01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
2024 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2023 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2022 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2021 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2020 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2019 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2018 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2017 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2016 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2015 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2014 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2013 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2012 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2011 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2010 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2009 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
私個人としても,YouTube 「いのほた言語学チャンネル」としても,「ゆる言語学ラジオ」とパーソナリティのお2方に,お世話になっています.
昨年の春に「ゆる言語学ラジオ」にお邪魔し,共演させていただきましたが,そのうちの1回として「#228. 「英語史の専門家が through の綴りを数えたら515通りあった話【喜怒哀楽単語2】」が配信されています.
この配信回で導入した515通りの through という話題と関連して,「ゆる言語学ラジオ」の堀元さんが,夏のライヴイベントに当てて「through Tシャツ」をプロデュースし,製作・販売してくださいました! 「ゆる言語学ラジオ 公式グッズ」よりご購入いただけます.
「堀田先生の through 515通りフルグラフィックTシャツ」と題し,各種サイズで販売されています.黒地に白の文字で,これでもかというほど多種類の through の異綴りが斜めに印刷されています(ただし,515通りのすべてを印刷することはできなかったようです).私自身も堀元さんより3着いただきまして,日々,着用しています.
上記の状況をお知らせすべく,先日11月10日の「いのほた言語学チャンネル」にて,through Tシャツをお披露目しました.「#283. 中世の英語に through のつづりが515通りあるのは言語変化の象徴!」をご覧ください.
また,through の515通りの話題は,かつての「いのほた言語学チャンネル」でも取り上げたことがあります.「#91. ゆるーい中世の英語の世界では綴りはマイルール?!through のスペリングは515通り!堀田的ゆるさベスト10!」も合わせてどうぞ.
hellog や Voicy heldio でも,関連する話題を公開していますので参考まで.
・ hellog 「#53. 後期中英語期の through の綴りは515通り」 ([2009-06-20-1])
・ hellog 「#54. through 異綴りベスト10(ワースト10?)」 ([2009-06-21-1])
・ hellog 「#193. 15世紀 Chancery Standard の through の異綴りは14通り」 ([2009-11-06-1])
・ hellog 「#3397. 後期中英語期の through のワースト綴字」 ([2018-08-15-1])
・ hellog 「#5006. YouTube 版,515通りの through の話し」 ([2023-01-10-1])
・ hellog 「#5126. 「ゆる言語学ラジオ」出演第2回で話題となった515通りの through の怪」 ([2023-05-10-1])
・ heldio 「#709. なぜ同一単語に多くのスペリングが存在し得たのか? --- 「ゆる言語学ラジオ」出演第2回で話題となった515通りの through の怪」
・ heldio 「#599. YouTube「515通りの through」回への補足」
皆様にも through の異綴字に関心を寄せていただければ.
「#5675. 日本語に入ったオランダ語の単語」 ([2024-11-09-1]) の続編.オランダ語から日本語へ借用された語はまだまだある.前回と重複する単語もあるが,以下,2つの文献より例を加えたい.まず,沖森 (548) より.
【医科学関係】アルコール,エキス,オブラート,ガス,カテーテル,カリ,カルキ,コレラ,チフス,ハトロン,メス,レトルト,レンズ
【物品名ほか】インキ,ガラス,コーヒー,コック,コップ,ゴム,スコップ,ブリキ,ビール,ピント,ペンキ,ホース,ポンプ,マドロス
続けて,佐藤 (179--80) からも追加する.
【医学・薬学関係】エーテル (ether)・オブラート (oblaat)・エキス (extract)・カルシウム (calcium)・カンフル (kamfer, kampher)・コレラ (cholera)・ペスト (pest)・メス (mes)・モルヒネ (morphine)
【化学・物理・天文】テレスコープ (telescoop)・レンズ (lens)・ピント (brandpunt)・コンパス (kompas)・アルカリ (alkali)・アルコール (alcohol)・ソーダ (soda)・エレキテル (eletriciteit)
【生活関係】コーヒ (kofij)・ビール (bier)・シロップ (siroop)・コップ (kop)・ギヤマン (diamant)・ゴム (gom)・ブリキ (blik)・ペン (pen)・ペンキ (pek)・ポンプ (pomp)・ランプ (lamp)・ズック (doek)・チョッキ (jak)・ホック (hoek)
【軍事関係】サーベル (sabel)・ピストル (pistool)・ランドセル (ransel)
主に明治時代以降に日本語に借用された英単語と事実上同形のものも散見されるが,以上のものはオランダ語からの借用であることに留意したい.
・ 沖森 卓也 『日本語全史』 筑摩書房〈ちくま新書〉,2017年.
・ 佐藤 武義(編著) 『展望 現代の日本語』 白帝社,1996年.
