伝統をも視野に入れた広い言語学史となっており,現代の多くの読み手には独特な雰囲気が感じられるかもしれないが,むしろ全体としては偏りの少ないすぐれた言語学史である.英米や西欧に慣れ親しんだ日本において,もっと読まれてよい言語学史の著作ではないかと思っている.以下に目次を掲げておきたい.



【 18世紀の終りまでの言語研究 】

  1. 概論
  2. 古代ギリシャの言語研究
  3. インドの文法学派
  4. ローマ帝国時代から文芸復興期の終りまで
  5. 文芸復興期から18世紀の終りまで

【 19世紀の言語研究 】

  6. 概論
  7. 初期の比較言語学者の時期
  8. アウグスト・シュライヒャーの生物学的自然主義
  9. 言語学におけるフンボルト主義(世界観理論)
  10. 言語学における心理主義
  11. 若手文法学派
  12. 「独立派」の代表者フーゴ・シュハルト

【 20世紀の言語研究 】

  13. 概論
    13.1 20世紀の学問の基本特徴
    13.2 言語学発展の動向
  14. 非構造主義言語学
    14.1 言語地理学
        方法の基礎 近代方言学
    14.2 フランス言語学派
        心理生理学的・心理学的・社会学的言語研究 文体論的研究
    14.3 言語学における美的観念論
        概論 フォスラーの学派 新言語学
    14.4 進歩的スラヴ学派
        カザン学派 フォルトゥナートフ(モスクワ)学派 ベーリチの言語間
    14.5 マール主義
    14.6 実験音声学
  15. 構造主義言語学
    15.1 発展の基本的傾向
    15.2 フェルディナン・ドゥ・ソシュール
    15.3 ジュネーヴ学派
    15.4 音韻論の時代
        先駆者 トルベツコイの音韻論の原理 プラーグ言語学サークル ロマーン・ヤーコブソンの二項論 音韻変化の構造主義的解釈
    15.5 アメリカ言語学の諸学派
        先駆者:ボアズ,サピア,ブルームフィールド 分布主義の時代 人類学的言語学 心理言語学
    15.6 コペンハーゲン学派
        学派の基礎づけ---ヴィッゴ・ブレナル イェルムスレウの言語学
  16. 言語学における論理記号主義
    16.1 論理演算学
    16.2 記号学
    16.3 言語学的意味論
  17. 構文論と生成的手法
  18. 数理言語学
    18.1 概論
    18.2 計量(統計)言語学
    18.3 情報理論
    18.4 機械翻訳




 私自身が言語観を形成する上で,おおいに影響を受けた一冊である.

 ・ ミルカ・イヴィッチ 著,早田 輝洋・井上 史雄 訳 『言語学の流れ』 みすず書房,1974年.

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2024-01-22 Mon

#5383. 5種類の語彙化 [lexicalisation][grammaticalisation][terminology]

 この2日間の記事で文法化 (grammaticalisation) の特徴に注目してきた.しばしば,それと対比して語彙化 (lexicalisation) という現象や用語が話題とされる.確かに,言語学の常識では文法と語彙は異なる2つの部門であり,互いに異なる規則が働いていることが前提とされてきたので,文法化に対して語彙化が論じられるのは自然なのかもしれない.
 しかし,よく比較対照してみると,文法化と語彙化とは必ずしも互いに反対向きの過程ではないということがわかる.確かに対立する側面もあるが,むしろ似ている側面もあるということが分かってきたのだ.
 大雑把にいえば,語彙化とは,さほど語彙的でなかったものが語彙的な性質を帯びてくる過程といってよいが,中を覗いてみると,なかなか複雑なようである.Bauer (50--61) が語彙化の5つのパターンについて論じてりう.それを手際よく要約した Wischer (358) より,関連する1節を引用したい.

   As several mechanisms are involved in the process of lexicalization, not necessarily proceeding simultaneously, Bauer (1983: 50--61) distinguishes between different "types of lexicalization":
1. Changes of stress patterns and/or phonetic reductions are features of "phonological lexicalization" (cf. famous [ˈfeɪməs] -- infamous [ˈinfəməs]).
2. Linking elements and/or non-productive roots or affixes are features of "morphological lexicalization" (cf. eat -- edible).
3. Lack of semantic compositionality is a feature of "semantic lexicalization" (cf. understand).
4. Non-productive syntactic patterns and/or unusual functions of syntactic patterns are features of "syntactic lexicalization" (cf. pickpocket).
5. Many examples are "mixed lexicalizations", which can lead to a complete demotivation, so that the results have to be treated as simplex lexemes (cf. husband).


 ある言語項が語彙的になるとは,要するに言語体系のなかで自立した1単語となるということである.文法規則に縛られず,独自の振る舞いをする単位として許されるようになることである.言語界における自立と独立の問題 --- きわめておもしろい話題ではないか.

 ・ Wischer, Ilse. "Grammaticalization versus Lexicalization: 'Methinks' there is some confusion." Pathways of Change: Grammaticalization in English. Ed. Olga Fischer, Anette Rosenbach, and Dieter Stein. Amsterdam: John Benjamins, 2000. 355--70.
 ・ Bauer, Laurie. English Word-Formation. Cambridge: CUP, 1983.

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2024-01-21 Sun

#5382. 文法化のもう1つの道筋 [grammaticalisation][language_change][unidirectionality][bleaching][subjectification]

 昨日の記事「#5381. 文法化の道筋と文法化の程度を図るパラメータ」 ([2024-01-20-1]) で,Wischer を参照して文法化の道筋と,それと関連するパラメータを紹介した.もともと文法化 (grammaticalisation) という場合には,昨日示した統語的単位から形態的単位への変化過程がその基本的なパターンとして認識されてきた.つまり,あくまで命題内部での文法的変化としてとらえられてきたのである.
 しかし,命題よりスコープの広いテキスト (text) や談話 (discourse) というレベルに関わる,もう1つのタイプの文法化があることがわかってきた.Wischer (356) は Traugott を参照して一方向性 (unidirectionality) を含意する次の経路を示している.

proposition → text → discourse


 この談話化ともいうべきタイプの文法化は,昨日示したタイプの文法化とは多くの点で異なっている.実際,昨日挙げたパラメータは,今回のタイプにはあまり当てはまらない.(1) attrition については,確かに音形の縮小や意味の漂白化(とりわけ主観化)が生じやすいとはいえる.しかし,(2) paradigmaticization はまったくあてはまらない.(3) obligatorification については,文法化された項の頻度は高まるものの,文法規則のような義務化は起こらない.(4) condensation に関してはスコープは狭まるのではなく,むしろ拡がるし,(5) coalescence も生じない.(6) fixation については,生起する統語的位置には傾向が見られるが,必ずしも厳密に固定されるわけではない.
 文法化の議論では,このように2つのタイプが論じられてきたものの,それぞれが独自の特徴をもっているため,区別して理解しておくべきだろう.

 ・ Wischer, Ilse. "Grammaticalization versus Lexicalization: 'Methinks' there is some confusion." Pathways of Change: Grammaticalization in English. Ed. Olga Fischer, Anette Rosenbach, and Dieter Stein. Amsterdam: John Benjamins, 2000. 355--70.
 ・ Traugott, E. C. "From Propositional to Textual and Expressive Meanings: Some Semantic-Pragmatic Aspects of Grammaticalization." Perspectives on Historical Linguistics. Ed. W. P. Lehmann and Y. Malkiel. Amsterdam: Benjamins, 1982. 245--71.

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2024-01-20 Sat

#5381. 文法化の道筋と文法化の程度を図るパラメータ [grammaticalisation][language_change][syntax][morphology][phonology][unidirectionality]

 言語変化のメカニズムとして研究が深まってきている文法化 (grammaticalisation) については「#417. 文法化とは?」 ([2010-06-18-1]) をはじめ多くの記事で取り上げてきた.今回は,多くの先行研究を参照した Wischer 論文の冒頭部分を参考に,文法化の典型的な道筋と文法化の程度を図るパラメータを紹介する.
 まず Wischer (356) は Givón (1979: 209) を参照しつつ,文法化の1つの典型的な経路として以下のパターンを導入する.

discourse → syntax → morphology → morphophonemics → zero


文法化の理論では,ここの矢印に示される言語変化の一方向性 (unidirectionality) がしばしば問題となる.
 続けて Wischer (356) は,Lehmann (1985: 307--08) を参照しつつ,文法化の程度を図るパラメータを示す.

1. "attrition": the gradual loss of semantic and phonological substance;
2. "paradigmaticization": the increasing integration of a syntactic element into a morphological paradigm;
3. "obligatorification": the choice of the linguistic item becomes rule-governed;
4. "condensation": the shrinking of scope;
5. "coalescence": once a syntactic unit has become morphological, it gains in bondedness and may even fuse with the constituent it governs;
6. "fixation": the item loses its syntagmatic variability and becomes a slot filler.


