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2026-09-05 Sat
■ #6340. start の原義はただ「始める」のではなく「急発進」 --- 私のアウトリーチ活動はいつでも急発進だった [outreach][helkatsu][etymology][synonym]
英語史を広める活動,「hel活」 (helkatsu) を展開してきた私自身の経緯を振り返ってみると,「始める」ことの難しさを何度となく実感してきた.
「始める」を表わす英単語はいくつかあるが,基本語でいえば begin と start の2つがすぐに思い浮かぶ.両語とも古英語でも使われていた生粋の本来語である.ただし,両語が担ってきた語義は当初から異なっていた.「始める」という意味の座を,古くから一貫して占めてきたのは begin のほうである.古英語の動詞 beginnan は,接頭辞 be- と動詞 ginnan 「始める」が組み合わさったもので,接頭辞の機能は当時すでに弱まっており,中立的かつ一般的な「始める」を表わす語として,古英語から現代英語に至るまで安定的に用いられてきた.
一方の start は,古英語の動詞 styrtan に遡るが,その原義は「始める」ではなかった.もともとは「跳ねる,急に飛び出す,勢いよく動く」を意味する語だった.遡れば印欧祖語の語根 *ster- "stiff" に行き着き,原義は「硬直した,こわばった」である.この語根を共有する他の英単語としては stare, stark, starve など,確かにこわばった語感のものが多い.start は,こわばって固まっていたものが,急に弾け出るイメージの動詞だったようだ.
start の「急発信」と結びつけられる語義は,現代英語の慣用表現のなかにも残っている.たとえば I started at the sound of thunder. 「私は雷の音にぎくっとした」や She started to her feet. 「彼女はさっと立ち上がった」において,start は急発進のイメージを示している.時代とともに「急」の意味が背景化してきたことは確かだが,今でもこのような表現をみれば原義を思い起こすことができるだろう.なお,関連語 startle「飛び上がらせる,びっくりさせる」も急発進の原義のイメージを現代にまで伝えている.
学術アウトリーチ活動は,「始めよう」と身構えすぎると,かえって始められないものだと,つくづく思う.考えてみれば,hellog や heldio を始めたときも,事前にあれこれ準備をし,用心を重ねてから始めようとしていた.しかし,十分すぎる準備などそもそも得られないものだ.結局のところ,傍から見ても,自分自身の感覚としても,あれは begin というより start,すなわち「急発進」,もっといえば「見切り発進」だったと思う.
アウトリーチ活動には,ある程度の準備や計画はもちろん必要だろう.けれども振り返ってみて思うのは,物事は結局のところ「急発進」でしか始まらないものなのではないか.とりわけ新しい一歩を踏み出す挑戦において,覚悟や勇気が求められる場面においては,begin ではなく start にならざるを得ない.Let's begin! ではなく,Let's start! と言っておきたい.
2026-09-04 Fri
■ #6339. reward 「見返り」が生じるのは,他の誰かが好意的に「見なす」 (regard) から --- 2重語の例 [outreach][helkatsu][etymology][semantic_change][doublet][french]
英語史を広めるアウトリーチ活動を展開しているが,その「見返り」は何か.もちろん,英語史がお茶の間に広がっていくことが,そのまま私にとってのご褒美となるのだが,それは中長期的な話しである.短期的にはどうだろうか.あるいは,より個人的な報酬は得られるのか.この問題と関連して,今回は「報酬,報い,見返り」を意味する英単語 reward に注目してみたい.
reward の語源を遡ると,この語はまったく意外な単語と2重語 (doublet) の関係にあることに気づかされる.その相手とは,regard 「見なす,評価する」である.すなわち,起源をたどれば同一の語幹に行き着くにもかかわらず,別々の経路を通って中英語期に個別に借用され,異なる形態・意味に分化した2語である.具体的には,regard は中央フランス語から,reward はノルマン・フランス語から中英語期に,(部分的には関連づけられながらも)それぞれ独立して英語へ入ってきた.
