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hellog〜英語史ブログ

2025円10月26日 堀田によるhel活ポータル The HEL Hub (= helhub) がオープンしました!

日々発信される英語史系コンテンツの新着情報がリアルタイムで更新されていきます.数時間に一度,ほぼ定期的に更新されていくことになります.この hellog がストック型の情報源だとすれば,helhub はフロー型の発信源です.ぜひ訪れて,お気に入りにご登録ください.こちらからどうぞ!

堀田隆一(ほったりゅういち)による,英語史に関する話題を広く長く提供し続けるブログです(note のプロフィールはこちら)."History of the English Language Blog" ということで,略して "hellog".英語史と関連する英語学・言語学一般の話題も扱っています.本ブログで紹介・推薦する書籍などについて,特別に表記しない限り,すべて自主的な言及です.また,堀田は Amazon のアソシエイトとして適格販売により収入を得ています.

まずは,
  1. 英語史の学び始め/続けには,まず以下の記事からスタート!
  2. アクセス・ランキング (access ranking) のトップ500記事
  3. 英語に関する素朴な疑問に関する記事群
  4. 全記事の標題の一覧 (Archives)
  5. 音声コンテンツ一覧 (heldio & hellog-radio)
  6. Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」(heldio)
  7. 知識共有サービス「Mond」での,英語に関する素朴な疑問への回答
  8. 慶應英語史フォーラム (khelf) のツイッターアカウント @khelf_keio
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をご覧ください.

その他のお知らせ

お知らせ 英語史トーク動画の第2弾です! 8月21日,YouTube 「文藝春秋PLUS 公式チャンネル」にて,英語史トーク第2弾の前編が公開されました.「【英語の謎 goの過去形はなぜwentなのか】古英語時代は-edよりも不規則動詞がデフォルト|なぜ「あなた」も「あなたたち」もyouで表すのか|He likes...三単現にはなぜsを付ける?」および「【flower(花)とflour(小麦粉)は同じ語源!】help,aid,assistance…「助け」の類義語は何が違う?|同音異義語が多いのはなぜか|「イギリス英語は保守的」は本当か】」です.今回もフリーアナウンサーの近藤さや香さんとお話ししています.2025/08/21(Thu)

お知らせ 英語史トーク動画の前編が9.8万回視聴されています! 5月30日,YouTube 「文藝春秋PLUS 公式チャンネル」にて,英語史トーク動画の前後編が公開されました.「【know の K はなぜ発音しない?「英語史」で英語のナゼがわかる】国内唯一慶應だけの必修科目|古代英語はもはや別言語|500通り以上の綴りがある英単語|憧れと威信が英語を変化させた」および「【ややこしい英語が世界的言語になるまで】文法が確立したのはたった250年前|an appleのanは「発音しやすくするため」ではない|なぜ複数形はsばかりなのか|言語の"伝播"=権力」です.フリーアナウンサーの近藤さや香さんとともに,英語史入門を念頭にお話ししています.hellog の関連記事はこちら.2025/05/31(Sat)

再重版がかかっています! 皆さんにご好評,ご愛読いただいています!(2025年9月23日現在)

2025年6月18日(水),唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力)『英語語源ハンドブック』(研究社)が刊行されました.5月21日以来,刊行日までの歴代最高記録として,Amazon 新着ランキングで「英語」部門にて第1位,「語学・辞事典・年鑑」部門にて第2位を獲得しています.また,刊行後の4日間で紀伊國屋書店新宿本店の語学部門の週間売り上げランキングで第1位,丸善丸の内本店では第4位を記録しました.リアル書店やこちらの Amazon ページ(あるいは以下のQRコード)より,ぜひご入手ください.英語学習・教育に関わる皆さんにとっての必携書!

合わせて本書のランディングページもご覧ください!