昨日の記事「#5676. 『語根で覚えるコンパスローズ英単語』の300語根」 ([2024-11-10-1]) に引き続き,同書の付録 (344--52) に掲載されている主要な接辞のリストを挙げたいと思います.接頭辞 (prefix) と接尾辞 (suffix) を合わせて129種の接辞が紹介されています.
【 主な接頭辞 】
a-, an- | ない (without) |
ab-, abs- | 離れて,話して (away) |
ad-, a-, ac-, af-, ag-, al-, an-, ap-, ar-, as-, at- | …に (to) |
ambi- | 周りに (around) |
anti-, ant- | 反… (against) |
bene- | よい (good) |
bi- | 2つ (two) |
co- | 共に (together) |
com-, con-, col-, cor- | 共に (together);完全に (wholly) |
contra-, counter- | 反対の (against) |
de- | 下に (down);離れて (away);完全に (wholly) |
di- | 2つ (two) |
dia- | 横切って (across) |
dis-, di-, dif- | ない (not);離れて,別々に (apart) |
dou-, du- | 2つ (two) |
en-, em- | …の中に (into);…にする (make) |
ex-, e-, ec-, ef- | 外に (out) |
extra- | …の外に (outside) |
fore- | 前もって (before) |
in-, im-, il-, ir-, i- | ない,不,無,非 (not) |
in-, im- | 中に,…に (in);…の上に (on) |
inter- | …の間に (between) |
intro- | 中に (in) |
mega- | 巨大な (large) |
micro- | 小さい (small) |
mil- | 1000 (thousand) |
mis- | 誤って (wrongly);悪く (badly) |
mono- | 1つ (one) |
multi- | 多くの (many) |
ne-, neg- | しない (not) |
non- | 無,非 (not) |
ob-, oc-, of-, op- | …に対して,…に向かって (against) |
out- | 外に (out) |
over- | 越えて (over) |
para- | わきに (beside) |
per- | …を通して (through);完全に (wholly) |
post- | 後の (after) |
pre- | 前に (before) |
pro- | 前に (forward) |
re- | 元に (back);再び (again);強く (strongly) |
se- | 別々に (apart) |
semi- | 半分 (half) |
sub-, suc-, suf-, sum-, sug-, sup-, sus- | 下に (down),下で (under) |
super-, sur- | 上に,越えて (over) |
syn-, sym- | 共に (together) |
tele- | 遠い (distant) |
trans- | 越えて (over) |
tri- | 3つ (three) |
un- | ない (not);元に戻して (back) |
under- | 下に (down) |
uni- | 1つ (one) |
-age | 状態,こと,もの |
-al | こと |
-ance | こと |
-ancy | 状態,もの |
-ant | 人,もの |
-ar | 人 |
-ary | こと,もの |
-ation | すること,こと |
-cle | もの,小さいもの |
-cracy | 統治 |
-ee | される人 |
-eer | 人 |
-ence | 状態,こと |
-ency | 状態,もの |
-ent | 人,もの |
-er, -ier | 人,もの |
-ery | 状態,こと,もの;類,術;所 |
-ess | 女性 |
-hood | 状態,性質,期間 |
-ian | 人 |
-ics | 学,術 |
-ion, -sion, -tion | こと,状態,もの |
-ism | 主義 |
-ist | 人 |
-ity, -ty | 状態,こと,もの |
-le | もの,小さいもの |
-let | もの,小さいもの |
-logy | 学,論 |
-ment | 状態,こと,もの |
-meter | 計 |
-ness | 状態,こと |
-nomy | 法,学 |
-on, -oon | 大きなもの |
-or | 人,もの |
-ory | 所 |
-scope | 見るもの |
-ship | 状態 |
-ster | 人 |
-tude | 状態 |
-ure | こと,もの |
-y | こと,集団 |
-able | できる,しやすい |
-al | …の,…に関する |
-an | …の,…に関する |
-ant | …の,…の性質の |
-ary | …の,…に関する |
-ate | …の,…のある |
-ative | …的な |
-ed | …にした,した |
-ent | している |
-ful | …に満ちた |
-ible | できる,しがちな |
-ic | …の,…のような |
-ical | …の,…に関する |
-id | …状態の,している |
-ile | できる,しがちな |
-ine | …の,…に関する |
-ior | もっと… |
-ish | ・・・のような |
-ive | ・・・の,・・・の性質の |
-less | ・・・のない |
-like | ・・・のような |
-ly | ・・・のような;・・・ごとの |
-ory | ・・・のような |
-ous | ・・・に満ちた |
-some | ・・・に適した,しがちな |
-wide | ・・・にわたる |
-ate | ・・・にする,させる |
-en | ・・・にする |
-er | 繰り返し・・・する |
-fy, -ify | ・・・にする |
-ish | ・・・にする |
-ize | ・・・にする |
-le | 繰り返し・・・する |
-ly | ・・・ように |
-ward | ・・・の方へ |
-wise | ・・・ように |
英語ボキャビルのための本を紹介します.研究社から出版されている『語根で覚えるコンパスローズ英単語』です.300の語根を取り上げ,語根と意味ベースで派生語2500語を学習できるように構成されています.研究社の伝統ある『ライトハウス英和辞典』『カレッジライトハウス英和辞典』『ルミナス英和辞典』『コンパスローズ英和辞典』の辞書シリーズを通じて引き継がれてきた語根コラムがもとになっています.
