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hel_education - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2024-11-21 21:39

2024-11-21 Thu

#5687. ウェブ上で「英語史クイズ」というコンテンツが現われてきました [helquiz][notice][hel_education][helkatsu][link][khelf][hellive2024]

 英語史クイズ (helquiz) というコンテンツが,徐々に認知されるようになってきました.文字通り英語史に関するクイズという,英語史活動(helkatsu) に資するコンテンツの1種にすぎないといえば,そうなのですが,SNS上で問うてみたり,クイズ大会を企画してみたり,有志のクイズ作家や評論家(?)が現われたり,おもしろい展開となってきています.
 以下に,関連する Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」の配信回へのリンクを張っておきます.

 ・ 「#642. heldio 初の「英語史クイズ」」(2023/03/04)(cf. 「#5059. heldio 初の「英語史クイズ」」 ([2023-03-04-1]))
 ・ 「#669. 英語史クイズ with まさにゃん」(2023/03/31)(cf. 「#5087. 「英語史クイズ with まさにゃん」 in Voicy heldio とクイズ問題の関連記事」 ([2023-04-01-1]))
 ・ 「#670. 英語史クイズ with まさにゃん(続編)」(2023/04/01)
 ・ 「#1010. 英語史クイズ in hel フェス(生放送のアーカイヴ)」(2024/03/06)(cf. 「#5427. 「英語史クイズ」の heldio 生放送をお届けしました」 ([2024-03-06-1]))
 ・ 「#1256. 英語史クイズの予習会 (1) --- 「英語史ライヴ2024」の裏番組より」(2024/11/06)
 ・ 「#1263. 英語史クイズの予習会 (2) --- 「英語史ライヴ2024」の裏番組より」(2024/11/13)
 ・ 「#1268. khelf 杯「英語史クイズ大会」 --- 「英語史ライヴ2024」より」(2024/11/18)(←このクイズ大会はこちらよりインスタライヴのアーカイヴとしても視聴いただけます)

 関連して,hel活の有志メンバーによる「英語史クイズ」関連のコンテンツも増えてきています.

 ・ 堀田の Instagram アカウント @chariderryu「Kenning Quiz」 (2024/07/27)
 ・ 菊地翔太先生(専修大学)による note 記事:「「英語史ライヴ2024」で出題した英語史クイズ(解答・解説つき)」 (2024/09/09)
 ・ khelf 公式 Instagram アカウント @khelf_keio「英語史クイズ」 (2024/09/21)
 ・ コアリスナー・ari さんによる note 記事:「#127 【英語史クイズ】 Williamと語源的につながりのない語は?」 (2024/11/17)
 ・ コアリスナー・川上さんによる X での活動:「英語史クイズ【誤りはどれ】1: ウムラウト i-mutation の影響関係について」 (2024/11/17)

 ますます盛り上がっていきそうな企画です.皆さんも,解くだけでなく問いも作ってみてください!

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2024-11-19 Tue

#5685. khelf 杯「英語史クイズ大会」 --- 「英語史ライヴ2024」より [helquiz][hellive2024][khelf][instagram][hel_education][link][voicy][heldio][helwa][helmate][helkatsu]

 9月8日(日),khelf(慶應英語史フォーラム)主催で,heldio の12時間連続生配信企画「英語史ライヴ2024」を実施しました.当日は様々な番組をライヴでお届けしましたが,目玉企画イベントとして,夕方のフィナーレに向けて「英語史クイズ大会」を催しました.
 そのアーカイヴ版を,昨朝の heldio にて「#1268. khelf 杯「英語史クイズ大会」 --- 「英語史ライヴ2024」より」として配信しました.60分ほどの長尺ですが,ぜひお時間のあるときにお聴きください(同クイズ大会は khelf の公式インスタグラムよりインスタライヴとしても配信しました.アーカイヴ動画はこちらです).



 「英語史クイズ大会」のメインMCは,khelf 会長の青木輝さんに務めてもらいました.クイズ出題者は,小河舜先生(上智大学),菊地翔太先生(専修大学),森田真登先生(武蔵野学院大学),矢冨弘(熊本学園大学)先生です.(菊地先生は,ご自身の出題されたクイズについて note 記事で解説を加えられていますので,ぜひ「「英語史ライヴ2024」で出題した英語史クイズ(解答・解説つき)」をご覧ください.)
 配信回からは,大盛り上がりの様子が伝わるかと思います.会場には協賛出版社よりクイズの景品としてご提供いただいた書籍等がたくさん陳列されており,それを狙う参加者にとって本気のクイズ大会となりました.
 以前にも英語史関連のフェスで英語史クイズ (helquiz) を何度か実施してきました.今後もhel活の一環として英語史クイズの企画を立てていきたいと思います.
 英語史クイズといえば,最近ではヘルメイト(= helwa リスナー)による公開出題の動きが目立ちます.リスナーの川上さんによる X 上の試みや,ari さんによる note 上の試みなどもご参照ください.

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2024-11-11 Mon

#5677. 『語根で覚えるコンパスローズ英単語』の接辞リスト(129種) [etymology][prefix][suffix][vocabulary][hel_education][lexicology][word_formation][derivation][derivative][morphology][latin][greek][review]


池田 和夫 『語根で覚えるコンパスローズ英単語』 研究社,2019年.



 昨日の記事「#5676. 『語根で覚えるコンパスローズ英単語』の300語根」 ([2024-11-10-1]) に引き続き,同書の付録 (344--52) に掲載されている主要な接辞のリストを挙げたいと思います.接頭辞 (prefix) と接尾辞 (suffix) を合わせて129種の接辞が紹介されています.

【 主な接頭辞 】
a-, an- ない (without)
ab-, abs- 離れて,話して (away)
ad-, a-, ac-, af-, ag-, al-, an-, ap-, ar-, as-, at- …に (to)
ambi- 周りに (around)
anti-, ant- 反… (against)
bene- よい (good)
bi- 2つ (two)
co- 共に (together)
com-, con-, col-, cor- 共に (together);完全に (wholly)
contra-, counter- 反対の (against)
de- 下に (down);離れて (away);完全に (wholly)
di- 2つ (two)
dia- 横切って (across)
dis-, di-, dif- ない (not);離れて,別々に (apart)
dou-, du- 2つ (two)
en-, em- …の中に (into);…にする (make)
ex-, e-, ec-, ef- 外に (out)
extra- …の外に (outside)
fore- 前もって (before)
in-, im-, il-, ir-, i- ない,不,無,非 (not)
in-, im- 中に,…に (in);…の上に (on)
inter- …の間に (between)
intro- 中に (in)
mega- 巨大な (large)
micro- 小さい (small)
mil- 1000 (thousand)
mis- 誤って (wrongly);悪く (badly)
mono- 1つ (one)
multi- 多くの (many)
ne-, neg- しない (not)
non- 無,非 (not)
ob-, oc-, of-, op- …に対して,…に向かって (against)
out- 外に (out)
over- 越えて (over)
para- わきに (beside)
per- …を通して (through);完全に (wholly)
post- 後の (after)
pre- 前に (before)
pro- 前に (forward)
re- 元に (back);再び (again);強く (strongly)
se- 別々に (apart)
semi- 半分 (half)
sub-, suc-, suf-, sum-, sug-, sup-, sus- 下に (down),下で (under)
super-, sur- 上に,越えて (over)
syn-, sym- 共に (together)
tele- 遠い (distant)
trans- 越えて (over)
tri- 3つ (three)
un- ない (not);元に戻して (back)
under- 下に (down)
uni- 1つ (one)

