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hellog〜英語史ブログ

堀田隆一(ほったりゅういち)による,英語史に関する話題を広く長く提供し続けるブログです(note のプロフィールはこちら)."History of the English Language Blog" ということで,略して "hellog".英語史と関連する英語学・言語学一般の話題も扱っています.本ブログで紹介・推薦する書籍などについて,特別に表記しない限り,すべて自主的な言及です.また,堀田は Amazon のアソシエイトとして適格販売により収入を得ています.

まずは,
  1. 英語史の学び始め/続けには,まず以下の記事からスタート!
  2. アクセス・ランキング (access ranking) のトップ500記事
  3. 英語に関する素朴な疑問に関する記事群
  4. 全記事の標題の一覧 (Archives)
  5. 音声コンテンツ一覧 (heldio & hellog-radio)
  6. Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」(heldio)
  7. 知識共有サービス「Mond」での,英語に関する素朴な疑問への回答
  8. 慶應英語史フォーラム (khelf) のツイッターアカウント @khelf_keio
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お知らせ 2024年5月13日に khelf による『英語史新聞』第9号がウェブ上に一般公開されました.こちらからPDFでご覧になれます.hellog でもこちらの記事で第9号公開についてお知らせしています.公開後も khelf の X (旧ツイッター)アカウント @khelf_keio より関連情報を日々お伝えしますので,ぜひフォローをお願いします.2024/05/15(Wed)

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お知らせ 2024年度,白水社の月刊誌『ふらんす』に「英語史で眺めるフランス語」というシリーズタイトルで連載記事を寄稿しています.4月23日に刊行された5月号に連載第2弾が掲載されています.詳しくは hellog の関連記事「#5477. なぜ仏英語には似ている単語があるの? --- 月刊『ふらんす』の連載記事第2弾」を書いています.2024/04/25(Thu)

お知らせ 2024年4月27日(土)17:30--19:00,朝日カルチャーセンター新宿教室にて新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」の幕開けとなります.第1回は「英語語源辞典を楽しむ」です.教室・オンライン同時開催の予定です.ご関心のある方は,こちらよりお申し込みください.hellog でも関連記事「#5453. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」が4月27日より始まります」を書いています.2024/04/19(Fri)

お知らせ 新年度2024年の4月より khelf による「英語史コンテンツ50+」が始まっています.休日を除く毎日,khelf メンバーより英語史の話題が1つ上がってきます).日々,khelf 公式ツイッターアカウント @khelf_keio からも関連情報を発信しています.2024/04/19(Fri)

お知らせ 知識共有サービス「Mond」にて英語・言語に関する素朴な疑問に回答しています.最新の質問&回答はこちらよりご覧ください.2024/05/18(Sat)

Mond Latest

お知らせ 2023年7月より Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) にて「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズを展開しています.Baugh and Cable の A History of the English Language (6th ed.) を1回1セクションずつ精読していくというシリーズです.週に1,2回程度のペースで続けています.有料配信ですが冒頭チャプターは試聴可となっていますので,ぜひ聴いてみてください.バックナンバー一覧はこちらの記事よりどうぞ.2024/02/09(Fri)

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お知らせ 2022年2月26日に,同僚の井上逸兵さんと YouTube チャンネル「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」を始めています.毎週(水)(日)の午後6時に更新予定です.チャンネルの趣旨としては,こちらの hellog 記事あるいは Voicy でのアナウンスをご一読・ご視聴ください.直下(↓)は最新の YouTube 放送となります.本ブログの関連記事もお読みください.2022/03/10(Thu)

お知らせ 2021年6月2日より,英語史の音声コンテンツを配信する 「英語の語源が身につくラジオ」(通称 heldio)を始めています.本ブログの姉妹版という位置づけで,音声配信プラットフォーム Voicy を通じて,英語史に関する音声コンテンツを提供しています.企画の趣旨として,こちらの hellog 記事をご一読ください.直下(↓)は最新の Voicy 放送となります.2022/08/01(Mon)

