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eurasian - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2024-11-22 17:50

2017-02-07 Tue

#2843. Ruhlen による世界の語族 [language_family][indo-european][nostratic][eurasian][world_languages][reconstruction][comparative_linguistics]

 「#2841. 人類の起源と言語の起源の関係」 ([2017-02-05-1]) の記事で触れた Ruhlen は,言語単一起源を主張し,そこから分岐していったものとして12の超語族を設定している.これまでも,野心的な言語学者が「#1115. Nostratic 大語族」 ([2012-05-16-1]) や「#1116. Nostratic を超えて Eurasian へ」 ([2012-05-17-1]) を提案してきたが,Ruhlen も基本的にその流れを汲んでいる.
 Ruhlen (29) では,系統図そのものは与えられておらず,12の超語族が以下のように列挙されている.

1. Khoisan
2. Niger-Kordofanian:
    a. Kordofanian
    b. Niger-Congo
3. Nilo-Saharan
4. Australian
5. Indo-Pacific
6. Austric:
    a. Austroasiatic
    b. Miao-Yao
    c. Daic
    d. Austronesian
7. Dene-Caucasian:
    a. Basque
    b. (North) Caucasian
    c. Burushaski
    d. Nahali
    e. Sino-Tibetan
    f. Yeniseian
    g. Na-Dene
8. Afro-Asiatic
9. Kartvelian
10. Dravidian
11. Eurasiatic:
    a. Indo-European
    b. Uralic-Yukaghir
    c. Altaic
    d. Korean-Japanese-Ainu
    e. Gilyak
    f. Chukchi-Kamchatkan
    g. Eskimo-Aleut
12. Amerind


 なお,上記では,アメリカ先住民の諸言語を分類するにあたって,Greenberg が提案したように,Amerind, Na-Dene, Eskimo-Aleut の3つの語族の設定に従っている.これを含め,上の分類の多くの箇所について論争があることも留意しつつ,上記の分類が,Ruhlen によるものであることを強調しておきたい.
 Na-Dene 周辺を巡る「デネ・コーカサス仮説」 (the Dene-Caucasian hypothesis) については,「#652. コーカサス諸語」 ([2011-02-08-1]) を参照.また,語族ごとの話者数について,「#1949. 語族ごとの言語数と話者数」 ([2014-08-28-1]) を参照.

 ・ Ruhlen, Merritt. The Origin of Language. New York: Wiley, 1994.

Referrer (Inside): [2017-02-08-1]

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2012-05-17 Thu

#1116. Nostratic を超えて Eurasian へ [language_family][indo-european][nostratic][eurasian][world_languages][map][family_tree][comparative_linguistics]

 昨日の記事[2012-05-16-1]で「#1115. Nostratic 大語族」の仮説 (The Nostratic Theory) を紹介したが,現在,歴史言語学および言語類型論の関心から,さらに上を行く壮大な言語系統図の構想が抱かれている.
 1つには,Nostratic 大語族とは独立した大語族として,North Caucasian, Sino-Tibetan, Yeniseian, Eyak-Athapascan の4語族を含む Sino-Caucasian あるいは Dene-Caucasian 大語族が提案されている([2011-02-08-1]の記事「#652. コーカサス諸語」の一番下の図を参照).それに加えて,アメリカ・インディアンのほとんどの言語を含むといわれる Amerind 大語族(この語族の設定自体が論争の的となっている)の仮説が唱えられている.Ruhlen は,究極の Eurasian 祖語を仮設し,上記の大語族間の系統関係を次のように想定した(Gelderen, pp. 31 の図をもとに作成).

Family Tree of Eurasian


 Eurasian を仮定したとしても,アフリカの3語族,オーストラリアの語群,太平洋の語群は,これに包含されず,孤立している.いずれも Eurasian 祖語以前に分裂したものと想定される.
 Geldren (29--32) は,英語史概説書としては珍しく,このような大語族の仮説にまで踏み込んで記述しており,有用.世界の諸語族については,[2010-05-30-1]の記事「#398. 印欧語族は世界人口の半分近くを占める」や,Ethnologue より language family index が参考になる.Oxford 提供のユーラシア大陸の簡単な言語地図も参照.  *  

 ・ Gelderen, Elly van. A History of the English Language. Amsterdam, John Benjamins, 2006.
 ・ Ruhlen, Merritt. The Origin of Language. New York: Wiley, 1994.

Referrer (Inside): [2017-02-07-1] [2017-02-05-1]

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