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『英語語源ハンドブック』の Amazon リンク


お知らせ ヘルメイト有志によるhel活を紹介する月刊 Helvillian の最新号2025年8月号が7月28日にウェブ公開されました.こちらよりご覧ください.2025/07/29(Tue)

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お知らせ 2025年6月18日(水)に,唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著)『英語語源ハンドブック』(研究社)が発売予定! 研究社公式HPの近刊紹介はこちらからどうぞ.hellog のこちらの記事,および heldio のこちらの配信回でも本書を紹介しています.2025/05/17(Sat)

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お知らせ 2025年7月7日に khelf による『英語史新聞』第12号がウェブ上に一般公開されました.こちらからPDFでご覧になれます.heldio のこちらの配信回,および hellog のこちらの記事でも第12号公開についてお知らせしています.公開後は khelf の X (旧ツイッター)アカウント @khelf_keio より関連情報をお伝えしますので,ぜひフォローをお願いします.2025/07/09(Wed)

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お知らせ Voicy でお届けしている「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の Video Podcast 版を開始しました.Spotify より,同名の Podcast チャンネル「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」として視聴できます.フォローをよろしくお願いします.最新回はコチラです↓ 2025/03/13(Thu)

お知らせ 2025年2月28日に,私の所属する慶應義塾大学の 公式 YouTube チャンネル「慶應義塾 Keio University」内の「研究者紹介動画」というシリーズの1回として「英語史は「英語の歴史」というよりも「英語と歴史」」慶應義塾大学文学部・堀田隆一教授」が公開されました.4分22秒ほどの公式動画です.2025/03/01(Sat)

お知らせ 新年度2024年の4月より khelf による「英語史コンテンツ50+」が始まっています.休日を除く毎日,khelf メンバーより英語史の話題が1つ上がってきます).日々,khelf 公式ツイッターアカウント @khelf_keio からも関連情報を発信しています.2024/04/19(Fri)

お知らせ 知識共有サービス「Mond」にて英語・言語に関する素朴な疑問に回答しています.最新の質問&回答はこちらよりご覧ください.2024/09/30(Mon)

Mond Latest

お知らせ 2023年7月より Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 (heldio) にて「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズを展開しています.Baugh and Cable の A History of the English Language (6th ed.) を1回1セクションずつ精読していくというシリーズです.週に1,2回程度のペースで続けています.有料配信ですが冒頭チャプターは試聴可となっていますので,ぜひ聴いてみてください.バックナンバー一覧はこちらの記事よりどうぞ.2024/02/09(Fri)

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お知らせ 2022年2月26日に,同僚の井上逸兵さんと YouTube チャンネル「いのほた言語学チャンネル(旧:井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル)」 (inohota) を始めています.毎週(水)(日)の午後6時に更新予定です.チャンネルの趣旨としては,こちらの hellog 記事あるいは Voicy でのアナウンスをご一読・ご視聴ください.直下(↓)は最新の YouTube 放送となります.本ブログの関連記事もお読みください.2022/03/10(Thu)

お知らせ 2024年7月より,Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の再放送という趣旨で,YouTube チャンネル「heltube」 にて日々配信しています.直下(↓)は最新公開の回となります.2024/08/10(Sat)

お知らせ 2025年3月6日より5月6日まで,heldio の前身である「hellog ラジオ版」 (hellog-radio) として2020--2021年に配信していた62回の配信を,こちらの YouTube にて再放送していました.2025/05/07(Wed)

hellog-radio_again

お知らせ 2021年6月2日より,英語史の音声コンテンツを配信する「英語の語源が身につくラジオ」(通称 heldio)を始めています.本ブログの姉妹版という位置づけで,音声配信プラットフォーム Voicy を通じて,英語史に関する音声コンテンツを提供しています.企画の趣旨として,こちらの hellog 記事をご一読ください.直下(↓)は最新の Voicy 放送となります.2024/07/20(Sat)

お知らせ 2023年6月2日より,上記 heldio にプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) が加わりました.毎週火木土の18:00よりお届けしています.helwa は有料配信となりますが,開設趣旨としてこちらの hellog 記事をお読みください.直下(↓)は最新の helwa 放送となります.2023/09/09(Sat)

お知らせ 2023年10月6日より,stand.fm にて「英語史つぶやきチャンネル」 を始めています.英語史の話題を不定期でカジュアルにお届けします.直下(↓)は最新の配信回となります.2025/01/28(Tue)