【 名詞をつくる接尾辞 】
 
-age 状態,こと,もの
-al こと
-ance こと
-ancy 状態,もの
-ant 人,もの
-ar 人
-ary こと,もの
-ation すること,こと
-cle もの,小さいもの
-cracy 統治
-ee される人
-eer 人
-ence 状態,こと
-ency 状態,もの
-ent 人,もの
-er, -ier 人,もの
-ery 状態,こと,もの;類,術;所
-ess 女性
-hood 状態,性質,期間
-ian 人
-ics 学,術
-ion, -sion, -tion こと,状態,もの
-ism 主義
-ist 人
-ity, -ty 状態,こと,もの
-le もの,小さいもの
-let もの,小さいもの
-logy 学,論
-ment 状態,こと,もの
-meter 計
-ness 状態,こと
-nomy 法,学
-on, -oon 大きなもの
-or 人,もの
-ory 所
-scope 見るもの
-ship 状態
-ster 人
-tude 状態
-ure こと,もの
-y こと,集団

【 形容詞をつくる接尾辞 】
-able できる,しやすい
-al …の,…に関する
-an …の,…に関する
-ant …の,…の性質の
-ary …の,…に関する
-ate …の,…のある
-ative …的な
-ed …にした,した
-ent している
-ful …に満ちた
-ible できる,しがちな
-ic …の,…のような
-ical …の,…に関する
-id …状態の,している
-ile できる,しがちな
-ine …の,…に関する
-ior もっと…
-ish ・・・のような
-ive ・・・の,・・・の性質の
-less ・・・のない
-like ・・・のような
-ly ・・・のような;・・・ごとの
-ory ・・・のような
-ous ・・・に満ちた
-some ・・・に適した,しがちな
-wide ・・・にわたる

【 動詞をつくる接尾辞 】
-ate ・・・にする,させる
-en ・・・にする
-er 繰り返し・・・する
-fy, -ify ・・・にする
-ish ・・・にする
-ize ・・・にする
-le 繰り返し・・・する

【 副詞をつくる接尾辞 】
-ly ・・・ように
-ward ・・・の方へ
-wise ・・・ように


 ・ 池田 和夫 『語根で覚えるコンパスローズ英単語』 研究社,2019年.

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2024-11-10 Sun

#5676. 『語根で覚えるコンパスローズ英単語』の300語根 [etymology][prefix][suffix][vocabulary][hel_education][lexicology][word_formation][derivation][derivative][morphology][latin][greek][review]


池田 和夫 『語根で覚えるコンパスローズ英単語』 研究社,2019年.



 英語ボキャビルのための本を紹介します.研究社から出版されている『語根で覚えるコンパスローズ英単語』です.300の語根を取り上げ,語根と意味ベースで派生語2500語を学習できるように構成されています.研究社の伝統ある『ライトハウス英和辞典』『カレッジライトハウス英和辞典』『ルミナス英和辞典』『コンパスローズ英和辞典』の辞書シリーズを通じて引き継がれてきた語根コラムがもとになっています.
 選ばれた300個の語根は,ボキャビル以外にも,英語史研究において何かと役に立つリストとなっています.目次に従って,以下に一覧します.

cess (行く)
ceed (行く)
cede (行く)
gress (進む)
vent (来る)
verse (向く)
vert (向ける)
cur (走る)
pass (通る)
sta (立つ)
sist (立つ)
sti (立つ)
stitute (立てた)
stant (立っている)
stance (立っていること)
struct (築く)
fact (作る,なす)
fic (作る)
fect (作った)
gen (生まれ)
nat (生まれる)
crease (成長する)
tain (保つ)
ward (守る)
serve (仕える)
ceive (取る)
cept (取る)
sume (取る)
cap (つかむ)
mote (動かす)
move (動く)
gest (運ぶ)
fer (運ぶ)
port (運ぶ)
mit (送る)
mis (送られる)
duce (導く)
duct (導く)
secute (追う)
press (押す)
tract (引く)
ject (投げる)
pose (置く)
pend (ぶら下がる)
tend (広げる)
ple (満たす)
cide (切る)
cise (切る)
vary (変わる)
alter (他の)
gno (知る)
sent (感じる)
sense (感じる)
cure (注意)
path (苦しむ)
spect (見る)
vis (見る)
view (見る)
pear (見える)
speci (見える)
pha (現われる)
sent (存在する)
viv (生きる)
act (行動する)
lect (選ぶ)
pet (求める)
quest (求める)
quire (求める)
use (使用する)
exper (試みる)
dict (言う)
log (話す)
spond (応じる)
scribe (書く)
graph (書くこと)
gram (書いたもの)
test (証言する)
prove (証明する)
count (数える)
qua (どのような)
mini (小さい)
plain (平らな)
liber (自由な)
vac (空の)
rupt (破れた)
equ (等しい)
ident (同じ)
term (限界)
fin (終わり,限界)
neg (ない)
rect (真っすぐな)
prin (1位)
grade (段階)
part (部分)
found (基礎)
cap (頭)
medi (中間)
popul (人々)
ment (心)
cord (心)
hand (手)
manu (手)
mand (命じる)
fort (強い)
form (形,形作る)
mode (型)
sign (印)
voc (声)
litera (文字)
ju (法)
labor (労働)
tempo (時)
uni (1つ)
dou (2つ)
cent (100)
fare (行く)
it (行く)
vade (行く)
migrate (移動する)
sess (座る)
sid (座る)
man (とどまる)
anim (息をする)
spire (息をする)
fa (話す)
fess (話す)
cite (呼ぶ)
claim (叫ぶ)
plore (叫ぶ)
doc (教える)
nounce (報じる)
mon (警告する)
audi (聴く)
pute (考える)
tempt (試みる)
opt (選ぶ)
cri (決定する)
don (与える)
trad (引き渡す)
pare (用意する)
imper (命令する)
rat (数える)
numer (数)
solve (解く)
sci (知る)
wit (知っている)
memor (記憶)
fid (信じる)
cred (信じる)
mir (驚く)
pel (追い立てる)
venge (復讐する)
pone (置く)
ten (保持する)
tin (保つ)
hibit (持つ)
habit (持っている)
auc (増す)
ori (昇る)
divid (分ける)
cret (分ける)
dur (続く)
cline (傾く)
flu (流れる)
cas (落ちる)
cid (落ちる)
cease (やめる)
close (閉じる)
clude (閉じる)
draw (引く)
trai (引っ張る)
bat (打つ)
fend (打つ)
puls (打つ)
cast (投げる)
guard (守る)
medic (治す)
nur (養う)
cult (耕す)
ly (結びつける)
nect (結びつける)
pac (縛る)
strain (縛る)
strict (縛られた)
here (くっつく)
ple (折りたたむ)
plic (折りたたむ)
ploy (折りたたむ)
ply (折りたたむ)
tribute (割り当てる)
tail (切る)
sect (切る)
sting (刺す)
tort (ねじる)
frag (壊れる)
fuse (注ぐ)
mens (測る)
pens (重さを量る)
merge (浸す)
velop (包む)
veil (覆い)
cover (覆う;覆い)
gli (輝く)
prise (つかむ)
cert (確かな)
sure (確かな)
firm (確実な)
clar (明白な)
apt (適した)
due (支払うべき)
par (等しい)
human (人間の)
common (共有の)
commun (共有の)
semble (一緒に)
simil (同じ)
auto (自ら)
proper (自分自身の)
potent (できる)
maj (大きい)
nov (新しい)
lev (軽い)
hum (低い)
cand (白い)
plat (平らな)
minent (突き出た)
sane (健康な)
soph (賢い)
sacr (神聖な)
vict (征服した)
text (織られた)
soci (仲間)
demo (民衆)
civ (市民)
polic (都市)
host (客)
femin (女性)
patr (父)
arch (長)
bio (命,生活,生物)
psycho (精神)
corp (体)
face (顔)
head (頭)
chief (頭)
ped (足)
valu (価値)
delic (魅力)
grat (喜び)
hor (恐怖)
terr (恐れさせる)
fortune (運)
hap (偶然)
mort (死)
art (技術)
custom (習慣)
centr (中心)
eco (環境)
circ (円,環)
sphere (球)
rol (回転;巻いたもの)
tour (回る)
volve (回る)
base (基礎)
norm (標準)
ord (順序)
range (列)
int (内部の)
front (前面)
mark (境界)
limin (敷居)
point (点)
punct (突き刺す)
phys (自然)
di (日)
hydro (水)
riv (川)
mari (海)
sal (塩)
aster (星)
camp (野原)
mount (山)
insula (島)
vi (道)
loc (場所)
geo (土地)
terr (土地)
dom (家)
court (宮廷)
cave (穴)
bar (棒)
board (板)
cart (紙)
arm (武装,武装する)
car (車)
leg (法律)
reg (支配する)
her (相続)
gage (抵当)
merc (取引)


