最近 7 日分を以下に表示中 / 今月の一覧
2026-01-05 Mon
■ #6097. 「英語史小ネタ50連発」は結果的に「hel活の実証研究」となっていました [notice][twitter][helkatsu][eigoshikoneta50]
昨日の記事「#6096. 「英語史小ネタ50連発」の数字を分析してみました」 ([2026-01-04-1]) では,年末年始の特別企画として X (旧 Twitter) 上で展開した「英語史小ネタ50連発」の反響の数字について,AIの助けを借りながら分析してみました.
分析を通じて改めて実感したのは,この企画自体が単なるお祭りイベントを超えて,実践的な「英語史アウトリーチの実証研究」の場となっていたということです.もちろんSNSという特殊な空間における実証研究というにとどまり,その結果がどこまで一般的に当てはまるものなのかは分かりません.ただ,人々が英語史の話題にどう反応し,どう拡散していくのかの大きなヒントは得られたように思います.今回の企画は,1種の「英語史×SNS言語行動学」の実践だったともいえそうです.
昨日の記事で触れた通り,とりわけ日常的で既習の単語や文法事項について,その由来を掘り起こして疑問を解いたり,綴字と発音の乖離の背景を示したりする小ネタへの反響が圧倒的でした.私のような英語史研究者が重要だと信じている問題と,一般の英語学習者が知りたいと思っている事柄の間に,たいていズレがあることは,長年実感してきました.しかし,「英語史をお茶の間に」というアウトリーチを本気で考えるのであれば,そのズレの理解こそが鍵となります.
今回の50連発企画では,その鍵をいただいたような気がします.英語史が世間にどう受け取られるかについての貴重な知見が得られました.このメタ的な問題については,hel活をさらに推進していくために,今後も深掘りしていきたいと考えています.
研究者は得てして内容の正確さにこだわりすぎ,話題がどんどん高度になっていく傾向があります.しかし,受け手にとって重要なのは,それが自分の疑問に答えてくれるかどうか,だろうと思います.例えば語源カテゴリの小ネタであっても,単なる知識の陳列ではなく,読者の常識を揺さぶる問いの形になっているかどうかが,エンゲージメントを左右したわけですから.
一般には英語史は専門的で難しそうというイメージが定着していると思います.しかし,英語史は日常的な話題にも対応できるばかりか,むしろそれが得意なのです.発信する立場からは,難しいから届かないのではなく,届け方の角度に改善の余地があるだけなのだ,と理解しておきたいと思います.その角度がピタッと合いさえすれば,英語史は最高のコンテンツとなり学問分野となるのです.
2026年は,hel活をさらに力強く推進していきます.2026年,英語史が飛躍する年となりますように.

2026-01-04 Sun
■ #6096. 「英語史小ネタ50連発」の数字を分析してみました [notice][twitter][helkatsu][eigoshikoneta50]
昨日の記事「#6095. 「英語史小ネタ50連発」一覧」 ([2026-01-03-1]) では,年末企画「英語史小ネタ50連発」の各小ネタへのリンクやアナリティクスを提示しました.この数字をAIの借りながら分析してみると,示唆に富む結果が浮かび上がってきました.おもしろい点は多々あるのですが,とりわけ企画者の立場からの「気づき」に注目して,10点ほど選んでみました.
1.「16. 英語と最も近い言語は?」への圧倒的な注目度
2.1万という最多のインプレッションを記録した小ネタです.「英語はどこから来たのか」「親戚は誰か」という系統論への関心は,やはり英語史の「王道」であることを再確認しました.教科書的な答えとして「フリジア語」と回答しましたが,リプライでは「スコッツ語では?」「アメリカ語では?」と考えさせられる反応が寄せられました.
2. 「04. English はメチャクチャ変な綴字」への共感
1.6万インプレッションに加え,ブックマークも37件と最多クラス.学習者が日々感じる「綴字と発音の乖離」というフラストレーションに対し,歴史的な視点から変であることを指摘するタイプの話題は,強い引きがあるようです.
3. 「08. なぜ両足で歩くのに on feet ではなくて on foot なの?」の驚異的なエンゲージメント率
インプレッションは3,947と中規模ですが,いいねが314と際立っています.エンゲージメント率に換算すると8.3%に達し,全50ネタの中でダントツの1位.「数」に関する素朴な疑問は,刺さりやすいようです.
4.「語源」カテゴリの小ネタの安定感
全50ネタのうち「語源」カテゴリは17件と最多でした.平均的な反応も安定しており,英語語源が英語史という分野を支える強力なコンテンツであることを改めて実感しました.