 要約していえば,文法化とは,拘束されない統語的単位が高度に制限された文法的形態素へ変容していく過程ととらえることができる.

 ・ Wischer, Ilse. "Grammaticalization versus Lexicalization: 'Methinks' there is some confusion." Pathways of Change: Grammaticalization in English. Ed. Olga Fischer, Anette Rosenbach, and Dieter Stein. Amsterdam: John Benjamins, 2000. 355--70.
 ・ Givón, Talmy. On Understanding Grammar. New York: Academic P, 1979.
 ・ Lehmann, Chr. "Grammaticalisation: Synchronic Variation and Diachronic Change." Lingua e stile 20 (1985): 303--18.

Referrer (Inside): [2024-01-21-1]

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2024-01-19 Fri

#5380. 類推は言語が変化しないことをも説明できる [analogy][language_change][plural][voicy][heldio]

 Fertig (76) は "Analogical non-change" と題する節のなかで,英語の規則的な複数形を作る -s を題材にして,類推作用 (analogy) の役割について独特な視点から論じている.

. . . stasis over time can be just as interesting a historical phenomenon as change (Janda and Joseph 2003: 83, 86). Although accounts of analogy rarely call attention to the fact, there are a number of examples in the literature where the mechanisms of morphological change are invoked to account for an absence of overt change, i.e. for the survival of an element, construction or distinction. Saussure (1995 [1916]: 236--7) reminds us that analogy2 is just as much responsible for the lack of change in the inflection of most forms that have always belonged to dominant, regular classes as it is for change in other, primarily irregular items. English speakers, for example, form the plural of dozens of nouns such as stone, eel, oath, comb, stool, etc. essentially the same way they were formed in Old English, not because each of these plurals has been transmitted perfectly across all the generations, but rather primarily because analogy2 yields exactly the same results as if the forms had been transmitted perfectly. These nouns all belong to the dominant class that formed their plurals with -as in Old English so even if English speakers never memorize any of them and always rely on analogy2 to recreate them, they continue to come up with the same forms that were used in the past.


 Fertig は,言語の変化のみならず言語の無変化の背景にも関心を寄せる論者である.「#4228. 歴史言語学は「なぜ変化したか」だけでなく「なぜ変化しなかったか」をも問う」 ([2020-11-23-1]) でも,Fertig からの重要な指摘を引用している.言語の無変化にも意義があるという議論については「#2115. 言語維持と言語変化への抵抗」 ([2015-02-10-1]),「#2208. 英語の動詞に未来形の屈折がないのはなぜか?」 ([2015-05-14-1]),「#2220. 中英語の中部・北部方言で語頭摩擦音有声化が起こらなかった理由」 ([2015-05-26-1]),「#2574. 「常に変異があり,常に変化が起こっている」」 ([2016-05-14-1]) も参照されたい.
 今年の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の主題は言語変化 (language) だが,同様に言語無変化も取り上げていきたい.新年の2回の配信回もぜひお聴きください.

 ・ 「#945. なぜ言語は変化するのか?」 (2024/01/01)
 ・ 「#947. なぜ言語は変化しないのか?」 (2024/01/03)

 ・ Fertig, David. Analogy and Morphological Change. Edinburgh: Edinburgh UP, 2013.

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2024-01-18 Thu

#5379. blend は形態理論や韻律理論にとっても有意義な現象である [blend][morphology][frequency][word_formation][prosody][analogy]

 近年,英語語彙に blend (混成語)が激増している事実については,すでに hellog でも繰り返し取り上げてきた.

 ・ 「#631. blending の拡大」 ([2011-01-18-1])
 ・ 「#876. 現代英語におけるかばん語の生産性は本当に高いか?」 ([2011-09-20-1])
 ・ 「#4369. Brexit --- 現代の病理と遊びの語形成」 ([2021-04-13-1])

 一見すると blend は人目を引く言葉遊びにすぎず,形態論上あくまで周辺的な現象にとどまると思われるかもしれない.しかし,近年の英語語形成におけるその生産性の高さは,従来の見方を変えつつある.例えば,Fertig (70) は,混成という語形成が理論的な意義をもつことを次のように力説している.

   Blends are often treated as a marginal phenomenon (Haspelmath and Sims 2010:40). Aronoff discusses them under the heading 'oddities' and considers them 'words which have no recognizable internal structure or constituents'; they are 'opaque, and hence uncommon' (1976: 20). Recent developments suggest that Aronoff may have had the relationship between opacity and frequency backwards here. Blends may have been rather opaque in 1976 precisely because they were still relatively uncommon. Today, at least in English, blends (of certain types) can hardly be called uncommon, and we generally seem to have little trouble parsing and processing them. As we will see in §7.3.8, this issue of the relationship between the frequency of a morphological pattern and its transparency/opacity has implications for some fundamental theoretical issues of great relevance to morphological change.
   To the extent that some types of blending have become productive and predictable morphological operations in present-day English, it is no longer accurate to classify them as non-proportional. They amount to a kind of compounding with the two elements overlapping in accordance with well defined constraints. Within Paul's proportional theory, they could thus be handled by an extension of the (syntagmatic) proportional equations that he proposes for syntax (see §6.2 below). Blending as a type of word formation would fit even more easily into certain other theories of morphology. Insights and analytical tools from Prosodic Morphology (McCarthy and Prince 1995) have made it clear that (most) blends absolutely do have 'recognizable internal structure'. They are a type of non-concatenative morphology. Instead of combining two words into a linear string as in compounding, blends superimpose one word onto the prosodic structure of another (Piñeros 1998, 2004).


 従来,混成語は形態論的には内部構造が不透明とみなされてきた.しかし,それは混成による語形成の生産性がまだ低かったために十分に解明されておらず,「不透明」とのレッテルを貼られてきただけなのではないか.混成語が横溢している現在,使用者もすっかり慣れ,むしろ透明性が高くなってきたといえるのではないか.そして,遅ればせながら,形態理論や音韻理論による解明のメスが入り始めたのではないか,とそのような議論である.
 韻律形態論 (Prosodic Morphology) という分野が提唱されているようであり,さらに「#3722. 混成語は右側主要部の音節数と一致する」 ([2019-07-06-1]) でみた通り,混成語に特徴的な韻律上の制限も確かにあるようだ.今後の混成語言語学の展開に期待したい.

 ・ Fertig, David. Analogy and Morphological Change. Edinburgh: Edinburgh UP, 2013.

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2024-01-17 Wed

#5378. 歴史的に正しい民間語源? [folk_etymology][spelling_pronunciation][etymological_respelling][analogy][hypercorrection]

 一般に「民間語源」 (folk_etymology) は勘違いの語源解釈とみなされている.歴史的に真実の語源(しばしば「学者語源」といわれる)とは異なる誤った語源説として言及されることが多い.
 しかし,古今東西,言語には民間語源の事例は多く,むしろ言語変化の重要な原動力の1つであると積極的に評価することもできる.このポジティヴな見方については「#2174. 民間語源と意味変化」 ([2015-04-10-1]) や「#5180. 「学者語源」と「民間語源」あらため「探究語源」と「解釈語源」 --- プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) の最新回より」 ([2023-07-03-1]) などで取り上げてきた.
 Fertig による類推 (analogy) に関する本を読んでいて,民間語源が関与した結果,歴史的に正しい形に戻る事案,つまり「歴史的に正しい民間語源」の例があることを知った.関連する箇所を引用する.

The fact that we say churchyard rather than *churchard, which would show the normal phonetic reduction of the second, more weakly stressed element of the compound (as in orchard), and the widespread pronunciation of forehead as /fɔrhɛd/ rather than reduced /fɔrɪd/ can be ascribed to speakers analyzing these compounds just as they do in cases of folk etymology, the only difference being that here their analysis is historically accurate.


 いったんこの民間語源の捉え方を知ってしまうと,コトバの見え方がガラッと変わる.forehead に代表される綴字発音 (spelling_pronunciation) には「歴史的に正しい民間語源」の例が多そうだが,すると昨今 often を [ˈɔ:fn] ではなく [ˈɔ:ftən] と発音したり,assume を[əˈʃu:m] ではなく [əˈsju:m] と発音するようになってきているのも,正しい民間語源の例だったのか,と気づくに至る.
 さらに考えを進めていくと,もともとラテン語由来の単語だ(ろう)からという知識に基づき,doute に <b> を挿入して doubt などと綴りだした語源的綴字 (etymological_respelling) の現象も,結果的には歴史的に正しい語源形に近づいていったという点で「歴史的に正しい民間語源」の仲間とも言えそうだ.ただし,ここには意図性の有無という基準も関わってきそうであり,どのような点で仲間といえるのかは問題となるかもしれない.
 Fertig は "hypercorrective folk etymology" 「修正しすぎの民間語源」 (60--61) と表現しているが,この現象,いなこの見方は新鮮で興味深い.