お知らせ 2023年6月2日より,上記 heldio にプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) が加わりました.毎週火木土の18:00よりお届けしています.helwa は有料配信となりますが,開設趣旨としてこちらの hellog 記事をお読みください.直下(↓)は最新の helwa 放送となります.2023/09/09(Sat)

お知らせ 2023年7月17日より,Voicy heldio の有料配信として「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズを開始しています(各回ともにウェブブラウザ経由で200円です).毎週1,2回の配信を通じて,英語で書かれた英語史の名著を1回1セクションずつ精読解説していきながら,内容についても英語史の専門的な観点から縦横無尽にコメントしていきます.3ヶ月続けて,参加メンバーも徐々に増えてきています.開設趣旨としてこちらの hellog 記事をお読みください.直下(↓)は最新のシリーズ配信回となります.2023/10/22(Sun)

お知らせ 2023年10月6日より,stand.fm にて「英語史つぶやきチャンネル」 を始めています.英語史の話題を不定期でカジュアルにお届けします.直下(↓)は最新の配信回となります.2023/10/09(Mon)

お知らせ 「ゆる言語学ラジオ」の最新回(2023年7月18日公開)「英単語帳の語源を全部知るために、研究者を呼びました【ターゲット1900 with 堀田先生】#247」に出演しています.ぜひご覧ください.関連する hellog 記事もどうぞ.

また「ゆる言語学ラジオ」からこちらのブログに飛んでこられた皆さん,ぜひ
 (1) 本ブログのアクセス・ランキングのトップ500記事,および
 (2) Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の人気放送回50選
をご覧ください.2023/05/31(Wed)

お知らせ 2023年1月中旬に家入葉子先生(京都大学)と堀田の共著となる,英語史研究のハンドブック『文献学と英語史研究』が開拓社より発売となります.本書についてはこちらのページで,著者が様々に紹介しています.2023/01/05(Thu)

『文献学と英語史研究』

お知らせ 2022年12月1日(木)13:00--14:00に,Voicy 生放送で「英語に関する素朴な疑問 千本ノック(矢冨弘&菊地翔太&堀田隆一) 第3弾」を配信しました.詳細はこちらの記事よりどうぞ.2022/12/02(Fri)

お知らせ 2022年11月8日に『ジーニアス英和辞典』第6版が発売となりました.新版で初めて導入されたコラム「英語史Q&A」を執筆させていただいていますので,ぜひ辞典手に取って開いてみていただければと思います.コラムについては hellog でもこちらの記事群で関連する話題を取り上げています.2022/11/15(Tue)

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お知らせ 堀田ゼミの紹介ページがゼミ生により立ち上げられました.入ゼミを希望する学生は必見です.堀田による公式のゼミ紹介はこちらの記事からどうぞ.2022/11/04(Fri)

お知らせ ご愛読ありがとうございます,7刷が発行されています.2022年9月より電子書籍としても配信開始です.本ブログの内容を多く取り込んだ拙著『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』が2016年に研究社より出版されました.本の趣旨や補足情報のために,コンパニオン・サイト (naze) を用意していますので,そちらも是非ご覧ください.また,本ブログ内の「#2764. 拙著『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』が出版されました」にも紹介があります.2022/09/12(Mon)

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お知らせ 2022年度も連載記事「歴史で謎解き 英語のソボクな疑問」(NHKラジオテキスト『中高生の基礎英語 in English』)を継続しています.最新の9月号では「なぜ英語には類義語が多いの?」という疑問を取り上げています.ぜひテキストを手にとってご覧ください.本ブログより紹介記事もどうぞ.2022/08/15(Mon)

お知らせ このたび様々な言語における標準化の歴史を題材とした本が出版されました.高田 博行・田中 牧郎・堀田 隆一(編著)『言語の標準化を考える --- 日中英独仏「対照言語史」の試み』 大修館,2022年.
本ブログ内でも本書の紹介記事をいくつか書いていますので,そちらもご覧ください.さらに,7月9日と8月1日には2回にわたって3編者対談を Voicy で配信しましたので,ぜひこちらこちらより各々お聴きください.