5.「10. Japan の語源は?」への反応にみられる身近な話題の効果
インプレッション自体は控えめながら,エンゲージメント率は3.48%と全体で2位でした.読者が自分事として反応しやすい話題だったからでしょうか.一般に難しい単語よりも既に知っている単語を取り上げるほうが注目されるようです.日常的な単語について,これまで気づかなかった問題点を指摘されたり,常識を覆されたりする際に感じるショックが魅力なのだろうと思われます.
6. 「37. silly は 「幸せ」だった?」からみえてくる「意味変化」の鉄板性
「幸せ」から「愚か」へという意味の変化は,6,353インプレッションを集めました.昔は異なる意味だったという意外性は,一般に小ネタとして強力なようです.
7.「07. なぜ doubt には 読まない b の綴字があるの?」などの黙字の話題も堅調
反応率が3%を超えており,黙字への関心の強さが窺われます.理不尽にいえる綴字の背後にルネサンス期の「ラテン語かぶれ」が隠れているという話題は,確かに鉄板ネタです.
8. 文法の話題は「理由付き」で伸びる
3単現の -s,仮定法過去 If I were you,SVO語順の話題など,文法的な小ネタは鉄板です.単にそのような規則があるとだけ習ってきた層に,実は歴史的な理由があると伝えることで,納得感が生じるからだと思われます.「英語史は文法事項の供養の場である」と言ってもよいでしょう.
9.連発企画の「完走」の喜びを共有していただきました
統計を見ると,最初と最後で数字が跳ね上がる傾向があります.特に番外編となる最後の投稿「51. 英語史小ネタ50連発 無事に完走しました!」は3,000インプレッションを超え,企画シリーズものとして認知・応援していただいたことが窺われました.
10. カテゴリより「問いの形」こそが重要
たとえば同じ「語源」カテゴリの小ネタでも,導入の文句が疑問,否定,逆説だと伸びやすく,平叙の説明だと伸びにくい傾向が現われました.
今回の企画は,振り返ってみれば,皆さんが英語史のどんな話題に惹かれるのかを調査する実験のようなものになっていたのかもしれません.当初は年末のお祭りイベントで盛り上がろうという趣旨だったのですが,結果的にこのような興味深い示唆が得られたことに驚いています.AIの助けがなければ,ここまで分析できなかっただろうと思います.これらの気づきを,今後のhel活に活かしていきたいと思います.改めまして,ご参加,ご協力いただいた皆さん,ありがとうございました!
2026-01-03 Sat
■ #6095. 「英語史小ネタ50連発」一覧 [notice][twitter][hajimetenoeigoshi][kenkyusha][helkatsu][voicy][heldio][eigoshikoneta50][link]
クリスマス・年末企画として,私の X(旧Twitter)アカウント @chariderryu 上で展開した「英語史小ネタ50連発」.X API のトラブルに見舞われるも,手動で公開するなどして何とかかんとかつなぎ,12月29日に無事終了したことは,12月30日の記事「#6091. 「英語史小ネタ50連発」を完走しました」 ([2025-12-30-1]) でお伝えした通りです.皆さんの温かい応援に改めて感謝いたします.
年末のhel活お祭りイベントとなりましたが,この企画は拙著『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』の第10刷重版を記念し,研究社公式のプレゼント企画も兼ねていました.小ネタに引用リポストを投稿していただき,最もおもしろいコメントをくださった3名に第10刷をプレゼントするというものでした.今朝の heldio にて,厳正なる選定に基づく受賞者3名の発表等を行なっております.ぜひ「#1679. 『はじめての英語史』第10刷プレゼントは誰の手に? --- 年末の「英語史小ネタ50連発」の引用リポストより」をお聴きください.
さて,企画はこれで終了となりますが,「英語史小ネタ50連発」の各小ネタの内容やリンクなどを整理しておきたいと思います.以下がその一覧となりますが,リンクやカテゴリなどの情報は実は heldio/helwa コアリスナーの ari さんが有志で準備してくださったものです.実際 ari さんは,昨日のご自身の note 記事「#513【hel活】英語史小ネタ50連発を楽しんだ!!」で情報をまとめられています(ari さん,ありがとうございます!).その基本情報の上に,Xのアナリティクスの数値を加えたのが,こちらの表となります(数値は12月31日時点のものです).ぜひ合わせてご参照・ご活用ください.
