語源というと,1つの単語の来歴をひたすら遡っていく「縦」の探究をイメージしがちです.しかし,意味に注目した類義語の関係など,語彙の「横」の広がりに目を向けることでも,英単語のおもしろさは十分に味わえます.そんな視点を存分に盛り込んだのが,sorami さんによる「授業で使える!中学生向け英語語源クイズ」シリーズの第18弾「授業で使える! 中学生向け英語語源クイズ#18~train/king/人/語順~」です.9月19日に公開された新作を紹介しましょう.
まずは train, coach, bus という身近な乗り物の名前をめぐる出題です.単語ごとの語源を丁寧に追うだけでなく,coach と train がそれぞれ別の経路をたどりながら,現代英語ではどちらも「指導者,コーチ」という意味へと収斂していく様子が示されており,語源の縦の深掘りに終始しない,語彙の横の広がりに注目した構成になっています.単語どうしを線ではなく面で捉える視点を養ってくれる好例です.
続くのは,king にまつわる問題です.「○○の王様」を意味する比喩表現から始まり,さらに視野を広げて,英語,フランス語,ドイツ語など複数の言語における王の名前の対応関係へと話題が及びます.同じ人物を指す名前が言語ごとにどのように姿を変えるのか,という対照言語学的な視点は,中学生にとっても新鮮な驚きとなりますね.
さらに,person, people, man, human という「人」を表す複数の英単語を比較する問題も用意されています.似たような意味をもつ単語がなぜこれほど複数併存しているのか,その背景には借用の重なりという英語語彙史ならではの事情が潜んでいます.語彙どうしの意味の守備範囲の違いを見極めさせる出題です.
そして今回最後に控えているのは語順の問題です.世界の諸言語を,主語・動詞・目的語の並べ方によって類型的に比較するという,もはや単なる「英語語源クイズ」の枠には収まらない内容にまで踏み込んでいます.
英語史において語順に関する話題は最重要テーマの1つです.現代英語は語順が厳格に固定された言語ですが,古英語期には名詞の格変化が豊かだったため,語順は比較的自由でした.屈折語尾が衰退する過程で語順そのものが文法機能を担うようになり,現代のような固定語順が確立していったのです.このあたりの語順をめぐるダイナミックな変化については,拙著英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか(NHK出版)の第1章第1節でも詳しく解説しています.今回のクイズと合わせてお読みください,「英語のなぜ」の背景にある歴史のロマンがより立体的に見えてくるはずです.
今回もまたまた,作者の sorami さん自ら「授業の小ネタ,ウォームアップ,グループ活動などに自由に使っていただければ幸いです.ALT の先生を巻き込むのもありですね!」と呼びかけてくださっています.pdf 形式の印刷用資料も用意されていますので,英語の教材として学校の授業やサークルなどですぐにでも活用できます.
sorami さんのクイズ・シリーズの主な典拠となっているのは,刊行から1年3ヶ月ほどが経つ『英語語源ハンドブック』(研究社)です.今年の6月30日には物書堂より『英語語源ハンドブック』アプリ版 (iOS) も発売されていますので,ぜひこちらよりチェックしてみてください.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉,2026年.
Baugh and Cable の名著 A History of the English Language, 6th ed. を,helwa の Taku さんこと金田拓さん(帝京科学大学)さんとともに1文(いな1語)ずつ読み進めていく「超」精読会.「#1939. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (65-5) with Taku さん --- helwa 北千住オフ会より」です.
前回は「洗礼」「聖餐」「捧げ物」といった単語が,借用語に頼らず本来語の意味拡張によって表現されていたことを見ました.今回はその射程がさらに広がります.対象は「聖典」「福音」「三位一体」,そして神・キリスト・聖霊そのものを指す語彙です.Scriptures に対応する gewritu,evangelium に対応する godspell,Trinity に対応する þrines(3性).神という概念だけでも,scieppend(形づくる者),fruma(創始者),metod(測る者)という複数の本来語が並行して用いられていました.さらに fæder, dryhten, wealdend, þēoden, weard, hlæford といった,父・君主・支配者・守護者を意味する語群までもが,神やキリストを指す同義語として重ねて用いられています.
興味深いのは,godspell が現代英語に gospel としてそのまま生き残っている一方,gewritu は廃れ,ラテン系の Scripture(s) にその座を譲ったことです.同じように古英語において本来語で置き換えられた語彙のなかにも,その後の歴史を通じて生き残ってきたものと消えていったものがあります.この明暗にこそ,英語史の醍醐味が宿っています.今回精読した英文を以下に掲げます (Baugh and Cable, p. 86) .
The term Scriptures found its exact equivalent in the English word gewritu, and ēvangelium was rendered by godspell, originally meaning good tidings. Trinity (L. trinitas) was translated þrines (three-ness), the idea of God the Creator was expressed by scieppend (one who shapes or forms), fruma (creator, founder), or metod (measurer). Native words like fæder (father), dryhten (prince), wealdend (ruler), þēoden (prince), weard (ward, protector), and hlāford (lord) are frequent synonyms. Most of them are also applied to Christ, originally a Greek word and the most usual name for the Second Person of the Trinity, but Hǣlend (Savior) is also commonly employed. The Third Person (Spiritus Sanctus) was translated Hālig Gāst (Holy Ghost).
「対面/オンラインで議論に参加してみたい」という方は,ぜひ Voicy のプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」の門を叩いてみてください.古英語話者たちの豊かな言語感覚を,皆さんもぜひ一緒に味わってみませんか.過去回は「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) にまとまっています.

・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
heldio/helwa コアリスナーの sorami さんによる,『英語語源ハンドブック』(研究社)に基づいた英語語源クイズ・シリーズが,隔週土曜日のペースで着実に更新を重ねています.9月5日に公開された最新回は,「授業で使える! 中学生向け英語語源クイズ#17~比較級・最上級~」と題する第17弾です.今回は比較級という,英文法の授業で必ず扱われる基本文法事項を切り口にした構成になっています.
全7問というボリュームです.早速中身に触れてみましょう.冒頭を飾るのは,near と next の語源的な関係を問う問題です.near はもともと nigh「近い」の比較級でした.現代英語の私たちが単純な原級として使っている near は,実は由来をたどれば比較級だったのですね.そして next はその最上級形にあたります.同じ発想は,first と last にも見られます.両語とも,古い時代には別語幹の最上級として機能していたものが,のちに独立した基本語として定着しました.
中盤では,ラテン語由来の比較級表現に焦点が当てられます.senior や major ,minor ,junior といった語は,形こそ現代英語のなかでは原級のように使われていますが,もとをたどればラテン語の比較級語尾 -ior を伴う正真正銘の比較級です.また,音楽用語として日本語にもすっかり定着している fortissimo や pianissimo は,イタリア語の最上級語尾 -issimo を伴う語形であることも紹介されています.「とても強く」「とても弱く」という意味は,実は文法的には最上級だったというわけです.普段何気なく使っている外来語のなかに,比較級・最上級の化石が埋め込まれているとは,なんとも興味深い話ですね.