選ばれた300個の語根は,ボキャビル以外にも,英語史研究において何かと役に立つリストとなっています.目次に従って,以下に一覧します.
cess (行く)
ceed (行く)
cede (行く)
gress (進む)
vent (来る)
verse (向く)
vert (向ける)
cur (走る)
pass (通る)
sta (立つ)
sist (立つ)
sti (立つ)
stitute (立てた)
stant (立っている)
stance (立っていること)
struct (築く)
fact (作る,なす)
fic (作る)
fect (作った)
gen (生まれ)
nat (生まれる)
crease (成長する)
tain (保つ)
ward (守る)
serve (仕える)
ceive (取る)
cept (取る)
sume (取る)
cap (つかむ)
mote (動かす)
move (動く)
gest (運ぶ)
fer (運ぶ)
port (運ぶ)
mit (送る)
mis (送られる)
duce (導く)
duct (導く)
secute (追う)
press (押す)
tract (引く)
ject (投げる)
pose (置く)
pend (ぶら下がる)
tend (広げる)
ple (満たす)
cide (切る)
cise (切る)
vary (変わる)
alter (他の)
gno (知る)
sent (感じる)
sense (感じる)
cure (注意)
path (苦しむ)
spect (見る)
vis (見る)
view (見る)
pear (見える)
speci (見える)
pha (現われる)
sent (存在する)
viv (生きる)
act (行動する)
lect (選ぶ)
pet (求める)
quest (求める)
quire (求める)
use (使用する)
exper (試みる)
dict (言う)
log (話す)
spond (応じる)
scribe (書く)
graph (書くこと)
gram (書いたもの)
test (証言する)
prove (証明する)
count (数える)
qua (どのような)
mini (小さい)
plain (平らな)
liber (自由な)
vac (空の)
rupt (破れた)
equ (等しい)
ident (同じ)
term (限界)
fin (終わり,限界)
neg (ない)
rect (真っすぐな)
prin (1位)
grade (段階)
part (部分)
found (基礎)
cap (頭)
medi (中間)
popul (人々)
ment (心)
cord (心)
hand (手)
manu (手)
mand (命じる)
fort (強い)
form (形,形作る)
mode (型)
sign (印)
voc (声)
litera (文字)
ju (法)
labor (労働)
tempo (時)
uni (1つ)
dou (2つ)
cent (100)
fare (行く)
it (行く)
vade (行く)
migrate (移動する)
sess (座る)
sid (座る)
man (とどまる)
anim (息をする)
spire (息をする)
fa (話す)
fess (話す)
cite (呼ぶ)
claim (叫ぶ)
plore (叫ぶ)
doc (教える)
nounce (報じる)
mon (警告する)
audi (聴く)
pute (考える)
tempt (試みる)
opt (選ぶ)
cri (決定する)
don (与える)
trad (引き渡す)
pare (用意する)
imper (命令する)
rat (数える)
numer (数)
solve (解く)
sci (知る)
wit (知っている)
memor (記憶)
fid (信じる)
cred (信じる)
mir (驚く)
pel (追い立てる)
venge (復讐する)
pone (置く)
ten (保持する)
tin (保つ)
hibit (持つ)
habit (持っている)
auc (増す)
ori (昇る)
divid (分ける)
cret (分ける)
dur (続く)
cline (傾く)
flu (流れる)
cas (落ちる)
cid (落ちる)
cease (やめる)
close (閉じる)
clude (閉じる)
draw (引く)
trai (引っ張る)
bat (打つ)
fend (打つ)
puls (打つ)
cast (投げる)
guard (守る)
medic (治す)
nur (養う)
cult (耕す)
ly (結びつける)
nect (結びつける)
pac (縛る)
strain (縛る)
strict (縛られた)
here (くっつく)
ple (折りたたむ)
plic (折りたたむ)
ploy (折りたたむ)
ply (折りたたむ)
tribute (割り当てる)
tail (切る)
sect (切る)
sting (刺す)
tort (ねじる)
frag (壊れる)
fuse (注ぐ)
mens (測る)
pens (重さを量る)
merge (浸す)
velop (包む)
veil (覆い)
cover (覆う;覆い)
gli (輝く)
prise (つかむ)
cert (確かな)
sure (確かな)
firm (確実な)
clar (明白な)
apt (適した)
due (支払うべき)
par (等しい)
human (人間の)
common (共有の)
commun (共有の)