 ・ Fertig, David. Analogy and Morphological Change. Edinburgh: Edinburgh UP, 2013.

Referrer (Inside): [2024-08-20-1]

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2024-01-16 Tue

#5377. YouTube で「近代言語学の祖」と称される Sir William Jones を紹介しました [youtube][notice][jones][indo-european][history_of_linguistics][link][comparative_linguistics][biography]

 昨年大晦日に井上・堀田の YouTube (いのほたチャンネル)で公開した「#193. インド・ヨーロッパ祖語という着想のどこがすごいのか?! --- 近代言語学の祖と言われる Sir William Jones はどのような人物?」がよく視聴されています.本ブログでもご紹介しましょう.



 Jones は,「比較言語学」 (comparative_linguistics) という近代的で科学的な言語学の扉を開いた人物として言語学史上に名を残しています.しかし,動画の中でも述べている通り,私が考える Jones の最大の功績は,共通の祖語(後の比較言語学で「印欧祖語」と呼ばれることになる言語)が今や失われているだろうと看破し喝破した点にあります.ヘブライ語やギリシア語など,ユダヤ・キリスト教と関わりの深い宗教的威信のある既存の言語のいずれでもなく,もう失われてしまった言語なのだろうと予言した慧眼に敬服します.
 この事情については,上記 YouTube のほか hellog や Voicy heldio でも取り上げてきましたので,合わせて参照していただければ

 ・ hellog 「#282. Sir William Jones,三点の鋭い指摘」 ([2010-02-03-1])
 ・ hellog 「#658. William Jones 以前の語族観」 ([2011-02-14-1])
 ・ hellog 「#1272. William Jones 以前の語族観 (2)」 ([2012-10-20-1])
 ・ hellog 「#3705. Sir William Jones」 ([2019-06-19-1])

 ・ heldio 「#352. Sir William Jones --- 語学の天才にして近代言語学・比較言語学の祖」(2022年5月18日配信)

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2024-01-15 Mon

#5376. Middle-earth は2重の勘違いを経た「民間語源」(解釈語源) [etymology][folk_etymology][literature][medievalism][rpg][notice][old_norse][mythology][oe]

 「#5356. 岡本広毅先生の NewsPicks のトピックス「RPGで知る西洋の歴史」」 ([2023-12-26-1]) で紹介した岡本広毅先生(立命館大学)による「RPGで知る西洋の歴史」では,次々と新しい記事が公開されてきています.昨晩公開された最新回は「RPGは「ロマンティック」?---知られざるロマンス史を紐解く①」です.roman, romance, romantic などの語源が解説されています.
 1回前の記事「『ファイナル・ファンタジー』と北欧神話---RPGを彩る伝承の物語」もおもしろいです.


「『ファイナル・ファンタジー』と北欧神話---RPGを彩る伝承の物語」



 この記事では J. R. R. Tolkien の作品に登場する妖精たちの世界 Middle-earth (中つ国)について,関連する「ミッドガル」とともに言及がなされています.

「ミッドガル」は『FFVII』に登場する科学文明の栄えた都市で,世界のエネルギー市場を支配する「神羅カンパニー」という大企業の本拠地でした.薄暗いネオン街や高層ビル,魔晄炉と呼ばれる発電施設など,近未来風の佇まいからは太古の神話世界とのつながりを想像することは容易ではありません.ただ,「ミッドガル」とは明らかに古い北欧語「ミズガルズ」("Miðgarðr") から取られたもので,これは北欧神話における人間の住まう領域を指します(巨人ユミルのまつ毛で作られた「囲い」).ミッドガルに渦巻く欲望や策略は「人間」の本性の一面と関わりますし,都市の荒廃や破壊,再生といったストーリー展開なども神話と重なり合います.なお,J.R.R.トールキン『ホビット』や『指輪物語』の舞台「ミドル・アース」("Middle-earth"「中つ国」)はミズガルズの現代英語版です.北欧とイングランドの人々の民族的ルーツは共通の祖先(ゲルマン人)へと遡るため,北欧神話は英語話者の故郷の物語でもあるのです.


 Middle-earth の由来をさらに詳しく調べてみると,どうやら古ノルド語 miðgarðr とは妙なねじれの関係にあるようです.後者は,古英語期より2回ほど民間語源 (folk_etymology) による変形を受けて,今の形にたどりついているのです.
 古英語には「世界」を意味する middangeard という語がありました.現代風に示すと "mid(dle)" + "yard" という語形成で,原義は「中庭」ほどです.これは古ノルド語 miðgarðr の語形成とも一致します.
 ところが,すでに古英語期より middangeard の第2要素が geard 「庭」ではなく,音形の似た eard 「故郷,祖国」と取り違えられ,形態上の混乱が起こりました(第1の民間語源).さらに中英語期になると,今度はこの eard がやはりよく似た音形の erthe (> earth) 「地,世界」と取り違えられました(第2の民間語源).ちなみに歴史的に第2要素として用いられてきた上記の3つの語は,互いに語源的には無関係です.
 Middle-earth の民間語源による2回のひねりに関しては,Fertig (60) が触れています.

The compound middle earth (re-popularized but by no means invented by Tolkien) can be traced back to early Middle English middelærde and OE middangeard and midanærd. Comparison with related words in other older Germanic languages, such as Old Saxon middilgard, Old High German mittilagart and Old Norse miðgarðr suggests that the second element originally corresponded to the Modern English word yard. We then see two successive folk-etymological identifications of this element, first with the Old English word eard '(native) land, home', then later with earth.


 なお,「民間語源」という用語とその呼称をめぐっては「#5180. 「学者語源」と「民間語源」あらため「探究語源」と「解釈語源」 --- プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) の最新回より」 ([2023-07-03-1]) を参照していただければ.

 ・ Fertig, David. Analogy and Morphological Change. Edinburgh: Edinburgh UP, 2013.

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2024-01-14 Sun

#5375. 榎木薗鉄也先生とインド英語について対談しました [voicy][heldio][notice][world_englishes][we_nyumon][indian_english]

 年末の12月29日,『World Englishes 入門』を紹介する Voicy heldio のシリーズ企画の一環として,インド英語をご専門とする榎木薗先生(元中京大学)との対談回として「#942. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 榎木薗鉄也先生とのインドの英語をめぐる対談」を配信しました.
 その後,榎木薗鉄也先生とは肩の凝らないアフタートークも収録しまして,このたび「#954. インド英語を語る --- 榎木薗鉄也先生との対談」として公開しました.30分超の対談回ですが,お聴きになるとますますインド英語が身近になり,インド英語に関心を抱くのではないかと思います.



 榎木薗先生は40年の研究歴をもつ筋金入りのインド英語通で,昨年には『インド英語のリスニング〈新装版〉』(研究社)も出版されています.
 グローバルサウスの盟主としてのインドの国際的な存在感は高まっており,インドの人々の話す英語もまた国際的な認知度が上がっています.日本では英米変種のブランドとしての地位が確立しており,インド英語はあくまで二流という位置づけで捉えられてきた経緯がありますが,21世紀が進むにつれ,従来のそのような捉え方は変わってくるかもしれません.今後インド英語とその地位の変化については,英語史的にも目が離せません.ぜひ「英語」ではなく「世界英語」 (world_englishes) という広い枠組みで,英語(変種)を眺めてみてください.皆さんの英語世界,さらに言語世界が,ぐんと拡がるはずです.


大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.



 ・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.

Referrer (Inside): [2024-05-19-1]

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2024-01-13 Sat

#5374. 類推および関連する過程を例示する英文 --- Fertig の冒頭より [analogy][backformation][folk_etymology][morphology][language_change][voicy][heldio]


 一昨日の heldio で「#955. 妙な英文で味わうアナロジー(および関連する過程)」を配信した.本ブログでも同じ話題をカバーしておきたい.
 「#4229. Fertig による analogy の定義」 ([2020-11-24-1]) や「#5336. Fertig による analogy の本格的研究書の目次」 ([2023-12-06-1]) で紹介した Fertig の analogy に関する研究書の冒頭は,次のような英文の例示で飾られる.

A book about analogy and morphological change? That is so not what I was expecting. I never imaginated there'd ever be such a book. I guess I had another thing coming. Who'd of thunk it?


 この英文には類推 (analogy) およびそれと関連する言語革新の過程を示す事例が4つ(あるいは5つ)含まれている.すべてが類推の事例,あるいは類推に似ている事例である.それぞれを解説する1節も引用しておきたい.