後半では,Health is better than wealth. のような比較級を含むことわざの穴埋め問題や,futon ,hibachi ,satsuma といった,英語にそのまま取り込まれた日本語由来の語彙を扱う問題が並びます.日本語話者にとっては見慣れた単語が英語の辞書にそのまま載っているという事実に,改めて驚かされます.
そして締めくくりには,「現代の不規則動詞は,かつては規則動詞だった」という,英語史ならではの逆説的な事実に触れる問いが用意されています! 規則・不規則という現代の分類は,あくまで現代英語の断面を切り取った結果に過ぎず,通時的にみれば,むしろ多くの「不規則」のほうが,古い規則性の生き残りであることも少なくないのです.
sorami さんは今回も,「これからも『英語語源ハンドブック』をもとにした英語クイズを少しずつ投稿していきます.(隔週土曜日更新予定)」と結ばれています.全国の英語教員の皆さん,ぜひこのクイズを授業の小ネタやウォームアップにご活用ください.比較級・最上級という身近な文法事項の背後に,これほど豊かな歴史が眠っているとわかれば,生徒たちの英文法に対する見方もきっと変わるのではないでしょうか.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

先日の記事「#6341. ha'penny 「半ペニー」 --- ダブリンの Ha'penny Bridge より」 ([2026-09-06-1]) で「明日も明後日もこの橋を渡ることにしよう」と書いたが,実際には毎朝のジョギングのコースは日によって変わる.すでに定番コースの1つでもあるのだが,今朝は Ha'penny Bridge からさらに下流方面に走り,Liffey 川が海へと近づいていく Docklands 地区で,異彩を放つ橋を横目に走った.Samuel Beckett Bridge である.2009年に竣工の比較的新しい橋だ.アイルランドの国章でもあるアイリッシュ・ハープ (Irish harp) を横倒しにした形そのものの橋だ.橋は北岸と南岸の通りを結ぶ交差点も兼ねており,信号待ちがてら,ここでひと息つくことが多い.
この橋の形が象るハープは,アイルランド共和国の紋章やギネスビールのロゴにも用いられる国民的な象徴だが,橋のたもとに立つと,その意匠の大胆さに見とれる.ちなみに,最近の heldio は,この早朝ジョギングの復路にて,この橋の付近で屋外収録を行なうことが増えている.川の風にあおられながらの収録は,臨場感があってなかなか気に入っている.
さて,この橋の名の由来となった Samuel Beckett (1906--89) は,ダブリン近郊 Foxrock の生まれ.Waiting for Godot (原題は仏語 En attendant Godot, 1952年)をはじめとする不条理演劇の傑作で知られ,1969年にノーベル文学賞を受賞したアイルランド出身の作家である.英語史の観点からも見逃せないのは,Beckett はフランス在住作家だったが,英語とフランス語の両言語で創作し,しかも自作を自ら他方の言語へと訳し直す自己翻訳を生涯にわたって実践した稀有な作家だという点だ.削ぎ落とすように言葉を切り詰めていく彼の作風は,2つの言語のあいだを往還するなかで,いっそう研ぎ澄まされていったのだろうか.
Beckett のよく知られた箴言の1つに,次の文句がある.晩年の散文作品 Worstward Ho (1983) の冒頭の表現だ.
Ever tried. Ever failed. No matter. Try again. Fail again. Fail better.
「やってみた.失敗した.それがどうした.また挑戦せよ.また失敗せよ.もっとうまく失敗せよ.」今日では Fail better. の部分だけが自己啓発やビジネスの文脈で独り歩きし,すっかり紋切り型のスローガンと化している.しかし,やはり味わいがある.
この教訓は,あらゆる失敗に等しく当てはまるわけではないだろう.取り返しのつかないほど大きな失敗をしてしまうと,そう簡単には次の挑戦に向けて立ち上がれないものだ.しかし,やり直しのきく小さな失敗であれば,この箴言はそのまま生きた指針になる.失敗そのものをいちいち気に病まず,成功するまで淡々と続けよ,ということだ.
ただし,実践する側にとって本当に難しいのは,まさにそこである.次の挑戦が実るのが1週間後なのか,1ヶ月後なのか,1年後なのか,それとも10年後なのか,誰にも前もっては分からない.No matter. と割り切れるだけの余裕は,見通しの立たない時間の長さの前で,しばしば試される.
思えば,アイルランド出身の作家には,Beckett にせよ Swift にせよ,寸鉄人を刺す箴言の名手が数多く出ている.先日立ち寄った土産物屋の店先にも,アイルランド出身作家たちの箴言をあしらった「箴言マグネット」なるものがたくさん並んでいた.1つ1つ手にとって読むたびに思わずウームとうなってしまい,買って帰って冷蔵庫にでも貼ろうかと,本気で悩んでしまうほどだ.
キリスト教の中核をなす概念を,ラテン語からの借用に頼らず,本来語の意味を巧みに転用することで表現していく.そんな古英語期の言語的創意工夫を物語るテーマを,Baugh and Cable の名著 A History of the English Language, 6th ed. を通じて Taku さんと読み進める「超精読会」の最新回でお届けします.
今朝の heldio 最新回は,「#1932. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (65-4) with Taku さん --- helwa 北千住オフ会より」です.今回もナビゲーターは,helwa/heldio ではお馴染みの Taku さんこと金田拓さん(帝京科学大学)が務めてくださいました.
今回は前回に引き続きキリスト教に関連する動詞や名詞が本来語で表現される例が挙げられています.具体的には「洗礼」「聖餐」「捧げ物」という,キリスト教の教義の核心に触れる単語群です.借用語ではなく,本来語の意味の拡張・応用によってどう表現されたかが読みどころです.
fullian(清める)から派生した fulluht(洗礼)は,fulluht-bæþ(洗礼盤)や fulluht-fæder(名付け親)など,数々の複合語を生み出しました.また,ゲルマン語本来の hūsl(聖餐)や lāc(捧げ物)が,キリスト教の儀式を指す語として転用されている点も要注目です.異教の語彙が新しい宗教的な意味の器として再利用される --- ここに,古英語話者たちの言語的な戦略が見て取れます.今回精読した英文を以下に掲げましょう (Baugh and Cable, p. 86) .
For baptize (L. baptizāre), the English adapted a native word fullian (to consecrate), while its derivative fulluht renders the noun baptism. The latter word enters into numerous compounds, such as fulluht-bæþ (font), fulwere (baptist), fulluht-fæder (baptizer), fulluht-hād (baptismal vow), fulluht-nama (Christian name), fulluht-stōw (baptistry), fulluht-tīd (baptism time), and others. Even so individual a feature of the Christian faith as the sacrament of the Lord's Supper was expressed by the Germanic word hūsl (modern housel), while lāc, the general word for sacrifice to the gods, was also sometimes applied to the Sacrifice to the Mass.