お知らせ 2023年1月中旬に家入葉子先生(京都大学)と堀田の共著となる,英語史研究のハンドブック『文献学と英語史研究』が開拓社より発売となります.本書についてはこちらのページで,著者が様々に紹介しています.2023/01/05(Thu)

『文献学と英語史研究』

お知らせ 2022年11月8日に『ジーニアス英和辞典』第6版が発売となりました.新版で初めて導入されたコラム「英語史Q&A」を執筆させていただいていますので,ぜひ辞典手に取って開いてみていただければと思います.コラムについては hellog でもこちらの記事群で関連する話題を取り上げています.2022/11/15(Tue)

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お知らせ 堀田ゼミの紹介ページがゼミ生により立ち上げられました.入ゼミを希望する学生は必見です.堀田による公式のゼミ紹介はこちらの記事からどうぞ.2022/11/04(Fri)

お知らせ ご愛読ありがとうございます,9刷が発行されています.2022年9月より電子書籍としても配信開始です.本ブログの内容を多く取り込んだ拙著『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』が2016年に研究社より出版されました.本の趣旨や補足情報のために,コンパニオン・サイト (naze) を用意していますので,そちらも是非ご覧ください.また,本ブログ内の「#2764. 拙著『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』が出版されました」にも紹介があります.2024/08/10(Sat)

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お知らせ このたび様々な言語における標準化の歴史を題材とした本が出版されました.高田 博行・田中 牧郎・堀田 隆一(編著)『言語の標準化を考える --- 日中英独仏「対照言語史」の試み』 大修館,2022年.
本ブログ内でも本書の紹介記事をいくつか書いていますので,そちらもご覧ください.さらに,7月9日と8月1日には2回にわたって3編者対談を Voicy で配信しましたので,ぜひこちらこちらより各々お聴きください.

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お知らせ 本ブログベースの拙著『英語史で解きほぐす英語の誤解 --- 納得して英語を学ぶために』の第4刷が出ています.本書のコンパニオン・ページ及び著者による紹介ページをご覧ください.また,本書の内容に沿ったブログ記事へのリンク (hogusu) はおすすめです.2018/09/02(Sun)hogusu_front_cover_small

お知らせ 「手軽に英語史を」というコンセプトで,地味に「hellog ラジオ版」 (hellog-radio) を始めています.1つ数分以内のコンテンツです.これまでのコンテンツ一覧よりどうぞ.2020/07/09(Thu)

お知らせ 大修館『英語教育』の2020年3月号に,連載「英語指導の引出を増やす 英語史のツボ」の第12回(最終回)の記事が掲載されています.今回の話題は「なぜアメリカ英語はイギリス英語と異なっているのか」です.どうぞご一読ください.2020/02/14(Fri)eigokyouiku_rensai_12_20200214_front_cover_small.jpg

お知らせ 1月5日発売の英語学習誌『CNN English Express』2月号に「歴史を知れば納得! 英語の「あるある大疑問」」と題する拙論が掲載されています.英語史の観点から素朴な疑問を解くという趣向の特集記事で,英語史の記事としては珍しく8頁ほどの分量を割いています.どうぞご一読ください.hellog 内の紹介記事もどうぞ.2019/01/07(Mon)cnn_ee_201902_front_cover_small

お知らせ 私も一部執筆している服部 義弘・児馬 修(編) 『歴史言語学』朝倉日英対照言語学シリーズ[発展編]3 朝倉書店,2018年.が2018年3月に出版されました.日本語史と比較対照しながら英語史や英語の歴史的変化について学べます.本ブログ内の#3283の記事にも簡単な紹介がありますのでご覧ください.2018/04/23(Mon)

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お知らせ Simonn Horobin 著 Does Spelling Matter? の拙訳『スペリングの英語史』が早川書房よりより出版されました.紹介記事として,本ブログ内の「#3079. 拙訳『スペリングの英語史』が出版されました」「#3080. 『スペリングの英語史』の章ごとの概要」もご覧ください.2017/10/01(Sun)