semble (一緒に)
simil (同じ)
auto (自ら)
proper (自分自身の)
potent (できる)
maj (大きい)
nov (新しい)
lev (軽い)
hum (低い)
cand (白い)
plat (平らな)
minent (突き出た)
sane (健康な)
soph (賢い)
sacr (神聖な)
vict (征服した)
text (織られた)
soci (仲間)
demo (民衆)
civ (市民)
polic (都市)
host (客)
femin (女性)
patr (父)
arch (長)
bio (命,生活,生物)
psycho (精神)
corp (体)
face (顔)
head (頭)
chief (頭)
ped (足)
valu (価値)
delic (魅力)
grat (喜び)
hor (恐怖)
terr (恐れさせる)
fortune (運)
hap (偶然)
mort (死)
art (技術)
custom (習慣)
centr (中心)
eco (環境)
circ (円,環)
sphere (球)
rol (回転;巻いたもの)
tour (回る)
volve (回る)
base (基礎)
norm (標準)
ord (順序)
range (列)
int (内部の)
front (前面)
mark (境界)
limin (敷居)
point (点)
punct (突き刺す)
phys (自然)
di (日)
hydro (水)
riv (川)
mari (海)
sal (塩)
aster (星)
camp (野原)
mount (山)
insula (島)
vi (道)
loc (場所)
geo (土地)
terr (土地)
dom (家)
court (宮廷)
cave (穴)
bar (棒)
board (板)
cart (紙)
arm (武装,武装する)
car (車)
leg (法律)
reg (支配する)
her (相続)
gage (抵当)
merc (取引)
・ 池田 和夫 『語根で覚えるコンパスローズ英単語』 研究社,2019年.
近年の研究で,英語史におけるオランダ語 (dutch) の位置づけが少し変わってきていることについては,以下の記事で取り上げてきた.
・ 「#3435. 英語史において低地諸語からの影響は過小評価されてきた」 ([2018-09-22-1])
・ 「#4444. オランダ借用語の絶頂期は15世紀」 ([2021-06-27-1])
・ 「#4445. なぜ英語史において低地諸語からの影響が過小評価されてきたのか?」 ([2021-06-28-1])
・ 「#4446. 低地諸語が英語に及ぼした語彙以外の影響 --- 南部方言の TH-stopping と当中部方言の3単現のゼロ」 ([2021-06-29-1])
オランダ語との言語接触といえば,英語史のみならず日本語史でも重要なテーマである.日本語におけるオランダ借用語について,まず『日本語百科大事典』を開いてみた.その1027ページに「江戸時代の洋語」と題する1節があり,そこでオランダ語からの借用語が扱われている.そちらを読んでみよう.
江戸時代に入った洋語はほとんどすべてオランダ語である.長崎におけるオランダ人との貿易による,貿易に関連した用語および江戸後期に芽生え,幕末にいたってさかんになった蘭学に起因する科学技術の用語である.
貿易に関連した用語には,たとえば,
インデン(Indië,革製品)・ズック(doek)・ボートル(boter,バター)・ガラス(glas)・キルク(kurk)・コップ(kop)・ブリキ(blik)・ランプ(lamp)
などがある.蘭学関係の用語としては,
オブラート(oblaat)・メス(mes,外科用具)・カルキ(kalk)・キナ(kina,マラリアの薬)・サフラン(saffraan,薬草)・ヨジウム(jodium)・アルカリ(alkali)・アルコール(alcohol)・エレキテル(electriciteit)・タルモメートル(thermometer)・レンズ(lens)
などがある.
工業技術関係では,
ダライバン(draaibank,旋盤)・バイト(beitel,刃具)・ポンプ(pomp)・カラン(kraan,給水管のコック)
などがある.
これらのオランダ語系洋語の中には明治以後消失したものもあるが,かなり多くの語が現在まで続けて使われている.
日英語の対照言語史 (contrastive_language_history) という観点からも,オランダ語との言語接触はもっと注目されてよいトピックではないだろうか.
・ 『日本語百科大事典』 金田一 春彦ほか 編,大修館,1988年.
9月8日(日)に khelf(慶應英語史フォーラム)主催で開かれた「英語史ライヴ2024」の1セッションとして,『文法化する英語』(開拓社,2014年)の著者である保坂道雄先生(日本大学教授)と初の heldio 対談が実現しました.
文法化 (grammaticalisation) の入門となる音声コンテンツとなっていますが,そればかりでなく保坂先生の言語(変化)観をお聴きする貴重な機会ともなっています.対談の際,私の収録態勢が不十分だったために,途中部分を録音できなかったという痛恨のミスを犯してしまいましたが,全体としては一貫したコンテンツとなっております.ぜひお聴きいただければと思います.「#1245. 保坂道雄先生との「文法化入門」対談 --- 「英語史ライヴ2024」より」です(本編は20分弱です).