1文ずつ丁寧に読み解いていくこの営みは,地味に見えて,実は英語史のおもしろさの核心に触れる時間でもあります.過去回のアーカイブは「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) からたどれます.ご興味を持たれた方は,Voicy のプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」へもぜひ.

・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
有志ヘルメイトによる月刊ウェブマガジン Helvillian 9月号が,8月28日に公開されました.通算第23号となります.
今号は,Galois さんによる秋の涼しさを感じさせる見出し画像とともに,早速本編の寄稿ラインナップが始まります.
今号も圧倒的な記事量を誇る ari さんからスタートです.犬に絡めたシリウスの話題に始まり,ベルギーの街ブリュッヘと結びつけた英語史のネタ,チーズフォンデュをめぐる一件(タイトルからは何のトピックか分かりませんが,そこは読んでのお楽しみ)など,いつもの通り縦横無尽です.拙著『なぜさんたんげん』と関連付けた記事や,heldio や Helvillian に注目したファンサイト「Helvillain Heal」を公開されたとの報告までなされ,まさに八面六臂のhel活振りです.
mozhi_gengo さんは今号でも多作です,迂言的な do の文法化から,turnstile と urchin の語源,ヴェルネルの法則とグリムの法則を絡めたヒンディー語探訪まで,比較言語学的な視点が冴えわたっています.「青椒肉絲の美味しい店」と関連づけたトピックも要注目です.
辞書通読勢も健在です.lacolaco さんの「英語語源辞典通読ノート」は D ゾーンの dice, dictionary, die まで到達しています.あまねちゃんはこの1ヶ月で通読ノートを第6弾から第9弾まで一気に4本更新し,ひそかに同辞典の「読み解き」にまで手を広げています.August の語源を遡る回や古英語 guma に迫る回も見逃せません.
教育現場からは,sorami さんの中学生向け語源クイズが第14弾,第15弾を数え,和製英語や不定冠詞 a/an,interested と interesting の使い分けといった実践的なテーマを取り上げています.みーさんの「小学生と学ぶ英語史」も引き続き絶好調で,kendama_player さんも英語史におけるヴァイキングの位置づけに関する仮説の紹介や,服部義弘先生への heldio オープンマイク企画の予告など,教育と研究の橋渡し役を果たしてくれています.
ドイツ語と英語史の定点観測を続ける ykagata さんは,rain と salad の語源記事に加え,連載「『英語語源ハンドブック』にこじつけて学ぶドイツ語」が開始から1年を迎えたことを報告しています.ドイツ語 gleich 「同じ,すぐに」と英語 alike が同語源であること,そして Zum Wohl 「乾杯」の Wohl と古英語 Wes hal 「乾杯」の hal が実は別語源だという指摘と考察は刺激的でした.川上さんは「英語と歴史」シリーズを続けられ,「英語のなぜ」やってます通信も積み重ね,地道な連載の強みを見せつけています.
Grace さんは festival という語の成り立ちと「花子」の記号論を論じ,Lilimi さんは仏検準1級の2次試験を振り返り,しーさんは「1000年前にタイムトラベルするなら何を持っていくか」というユニークな視点から「たべっ子どうぶつ」を語り,佐久間さんは梅毒がかつて「フランス病」と呼ばれた歴史を紹介するなど,語学と歴史のはざまを行き来する寄稿が並びます.こじこじ先生の3篇のオリジナル曲も,今号に彩りを添えています.
umisio さんは今号も多く寄稿しています.学校教育での英語史導入の可能性を論じた記事に始まり,「伏線(未)回収」論シリーズも展開しています.酷暑のなかで頻発する「ボケ」への対処法を熱く語る一篇も,umisio さんらしい肩の力の抜けた味わいです.巻末は,Grace さんによる「あゆみ(2026年9月)」と,umisio さんによる「編集後記(2026年9月)」で締めくくられています.
今号もまた,寄稿者それぞれの視点から英語史の奥深さを味わえる充実の号に仕上がっています.ぜひ Helvillian 9月号をじっくりとお楽しみください.そして,この hel活の輪に加わりたいと思われた方は,ぜひ Voicy プレミアムリスナー限定配信チャンネル 「英語史の輪 (helwa)」へお越しください.
(以下,後記:2026/09/02(Wed))
今回紹介した Helvilian 9月号については,heldio 配信回「#1921. Helvillian 9月号公開 --- Helvillian 校了後の編集室からで,編集委員のお2人が直々に紹介していますので,ぜひそちらもお聴きください.
Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 のオープンマイク企画の一環として,heldio/helwa コアリスナーの kendama_player さんが,大学院時代の恩師である静岡大学名誉教授・服部義弘先生(専門は英語音韻論・英語史)にインタビューをしてくださいました.
服部先生といえば,日本の英語音韻論および英語史研究を長年牽引されてきた重鎮です.その服部先生が heldio にご出演いただけるとは,驚くやら嬉しいやらで,私も感激いたしました.kendama_player さんがヘルメイトとして素晴らしいご縁をつないでくれました.企画は3回にわたる対談となっており,すでに heldio にて配信済みです.リンクを以下に掲げますので,ぜひお聴きください.
・ 「#1909. 静岡大学名誉教授・服部義弘先生に聞く! --- ご経歴,そして堀田との関係は?」
・ 「#1912. 静岡大学名誉教授・服部義弘先生に聞く! --- 大母音推移は本当にあったのか?」
・ 「#1915. 静岡大学名誉教授・服部義弘先生に聞く! --- お薦めの英語史の本は?」
初回配信回では,服部先生のご経歴とともに,服部先生と私との学術的な関係について触れていただきました.お話しの中で言及された論著やシンポジウムの情報を,年代順に整理して掲載しておきます.
・ 中野 弘三・服部 義弘・小野 隆啓・西原 哲雄(監修) 『最新英語学・言語学用語辞典』 開拓社,2015年.
・ 堀田 隆一 「英語史における音・書記の相互作用 --- 中英語から近代英語にかけての事例から ---」近代英語協会第34回大会シンポジウム「英語音変化研究の課題と展望」(青山学院大学),2017年6月24日.
・ 服部 義弘・児馬 修(編) 『歴史言語学』 朝倉日英対照言語学シリーズ[発展編]3 朝倉書店,2018年.
・ 堀田 隆一 「英語における may 祈願文の発生と発達」『歴史言語学』第8号(日本歴史言語学会編),2020年.67--80頁.
・ 堀田 隆一 「英語の発音と綴字の乖離と GVS」 日本音声学会主催 第35回音声学セミナー(青山学院大学京都大学),2025年9月28日.
第2回では,英語史における音変化としては最も著名な大母音推移 (gvs) の話題を掘り下げていただきました.服部先生が対談のなかで言及・示唆された文献一覧は以下の通りです.
・ Jespersen, Otto. A Modern English Grammar on Historical Principles. Part 1. Copenhagen: Munksgaard, 1909.