 ・ 池田 和夫 『語根で覚えるコンパスローズ英単語』 研究社,2019年.

Referrer (Inside): [2024-11-11-1]

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2024-11-07 Thu

#5673. 10月,Mond で5件の質問に回答しました [mond][sobokunagimon][hel_education][notice][link][helkatsu][numeral][grammaticalisation][number][category][dual][negation][perfect][subjunctive][heldio]



 先月,知識共有サービス Mond にて5件の英語に関する質問に回答しました.新しいものから遡ってリンクを張り,回答の要約も付します.

 (1) なぜ数量詞は遊離できるのに,冠詞や所有格は遊離できないの?
   回答:理論的には数量詞句 (QP) と限定詞句 (DP) の違いによるものと説明できそうですが,一筋縄では行きません.歴史的にいえば,古英語から現代英語に至るまで,数量詞遊離は常に存在していましたが,時代とともに制限が厳しくなってきているという事実があります.詳しくは新刊書の田中 智之・縄田 裕幸・柳 朋宏(著)『生成文法と言語変化』(開拓社,2024年)をご参照ください.

 (2) have got to の got とは何なのでしょうか?
   回答:have got は本来「獲得したところだ」という現在完了の意味でしたが,16世紀末から「持っている」という単純な意味に転じました.文法化 (grammaticalisation) の過程を経て,口語で have の代用として定着しています.「#5657. 迂言的 have got の発達 (1)」 ([2024-10-22-1]),「#5658. 迂言的 have got の発達 (2)」 ([2024-10-23-1]) を参照.

 (3) 英語では単数形,複数形の区別がありますが,なぜ「1とそれ以外」なのでしょうか?
   回答:「1」が他の数と比べて特に基本的で重要な数であるためと考えられます.古英語には双数形もありましたが,中英語以降は単数・複数の2区分となりました.世界の言語では最大5区分まで持つものもあります.「#5660. なぜ英語には単数形と複数形の区別があるの? --- Mond での質問と回答より」 ([2024-10-25-1]) を参照.

 (4) 完了形はなぜ動作の継続を表現できるのでしょうか?
   回答:完了形の諸用法の共通点は「現在との関与」です.継続の意味は主に状態動詞で現われ,動作動詞では完了の意味が表出します.また「時間的不定性」も完了形の重要な特徴と考えられます.「#5651. 過去形に対する現在完了形の意味的特徴は「不定性」である」 ([2024-10-16-1]) を参照.

 (5) subjunctive mood (仮定法・接続法)の現在完了について
   回答:仮定法現在完了は理論上存在可能で実例も見られますが,比較的まれです.仮定法の体系は「現在・過去・過去完了」の3つ組みとして理解するのが妥当で,その中で完了相が必要な場合に現在完了形が使用される,と解釈するのはいかがでしょうか.

 以上です.11月も Mond にて英語(史)に関する素朴な疑問を受け付けています.気になる問いをお寄せください.

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2024-11-06 Wed

#5672. 堀田ゼミの案内 --- 2025年度に向けて [hel_education][khelf][seminar][helkatsu][instagram][twitter]

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 慶應義塾大学文学部英米文学専攻では,毎年11月上旬に恒例のゼミガイダンスが開催されます.同専攻の学部2年生に向けて,来年度3年次に所属し,4年次に卒業論文を(英語で)執筆することになるゼミ(公式には「研究会」と称する)を選んでもらう趣旨でのガイダンスです.今年度のガイダンスは本日午後に開催予定です.
 私のゼミ(堀田ゼミ)は,英語史を専攻する扱うゼミです.今年度は,3,4年生の現役ゼミ生が30余名集まって,賑やかにゼミ活動を展開しています.英語史ゼミとはいっても,必ずしも皆が古英語や中英語の諸問題を研究テーマに選んでいるわけではなく,近現代英語に関する話題を歴史的・通時的な観点から扱うゼミ生が大半です.過年度の卒業論文タイトルは,本ブログでも sotsuron の各記事で掲載しています.研究テーマの雰囲気は,そちらからつかめると思います.
 学部ゼミの上には大学院ゼミもあり,合わせて拡大版ゼミとしての活動も盛んです.この拡大版ゼミは慶應英語史フォーラム (khelf)と呼んでおり,1年中活発な行事を営んでいます(cf. 「#5091. khelf の沿革,活動実績,ミッションステートメント」 ([2023-04-05-1])) .この1年間,khelf として実施してきた主な活動を挙げてみます.

 ・ khelf の公式ホームページでの英語史活動「hel活」 (helkatsu)
 ・ 『英語史新聞』の発行(第10号まで続いています)
 ・ 「英語史ラウンジ」で英語史研究者のインタビュー記事をウェブ掲載
 ・ 「英語史コンテンツ50+」企画と題する英語史コンテンツのウェブマガジン
 ・ Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」での各種企画への出演や後援
 ・ Voicy heldio での「英語史ライヴ2024」
 ・ 他大学の英語史ゼミと合同で開催する「英語史フェスティバル」(helフェス)(helfest) への参加
 ・ khelf の公式 X アカウント @khelf_keioでのhel活
 ・ khelf の公式 Instagram アカウント @khelf_keioでのhel活

 入ゼミを検討している2年生にとってとりわけ直接的に参考になるのは,公式 Instagram アカウント @khelf_keioの直近数ヶ月のコンテンツだろうと思います.本紹介,個々のゼミ生紹介,9月の「英語史ライヴ2024」やゼミ合宿の様子を含めた文字投稿,写真・画像投稿,リール動画が満載です(むしろ,本日のガイダンスのために Instagram で発信を頑張ってきた経緯があります).

khelf_instagram_20241105 banner
(このアイコンとバナーは khelf メンバーが作成)



 英語の歴史的・通時的側面に関心がある学生,英語に関する素朴な疑問を解決したい学生,イベント企画や情報発信をやってみたい学生は,ぜひ堀田ゼミへの入ゼミを検討してみてください.皆さんの活躍に期待しています.