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お知らせ 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』に関連する研究社ベースの連載企画「現代英語を英語史の視点から考える」が始まっています(そして12回で終わりました).2017/12/21(Thu)


最近 7 日分を以下に表示中 / 今月の一覧

2026-03-24 Tue

#6175. first and foremost 「いの一番に,真っ先に」には最上級接尾辞が4つ含まれている! [adverb][adjective][comparison][superlative][oe][suffix][-st]

 first and foremost 「いの一番に,真っ先に」というフレーズがある.f で頭韻を踏んでおり,強弱強弱のリズムも心地よく,韻律的によく整った言い回しだ.OED によると,14世紀後半の Langland による Piers Plowman に初出している.

c1400 (c1378) Þat she furste & formest ferme shulde bilieue. (W. Langland, Piers Plowman (MS Laud 581) (1869) B. xix. l. 116 [Composed c1378]


 firstforemost も「前」を意味する印欧語根 */pr-/ を含んでいるが,付いている語尾が異なる.first は最上級接尾辞 -est に相当する接尾辞を示し,foremost はまた別の最上級接尾辞 -most を示している.後者は,最上級を作る副詞 most と同じ形態を示しているが,起源は異なり,-m と -ost に分かれる.-m は印欧祖語にまで遡る最上級接尾辞であり,-ost は上述の最上級接尾辞 -est の異形と言っておこう.つまり,foremost は「2重最上級」といってよい語形成を示しているのだ.
 古英語では,-m のみをもつ forma が「一番の」の意味で最もよく用いられた.ほかに fyr(e)st もあったし,2重最上級の fyrmesta なども用いられた.最後のものは,中英語期になると most の異形が接尾辞として付いているものと解釈されるようになり,形態的にもそれに引きつけられ -most となった.その結果が,現代の foremost である.
 標題のフレーズには,いわば -st, -m, -ost, -most の4つの歴史的な最上級接尾辞が折り重なって共存しているといえるのだ.
 古英語の事情については,以下の Lass (214) からの引用を参照.

1st. Go fruma, OE forma. This is from a base */pr-/ meaning 'before', plus the superlative suffix */-mo-/ (§8.4.2 above), i.e. it has precisely the sense 'foremost'. Similar forms occur in other IE dialects, e.g. Gr prá-mo-s, Li pìr-ma-s. There is an alternative type with the superlative */-istα-/, e.g. OE fyrst < */fur-ist-/, which of course comes down as ModE first, OIc fyrst-r.


 ・ Lass, Roger. Old English: A Historical Linguistic Companion. Cambridge: CUP, 1994.

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2026-03-23 Mon

#6174. 副詞の比較級 -er と最上級 -est の起源を求めて [adverb][adjective][comparison][superlative][oe][germanic][suffix][rhotacism]

 「#6170. 形容詞の比較級 -er と最上級 -est の起源を求めて」 ([2026-03-19-1]) を受けて,今回は同形となる副詞に付く接尾辞 -er, -est の起源を考える.比較言語学的には別々に見ていく必要があるからだ.
 Lass (§8.4.2; p. 208) より,関連する2段落を引用する.古英語の副詞の比較級・最上級について論じている箇所だ.

   Comparison of adverbs is usually in {-or}, {-ost}, occasionally spelled <-ur, -ar, -ust, -st>; the comparative reflects a PGmc */-o:-z/ (Go -ōs). By normal WGmc sound changes (as in the a-stem nom sg */-α-z/), the /r/ should have disappeared in OE; it is most likely retained by analogy to adjectival comparison.
   The superlative has the same vowel, but with the presumably adjectival superlative suffix */-st-/; in many cases there is an */-m-/ formative as well, giving a double superlative: inne-m-est 'inmost', ūte-m-est 'outmost' (cf. inne 'inside', ūte 'outside'). The simplex type can be seen in for-m-a 'first' (cf. for-e 'in front', and the discussion of ordinal numerals in §8.4.3), hinde-m-a 'last' (hinder 'behind'). This */-m-/ occurs in Gothic as well (fru-m-ist-s 'first'), though not elsewhere in West Germanic; it is an old IE marker, and can be seen in the Latin parallel to for-m-a, fru-m-ist-s, ie. pri-m-u-s 'first'.