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お知らせ 知識共有サービス「Mond」にて英語に関する素朴な疑問に回答しています.良質な「素朴な疑問」が多いです.こちらからどうぞ.本ブログより紹介記事もどうぞ.2022/02/10(Thu)

お知らせ 本ブログベースの拙著『英語史で解きほぐす英語の誤解 --- 納得して英語を学ぶために』の第4刷が出ています.本書のコンパニオン・ページ及び著者による紹介ページをご覧ください.また,本書の内容に沿ったブログ記事へのリンク (hogusu) はおすすめです.2018/09/02(Sun)hogusu_front_cover_small

その他のお知らせ

お知らせ 「手軽に英語史を」というコンセプトで,地味に「hellog ラジオ版」 (hellog-radio) を始めています.1つ数分以内のコンテンツです.これまでのコンテンツ一覧よりどうぞ.2020/07/09(Thu)

お知らせ 大修館『英語教育』の2020年3月号に,連載「英語指導の引出を増やす 英語史のツボ」の第12回(最終回)の記事が掲載されています.今回の話題は「なぜアメリカ英語はイギリス英語と異なっているのか」です.どうぞご一読ください.2020/02/14(Fri)eigokyouiku_rensai_12_20200214_front_cover_small.jpg

お知らせ 1月5日発売の英語学習誌『CNN English Express』2月号に「歴史を知れば納得! 英語の「あるある大疑問」」と題する拙論が掲載されています.英語史の観点から素朴な疑問を解くという趣向の特集記事で,英語史の記事としては珍しく8頁ほどの分量を割いています.どうぞご一読ください.hellog 内の紹介記事もどうぞ.2019/01/07(Mon)cnn_ee_201902_front_cover_small

お知らせ 私も一部執筆している服部 義弘・児馬 修(編) 『歴史言語学』朝倉日英対照言語学シリーズ[発展編]3 朝倉書店,2018年.が2018年3月に出版されました.日本語史と比較対照しながら英語史や英語の歴史的変化について学べます.本ブログ内の#3283の記事にも簡単な紹介がありますのでご覧ください.2018/04/23(Mon)

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お知らせ Simonn Horobin 著 Does Spelling Matter? の拙訳『スペリングの英語史』が早川書房よりより出版されました.紹介記事として,本ブログ内の「#3079. 拙訳『スペリングの英語史』が出版されました」「#3080. 『スペリングの英語史』の章ごとの概要」もご覧ください.2017/10/01(Sun)

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お知らせ 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』に関連する研究社ベースの連載企画「現代英語を英語史の視点から考える」が始まっています(そして12回で終わりました).2017/12/21(Thu)


最近 7 日分を以下に表示中 / 今月の一覧

2024-05-23 Thu

#5505. 古代ギリシアの方言観 [greek][dialect][dialectology][hellenic][koine][lingua_franca]

 よく知られているように,古代ギリシア人はギリシア語以外の言語・民族については「バルバロイ」と蔑視する姿勢を示したが,ギリシア語諸方言についてはどのように見ていたのだろうか.Robins (15) に,古代ギリシアの他言語に対する態度やギリシア語内部の諸方言への眼差しを解説している箇所がある.特に後者を扱っている箇所を引用しよう.

. . . . the Greek designation of alien speakers as bárbaroi (βάρβαροι, whence our word barbarian), i.e. people who speak a language other than Greek, is probably indicative of their attitude.
   Quite different was the Greek awareness of their own dialectal divisions. The Greek language in Antiquity was more markedly divided into fairly sharply differentiated dialects than many other languages were. This was due both to the settlement of the Greek-speaking areas by successive waves of invaders, and to the separation into relatively small and independent communities that the mountainous configuration of much of the Greek mainland and the scattered islands of the adjoining seas forced on them. But that these dialects were dialects of a single language and that the possession of this language united the Greeks as a whole people, despite the almost incessant wars waged between the different 'city states' of the Greek world, is attested by at least one historian: Herodotus, in his account of the major achievement of a temporarily united Greece against the invading Persians at the beginning of the fifth century B.C., puts into the mouths of the Greek delegates a statement that among the bonds of unity among the Greeks in resisting the barbarians was 'the whole Greek community, being of one blood and one tongue'.


