毎年度初めの恒例記事です.過年度のものに,何点かを付け加えた書誌の最新版を公表します.
初学者にお薦めの図書に◎を,初学者を卒業した段階のお薦めの図書に○を付してあります.各図書の巻末などには,たいてい解題書誌や参考文献一覧が含まれていますので,さらに学習を続けたい方は芋づる式にたどっていってください.
印刷用のPDFをこちらに用意しましたので,自由に閲覧・印刷・配布していただいて結構です.英語史の学習・研究に役立ててください.
関連して以下の記事,および bibliography の記事群もご参照ください.
・ 「#4557. 「英語史への招待:入門書10選」」 ([2021-10-18-1])
・ 「#4731. 『英語史新聞』新年度号外! --- 英語で書かれた英語史概説書3冊を紹介」 ([2022-04-10-1])
・ 「#4870. 英語学入門書の紹介」 ([2022-08-27-1])
・ 「#5237. 大阪大学総合図書館発行の「英語史について調べる」」 ([2023-08-29-1])
・ 「#6150. 「英語史の塔」が建っています」 ([2026-02-27-1])
[英語史(日本語)]
◎ 家入 葉子 『ベーシック英語史』 ひつじ書房,2007年.
・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.
・ 宇賀治 正朋 『英語史』 開拓社,2000年.
・ 大石 晴美(編) 『World Englishes 入門』 昭和堂,2023年.
○ 唐澤 一友 『多民族の国イギリス --- 4つの切り口から英国史を知る』 春風社,2008年.
◎ 唐澤 一友 『英語のルーツ』 筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉,2026年.
○ 唐澤 一友 『世界の英語ができるまで』 亜紀書房,2016年.
◎ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
・ 島村 宣男 『新しい英語史 --- シェイクスピアからの眺め ---』 関東学院大学出版会,2006年.
・ 宗宮 喜代子 『歴史をたどれば英語がわかる --- ノルマン征服からの復権と新生』 開拓社,2024年.
◎ 寺澤 盾 『英語の歴史』 中央公論新社〈中公新書〉,2008年.
○ 寺澤盾(著)『世界の英語 --- 5大陸に広がる多様な Englishes』〈中公新書〉,2026年.
・ 高橋 英光 『英語史を学び英語を学ぶ --- 英語の現在と過去の対話』 開拓社,2020年.
・ 中尾 俊夫,寺島 廸子 『図説英語史入門』 大修館書店,1988年.
・ 橋本 功 『英語史入門』 慶應義塾大学出版会,2005年.
◎ 堀田 隆一 『英語史で解きほぐす英語の誤解 --- 納得して英語を学ぶために』 中央大学出版部,2011年.
○ 堀田 隆一 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』 研究社,2016年.
○ サイモン・ホロビン(著),堀田 隆一(訳) 『スペリングの英語史』 早川書房,2017年.
・ 松浪 有(編),小川 浩・小倉 美知子・児馬 修・浦田 和幸・本名 信行(著) 『英語の歴史』 大修館書店,1995年.
・ 柳 朋宏 『英語の歴史をたどる旅』 中部大学ブックシリーズ Acta 30,風媒社,2019年.
・ 渡部 昇一 『英語の歴史』 大修館,1983年.
[英語史(英語)]
○ Algeo, John, and Thomas Pyles. The Origins and Development of the English Language. 5th ed. Thomson Wadsworth, 2005.
◎ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.(7版も刊行されています)
・ Blake, N. F. A History of the English Language. Basingstoke: Macmillan, 1996.
◎ Bradley, Henry. The Making of English. London: Macmillan, 1955.
○ Bragg, Melvyn. The Adventure of English. New York: Arcade, 2003.
○ Brinton, Laurel J. and Leslie K. Arnovick. The English Language: A Linguistic History. Oxford: OUP, 2006.
・ Bryson, Bill. Mother Tongue: The Story of the English Language. London: Penguin, 1990.
・ Crystal, David. The Stories of English. London: Penguin, 2005.
◎ Fennell, Barbara A. A History of English: A Sociolinguistic Approach. Malden, MA: Blackwell, 2001.
○ Gelderen, Elly van. A History of the English Language. Amsterdam, John Benjamins, 2006.
・ Görlach, Manfred. The Linguistic History of English. Basingstoke: Macmillan, 1997.
○ Gooden, Philip. The Story of English: How the English Language Conquered the World. London: Quercus, 2009.
・ Gramley, Stephan. The History of English: An Introduction. Abingdon: Routledge, 2012.
・ Hogg, R. M. and D. Denison, eds. A History of the English Language. Cambridge: CUP, 2006.
○ Horobin, Simon. Does Spelling Matter? Oxford: OUP, 2013.
◎ Horobin, Simon. How English Became English: A Short History of a Global Language. Oxford: OUP, 2016.
・ Jespersen, Otto. Growth and Structure of the English Language. 10th ed. Chicago: U of Chicago, 1982.
○ Knowles, Gerry. A Cultural History of the English Language. London: Arnold, 1997.
・ McCrum, Robert, William Cran, and Robert MacNeil. The Story of English. 3rd rev. ed. London: Penguin, 2003.
・ Mugglestone, Lynda, ed. The Oxford History of English. Oxford: OUP, 2006.
・ Smith, Jeremy J. An Historical Study of English: Function, Form and Change. London: Routledge, 1996.
○ Strang, Barbara M. H. A History of English. London: Methuen, 1970.
○ Svartvik, Jan and Geoffrey Leech. English: One Tongue, Many Voices. Basingstoke: Palgrave Macmillan, 2006.
[英語史関連のウェブリソース]
・ 家入 葉子 「英語史全般(基本文献等)」 https://iyeiri.com/569 .
・ 井上 逸兵・堀田 隆一 「YouTube 井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」 2022年2月26日~,https://www.youtube.com/channel/UCth3mYbOZ9WsYgPQa0pxhvw .
・ 菊地 翔太 「菊地翔太 (Shota Kikuchi) のHP」 https://sites.google.com/view/shotakikuchi .
・ khelf (慶應英語史フォーラム) 「Keio History of the English Language Forum のHP」 https://sites.google.com/view/khelf-hotta .
・ 寺澤 志帆 「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」 2025年5月1日~,https://sites.google.com/keio.jp/s-terasawa/contents/英語語源辞典でたどる英語綴字史 .
・ ヘルメイト 「月刊 Helvillian ハロー!英語史」 2024年10月8日~,https://note.com/helwa/m/m82eb39986f24 .
・ 堀田 隆一 「hellog~英語史ブログ」 2009年5月1日~,http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog .
・ 堀田 隆一 「連載 現代英語を英語史の視点から考える」 2017年1月~12月,http://www.kenkyusha.co.jp/uploads/history_of_english/series.html .
・ 堀田 隆一 Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 2021年6月2日~,https://voicy.jp/channel/1950 .
・ 堀田 隆一 YouTube 「heltube --- 英語史チャンネル」 2022年7月3日~,https://www.youtube.com/channel/UCG4a3V4jvVQ8ebujHeQzN6Q .
・ 三浦 あゆみ 「A Gateway to Studying HEL」 https://sites.google.com/view/gatewaytohel .
・ 矢冨 弘 「矢冨弘 homepage」 https://yadomi1989.wixsite.com/my-site-1 .
[英語史・英語学の参考図書]
・ 荒木 一雄・安井 稔(編) 『現代英文法辞典』 三省堂,1992年.
・ 家入 葉子・堀田 隆一 『文献学と英語史研究』 開拓社,2022年.
・ 石橋 幸太郎(編) 『現代英語学辞典』 成美堂,1973年.
・ 大泉 昭夫(編) 『英語史・歴史英語学:文献解題書誌と文献目録書誌』 研究社,1997年.
・ 大塚 高信・中島 文雄(監修) 『新英語学辞典』 研究社,1982年.
・ 小野 茂(他) 『英語史』(太田 朗・加藤 泰彦(編) 『英語学大系』 8--11巻) 大修館書店,1972--85年.
・ 佐々木 達・木原 研三(編) 『英語学人名辞典』,研究社,1995年.
・ 寺澤 芳雄(編) 『英語語源辞典』 研究社,1997年.
・ 寺澤 芳雄(編) 『英語史・歴史英語学 --- 文献解題書誌と文献目録書誌』 研究社,1997年.
・ 寺澤 芳雄(編) 『英語学要語辞典』 研究社,2002年.
・ 寺澤 芳雄・川崎 潔 (編) 『英語史総合年表 --- 英語史・英語学史・英米文学史・外面史 ---』 研究社,1993年.