・ 堀田 隆一 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』 研究社,2016年.
2026-01-02 Fri
■ #6094. 元旦の朝日・読売サンヤツ広告に『英語語源ハンドブック』が掲載されています [kenkyusha][hee][notice]
昨年,日本で刊行された英語史関連の書籍としては,唐澤一友・小塚良孝両氏との共著『英語語源ハンドブック』(研究社)が話題を呼びました.6月18日に刊行される前から待望との評価をいただき,刊行後もおおいにご好評いただき,3ヶ月で3重版が決定しました.年末には,追加資料(索引)も研究社公式HPより公開され,さらにハンドブックの利便性と楽しみ方が増しています.本書の特設HPも設けていますので,ぜひご活用ください.
昨日,朝日・読売両新聞朝刊のサンヤツ広告(1面下の広告欄)にて,本書が宣伝されました.元旦からのハンドブックの強力な「推し」により,2026年も英語史界隈が盛り上がっていくこと間違いなし,と喜びながら確信した次第です.
![]() |
![]() |
左の朝日新聞の広告で横に並んでいる円満字二郎著『難読漢字ときあかし辞典』は,実は『英語語源ハンドブック』と縁の深い書籍です.両書ともに,各見出しに「キャッチコピー」が付されており,一目で概要をつかめる工夫が凝らされているという共通点があります.それもそのはず,円満字二郎氏による「ときあかし」シリーズの原点である『漢字ときあかし辞典』が採用していた「キャッチコピー」の工夫を,『英語語源ハンドブック』は意識的に真似たという事情があるのです.英語と日本語とで扱っている言語こそ異なりますが,今回の朝日サンヤツ広告では,いわば後輩が先輩と肩を並べていることになります.
そんなわけで,改めて『英語語源ハンドブック』でもキャッチコピーに注目していただければと思います.最近,私の視界の範囲内ではありますが,『英語語源ハンドブック』通読のムーヴメントが起こってきています.通読もよし,気軽にページをめくるもよし,2026年も『英語語源ハンドブック』を使い倒して楽しんでいただければ.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
2026-01-01 Thu
■ #6093. 2025年 hellog でよく読まれた記事ベスト50 [notice][ranking][hel_education][link]
明けましておめでとうございます.2026年の幕開けです.本年も「英語史をお茶の間に」をモットーに,皆様の知的好奇心を刺激する「hel活」 (helkatsu) を力強く推進していきます.
日々の更新を続けるこの「hellog~英語史ブログ」に加え,音声メディアの Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」,heldio のプレミアム版でディープなhel活コミュニティでもある「英語史の輪 (helwa)」,そして YouTube 「いのほた言語学チャンネル」もあわせてよろしくお願いいたします.
さて,新年の恒例行事として,昨年1年間に執筆・公開された hellog 記事のなかから,アクセスの多かった上位50件を振り返ります.過年度の振り返りについては,「#5728. 2024年 hellog でよく読まれた記事ベスト50」 ([2025-01-01-1]) ほか,過去の元日記事にリンクをまとめてあります.
以下が,2025年に公開された記事のランキング(1位から50位まで)です.
・ 「#5738. 516番目の through を見つけました」 ([2025-01-11-1]) (963回閲覧)
・ 「#5762. 品詞とは何か? --- 日本語の「品詞」を辞典・事典で調べる」 ([2025-02-04-1]) (800回閲覧)
・ 「#5745. アルファベットの文字頻度」 ([2025-01-18-1]) ([2025-01-18-1]) (558回閲覧)
・ 「#5831. 2025年度の「英語史」講義が始まります --- 慶應義塾大学文学部英米文学専攻の必修科目」 ([2025-04-14-1]) (442回閲覧)
・ 「#5736. アイルランド語 (Irish) とアイルランド英語 (Irish English) はまったく異なる言語である」 ([2025-01-09-1]) (349回閲覧)
・ 「#5860. 「ん」の発音の実現形」 ([2025-05-13-1]) (250回閲覧)
・ 「#5832. なぜ古英語の語順規則は緩かったのか? --- 語順の2つの原理から考える」 ([2025-04-15-1]) (234回閲覧)
・ 「#5973. 「いのほた本」が出ます! --- 井上 逸兵・堀田 隆一 『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』(ナツメ社)」 ([2025-09-03-1]) (228回閲覧)
・ 「#5959. 2025年度の夏期スクーリング「英語史」講義が始まります」 ([2025-08-20-1]) (214回閲覧)