 これを念頭に,先日の記事 ([2026-03-19-1]) と合わせて,形容詞・副詞の比較級・最上級接尾辞について,その起源と発達を整理してみたい.

 ・ 形容詞の比較級接尾辞 -er: AタイプとBタイプの混合.Bタイプの起源について定かではないが,副詞を形成した o-stem の奪格語尾の反映形を含むか.
 ・ 副詞の比較級接尾辞 -er: 副詞と強く結びつけられるBタイプに由来する.r が残るのは,形容詞の比較級接尾辞からの類推か.
 ・ 形容詞の最上級接尾辞 -est: Aタイプに由来する.あるいは,Bタイプの母音が弱化した形態に由来するとも考えられる.
 ・ 副詞の最上級接尾辞 -est: 副詞と強く結びつけられるBタイプに由来する.子音部分については,形容詞の最上級接尾辞の対応物を取り入れたものか.

 本来4つの語尾は互いに異なる形態を示していた.それが,形容詞と副詞の間で,また比較級と最上級の間で,複雑な類推を繰り返した結果,似通ってきた,と考えておくのがよさそうだ.中英語期までにはほぼ現代の分布にたどり着いていたが,そこに至るまで,つまりゲルマン祖語から古英語期にかけては,様々な過程が繰り広げられていたと想像される.

 ・ Lass, Roger. Old English: A Historical Linguistic Companion. Cambridge: CUP, 1994.

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2026-03-22 Sun

#6173. 3月28日(土),朝カル講座の冬期クール第3回「be --- 英語の「存在」を支える超不規則動詞」が開講されます [asacul][notice][hel_education][helkatsu][be][verb][auxiliary_verb][aspect][tense][mood][suppletion]


asacul_20260131.png



 今年度の毎月,朝日カルチャーセンター新宿教室にて「歴史上もっとも不思議な英単語」と題して,英語史のシリーズ講座を展開してきました.『英語語源辞典』(研究社)や『英語語源ハンドブック』(研究社)をお供に,毎回,日常的な単語を1つ取り上げ,そこから縦横無尽に広げたり掘り下げたりしつつ,ダイナミックな英語史を味わおうという趣旨で進めてきました.
 今度の土曜日の回は,今年度のシリーズとしては最後となる第12回です.話題としては,最終回に相応しい単語として be 動詞を選びました.90分ではとても語り尽くせそうにない大物単語です.最初に出会う英単語の1つであり,かつ何年も英語を学んできても必ずしもうまく使いこなせない,そんな be 動詞の謎と魅力に迫ります.
 以下,be 動詞をめぐってどんな論点があり得るのか,ブレスト風に書き出してみます.

 ・ be 動詞の起源は?
 ・ be 動詞の歴史的異形を覗いてみよう!
 ・ be 動詞の特殊性5点
 ・ be 動詞は動詞でもあり助動詞でもある
 ・ 存在を表わす be 動詞
 ・ 連結辞 (copula) としての be 動詞
 ・ 仮定法過去 If I were/was a bird, . . . をめぐる考察
 ・ be 完了とは?
 ・ be 動詞は人称・数・時制・相・態・法を表わすことができる
 ・ 死に絶えた be 動詞
 ・ ain't をめぐる社会言語学的考察
 ・ 非標準変種における be 動詞の使われ方

 ほかにも思いつく点がたくさんあります.講座では,なるべく多くの点に触れ,この得体の知れない,しかし常に付き合って行かざるを得ないナゾの動詞に90分間漬かっていきましょう!
 講座への参加方法は,今期もオンライン参加のみとなります.リアルタイムでの受講のほか,2週間の見逃し配信サービスもあります.皆さんのご都合のよい方法でご参加いただければ幸いです.開講時間は 15:30--17:00 となっています.講座と申込みの詳細は朝カルの公式ページよりご確認ください.そして,ぜひお手元に『英語語源辞典』や『英語語源ハンドブック』もご用意いただください.講座が何倍も楽しくなります.
 ご案内した講座のお知らせは,先日の heldio でも「#1754. 3月28日の朝カル講座は be --- 英語の「存在」を支える超不規則動詞」として予告編をお届けしましたので,そちらも合わせてお聴きください.