・ 服部 義弘・児馬 修(編) 『歴史言語学』 朝倉日英対照言語学シリーズ[発展編]3 朝倉書店,2018年.
・ 松浪 有・池上 嘉彦・今井 邦彦(編) 『大修館英語学事典』 大修館書店,1983年.
・ Bergs, Alexander and Laurel J. Brinton, eds. English Historical Linguistics: An International Handbook. 2 vols. Berlin: Mouton de Gruyter, 2012.
・ Bergs, Alexander and Laurel J. Brinton, eds. The History of English. 5 vols. Berlin/Boston: Gruyter, 2017.
・ Biber, Douglas, Stig Johansson, Geoffrey Leech, Susan Conrad, and Edward Finegan, eds. Longman Grammar of Spoken and Written English. Harlow: Pearson Education, 1999.
・ Crystal, David. The Cambridge Encyclopedia of the English Language. Cambridge: CUP, 1995. 2nd ed. 2003.
・ Crystal, David. The Cambridge Encyclopedia of Language. Cambridge: CUP, 1995. 2nd ed. 2003. 3rd ed. 2019.
・ Hogg, Richard M., ed. The Cambridge History of the English Language. 6 vols. Cambridge: CUP, 1992--2001.
・ Huddleston, Rodney and Geoffrey K. Pullum, eds. The Cambridge Grammar of the English Language. Cambridge: CUP, 2002.
・ McArthur, Tom, ed. The Oxford Companion to the English Language. Oxford: OUP, 1992.
・ Quirk, Randolph, Sidney Greenbaum, Geoffrey Leech, and Jan Svartvik. A Comprehensive Grammar of the English Language. London: Longman, 1985.
・ van Kemenade, Ans and Bettelou Los, eds. The Handbook of the History of English. Malden, MA: Blackwell, 2006.

*
4月14日,大修館書店より月刊誌『英語教育』の5月号が発売されました.今年度,同雑誌において,同僚の井上逸兵さん(慶應義塾大学教授)とともに,新しい連載企画「いのほた言語学チャンネル PRESENTS 英語を深める社会言語学・英語史の視点」を始めています.今回は連載第2回となり,井上さんがメインとなり「社会言語学の3つの扉:人はことば「で」何をしているのか」と題して,社会学の入門となる文章を書かれています.最後に,私も少しコメントしています.
前回の4月号(第1回)は,イントロとして「いのほた」対談形式でお届けしましたが,今月号からは交互にメインライターを務める趣向です.今月は井上さんが「社会言語学」 (sociolinguistics) のエッセンスを鮮やかに切り出しており,来月は私が「英語史」の観点から主筆を担当し,お互いに数行のコメントを寄せ合うという,まさに YouTube チャンネルの空気感を紙面に再現するような構成になっています.
今回の井上さんの記事の白眉は,「3つの扉」という切り口です.社会言語学という広大な領域を,(私流の解釈によれば) (1) 変異,(2) 人間関係,(3) 空気という3点で整理されています.人はことば「を」どう使うかという受動的な記述にとどまらず,副題にある通り,人はことば「で」何をしているのかという能動的・積極的な側面を強調されているのが,実に井上さんらしい視点だなと感じます.
とりわけ第1の扉である「変異」 (variation) は,言語変化を扱う歴史言語学や英語史と極めて親和性が高い領域です.歴史的に見れば,ある時代の「変異」が積み重なり,やがて「変化」へと結びついていくからです.この点については語りだすと止まらなくなるのですが,ぜひ本誌をお手に取っていただければと思います.
実をいえば,この連載は YouTube の「いのほた言語学チャンネル」と同様,あえてガチガチに12回分の計画を固めすぎないようにしています.もちろん大まかな構想はありますが,読者の皆さんの反応や,相方の出方を伺いながら,その都度フレキシブルにテーマを選んでいくという,ライブ感を大切にするスタイルをとっています.井上さんがこう来たならば,次は私はこう返そう……というインタラクションこそが,この連載の醍醐味と言えると思います.次回の6月号では私が主役を務める番ですが,今回の井上さんの「3つの扉」に触発されて,その英語史版をパロディとして書いてみようと思っています.社会言語学と英語史がどのように交差し,響き合うのか.まずは発売中の5月号にて,井上さんによる社会言語学の切り方を堪能してください.
本連載に関連して,heldio でも「#1783. 『英語教育』の「いのほた連載」第2弾」としてお話ししています.あわせてお聴きいただければ.
・ 井上 逸兵・堀田 隆一 「いのほた言語学チャンネル PRESENTS 英語を深める社会言語学・英語史の視点 第2回 社会言語学の3つの扉:人はことば「で」何をしているのか」『英語教育』2026年5月号,大修館書店,2019年4月14日.44--45頁.

新年度が始まりました.今年度も「英語史をお茶の間に」広げていく活動「hel活」 (helkatsu) を精力的に展開してまいります.hellog 読者の皆様も,ぜひそれぞれの現場でhel活を推進していただければ幸いです.
昨年に引き続き,今年度の私のhel活の柱の1つとなるのが,恒例の朝日カルチャーセンター新宿教室でのオンライン講座です.シリーズ全体のタイトルは昨年のものを継承し「歴史上もっとも不思議な英単語」のままですが,少なくともこの春期クールについては「語源を探って古英語・中英語原文の世界へ!」という副題を添えて,少々装いを新たにスタートします.
昨年度は,1つの単語を掘り下げることで英語史のパノラマを展望するというスタイルでした.今期もその精神は受け継ぎつつ,そこに「原文の味読」という付加価値を加えたいと考えています.具体的には,去る2月25日に研究社より刊行された伝説的入門書,市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』(研究社,2026年)を参考テキストとして活用します.
春期クールの公式の案内文は以下の通りです.
「なぜこの英単語は,こんな意味や使い方をするのか」.その答えは,現代英語の外にあります.春期は,古英語・中英語の短い原文を入口として,英単語の不思議な歴史を探ります.名名文を丁寧に読み解いたうえで,そこから英語史の話題へと縦横に広げていきます.原文に構えず,英語史の物語として楽しめる講座です.(注:市河三喜・松浪有『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』(研究社,2026年)を参考テキストとし,そこから原文を選んで味読します.)
本講座の最大の特徴は,単なる語源解説にとどまらず,その語が実際に過去の文献でどのように息づいていたのかを,実際のテキストを通じて体験していただく点にあります.もちろん,これまで通り『英語語源辞典』や『英語語源ハンドブック』も頻繁に参照しながら,語源の深淵に迫っていきます.
春期クールは毎月1回,土曜日の 15:30--17:00 に開講されます.オンライン限定の講義ですので,全国どこからでもご参加いただけますし,2週間の見逃し配信もございます.予定されているラインナップは以下の通りです.
1. 4月25日(土):knight を探って中英語原文の世界へ
2. 5月23日(土):again を探って中英語原文の世界へ
3. 6月27日(土):ghost を探って古英語原文の世界へ
1週間後に開講される第1回は,中世騎士道でおなじみの knight を取り上げます.元々は「少年」や「従者」を意味していたこの語が,いかにして高貴な身分を指すようになったのか,中英語の原文に触れながらその意味変化を辿ります.
第2回は,日常語の again です.何の変哲もないように見えるこの語には,副詞や前置詞としての用法にとどまらず,多くの話題が隠されています.中英語期のテキストではどのように綴られ,用いられていたのでしょうか.
第3回は,現代では「幽霊」を指す ghost です.古英語期には「精神」や「魂」を意味していたこの語の変遷を,当時の格調高い原文とともに味わいましょう.
古英語や中英語の原文と聞くと,難しそうに聞こえるかもしれませんが,心配は無用です.「英語史の物語」を楽しむための材料として,私がナビゲートします.講座の詳細とお申込みは,朝カルのこちらの公式ページをご覧ください.
本シリーズの開講に向けて,Voicy heldio でも案内を放送しています.ぜひ「#1778. 4月25日(土)『古中初歩』による新年度の朝カルシリーズが始まります」をお聴きください.新年度,皆様と一緒に,原文とともに英語史の森を散策していくことを楽しみにしています.
・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

「#6188. heldio 2026年第1四半期のベスト回を決めるリスナー投票 --- 4月12日までオープン」 ([2026-04-06-1]) でご案内したとおり,2026年の第1四半期(1月--3月)における Voicy heldio のベスト配信回を決めるリスナー投票を実施しました.4月12日をもって締め切らせていただきましたが,年度初めのご多忙な時期にもかかわらず,多くのリスナーの皆さんに温かい1票(最大10票)を投じていただきました.ご協力いただき,ありがとうございました.