・ 「#5935. 現代英語の等位接続詞一覧」 ([2025-07-27-1]) (197回閲覧)
・ 「#5841. クリストファー・バーナード(著)『英語句動詞分類辞典』(研究社,2025年)」 ([2025-04-24-1]) (175回閲覧)
・ 「#5836. 「ゆる言語学ラジオ」のターゲット1900回 --- matter や count が「重要である」を意味する動詞であるのが妙な件」 ([2025-04-19-1]) (174回閲覧)
・ 「#5728. 2024年 hellog でよく読まれた記事ベスト50」 ([2025-01-01-1]) (173回閲覧)
・ 「#5748. egg の英語史」 ([2025-01-21-1]) (171回閲覧)
・ 「#5830. 英語史概説書等の書誌(2025年度版)」 ([2025-04-13-1]) (154回閲覧)
・ 「#5778. connection か connexion か?」 ([2025-02-20-1]) (143回閲覧)
・ 「#5936. 現代英語の従位接続詞一覧」 ([2025-07-28-1]) (136回閲覧)
・ 「#5905. ローマ字表記,ヘボン式を基本に --- 70年ぶりの方針転換へ」 ([2025-06-27-1]) (135回閲覧)
・ 「#5863. 撥音「ん」の歴史」 ([2025-05-16-1]) (131回閲覧)
・ 「#6059. take --- 古ノルド語由来の big word の起源と発達」 ([2025-11-28-1]) (129回閲覧)
・ 「#5865. 撥音「ん」の理論的解説」 ([2025-05-18-1]) (129回閲覧)
・ 「#5840. 「類音牽引」 --- クワノミ,*クワツマメ,クワツバメ,ツバメ」 ([2025-04-23-1]) (123回閲覧)
・ 「#5735. 19世紀,英語がフランス語に及ぼした影響」 ([2025-01-08-1]) (119回閲覧)
・ 「#5846. 言語地理学」 ([2025-04-29-1]) (118回閲覧)
・ 「#5768. 2024年度に提出された卒業論文と修士論文の題目」 ([2025-02-10-1]) (116回閲覧)
・ 「#5864. 6月18日(水)に本が出ます! 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著)『英語語源ハンドブック』(研究社)」 ([2025-05-17-1]) (116回閲覧)
・ 「#5852. 市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩』第2版(研究社,1986年)」 ([2025-05-05-1]) (115回閲覧)
・ 「#5928. 多義語 but」 ([2025-07-20-1]) (112回閲覧)
・ 「#5879. 時制の一致を考える」 ([2025-06-01-1]) (110回閲覧)
・ 「#5819. 開かれたクラス,閉じたクラス,品詞」 ([2025-04-02-1]) (106回閲覧)
・ 「#5792. 「言語変化の要因とそのメカニズム」 --- 『言語の事典』の1節より」 ([2025-03-06-1]) (105回閲覧)
・ 「#5803. corpse, corse, corpus, corps の4重語」 ([2025-03-17-1]) (105回閲覧)
・ 「#5855. ギリシア語由来の否定の接頭辞 a(n)- と英語の不定冠詞 a(n) の平行性」 ([2025-05-08-1]) (103回閲覧)
・ 「#5786. なぜ she の所有格と目的格は her で同じ形になるのですか? --- いのほた YouTube 版」 ([2025-02-28-1]) (101回閲覧)
・ 「#5815. 安形麻理・安形輝『ヴォイニッチ写本』(星海社,2024年)」 ([2025-03-29-1]) (96回閲覧)
・ 「#5920. 「財産」となった一日の記録 --- ひつまぶしのタレより濃かった名古屋オフ会」 ([2025-07-12-1]) (92回閲覧)
・ 「#5777. 形容詞から名詞への品詞転換」 ([2025-02-19-1]) (91回閲覧)
・ 「#6062. Take an umbrella with you. の with you はなぜ必要なのか? --- mond の問答が大反響」 ([2025-12-01-1]) (91回閲覧)
・ 「#5754. divers vs diverse」 ([2025-01-27-1]) (90回閲覧)
・ 「#5859. 「AI古英語家庭教師」の衝撃 --- ぷりっつさんの古英語独学シリーズを読んで」 ([2025-05-12-1]) (89回閲覧)
・ 「#5923. could の <l> は発音されたか? --- 『英語語源ハンドブック』の記述をめぐって」 ([2025-07-15-1]) (89回閲覧)
