皆さん,なぜ Japan には -ese という語尾がつくのか,気になりますよね? *Japan-ian でもなく *Japan-ish でもなく,英語では Japan-ese ということになっています.
この問題に英語史あるいは英語歴史言語学の観点から踏み込んでみると,魅惑的かつ複雑なパズルが展開しています.khelf(慶應英語史フォーラム)の新会長の青木輝さんが,この問題に分け入っています.
今朝の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」では,青木さんとの対談でこの対談を深掘りしています.「#701. なぜ「日本人」は Japan-ese なの?の深掘り回 --- 青木輝さんとの対談」をお聴きください.
この対談のベースとなっているのは,『コロキア』 (Colloquia) の論文として公表されている以下のものです.
・ Aoki, Hikaru. "Why Japan-ese and Not Japan-ian?: Historical Relations between Demonymic Suffixes and Country Names." Colloquia 43 (2022): 85--102.
この論文に基づいて,青木さんは khelf 活動を通じて,たびたび研究成果を公開してきています.
・ 『英語史新聞』第5号の第1面の記事「人々の名称の謎を追う --- なぜ X-ish という呼び名はイギリス周辺に多いのか --- なぜ X-ish という呼び名はイギリス周辺に多いのか ---」
・ heldio 「#680. なぜ「日本人」は Japanian などではなく Japanese なの? --- 青木輝さんとの対談
・ heldio 「#683. なぜ English のように -ish のつく呼び名はイギリス周辺に多いの? --- 青木輝さんとの対談」
昨朝の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」で,同じ標題の放送回を配信しました.Voicy のコメント欄などを通じて反響をいただいています.ありがとうございます.「#686. 英語史の知識は,英語の先生が英語を教えるときに本当に役立つのか?」をお聴きください.
「英語史」という分野に多少なりとも興味をもって接しているすべての方々が意見を述べられる話題ではないかと思います.英語教員を始めとして英語史研究者から英語学習者まで,さらには英語のみならず他の外国語の教育・学習に関わる皆さんに,関心をもってもらいたいトピックです.上記放送回のコメント欄より,ご意見をお寄せいただければ幸いです.
議論の参考までに,いくつかの heldio 放送回,hellog 記事,コンテンツ,論文等にリンクを張っておきます.
・ heldio 「#310. 山本史歩子先生との対談 英語教員を目指す大学生への英語史のすすめ」
・ hellog 「#4329. 「英語史の知見を活かした英語教育」について参考文献をいくつか」 ([2021-03-04-1])
・ hellog 「#4619. 「英語史教育」とは?」 ([2021-12-19-1])
・ hellog 「#5098. 英語史を学び始めようと思っている方へ hellog と heldio のお薦め回一覧(2023年度版)」 ([2023-04-12-1])
・ hellog 「#4570. 英語史は高校英語の新学習指導要領において正当に評価されている」 ([2021-10-31-1])
・ hellog 「#4571. 英語史は中・高等学校教員養成課程のコアカリキュラムにおいて正当に評価されている」 ([2021-11-01-1])
・ 英語史コンテンツ「#59. 英語史は役に立たない,か」:khelf(慶應英語史フォーラム)顧問の N. S. 氏による,昨年度の「英語史コンテンツ50」の取りをとった論考.
・ 森田 真登 「高等学校英語教育における英語史の活用 --- OED Text Visualizer を用いて教科書本文の単語の理解を深める ---」 Colloquia 42 (2021): 125--41.
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