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2024-11-03 Sun

#5669. 朝カルシリーズ講座の第7回「英語,フランス語に侵される」をマインドマップ化してみました [asacul][oe][french][norman_conquest][mindmap][notice][kdee][etymology][hel_education][lexicology][vocabulary][heldio][link]

 1週間ほど前の10月26日に,今年度の朝日カルチャーセンター新宿教室でのシリーズ講座の第7回が開講されました.今回は「英語,フランス語に侵される」と題して,主に中英語期の英仏語の言語接触に注目しました.90分の講義では足りないほど,話題が盛りだくさんでした.対面およびオンラインで,多くの方々にご参加いただき,ありがとうございました.
 その盛りだくさんの内容を,markmap というウェブツールによりマインドマップ化して整理してみました(画像としてはこちらからどうぞ).受講された方は復習用に,そうでない方は講座内容を垣間見る機会としてご活用ください.



 シリーズ第7回「英語,ヴァイキングの言語と交わる」については hellog と heldio の過去回でも取り上げていますので,ご参照ください.

 ・ hellog 「#5652. 10月26日(土)の朝カルのシリーズ講座第7回「英語,フランス語に侵される」のご案内」 ([2024-10-17-1])
 ・ heldio 「#1238. 10月26日(土)の朝カル講座「英語,フランス語に侵される」に向けて」 (2024/10/19)

 シリーズ過去回のマインドマップについては,以下を参照.
 
 ・ 「#5625. 朝カルシリーズ講座の第1回「英語語源辞典を楽しむ」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-20-1])
 ・ 「#5629. 朝カルシリーズ講座の第2回「英語語彙の歴史を概観する」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-24-1])
 ・ 「#5631. 朝カルシリーズ講座の第3回「英単語と「グリムの法則」」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-26-1])
 ・ 「#5639. 朝カルシリーズ講座の第4回「現代の英語に残る古英語の痕跡」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-04-1])
 ・ 「#5646. 朝カルシリーズ講座の第5回「英語,ラテン語と出会う」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-11-1])
 ・ 「#5650. 朝カルシリーズ講座の第6回「英語,ヴァイキングの言語と交わる」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-15-1])

 次回の朝カル講座は.11月30日(土)17:30--19:00に開講予定です.第8回「英語,オランダ語と交流する」と題して,従来の英語史ではあまり本格的に扱われてこなかった英蘭語の言語接触に迫ります.実験的で挑戦的な講義になると思います.ご関心のある方は,朝日カルチャーセンター新宿教室の「語源辞典でたどる英語史」のページよりお申し込みください.

 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2024-10-17 Thu

#5652. 10月26日(土)の朝カルのシリーズ講座第7回「英語,フランス語に侵される」のご案内 [asacul][notice][kdee][etymology][hel_education][helkatsu][link][lexicology][vocabulary][oe][french][norman_conquest][contact][voicy][heldio][furansu_rensai][mindmap]


asacul_20240427.png



 ・ 日時:10月26日(土) 17:30--19:00
 ・ 場所:朝日カルチャーセンター新宿教室
 ・ 形式:対面・オンラインのハイブリッド形式(1週間の見逃し配信あり)
 ・ お申し込み:朝日カルチャーセンターウェブサイトより

 今年度,毎月1回のシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」を開講しています.英語の語源辞典を参照しながら,1年間かけてじっくり英語語彙史をたどっていこうという企画です.前半戦の春期・夏期クールの計6回が終わり,次回からは秋期クールに入り,後半戦がスタートします.上記の通り,9日後の10月26日(土)に,第7回講座が開かれます.第7回は「英語,フランス語に侵される」と題し,いよいよ英語語彙史上に強烈なインパクトを与えたフランス語が登場します.
 折しも今年度は,この朝カル講座とは独立して,白水社の月刊『ふらんす』にて連載記事「英語史で眺めるフランス語」を執筆させていただいています.hellog でも連載記事を紹介すべく furansu_rensai の文章を書いてきました.次回の朝カル講座の予習にもなると思いますので,どうぞご参照ください.
 英語とフランス語との言語接触については語り尽くせないほど話題が多く,朝カル講座の1回でカバーするのも難儀なのですが,具体例を多く取り上げ,かつエッセンスを絞り出して講座に臨みます.
 本シリーズ講座は各回の独立性が高いので,これまでの前半の6回へ参加したか否かにかかわらず,第7回からご参加いただいてもまったく問題なく受講できます.過去6回分については,各々概要をマインドマップにまとめていますので,以下の記事をご訪問ください.

 ・ 「#5625. 朝カルシリーズ講座の第1回「英語語源辞典を楽しむ」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-20-1])
 ・ 「#5629. 朝カルシリーズ講座の第2回「英語語彙の歴史を概観する」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-24-1])
 ・ 「#5631. 朝カルシリーズ講座の第3回「英単語と「グリムの法則」」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-26-1])
 ・ 「#5639. 朝カルシリーズ講座の第4回「現代の英語に残る古英語の痕跡」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-04-1])
 ・ 「#5646. 朝カルシリーズ講座の第5回「英語,ラテン語と出会う」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-11-1])
 ・ 「#5650. 朝カルシリーズ講座の第6回「英語,ヴァイキングの言語と交わる」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-15-1])

 新宿教室での対面参加のほかオンライン参加も可能ですし,その後1週間の「見逃し配信」もご利用できます.奮ってご参加ください.詳細とお申し込みはこちらからどうぞ.
 本シリーズ講座では英語の語源辞典を頻繁に参照してきましたが,とりわけ『英語語源辞典』(研究社)に依拠しています.同辞典をお持ちの方は,講座に持参されると,より楽しく受講できるかと思います(もちろん手元になくとも問題ありません).


寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.



(以下,後記:2024/10/19(Sat)))



 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

Referrer (Inside): [2024-11-03-1]

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2024-10-15 Tue

#5650. 朝カルシリーズ講座の第6回「英語,ヴァイキングの言語と交わる」をマインドマップ化してみました [asacul][oe][latin][mindmap][notice][kdee][etymology][hel_education][lexicology][vocabulary][heldio][link]

 9月28日に開講した,標記のシリーズ講座第6回「英語,ヴァイキングの言語と交わる」について,その要旨を markmap というウェブツールによりマインドマップ化しました(画像としてはこちらからどうぞ).受講された方は復習用に,そうでない方は講座内容を垣間見る機会としてご活用ください.



 シリーズ第6回「英語,ヴァイキングの言語と交わる」については hellog と heldio の過去回でも取り上げていますので,ご参照ください.