形態的な分化の背景には,ノルマン・フランス語と中央フランス語のあいだの音対応がある.ノルマン方言はゲルマン語的な /w/ 音をよく保持していたのに対し,中央フランス語ではこれが /g/ 音へと変化した.同じ対応は war と guerrilla (「戦争」を意味するフランス語 guerre に指小辞のついたもの)や,ward と guard (いずれも「守衛」)の対にも見て取れる.英語は,この2つのフランス語方言由来の語形をしばしば両方とも取り込み,意味を分化させることで語彙を豊かにしてきた.
では,意味の方はどう分かれていったのか.いずれの語も動詞と名詞の用法があるが,regard は動詞としてはほぼ原義通り「じっくり見る,見なす,評価する」という語義を保持してきた.一方,reward は名詞として,まず「見なし,評価」を意味したが,そこから「好意的に」というプラスの価値観が付け加わった.意味の良化 (amelioration) の例といってよい.さらに,「好意的な見なしに対するご褒美」,つまり「報い,報酬」へと意味の特殊化 (specialisation) も経た.今日私たちが「見返り」と呼んでいるものの原義は,突き詰めれば「好意的なまなざしを向けられること」だったのである.日本語の「見+返る」と英語の「re- + ward/gard」の語形成もとてもよく似ている.
この語源をアウトリーチ活動に重ねてみると,なかなか示唆に富む.アウトリーチ活動における reward 「見返り」とは,本来,金銭的な対価というより,「好意的に見なされること」それ自体だったのではないか.今日の私たちが身近に受け取っている「見返り」は,考えてみれば,日々の SNS 上の「いいね」なのかもしれない.この語源に照らして考えれば,reward の本質は「どう見なされるのか」にこそある.
2026-09-03 Thu
■ #6338. 英語史上の Horatio Nelson --- ロンドンと今はなきダブリンの「ネルソンの柱」に思いを馳せて [dublin][ireland][london][nelson][tabihel][history]

昨日の「#6337. 英語史上の Arthur Wellesley Wellington --- ダブリンの Wellington の生家と記念塔を眺めて」 ([2026-09-02-1]) に続き,本日もナポレオン戦争がらみの話題を1つ.イギリス軍のもう1人の英雄,ネルソン提督こと Horatio Nelson (1758--1805) を取り上げたい.Wellington が陸戦で勝利をイギリスにもたらした軍人として英語史上に象徴的に位置づけられるのだとすれば,海戦でいち早くイギリス軍に勢いをつけた Nelson もまた,同じように位置づけることができるだろう.
1805年のトラファルガーの戦 (Battle of Trafalgar) において Nelson はフランス・スペイン連合艦隊を打ち破り,自らは銃弾に倒れつつも,その後のイギリス海軍の優位を決定づけた.イギリスがヨーロッパの制海権を握ることになり,ナポレオンのイギリス侵攻の野望は打ち砕かれることになった.
先日,ロンドンのトラファルガー・スクエアに立つ「ネルソンの柱」 (Nelson's Column) を訪れた(上掲の写真).そして今,滞在中のダブリンの目抜き通り O'Connell Street には,高さ120メートルのランドマーク Spire がそびえ立っているのだが,実はこの塔には前身があった.かつて,そこにはもう1つの「ネルソンの柱」 (Nelson's Pillar) が建っていたのである.
ダブリンの「ネルソンの柱」は,1800年の連合法によってイギリスとアイルランドが合一した後の1809年,Nelson によるかの戦役の勝利を記念して建てられたものだった.ロンドンの「ネルソンの柱」(こちらは1840--43年に建設)よりも早く,ダブリンにこうした記念塔が建てられていたことになる.しかし,この柱は1966年,テロリストによって爆破され,姿を消してしまった.そこには,アイルランドの英雄ではなくイギリスの英雄を顕彰する柱だった,という影の事情が横たわっている.
ダブリンの柱が破壊された跡地には,長らく空白が残されていたが,2003年,特定の人物や国家を象徴しない,抽象的なステンレス製の尖塔,上述の Spire が新たに建てられた(下掲の写真).イギリスの英雄の記念柱から,誰のものでもない現代的なモニュメントへ.この置き換えそのものが,アイルランドとイギリスのあいだの複雑な歴史を雄弁に物語っているように思われる.

ロンドンでは今なお健在の「ネルソンの柱」と,ダブリンでは姿を消し,別のモニュメントに置き換えられた「ネルソンの柱」.同じ人物,同じ勝利を記念しながら,2つの都市でまったく異なる運命をたどったことになる.