 引用最後のヘロドトス (8.114.2) への言及が興味深い.おそらく古代ギリシア人たちは明確に分かれていたギリシア語諸方言の存在を互いに認識していた.そして,それらを異なる方言とこそ捉えてはいたが,異なる言語とは捉えていなかった.諸方言からなるギリシア語は,ギリシア民族を(ペルシアに対抗して)まとめ上げる役割を果たしていたということだ.
 考えてみれば,ギリシア語は dialect という単語を生み出した母体であり,諸方言間を平準化した共通語 (koine) を誇った言語でもあった.関連して,以下の記事も参照されたい.

 ・ 「#1454. ギリシャ語派(印欧語族)」 ([2013-04-20-1])
 ・ 「#2752. dialect という用語について」 ([2016-11-08-1])
 ・ 「#1671. dialect contact, dialect mixture, dialect levelling, koineization」 ([2013-11-23-1])
 ・ 「#1391. lingua franca (4)」 ([2013-02-16-1])

 ・ Robins, R. H. A Short History of Linguistics. 4th ed. Longman: London and New York, 1997.

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2024-05-22 Wed

#5504. 接尾辞 -iveOED で読む [etymology][suffix][french][oed][loan_word][oed][adjective][word_formation][noun][conversion][productivity]

 「#2032. 形容詞語尾 -ive」 ([2014-11-19-1]) で取り上げた形容詞(およびさらに派生的に名詞)を作る接尾辞 (suffix) に再び注目したい.OED-ive (SUFFIX) の "Meaning & use" をじっくり読んでみよう.

Forming adjectives (and nouns). Formerly also -if, -ife; < French -if, feminine -ive (= Italian, Spanish -ivo):--- Latin īv-us, a suffix added to the participial stem of verbs, as in act-īvus active, pass-īvus passive, nātīv-us of inborn kind; sometimes to the present stem, as cad-īvus falling, and to nouns as tempest-īvus seasonable. Few of these words came down in Old French, e.g. naïf, naïve:--- Latin nātīv-um; but the suffix is largely used in the modern Romanic languages, and in English, to adapt Latin words in -īvus, or form words on Latin analogies, with the sense 'having a tendency to, having the nature, character, or quality of, given to (some action)'. The meaning differs from that of participial adjectives in -ing, -ant, -ent, in implying a permanent or habitual quality or tendency: cf. acting adj., active adj., attracting adj., attractive adj., coherent adj., cohesive adj., consequent adj., consecutive adj. From their derivation, the great majority of these end in -sive and -tive, and of these about one half in -ative suffix, which tends consequently to become a living suffix, as in talk-ative, etc. A few are formed immediately on the verb stem, esp. where this ends in s (c) or t, thus easily passing muster among those formed on the participial stem; such are amusive, coercive, conducive, crescive, forcive, piercive, adaptive, adoptive, denotive, humective; a few are from nouns, as massive. In costive, the -ive is not a suffix.

Already in Latin many of these adjectives were used substantively; this precedent is freely followed in the modern languages and in English: e.g. adjective, captive, derivative, expletive, explosive, fugitive, indicative, incentive, invective, locomotive, missive, native, nominative, prerogative, sedative, subjunctive.
In some words the final consonant of Old French -if, from -īvus, was lost in Middle English, leaving in modern English -y suffix1: e.g. hasty, jolly, tardy.

Adverbs from adjectives in -ive are formed in -ively; abstract nouns in -iveness and -ivity suffix.