The short paragraph above contains at least four recognizable examples of some of the different kinds of innovations that we will be exploring in this book. That is so not . . . is an example of analogical change in syntax. Until recently, the intensifier so could only be used directly before an adjective or adverb. Now some speakers regularly use it in other syntactic contexts, such as before the negative particle not. This change can be attributed to the analogy of other intensifiers such as really . . . . The next sentence contains the verb imaginate, which sounds very odd to many English speakers today but has been around since 1541. It means the same thing as the much more common and older verb imagine and may have been created by backformation from the noun imagination, on the analogical model of pairs like speculation--speculate, dedication--dedicate, etc. The fourth sentence contains an altered version of the familiar expression to have another think coming, meaning 'to be seriously mistaken about something'. For at least a century, English speakers/learners have sometimes mistaken the word think in this expression for thing. This kind of change is called folk etymology. It occurs when speakers identify one element in an expression with a different, often historically unrelated element. The word of (for 've) in the final sentence of the paragraph could also be considered folk etymology. Finally, thunk is obviously an innovative past-participle form corresponding to standard thought. It is based on analogical models such as sink--sank--sunk or stick--stuck.


 ここから太字表記のものも含めいくつかキーワードと拾うと,innovations, analogical change, backformation, analogical model, folk_etymology などが挙がってくる.Fertig の本では,これらの用語や概念が丁寧に議論されていく.言語における類推(作用)の研究の必読書である.


Fertig, David. ''Analogy and Morphological Change.'' Edinburgh: Edinburgh UP, 2013.



 ・ Fertig, David. Analogy and Morphological Change. Edinburgh: Edinburgh UP, 2013.

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2024-01-12 Fri

#5373. Voicy heldio を通じて「hel活」仲間が増えてきました [voicy][heldio][helwa][hel_education][khelf][language_change][link][helkatsu]

 毎朝6時にお届けしている Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の2024年の大テーマは「言語変化」 (language_change) です.この「hellog~英語史ブログ」でも長きにわたって注目してきたトピックですが,音声メディア heldio も用いて,より広く「なぜコトバは変化するのか」という魅力的な話題をお届けしていきたいと思います.よろしくお願いいたします.
 heldio チャンネルは2021年6月2日に開設し,2年7ヶ月ほどの間,毎朝英語史に関するお話しをお届けしてきました.heldio 開設2周年に当たる2023年6月2日には,有料版となるプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」もオープンしました(こちらは毎週火木土の午後6時に配信しています).
 私はブログや Voicy 等のメディアを通じて「英語史をお茶の間に」広げていくことをモットーとしていますが,「hel活」(英語史活動)を推進してゆく「助っ人」にも囲まれるようになりました.感謝に堪えません.そのhel活助っ人のごく一部にすぎませんが,以下にご紹介します.

 ・ khelf(慶應英語史フォーラム)のメンバー:「hel活」の最大の応援団体です.『英語史新聞』を季刊で刊行しています.HP での広報のほか,X(旧ツイッター)アカウント @khelf_keio からも日々元気にhel活中.
 ・ heldio/helwa のリスナーの皆さん:日々の配信回へのコメント,SNS を通じての広報,企画回や生放送への参加,その他のhel活でお世話になっています.とりわけ最近注目すべきSNS上での活動としては:
   - リスナーの umisio さんによる「2024年「英語史の輪#77」英語語源辞典を読む.ノート完成.」,および「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む(34)のノートを取ったどー」
   - リスナーの kitako さんによる「heldio瓦版2024年1号」
   - 同じく kitako さんによるインスタグラムでの日々の heldio 配信回の紹介
   が目を見張ります
 ・ heldio/helwa 対談出演者の研究者や学生の皆さんにもお世話になっています.特に出演回数の多い方々の一覧は,いずれ整理したいと思っています.当面は以下のお二方が独自にまとめられているものをどうぞ.
   - 菊地翔太先生(専修大学)の HP
   - 矢冨弘先生(熊本学園大学)の HP
 ・ そしてもちろん本ブログを毎日お読みいただいている皆さんにも感謝いたします.私の公式 X アカウント @chariderryu からも情報を発信していますので,ぜひフォローをお願い致します.

 皆さんのhel活支援に感謝いたします.引き続き「英語史をお茶の間に」の応援をよろしくお願いします.今回と同趣旨の記事として「#5256. heldio/hel活応援リンク集」 ([2023-09-17-1]) もご覧いただければ.

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2024-01-11 Thu

#5372. 「標準語」は近代ヨーロッパの発明品である [standardisation][sociolinguistics][prestige][history_of_linguistics][vernacular][renaissance][romanticism][gengo_no_hyojunka]

 昨日の記事「#5371. 言語学史のハンドブックの目次」 ([2024-01-10-1]) で紹介した The Oxford Handbook of the History of Linguistics の第15章 "Vernaculars and the Idea of a Standard Language" を開いてみた.私の研究テーマの1つに(主に近代における)英語の標準化 (standardisation) があり,本ブログでも様々に論じてきたが,言語の標準化や標準語について,こちらのハンドブックではどのような扱いがなされているかを確かめたかった.
 冒頭の1段落だけですでにおもしろい.「標準語」という概念は近代ヨーロッパの発明品であり,現代ヨーロッパでは常に注目され続けてきた論題であるという.

   The greatest and most important phenomenon of the evolution of language in historic times has been the springing up of the great national common languages---Greek, French, English, German, etc.---the 'standard' languages.

So wrote Otto Jespersen . . . , and the idea of a standard language has undoubtedly been one of the most seductive in the history of European linguistic thought. It has resulted in some of the most heated of debates on language matters, drawing in both academic and non-academic actors, and ranging from the learned Questione della Lingua in Italy around the turn of the sixteenth century . . . to nineteenth-century debates on how best to standardise a newly independent Norwegian . . . , to the ongoing and often passionate discussions in homes and in bars throughout the modern world about 'right' and 'wrong' usage. The notion of a standard language has underpinned language teaching and learning since the Middle Ages, based as language teaching is on the acceptance that there is a right form of a language and a wrong form. The belief in a standard has motivated much of the grammar and dictionary writing, and has also been a central ideology in the emergence and reinforcement of the modern European nations. In the period following the Renaissance, national pride was expressed through the notion that the European vernaculars were as rich and as ordered as the Classical languages. Under the influence of Romanticism this idea of the richness of the 'national common languages' was increasingly linked to a sense of there being some sort of natural relationship between a people and their language, and indeed the perceived link between language and nation, for better or for worse, remains a strong one . . . . (359--60)


 英語史における近代の標準化については「#4093. 標準英語の始まりはルネサンス期」 ([2020-07-11-1]) を参照.諸言語の標準化については,私も編著者として関与した『言語の標準化を考える --- 日中英独仏「対照言語史」の試み』(大修館,2022年)を手に取っていただければ (本書についての関連記事は gengo_no_hyojunka より) .

standardisation_front_cover_small



 ・ Linn, Andrew. "Vernaculars and the Idea of a Standard Language." Chapter 15 of The Oxford Handbook of the History of Linguistics. Ed. Keith Allan. Oxford: OUP, 2013. 359--74.
 ・ 高田 博行・田中 牧郎・堀田 隆一(編著)『言語の標準化を考える 日中英独仏「対照言語史」の試み』 大修館,2022年.

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2024-01-10 Wed

#5371. 言語学史のハンドブックの目次 [toc][history_of_linguistics]


Hough, Carole, ed. ''The Oxford Handbook of Names and Naming''. Oxford: OUP, 2016.



 900ページ超の鈍器本だが,ずっと通読したいと思っているハンドブックがある.Allan Keith 編の The Oxford Handbook of the History of Linguistics である.つまみ食いはしてきたのだが,やはり本腰を入れて熟読したい.そのモチベーションを高めるために,目次を一覧しておく.



 Front Matter
 Introduction
 1. The Origins and the Evolution of Language
 2. The History of Writing as a History of Linguistics
 3. History of the Study of Gesture
 4. The History of Sign Language Linguistics
 5. Orthography and the Early History of Phonetics
 6. From IPA to Praat and Beyond
 7. Nineteenth-Century Study of Sound Change from Rask to Saussure
 8. Discoverers of the Phoneme
 9. A History of Sound Symbolism
 10. East Asian Linguistics
 11. Linguistics in India
 12. From Semitic to Afro-Asiatic
 13. From Plato to Priscian: Philosophy's Legacy to Grammar
 14. Pedagogical Grammars Before the Eighteenth Century
 15. Vernaculars and the Idea of a Standard Language
 16. Word-Based Morphology from Aristotle to Modern WP (Word and Paradigm Models)
 17. General or Universal Grammar from Plato to Chomsky
 18. American Descriptivism ('Structuralism')
 19. Noam Chomsky's Contribution to Linguistics: A Sketch
 20. European Linguistics since Saussure
 21. Functional and Cognitive Grammars
 22. Lexicography from Earliest Times to the Present
 23. The Logico-philosophical Tradition
 24. Lexical Semantics from Speculative Etymology to Structuralist Semantics
 25. Post-structuralist and Cognitive Approaches to Meaning
 26. A Brief Sketch of the Historic Development of Pragmatics
 27. Meaning in Texts and Contexts
 28. Comparative, Historical, and Typological Linguistics since the Eighteenth Century
 29. Language, Culture, and Society
 30. Language, the Mind, and the Brain
 31. Translation: the Intertranslatability of Languages; Translation and Language Teaching
 32. Computational Linguistics
 33. The History of Corpus Linguistics
 34. Philosophy of Linguistics
 End Matter
    References
    Index




 言語学史 (history_of_linguistics) に関する話題は,本ブログでも多く取り上げてきたが,とりわけ「#1288. 言語学史という分野が1960年代に勃興した理由」 ([2012-11-05-1]) の記事をお薦めしておきたい.