・ Sapir, Edward. Language. New York: Hartcourt, 1921.
・ Smith, Jeremy J. An Historical Study of English: Function, Form and Change. London: Routledge, 1996.
・ Minkova, Donka and Robert Stockwell. "Phonology: Segmental Histories." A Companion to the History of the English Language. Ed. Haruko Momma and Michael Matto. Chichester: Wiley-Blackwell, 2008. 29--42.
・ Stenbrenden, Gjertrud Flermoen. Long-Vowel Shifts in English, c. 1150--1700: Evidence from Spelling. Cambridge: CUP, 2016.
・ 服部 義弘 「第3章 音変化」服部 義弘・児馬 修(編) 『歴史言語学』朝倉日英対照言語学シリーズ[発展編]3 朝倉書店,2018年.47--70頁.
・ 米倉 綽・中村 芳久 (編) 『英語学が語るもの』 くろしお出版,2018年.
対談のなかで服部先生は,大母音推移を構成する個々の音変化が一貫した連鎖反応として生じたわけではないとする「バラバラ説」を支持されつつも,Sapir のいう drift(駆流)の概念を引き合いに出しながら,全体としては大きな音変化の潮流をなしていたと捉える見解を示されました.一方で,現代の英語教育・英語学習の観点から見れば,GVS を一枚岩の現象として整理して捉えることにも十分に教育的利点がある,と柔軟な視点から述べられていたのが印象的でした.
第3回では,服部先生選りすぐりのお薦め英語史書を挙げていただきました.英書と和書の,専門性の高い推薦書です.
・ Mugglestone, Lynda, ed. The Oxford History of English. Oxford: OUP, 2006.
・ Hogg, R. M. and D. Denison, eds. A History of the English Language. Cambridge: CUP, 2006.
・ Fulk, R. D. A Comparative Grammar of the Early Germanic Languages. Benjamins, 2018.
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
・ 寺澤 芳雄・川崎 潔 (編) 『英語史総合年表 --- 英語史・英語学史・英米文学史・外面史 ---』 研究社,1993年.
とりわけ『英語史総合年表』の選書にはしびれました.重厚かつ多角的に英語史の歩みを鳥瞰できる名著です.本書は現在でも入手可能ですので,関心を抱いた方はぜひ書棚に揃えてみてください.
服部先生,刺激的なお話を本当にありがとうございました.ぜひ次回は,kendama_player さんも含めて3人で直接お会いして,さらに深くお話ししたいと思いました.ありがとうございました!
heldio/helwa コアリスナーの sorami さんによる『英語語源ハンドブック』に基づいた「授業で使える!中学生向け英語語源クイズ」シリーズが,回を重ねるごとにますます充実の内容となっています.隔週土曜日に新作が公開されており,8月22日に公開された最新回は,「授業で使える! 中学生向け英語語源クイズ#16~often/和製英語IV~」と題する第16弾です.
今回は全6問と,例によってボリューム満点の構成です.発音の変化に始まり,語形成,数詞の語源,そして恒例の和製英語シリーズへと,バラエティ豊かな話題が展開していきます.あまり細かく紹介するとネタバレになってしまいますので,ここではいくつかの問いを厳選してお伝えします.
まずは,often の t を発音するかどうかという,現代英語の発音をめぐる身近な疑問から幕を開けます.学校では長らく無音とされてきた t ですが,近年ではむしろ発音する話者が増えているとも言われています.規範として教わる発音と,実際に使われている発音とが必ずしも一致しないという事実に触れることは,「発音は一度決まったら変わらない」という思い込みを崩す良いきっかけになるはずです.
続いて,letter から email へと連なる通信手段をめぐる語彙の移り変わりや,接尾辞 -able の働きを問う問題,さらには port という部品を含む単語群を,接頭辞ごとに整理して考えさせる問題が並びます.基本的な語彙の背後に潜む形態論的な規則性に気づかされる,知的好奇心をくすぐる構成です.
後半のハイライトは,数詞 twelve の語源です.ten と「余り」を意味する語の組み合わせに由来するという成り立ちを知ると,現代の10進法とは異なる数え方の名残が,日常的に使う数詞のなかにひっそりと刻み込まれていることに気づかされます.
そして締めくくりは,恒例となった和製英語クイズの第4弾.「リベンジ」「スマート」「マンション」など,すっかり日本語化してしまった外来語的表現を,英語圏で通じる形にどう言い換えればよいかを問う,実践的な8題が用意されています.学校の授業はもちろん,日常会話でもすぐに役立つ内容です.
今回も sorami さんは,「授業の小ネタ,ウォームアップ,グループ活動などに自由に使っていただければ幸いです.ALTの先生を巻き込むのもありですね!」と呼びかけています.印刷してそのまま配布できる pdf 資料も用意されていますので,学校現場ですぐに活用できますね.
sorami さんのクイズ・シリーズの主な典拠となっているのは,刊行から1年2ヶ月ほどが経つ『英語語源ハンドブック』(研究社)です.2ヶ月ほど前の6月30日には物書堂より『英語語源ハンドブック』アプリ版 (iOS) も発売されていますので,ぜひこちらよりチェックしてみてください.
8月9日に,Voicy heldio で「#1897. heldio オープンマイク」と題する配信回をお届けした.
英語史をお茶の間に届けるべく,2021年6月に開始した Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」は,おかげさまで5年を超え,1日も休まず毎朝の配信を続けてこられた.本ブログ「hellog~英語史ブログ」については,2009年5月以来,かれこれ17年以上にわたって毎日更新を継続している.この間,各種メディアでの発信,YouTube「いのほた言語学チャンネル」,雑誌連載,書籍の執筆,市民講座の開講など,英語史の裾野を広げるアウトリーチ活動,すなわち「hel活」 (helkatsu) に注力してきた.
しかしながら,率直に告白すれば,私ひとりの力で毎日休まず新たなコンテンツを生み出し続けることには,物理的・時間的な限界が訪れつつある.近年は各種プロジェクトが目白押しで,日々の発信に追われるあまり,インプットが枯渇し,カラカラの状態になっているのである.アウトプット過多による質の低下は,何より私自身が日々痛感している.heldio について番組の継続を断念するか,あるいは配信頻度を下げるか,悩む日々が続いていた.
そこで heldio について思いついたのが,マイクをコアリスナーの皆さんに開放する「オープンマイク企画」である.折しも Voicy のプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」や月刊ウェブマガジン Helvillian では,熱心なリスナー(「ヘルメイト」と呼んでいる)の皆さんが主に note などのプラットフォームで自主的なhel活を繰り広げてくださっている.私ひとりで抱え込むのではなく,英語史を愛するリスナーの皆さんに番組制作の一翼を担っていただく体制へと移行できないかと考えたのである.