 OED の解説を熟読しての発見としては:

 (1) -ive が接続する基体は,ラテン語動詞の分詞幹であることが多いが,他の語幹や他の品詞もあり得る.
 (2) ラテン語で作られた -ive 語で古フランス語に受け継がれたものは少ない.ロマンス諸語や英語における -ive 語の多くは,かつての -ivus ラテン単語群をモデルとした造語である可能性が高い.
 (3) 分詞由来の形容詞接辞とは異なり,-ive は恒常的・習慣的な意味を表わす.
 (4) -sive, -tive の形態となることが圧倒的に多く,後者に基づく -ative はそれ自体が接辞として生産性を獲得している.
 (5) -ive は本来は形容詞接辞だが,すでにラテン語でも名詞への品詞転換の事例が多くあった.
 (6) -ive 接尾辞末の子音が脱落し,本来語由来の形容詞接尾辞 -y と合流する単語例もあった.

 上記の解説の後,-ive の複合語や派生語が951種類挙げられている.私の数えでこの数字なのだが,OED も網羅的に挙げているわけではないので氷山の一角とみるべきだろう.-ive 接尾辞研究をスタートするためには,まずは申し分ない情報量ではないか.

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2024-05-21 Tue

#5503. 言語学史を学ぶ意義 [history_of_linguistics][historiography]

 Robins の言語学史の本を読み直している.序章では言語学史を学ぶ意義が説かれているが,著者の熱がこもっていて読み応えがある.まず Robins (2) は,いかにして言語学史(ひいては一般に科学史)という分野が創始されるものかを次のように説明する.

The sciences of man, which include linguistics, arise from the development of human self-awareness. But equally these sciences, or more strictly their practitioners, may become aware of themselves for what they are doing and for what they have done. When this scientific self-awareness includes an interest in the origin and past development of a science, we may recognize the birth of that specific discipline known as the history of science. In recent years the rapid and at times bewildering growth in linguistics as an academic subject, both in the numbers of scholars involved and in the range of their activities, has led to a corresponding growth in the interest of linguists in the past history of the subject. In part this may be due to the feeling that some earlier generations may be a source of stability during a period of unprecedentedly swift changes in theory, procedures, and applications.


 次に Robins (3) は,言語学史(ひいては一般に科学史)を学ぶ意義の1つは,ホイッグ史観から自身を解放する術を身につけられることにあると述べる.研究における「次世代贔屓」の戒めだ.

It is tempting, and flattering to one's contemporaries, to see the history of a science as the progressive discovery of the truth and the attainment of the right methods, something of a counterpart to what has been called 'Whig history' in political historiography. But this is a fallacy. The aims of a science vary in the course of its history, and the search for objective standards by which to judge the purposes of different periods is apt to be an elusive one. 'The facts' and 'the truth' are not laid down in advance, like the solution to a crossword puzzle, awaiting the completion of discovery. Scientists themselves do much to determine the range of facts, phenomena, and operations that fall within their purview, and they themselves set up and modify the conceptual framework within which they make what they regard as significant statements about them.


 続けて Robins (5) は,現代の状況に直接つながる項目だけに注目するのではなく,歴史の過程で死に絶えてしまった項目にも留意する態度が必要であるという.

One should strive to avoid the deliberate selection of only those parts of earlier work that can be brought into a special relationship with present-day interests.


 言語学とは何か,とりわけ私自身の場合には歴史的な言語研究とは何か,を考える上で押さえておくべき諸点である.

 ・ Robins, R. H. A Short History of Linguistics. 4th ed. Longman: London and New York, 1997.

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2024-05-20 Mon

#5502. 注意すべき古英語の比較級・最上級 [superlative][comparison][adjective][adverb][suppletion][morphology][inflection][oe][i-mutation]

 現代英語の形容詞・副詞の比較級・最上級には不規則なものがいくつかある.good -- better -- bestbad -- worse --worst などの補充法 (suppletion) を示すものが知られているが,これらは古英語にも存在した.むしろ古英語では現代よりも多くの不規則な比較級・最上級があった.Sweet's Anglo-Saxon Primer (19--20) より,注意すべきものを列挙する.