 ・ Keith, Allan, ed. The Oxford Handbook of the History of Linguistics. Oxford: OUP, 2013.

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2024-01-09 Tue

#5370. 社会名前学における前途有望な分野は「商標言語学」 [sociolinguistics][onomastics][name_project][socio-onomastics][trademark][goshosan][voicy][heldio]

 「#5360. 社会言語学×名前学=社会名前学」 ([2023-12-30-1]) で紹介した "Names in Society" と題するハンドブック論文の結論部に,今後の社会名前学 (socio-onomastics) の見通しが記されている.その1節を引用する.

Socio-onomastic research has been carried out for over forty years now. In spite of the multifaceted research thus far, many areas have still hardly been touched upon. In the socio-onomastic study of place-names, rural names have been in focus for decades, but urban names still lack comprehensive research. So far we know very little about what place-names --- both official and unofficial --- are used in multi-layered and often multilingual urban environments. The same topic also concerns personal names: How are they used in multilingual contexts? Research into commercial names is still rather scarce due to the young age of the field, and socio-onomastic studies are few. One of the most interesting questions for the future is to investigate the attitudes and stances that people take towards commercial names and how people talk about commercial products and businesses in actual language use. (380--81)


 最後の文で述べられているのは,まさに「商標言語学」 (trademark linguistics) である.「商標言語学」といえば,目下「名前プロジェクト」 (name_project) で一緒に研究している五所万実さん(目白大学)である.これまでも Voicy heldio その他に出演していただき,2023年のリスナー投票では,五所さんとの対談回の2つが第3位と第7位にランクインしている(「#5363. 2023年のリスナー投票による heldio の推し配信回ベスト10が決定!」 ([2024-01-02-1]) を参照).

 ・ 「#667. 五所万実さんとの対談 --- 商標言語学とは何か?」
 ・ 「#671. 五所万実さんとの対談 --- 商標の記号論的考察」

 上記の通り,商標言語学は専門家によって社会名前学における前途有望な分野として見込まれており,今後要注目だ.
 商標言語学および五所さんと関連して,以下の記事も参照.

 ・ 「#5078. 法言語学 (forensic linguistics)」 ([2023-03-23-1])
 ・ 「#5085. 五所万実さんとの Voicy 対談で「商標言語学」を導入しています」 ([2023-03-30-1])
 ・ 「#5092. 商標言語学と英語史・歴史言語学の接点」 ([2023-04-06-1])

 ・ Ainiala, Terhi. "Names in Society." Chapter 25 of The Oxford Handbook of Names and Naming. Ed. Carole Hough. Oxford: OUP, 2016. 371--81.

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2024-01-08 Mon

#5369. 日常会話と文学における「名前」の役割の違い [name_project][onomastics][literature][rhetoric]

 文学において「名前」はしばしば特別な効果をもつ.人名や地名などに,当該文学作品のテーマが複雑な形で埋め込まれることが多いからだ.日常の言語使用における名前の最たる役割は個物を特定して指し示すことであり,この役割自体は文学にもみられるものの,文学に特有の名前の役割というものはありそうだ.
 目下読み進めている名前学 (onomastics) のハンドブックの第20章が,この問いを扱っている.同章を書いた Smith は3点を挙げている (296) .

By focusing on the types of associative relationships within a communicative transaction, we can also observe at least three important differences between the ways in which names function in daily speech vis-à-vis imaginative literature. One difference can be seen in the greater degree of prosodic inventiveness in literature. Although we may observe increasing coinages of personal names in recent years, these follow recognizable morphological patterns, but in literature, especially children's literature, we find more play with the sounds of language and fewer restraints --- for example Pooh. Another difference lies in the rhetorical uses of references, the ways in which authors sometimes manipulate the interpretive associations by delaying or totally withholding the identification of people, places, or things. A third difference is the greater frequency and degree to which names in literature may be interpreted symbolically. Our thematic understanding of literature arises largely from the symbolic nature of language, including the many associations possibly evoked by names.


 1点目は名前の「音遊び」である.特に児童文学において多用されるとあるが,一般に登場人物の名前とその響きを工夫することはよく行なわれている.
 2点目は名前に関する修辞的技法である.名前をあえて出さないでおき効果的なタイミングで明らかにするなどの手法は,レトリックとして有効だ.推理小説などでは,レトリックというよりはトリックとして用いられることもあるだろう.レトリックとしての名前使用には,ほかにどのような例があるだろうか.
 3点目は,この記事の冒頭で述べたように,文学では名前に象徴的な意味が付されることが多いという点だ.ここには引喩,翻案,パロディーなどの間テキスト性 (intertextuality) も関わってくるだろう.
 日常会話と文学における名前の役割の違いは,ほかにも多々あるだろう.「名前プロジェクト」 (name_project) の一環として,じっくり考えてみるのもおもしろそうだ.

 ・ Smith, Grant W. "Theoretical Foundations of Literary Onomastics." Chapter 20 of The Oxford Handbook of Names and Naming. Ed. Carole Hough. Oxford: OUP, 2016. 371--81.

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2024-01-07 Sun

#5368. ethnonym (民族名) [demonym][onomastics][toponymy][personal_name][name_project][ethnonym][terminology][toc][ethnic_group][race][religion][geography]

 民族名,国名,言語名はお互いに関連が深い,これらの(固有)名詞は名前学 (onomastics) では demonymethnonym と呼ばれているが,目下少しずつ読み続けている名前学のハンドブックでは後者の呼称が用いられている.
 ハンドブックの第17章,Koopman による "Ethnonyms" の冒頭では,この用語の定義の難しさが吐露される.何をもって "ethnic group" (民族)とするかは文化人類学上の大問題であり,それが当然ながら ethnonym という用語にも飛び火するからだ.その難しさは認識しつつグイグイ読み進めていくと,どんどん解説と議論がおもしろくなっていく.節以下のレベルの見出しを挙げていけば次のようになる.

 17.1 Introduction
 17.2 Ethnonyms and Race
 17.3 Ethnonyms, Nationality, and Geographical Area
 17.4 Ethnonyms and Language
 17.5 Ethnonyms and Religion
 17.6 Ethnonyms, Clans, and Surnames
 17.7 Variations of Ethnonyms
   17.7.1 Morphological Variations
   17.7.2 Endonymic and Exonymic Forms of Ethnonyms
 17.8 Alternative Ethnonyms
 17.9 Derogatory Ethnonyms
 17.10 'Non-Ethnonyms' and 'Ethnonymic Gaps'
 17.11 Summary and Conclusion

 最後の "Summary and Conclusion" を引用し,この分野の魅力を垣間見ておこう.

In this chapter I have tried to show that while 'ethnonym' is a commonly used term among onomastic scholars, not all regard ethnonyms as proper names. This anomalous status is linked to uncertainties about defining the entity which is named with an ethnonym, with (for example) terms like 'race' and 'ethnic group' being at times synonymous, and at other times part of each other's set of defining elements. Together with 'race' and 'ethnicity', other defining elements have included language, nationality, religion, geographical area, and culture. The links between ethnonyms and some of these elements, such as religion, are both complex and debatable; while other links, such as between ethnonyms and language, and ethnonyms and nationality, produce intriguing onomastic dynamics. Ethnonyms display the same kind of variations and alternatives as can be found for personal names and place-names: morpho-syntactic variations, endonymic and exonymic forms, and alternative names for the same ethnic entity, generally regarded as falling into the general spectrum of nicknames. Examples have been given of the interface between ethnonyms, personal names, toponyms, and glossonyms.
   In conclusion, although ethnonyms have an anomalous status among onomastic scholars, they display the same kinds of linguistic, social, and cultural characteristics as proper names generally.


 「民族」周辺の用語と定義の難しさについては以下の記事も参照.

 ・ 「#1871. 言語と人種」 ([2014-06-11-1])
 ・ 「#3599. 言語と人種 (2)」 ([2019-03-05-1])
 ・ 「#3706. 民族と人種」 ([2019-06-20-1])
 ・ 「#3810. 社会的な構築物としての「人種」」 ([2019-10-02-1])

 また,ethnonym のおもしろさについては,関連記事「#5118. Japan-ese の語尾を深掘りする by khelf 新会長」 ([2023-05-02-1]) も参照されたい.