 ・ hellog 「#5619. 9月28日(土)の朝カル新シリーズ講座第6回「英語,ヴァイキングの言語と交わる」のご案内」 ([2024-09-14-1])
 ・ heldio 「#1210. 9月28日(土)の朝カル講座「英語,ヴァイキングの言語と交わる」に向けて」 (2024/09/21)

 シリーズ過去回のマインドマップについては,以下を参照.
 
 ・ 「#5625. 朝カルシリーズ講座の第1回「英語語源辞典を楽しむ」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-20-1])
 ・ 「#5629. 朝カルシリーズ講座の第2回「英語語彙の歴史を概観する」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-24-1])
 ・ 「#5631. 朝カルシリーズ講座の第3回「英単語と「グリムの法則」」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-26-1])
 ・ 「#5639. 朝カルシリーズ講座の第4回「現代の英語に残る古英語の痕跡」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-04-1])
 ・ 「#5646. 朝カルシリーズ講座の第5回「英語,ラテン語と出会う」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-11-1])

 次回の朝カル講座から,秋期クールに入ります.10月26日(土)17:30--19:00に開講予定です.第7回「英語,フランス語に侵される」と題し,いよいよ英語語彙史上に強烈なインパクトを与えたフランス語の登場です.ご関心のある方は,ぜひ朝日カルチャーセンター新宿教室の「語源辞典でたどる英語史」のページよりお申し込みください.

 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

Referrer (Inside): [2024-11-03-1] [2024-10-17-1]

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2024-10-11 Fri

#5646. 朝カルシリーズ講座の第5回「英語,ラテン語と出会う」をマインドマップ化してみました [asacul][oe][old_norse][mindmap][notice][kdee][etymology][hel_education][lexicology][vocabulary][heldio][link]

 8月24日に開講した,標記のシリーズ講座第5回「英語,ラテン語と出会う」について,その要旨を markmap というウェブツールによりマインドマップ化しました(画像としてはこちらからどうぞ).受講された方は復習用に,そうでない方は講座内容を垣間見る機会としてご活用ください.



 シリーズ第5回「英語,ラテン語と出会う」については hellog と heldio の過去回でも取り上げています.

 ・ hellog 「#5591. 8月24日(土)の朝カル新シリーズ講座第5回「英語,ラテン語と出会う」のご案内」 ([2024-08-17-1])
 ・ heldio 「#1177. 英語とラテン語の言語接触 --- 今週末の朝カル講座「英語,ラテン語と出会う」に向けて」 (2024/08/19)

 シリーズ過去回のマインドマップについては,以下を参照.
 
 ・ 「#5625. 朝カルシリーズ講座の第1回「英語語源辞典を楽しむ」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-20-1])
 ・ 「#5629. 朝カルシリーズ講座の第2回「英語語彙の歴史を概観する」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-24-1])
 ・ 「#5631. 朝カルシリーズ講座の第3回「英単語と「グリムの法則」」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-26-1])
 ・ 「#5639. 朝カルシリーズ講座の第4回「現代の英語に残る古英語の痕跡」をマインドマップ化してみました」 ([2024-10-04-1])

 次回の朝カル講座から,秋期クールに入ります.10月26日(土)17:30--19:00に開講予定です.第7回「英語,フランス語に侵される」と題し,いよいよ英語語彙史上に強烈なインパクトを与えたフランス語の登場です.ご関心のある方は,ぜひ朝日カルチャーセンター新宿教室の「語源辞典でたどる英語史」のページよりお申し込みください.

 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2024-10-06 Sun

#5641. 「ゼロから学ぶはじめての古英語」 Part 10 with 小河舜さん&まさにゃん at 「英語史ライヴ2024」 [voicy][heldio][hellive2024][masanyan][ogawashun][oe][oe_text][beowulf][hajimeteno_koeigo][hel_education][notice][popular_passage][literature][helkatsu][instagram][khelf]



 9月8日(日)に12時間の公開収録生配信として開催された「英語史ライヴ2024」(hellive2024) の目玉企画の1つとして,人気シリーズ「はじめての古英語」(hajimeteno_koeigo) の第10弾「#1219. 「はじめての古英語」第10弾 with 小河舜さん&まさにゃん --- 「英語史ライヴ2024」より」が実現しました.講師はいつものように,小河舜さん(上智大学),「まさにゃん」こと森田真登さん(武蔵野学院大学),そして堀田隆一の3名です.
 多くのギャラリーの方々を前にしての初めての公開収録となり,3名とも興奮のなかで34分ほどの古英語講座を展開しました.冒頭のコールを含め,これほど古英語で盛り上がる集団なり回なりは,かつて存在したでしょうか? おそらく歴史的なイベントになったのではないかと思います(笑).
 今回の第10弾は,小河さん主導で古英詩の傑作 Beowulf の冒頭にほど近い ll. 24--25 の1文に注目しました(以下 Jack 版より).

 lofdǣdum sceal
in mǣgþa gehwǣreman geþēon.


 忍足による日本語訳によれば「いかなる民にあっても,人は名誉ある/行いをもって栄えるものである」となります.古英語の文法や語彙の詳しい解説は,上記配信回をじっくりお聴きください.
 実は上記の公開収録は Voicy heldio のほか,khelf(慶應英語史フォーラム)の公式 Instagram アカウント @khelf_keioでインスタ動画としても生配信・収録しております.ヴィジュアルも欲しいという方は,ぜひこちらよりご覧ください.会場の熱気が感じられると思います.
 シリーズ過去回は hajimeteno_koeigo よりご訪問ください.

 ・ Jack, George, ed. Beowulf: A Student Edition. Oxford: Clarendon, 1994.
 ・ 忍足 欣四郎(訳) 『ベーオウルフ』 岩波書店,1990年.

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2024-10-04 Fri

#5639. 朝カルシリーズ講座の第4回「現代の英語に残る古英語の痕跡」をマインドマップ化してみました [asacul][oe][mindmap][notice][kdee][etymology][hel_education][lexicology][vocabulary][heldio][link]

 7月27日に開講した,標記のシリーズ講座第4回「現代の英語に残る古英語の痕跡」について,その要旨を markmap というウェブツールによりマインドマップ化しました(画像としてはこちらからどうぞ).受講された方は復習用に,そうでない方は講座内容を垣間見る機会としてご活用ください.



 シリーズ第4回「現代の英語に残る古英語の痕跡」については hellog と heldio の過去回でも取り上げていますので,ご参照ください.

 ・ hellog 「#5560. 7月27日(土)の朝カル新シリーズ講座第4回「現代の英語に残る古英語の痕跡」のご案内」 ([2024-07-17-1])
 ・ hellog 「#5571. 朝カル講座「現代の英語に残る古英語の痕跡」のまとめ」 ([2024-07-28-1])
 ・ heldio 「#1140. 7月27日(土),朝カルのシリーズ講座第4回「現代の英語に残る古英語の痕跡」が開講されます」

 シリーズ過去回のマインドマップについては,以下を参照.
 