当初は向こう1,2年をかけた中長期的なマイク委譲計画を思い描いていたのだが,7月下旬に helwa 内で協力を呼びかけたところ,わずか数週間のうちに驚くべきスピードで企画が動き出した.ヘルメイトの皆さんが自発的に対談やインタビューなどの音声コンテンツを次々と制作・提供してくださり,瞬く間にチャンネルを支えていただく体制が整ったのである.この熱気と実行力には,ただただ圧倒され,感謝の念に堪えない.
オープンマイク企画には,大きく3つの狙いがある.第1に,私自身にかかっていた負担を適度に緩和すること.第2に,ヘルメイトの皆さんのフレッシュな熱量と多彩な知見を番組に吹き込むこと.そして第3に,発信者の多様化によってリスナーにとっても飽きのこない,より重層的で魅力的なチャンネルへと進化させることである.
Voicy に代表される音声配信は,本来誰もが発信者となりうるウェブ時代のメディアである.英語史のアウトリーチ活動も,研究者からの一方通行の啓発という段階を終え,コミュニティ全体で楽しみながら知を共有するフェーズに入りつつあると考えている.私自身もメインのパーソナリティとして発信を継続しつつ,ヘルメイトの皆さんとともにこの場をサステイナブルに育てていきたい.日頃お聴きいただいているリスナーの皆さんにも,ぜひコメントなどでオープンマイク企画を応援していただき,さらには helwa への参加を通じてチャンネル制作の輪に加わっていただければ.よろしくお願いします.

先日,イギリスを旅する機会があり,イングランドからスコットランドへと北上するルートをたどりながら「旅hel」 (tabihel) を実践してきました.その道中,イングランドとスコットランドの国境を越えてすぐの場所にあるスコットランド側の村,Gretna Green に立ち寄りました.スコットランドの玄関口に位置する村です.
この村にある観光スポット Gretna Green Famous Blacksmiths Shop を訪れた際,立ち寄ったトイレの男女別表示に目が留まりました.通常の Men と Women などではなく,Groom (花婿)と Bride (花嫁)という文字で案内されていたのです.周囲にピクトグラムはなかったように思うのですが,いずれにせよこの単語の綴字が目に飛び込んできたため,「おや,どっちがどっちだったっけ」と一瞬考えつつ,正しく Groom のほうへ入りました.なぜこのような表示がなされているのでしょうか.
その背景には,Gretna Green のユニークな歴史があります.1754年,Lord Hardwicke's Marriage Act (ハードウィック卿の結婚条例) が施行されました.これにより,イングランドおよびウェールズでは21歳未満の若者が親の承諾なしに結婚することが法的に厳しく制限されることになりました.ところが,国境を越えた北側のスコットランドでは婚姻に関する法律が緩やかで,若者同士の結婚が可能だったのです.
そこで,イングランド側で若いカップルたちが国境を目指して北上し,最初に到達する村である Gretna Green へと駆け落ちして結婚の誓いを立てるようになりました.こうして,この村は「駆け落ち婚の名所」,ひいては「愛の聖地」として定着していったのです.村の鍛冶屋が金床を打って結婚式を取り仕切ったということです.
現在でも多くの観光客やカップルが訪れる名所となっているようです.私が訪れたときにも,結婚式を終えたとおぼしき1組のカップルが芝生で写真を撮っていました.「愛の聖地」として,日本でも見られるようなラックに南京錠がぎっしりとかけられていました.

トイレの男女別表示における言語表現という点では,8月13日に heldio/helwa のコアリスナーである Grace さんが note 記事「どちらに入るか、それが問題だ。」で,日本料理のお店のトイレの表記「花子/太郎」を取り上げ,その記号論的な効果を考察されていました.固有名詞論 (onomastics) の観点からいえば,固有名詞それ自体には指示対象があるのみで記述的な意味論的意味はないと説明されるのが一般的ですが,一般名詞化して男性や女性を代表する記号として用いられると,文化的な連想や雰囲気を喚起する connotation を帯びるようになる,という点を指摘した,洞察に富む論考でした.
今回の Groom と Bride の場合,単語そのものはもとより一般名詞ですが,通常の Men / Women の代わりに用いられることで,Gretna Green という土地の歴史的文脈を鮮やかに浮き彫りにする記号として機能しています.名詞の選択ひとつに,その土地の歴史が巧みに織り込まれている好例といえます.
なお,本件については Voicy heldio にて「#1904. 駆け落ち婚の名所 Gretna Green のトイレの話し」と「#1905. wedlock 「結婚」の lock は「錠前」か?」で,関連する話題をお話ししていますので,ぜひそちらもお聴きください.

昨今,hel活の熱気が各所で高まりを見せているが,また1つ,まことにありがたく貴重なウェブサイトが誕生した.8月14日,heldio/helwa のコアリスナーでhel活界隈でも精力的に活動されている ari さん さんが,heldio/helwa のファンサイト「Helvillain Heal」を開設してくださった.ari さん,ありがとうございます!
このサイトは,私の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」,およびプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」を応援する有志(= ari さん)によって編集・公開されているポータルサイトである.サイトトップの案内にもある通り,リスナーコミュニティ「Helvillian の中でも,こっそりと行動する Helvillain の館」というコンセプトだそうだ.Helvillian ではなく Helvillain であるところに注目である(ダジャレなのだが,一応これを述べておかないと,微妙すぎて読者が混乱する恐れがある).
サイトを覗いてみると,現時点で大きく分けて2つの主要コンテンツが整理されている
・ Voicy heldio での古英語・中英語音読回へのリンク集:heldio で配信してきた古英語・中英語のテキストを読み上げる「音読回」が,学びやすいように整理されている.素朴に古英語や中英語の音声に触れてみたい学習者にとって,絶好のガイドとなる.
・ 月刊ウェブマガジン Helvillian 各号へのリンク集:有志ヘルメイトの皆さんが制作してくださっている英語史とhel活に関する月刊ウェブマガジン Helvillian について,創刊号から最新号に至るまでの表紙画像および各記事へのリンクがずらりと並んでいる.
過去の記事でも触れてきた通り,Helvillian の毎号の充実ぶりには目を見張るものがある.このようにバックナンバーも含めて一覧・アクセスできる環境を整えていただき,hel活コミュニティ全体にとっても大きな財産となる.まさに「英語史をお茶の間に」広めるhel活の真骨頂だ.
有志ヘルメイトの ari さんによ自発的な広報・アーカイブ活動が,こうして素晴らしい形を取って立ち上がったことに,身近な者として深い感謝と敬意を表したい.このような仲間の情熱に支えられながら英語史の輪が広がっていくのを実感するのは,本当に嬉しい.
このサイトの今後の更なる展開やコンテンツの拡充も,大変楽しみにしている.hellog 読者の皆さんも,ぜひ「Helvillain Heal」を訪問し,ブックマークの上,日々の英語史の学びに活用していただければ.
heldio/helwa コアリスナーの sorami さんによる「授業で使える!中学生向け英語語源クイズ」シリーズが,抜群の出題センスにより人気を博しています.隔週土曜日に新作が公開されており,8月8日に公開された最新回は第15弾となります.