 ・ Koopman, Adrian. "Ethnonyms." Chapter 17 of The Oxford Handbook of Names and Naming. Ed. Carole Hough. Oxford: OUP, 2016. 251--62.

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2024-01-06 Sat

#5367. England の歴史的な異形態 [spelling][oed][link][shortening][haplology][med][anglo-saxon]

 昨日の記事「#5366. EnglandEnglish の語源を深掘りする回」 ([2024-01-05-1]) で触れた England について,歴史的な異形態(あるいは異綴字)を OED に従って列挙してみたい.OED によると,この語の異形態は大きく3つの系列に分けられる.

α. OE Ænglaland, Anglaland (rare), Englalond, OE-eME Ængleland, Englaland, lOE Englæland, lOE-eME Engleland, eME Aenglelond, Englalande, Englelond, Englelonde.


β. eME Anglenelonde, Engleneloande, Englenelond, Englenelonde.


γ. ME Ægeland, Eangelond, Engelande, Engelond, Engelonde, Enguelonde, Enkelonde, Ingelond, Ingelonde, Inglond, Inglonde, Yngelond, ME-15 Englond, Englonde, Ingeland, Ynglond, ME-16 Englande, Ingland, ME- England, 15 Eingland, Eyngland, Yngellond, 16 Inglant (Irish English), 17 Englone (Irish English); Sc. pre-17 Engelande, Englande, Englonde, Ingland, Inglande, Yngland, Ynglande, Ynglond, pre-17 17- England.


 α系列の綴字は本来の語源形に最も近いもので,Angle (アングル人)の複数属格形である Anglaland (土地,国)が接続した複合語である.綴字上 <l> の文字が2度,典型的には <lala> のような繋がりで現われるのがポイントである.
 β系列は,複数属格語尾に本来強変化名詞で予想される -a ではなく,弱変化名詞屈折から借りてきたとおぼしき -ena が用いられる系列である.これについては,A. Campbell Old Eng. Gram. (1959) §610 (7) を参照するようにとあったので参照してみると,「マーシア人たちの」を意味する Mierċcna (-ena) の形態を念頭に置きつつ次のように述べている.

The adoption of g.p. -ena, -na is obscure; once adopted it caused further confusion with the weak nouns (Seaxan, Englan, &c.).


 βγ系列は,α系列の <lala> の連続を嫌って重音脱落 (haplology) を経た綴字である.現代標準の England に連なる系列と理解してよい.「#2362. haplology」 ([2015-10-15-1]) を参照.
 ちなみに MEDEngelōnd n.[/sic] によると, "Also Eng(e)land, (early) Engle(ne lond, (late) Ing(e)lond." と異形態が与えられていた.
 このように England という重要な国号の形態・綴字とて歴史的には長らく揺れを示してきたのである.関連して以下の記事や放送回を参照.

 ・ hellog 「#1145. EnglishEngland の名称」 ([2012-06-15-1])
 ・ hellog 「#1436. EnglishEngland の名称 (2)」 ([2013-04-02-1])
 ・ hellog 「#2250. English の語頭母音(字)」 ([2015-06-25-1])

 ・ heldio 「#16. そもそも English という単語はナゾだらけ!」
 ・ heldio 「#251. 複数形 Englishes の出現」

 ・ Campbell, A. Old English Grammar. Oxford: OUP, 1959.

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2024-01-05 Fri

#5366. EnglandEnglish の語源を深掘りする回 [bchel][etymology][voicy][heldio][helwa][anglo-saxon][kdee][link][onomastics][ethnonym]

 本ブログの姉妹版・音声版の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」では,有料ではありますが「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」と題するオンライン超精読回のシリーズを,この半年のあいだ,おおよそ定期的にお届けしています.バックナンバーは「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) をご覧ください.
 昨日,最新回となる「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (34) The Names "England" and "English"」を配信しました.EnglandEnglish という,英語史上きわめて重要な語の語源に迫る半ページ弱の文章を30分以上かけて解きほぐしています.



 この回を配信した機会を逃さずに,本日午後6時より,Voicy プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」での配信となりますが,この話題と関連する生放送を「【英語史の輪 #77】新年会直前,『英語語源辞典』で England と English を精読する」と題してお届けする予定です.


【英語史の輪 #77】新年会直前,『英語語源辞典』で England と English を精読する



 寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997)を手元に置いておられる方はそれを目の前に置き,そうでない方は今回のためにスキャンしたこちらの画像を参考に,ぜひ聞いていただけば幸いです.きわめて重要な単語の語源を深掘りしていきます.
 こちらの helwa はプレミアム限定チャンネルですが,この1月より初月無料の試聴サービスを提供しています.日々 heldio の通常配信をお聴きの方々のなかには,プレミアム限定チャンネルは気になっていたけれど課金して参加するにはハードルが高い,まずはどんな雰囲気なのか試聴してみたい,という方もいらっしゃるかもしれません.ぜひこの1ヶ月のあいだ試聴していただき,続けてもよいと思った場合には2月以降もお付き合いいただければと思います.そうでなければ辞めていただくということで,まったくけっこうです.
 余談ですが,上記の予約済の生放送のタイトルにも示されているとおり,helwa ではプレミアムリスナー限定のオンライン新年会を,生放送終了後の午後7時から開催予定です.
 予習・復習のために,今回の話題と関連する hellog, heldio, その他のリソースとして以下を挙げておきます.



 ・ hellog 「#1145. EnglishEngland の名称」 ([2012-06-15-1])
 ・ hellog 「#1436. EnglishEngland の名称 (2)」 ([2013-04-02-1])
 ・ hellog 「#2250. English の語頭母音(字)」 ([2015-06-25-1])

 ・ heldio 「#16. そもそも English という単語はナゾだらけ!」
 ・ heldio 「#251. 複数形 Englishes の出現」
 ・ heldio 「#683. なぜ English のように -ish のつく呼び名はイギリス周辺に多いの? --- 青木輝さんとの対談」

 ・ 「歴史で謎解き!フランス語文法 第45回 国や地域の住民名はどのように決まるの?」




 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』 研究社,1997年.

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2024-01-04 Thu

#5365. 「インドの英語」をめぐって榎木薗鉄也先生と対談 --- 大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)の第4章 [voicy][heldio][review][notice][world_englishes][we_nyumon][indian_english][esl]

 年末の12月29日,10月に昭和堂から出版された『World Englishes 入門』を紹介する Voicy heldio のシリーズ企画の一環として「#942. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 榎木薗鉄也先生とのインドの英語をめぐる対談」を配信しました.榎木薗先生(元中京大学)は,本書の第4章「インドの英語」の著者の1人です(もう1方は加藤拓由先生).33分ほどの音声コンテンツとなっています.お時間のあるときにお聴きください.



 今回ご紹介いただいた第4章「インドの英語」 (pp. 69--84) は,以下の構成となっています.章末には「研究テーマ」コーナーと参考文献が付されています.



1 インドの地理と言語的多様性
   コラム インドの武術とアーユルヴェーダー
2 インドの教育と英語
   (1) 教育制度
   (2) 三言語方式語彙
   (3) インドと日本の初等英語教育
      - 文字の積極的活用
      - 多様な活動中心の教材
      - 書く事への段階的な指導
   コラム ガンジーと孫娘の素敵なエピソード
3 インドの未来と英語教育
   コラム インド人と映画
4 インド英語の特徴
   (1) 発音
   (2) 語彙
   (3) 文法
   (4) 表現




 インドでは日本や韓国とは比べものにならないくらい英語が出世のための必須のスキルとして認識されており,英語教育の過熱化が激しく起こっていることについては考えさせられました.グローバルサウスの盟主とされ,世界で最も英語話者人口が多いインドと,この国の言語事情については,今後も目を光らせていく必要がありそうです.インド英語については hellog より indian_english の記事群もご参照ください.
 『World Englishes 入門』関連の heldio 配信回を以下にまとめておきます.関連の hellog 記事については we_nyumon よりどうぞ.

 ・ 「#865. 世界英語のお薦め本の紹介 --- 大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)
 ・ 「#869. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 和田忍さんとの対談」
 ・ 「#883. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 今村洋美先生とのアメリカ・カナダ英語をめぐる対談」
 ・ 「#901. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 梅谷博之先生とのモンゴルの英語をめぐる対談」
 ・ 「#925. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 小林めぐみ先生との韓国の英語をめぐる対談」
 ・ 「#942. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 榎木薗鉄也先生とのインドの英語をめぐる対談」

 近日中に,榎木薗鉄也先生との対談のアフタートークも heldio よりお届けする予定です.ぜひそちらも楽しみにしていただければ.


大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.