投票結果がまとまりましたので,ここに報告いたします.本日の heldio でも「 #1781. heldio 2026年第1四半期のリスナー投票の結果発表」として音声で解説していますので,あわせてお聴きください.
今回のランキングは,正直にいうと,たいへん驚きました.一言でまとめれば「『古英語・中英語初歩』祭り」でした.伝説の教科書の復刊という大きなニュースが,リスナーの皆さんの学習意欲と見事にシンクロした結果と言ってよいでしょうか.以下に上位(得票率19%以上)の配信回を掲載します.
【 第1位(44%)】
「#1755. 『古英語・中英語初歩』より古英語 Early Britain の1節を精読する (1)」
【 第2位(37%)】
「#1751. 『古英語・中英語初歩』より古英語 Early Britain の1節を音読する」
【 第3位(33%)】
「#1758. 『古英語・中英語初歩』より古英語 Early Britain の1節を精読する (2)」
【 第4位(30%)】
「#1710. 『古英語・中英語初歩』試し読み部分の解説シリーズ (1) --- 古英語の母音」
「#1761. 『古英語・中英語初歩』より古英語 Early Britain の1節を精読する (3)」
「#1764. 『古英語・中英語初歩』より古英語 Early Britain の1節を精読する (4)」
【 第7位(26%)】
「#1716. 『古英語・中英語初歩』試し読み部分の解説シリーズ (3) --- 古英語の子音(後編)」
「#1720. 『英語のルーツ』文庫化記念 --- 唐澤一友さんとの対談 from 居酒屋KKH」
【 第9位(22%)】
「#1677. 2026年,英語史は飛躍します!」
「#1685. 表音文字,表語文字,表意文字」
「#1713. 『古英語・中英語初歩』試し読み部分の解説シリーズ (2) --- 古英語の子音(前編)」
「#1723. 『古英語・中英語初歩』新装復刊の裏にはヘルメイトたちのドラマがあった」
「#1742. 緊急対談 --- teach/taught に関する中学生の天才的指摘をめぐって」
【 第14位(19%)】
「#1705. khelf 寺澤志帆さんとの対談 --- 「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」200回記念」
「#1706. 伝説の教科書『古英語・中英語初歩』(研究社)が新装復刊」
「#1717. 天野優未さんの『英語語源ハンドブック』『はじめての英語史』実況中継がおもしろすぎる」
「#1722. 『古英語・中英語初歩』試し読み部分の解説シリーズ (4) --- 古英語の強勢」
「#174. ten と -teen」6
「#1750. 川上さんの「英語のなぜ5分版」やってます通信 --- 第28弾」
2026年第1四半期の結果を振り返りますと,なんといっても目立つのは,2月25日に研究社より新装復刊された『古英語・中英語初歩』に関連する諸々の回でした.「精読シリーズ」を筆頭に,ベスト10の半分以上がこの伝説的な教科書に関連する内容でした.音声だけで古英語を精読するという,いささか「攻めた」企画ではありましたが,リスナーの皆さんが紙面を片手に熱心に食らいついてくださったことがうかがえます.特に,復刊の裏側にあるドラマを語った「#1723. 『古英語・中英語初歩』新装復刊の裏にはヘルメイトたちのドラマがあった」や,通常はニッチと思われるような古英語の母音と子音を各々解説したシリーズも高い支持を得ており,単なる知識の習得にとどまらない「hel活」を評価していただいたものとして,受け取らせていただきました.
対談回も豊作でした.第7位には唐澤一友さんとの居酒屋対談「#1720. 『英語のルーツ』文庫化記念 --- 唐澤一友さんとの対談 from 居酒屋KKH」がランクイン.お酒の席ならではの(?)リラックスした雰囲気の中での英語史トークが,皆さんの耳に心地よく響いたのであれば,たいへん嬉しいです.また,第9位の「#1742. 緊急対談 --- teach/taught に関する中学生の天才的指摘をめぐって」は,中学生の鋭い観察眼に始まり英語史の深淵へと連なる,ワクワクの止まらない対談回として評価されました.
khelf(慶應英語史フォーラム)メンバーも活躍しており,「#1705. khelf 寺澤志帆さんとの対談 --- 「『英語語源辞典』でたどる英語綴字史」200回記念」が上位に入りました.また,「#1717. 天野優未さんの『英語語源ハンドブック』『はじめての英語史』実況中継がおもしろすぎる」も注目を集め,英語史の熱が周囲に広がっていることを感じます.
四半期の幕開けを飾った元旦の「#1677. 2026年,英語史は飛躍します!」も,支持をいただきました.そこで宣言した通り,この3ヶ月間はまさに飛躍の準備期間、あるいは助走期間であったように思います.古英語の精読に多くのリスナーが挑戦し始めたことは,今後のhel活にも大きな意味をもつことになりそうです.パーソナリティとしては感謝しかありません.
最後に,今回のリスナー投票に関する,コアリスナー ykagata さん の note 記事をご紹介します.投票期間の最終日の4月12日に「「heldio 2026年第1四半期のベスト回を決めるリスナー投票」に投票した」と題する記事を公開されました.パーソナリティとしてたいへん参考になり,かつ嬉しい記事でした.ありがとうございます.
2026年も早くも4分の1が過ぎました.今回のリスナー投票の結果をよくよく分析し,第2四半期も,リスナーの皆さんとともに様々な英語史の景色を眺めていければと思っています.引き続き heldio をよろしくお願いします!
・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.
・ 唐澤 一友 『英語のルーツ』 筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉,2026年.
3月28日(土)に,今年度の朝日カルチャーセンターのシリーズ講座「歴史上もっとも不思議な英単語」最終回となる第12回(冬期クールとしては第3回)が開講されました.2025年度のシリーズの締めくくりに選んだ単語は,be 動詞でした.議論しがいのある英単語ですね.
be 動詞は,あまりに異常な英単語です.なぜ am, is, are, was, were, be, being, been が同一の動詞なのか? 語形,文法,意味,社会規範のあらゆる観点から注目すべき超高頻度語(第1位の the に次いで第2位)にして,英語史の不思議さとおもしろさが凝縮された単語です.90分の講義では案の定語りきれないほどでした.
今回の内容を,いつもの通り markmap によりマインドマップ化して整理しました.復習用にご参照いただければ.

これまで,2025年度のシリーズの第1回から第11回についても以下の通りマインドマップを作成しています.2025年度のマインドマップでのまとめシリーズはこれで完結となります.ご参加いただいた皆様,ありがとうございました.
・ 「#5857. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第1回「she --- 語源論争の絶えない代名詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-05-10-1])
・ 「#5887. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第2回「through --- あまりに多様な綴字をもつ語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-06-09-1])
・ 「#5915. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第3回「autumn --- 類義語に揉み続けられてきた季節語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-07-07-1])
・ 「#5949. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第4回「but --- きわめつきの多義の接続詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-08-10-1])
・ 「#5977. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第5回「guy --- 人名からカラフルな意味変化を遂げた語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-09-07-1])
・ 「#6013. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第6回「English --- 慣れ親しんだ単語をどこまでも深掘りする」をマインドマップ化してみました」 ([2025-10-01-1])
・ 「#6041. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第7回「I --- 1人称単数代名詞をめぐる物語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-11-10-1])
・ 「#6076. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第8回「take --- ヴァイキングがもたらした超基本語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-12-15-1])
・ 「#6076. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第8回「take --- ヴァイキングがもたらした超基本語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-12-15-1])
・ 「#6098. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第9回「one --- 単なる数から様々な用法へ広がった語」をマインドマップ化してみました」 ([2026-01-06-1])
・ 「#6139. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第10回「very --- 「本物」から大混戦の強意語へ」をマインドマップ化してみました」 ([2026-02-16-1])
・ 「#6167. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第11回「that --- 指示詞から多機能語への大出世」をマインドマップ化してみました」 ([2026-03-16-1])
2025年度のシリーズは以上で終了ですが,2026年度も朝カルでの毎月の英語史講座は継続していきます.少なくとも年度の前半はオンライン講座として続け,かつこの春期クールのテーマは昨年度からの「歴史上もっとも不思議な英単語」を引き継ぎます.これまで通り,注目すべき1単語を選び,そこから始まるスケールの大きな英語史を描いていきます.ただし,新たな試みとして,新刊書『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』を参照し,古英語や中英語からの短い原文を読み解きながら,当該の単語のナゾに迫っていきたいと考えています.春期クールの3回のラインナップは以下の通りです.