 ・ 「#5625. 朝カルシリーズ講座の第1回「英語語源辞典を楽しむ」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-20-1])
 ・ 「#5629. 朝カルシリーズ講座の第2回「英語語彙の歴史を概観する」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-24-1])
 ・ 「#5631. 朝カルシリーズ講座の第3回「英単語と「グリムの法則」」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-26-1])

 次回の朝カル講座から,秋期クールに入ります.10月26日(土)17:30--19:00に開講予定です.第7回「英語,フランス語に侵される」と題し,いよいよ英語語彙史上に強烈なインパクトを与えたフランス語が登場します.ご関心のある方は,ぜひ朝日カルチャーセンター新宿教室の「語源辞典でたどる英語史」のページよりお申し込みください.

 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2024-10-01 Tue

#5636. 9月下旬,Mond で10件の疑問に回答しました [mond][sobokunagimon][hel_education][notice][link][helkatsu][adjective][slang][derivation][demonym][perfect][grammaticalisation][h][word_order][syntax][final_e][subjectification][intersubjectification][personal_pronoun][gender]

mond_20240930.png



 10月が始まりました.大学の新学期も開始しましたので,改めて「hel活」 (helkatsu) に精を出していきたいと思います.9月下旬には,知識共有サービス Mond にて10件の英語に関する質問に回答してきました.今回は,英語史に関する素朴な疑問 (sobokunagimon) にとどまらず進学相談なども寄せられました.新しいものから遡ってリンクを張り,回答の要約も付します.

 (1) なぜ英語にはポジティブな形容詞は多いのにネガティヴな形容詞が少ないの?
   回答:英語にはポジティヴな形容詞もネガティヴな形容詞も豊富にありますが,教育的配慮や社会的な要因により,一般的な英語学習ではポジティヴな形容詞に触れる機会が多くなる傾向がありそうです.実際の言語使用,特にスラングや口語表現では,ネガティヴな形容詞も数多く存在します.

 (2) 地名と形容詞の関係について,Germany → German のように語尾を削る物がありますが?
   回答:国名,民族名,言語名などの関係は複雑で,どちらが基体でどちらが派生語かは場合によって異なります.歴史的な変化や自称・他称の違いなども影響し,一般的な傾向を指摘するのは困難です.

 (3) 現在完了の I have been to に対応する現在形 *I am to がないのはなぜ?
   回答:have been to は18世紀に登場した比較的新しい表現で,対応する現在形は元々存在しませんでした.be 動詞の状態性と前置詞 to の動作性の不一致も理由の一つです.「現在完了」自体は文法化を通じて発展してきました.

 (4) 読まない語頭以外の h についての研究史は?
   回答:語中・語末の h の歴史的変遷,2重字の第2要素としてのhの役割,<wh> に対応する方言の発音,現代英語における /h/ の分布拡大など,様々な観点から研究が進められています.h の不安定さが英語の発音や綴字の発展に寄与してきた点に注目です.

 (5) 言語による情報配置順序の特徴と変化について
   回答:言語によって言語要素の配置順序に特有の傾向があり,これは語順,形態構造,音韻構造など様々な側面に現われます.ただし,これらの特徴は絶対的なものではなく,歴史的に変化することもあります.例えば英語やゲルマン語の基本語順は SOV から SVO へと長い時間をかけて変化してきました.

 (6) なぜ come や some には "magic e" のルールが適用されないの?
   回答:comesome などの単語は,"magic e" のルールとは無関係の歴史を歩んできました.これらの単語の綴字は,縦棒を減らして読みやすくするための便法から生まれたものです.英語の綴字には多数のルールが存在し,"magic e" はそのうちの1つに過ぎません.

 (7) Let's にみられる us → s の省略の類例はある? また,意味が変化した理由は?
   回答:us の省略形としての -'s の類例としては,shall'sshall us の約まったもの)がありました.let's は形式的には us の弱化から生まれましたが,機能的には「許可の依頼」から「勧誘」へと発展し,さらに「なだめて促す」機能を獲得しました.これは言語の主観化,間主観化の例といえます.

 (8) 英語にも日本語の「拙~」のような1人称をぼかす表現はある?
   回答:英語にも謙譲表現はありますが,日本語ほど体系的ではありません.例えば in my humble opinionmy modest prediction などの表現,その他の許可を求める表現,著者を指示する the present author などの表現があります.しかし,これらは特定の語句や慣用表現にとどまり,日本語のような体系的な待遇表現システムは存在しません.

 (9) 英語史研究者を目指す大学4年生からの相談
   回答:大学卒業後に社会経験を積んでから大学院に進学するキャリアパスは珍しくありません.教育現場での経験は研究にユニークな視点をもたらす可能性があります.研究者になれるかどうかの不安は多くの人が抱くものですが,最も重要なのは持続する関心と探究心,すなわち情熱です.研究会やセミナーへの参加を続け,学びのモチベーションを保ってください.

 (10) 英語の人称代名詞における性別区分の理由と新しい代名詞の可能性は?
   回答:1人称・2人称代名詞は会話の現場で性別が判断できるため共性的ですが,3人称単数代名詞は会話の現場にいない人を指すため,明示的に性別情報が付されていると便利です.現代では性の多様性への認識から,新しい共性の3人称単数代名詞が提案されていますが,広く受け入れられているのは singular they です.今後も要注目の話題です.

 以上です.10月も Mond より,英語(史)に関する素朴な疑問をお寄せください.

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2024-09-26 Thu

#5631. 朝カルシリーズ講座の第3回「英単語と「グリムの法則」」をマインドマップ化してみました [asacul][grimms_law][mindmap][notice][kdee][etymology][hel_education][vocabulary][heldio][link]

 「#5625. 朝カルシリーズ講座の第1回「英語語源辞典を楽しむ」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-20-1]) と「#5629. 朝カルシリーズ講座の第2回「英語語彙の歴史を概観する」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-24-1]) に続き,6月8日に開講したシリーズ第3回「英単語と「グリムの法則」」のマインドマップを markmap により作成しました(画像としてはこちらからどうぞ).受講された方は復習に,そうでない方も英語史上名高いグリムの法則 (grimms_law) を学んでいただければ.



 シリーズ第3回「英単語と「グリムの法則」」については hellog と heldio の過去回で取り上げているので,ご参照ください.

 ・ hellog 「#5511. 6月8日(土)の朝カル新シリーズ講座第3回「英単語と「グリムの法則」」のご案内」 ([2024-05-29-1])
 ・ heldio 「#1095. 6月8日(土),朝カルのシリーズ講座第3回「英単語と「グリムの法則」」が開講されます」

 次回の朝カル講座は明後日9月28日(土)17:30--19:00に「第6回 英語,ヴァイキングの言語と交わる」と題して開講します.いつものとおり,対面・オンラインのハイブリッド形式(見逃し配信あり)です.予告編として「#5619. 9月28日(土)の朝カル新シリーズ講座第6回「英語,ヴァイキングの言語と交わる」のご案内」 ([2024-09-14-1]) をご覧いただければ.本講座に関心のある方は,ぜひ朝日カルチャーセンター新宿教室の「語源辞典でたどる英語史」のページよりお申し込みください.