 ・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.

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2024-01-03 Wed

#5364. 今年はパワーアップしていきます,Voicy heldio のプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) [voicy][heldio][helwa][hel_education][link][notice]


プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」



 今年も毎朝6時に,本ブログのラジオ版ともいうべき Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio)をお届けしています.この heldio には,有料版のプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) があります.昨年6月2日に開設したサロン風チャンネルで,毎週火木土の夕方6時にお届けしています.今年の初回配信は昨晩「【英語史の輪 #75】2023年 heldio の推し配信回の投票結果,について講評の続き」として配信しました.
 helwa には目下40名ほどのコアリスナーの皆さんに参加していただいており,楽しく学んだり,おしゃべりしたり,会ったり,飲んだりしています.月ごとのサブスクリプションで,月額800円となっています(Voicy アプリ経由では手数料がかかってさらに高くなりますので,ウェブブラウザ経由でご参加下さい).
 年が改まりまして,helwa ではこの1月より初月無料の試聴サービスを提供しています.日々 heldio の通常配信をお聴きの方々のなかには,プレミアム限定チャンネルは気になっていたけれど課金して参加するにはハードルが高い,まずはどんな雰囲気なのか試聴してみたい,という方もいらっしゃるかもしれません.ぜひこの1ヶ月のあいだ試聴していただき,続けてもよいと思った場合には2月以降もお付き合いいただければと思います.そうでなければ辞めていただくということで,まったくけっこうです.
 helwa の運営方針は開設時より変わっていません.基本は「英語史をお茶の間に」をモットーとし,収益は「hel活」(英語史活動)にほぼすべて充てています.以下の記事をご参照いただければ.

 ・ 「#5145. 6月2日(金),Voicy プレミアムリスナー限定配信の新チャンネル「英語史の輪」を開始します」 ([2023-05-29-1])
 ・ 「#5150. プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」がオープン!」 ([2023-06-03-1])
 ・ 「#5301. プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) の5ヶ月の軌跡」 ([2023-11-01-1])
 ・ 「#5330. 11月の「英語史の輪」 (helwa) の振り返り --- Voicy のプレミアムリスナー限定配信チャンネル」 ([2023-11-30-1])

 最近の helwa コミュニティ内部の傾向としては,多くのプレミアムリスナーの方々がボランティアで「hel活」を推し進めてくれること,コミュニティ内の全体的な英語史リテラシーの増強により私の話題が先取りされてしまう(!)機会が増えたこと,オンラインや対面のオフ会の頻度が高まってきたこと,などが挙げられます.
 実際,次の交流の機会として,明後日の1月5日(金)の 19:00--20:00 に helwa オンライン新年会を開催する予定です.heldio/helwa 出演経験のある研究者や khelf(慶應英語史フォーラム)メンバーも加わり,貴重な交流の機会になると思います.
 昨年12月分の helwa の全13回が出そろっていますので,そのバックナンバーへリンクを張っておきます.

 ・ 【英語史の輪 #62】helwa は本当に輪が広がるワ (2023/12/02)
 ・ 【英語史の輪 #63】語彙関係 (2023/12/05)
 ・ 【英語史の輪 #64】明日の helwa 忘年会ヨロシク! その他諸々も! (2023/12/07)
 ・ 【英語史の輪 #65】英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (32) The Germanic Conquest --- Taku さんとの実況中継(後半) (2023/12/09)
 ・ 【英語史の輪 #66】博士論文とファイル名 (2023/12/12)
 ・ 【英語史の輪 #67】同音異義語 count (2023/12/14)
 ・ 【英語史の輪 #68】今朝の中学生からの生の声をもっとお届け! (2023/12/16)
 ・ 【英語史の輪 #69】get medieval の続き (2023/12/19)
 ・ 【英語史の輪 #70】なぜ英語史に関心を持ったの? --- 村岡宗一郎さん,藤原郁弥さんとの対談 (2023/12/21)
 ・ 【英語史の輪 #71】年末年始の heldio/helwa イベントのお知らせ (2023/12/23)
 ・ 【英語史の輪 #72】抽象名詞を作る -ity (2023/12/26)
 ・ 【英語史の輪 #73】年末の雑談回 (2023/12/28)
 ・ 【英語史の輪 #74】2023年の helwa 10大ニュース (2023/12/30)

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2024-01-02 Tue

#5363. 2023年のリスナー投票による heldio の推し配信回ベスト10が決定! [voicy][heldio][notice][ranking][link]



 年末に「#5358. 2023年 heldio の推し配信回は? --- ぜひ投票をお願いします」 ([2023-12-28-1]) の記事で呼びかけていた通り,昨年中にお届けした heldio 配信回のなかから人気回を決めるリスナー投票を実施しました.大晦日の夜に締め切りましたが,38名の方による投票がありました.投票してくださった方々には御礼申し上げます.
 では,投票結果です.1人10個まで選択できるという投票形式でしたが,以下の通りとなりました.上位7位までの計25回分を掲載しています.さらに詳しくは Slido での投票結果,あるいは本記事のソースHTMLをご覧ください.
 また本記事冒頭に掲げた今朝の heldio 配信回「#946. 2023年 heldio の推し配信回の投票結果を発表」では,声で投票結果の講評をお届けしていますので,そちらもお聴きいただければ.




1. 「#822. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 1 with 小河舜さん and まさにゃん」 (29%)
2. 「#875. 『英語語源辞典』を読むシリーズ (1) --- 藤原くんと foot を語る」 (24%)
3. 「#667. 五所万実さんとの対談 --- 商標言語学とは何か?」 (21%)
4. 「#783. 古英詩の傑作『ベオウルフ』 (Beowulf) --- 唐澤一友さん,和田忍さん,小河舜さんと飲みながらご紹介」 (18%)
5. 「#729. なぜ英語を学ばなければならないの? --- 中学生のための英語史」 (16%)
5. 「#759. Wulfstan て誰? --- 小河舜さんとの対談【第1弾】」 (16%)
5. 「#797. 唐澤一友さんに Beowulf のことを何でも質問してみました with 和田忍さん and 小河舜さん」 (16%)
5. 「#828. 『英語語源辞典』(研究社,1997年)ってスゴい --- 研究社会議室での対談 (1)」 (16%)
5. 「#934. 『シェイクスピア,それが問題だ!』(大修館,2023年) --- 著者の井出新先生との対談」 (16%)
6. 「#602. なぜ両足で歩くのに on feet ではなくて on foot なの?」 (13%)
6. 「#661. book と beech --- 本とブナの関係は?」 (13%)
6. 「#670. 英語史クイズ with まさにゃん(続編)」 (13%)
6. 「#865. 世界英語のお薦め本の紹介 --- 大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)」 (13%)
6. 「#901. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 梅谷博之先生とのモンゴルの英語をめぐる対談」 (13%)
7. 「#598. メタファーとは何か? 卒業生の藤平さんとの対談」 (11%)
7. 「#624. 「沈黙」の言語学」 (11%)
7. 「#669. 英語史クイズ with まさにゃん」 (11%)
7. 「#671. 五所万実さんとの対談 --- 商標の記号論的考察」 (11%)
7. 「#735. 古英語音読 --- マタイ伝「種をまく人の寓話」より毒麦の話」 (11%)
7. 「#776. 「言語は○○である」 --- 初のリスナー参加の生放送企画」 (11%)
7. 「#809. 「言語化」という表現が流行っているようですが」 (11%)
7. 「#829. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 2 with 小河舜さん and まさにゃん」 (11%)
7. 「#836. ゼロから学ぶはじめての古英語 --- Part 3 with 小河舜さん and まさにゃん」 (11%)
7. 「#869. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 和田忍さんとの対談」 (11%)
7. 「#883. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 今村洋美先生とのアメリカ・カナダ英語をめぐる対談」 (11%)



 

最上位にはシリーズものや対談回が多くランクインしました.とりわけベスト5辺りまでの配信回については,2024年にもシリーズとして継続して関連回を配信して欲しい,というリスナーさんからの声と理解してよろしいでしょうか.ぜひ検討していきたいと思います.全体として,本紹介や「素朴な疑問」を扱った回も人気のようです.投票結果の一覧のなかで,まだお聴きでない配信回がありましたら,ぜひこのお正月にでも聴取してお楽しみください.
 投票されたリスナーの皆さんからの選評については,12月25日の heldio 配信回「#938. 2023年 heldio の推し配信回の投票を!」のコメント欄も覗いてみてください.
 リスナー umisio さんによる note より,以下の記事も参考になります.

 - 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第1四半期(1--3月)編」
 - 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第2四半期(4--6月)+7月 まるでカンブリア紀!?」
 - 「令和5年 (2023年) の heldio を振り返る 第3四半期(8--9月) ※7月は前回に含めた」
 - 「令和5年(2023年)の heldio を振り返る 第4四半期(9--12月)」

 2024年の heldio でも有益な配信回をお届けしていきます.どうぞお付き合いください!