1. 4月25日(土)15:30--17:00 "knight" を探って中英語原文の世界へ
2. 5月23日(土)15:30--17:00 "again" を探って中英語原文の世界へ
3. 6月27日(土)15:30--17:00 "ghost" を探って古英語原文の世界へ
詳細やお申し込みはこちらの公式ページよりどうぞ.新年度の朝カル講座もよろしくお願いいたします!

4月6日(月),khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』シリーズの最新号となる第13号がウェブ上で公開されました.前号から約9ヶ月ぶりとなる最新号です.こちらよりPDF形式で自由に閲覧・ダウンロードいただけます.
新年度の開始とともに届けられたこの最新号を制作してくれた執筆陣,編集陣の khelf メンバーには,心から感謝します.
今号も読み応えのある4面構成です.各面のハイライトを紹介していきましょう.
第1面は,hellog でも推しに推している市河三喜・松浪有による名著『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』を紹介する巻頭記事です.昭和の「オヤジみ」を感じさせつつも,現代の至れり尽くせりな参考書とは一線を画す,おおらかな語学学習のあり方を提案する書でもあります.文法事項の丸暗記に走るのではなく,まずは概略をつかんでからテキストに飛び込むという姿勢は,古英語・中英語を学び始めようとする読者にとって,力強いエールとなるはずです.
第2面では,身近な不規則変化名詞 foot --- feet の謎に迫ります.なぜ語幹の母音が変化するのか.その背景には,ゲルマン祖語にまで遡る i-mutation という規則的な音韻変化が潜んでいます.一見すると「不規則」に思える現象が,歴史的に紐解けばきわめて「規則的」であったことがわかるという,英語史の醍醐味を味わえる記事です.同面のもう1つの記事は聖書の翻訳比較を取り上げており,翻訳者の意図や時代の潮流が言葉選びにどう反映されるかが考察されています.
第3面は,恒例のインタビューコーナー「英語史ラウンジ」です.今回は,法政大学の福元広二先生に,khelf メンバーがお話しを伺っています.中学時代の恩師との出会いから,ケンブリッジ大学やマンチェスター大学での在外研究のエピソード,そして初期近代英語における文法化や歴史語用論の研究に至るまでの歩みが詳しく語られています.英語史研究者がどのような問題意識をもって英語と向き合っているのかを知る貴重な機会となります.本インタビュー記事についてはウェブ版もありますので,そちらからもお読みになれます.
第4面には,英語史の始まりを問うクイズの解説と解答の記事が掲載されています.クイズですのでここでは詳細は述べませんが,英語史上の重要な年代が複数挙げられており,それぞれに象徴される出来事が紹介されています.
今号も,khelf メンバーの「英語史の魅力を伝えたい」という熱意が随所に感じられる仕上がりとなっています.春の新生活の合間に,ぜひじっくりと紙面をめくってみてください.
最後になりますが,学校・大学の授業等で『英語史新聞』を活用される場合は,使用実績把握のため,こちらのフォームよりご一報いただけますと幸いです.「英語史をお茶の間に」を合言葉とする私たち khelf の活動(hel活)への励みとなりますので,よろしくお願い致します..
『英語史新聞』のバックナンバーも khelf 公式サイト内のこちらのページにて公開されています.第1号から第12号まで,あわせてお楽しみください.
・ 『英語史新聞』第1号(創刊号)(2022年4月1日)
・ 『英語史新聞』号外第1号(2022年4月10日)
・ 『英語史新聞』第2号(2022年7月11日)
・ 『英語史新聞』号外第2号(2022年7月18日)
・ 『英語史新聞』第3号(2022年10月3日)
・ 『英語史新聞』第4号(2023年1月11日)
・ 『英語史新聞』第5号(2023年4月10日)
・ 『英語史新聞』第6号(2023年8月14日)
・ 『英語史新聞』第7号(2023年10月30日)
・ 『英語史新聞』第8号(2024年3月4日)
・ 『英語史新聞』第9号(2024年5月12日)
・ 『英語史新聞』第10号(2024年9月8日)
・ 『英語史新聞』号外第3号(2024年9月8日)
・ 『英語史新聞』第11号(2024年12月30日)
・ 『英語史新聞』第12号(2025年7月7日)


隔週土曜日は,heldio/helwa コアリスナーの sorami さんによる『英語語源ハンドブック』クイズ・シリーズの新作が note 上で公開される日です.昨日は第6弾が公開されました.相変わらず楽しく学べる良質の教材です.2週間前に公開された第5弾とともに,ご紹介したいと思います.
まず3月21日に公開された第5弾ですが,相変わらずの良問揃いで,私自身も感激しつつ解いていました.取り上げられているトピックは多岐にわたります.偽装複合語 holiday の話題から始まり,続けて listen と hear の使い分けなど,学習者がつまずきやすいポイントが鮮やかにクイズ化されています.また,nice の意味変化の話題は英語史の鉄板のネタですが,これを「すごい」や「やばい」といった日本語の語義変化と対比させて解説する手際の良さには感心しました.
また,第5弾からはユーザーインターフェースが改善され,さらに pdf での配布まで始まっています.出血大サービスと言わざるを得ません.学校の授業の余興や,ちょっとした頭の体操に利用しない手はないですね.
続いて,昨日公開されたばかりの第6弾です.こちらは冒頭からギリシア語由来の単語に焦点を当てるという,なんとも心憎い構成になっています.現代の私たちにとって極めて身近な単語が,いかにして古代ギリシアの文化を背景に成立したのかが分かります.ギリシア語特有の高尚な響きも相まって,クイズとしての難易度も少し上がっているかもしれませんが,西洋文明の源流に触れる歴史学習としても非常に教育的です.
後半では right の多義性や,trip と travel の語源的な対比など,深く掘り下げた問題が続きます.travel がなんと「拷問器具」に由来するというエピソードには,答えを見て「え~,まさか!」と声を上げる挑戦者が続出すること間違いなしですね.
sorami さんのクイズは,単語の背後にある歴史や文化という人間の営みを感じさせてくれます.そして,「英語史をお茶の間に」をハイレベルで体現している素晴らしいコンテンツとなっていると思います..
両記事の冒頭には「このシリーズでは,研究社『英語語源ハンドブック』の中に詰まった「へぇーッ」をクイズにしてお届けしています.授業のネタに,親子の雑学タイムに,脳トレに,お役立てください.昔中学生だったあなたもぜひ!」という,ほっこりするメッセージが付されていますね.最後にはいつものように「授業の小ネタ,ウォームアップ,グループ活動などに自由に使っていただければ幸いです」ともあります.とても嬉しい心遣いですね.
今回の新作紹介と合わせて,sorami さんのクイズ・シリーズの過去回をご紹介した,以下の hellog 記事もお読みいただければと思います.
・ 「#6125. heldio/helwa リスナー sorami さんによる『英語語源ハンドブック』のクイズ・シリーズが開始 --- 中高生のための英語史」 ([2026-02-02-1])
・ 「#6132. sorami さんの『英語語源ハンドブック』クイズ第2弾 --- 中高生のための英語史」 ([2026-02-09-1])
・ 「#6166. sorami さんの『英語語源ハンドブック』クイズが第3弾,第4弾と快進撃 --- 中高生のための英語史」 ([2026-03-15-1])
ぜひこちらのクイズ・シリーズを解いてみてください.そして,さらに広めていただければと思います.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

新年度が始まりました.英語史の学び始めにふさわしいこの時期,本日は数日後の英語史講座のご案内を致します.
来たる4月11日(土)と12日(日)2日間にわたり,オンラインにて東京言語研究所の春期講座が開講されます.同研究所は,私が学生の頃から憧れをもって仰ぎ見ていた伝統ある言語学の研究・教育機関であり,ここ数年は私も講師として登壇させていただく機会を得ております.
春期講座は,2日間にわたる単発講義のオムニバスです.今年度,私は2日目の4月12日(日)の1限目(10:00--11:20)にて「英語史入門」を担当します.内容は「80分で英語史」です.実は私にとってこれは大きな挑戦です.
普段の大学の講義や,同研究所で担当する10回ほどのシリーズとなる理論言語学講座では,時間をかけてじっくりと英語の歴史を紐解いていきます.しかし,今回はそれをギュッと凝縮した80分間のダイジェスト版となります.1600年以上にわたる英語のダイナミズムをこの短時間でどう描き切るか,現在も最終段階の構成を練りながら,私自身が緊張しつつもワクワクしているところです.