今回も,日常語彙,現在分詞か過去分詞かという文法に関わる単語語源の問題,和製英語・カタカナ語シリーズ,英語史クイズなど,非常にバランスの取れた構成で飽きさせません.
日常的な英語語彙の話題からスタートし,ドイツ語・オランダ語・イタリア語などとの比較を通じて,とある英単語の語源に迫る問題へと展開していきます.基本語の比較から印欧祖語の系譜にまで思いを馳せさせる流れは見事です.
また,文法項目として重要な interesting と interested の使い分けを,感情誘発動詞の原義から丁寧に紐解く問題や,文房具を中心とした和製英語・カタカナ語のクイズなど,英語学習者が直面しやすいポイントが,今回も巧みに織り交ぜられています.
後半には,新しくシリーズ化されつつある「英語史クイズ」が控えています.英語史クイズとはいっても,季節語という日常的な語彙を話題にしているので,たいへんに取っつきやすい構成になっています.かつての英語において1年がどのように区切られていたのか,そして fall や winter にまつわる語誌など,厳しい猛暑が続く今の季節だからこそ味わい深く感じられる歴史的なトピックが散りばめられています.
作者の sorami さん自身も,毎回推している通り,「授業の小ネタ、ウォームアップ、グループ活動などに自由に使っていただければ幸いです.ALTの先生を巻き込むのもありですね!」とのことなので,皆さん,ぜひ様々な形でクイズをご活用ください.印刷してそのまま配れるPDFファイルも用意されており,現場への気配りも万全です.
sorami さんのクイズ・シリーズの主な典拠となっているのは,刊行から1年2ヶ月ほどが経つ『英語語源ハンドブック』(研究社)です.今年の6月30日に物書堂より『英語語源ハンドブック』アプリ版 (iOS) も発売されていますので,ぜひこちらよりチェックしてみてください.手軽に引けるアプリ版の登場で,さらに身近に語源の世界へアクセスできるようになっています.
今回紹介した第15弾については,heldio 配信回「#1902. 現在分詞と過去分詞 --- sorami さんの『英語語源ハンドブック』クイズ・シリーズ第15弾」でも案内していますので,ぜひそちらもお聴きいただければ.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
7月28日,有志ヘルメイトによる月刊ウェブマガジン Helvillian 8月号が公開されました.通算第22号となります.
まず,編集委員の Galois さんによる素晴らしい表紙デザインが目を引きます.今号の「表紙のことば」を担当されたのは,佐久間さん(helwa のハンドルネーム「無職さん」)です.上海の外灘(ワイタン)に建つ旧中国税関の時計塔を取り上げ,イギリス帝国の領土拡大と英語の世界進出の歴史を重ね合わせて解説してくれています.ロンドンの Big Ben をモデルとし,かつて「ウェストミンスターの鐘」を響かせていた時計塔が,現在では革命歌「東方紅」を奏でているという歴史の皮肉は,まさに英語史が世界史の一部であることを思い出させてくれます.専門家である佐久間さんは,日本歯科医史学会や救急蘇生法教育の歴史に関する記事も寄稿されています,
今号の収載記事も,多種多様で魅力的なラインナップが揃っています.前号に引き続き熱を帯びているのが『なぜさんたんげん』関連の記事です.ari さんによる「英子さんたんげん」や「3単現」関連の記事,しーさんによる「日本語で読もう!『なぜさんたんげん』」,あまねちゃんさんによる「載りそうで載らなかったトピックを想像してみた」シリーズなど,多角的なアプローチで『なぜさんたんげん』を盛り上げています.
語源や英語史の深掘り記事も百花繚乱です.mozhi gengo さんは plaster, pairing, bear などいつもながらに様々な語源を取り上げられていますが,他のヘルメイトのhel活と互いに影響を与え合う話題選びも目立ち,「hel活の輪」を体現しています.同じように,ykagata さんの house や ghost やドイツ語に絡めた多様なコンテンツも,「hel活の輪」を回し続ける動力源です.lacolaco さんの「英語語源辞典通読ノート D」は職人技の域に達していますね.sorami さんの「中学生向け英語語源クイズ」,川上さんの「homework と housework の違い」をはじめとする素朴な疑問系のトピック,みーさんによる「小学生と学ぶ英語史」シリーズなど,教育現場や日常に即したコンテンツが目白押しです.
さらに,Lilimi さんの『古文と漢文』読書記,rei さんの ghost から spirit への「helwa 論」,こじこじ先生によるオリジナル曲の披露,kendama_player さんによる英語史講座報告など,ヘルメイト個々の関心と創造性が炸裂しています.
新刊書,宮嵜 由美・八木橋 宏勇(編)『響き合うことばと社会』(開拓社)を記事で紹介された Grace さんは,「helwa のあゆみ」も執筆されています,北千住オフ会での Baugh and Cable 精読会や,急遽開催され大盛況となった「ダブリン・ギネス収録会」の熱気が記録されています.
そして,研究者論や helwa 論にも関心の強い umisio さんによる「編集後記」は必読です.井上逸兵先生の「ゆる言語学ラジオ」出演に端を発した酷暑の「ボケ」大ブームと,ari さんの極上 note 記事「青椒肉絲の美味しい店」をめぐりリスナーや私の大混乱をユーモアたっぷりに語ってくれています.
今号の目次を取りまとめてくださった Lilimi さん,そして編集委員の Galois さん,Grace さん,umisio さん,本当にありがとうございました.
hellog 読者の皆さんも,ぜひ Helvillian 8月号を開いて,この熱気あふれる学びの場を体験してみてください.そして,この熱いhel活の輪に加わりたいと思われた方は,ぜひ Voicy プレミアムリスナー限定配信チャンネル 「英語史の輪 (helwa)」 へお越しください.その日からあなたもヘルメイトです!
Baugh and Cable の精読シリーズ,第65節を読み進め,議論を重ねています.helwa の仲間たちとともにテキストを念入りに読み解いた北千住オフ会での音声を,Voicy heldio にて公開しております.今回もナビゲーターとして全体を引っ張ってくださったのは,お馴染みの Taku さんこと金田拓さん(帝京科学大学)です.「#1889. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (65-3) with Taku さん --- helwa 北千住オフ会より」をぜひお聴きください.
今回は,キリスト教的な「説教する」「祈る」といった宗教的行為を表わす動詞・名詞において,ラテン語からの直接の借用を避け,アングロサクソン人が元々持っていた本来語の意味を転用させたが扱われています.精読した本文の該当箇所は1文のみで,以下の通りです(Baugh and Cable, p. 86).
Instead of borrowing the Latin word praedicāre (to preach), the English expressed the idea with words of their own, such as lǣran (to teach) or bodian (to bring a message); to pray (L. precāre) was rendered by biddan (to ask) and other words of similar meaning, prayer by a word from the same root, gebed.