第2チャプターでは,言語変化における文法化の位置づけ,および迂言的 do (do-periphrasis) の文法化のイントロについてお話ししていただきました.続く第3チャプターでは,完了形 (perfect) の文法化を導入していただきました.(収録に失敗してしまった do 迂言形の話題につきましては,後日,改めて保坂先生にじっくりお話しいただきたいと思っています.)
今回の対談でご紹介した『文法化する英語』や,そこで扱われている個々の文法化の事例については,これまでも hellog および heldio で様々に取り上げてきました.文法化に関わるとりわけ重要なコンテンツを以下に一覧しておきます.
【 hellog 記事 】
・ 「#1972. Meillet の文法化」 ([2014-09-20-1])
・ 「#1974. 文法化研究の発展と拡大 (1)」 ([2014-09-22-1])
・ 「#1975. 文法化研究の発展と拡大 (2)」 ([2014-09-23-1])
・ 「#2144. 冠詞の発達と機能範疇の創発」 ([2015-03-11-1])
・ 「#2146. 英語史の統語変化は,語彙投射構造の機能投射構造への外適応である」 ([2015-03-13-1])
・ 「#2490. 完了構文「have + 過去分詞」の起源と発達」 ([2016-02-20-1])
・ 「#2575. 言語変化の一方向性」 ([2016-05-15-1])
・ 「#2576. 脱文法化と語彙化」 ([2016-05-16-1])
・ 「#3272. 文法化の2つのメカニズム」 ([2018-04-12-1])
・ 「#3273. Lehman による文法化の尺度,6点」 ([2018-04-13-1])
・ 「#3281. Hopper and Traugott による文法化の定義と本質」 ([2018-04-21-1])
・ 「#3669. ゼミのグループ研究のための取っ掛かり書誌」 ([2019-05-14-1])
・ 「#5124. Oxford Bibliographies による文法化研究の概要」 ([2023-05-08-1])
・ 「#5132. なぜ be going to は未来を意味するの? --- 「文法化」という観点から素朴な疑問に迫る」 ([2023-05-16-1])
・ 「#5411. heldio で「文法化」を導入するシリーズをお届けしました」 ([2024-02-19-1])
・ 「#5420. 保坂道雄(著)『文法化する英語』(開拓社,2014年) --- 英語の文法化の入門書」 ([2024-02-28-1])
【 heldio コンテンツ 】
・ 「#988. ぎゅうぎゅうの単語とすかすかの単語 --- 内容語と機能語」
・ 「#989. 内容語と機能語のそれぞれの特徴を比較する」
・ 「#990. 文法化とは何か?」
・ 「#991. while の文法化」
・ 「#992. while の文法化(続き)」
・ 「#1001. 英語の文法化について知りたいなら --- 保坂道雄(著)『文法化する英語』(開拓社,2014年)」
・ 「#1003. There is an apple on the table. --- 主語はどれ?」
英語史の視点からの文法化の入門書として,改めて保坂先生著『文法化する英語』を推します.
・ 保坂 道雄 『文法化する英語』 開拓社,2014年.
先月,知識共有サービス Mond にて5件の英語に関する質問に回答しました.新しいものから遡ってリンクを張り,回答の要約も付します.
(1) なぜ数量詞は遊離できるのに,冠詞や所有格は遊離できないの?
回答:理論的には数量詞句 (QP) と限定詞句 (DP) の違いによるものと説明できそうですが,一筋縄では行きません.歴史的にいえば,古英語から現代英語に至るまで,数量詞遊離は常に存在していましたが,時代とともに制限が厳しくなってきているという事実があります.詳しくは新刊書の田中 智之・縄田 裕幸・柳 朋宏(著)『生成文法と言語変化』(開拓社,2024年)をご参照ください.
(2) have got to の got とは何なのでしょうか?
回答:have got は本来「獲得したところだ」という現在完了の意味でしたが,16世紀末から「持っている」という単純な意味に転じました.文法化 (grammaticalisation) の過程を経て,口語で have の代用として定着しています.「#5657. 迂言的 have got の発達 (1)」 ([2024-10-22-1]),「#5658. 迂言的 have got の発達 (2)」 ([2024-10-23-1]) を参照.
(3) 英語では単数形,複数形の区別がありますが,なぜ「1とそれ以外」なのでしょうか?
回答:「1」が他の数と比べて特に基本的で重要な数であるためと考えられます.古英語には双数形もありましたが,中英語以降は単数・複数の2区分となりました.世界の言語では最大5区分まで持つものもあります.「#5660. なぜ英語には単数形と複数形の区別があるの? --- Mond での質問と回答より」 ([2024-10-25-1]) を参照.
(4) 完了形はなぜ動作の継続を表現できるのでしょうか?
回答:完了形の諸用法の共通点は「現在との関与」です.継続の意味は主に状態動詞で現われ,動作動詞では完了の意味が表出します.また「時間的不定性」も完了形の重要な特徴と考えられます.「#5651. 過去形に対する現在完了形の意味的特徴は「不定性」である」 ([2024-10-16-1]) を参照.