講義の核となるのは,外面史を用いて内面史を解説するという試みです.発音の変化,綴字の変遷,文法の転換,そして語彙の拡大など.これらをバラバラに扱うのではなく,現代英語に潜む「なぜ?」という素朴な疑問を入口に,英語史全体のパノラマが見えてくるような網羅的な内容を目指します.
今回の春期講座では,魅力的な講義が勢揃いしています.heldio にもご出演いただいた嶋田珠巳先生先生(社会言語学)の講座は1日目に予定されています.言語学ファンにとってはたまらない2日間となるはずです.
なお,今年度の秋のシーズンには,同研究所にてシリーズの英語史講座(10週)も担当する予定です.今回の80分間の講義は,そのエッセンスを味わっていただくためのジャンプ台として位置づけています.
いずれもオンライン開催ですので,全国どこからでも,あるいは目下の私のように海外からでも(時差には注意が必要ですが!)ご参加いただけます.後日配信はありませんが,リアルタイムでの充実した議論を楽しみましょう.
申込期限は4月6日(月)の午前10時までとなっています.詳細およびお申し込みは,東京言語研究所の公式HPよりどうぞ.
(以下,後記:2026/04/03(Fri))
本記事と同じ趣旨で,4月3日の heldio にて「#1769. 「80分で英語史」 --- 4月12日に東京言語研究所の春期講座で」をお届けしましたので,ぜひそちらもお聴きいただければ.
1月より推し続けている市河三喜・松浪有著『古英語・中英語初歩』(研究社)が新装復刊となってから,1ヶ月が経ちました.1月以来,hellog や Voicy heldio などで本書に関連する話題をいくつかお届けしてきましたが,本書の中身を直接参照し,古英語の入門講義となるシリーズも始めましたので,今回はそちらをご紹介します.
まず,本書の冒頭を飾る「綴りと発音」をじっくり読んで解説するシリーズを,heldio で4回にわたって配信してきました.解説した部分は研究社の公式HPの試し読みコーナーで閲覧できますので,本書をお持ちでない方も,ぜひそちらを閲覧しつつお聴きいただければと思います.
・ 「#1710. 『古英語・中英語初歩』試し読み部分の解説シリーズ (1) --- 古英語の母音」
・ 「#1713. 『古英語・中英語初歩』試し読み部分の解説シリーズ (2) --- 古英語の子音(前編)」
・ 「#1716. 『古英語・中英語初歩』試し読み部分の解説シリーズ (3) --- 古英語の子音(後編)」
・ 「#1722. 『古英語・中英語初歩』試し読み部分の解説シリーズ (4) --- 古英語の強勢」
新装復刊後には,古英語テキストパートの2つめのテキスト "Early Britain" を音読し,精読するシリーズも開始しました.今のところ,以下の配信回を heldio でお聴きになれます.本書をお持ちでない方は,当面は本ブログの「#2909. Peterborough Chronicle の Early Britain の記述」 ([2017-04-14-1]) をご参照ください.ただし,詳しい解説やグロッサリーは本書を通じてしかアクセスできませんので,ご関心を持たれた方は,ぜひ本書を入手していただければ.
・ 「#1751. 『古英語・中英語初歩』より古英語 Early Britain の1節を音読する」
・ 「#1755. 『古英語・中英語初歩』より古英語 Early Britain の1節を精読する (1)」
・ 「#1758. 『古英語・中英語初歩』より古英語 Early Britain の1節を精読する (2)」
・ 「#1761. 『古英語・中英語初歩』より古英語 Early Britain の1節を精読する (3)」
また,4月から月一で始まる朝日カルチャーセンター新宿教室でのオンライン講座「歴史上もっとも不思議な英単語 --- 語源を探って古英語・中英語原文の世界へ!」でも,本書より古英語や中英語の原文を参照していく予定です.ぜひ『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』にご注目ください.
・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.

今年度の毎月,朝日カルチャーセンター新宿教室にて「歴史上もっとも不思議な英単語」と題して,英語史のシリーズ講座を展開してきました.『英語語源辞典』(研究社)や『英語語源ハンドブック』(研究社)をお供に,毎回,日常的な単語を1つ取り上げ,そこから縦横無尽に広げたり掘り下げたりしつつ,ダイナミックな英語史を味わおうという趣旨で進めてきました.
今度の土曜日の回は,今年度のシリーズとしては最後となる第12回です.話題としては,最終回に相応しい単語として be 動詞を選びました.90分ではとても語り尽くせそうにない大物単語です.最初に出会う英単語の1つであり,かつ何年も英語を学んできても必ずしもうまく使いこなせない,そんな be 動詞の謎と魅力に迫ります.
以下,be 動詞をめぐってどんな論点があり得るのか,ブレスト風に書き出してみます.
・ be 動詞の起源は?
・ be 動詞の歴史的異形を覗いてみよう!
・ be 動詞の特殊性5点
・ be 動詞は動詞でもあり助動詞でもある
・ 存在を表わす be 動詞
・ 連結辞 (copula) としての be 動詞
・ 仮定法過去 If I were/was a bird, . . . をめぐる考察
・ be 完了とは?
・ be 動詞は人称・数・時制・相・態・法を表わすことができる
・ 死に絶えた be 動詞
・ ain't をめぐる社会言語学的考察
・ 非標準変種における be 動詞の使われ方
ほかにも思いつく点がたくさんあります.講座では,なるべく多くの点に触れ,この得体の知れない,しかし常に付き合って行かざるを得ないナゾの動詞に90分間漬かっていきましょう!
講座への参加方法は,今期もオンライン参加のみとなります.リアルタイムでの受講のほか,2週間の見逃し配信サービスもあります.皆さんのご都合のよい方法でご参加いただければ幸いです.開講時間は 15:30--17:00 となっています.講座と申込みの詳細は朝カルの公式ページよりご確認ください.そして,ぜひお手元に『英語語源辞典』や『英語語源ハンドブック』もご用意いただください.講座が何倍も楽しくなります.
ご案内した講座のお知らせは,先日の heldio でも「#1754. 3月28日の朝カル講座は be --- 英語の「存在」を支える超不規則動詞」として予告編をお届けしましたので,そちらも合わせてお聴きください.
さて,今回で2025年度のシリーズは一区切りとなりますが,4月からも2026年度の新シリーズが始まります.新シリーズ開始とはいっても,少なくとも春期クールについては,2025年度のシリーズの主題「歴史上もっとも不思議な英単語」は引き継いでいく予定です.毎回1つの英単語に注目してダイナミックな英語史の動きを追っていきますが,新年度からは2月25日に研究社より刊行された『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』の古い英語の原文テキストを参照しつつ展開する予定です.新年度春期クールについては,すでに朝カルの公式の案内も出ていますので,そちらから詳細をご確認ください.
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.

1ヶ月前の2月18日は「英語史の塔」が建った記念日です.私のhel活の歴史において,おおいに注目すべき出来事でした.この塔の建設の経緯は本ブログを含め様々な媒体で公開してきました.
この1ヶ月の間,「英語史の塔」がジワジワと知られるようになってきました.note 上で塔に反応くださる英語史ファンの方も現われており,元気づけられている次第です.「英語史の塔」が言及されているウェブ上の主要コンテンツを,いくつか挙げておきます.
・ 堀田による note 記事「「英語史の塔」が建設されました」(2月18日)
・ hellog 記事「#6150. 「英語史の塔」が建っています」 ([2026-02-27-1])
・ heldio 配信「#1736. この春は英語史を始めよう! --- 「英語史の塔」の登り方」(2月28日)
・ Grace さんによる note 記事「「英語史の塔」建設により見えるもの」(3月1日)
・ heldio 配信「#1735. 「英語史の塔」をご覧ください」(3月1日)
・ hellog 記事「#6153. 昨朝の朝日サンヤツ広告に『古英語・中英語初歩』と『英語語源ハンドブック』が掲載」 ([2026-03-02-1])
・ mozhi gengo さんによる note 記事「#332. 登ってみよう英語史の塔に」(3月4日)
・ YouTube 「いのほた言語学チャンネル」動画91年前の市河三喜の名著が新装復刊!【いのほた言語学チャンネル第407回】(3月9日)
・ 堀田による note 記事「「英語史の塔」の攻略の仕方」(3月9日)
この塔は見栄えがよいだけの代物ではありません.そこには,英語史の学び方の提案という意図が乗っています.塔としてご紹介している4冊,すなわち『はじめての英語史』『英語語源ハンドブック』『古英語・中英語初歩』『英語語源辞典』は,有機的に結びついており,どこから学び始めてもいずれは出会うべき運命の書籍です.どれからでも自由に学び始めることができますが,お薦めのルートはあります.それを,note 記事「「英語史の塔」の攻略の仕方」で公開していますので,ぜひお読みください.