今回注目したのは1文のみですが,the English の定冠詞がもつ意味・意義に注目し,著者の英語史や言語変化に対する姿勢を読み解くというエキサイティングな議論が展開しました.改めてキリスト教の布教と用語の問題,それから読書会に立ち会われたヘルメイトからの質問などについても検討し,豊かな議論の時間を過ごすことができました.
これまでの B&C 超精読会のアーカイブは,体系的にまとめられており,いつでもさかのぼって学習することができます.「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) に全回へのリンクが整備されておりますので,未聴の回がある方はぜひご参照ください.原書を手元に用意し,音声を副読本のように活用することで,英語史の原典購読の醍醐味を味わっていただけるはずです(使用テキストは最新の第7版ではなく第6版となっております).また,このような精読の輪の中に加わり,一緒に学びを深めたいとお考えの方は,ぜひ Voicy のプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」へお越しください.8月の helwa もちょうど本日からスタートです.刺激的で充実した学びの時間が待っています!

・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
今朝の Voicy heldio にて「#1888. deer と animal --- 『英語語源辞典』読み解きシリーズ by 寺澤さん&lacolacoさん」を配信しました.前回の beast 編に対応する hellog 記事「#6301. beast を『英語語源辞典』で読み解く by 寺澤志帆さん&lacolacoさん」 ([2026-07-28-1])) に続く,『英語語源辞典』 (= KDEE) 読み解きシリーズの後半戦となります.
今回も khelf(慶應英語史フォーラム)の寺澤志帆さんと,heldio/helwa コアリスナーの lacolaco さんによる対談形式でお届けしています.研究社さんのご許可のもと,今回の精読対象である2語の辞典項目画像を以下に掲載します.

今回の後半戦は,beast の記事の白ダイヤ(注釈部)に突如現れた2つの重要語 deer と animal へと接続・深掘りしていく展開となりました.
まず,lacolaco さんがリード役となり deer の項目を読み解いていきます.古英語の本来語 dēor は,もともと一般的な「動物」を意味していました.それが中英語期にフランス語から入ってきた beast に押され,やがて「鹿」という特定の動物へと語義が特殊化していった経緯が紐解かれます.lacolaco さんの精読を受け,寺澤さんが補足やコメントを加える形で解説と議論が深まっていきます.
後半では,寺澤さんがリード役を務めて animal の項目を精読していきます.ラテン語 anima 「空気,息,命,魂」に由来するこの語が,16世紀の近代英語期に(再)導入され,やがて beast に代わって「動物」の代表表現の座に就いていくプロセスの記述を読み解きます.その後,お二人による beast, deer, animal 全体を俯瞰した総合的なディスカッションへと発展していきます.意味変化が実際にはストレートな過程ではなく,複雑な現象であるという重要な洞察も得られました.
「本来語 deer > フランス借用語 beast > ラテン借用語 animal」という勢力図の遷移と意味変化のグラデーションが,辞書記述を通じて立体的に浮かび上がってきます.「動物」とはいったい何なのか,という悩ましい問いも立ち上がってきました.解説の最後で突如現れた古英語の家畜を表す単語 nēat に,お二人が「これは何だ?」と困惑する一幕もあり,精読のライブ感が伝わってきます.
なお,lacolaco さんはご自身の note 過去記事でで deer と animal について整理されていますので,合わせてお読みください.
・ 「英語語源辞典通読ノート D (deduce-deictic)」
・ 「英語語源辞典通読ノート A (angle-animal)」
語源辞典を1項目ずつ丁寧に読み解くことで,単なる単語の暗記を超えた英語史のドラマが立ち現れてきますね.ぜひお手元に『英語語源辞典』をご用意の上,または本配信をきっかけに1部入手していただき,この知的な冒険の音源をお楽しみください!

・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
heldio/helwa コアリスナーの sorami さんによる「授業で使える!中学生向け英語語源クイズ」シリーズが人気です.隔週土曜日に新作が公開されていますが,今日は7月25日に公開された第14弾を紹介します.
今回も,授業のウォームアップや親子の雑学タイム,さらには脳トレ(!?)にそのまま活用できる充実したラインナップとなっています.テーマは,意味が似ていて紛らわしい英単語の区別,和製英語の第2弾,そして数詞と不定冠詞 a/an にまつわる語源問題です.
前半では,put on と wear の「動作」と「状態」の違い,日本語では様々な動詞に訳し分けられる wear の万能性,さらには large と big の客観/主観のニュアンスの違いや,laugh と smile の対比など,英語学習者が直面しやすい類義語・類義表現の使い分けが丁寧に扱われています.
続く中盤では,日本語のある乗り物に由来する rickshaw のような英語化された日本語単語のトピックや,「ワイシャツ」「SNS」「ドンマイ」といった英語圏では通じにくい和製英語・カタカナ語を自然な英語でどう表現するかという実践的なクイズが並びます.
そして後半のハイライトは,数にまつわる語源問題です.only, alone, lonely, between の中に潜む数詞の形跡を探る問いから,不定冠詞 a/an が数詞 one (古英語 ān)からどのように分化・発達したかという英語史の核心へとつながっていきます.母音・子音の環境による n の脱落について,単なる発音の便宜という誤解を解き明かす歴史的事実が紹介されており,まさに heldio の初回「#1. なぜ A pen なのに AN apple なの?」と響き合う内容となっています.
sorami さんのクイズ・シリーズの主な典拠となっているのは,刊行から1年1ヶ月ほどが経つ『英語語源ハンドブック』(研究社)です.1ヶ月ほど前の6月30日に物書堂より『英語語源ハンドブック』アプリ版 (iOS) も発売されていますので,ぜひこちらよりチェックしてみてください.
(以下,後記:2026/08/02(Sun))
今回紹介した第14弾については,heldio 配信回「#1890. 類義語,和製英語,数詞 --- sorami さんの『英語語源ハンドブック』クイズ・シリーズ第14弾」でも案内していますので,ぜひそちらもお聴きください.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
Baugh and Cable の第6版をじっくりと読み解いていく「超」精読シリーズの続編です.前日に引き続いて,helwa のオフ会で収録した熱気あふれる音声を Voicy heldio にて共有いたします.今回も解説の進行役を務めてくださっているのは,helwa/heldio でお馴染みの Taku さんこと金田拓さん(帝京科学大学)です.ぜひ「#1886. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (65-2) with Taku さん --- helwa 北千住オフ会より」をお聴きいただければと思います.
今回の該当箇所では,ラテン語のキリスト教概念を導入するにあたり,英語がどのような本来語を用いてこれらを表現しようとしたのか,その具体例が多数挙げられています.外来語をそのまま取り入れるのではなく,すでにある自言語の語彙を組み合わせて翻訳借用したり,意味を拡張させたりする手法が観察されます.今回精読した英文3文を提示します(Baugh and Cable, p. 86).