2026-09-02 Wed
■ #6337. 英語史上の Arthur Wellesley Wellington --- ダブリンの Wellington の生家と記念塔を眺めて [dublin][ireland][wellington][tabihel][history][language_shift]

2週間ほど前の早朝,ダブリン市内をジョギングをしていたところ,思いがけず Arthur Wellesley, 1st Duke of Wellington (1769--1852) の生家とされる建物を見つけた.Merrion Street 沿い,何の変哲もない街並みの一角に,控えめなプレートが掲げられているだけだったので,危うく素通りするところだった.1769年,この家で生まれたとされている.
せっかくの発見である.翌日の早朝ジョギングでは,西の郊外に広がる公園 Phoenix Park まで足を延ばしてみることにした.ここには,遠くからでも見える背の高い(62メートル!)オベリスク型の記念塔 Wellington Monument がそびえ立っている.1815年,ナポレオン戦争のワーテルローの戦 (Battle of Waterloo) におけるイギリス軍の英雄を顕彰するために19世紀半ばに建てられたものだ.2日連続でダブリンゆかりの英雄の痕跡を追いかけるジョギングとなった.

英語史のなかに Wellington を位置づけようとすると,何が言えるだろうか.2点ほど考えてみた.まず,軍人としての顔だ.彼は上述の戦役においてイギリスを勝利に導いた.この勝利がなければ,19世紀以降のヨーロッパにおける覇権の行方は違ったものになっていたかもしれない.ナポレオン戦争での勝利によりイギリスが軍事的,政治的,経済的な覇権国としての地位を固めていき,イギリス帝国の絶頂期を準備したからこそ,英語という言語も世界的な優位性を確立させていくことができた.イギリスの勝利は,もちろん Wellington 1人のみによるものではないが,象徴的な意義をもつ軍人であることは確かだ.
もう1つは政治家としての顔である.後にイギリスの首相となった Wellington は,1829年に「カトリック解放」 (Catholic Emancipation) を実現した.カトリック教徒の公職就任を大幅に認める改革は,アイルランドにおけるカトリック教徒の社会的地位を押し上げ,結果として皮肉なことにアイルランド人たちがアイルランド語から(アイルランド)英語へと言語交替 (language_shift) していく社会的な条件を整えることになった.信仰の自由の拡大という政治的決断が,長期的には言語共同体の言語選択にまで影響を与えていたわけで,この一連の因果関係は決して単純ではないにせよ,たしかに存在していたろう.
朝のジョギング中の何気ない発見が,思いがけずイギリスの誇る軍人・政治家と英語史の関係を考えさせることになった.なお,ダブリン(アイルランドの首都)とイギリスの話題が交錯しているように思われるかもしれないが,当時は1800年の連合法 (Act of Union) を通じて,1つの国となっていたことに注意が必要である.ダブリンはロンドンに次ぐイギリス(帝国)第2の都市となっていた.
2026-09-01 Tue
■ #6336. professional とは何を profess 「公言する」人か? [outreach][helkatsu][etymology][semantic_change][borrowing][latin]
英語史のアウトリーチ活動を続けていると、自分自身の肩書きについて考えさせられることがある.私は英語史の研究者であり専門家である.専門家といえば,英語では professional であり「プロ」だ.
professional 「専門職(の)」は名詞・形容詞ともに profession 「専門職」から派生した語だ.遡ればラテン語の動詞 profitērī 「公言する,公然と述べる」に行き着く.pro- 「前へ,公然と」と fatērī 「認める,述べる」(fārī 「話す」に由来)の組み合わせであり,字義通りには「前面に出て言い表わす」という発想である.英語の動詞 profess も同根に遡り,語義はやはり「公言する」である.
後期中英語期にフランス語を経由して英語に借用された profession(al) の最初期の語義は,「(信仰を公言して)修道会に正式に入ること,誓願を立てること」という,きわめてキリスト教的なものだった.修道士・修道女になるとは,信仰を人前で「公言する」ことにほかならなかった.つまり,かつての profession とは,職業的聖職者になる誓いそのものを指した.