昨年から今年にかけて英語史関連の書籍が複数冊出版されており,英語史を学び始めるのに最適なタイミングとなっています.この春,皆さんも英語史を学び始めてはいかがでしょうか.私も,本ブログや他のメディアを通じて英語史の学び始めをサポートし応援するコンテンツを多く挙げていく予定です.
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
・ 堀田 隆一 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』 研究社,2016年.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.
2月28日(土)に,今年度の朝日カルチャーセンターのシリーズ講座「歴史上もっとも不思議な英単語」の第11回(冬期クールとしては第2回)が開講されました.今回注目した単語は「that --- 指示詞から多機能語への大出世」です.
現代英語における that は,指示詞,関係詞,接続詞をはじめとする様々な文法的な役割を果たす多義語です.多くの機能はすでに古英語にもみられますが,各々の機能はどのようにして起こり,発展してきたのでしょうか.超高頻度の単語でもあり,いちいち気にしたこともないと思いますが,今回あえて注目し,歴史的発展を追いかけてみました.講義は,that の八面六臂の活躍の秘密に迫る濃密な90分となりました.
朝カル講座第11回の内容を markmap によりマインドマップ化して整理しました.復習用にご参照いただければ.

なお,この朝カル講座のシリーズの第1回から第10回についてもマインドマップを作成しているので,そちらもご参照ください.
・ 「#5857. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第1回「she --- 語源論争の絶えない代名詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-05-10-1])
・ 「#5887. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第2回「through --- あまりに多様な綴字をもつ語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-06-09-1])
・ 「#5915. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第3回「autumn --- 類義語に揉み続けられてきた季節語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-07-07-1])
・ 「#5949. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第4回「but --- きわめつきの多義の接続詞」をマインドマップ化してみました」 ([2025-08-10-1])
・ 「#5977. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第5回「guy --- 人名からカラフルな意味変化を遂げた語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-09-07-1])
・ 「#6013. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第6回「English --- 慣れ親しんだ単語をどこまでも深掘りする」をマインドマップ化してみました」 ([2025-10-01-1])
・ 「#6041. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第7回「I --- 1人称単数代名詞をめぐる物語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-11-10-1])
・ 「#6076. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第8回「take --- ヴァイキングがもたらした超基本語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-12-15-1])
・ 「#6076. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第8回「take --- ヴァイキングがもたらした超基本語」をマインドマップ化してみました」 ([2025-12-15-1])
・ 「#6098. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第9回「one --- 単なる数から様々な用法へ広がった語」をマインドマップ化してみました」 ([2026-01-06-1])
・ 「#6139. 2025年度の朝カルシリーズ講座の第10回「very --- 「本物」から大混戦の強意語へ」をマインドマップ化してみました」 ([2026-02-16-1])
次回の第12回は3月28日(土)で,今年度の最終回となります.テーマは「be --- 英語の「存在」を支える超不規則動詞」です.開講形式は引き続きオンラインのみで,開講時間は 15:30--17:00 となります.ぜひ朝日カルチャーセンター新宿教室の公式HPより詳細をご確認ください.
また,2026年度も朝カルでの英語史講座を継続します.シリーズとしての大テーマも2025年度の「歴史上もっとも不思議な英単語」を引き継ぎますが,新たな試みとして,新刊書『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』を参照し,古英語や中英語の原文に挑む機会を増やしていく予定です.詳細はこちらの公式ページよりご覧ください.


本ブログでも2月より「#6125. heldio/helwa リスナー sorami さんによる『英語語源ハンドブック』のクイズ・シリーズが開始 --- 中高生のための英語史」 ([2026-02-02-1]) と「#6132. sorami さんの『英語語源ハンドブック』クイズ第2弾 --- 中高生のための英語史」 ([2026-02-09-1]) の2回にわたりお知らせしてきました.heldio/helwa コアリスナーの sorami さんが,協力者の方とともに繰り広げる『英語語源ハンドブック』をベースとした,中学生に向けての英語史クイズのシリーズです.その後もクイズを公開し続けられ,上記の通り第3回と第4回にもアクセスできるようになっています.
中学校などの「授業で使える」と謳っているからでしょうか,シリーズ初回公開から1ヶ月半で,早くも note 上で人気シリーズとなっています.問題の質が高く,ヒントも中学生にとって親切で,解説も必要十分な詳しさ.実際に授業で活用されることを念頭に,コンテンツが磨き込まれているという印象です.
第3回は,日本語になっている身近な英単語を参照して,語源で種明かしするという趣旨のクイズが多く出されています.最後の問題で黙字 (silent_letter) に注目している辺りにも,出題センスが光ります.
第4回は,英語の諺と英語の人名と愛称形に関する興味深い話題です.ここにもやはり,日本語になっている諺や,日本でも馴染みのある英語人名をとっかかりに,その語源に踏み込んでいくという見事な構成が仕組まれています.解説は情報量が多いものの,皆が親しみやすい話題なので,知識が頭にスルスルと入ってきますね.
すでに読者の方々からも感想が寄せられてきている通り,「中学生向け」と題しているものの,大人も楽しんで学べてしまう良質のコンテンツとなっています.
sorami さんは,今回も結びで「授業の小ネタ,ウォームアップ,グループ活動などに自由に使っていただければ幸いです」と述べられています.全国の英語教員の皆さん,ぜひこのクイズを授業などで活用してみてください.出題や解説にあたっては,原則として『英語語源ハンドブック』に依拠しているということですので,その点もご安心ください.
そして,慣れてきたら,皆さんご自身が『英語語源ハンドブック』からおもしろい話題を引き抜いて,クイズを作問してみてください.その折りには,ぜひ一般にも公開していただければ.「英語史を教室に」の輪が広がっていくことを期待しています!
sorami さんのクイズシリーズについては,先日の heldio 配信回「#1748. sorami さんの『英語語源ハンドブック』クイズ・シリーズが絶好調」でもご紹介しています.ぜひそちらもお聴きください.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

*
昨日3月13日,大修館書店より月刊誌『英語教育』の4月号が発売されました.今月号より,同僚の井上逸兵さん(慶應義塾大学教授)とともに,新しい連載企画「いのほた言語学チャンネル PRESENTS 英語を深める社会言語学・英語史の視点」が始まっています.
本連載は,2人で配信している YouTube 「いのほた言語学チャンネル」から派生した連載企画です.早いもので YouTube での活動も4年を超えましたが,動画でお届けしてきた言葉のダイナミズムや楽しさを,今度は誌面を通じてもお届けしたいと考えています.
連載の趣旨としては,英語教員の方々はもちろん,英語を学ぶすべての読者の皆さんに,社会言語学と英語史という2つのレンズを通して,英語という言語の奥深い魅力を再発見していただくことにあります.見開き2ページというコンパクトな形式ですが,2人の対談回もあれば,片方がトピックを提供してもう片方がコメントを寄せる回もあるなど,バラエティに富んだコンテンツとなっていく予定です.
第1回は「言語学・英語学の世界にようこそ」と題し,2人の自己紹介とともに本シリーズの狙いについてお話ししています.社会言語学がどのように私たちのコミュニケーションに関わるのか,あるいは英語史がいかにして現代英語の「なぜ?」に光を当てるのか,そのエッセンスを詰め込みました.
また,「いのほた」コンビによる出版物としては,昨年10月に『言語学でスッキリ解決! 英語の「なぜ?」』(ナツメ社)も刊行されています.こちらも連載と合わせてお読みいただけますと幸いです.
英語という言語を,単なる暗記の対象としてではなく,人間が作り上げてきた生き生きとした文化装置として捉え直す.そんな知的な冒険を,毎月の連載を通じて読者の皆様と共有できればと願っています.
新年度にむけて,英語(史)の世界を深めていきたいという方は,ぜひ毎月13日前後の『英語教育』の連載をお見逃しなく!
・ 井上 逸兵・堀田 隆一 「いのほた言語学チャンネル PRESENTS 英語を深める社会言語学・英語史の視点 第1回 言語学・英語学の世界にようこそ」『英語教育』2026年4月号,大修館書店,2019年3月13日.42--43頁.
・ 井上 逸兵・堀田 隆一 『言語学でスッキリ解決!英語の「なぜ?」』 ナツメ社,2025年.
3月7日の heldio にて「 #1742. 緊急対談 --- teach/taught に関する中学生の天才的指摘をめぐって」を配信しました.英語教育に携わる4者による特別回です.