Referrer (Inside): [2024-04-14-1] [2024-01-09-1]

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2024-01-01 Mon

#5362. 2023年によく読まれた hellog 記事は? [notice][ranking][link]

 謹賀新年.本年も「英語史をお茶の間に」をモットーに,英語史の魅力を広く伝える啓蒙活動「hel活」を展開していきます.こちらの「hellog~英語史ブログ」を引き続き毎日お届けしていくほか,姉妹版・音声版の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 も毎朝6時に更新していきます.
 年初ということで,昨年の hellog の振り返りをします.これまでの全記事を対象に,昨年1年間で最もよく読まれた記事は12月30日付のアクセス・ランキング (access ranking) のトップ500記事をご覧いただければと思います.過年度版は「#4997. 2022年によく読まれた記事」 ([2023-01-01-1]),「#4632. 2021年によく読まれた記事」 ([2022-01-01-1]),「#4267. 2020年によく読まれた記事」 ([2021-01-01-1]),「#3901. 2019年によく読まれた記事」 ([2020-01-01-1]) をご参照ください.
 以下は,2023年に執筆・公開された記事に限定して,どの記事が最もよく読まれたかのランキングとなります.お正月の読み物としてどうぞ.まとめ読みしたい方はこちらの記事セットから.

 ・ 「#5098. 英語史を学び始めようと思っている方へ hellog と heldio のお薦め回一覧(2023年度版)」 ([2023-04-12-1]) (2083)
 ・ 「#5142. 「ペレヒル」と「十五円五十銭」」 ([2023-05-26-1]) (1672)
 ・ 「#5099. 2023年度の「英語史」講義が始まります --- 慶應義塾大学文学部英米文学専攻の必修科目」 ([2023-04-13-1]) (849)
 ・ 「#5065. 自然言語処理 (NLP) の基本タスク」 ([2023-03-10-1]) (817)
 ・ 「#5009. なぜバーナード・ショーの綴字ネタ「ghoti = fish」は強引に感じられるのか?」 ([2023-01-13-1]) (751)
 ・ 「#5047. 「大航海時代略年表」 --- 『図説大航海時代』より」 ([2023-02-20-1]) (621)
 ・ 「#5097. hellog の読み方(2023年度版)」 ([2023-04-11-1]) (576)
 ・ 「#5152. 古英語聖書より「種をまく人の寓話」 --- 毒麦の話」 ([2023-06-05-1]) (554)
 ・ 「#5094. 英語史概説書等の書誌(2023年度版)」 ([2023-04-08-1]) (508)
 ・ 「#5041. 英語帝国主義の議論のために」 ([2023-02-14-1]) (402)
 ・ 「#5031. 接尾辞 -ism の起源と発達」 ([2023-02-04-1]) (393)
 ・ 「#5154. なぜ height はこの綴字でこの発音なの?」 ([2023-06-07-1]) (355)
 ・ 「#5145. 6月2日(金),Voicy プレミアムリスナー限定配信の新チャンネル「英語史の輪」を開始します」 ([2023-05-29-1]) (347)
 ・ 「#5147. 「ゆる言語学ラジオ」出演第3回 --- 『ジーニアス英和辞典』第6版を読む回で触れられた諸々の話題」 ([2023-05-31-1]) (323)
 ・ 「#5125. 「ゆる言語学ラジオ」初出演回で話題となった縦棒16連発の単語 --- unmummied」 ([2023-05-09-1]) (315)
 ・ 「#5205. Baugh and Cable の英語史概説書を1節ずつ読み進めながら Voicy heldio で自由にコメントしていく試みを始めています」 ([2023-07-28-1]) (296)
 ・ 「#5026. 接尾辞 -age」 ([2023-01-30-1]) (268)
 ・ 「#5132. なぜ be going to は未来を意味するの? --- 「文法化」という観点から素朴な疑問に迫る」 ([2023-05-16-1]) (254)
 ・ 「#5268. 大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)」 ([2023-09-29-1]) (254)
 ・ 「#5166. 秋元実治(編)『近代英語における文法的・構文的変化』(開拓社,2023年)」 ([2023-06-19-1]) (242)
 ・ 「#5210. 世界最強の英語語源辞典 --- 寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』(研究社,1997年)」 ([2023-08-02-1]) (231)
 ・ 「#4997. 2022年によく読まれた記事」 ([2023-01-01-1]) (212)
 ・ 「#5052. none は単数扱いか複数扱いか?」 ([2023-02-25-1]) (206)
 ・ 「#5240. Voicy heldio で「ゼロから学ぶはじめての古英語」シリーズが始まりました」 ([2023-09-01-1]) (201)
 ・ 「#5168. なぜアメリカで "spelling bee" が大人気なのか?」 ([2023-06-21-1]) (196)
 ・ 「#5111. チョーサーによるブルトン・レ「地方地主の話の序」を読む」 ([2023-04-25-1]) (193)
 ・ 「#5171. 3人称複数代名詞 we, you, they の総称的用法」 ([2023-06-24-1]) (192)
 ・ 「#5172. なぜ印欧祖語には母音交替があったのか?」 ([2023-06-25-1]) (179)
 ・ 「#5167. なぜ18世紀に規範文法が流行ったのですか?」 ([2023-06-20-1]) (170)
 ・ 「#5110. 国立西洋美術館「憧憬の地 ブルターニュ展」訪問に向けての予習」 ([2023-04-24-1]) (166)
 ・ 「#5223. 『英語史新聞』第6号が発行されました」 ([2023-08-15-1]) (166)
 ・ 「#5120. 井上・堀田の YouTube --- ゆる言語学ラジオ・水野太貴さんのゲスト回第3弾」 ([2023-05-04-1]) (165)
 ・ 「#5194. 7月29日(土),朝カルのシリーズ講座「文字と綴字の英語史」の第2回「古英語の綴字 --- ローマ字の手なずけ」」 ([2023-07-17-1]) (163)
 ・ 「#5151. 日本語反対語辞典の「まえがき」より」 ([2023-06-04-1]) (162)
 ・ 「#5196. 「ゆる言語学ラジオ」出演第4回 --- 『英単語ターゲット』より英単語語源を語る回」 ([2023-07-19-1]) (161)
 ・ 「#5093. heldio の聴き方(2023年度版)」 ([2023-04-07-1]) (160)
 ・ 「#5202. 他動性 (transitivity) とは何か?」 ([2023-07-25-1]) (158)
 ・ 「#5139. 英語史において「ケルト語仮説」が取り沙汰されてきた言語項」 ([2023-05-23-1]) (154)
 ・ 「#5267. 言語におけるアイコン性について考えてみませんか?」 ([2023-09-28-1]) (152)
 ・ 「#5020. 2022年度,英語史の授業を通じて何を学びましたか?」 ([2023-01-24-1]) (147)
 ・ 「#5010. 『中高生の基礎英語 in English』の連載第23回「なぜ現在分詞と動名詞は同じ -ing で表されるの?」」 ([2023-01-14-1]) (146)
 ・ 「#5167. なぜ18世紀に規範文法が流行ったのですか?」 ([2023-06-20-1]) (142)
 ・ 「#5261. 研究社会議室での3回にわたる『英語語源辞典』をめぐるインタビューが完結」 ([2023-09-22-1]) (142)
 ・ 「#5238. 「言語化」という表現が流行っているようですが」 ([2023-08-30-1]) (132)
 ・ 「#5353. 2023年の heldio 配信回のランキング --- リスナー数編」 ([2023-12-23-1]) (132)
 ・ 「#5012. When Adam delved and Eve span, who was then the gentleman? --- John Ball の扇動から生まれた諺」 ([2023-01-16-1]) (131)
 ・ 「#5183. なぜ「文法の謎」があるのか?」 ([2023-07-06-1]) (130)
 ・ 「#5146. 強調構文の歴史に関するコンテンツを紹介」 ([2023-05-30-1]) (129)
 ・ 「#5187. 固有名詞学のハンドブック」 ([2023-07-10-1]) (123)
 ・ 「#5206. Beowulf の冒頭11行を音読」 ([2023-07-29-1]) (123)

 新年は学び始めにふさわしい時期です.英語史に関心をもった方,さらに関心をもちたい方は「#5098. 英語史を学び始めようと思っている方へ hellog と heldio のお薦め回一覧(2023年度版)」 ([2023-04-12-1]) とそこからリンクを張っている記事群をご参照ください.
 なお,昨年の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 の聴取ランキングは「#5353. 2023年の heldio 配信回のランキング --- リスナー数編」 ([2023-12-23-1]) にて取り上げています.
 本年も,hellog, heldio ともにお付き合いのほど,よろしくお願いいたします.

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最終更新時間: 2024-12-16 08:44

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