この宗教的な語義はやがて世俗化し,中英語末から近代英語期にかけて,神学・法律・医学という「学識ある専門職」を指すようになる.さらに後期近代英語期には形容詞 professional が「その道を生業とする」の意で確立し,対義語 amateur 「愛好家」(ラテン語で「愛する」を意味する動詞 amāre と語根を共有)との対比のなかで,現在おなじみの語感が定着していった.
こうして語史をたどってみると,professional の根底には,「公言する」という行為があったことがわかる.「プロ」とは,単に生計を立てる手段であるだけでなく,「自分はこれを専門とする者だ」と社会に向けて宣言する行為でもあったのだ.アウトリーチ活動という文脈に立ち戻るならば,専門家が自らの専門性を看板に掲げ,それを広く外へ表明していく営みこそが,professional の語源に忠実な姿ともいえる.
2026-08-31 Mon
■ #6335. 「日経BizGate」にて『なぜさんたんげん』のレビューが掲載 [notice][nazesantangen][review][3sp][shortening][blend]

8月28日,日本経済新聞のウェブメディア「日経BizGate」にて,拙著『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』(通称『なぜさんたんげん』)のレビューが公開されました.「「3単現のs」に残るこだわり 英語特有の世界観に触れる --- 『英語史で解く英文法の謎』(堀田隆一 著,NHK出版)」です.ぜひご一読ください.
レビューでは,まず表題にも掲げられている「3単現の s」の話題が取り上げられています.英語という言語が人称・数・時制という3つの区別に強くこだわり続けてきたこと,そしてその「こだわり」の生き残りとして3単現の s が現代にまで受け継がれている,という本書の見立てを,レビュアーの方は的確にすくい上げてくださっています.
この「こだわり」というのは,言語学の用語でいえば「文法カテゴリー」 (grammatical category) と呼ばれるものです.おもしろいのは,どの言語にも何らかの独特な文法カテゴリーがあるという点です.ある言語の母語話者からすると,別の言語がなぜそんな細かい区別にこだわるのか,逆になぜあの重要な区別にはまるでこだわらないのか,不思議に思えてくることがあります.ですが,これはお互い様なのですね.英語話者から見れば,日本語の敬語や助数詞のこだわりが不思議に映るでしょうし,日本語話者から見れば,英語の3単現の s や冠詞のこだわりが不思議に映ります.本書でも論じているとおり,それぞれの言語が,長い歴史のなかでたまたまこだわりを育ててきた対象が異なるというだけのことなのです.
もう1つ,レビューで意外にも多くの紙幅が割かれているのが,現代に増え続ける省略語をめぐる話題です.Goodbye のような古くからの省略語に始まり,laser のようなイニシャル取り,Brexit のような単語の切り貼りに至るまで,省略語の背景には「人類史上で最も忙しい現代人」の姿があるという本書の指摘に対し,レビュアーの方は「わずかな語を切り詰める私たちの余裕のなさを少し寂しくも感じた」と,率直な感想を添えています.
実のところ,本書でも論じたとおり,英語における省略語は,歴史を振り返ってみても20世紀以降に顕著に増えていることが明らかなのです.これほどはっきりとした偏りがあるとなると,その背後には現代に特有の何らかのモチベーションがあると考えざるを得ません.そこから私が導いた暫定的な結論が,まさに現代人の忙しさだったわけですが,こうしてレビュアーの方に指摘していただくと,改めて,確かにこれは少し悲しい結論かもしれないな,とも思います.かくいう私自身も,英語であれ日本語であれ,省略語をまったく使わずに日々のことばを紡ぐことは,もはやできない体になってしまっています.
文法の謎解きである「3単現の s」の話題以上に,この省略語をめぐる節に心を動かされたのだとすれば,それはきっと,ことばを忙しなく削り合う現代という時代の感覚を,レビュアーの方も,そして読者の皆さんも,どこかで共有しているからなのでしょう.そう思うと,他人事とは思えない,しみじみとした共感を覚える次第です.
・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.
2026-08-30 Sun
■ #6334. 英語史の月刊ウェブマガジン Helvillian の2026年9月号が公開されました [helwa][heldio][notice][helmate][helkatsu][helvillian][link][nazesantangen][helvillain_heal]
有志ヘルメイトによる月刊ウェブマガジン Helvillian 9月号が,8月28日に公開されました.通算第23号となります.