Patriarch was rendered literally by hēahfæder (high father), prophet by wītega (wise one), martyr often by the native word þrōwere (one who suffers pain), and saint by hālga (holy one). Specific members of the church organization such as pope, bishop, and priest, or monk and abbot represented individuals for which the English had no equivalent and therefore borrowed the Latin terms; however, they did not borrow a general word for clergy but used a native expression, ðæt gāstlice folc (the spiritual folk). The word Easter is a Germanic word taken over from a pagan festival, likewise in the spring, in honor of Eostre, the goddess of dawn.
キリスト教宣教団にとって,イングランドの布教のためには,ラテン語の用語を使わずに,土着の人々の言語である古英語を最大限に活用する必要があったにちがいありません.精読会では,この観点を踏まえて突っ込んだ議論が繰り広げられました.皆さんにも一緒にお考えいただき,heldio のコメント欄よりご意見やご質問を寄せていただければと思います.
この B&C 精読会配信回のバックナンバーは,すべて整理されて保存されています.「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) に過去の配信回がリスト化されていますので,復習や聞き返しにご活用ください.テキストを片手に音声を聴き進めることで,英語史の理解が着実に深まっていきます(読書会では最新の第7版ではなく第6版を使用していますので,お持ちの版をご確認ください).
さらに,「この濃密な読書会の空間に直接参加してみたい」という方は,ぜひ Voicy のプレミアムリスナー限定チャンネル「英語史の輪 (helwa)」へのご参加をご検討ください.皆さんとともに英語史を深掘りする有意義な時間を共有できます.

・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
今朝の Voicy heldio にて「#1885. beast --- 『英語語源辞典』読み解きシリーズ by 寺澤さん&lacolacoさん」を配信しました.先日の「#6298. 好評のうちに完結 --- heldio 『英語語源辞典』読み方シリーズ bear 編」 ([2026-07-25-1]) が好評だったことを受け,heldio での『英語語源辞典』 (=KDEE) の読み解きシリーズを本格的に継続することにしました.
今回も解説を担当してくれるのは,khelf(慶應英語史フォーラム)のメンバーで「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」を日々連載中の寺澤志帆さんです.そして,もう一方,強力な助っ人にもご参加いただきました.heldio/helwa コアリスナーで「英語語源辞典通読ノート」を執筆されている lacolaco さんです.KDEE 通読・精読のトップランナーのお二人による対談という,実に豪華で魅力的なコラボレーションが実現しました.
今回注目した単語は beast です.研究社さんのご許可のもと,該当する辞典項目を画像として以下に掲載していますので,ぜひ画像を眺めながら,またお手元に辞書がある方は該当ページを開きながら,じっくりお聴きいただければと思います.

beast の項目の精読・解説は,英語史の深さとおもしろさが凝縮された内容となっています.英語史における初出は1200年より前とされる中英語の文献 Ancrene Riwle に遡ります.まず注目すべきは語義の記述順です.KDEE では「動物」が最初にあがり,続いて「獣;野獣」と記載されています.一般的な英和辞典とは異なり,KDEE では歴史的に古く用いられた意味の順に配列されているため,beast は英語に入ってきた当初,現在の animal に相当する一般的・広義の「動物」を意味していたことが分かります.
語源としては,中英語の best(e) から大母音推移 (gvs) を経て現代の発音・綴字に至っています.この単語自体は古フランス語 beste (現代フランス語 bête)からの借用であり,それは俗ラテン語 *besta(m) に遡ると考えられ,古典ラテン語 bēstia(m) に対応します.対談では,俗ラテン語(話し言葉)と古典ラテン語(書き言葉)を結ぶ「=」記号の持つ深い意味合いや,凡例の読み解きをめぐり,音源を聴いた私も大いに唸らされる精密な議論が交わされました.
さらに興味深いのは,beast をめぐる意味変化と「取って代わる関係」のドラマです.beast はもともと古英語の本来語 dēor (現代の deer)に取って代わって一般的名称「動物」の座に就きました.しかし近代英語期になると,今度はラテン語由来の animal にその座を追われ,自身の語義は「野獣,獣」へと限定・縮小していったのです.1611年の近定訳聖書では,まだこの過渡期の様相,すなわち一般の「動物」と「野獣」の両義で使われている状態が観察できます.
なお,おおもとの印欧祖語としては *dhwes- (息をする)にさかのぼる説も示唆されていますが,これは animal の語根の意味「息をするもの」とも響き合い,言語のロマンを感じさせます.
語源辞典の記号ひとつにまで目を配る精密な読み解きと,そこから広がる言語変化のダイナミズムを,ぜひ音声でお楽しみください.今回の配信は beast をめぐるお二人の対談の前半戦となりますので,近日公開予定の後半戦もお楽しみに!
また,寺澤さんの直接の記事「386. beast ―『英語語源辞典』読み解き解説第2弾―」もお読みください.

・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
英語史の名著,Baugh and Cable のテキスト(第6版)を,helwa のメンバーと「超」精読していくシリーズです.先日土曜日の午後に開催された豊かな読書会の音声を,そのまま Voicy heldio でお届けします.いつものように helwa/heldio の盛り上げ役の Taku さんこと金田拓さん(帝京科学大学)に読書会をリードしていただいています.「#1884. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (65-1) with Taku さん --- helwa 北千住オフ会より」をお聴きください.
今回は,"The Application of Native Words to New Concepts" と題する節を読み始めています.前節までにみてきたように,古英語期にはラテン語からの借用語が多く流れ込んできました.しかし,ラテン語の影響の大きさはは,そのような直接の借用語だけをみているだけでは,正確につかめません.ラテン語は,英語本来語にも目に見えにくい間接的な影響を少なからず与えているのです.精読対象となった英文を以下に掲げます(Baugh and Cable, pp. 85--86).最初5文をじっくり読んでいきます.
The words that Old English borrowed in this period are only a partial indication of the extent to which the introduction of Christianity affected the lives and thoughts of the English people. The English did not always adopt a foreign word to express a new concept. Often an old word was applied to a new thing and by a slight adaptation made to express a new meaning. The Anglo-Saxons, for example, did not borrow the Latin word deus because their own word God was a satisfactory equivalent. Likewise, heaven and hell express conceptions not unknown to Anglo-Saxon paganism and are consequently English words.
この B&C 超精読シリーズの過去回は,すべてアーカイヴに保存されており,いつでもお聴きいただけます.「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) にリンクがまとまっているので,ご参照ください.バックナンバーみ聴いた上で,この英語史の古典的テキストを一緒に読んでみたいという方は,ぜひ本書をお手元にご用意ください(最新版は第7版ですが,読書会では第6版を読み進めているので,ご注意ください).また,「超精読会に自分も加わりたい」という方は,ぜひ Voicy のプレミアムリスナー限定配信チャンネルである「英語史の輪 (helwa)」へお越しください.限りなく豊かな時間を過ごすことができます.

・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.

・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
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