[ i-mutation を含む形容詞の比較級・最上級 ]

MeaningPositiveComparativeSuperlative
"old"ealdieldraieldest
"young"ġeongġingraġingest
"long"langlengralengest
"strong"strangstrengrastrengest
"high"hēahhīerrahīehst


[ suppletion を含む形容詞の比較級・最上級 ]

MeaningPositiveComparativeSuperlative
"good"gōdbetera, betrabetst
  sēlrasēlest
"bad"yfelwiersawier(re)st
"great"miċelmāramǣst
"little"lȳtellǣssalǣst


[ 原級が副詞である形容詞の比較級・最上級 ]

MeaningPositiveComparativeSuperlative
"formerly"(ǣr)ǣrraǣrest
"far"(feorr)fierrafierrest
"before"(fore) forma, fyrmest, fyr(e)st
"near"(nēah)nēarranīehst
"outside"(ūte)ūterraūt(e)mest
  ȳterraȳt(e)mest


[ suppletion を含む副詞の比較級・最上級 ]

MeaningPositiveComparativeSuperlative
"well"welbetbet(e)st
  sēlsēlest
"badly"yflewierswier(re)st
"much"miclemǣst
"little"lȳtlǣslǣst


 ・ Davis, Norman. Sweet's Anglo-Saxon Primer. 9th ed. Oxford: Clarendon, 1953.

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2024-05-19 Sun

#5501. 「インドの英語」をめぐる加藤拓由先生との対談 --- 大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)の第4章 [voicy][heldio][notice][world_englishes][we_nyumon][indian_english]



 Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」では,5月15日(水)と18日(土)の2回にわたり,加藤拓由先生(岐阜聖徳学園大学)との対談をお届けしました.「#1080. 著者と語る『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年) --- 加藤拓由先生とのインドの英語をめぐる対談」「#1083. 小学校英語教育事情の日印比較 --- 加藤拓由先生との対談」です.それぞれお聴きください.
 加藤先生は小学校英語教育のご専門で,インドでの教育経験もあり,昨年出版された大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂)の第4章「インドの英語」を,榎木薗鉄也先生とともに執筆されています.今回の対談では,執筆の裏事情や,インドの言語事情および小学校英語の日印比較についてお話を伺いました.
 インドの言語事情,第4章で書かれたコラムに関する裏話,小学校英語教育などについてお話ししただきましたが,私にとっては初めて知ることが多く,たいへん新鮮で啓発的な対談の機会となりました.皆さん,ぜ対談回を聴取いただき,ご意見やご質問などがありましたら,Voicy のコメント欄より書き込んでいただければと思います.
 インド英語については,第4章の共著者の榎木薗鉄也先生とも2回にわたり Voicy で対談したことがあります.それぞれ以下の記事よりアクセスできますので,そちらもお聴きください..

 ・ 「#5365. 「インドの英語」をめぐって榎木薗鉄也先生と対談 --- 大石晴美(編)『World Englishes 入門』(昭和堂,2023年)の第4章」 ([2024-01-04-1])
 ・ 「#5375. 榎木薗鉄也先生とインド英語について対談しました」 ([2024-01-14-1])


大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.



 ・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.

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2024-05-18 Sat

#5500. 中英語の職業名ベースの姓の分類 [onomastics][personal_name][name_project][by-name][occupational_term][address_term]

 職業名ベースの姓については,これまで occupational_term の記事群で取り上げてきた.Fransson (27--28) が一般的な分類を与えているので,そちらを掲げておきたい

1. dignitaries and officers
   1. Sheriff, mayor, judge, clerk, etc.
   2. Military officers
   3. Ecclesiastical officers
2. occupations belonging to the country
   1. Agricultural occupations
   2. Pastoral occupations
   3. Forestal and venary occupations
3. those who manufacture or sell different articles


 1つめの「高位」の職業名は,そのまま呼称・尊称 address_term ともなり得る場合が多いことに注意を要する.2つめは農業・牧畜・林務・狩猟に関する「田舎」の職業である.3つめがおおよそ都市と商業の職業であり,職業名ベースの姓としてこれまで取り上げてきた例のほぼすべてがここに属する.
 職業名(ベースの姓)の本格的な研究のためには,3種類のいずれをも対象に含める必要があるだろう.