(5) subjunctive mood (仮定法・接続法)の現在完了について
回答:仮定法現在完了は理論上存在可能で実例も見られますが,比較的まれです.仮定法の体系は「現在・過去・過去完了」の3つ組みとして理解するのが妥当で,その中で完了相が必要な場合に現在完了形が使用される,と解釈するのはいかがでしょうか.
以上です.11月も Mond にて英語(史)に関する素朴な疑問を受け付けています.気になる問いをお寄せください.
慶應義塾大学文学部英米文学専攻では,毎年11月上旬に恒例のゼミガイダンスが開催されます.同専攻の学部2年生に向けて,来年度3年次に所属し,4年次に卒業論文を(英語で)執筆することになるゼミ(公式には「研究会」と称する)を選んでもらう趣旨でのガイダンスです.今年度のガイダンスは本日午後に開催予定です.
私のゼミ(堀田ゼミ)は,英語史を専攻する扱うゼミです.今年度は,3,4年生の現役ゼミ生が30余名集まって,賑やかにゼミ活動を展開しています.英語史ゼミとはいっても,必ずしも皆が古英語や中英語の諸問題を研究テーマに選んでいるわけではなく,近現代英語に関する話題を歴史的・通時的な観点から扱うゼミ生が大半です.過年度の卒業論文タイトルは,本ブログでも sotsuron の各記事で掲載しています.研究テーマの雰囲気は,そちらからつかめると思います.
学部ゼミの上には大学院ゼミもあり,合わせて拡大版ゼミとしての活動も盛んです.この拡大版ゼミは慶應英語史フォーラム (khelf)と呼んでおり,1年中活発な行事を営んでいます(cf. 「#5091. khelf の沿革,活動実績,ミッションステートメント」 ([2023-04-05-1])) .この1年間,khelf として実施してきた主な活動を挙げてみます.
・ khelf の公式ホームページでの英語史活動「hel活」 (helkatsu)
・ 『英語史新聞』の発行(第10号まで続いています)
・ 「英語史ラウンジ」で英語史研究者のインタビュー記事をウェブ掲載
・ 「英語史コンテンツ50+」企画と題する英語史コンテンツのウェブマガジン
・ Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」での各種企画への出演や後援
・ Voicy heldio での「英語史ライヴ2024」
・ 他大学の英語史ゼミと合同で開催する「英語史フェスティバル」(helフェス)(helfest) への参加
・ khelf の公式 X アカウント @khelf_keioでのhel活
・ khelf の公式 Instagram アカウント @khelf_keioでのhel活
入ゼミを検討している2年生にとってとりわけ直接的に参考になるのは,公式 Instagram アカウント @khelf_keioの直近数ヶ月のコンテンツだろうと思います.本紹介,個々のゼミ生紹介,9月の「英語史ライヴ2024」やゼミ合宿の様子を含めた文字投稿,写真・画像投稿,リール動画が満載です(むしろ,本日のガイダンスのために Instagram で発信を頑張ってきた経緯があります).
英語の歴史的・通時的側面に関心がある学生,英語に関する素朴な疑問を解決したい学生,イベント企画や情報発信をやってみたい学生は,ぜひ堀田ゼミへの入ゼミを検討してみてください.皆さんの活躍に期待しています.
英語の法助動詞 (auxiliary_verb) が歴史を通じてさまざまな意味変化を経てきたことは,よく知られている.とりわけ根源的意味と認識的意味の関係が話題とされることが多く,hellog でも「#4564. 法助動詞の根源的意味と認識的意味」 ([2021-10-25-1]) や「#4567. 法助動詞の根源的意味と認識的意味が同居している理由」 ([2021-10-28-1]) で取り上げてきた.
根源的意味から認識的意味への変化は,主観化 (subjectification) の事例として挙げられることがある.寺澤 (131--32) より解説を引用する.
法助動詞 must には,John must be back by ten 〈ジョンは10時までにもどらなければならない〉のように〈義務〉を表わす用法と,The old man must have a lot of money 〈その老人はお金をたくさん持っているに違いない〉のように〈論理的必然〉を表わす用法がある.前者では,must は文の主語である John の行為について,それが義務づけられていることを述べている.一方,後者は,〈その老人がお金をたくさん持っていなければならない〉ということを意味しているのではなく,〈その老人は間違いなくお金をたくさん持っているだろう〉という話し手の当然の推論・判断を表わしている.話し手の推論・判断を含まない客観的な用法と,それを含む主観的な用法は,それぞれ根元 (root) 用法と認識 (epistemic) 用法と呼ばれる.他の法助動詞にもこの二つの用法はみられる.may は,You may borrow his bicycle 〈彼の自転車を借りてもよい〉のような〈許可〉を表わす用法と,You may be right 〈あなたは正しいかもしれない〉といった話し手の推論を含み〈可能性〉を意味する用法がある.can についても,I cannot solve the problem 〈その問題を解くことができない〉におけるように〈能力)を表わす用法と,The story cannot be true 〈その話しは本当であるはずがない〉のように話し手の否定的推量を表わす主観的な用法がある.こうした法助動詞を歴史的に調べてみると,興味深いことに,いずれの法助動詞においても話し手の推論・判断を表わす主観的な用法が客観的な用法よりも後になって発達している.このように,話し手の主観的な推論や判断が語の意味のなかに取り込まれていく傾向を主観化 (subjectification) という.
