hellog〜英語史ブログ

『英語史で解きほぐす英語の誤解』のページ

目次

お知らせ (2011年10月17日)

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 ・ 堀田隆一(ほったりゅういち) 『英語史で解きほぐす英語の誤解 --- 納得して英語を学ぶために』 中央大学出版部,2011年.195頁.ISBN: 9784805727041.定価880円(税別).


 2011年10月7日に,中央大学出版よりhellog〜英語史ブログからの記事を豊富に取り込んだ英語史の入門書『英語史で解きほぐす英語の誤解 --- 納得して英語を学ぶために』を出版いたしました.
 このページは同著のコンパニオンページとして設けたものです.今後,主に本文と関連するブログ内記事へのリンクを張ってゆく予定です.


 本書は,Amazon.co.jp 等のオンライン書店でも購入可能です.あるいは,「中央大学出版部の書籍の購入について」をご覧ください.

本書の紹介

 本書の「おわりに」でも触れていますが,この本はhellog〜英語史ブログからの記事を多く取り込んで執筆しました.記事を書きためるなかで,話の種が揃ってきたので一冊の本にまとめてみようと思ったのが執筆の直接のきっかけです.
 一方,大学の授業で英語史の概説などを行ないながら,学生の皆さんより英語に関する素朴で純粋な疑問が数多く寄せられるなかで,英語に関する様々な誤解が広まっていることに気づくようになりました.英語史という観点から,こうした疑問に迫り,誤解を解きほぐす本を書けないかというのが,本書執筆のもう1つのきっかけです.
 「はじめに」では,本書の目標として以下の3点を掲げました.
  1. 受動的でなく能動的に英語に向かい合うことができるように促す
  2. 英語に関する素朴な疑問を取り上げ,英語への好奇心を喚起する
  3. 英語の歴史の重みと深みを通じて,言語の不思議と魅力へ誘う
この3点は,hellog〜英語史ブログの記事執筆の原動力そのものでもあります.当該ブログ読者のみなさん,堀田の英語史関連授業の受講生のみなさんには,特に理解しやすいだろうと思われる部分が本書には多く含まれていますので,是非そのような視点からご一読ください.
 以下は,出版に際して作成された2ヴァージョンの紹介文ですので,参考までに転載します.

 私たちはなぜ英語を学ぶのか? 一見すると自明なこの問いに,自信をもって正確に答えられる日本人は少ない.英語は世界語として国際的に最もよく通用する言葉だから,という答えでは不十分である.なぜなら,この答えはなぜ英語が世界語となったのかという背景については何も語っておらず,英語学習の動機づけとしては弱いからである.注目される言語であるだけに,英語には数々の誤解や俗説が生まれており,それが人々の英語に対する態度に負の影響を及ぼしている.
 本書は英語の歴史を通じて英語にまつわる基本的な誤解を解きほぐし,読者に能動的に英語に向かわせ,言語への素朴な好奇心を喚起し,その不思議と魅力へ誘うことを目指す.
 今や世界中で話されている「英語」.そもそも,英語が世界共通語となった背景にはどのような事情があるのでしょう?そして,私たち日本人はなぜ英語を学ぶのでしょう?……本書は,英語にまつわる種々の疑問や俗説・誤解を,歴史を通じて丹念に解きほぐしました.ページを繰るうちに英語への素朴な好奇心が呼び起こされ,英語に向かう気持ちがこれまでよりぐんと能動的になりそうな一冊です.

 ついでながら,本書の見返しにある著者略歴です.
 堀田 隆一
 中央大学文学部准教授(英語文学文化専攻).1975年東京都生まれ.三児の父.大学時代,一年間休学してバックパッカーとして世界各地を歩き,英語という言語が世界で意外と通じないことに気づく.帰国後,机上の勉強が恋しくなり,大学院へ進学.英語(特に英語の不可解な振る舞い)を理解し,それを人生の知恵とするためには,英語の歴史の知識が不可欠であると確信するに至る.
 人生で初めて英語に触れた瞬間から,日本語にはない英語の名詞の複数形という現象に取り憑かれ,2009年に The Development of the Nominal Plural Forms in Early Middle English を出版.同研究は今も進行中である.

本書の目次

本書の内容と関連したブログ記事へのリンク

 以下のリンク先の記事では,本書には掲載されていない図表や明示されていない典拠が豊富に含まれています.本書と合わせてご覧ください.各記事の内部や右下の隅にも複数のリンクが張られていることが多いので,芋づる式に関連するトピックへ飛ぶことができます.

はしがき (i)

序章 なぜ人々は英語を学ぶのか (001)

第1章 英語は世界共通語である (011)

第1節 話者数でみる英語の実力 (012)

第2節 一枚岩でない英語 (019)

第3節 様々な英語話者 (024)

第4節 英語は誰のものか (028)

第2章 英語は昔から変化していない (033)

第1節 変化しない言語はない (034)

第2節 英語史の時代区分 (036)

第3節 現代英語の特徴 (037)

第4節 古英語の特徴 (041)

第5節 なぜここまで変化したのか (042)

第3章 英語はラテン語から派生した (045)

第1節 英語とヨーロッパ諸言語の関係 (046)

第2節 印欧語族の解明 (047)

第3節 ゲルマン語派 (052)

第4節 系統と影響 (056)

第4章 英語は純粋な言語である (059)

第1節 言語の純粋さ (060)

第2節 英語の雑種性 (063)

第3節 征服の歴史 (064)

第1項 ケルト人とケルト語 (065)
第2項 ローマ人とラテン語 (066)
第3項 アングロサクソン人と英語 (067)
第4項 ヴァイキングと古ノルド語 (069)
第5項 ノルマン人とフランス語 (072)

第4節 多層の語彙 (077)

第1項 英語語彙の3層構造 (077)
第2項 日本語語彙との類似 (080)

第5章 英語は易しい言語である (083)

第1節 英語の難易度 (084)

第2節 古英語の性・数・格 (085)

第3節 古英語の屈折と語順 (089)

第4節 なぜ屈折が衰退したか (094)

第6章 英語は日本語と比べて文字体系が単純である (101)

第1節 英語のアルファベット (102)

第2節 綴り字と発音の乖離 (104)

第3節 古英語の文字と発音 (108)

第4節 1対1がなぜ崩れてゆくか (110)

第5節 大母音推移 (119)

第7章 英文法は固定している (125)

第1節 現代英文法の規則 (126)

第2節 規範文法の成立 (130)

第3節 文法は変わる (137)

第8章 イギリス英語とアメリカ英語は大きく異なっている (139)

第1節 英語の英米差 (140)

第2節 アメリカ英語の発展 (143)

第3節 アメリカ英語の連続性 (147)

第4節 英語のアメリカ化 (153)

第9章 英語は簡単だから世界共通語になった (157)

第1節 世界語の条件 (158)

第2節 イギリスとアメリカのバトンリレー (161)

第3節 英語成功物語? (167)

第10章 英語はもはや変化しない (171)

第1節 英語の役割の変化 (172)

第2節 英語の多様化 (173)

第3節 世界標準英語の兆し (177)

第4節 遠心力と求心力 (180)

第5節 言語交替 (183)

おわりに (189)

文献案内 (191)




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