・ 「#5996. khelf の疋田海夢さんが Growth and Structure 連載を始めています」 ([2025-09-26-1]) (89回閲覧)
・ 「#5868. 『英語語源ハンドブック』 Amazon 新着ランキングの「英語」部門で第1位!」 ([2025-05-21-1]) (88回閲覧)
・ 「#5823. helito --- カードゲーム ito を用いた英語史の遊び」 ([2025-04-06-1]) (87回閲覧)
・ 「#5954. 「子供」を意味する古英語 bearn,現代スコットランド方言の bairn について --- ykagata さんのブログ記事より」 ([2025-08-15-1]) (86回閲覧)
・ 「#5838. 方言はこう生まれる --- 水野太貴さんによる『中央公論』の連載より」 ([2025-04-21-1]) (85回閲覧)
・ 「#5997. 「ゆる言語学ラジオ」で『英語語源ハンドブック』が紹介されました --- 人気シリーズ「ターゲット1900」回に再出演」 ([2025-09-27-1]) (85回閲覧)
・ 「#5785. フランス語に入った英単語 --- 月刊『ふらんす』の連載記事第12弾(最終回)」 ([2025-02-27-1]) (85回閲覧)
・ 「#5747. egg の綴字の歴史」 ([2025-01-20-1]) (84回閲覧)
・ 「#5808. 英語の母音変化の傾向」 ([2025-03-22-1]) (84回閲覧)
ランキングを眺めてみますと,ある傾向が見て取れます.まず第1位の「through の 516 番目の異綴字」 ([2025-01-11-1]) は,単一の語をめぐる話題でありながら,英語史における「綴字の多様性」という現象が読者の皆さんの知的好奇心を強く惹きつけた結果といえそうです.
次に目立つのは,日本語の音声に関する記事です.「ん」の発音やその歴史に関する一連の記事が高順位に食い込んでいます.これは,英語史を相対化するために日本語を見つめ直す,という視点が読者の皆さんの間に定着してきたことを示すものかもしれません.
また,2025年は書籍出版が相次いだ年でもありました.唐澤一友・小塚良孝両氏との共著『英語語源ハンドブック』,井上逸兵氏との共著『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』に関係する話題が,よく読まれています.これらは heldio や YouTube 「いのほた言語学チャンネル」,さらには『ゆる言語学ラジオ』との連動企画も関連しており,メディアミックス展開が効果的だったのではないかと考えています.
学術的なトピックとしては,「品詞とは何か」や「語順」といった,基本的でありながらも歴史的に掘り下げると非常に深いテーマが,上位に含まれています.これも hellog らしいところです.「AI古英語家庭教師」のような最新技術と英語史学習を組み合わせた話題も,今の時代を反映しています.
本年も,これらの記事を入り口として,より多くの方が英語史の深淵な世界に足を踏み入れてくださることを願っています.まずは新年の学び始めとして,上記の一覧から気になる記事を読んでみてはいかがでしょうか.2026年も,hel活へのご注目とご協力のほど,よろしくお願い申し上げます.
2025-12-31 Wed
■ #6092. 「英語に仮名はないのか?」論争 --- mond での問答にまた注目が集まりました [mond][spelling_pronunciation_gap][spelling][orthography][japanese][hiragana][katakana][romaji][writing][grammatology]

12月28日のお昼に,知識共有プラットフォーム mond に投稿したある回答が,X 上で大きな反響を呼んでいます.一晩でインプレッションが100万を超え,本日の朝までに358万に達しています.日英語の文字遣いの差に関する文字論の話題で,一見すると地味なテーマですが,おおいに盛り上がっています.驚きとともに,この分野への潜在的な関心の高さを改めて実感しています.
話題となっているのは,mond に寄せられた1つの質問です.「日本語では,聞いて音が分かったが漢字の表記が分からない場合,とりあえず仮名で書くという方法をとることができますが,英語では綴りが分からないとそもそも書いて残すことができません.音は分かるが綴りが分からないときは,どう対処しているのですか.」という問いです.
これに対する回答で,私は「アルファベットを仮名のように使えばいい」という視点と,「英語のスペリングは漢字のようなものだ」という論を展開しました.
この回答に対し,主に X のリプライを通じて非常に活発な議論が交わされています.しかし,皆さんの反応を見ていて気づかされたのは,この「問い」自体が非常に広く,多義的であるという点です.質問の文言だけでは,具体的にどの場面を想定しているのかが1点に定まりません.だからこそ,皆さんから「自分ならこう答える」という多様な意見が出されているわけです.