意味変化における主観化の作用は,法助動詞のような機能語のみならず,一般の内容語にも観察される.たとえば,上の引用の後では,hopefully の意味が「希望を持って」から文副詞としての「願わくは」へ転じた事例も主観化のケースとして挙げられている.
・ 寺澤 盾 「第7章 意味の変化」『英語の意味』 池上 嘉彦(編),大修館,1996年.113--34頁.
著名なグリムの法則 (grimms_law) には,提案された当時より,様々な例外があることが気づかれていた.最も有名なのはヴェルネルの法則 (verners_law) に関する例外だが,もう1つグラスマンの法則 (grassmanns_law) というものがある.『新英語学辞典』 '(209--300) より,該当の解説を引く.
次に発見された例外は,通常グラスマンの法則 (Grassmann's law) と呼ばれるものである.ある系列の印欧語の対応は Grimm が設定した型に合致せず,説明が困難であったが,Herman Grassmann (1809--77) はギリシア語やサンスクリットのデータを調べ,これらの言語では例外的に不規則な対応を発達させたことを明らかにした.例えば
Goth. Skt -biudan 'offer' bódhāmi 'notice' dauhtar 'daughter' duhitā' gagg 'street' jánghā 'leg'
等の対応において,グリムの法則によればゲルマン語の b, d, g に対応するサンスクリットの語頭は帯気音 (bh, dh, gh) でなければならないのに非帯気音である.Grassmann は,これはギリシア語およびサンスクリットにおいて,二つの隣接する音節で帯気音が続いたとき,どちらか一つは異化 (DISSIMILATION) によって非帯気音になる現象のせいであることを発見した.ここにおいて言語学者は,単音の特徴や音声環境だけでなく,相接する音節との関係にも注意しなければならないことを知ったのである.
Bussmann の用語辞典からも引いておこう (198--99) .
Grassmann's law (also dissimilation of aspirates)
Discovered by Grassmann (1863), sound change occurring independently in Sanskrit and Greek which consistently results in a dissimilation of aspirated stops. If at least two aspirated stops occur in a single word, then only the last stop retains its aspiration, all preceding aspirates are deaspirated; cf. IE *bhebhoṷdhe > Skt bubodha 'had awakened,' IE *dhidhēhmi > Grk títhēmi 'I set, I put.' This law, which was discovered through internal reconstruction, turned a putative 'exception' to the Germanic sound shift (⇒ 'Grimm's law). . . into a law.
・ 大塚 高信,中島 文雄(監修) 『新英語学辞典』 研究社,1982年.
・ Bussmann, Hadumod. Routledge Dictionary of Language and Linguistics''. Trans. and ed. Gregory Trauth and Kerstin Kazzizi. London: Routledge, 1996.
1週間ほど前の10月26日に,今年度の朝日カルチャーセンター新宿教室でのシリーズ講座の第7回が開講されました.今回は「英語,フランス語に侵される」と題して,主に中英語期の英仏語の言語接触に注目しました.90分の講義では足りないほど,話題が盛りだくさんでした.対面およびオンラインで,多くの方々にご参加いただき,ありがとうございました.
その盛りだくさんの内容を,markmap というウェブツールによりマインドマップ化して整理してみました(画像としてはこちらからどうぞ).受講された方は復習用に,そうでない方は講座内容を垣間見る機会としてご活用ください.
連日,言語類型論 (typology) と言語普遍性 (universal) について話題にしている.言語普遍性といっても,その強度により,絶対的な普遍性もあれば,相対的,あるいは確率論的な普遍性もあると述べた.さらにいえば,普遍性には異なる種類のものがある.今回紹介するのは,Crystal (85) が区別している3種類の普遍性だ.それぞれ「実質的」「形式的」「含意的」と訳しておきたい.
Substantive
Substantive universals comprise the set of categories that is needed in order to analyse a language, such as 'noun', 'question', 'first-person', 'antonym', and 'vowel'. Do all languages have nouns and vowels? The answer seems to be yes. But certain categories often thought of as universal turn out not to be so: not all languages have case endings, prepositions, or future tenses, for example, and there are several surprising limitations on the range of vowels and consonants that typically occur . . . . Analytical considerations must also be borne in mind. Do all languages have words? The answer depends on how the concept of 'word' is defined . . . .