 ・ Fransson, G. Middle English Surnames of Occupation 1100--1350, with an Excursus on Toponymical Surnames. Lund Studies in English 3. Lund: Gleerup, 1935.

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2024-05-17 Fri

#5499. 古英語の数詞 [oe][numeral][voicy][heldio][link]

 Sweet's Anglo-Saxon Primer (20--21) より古英語の数詞 (numeral) を挙げる.基数詞 (cardinal numbers) と序数詞 (ordinal numbers) の各々を列挙する.

 CardinalOrdinal
1(st)ānforma
2(nd)twāōþer
3(rd)þrēoþridda
4(th)fēowerfēorþa
5(th)fīffīfta
6(th)siexsiexta
7(th)seofonseofoþa
8(th)eahtaeahtoþa
9(th)nigonnigoþa
10(th)tīentēoþa
11(th)en(d)leofonen(d)leofta
12(th)twelftwelfta
13(th)þrēo-tīeneþrēo-tēoþa
.........
19(th)nigon-tīenenigon-tēoþa
20(th)twen-tiġtwentigoþa
30(th)þrī-tiġþrītigoþa
40(th)fēower-tiġfēowertigoþa
50(th)fīf-tiġfīftigoþa
60(th)siex-tiġsiextigoþa
70hund・seofon-tiġ 
80hund・eahta-tiġ 
90hund・nigon-tiġ 
100hund, hundred, hund・tēon-tiġ 
110hund・endleofon-tiġ 
120hund・twelf-tiġ 
1000þūsend 


 これまでも hellog や Voicy heldio で英語の数詞に関する話題を多々取り上げてきた.以下に主なコンテンツへのリンクを張っておく.

 ・ hellog 「#67. 序数詞における補充法」 ([2009-07-04-1])
 ・ hellog 「#68. first は何の最上級か」 ([2009-07-05-1])
 ・ hellog 「#69. second の世界の広がり」 ([2009-07-06-1])
 ・ hellog 「#646. billion の値」 ([2011-02-02-1])
 ・ hellog 「#647. million 以上の大きな単位」 ([2011-02-03-1])
 ・ hellog 「#1080. なぜ five の序数詞は fifth なのか?」 ([2012-04-11-1])
 ・ hellog 「#1823. ローマ数字」 ([2014-04-24-1])
 ・ hellog 「#2240. thousand は "swelling hundred"」 ([2015-06-15-1])
 ・ hellog 「#2285. hundred は "great ten"」 ([2015-07-30-1])
 ・ hellog 「#2286. 古英語の hundseofontig (seventy), hundeahtatig (eighty), etc.」 ([2015-07-31-1])
 ・ hellog 「#2304. 古英語の hundseofontig (seventy), hundeahtatig (eighty), etc. (2)」 ([2015-08-18-1])
 ・ hellog 「#2477. 英語にみられる20進法の残滓」 ([2016-02-07-1])
 ・ hellog 「#3104. なぜ「ninth(ナインス)に e はないんす」かね?」 ([2017-10-26-1])
 ・ hellog 「#3105. tithetenth」 ([2017-10-27-1])
 ・ hellog 「#4046. 歴史的に妙な ten の短母音」 ([2020-05-25-1])
 ・ hellog 「#4248. なぜ threethirteen では r の位置が異なるのですか? --- hellog ラジオ版」 ([2020-12-13-1])
 ・ hellog 「#4429. 序数詞 thirddfourthth の関係」 ([2021-06-12-1])

 ・ heldio 「#10. third は three + th の変形なので準規則的」
 ・ heldio 「#419. 23 が「three and twenty」!?」
 ・ heldio 「#440. なぜ oneteen, twoteen ではなく eleven, twelve というの?」
 ・ heldio 「#442. 英語における12進法的発想」
 ・ heldio 「#443. 英語における20進法的発想」

 ・ Davis, Norman. Sweet's Anglo-Saxon Primer. 9th ed. Oxford: Clarendon, 1953.

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最終更新時間2024-05-23 05:17

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