 さて,今回で2025年度のシリーズは一区切りとなりますが,4月からも2026年度の新シリーズが始まります.新シリーズ開始とはいっても,少なくとも春期クールについては,2025年度のシリーズの主題「歴史上もっとも不思議な英単語」は引き継いでいく予定です.毎回1つの英単語に注目してダイナミックな英語史の動きを追っていきますが,新年度からは2月25日に研究社より刊行された『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』の古い英語の原文テキストを参照しつつ展開する予定です.新年度春期クールについては,すでに朝カルの公式の案内も出ていますので,そちらから詳細をご確認ください.

 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
 ・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.

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2026-03-21 Sat

#6172. 形容詞比較級接尾辞 -er と単純形副詞のゼロ語尾の接点? [adjective][adverb][comparison][oe][germanic][suffix][ablative][flat_adverb][-ly]

 一昨日,昨日と「#6170. 形容詞の比較級 -er と最上級 -est の起源を求めて」 ([2026-03-19-1]) と「#6171. 形容詞比較級接尾辞 -er の起源の1つかもしれない */-o:z-/ は古い奪格語尾を含む」 ([2026-03-20-1]) として取り上げてきた話題から,少し脇道に逸れてみたい.
 Lass (§8.4.2; p. 207) に当たるなかで,古英語で最も典型的だった副詞形成語尾 -e が,古英語の形容詞比較級接尾辞 -ra を構成する要素と起源を一にするという可能性に行き当たった.起源となる形態は,昨日の記事で話題にした通り,ゲルマン祖語の o-stem の奪格語尾ということである.ただし,その奪格語尾にも母音階梯の異なる2つの形態を想定している.

The most widespread OE formation is in {-e}, probably from the e-grade of the ablative, corresponding to L {-ē} < */-e:-d/: L facillim-ē 'easily', whose ablative origin is clear in OL facilum-ēd. So OE wīd 'wide', adv wīd-e, gelīc 'similar', adv ge-līc-e, etc.


 これに続き,単純副詞と -ly 副詞の各々の起源にも言い及んでおり興味深いので,そちらも引用する.

Since {-e} was typically added to adverbialize the extremely common adjectives in -līc, the complex {-līce} was reinterpreted during OE times as an adverbial ending in itself, and there were thus a number of doublets off the same base: from heard 'hard' the adverbs heard-e, heard-līc-e, from hwæt 'brave' hwæt-e, hwæt-līc-e. (Our ModE adverbial {-ly} is of course the descendant of {-līce}.


 単純副詞と -ly 副詞に関する話題は,flat_adverb の各記事を参照.

 ・ Lass, Roger. Old English: A Historical Linguistic Companion. Cambridge: CUP, 1994.

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2026-03-20 Fri

#6171. 形容詞比較級接尾辞 -er の起源の1つかもしれない */-o:z-/ は古い奪格語尾を含む [adjective][adverb][comparison][oe][germanic][suffix][ablative]

 昨日の記事「#6170. 形容詞の比較級 -er と最上級 -est の起源を求めて」 ([2026-03-19-1]) で,-er の起源として2つのタイプがあったことをみた.2つめのタイプはゲルマン祖語 */-o:z-/ に遡るとされるが,特にこの長母音がどこから現われたのかが判然としない.1つの説は,昨日の引用内でも触れられていたように, Krahe が提唱しているもので,副詞語尾に遡るのではないかという.そして,この副詞語尾はゲルマン祖語の a-stem の奪格 (ablative) に由来するのではないかと.
 この辺りの事情について,Lass が別の箇所 (§8.4.2; p. 207) でもう少し解説してくれているので,それを読んでみよう.古英語の副詞の語形成に関する節より引用する.