 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2024-09-24 Tue

#5629. 朝カルシリーズ講座の第2回「英語語彙の歴史を概観する」をマインドマップ化してみました [asacul][mindmap][notice][kdee][etymology][hel_education][lexicology][vocabulary][heldio][link]

 「#5625. 朝カルシリーズ講座の第1回「英語語源辞典を楽しむ」をマインドマップ化してみました」 ([2024-09-20-1]) に続き,5月18日に開講したシリーズ第2回「英語語彙の歴史を概観する」のマインドマップを markmap により作成しました(画像としてはこちらからどうぞ).



 このシリーズ第2回については hellog と heldio の過去回で取り上げているので,ご参照ください.

 ・ hellog 「#5486. 5月18日(土)の朝カル新シリーズ講座第2回「英語語彙の歴史を概観する」のご案内」 ([2024-05-04-1])
 ・ heldio 「#1079. 土曜日,朝カル新シリーズ講座第2回「英語語彙の歴史を概観する」が開講されます」

 次回の朝カル講座は今週末の9月28日(土)17:30--19:00に,対面・オンラインのハイブリッド形式(見逃し配信あり)で開講されます.「英語,ヴァイキングの言語と交わる」と題し,英語史上もっともエキサイティングな言語接触に迫ります.予告編として「#5619. 9月28日(土)の朝カル新シリーズ講座第6回「英語,ヴァイキングの言語と交わる」のご案内」 ([2024-09-14-1]) をご覧ください.本講座に関心のある方は,ぜひ朝日カルチャーセンター新宿教室の「語源辞典でたどる英語史」のページよりお申し込みいただければ.

 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2024-09-22 Sun

#5627. 周囲で高まりつつあるhel活 [helwa][heldio][voicy][khelf][notice][helkatsu][hel_education][link][note]instagram][hel_herald][helquiz]

 9月8日の「英語史ライヴ2024」以降,heldio/helwa や khelf のメンバーを中心に,英語史の学びを推進する活動「hel活」 (helkatsu) がますます盛んになってきています.以前より活動されている方のほか,比較的最近活動を始めた方もおりますが,現段階で一度関連リンクをまとめておきます.ほかにもお気づきのhel活がありましたら,お知らせください.

 ・ ari さんの note いろんな単語の語源や気になることを書いています
 ・ umisio さんの note 「heldio の風に乗って」
 ・ Galois さんの note 普段生活していて「なぜ?」と思ったのものを・・・
 ・ 菊地翔太さん(専修大学)の note 「英語史の観点から身近な問題を考える」
 ・ Grace さんの note 「自由気ままに言葉について考える --- hel活(英語史普及活動)応援中」
 ・ まさにゃんの note 「ショートカット英文法」(←以前は「はじめての古英語」や「ゼロから始めるフリジア語」などの名前でした)
 ・ みーさんの 「ECCジュニア佐久塚原教室 教室日誌」
 ・ mozhi gengo さんの note もじくりっぷ
 ・ 矢冨弘さん(熊本学園大学)の ブログ
 ・ lacolaco さんの note 「英語語源辞典通読ノート」ほか
 ・ り~みんさんの note 「工学と言語学との狭間にハマってみた」
 ・ Lilimi さんの note 「Lilimiのオト」

 heldio/helwa の活動としては,9月8日に「古英語LINEスタンプ」が公開・発売されています.今後は「週刊英語史」なる新企画も立ち上げられる予定です.


「週刊英語史」



 もちろん khelf(慶應英語史フォーラム)のhel活も絶好調です.9月8日に『英語史新聞』第10号号外(2024年9月8日版)が発行されたほか,公式 X アカウント @khelf_keio や公式 Instagram アカウント @khelf_keio にて英語史関連コンテンツを発信中です.とりわけ Instagram では,「古英語LINEスタンプ」紹介英語史クイズのコンテンツ公開するなど,活動が賑わってきています.
 ぜひ,上記もろもろのhel活をフォローしていただければ.

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2024-09-20 Fri

#5625. 朝カルシリーズ講座の第1回「英語語源辞典を楽しむ」をマインドマップ化してみました [asacul][mindmap][notice][kdee][etymology][hel_education][lexicology][vocabulary][lexicography][bibliography][dictionary][heldio][link]

 今年度,朝日カルチャーセンター新宿教室にてシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」を月に一度のペースで開講しています.対面・オンラインのハイブリッド形式(見逃し配信あり)です.
 次回第6回は9月28日(土)の17:30--19:00に「英語,ヴァイキングの言語と交わる」と題して開講します.古英語と古ノルド語の言語接触に注目します.
 全12回のシリーズも半分ほど進んできました.このタイミングで,前半の各回をマインドマップで要約しておくのも有用かもしれないと思い立ち,markmap というウェブ上のツールを用いて,まずシリーズ初回「英語語源辞典を楽しむ」(2024年4月27日開講)のマインドマップを作ってみました(画像としてはこちらからどうぞ).



 このシリーズ初回については hellog と heldio の過去回でも取り上げているので,そちらもご参照ください.

 ・ hellog 「#5453. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」が4月27日より始まります」 ([2024-04-01-1])
 ・ hellog 「#5481. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」の第1回が終了しました」 ([2024-04-29-1])
 ・ heldio 「#1058. 朝カル講座の新シリーズ「語源辞典でたどる英語史」が4月27日より月一で始まります」

 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2024-09-19 Thu

#5624. ゼミ学生たちの研究テーマ --- 2泊3日のゼミ合宿より [hel_education][khelf][seminar][sotsuron]

 慶應義塾大学文学部英米文学専攻の堀田ゼミでは,9月16日(月)から18日(水)にかけて伊東の温泉宿にて2泊3日のゼミ合宿を実施しました.初日と2日目は,参加した大学院生,学部4年生,学部3年生の総勢32名が,各々の個人研究のテーマを短時間で紹介・発表する「ポスターなしポスターセッション」の課題をこなしました.
 「英語史ゼミ」なのですが,実際にはゼミ学生の扱っているテーマは多岐にわたります.何がどう英語史なのかと疑問に思われるテーマもあるかもしれませんが,そのような疑問が生じること自体が英語史の魅力だと考えています.「○○×英語史」の問題を大喜利のように解いていくことにより,英語史のキャパシティが実際に広がっていくからです.皆さんにも,クイズやパズルのように,楽しんでいただければ.
 以下,32名の(仮)テーマを掲げます(注:私がリフレーズしたものもあります).



【 大学院生 】

 1. 古英語時代における強変化動詞活用の変遷 --- frīġnan
 2. Peterborough Chronicle の統語論と語順
 3. EEBO TCP を用いた語源的綴字の普及時期の調査
 4. 「大母音推移」研究のこれまでとこれから

【 学部4年生(この冬に卒業論文を控えています) 】

 5. オーストラリア国内におけるアクセントの変化
 6. 接尾辞 -like について
 7. 英語の方言が生み出すステレオタイプの動向
 8. 法助動詞の衰退
 9. 前置詞を伴う動名詞補文の発達
 10. 行為者接尾辞としての -ive の立ち位置を探る
 11. ラテン・ギリシア複数形の「脱複数化」
 12. スラングの残存と廃滅
 13. 英単語の多義性 --- fast に焦点を当てて
 14. 英語ことわざの形容詞的用法
 15. 脱ダイグロシア化が進むシンガポールの言語社会
 16. 比較級形容詞と共起名詞の関係性
 17. イングランドにおける父称由来の苗字

【 学部3年生 】

 18. 呼びかけ語としての man の用法
 19. 日本と韓国の英語学習の比較
 20. 英訳「ノアの箱舟」の語彙と意味変化
 21. 英語省略語の意義,効果,その歴史
 22. 言語変化の因果論
 23. 英語・ヒンディー語の code-switching
 24. ある語に対する類義語の数と,いつどこから増えていったのか
 25. 英語史上にみられる code-switching と現代の code-switching の比較
 26. 近代英語における wh- 関係節の考察
 27. 呼称からみるフィリピン社会
 28. 映画『スター・ウォーズ』シリーズにおける役割語
 29. 婉曲表現の分類と用法
 30. 名詞 lockdown とコロナの関係
 31. 9世紀後半における英語振興と英語教育の歴史的背景
 32. 今年ひときわ耳にする nomination の選挙ナラティヴ




 以上,32名のテーマについては,合宿中に Voicy 収録した2回の配信回も合わせてお聴きください.