Formal
Formal universals are a set of abstract conditions that govern the way in which a language analysis can be made --- the factors that have to be written into a grammar, if it is to account successfully for the way sentences work in a language. For example, because all languages make statements and ask related questions (such as The car is ready vs Is the car ready?), some means has to be found to show the relationship between such pairs. Most grammars derive question structures from statement structures by some kind of transformation (in the above example, 'Move the verb to the beginning of the sentence'). If it is claimed that such transformations are necessary in order to carry out the analysis of these (and other kinds of) structures, as one version of Chomskyan theory does, then they would be proposed as formal universals. Other cases include the kinds of rules used in a grammar, or the different levels recognized by a theory . . . .
Implicational
Implicational universals always take the form 'If X, then Y', their intention being to find constant relationships between two or more properties of language. For example, three of the universals proposed in a list of 45 by the American linguist Joseph Greenberg (1915--) are as follows:
Universal 17. With overwhelmingly more-than-chance frequency, languages with dominant order VSO [=Verb-Subject-Object] have the adjective after the noun.
Universal 31. If either the subject or object noun agrees with the verb in gender, then the adjective always agrees with the noun in gender.
Universal 43. If a language has gender categories in the noun, it has gender categories in the pronoun.
As is suggested by the phrasing, implicational statements have a statistical basis, and for this reason are sometimes referred to as 'statistical' universals . . . .
以上の3種類の言語普遍性をまとめると次のようになるだろう.
1. 実質的普遍性 (Substantive universals): 名詞,疑問文,人称,母音など,言語分析に必要な基本的な範疇 (category) のこと.すべて言語に共通して存在する要素もあれば,前置詞や未来時制のように必ずしも普遍的でない要素もある.
2. 形式的普遍性 (Formal universals): 文の構造を説明するために必要な抽象的な条件や文法規則のこと.例えば,平叙文から疑問文への変換規則などが含まれ,チョムスキーの理論では,このような変形規則は形式的普遍性として扱われる.
3. 含意的普遍性 (Implicational universals): 「もし X ならば Y」という形式で表わされる言語特性間の関係のこと.統計的な傾向に基づいており,例えば VSO 語順の言語では形容詞が名詞の後に来る傾向がある等の指摘がなされる.
・ Crystal, David. The Cambridge Encyclopedia of Language. 2nd. Cambridge: CUP, 2003.
昨日の記事「#5666. 歴史言語学,言語普遍性,言語類型論」 ([2024-10-31-1]) の最後に,言語学の各分野は「言語という山のトンネルを異なる方向から掘り進めているという違いがあるにすぎない」と述べた.言語類型論 (typology) と言語普遍性 (universal) の研究は,しかし,方法論的には大きく異なっている.前者はなるべく多くの言語を調査して異同点を収集するのに対して,後者は極端な場合には1言語のみを深く研究すれば事足りると主張するからだ.浅く広くか,深く狭くか.Crystal (85) が "BREADTH OR DEPTH?" と題する1節で論じている.
The distinction between typological and universalist approaches to language study is doubtless ultimately an arbitrary one; and both have considerable insights to offer. But the two approaches, as currently practised, differ greatly in their procedures. Typologists typically study a wide range of languages as part of their enquiry, and tend to make generalizations that deal with the more observable aspects of structure, such as word order, word classes, and types of sound. In contrast with the empirical breadth of such studies, universalists rely on in-depth studies of single languages, especially in the field of grammar --- English, in particular, is a common language of exemplification --- and tend to make generalizations about the more abstract, underlying properties of language.
This focus on single languages might at first seem strange. If we are searching for universals, then surely we need to study many languages? Chomsky argues, however, that there is no paradox. Because English is a human language, it must therefore incorporate all universal properties of language, as well as those individual features that make it specifically 'English'. One way of finding out about these properties, therefore, is the detailed study of single languages. The more languages we introduce into our enquiry, the more difficult it can become to see the central features behind the welter of individual difference.
On the other hand, it can be argued that the detailed study of single languages is inevitably going to produce a distorted picture. There are features of English, for example, that are not commonly met with in other languages, such as the use of only one inflectional ending in the present tense (third-person, as in she runs), or the absence of a second-person singular/plural distinction (cf. French tu/vous). Without a typological perspective, some say, it is not possible to anticipate the extent to which our sense of priorities will be upset. If languages were relatively homogeneous entities, like samples of iron ore, this would not be a problem. But, typologists argue, languages are unpredictably irregular and idiosyncratic. Under these circumstances, a focus on breadth, rather than depth, is desirable.
分野によって,トンネルを掘る方向だけでなく,掘り方そのものが大きく異なることを確認し,実感した.皆さんはどちらのタイプでしょうか?
・ Crystal, David. The Cambridge Encyclopedia of Language. 2nd. Cambridge: CUP, 2003.
2024 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
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2021 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
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最終更新時間: 2024-11-12 07:45
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