. . . . One widespread marker is the o-stem ablative sg */-o:-d/ < */-o-ed/ or its later e-grade */-e:-d/. The o-grade appears in Latin adverbs of the type subit-ō (see §6.3.2), perhaps in Greek adverbs in -os; in Germanic it is transparent in the type Go ga-leik-ō 'similarly', OS gi-līc-o, OHG gi-līhh-o. This is common in Gothic, and is the normal formation in OS and OHG.
   In OE, this */-o:/ appears as /-α/, and only in a restricted class of adverbs from adjectives in */-inγ-, -unγ-/, e.g. wēn-ing-a 'perhaps', dearn-ung-a 'secretly'.


 古英語では -a 副詞に反映されている語尾ということになるが,現代では跡形も残っていない.しかし,もし Krahe 説が正しいとすれば,形容詞比較級接尾辞 -er の母音部分にそのわずかな痕跡を認められる,とも言い得る.

 ・ Lass, Roger. Old English: A Historical Linguistic Companion. Cambridge: CUP, 1994.

Referrer (Inside): [2026-03-21-1]

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2026-03-19 Thu

#6170. 形容詞の比較級 -er と最上級 -est の起源を求めて [adjective][adverb][comparison][superlative][oe][germanic][suffix][rhotacism]

 形容詞や副詞の比較級接尾辞 -er と最上級接尾辞 -est が,いかにして現代の形態として定着したのか.この問題には,ゲルマン祖語以降,古英語を経て中英語に至るまでの様々な変化が複雑に関わっており,まったく単純ではない.また,比較級と最上級を作るには,もう1つ迂言的な方法があり,それぞれ more, most を付けるとされるが,歴史的にはこれらと上記接尾辞の形態との関わりも深い(cf. 「#1307. mostmest」 ([2012-11-24-1]),「#1320. LAEME で見る most の異形態の分布」 ([2012-12-07-1])).さらに,foremostutmost に見られる -most というまた別の最上級接尾辞も存在し,これらのお互いの関係も入り組んでいる.
 今後,これらの問題を1つひとつ紐解いていきたいと考えている.まずは,形容詞(副詞ではなく)の比較級 -er と最上級 -est の起源について調べてみた.Lass (§6.3.2; pp. 149--50) を引用することから始めよう.

There were two regular comparative/superlative formations in Germanic, which can be illustrated by Gothic and Old English forms:

(6.33)A.*/-iz-, -ist-/
  PositiveComparativeSuperlative
 Goalþ-eis 'old'alþ-iz-aalþ-ist-s
 OEealdield-raield-est
 
 B.*/-o:z-, -o:st-/
  PositiveComparativeSuperlative
 Goarm-s 'poor'arm-ōz-aarm-ōst-s
 OEearmearm-raearm-ost/-ast


Type A reflects an IE suffix found in Latin comparatives of the type mai-ōr-em 'greater' (acc [s]g) < */mag-jo:s-m̥/; the zero-grade is /-is-/, and this remnant gives (by Verner's Law) Gothic -iz-, and later with rhotacism OE -r-. The -a ending is probably from the weak n-stem noun declension. This suffix of course causes umlaut of the root vowel, and leaves behind a front /e/ in the superlative.
   The B suffix is a Germanic development of unclear antecedents; it may reflect an original a-stem (OE o-stem) ablative ending */-o:-d/, which was used to form adverbs (type: L subit-ō 'suddenly', Go ga-leik-ō 'similarly': see §8.4.2). One possible scenario (Krahe 1965: §56) is a development in these adverbs of a comparative in */-o:is-/, later */-o:-s/; this served as an analogical target for the creation of a new suffix, and its extension to the adjective. Be that as it may, both A and B suffixes appear in all the Germanic dialects, but distributed differently; the A type is commoner in Gothic, the B type in NGmc and OE, while OHG shows a pretty even mixture.
   In OE, the choice of one or the other seems to be largely lexically determined; the adjectives that most often have type A are eald (ieldra, ieldest), geong 'young' (gi(e)ngra), hēah 'high' (hīer(r)a, lang 'long' (lengra), sceort 'short' (scyrtra); others that occasionally show it are brād 'broad' (brǣdra ~ brādra, strang 'strong' (strengra ~ strangra. Some basic A adjectives sometimes have B forms as well, e.g. geong with mainly gi(e)ngra but occasionally geongra.