この「英語に仮名はないのか?」論争をめぐり論点がやや錯綜してきたので,ここで交通整理したいと思います.質問の意図をなるべく一意に定めるために,少なくとも以下の6つほどのパラメータを考慮する必要があると現時点では考えています.
1. 誰の対処法を尋ねているのか?
A. 英語母語話者(はどう対処していますか?)
B. 日本語母語話者で英語学習者の皆さん(はどう対処していますか?)
2. その綴字の用途は?
A. 後に他人と共有しない前提でのインフォーマルなメモのために
B. 後に他人と共有する前提でのフォーマルな文書のために
3. どこまで正書法にこだわるか? 規範に従うことが重要か,あるいはとりあえず伝達できれば十分か?
A. 原則としてこだわる(単語テスト,学校のレポート,公式文書など)
B. それほどこだわらない(メモ,親しい仲間内での伝言など)
4. 綴字を知りたい当該の単語の種類は?
A. 一般語や地名
B. 人名
5. 単語の発音から正しい綴字にたどり着く方法は?
6. 単語の意味が分かっている,あるいはある程度推測できるか?
文字とは何か,正しさとは何か.この議論の熱を絶やさず,引き続き議論を深めていければと思います.
関連して,29日の午後に,紛糾する議論を受けて heldio にて特別配信回「【152万インプ超え】mond の「英語に仮名はないのか?」論争を交通整理します」を公開しました.
また,30日のお昼には,続編となる mond への回答も投稿しているので,そちらもご覧ください.
2025-12-30 Tue
■ #6091. 「英語史小ネタ50連発」を完走しました [notice][twitter][voicy][heldio][hajimetenoeigoshi][kenkyusha][helkatsu][eigoshikoneta50]
昨日12月29日,クリスマス・年末企画として,X(旧Twitter)アカウント @chariderryu 上で展開していた「英語史小ネタ50連発」を完走することができました.当初は25日のクリスマスまでに完結させる予定で進めておりましたが,途中で X (旧 Twitter) の API トラブルや私自身の操作ミスなどもあり,急遽「年末企画」へと仕切り直しての完走となりました.
数日間,投稿が滞ったり不規則になったりとご心配をおかけしましたが,温かく見守ってくださった読者・リスナーの皆様,そしてスポンサーとして全面的にバックアップしてくださった研究社に,この場を借りて厚く御礼申し上げます.
今回の企画は,単に小ネタを披露するだけではなく,拙著『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』の第10刷重版を記念したプレゼント企画も兼ねております.同書が2桁の増刷を重ねることができましたのも,ひとえに皆様の応援のおかげです.
プレゼントの応募方法は,公開された小ネタに対し,X 上で「引用リポスト」の形でコメントをいただくというものです.「おもしろい」引用リポストをくださった方の中から,私の独断と偏見で3名を選定し,年明けに研究社より第10刷を直送させていただきます.
この「おもしろい」には,funny, interesting, illuminating などの多義的な意味を込めています.引用リポストの締め切りは,明日12月31日の大晦日の夜までといたします.まだ時間はありますので,今からでも50個のネタをざっと振り返り,ぜひ引用リポストする形でご応募ください.
今回の50連発では,スペリング,語彙,意味変化,統語論など,英語史の多岐にわたる分野をカバーするよう努めました.例えば,反響の大きかったものとしては以下のような小ネタがありました.
・ 「04. English はメチャクチャ変な綴字」
・ 「06. なぜ new something ではなく something new なの?」
・ 「11. なぜ go の過去形は | went なの?」
・ 「16. 英語と最も近い言語は?」
・ 「37. silly は「幸せ」だった?」
各投稿のスレッドには,より深く学びたい方のために,拙著の関連章の紹介や heldio へのリンクも添えてあります.年末年始の隙間時間に,英語史の広大な海を少しずつ回遊していただければ幸いです.
なお,本企画の最終盤の案内については,昨日の heldio でも「#1674. 年末企画「英語史小ネタ50連発」の引用リポストは大晦日まで受け付けます」として配信しておりますので,あわせてお聴きください.
新年には,この50連発の振り返り放送なども予定しております.2025年も,引き続き hellog, heldio, そして X アカウントでの発信にご注目いただければと思います.
・ 堀田 隆一 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』 研究社,2016年.
| このページへのアクセス数 | |
| 最終更新時間 | 2026-01-05 09:32 |
Copyright (c) Ryuichi Hotta, 2009--


