今回取り上げる話題は,英語史研究を専門とする私にとっても大きな衝撃でした.発端は,中学校で英語を教えられている岩田先生のクラスの,ある生徒による発見でした.
英語学習において,いわゆる -ought 型の不規則変化動詞は学習者の悩みの種です.think --- thought,buy --- bought, bring --- brought, fight -- fought など,多くは o を含む綴字となります.一方,teach --- taught や catch --- caught のように,a を含む -aught 型の綴字になるものもあります.ほとんどの英語学習者は,これらを「そういうものだ」として丸暗記してきたことでしょう.私を含め対談した4者も同様でした.
ところが,その中学生はノートの中で,次の趣旨の驚くべき指摘をしたのです.原形の teach に a が含まれているから,過去形の taught も o ではなく a になるのではないか,と.
この指摘が驚異的なのは,単なる語呂合わせや記憶術の次元を超えて,英語綴字史研究に資する可能性がある点にあります.英語史の観点からこの -aught 過去形を再検討してみると,驚くべき事実が浮き彫りになります.taught や caught などの現存する動詞だけでなく,歴史の過程で規則化してきた動詞を掘り起こしてみると,この「teach の法則」が見事に当てはまる例がいくつか見つかるのです.
たとえば,現在は規則変化動詞となっている reach ですが,かつては不規則変化の raught という形態をもっていました.これも原形に a を含み,過去形は -aught です.また,latch にもかつて laught という過去形が存在しました.
さらに,reck という動詞に対しても raught という過去形がありました.原形に a こそ含まれていませんが,e は a と同じ前舌母音ではあります.法則を少し補正して,「原形に a あるいは e が含まれる動詞の不規則過去形は -ought ではなく -aught となる」とすれば事足ります.
歴史的にみれば,これらの綴字の差は,印欧祖語以来の母音交替 (gradation) や,ゲルマン語のウムラウト (i-mutation),その後の類推作用 (analogy) が複雑に絡み合った結果と考えられます.しかし,そうした専門知識をもたない中学生が,純粋な観察眼によってこの「法則」を見出したことは,きわめて驚くべきことです.
今回の緊急対談では,この中学生の指摘が,いかに深く英語綴字とその歴史の真実を射貫いている可能性があるかを語りました.おかげさまで,大人たちのほうがおおいに興奮し,大きなエネルギーを得ることができました.
英語史研究者として,長年当たり前だと思い込んで見過ごしてきた足元に,これほどまでに鮮やかな法則が隠れていたことに悔しさすら覚えますが,それ以上に,この中学生がもつフレッシュな視点の尊さに気付かされ,痛快ですらありました.「teach の法則」の歴史的裏付けについては,今後さらなる調査が必要ですが,エキサイティングな試みになると思います.
英語学習者の皆さん,身近な英語の「なぜ」を単なる暗記で済ませず,自分なりの仮説を立てて観察してみてください.そこには,専門家をも驚かせる法則が隠れているかもしれません.
興奮に満ちた対談の全容は,ぜひ上記の Voicy リンクよりお聴きください.
今年度,慶應義塾大学文学部英米文学専攻の英語史ゼミより16本の卒業論文が提出されました.各々の題目を一覧します.英語史ゼミでは,どんな研究がなされているのか.その広がりが伝わるのではないかと思います.
・ Grammatical Behavior of "WFH" in English before and after the COVID-19 Pandemic
・ The Pragmatic Effects of Initialisms and Acronyms in English-Language Social Media
・ The Pragmaticalization of Dude in American English: A Corpus-Based Analysis of Frequency and Positional Distribution (1990--2019)
・ Received Pronunciation in the Galaxy Far, Far Away: A Sociolinguistic Analysis of What RP Symbolises as Yakuwarigo in the Star Wars Films
・ Factors Influencing Variations in Information Ordering in Major League Baseball (MLB) Play-by-Play Commentary: An Analysis of Commentary Discourse Corresponding to Pitch Outcome
・ A Comparative Study of Linguistic Features in English and Japanese Sports Reporting: A Systemic Functional Grammar and Appraisal Theory Approach
・ Usage of the English Articles a and the: An Analysis of Established Usage and the Possibility of Emerging Usage Patterns in Strong-Form Pronunciation Based on Podcast Data
・ The Use of Relative which with Human Antecedents in Early Modern English: A Corpus-Based Analysis of Correspondence
・ The Comparison of How Gender Nouns are Used in Three English Bibles: King James Version, Good News Translation, and New Revised Standard Version Update Edition
・ Diachronic Change in Euphemistic Expressions of Death in English: A Comparative Analysis of Irish Newspaper Obituaries in the 1840s and the Present
・ Multiple Analysis of Expressions Meaning "Old Person," "Old Man," and "Old Woman"
・ Trailing Behind Reality: From Euphemism to Dysphemism in the Definition of "Retarded" in Japanese EFL Dictionaries
・ Plain English in UK Property Contracts: A Diachronic Analysis of Linguistic Features in Residential and Commercial Styles
・ Predicting FOMC Decisions from Communication Tone: LDA-EAL Topic-Tone Analysis of Federal Open Market Committee Press Conferences
・ Quotation as a Device in Framing the Representation of Korean Heritage: A Comparative Analysis of English-Language Korean Newspapers in 2015 and 2025
・ A Study on English Anxiety in Japan and Korea
今年度のラインナップを眺めると,英語史の伝統的なトピックから,現代的な社会言語学的課題,さらには英語と他言語との比較研究など,彩り豊かな顔ぶれとなっています.
まず目を引くのは,現代社会の写し鏡としての言語研究です.WFH (= work from home) の文法的振る舞い,SNS における頭字語の効果,現代アメリカ英語における dude の語用論的使用など,今の英語を捉えようとする試みが見られました.また,Star Wars における容認発音と役割語の論考や,MLB の実況解説や報道における情報提示順序の分析などは,メディアと言語の接点に注目しています.スポーツ報道の日英語の差に焦点を当てた研究もありました.Podcast をソースとして活用した冠詞の発音の研究も,手法が現代的でした.
一方で,古い文献や通時的な変化を重視する英語史・文献学らしい研究も健在です.初期近代英語の書簡における関係代名詞 which の先行詞に関するコーパス分析や,聖書の3つの版を比較したジェンダー研究などは,堅実なテキスト解釈に基づいた成果です.
また,言葉の影の部分,すなわち婉曲表現や不快表現に焦点を当てた研究も複数ありました.「死」の表現の通時的変化や,辞書における差別的用語の定義の変遷などは,言語が社会の価値観とどのように並走し,あるいは遅れてついていくのかを浮き彫りにしています.
不動産契約書の Plain English 化や,連邦公開市場委員会 (FOMC) の記者会見のトーン分析など,実社会のプロフェッショナルな領域に切り込んだ研究もありました.韓国の英語や日韓の英語観に切り込む論考も,ゼミ全体の関心の幅を広げてくれました.
これら 16 本の論文は,いずれも学生たちが自身の関心を英語史・英語学の枠組みのなかで育んでいった結晶です.どんな話題でも卒論のトピックに昇華させることができるのです.
過年度の卒業論文題目については,「#5768. 2024年度に提出された卒業論文と修士論文の題目」 ([2025-02-10]) や こちらの記事セット ,あるいは sotsuron のタグから辿ることができます.英語史分野のテーマ探しのヒントとなるかと思います.
ゼミ生はみな khelf (慶應英語史フォーラム)のメンバーです. khelf の英語史活動報告は以下で行なっていますので,ぜひ訪れてフォローなどしていただければ.
・ khelf 公式ホームページ
・ khelf 公式 X アカウント @khelf_keio
・ khelf 公式 Instagram アカウント @khelf_keio

中央大学出版が発行する『中央評論』の最新号334号の特集「アウトリーチ活動の多様な見方」が気になっていた.本ブログを始めて17年弱の時間が流れ,そのほかいくつかのメディアでも英語史という分野の発信を行なってきた者として,この活動がどのような意味をもつのかは自分自身もイマイチよく分かっていないながらも,「アウトリーチ活動」と呼ばれるようなことはしてきたように思われるからだ.目下,私は海外にいるのだけれども,あまりに読みたかったので,冊子を入手して読んだ.以下は,特集を読んだ上での雑記である.
まず特集を構成する各記事の執筆者とタイトルを挙げておこう.いつもお世話になっている「ゆる言語学ラジオ」の水野太貴さんも寄稿されている.