 現代英語の形容詞の比較級接尾辞 -er については,ゲルマン祖語や古英語の A と B の2つのタイプに遡り得るが,いずれが直接の起源であるのかは即断できない.基体の i-mutation を伴わない B タイプのほうが有力候補と私は睨んでいるが,そもそも B については,その究極の起源が不詳という事情もある.そこには副詞形成語尾が関わっている可能性があり,形容詞の枠内で論じ切ることはできなさそうだ.一方,現代の最上級接尾辞 -est については,形態的に A タイプに遡るとみてよいだろう.
 すでに状況は複雑だ.

 ・ Lass, Roger. Old English: A Historical Linguistic Companion. Cambridge: CUP, 1994.
 ・ Krahe, H. Germanische Sprachwissenschaft. II, Formelehre. Berlin: de Gruyter, 1965.

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2026-03-18 Wed

#6169. 「英語史の塔」の話題がちらほら [tower_of_hel][hel_education][kochushoho][hee][kdee][hajimetenoeigoshi][kenkyusha][helkatsu][note][inohota][voicy][heldio][helkatsu][helwa][helmate]


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 1ヶ月前の2月18日は「英語史の塔」が建った記念日です.私のhel活の歴史において,おおいに注目すべき出来事でした.この塔の建設の経緯は本ブログを含め様々な媒体で公開してきました.
 この1ヶ月の間,「英語史の塔」がジワジワと知られるようになってきました.note 上で塔に反応くださる英語史ファンの方も現われており,元気づけられている次第です.「英語史の塔」が言及されているウェブ上の主要コンテンツを,いくつか挙げておきます.

 ・ 堀田による note 記事「「英語史の塔」が建設されました」(2月18日)
 ・ hellog 記事「#6150. 「英語史の塔」が建っています」 ([2026-02-27-1])
 ・ heldio 配信「#1736. この春は英語史を始めよう! --- 「英語史の塔」の登り方」(2月28日)
 ・ Grace さんによる note 記事「「英語史の塔」建設により見えるもの」(3月1日)
 ・ heldio 配信「#1735. 「英語史の塔」をご覧ください」(3月1日)
 ・ hellog 記事「#6153. 昨朝の朝日サンヤツ広告に『古英語・中英語初歩』と『英語語源ハンドブック』が掲載」 ([2026-03-02-1])
 ・ mozhi gengo さんによる note 記事「#332. 登ってみよう英語史の塔に」(3月4日)
 ・ YouTube 「いのほた言語学チャンネル」動画91年前の市河三喜の名著が新装復刊!【いのほた言語学チャンネル第407回】(3月9日)
 ・ 堀田による note 記事「「英語史の塔」の攻略の仕方」(3月9日)

 この塔は見栄えがよいだけの代物ではありません.そこには,英語史の学び方の提案という意図が乗っています.塔としてご紹介している4冊,すなわち『はじめての英語史』『英語語源ハンドブック』『古英語・中英語初歩』『英語語源辞典』は,有機的に結びついており,どこから学び始めてもいずれは出会うべき運命の書籍です.どれからでも自由に学び始めることができますが,お薦めのルートはあります.それを,note 記事「「英語史の塔」の攻略の仕方」で公開していますので,ぜひお読みください.
 昨年から今年にかけて英語史関連の書籍が複数冊出版されており,英語史を学び始めるのに最適なタイミングとなっています.この春,皆さんも英語史を学び始めてはいかがでしょうか.私も,本ブログや他のメディアを通じて英語史の学び始めをサポートし応援するコンテンツを多く挙げていく予定です.

 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
 ・ 堀田 隆一 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』 研究社,2016年.
 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
 ・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.

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