 ・ 「#1206. khelf ゼミ合宿2024秋 at 伊東 --- Day 1」
 ・ 「#1208. khelf ゼミ合宿2024秋 at 伊東 --- Day 2」

 今回の2泊3日のゼミ合宿では,ほかにも英語史に関するグループコンテンツ作成などの活動を行ないました.その様子や成果は,向こう数日間,khelf の公式 X アカウント @khelf_keio や公式 Instagram アカウント @khelf_keio より発信していく予定ですので,ぜひご注目ください.

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2024-09-14 Sat

#5619. 9月28日(土)の朝カル新シリーズ講座第6回「英語,ヴァイキングの言語と交わる」のご案内 [asacul][notice][kdee][etymology][hel_education][helkatsu][link][lexicology][vocabulary][oe][old_norse][germanic][contact][voicy][heldio]


asacul_20240427.png



 ・ 日時:9月28日(土) 17:30--19:00
 ・ 場所:朝日カルチャーセンター新宿教室
 ・ 形式:対面・オンラインのハイブリッド形式(見逃し配信あり)
 ・ お申し込み:朝日カルチャーセンターウェブサイトより

 2週間後の9月28日(土)17:30--19:00に朝日カルチャーセンター新宿教室にてシリーズ講座「語源辞典でたどる英語史」の第6回となる「英語,ヴァイキングの言語と交わる」を開講します.

 前回8月24日の第5回では「英語,ラテン語と出会う」と題して,古英語期(あるいはそれ以前の時代)におけるラテン語の語彙的影響に注目しました.今回は8世紀後半から11世紀前半にかけてのヴァイキング時代に焦点を当て,古ノルド語 (old_norse) と古英語の言語接触について解説します.
 ヴァイキングとは上記の時期に活動したスカンジナビア出身の海賊を指します.彼らはブリテン島にも襲来し,やがてイングランド東部・北部に定住するようになりました.その結果,古ノルド語を母語とするヴァイキングと古英語を話すアングロサクソン人との間で言語接触が起こりました.
 古ノルド語からの借用語は,現代英語に900語ほど残っています.この絶対数はさほど大きいわけではありませんが,基本語や機能語など高頻度で使用される語が多く含まれているのが注目すべき特徴です.講座では具体的な古ノルド語からの借用語を取り上げ,その語源を読み解いていきます.
 古ノルド語と英語の接触は非常に濃密なものでした.これは両言語がゲルマン語族に属しており,近い関係にあったことや,両民族の社会的な交流の深さを反映していると考えられます.ヴァイキングの活動を通じた古ノルド語との接触は,英語の語彙に(そして実は文法にも)多大な影響を与えました.現代英語の姿を理解する上で,この歴史的な言語接触の重要性は看過できません.

 本シリーズ講座は各回の独立性が高いので,第6回からの途中参加でもまったく問題なく受講できます.新宿教室での対面参加のほかオンライン参加も可能ですし,その後1週間の「見逃し配信」もご利用できます.奮ってご参加ください.お申し込みはこちらよりどうぞ.
 なお,本シリーズ講座は「語源辞典でたどる英語史」と題しているとおり,とりわけ『英語語源辞典』(研究社)を頻繁に参照します.同辞典をお持ちの方は,講座に持参されると,より楽しく受講できるかと思います(もちろん手元になくとも問題ありません).


寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.



(以下,後記:2024/09/21(Sat))



 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.

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2024-09-13 Fri

#5618. 早朝の素朴な疑問「千本ノック」 with 小河舜さん --- 「英語史ライヴ2024」より [hel_education][heldio][notice][sobokunagimon][senbonknock][hellive2024][helwa][ogawashun]



 9月8日(日)に Voicy heldio を通じて12時間ライヴ配信としてお届けした「英語史ライヴ2024」では,早朝から夕方まで様々な英語史の番組が組まれていました.早朝一番 6:30 からの番組は,標題の通りの「早朝の素朴な疑問「千本ノック」 with 小河舜さん」でした.55分間にわたり,小河舜さん(上智大学)と私が,英語に関する素朴な疑問に対し,主に英語史の観点から回答し議論しました.
 「千本ノック」は heldio の人気シリーズではありますが,今回は「英語史ライヴ2024」という一大イベントを盛り上げるための火付け役の位置づけでしたので,早朝ながらもハイテンションでお届けしました.プレミアムリスナー(=ヘルメイト)3名をギャラリーとしてお迎えし,ギャラリーや生配信リスナーからの投げ込み質問にも答えるという形で,勢いのある55分間となったと思います.早朝から,のべ77名のリスナーにライヴでお聴きいただきましたが,この数には本当に驚きました.ありがとうございます.
 以下,今回の千本ノックで取り上げた8件の素朴な疑問を,おおよその分秒とともに一覧します.お時間のあるときにお聴きいただければ.

 (1) 09:02 --- なぜ英語の歌詞は日本語の歌詞よりも聞き心地がよいのですか?
 (2) 15:20 --- cow/beef,pig/pork のように,生きている場合と食肉の場合とで違う単語が使われますが,chicken はどちらにも同じ単語を使えるのはなですか?
 (3) 20:01 --- AIでは実現不可能な言語の性質ってなんでしょうか?
 (4) 25:17 --- 基本的に英語では修飾語句は後ろからかかるのに、どうして1語の形容詞は前からかかるのですか?
 (5) 30:20 --- 「give 人 物」という語順は「give 物 to 人」と書き換えられるとされますが,何か違いはありますか?
 (6) 36:30 --- 「5W1H」について,なぜ how だけ <h> で始まるのですか?
 (7) 40:30 --- study と student で <u> の部分の発音の仕方が異なるのはなぜですか?
 (8) 44:22 --- 日本語の読点や英語のコンマには,付け方の決まりはあるのですか?

 参考までに過去3回分の「千本ノック」のへのリンクを張っておきます.それより前の回については,senbonknock の記事をご参照ください.

 ・ 「#1054. 年度初めの「英語に関する素朴な疑問 千本ノック」生放送 with 小河舜さん」
 ・ 「#1069. 千本ノック(生放送) with 小河舜さん --- 陸奥四人旅 その2」
 ・ 「#1178. 千本ノック for 夏スク「英語史」」

Referrer (Inside): [2024-09-15-1]

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