今号は,Galois さんによる秋の涼しさを感じさせる見出し画像とともに,早速本編の寄稿ラインナップが始まります.
今号も圧倒的な記事量を誇る ari さんからスタートです.犬に絡めたシリウスの話題に始まり,ベルギーの街ブリュッヘと結びつけた英語史のネタ,チーズフォンデュをめぐる一件(タイトルからは何のトピックか分かりませんが,そこは読んでのお楽しみ)など,いつもの通り縦横無尽です.拙著『なぜさんたんげん』と関連付けた記事や,heldio や Helvillian に注目したファンサイト「Helvillain Heal」を公開されたとの報告までなされ,まさに八面六臂のhel活振りです.
mozhi_gengo さんは今号でも多作です,迂言的な do の文法化から,turnstile と urchin の語源,ヴェルネルの法則とグリムの法則を絡めたヒンディー語探訪まで,比較言語学的な視点が冴えわたっています.「青椒肉絲の美味しい店」と関連づけたトピックも要注目です.
辞書通読勢も健在です.lacolaco さんの「英語語源辞典通読ノート」は D ゾーンの dice, dictionary, die まで到達しています.あまねちゃんはこの1ヶ月で通読ノートを第6弾から第9弾まで一気に4本更新し,ひそかに同辞典の「読み解き」にまで手を広げています.August の語源を遡る回や古英語 guma に迫る回も見逃せません.
教育現場からは,sorami さんの中学生向け語源クイズが第14弾,第15弾を数え,和製英語や不定冠詞 a/an,interested と interesting の使い分けといった実践的なテーマを取り上げています.みーさんの「小学生と学ぶ英語史」も引き続き絶好調で,kendama_player さんも英語史におけるヴァイキングの位置づけに関する仮説の紹介や,服部義弘先生への heldio オープンマイク企画の予告など,教育と研究の橋渡し役を果たしてくれています.
ドイツ語と英語史の定点観測を続ける ykagata さんは,rain と salad の語源記事に加え,連載「『英語語源ハンドブック』にこじつけて学ぶドイツ語」が開始から1年を迎えたことを報告しています.ドイツ語 gleich 「同じ,すぐに」と英語 alike が同語源であること,そして Zum Wohl 「乾杯」の Wohl と古英語 Wes hal 「乾杯」の hal が実は別語源だという指摘と考察は刺激的でした.川上さんは「英語と歴史」シリーズを続けられ,「英語のなぜ」やってます通信も積み重ね,地道な連載の強みを見せつけています.
Grace さんは festival という語の成り立ちと「花子」の記号論を論じ,Lilimi さんは仏検準1級の2次試験を振り返り,しーさんは「1000年前にタイムトラベルするなら何を持っていくか」というユニークな視点から「たべっ子どうぶつ」を語り,佐久間さんは梅毒がかつて「フランス病」と呼ばれた歴史を紹介するなど,語学と歴史のはざまを行き来する寄稿が並びます.こじこじ先生の3篇のオリジナル曲も,今号に彩りを添えています.
umisio さんは今号も多く寄稿しています.学校教育での英語史導入の可能性を論じた記事に始まり,「伏線(未)回収」論シリーズも展開しています.酷暑のなかで頻発する「ボケ」への対処法を熱く語る一篇も,umisio さんらしい肩の力の抜けた味わいです.巻末は,Grace さんによる「あゆみ(2026年9月)」と,umisio さんによる「編集後記(2026年9月)」で締めくくられています.
今号もまた,寄稿者それぞれの視点から英語史の奥深さを味わえる充実の号に仕上がっています.ぜひ Helvillian 9月号をじっくりとお楽しみください.そして,この hel活の輪に加わりたいと思われた方は,ぜひ Voicy プレミアムリスナー限定配信チャンネル 「英語史の輪 (helwa)」へお越しください.
(以下,後記:2026/09/02(Wed))
今回紹介した Helvilian 9月号については,heldio 配信回「#1921. Helvillian 9月号公開 --- Helvillian 校了後の編集室からで,編集委員のお2人が直々に紹介していますので,ぜひそちらもお聴きください.
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| 最終更新時間 | 2026-09-05 05:00 |
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