・ 福田 純也[巻頭言]:アウトリーチ活動の多様な見方
・ 石井 雄隆/植木 美千子:科学コミュニケーションの観点から考える研究のアウトリーチ --- 外国語教育の研究成果を社会とつなぐために
・ 松浦 年男/浅原 正幸/占部 由子/黒木 邦彦/田川 拓海/中川 奈津子/矢野 雅貴:ぬるま湯のアウトリーチ --- 言語学フェスが照らす新たな可能性
・ 水野 太貴:「ゆる言語学ラジオ」はアウトリーチではない --- 理想のアウトリーチと映画『国宝』について
・ 平田 トキヒロ:あえて言おう、クソであると。 --- アウトリーチ活動の定義再検討
・ 石井 慶子:孤独と発信のあいだ --- アウトリーチ活動から考えたこと
特集を通して読んでみて,まず「アウトリーチ活動」やその考え方の多様性に驚いた.特集のタイトルが示す通り,そもそも「アウトリーチ活動」そのものが鵺のように捉えどころのないものらしいのだ.私自身はどこに位置づけたらよいのか,軽くめまいがしたほどだ.アウトリーチは自由であってよいし,制限されたらアウトリーチではない,そんな風に思えた.
それぞれの論考に学ぶところがあり,自分に引きつけて考えてみたくなる洞察が含まれていた.ここでは,松浦氏ほかによる「ぬるま湯のアウトリーチ」より,とりわけ琴線に触れた箇所を引きたい.
言語学フェスはコロナ禍によって生じた研究者間の交流の断絶を緩和する策のひとつとして生まれたという経緯がある (27)
言語学フェスは学会とは異なり,「研究とは何か」という問いを考えるきっかけとなる場を提供している (31)
「楽しさ」を起点としたアウトリーチ活動は,特定の課題の解決というよりもむしろ,参加者が「言語は(やっぱり)面白い」と感じられるような環境を作ることを目指している.そうした空間を作っていき,ゆるやかに続けることは,研究者として活動する人にとっても,未来の研究者やファンを作ることに繋がっていく.そしてこれは研究予算の縮小など先行きが不透明な学術界にとっても,言語に関心を持つ多くの人にとっても明るい光となる可能性が十分にあるだろう. (33)
私自身も Voicy heldio での英語史発信を始めたのは,コロナ禍によるコミュニケーションの断絶がきっかけだった.ただし,私の場合は「研究者間の交流の断絶」というよりは,どちらかといえば「教員・学生間の交流の断絶」に動機づけられていたという点での違いはある.
そして,本格的なアウトリーチ活動として「hel活」を始めてみるまでは気づかなかったが,「研究とは何か」「自分は何のために研究しているのか」を強く意識するようになった.明確な答えが出ているわけではないが,少なくとも自問自答する機会が非常に多くなった.
さらに,アウトリーチ活動を通じて,学びや研究は,本来はそれ自体が楽しいからするものであり,ほかの○○の目的ためにするわけではない,少なくとも第一義的にはそうではないということを,再認識する機会が増えた.おもしろいから研究するのだし,そのおもしろさを他の人々と分かち合いたいから伝えるのだ.それが結果的に「アウトリーチ活動」になっている,という順番で理解している.
また,特集を取りまとめた福田氏による編集後記 (164) の言葉も印象的だった.
その往復[=さまざまな立場の人々が互いに影響を与え合う往復]の中で,研究の意味や社会の側の問いかけが新たに立ち上がっているのを感じました.読者の皆さまにも,この特集を通じて,新しい往復を始めるきっかけを見つけていただければ幸いです.
「アウトリーチ活動」を通じて,はじめて可能となった交流がある.その交流を経てはじめて気づいた研究の意義がある.活動していなかったら決して気づかなかったと思われる研究の価値,予想もできなかったと思われる研究の可能性が,見えるようになってきた.これだけでも十分な大きな収穫だし,何よりも未来に向けて希望の光が差す.
「アウトリーチ活動」をうさんくさいと思われる方もいるかもしれない.ちょっと関心がある,やってみたい気がするという方もいるだろう.すでに実質的に活動しているという方もいるだろう.いずれの読者にとっても,この特集の各記事は,洞察を与えてくれるはずである.
・ 「特集 アウトリーチ活動の多様な見方」『中央評論』334号(77巻4号) 2026年2月3日.
2月25日に刊行された『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』を,この1ヶ月半ほど推しに推しています.本書に関する研究社の公式HPには,本書の内容,目次,試し読みコーナーなどが設けられていますが,ページの下方には「関連記事」や「関連書籍」の案内もあります.本書を手に取る多くの方は広く英語史に関心があるのではないかと思われますので,これらはたいへん有用な情報となるはずです.
とりわけ「関連記事」の1つめとして挙げられている「英語史関連書籍の一覧をアップしました」(2月27日付けで公開)はお薦めです.そのリンク先からダウンロードできる PDF ファイルには,研究社から刊行されている15冊の英語史周辺書籍の一覧が収められています. *
この一覧は,広報の一環として研究社がまとめられたものですが,実はここには khelf(慶應英語史フォーラム)のhel活が関わっています.昨年9月13日に,khelf(慶應英語史フォーラム)および helwa の主催する音声配信イベント「英語史ライヴ2025」が開催され,おおいに盛り上がりました(cf. 「#5984. 昨日の「英語史ライヴ2025」おおいに盛り上がりました!」 ([2025-09-14-1])).イベント当日は,書籍展示のために研究社の担当の方々に会場にお越しいただいたのですが,イベントに先立って,展示するにふさわしい英語史関連書を選別すべく,khelf の大学院生メンバーも準備に関わっていたのです.英語史を専攻する大学院生の目利きが入っており,私自身も事前に確認させていただいた,その書籍の一覧がイベントで配布されたという次第です.
さて,このたび『古英語・中英語初歩』がめでたく新装復刊となりました.この機会を捉えて,半年前に準備されたあの一覧を再利用できないかと思い立ち,研究社の担当に打診したところ,このような形で公開されるに至ったという次第です.
なお,一覧に含まれている書籍のうち5冊については,khelf のメンバーを中心とする英語史を専攻する学徒たちが,Voicy heldio でその内容を紹介する「声の書評」 (voice_review) という新しい企画を,「英語史ライヴ2025」にて実施しました.その配信回はアーカイヴとして残っていますので,以下の hellog 記事を経由してお聴きいただければと思います.
・ 「#6005. khelf の新たなhel活「声の書評」が始まりました --- khelf 藤原郁弥さんが紹介する『市河三喜伝』」 ([2025-10-05-1])
・ 「#6006. 声の書評 --- khelf 木原桃子さんが紹介する『英語文化史を知るための15章』」 ([2025-10-06-1])
・ 「#6007. 声の書評 --- khelf 寺澤志帆さんが紹介する『聖書の英語の研究』」 ([2025-10-07-1])
・ 「#6008. 声の書評 --- khelf 泉類尚貴さんが紹介する『コーパスと英文法』」 ([2025-10-08-1])
・ 「#6012. 声の書評 --- 小河舜さんと khelf 疋田海夢さんが紹介する『英語固有名詞語源小辞典』」 ([2025-10-12-1])
選ばれた英語史関連書籍の一覧です.英語史の学びのために,ぜひご利用ください.一覧へのアクセスはこちらのページよりどうぞ.
「#6150. 「英語史の塔」が建っています」 ([2026-02-27-1]) にて「英語史の塔」 (tower_of_hel) が建った経緯について触れました.一見すると,研究社から出版されている英語史関連の既刊書・新刊書を積み上げただけの写真と思われたかもしれません.しかし,あの4冊の並びを眺めてみると,そこには英語史という分野に迫る上で,実に合理的な構造が隠されていることに気づきます.今回の記事では,その構造について解き明かしてみたいと思います.
英語史という広大な領域に足を踏み入れる際,その入口は決して一つではありません.学習者の関心や動機に応じて,大きく分けて2つのルートが存在します.
第1のルートは「全体から入る」アプローチです.このアプローチの土台となるのが,2016年に出版された拙著『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』です.本書では,英語史通史は第1章でさらっと概観するにとどめ,残りはトピック別に,すなわち音韻・綴字史,文法史,語彙史,英語社会史といった分野別の歴史を通じて,英語史的な「ものの見方」というレンズを提示することに主眼を置いています.目の前の英語を正誤で裁くのではなく,変化の結果として捉える思考のフレームワークを構築するための1冊と言えます.
第2のルートは「単語から入る」アプローチです.これに適しているのが,昨年6月に刊行された『英語語源ハンドブック』です.身近な語の語源にまつわるエピソードは,それ自体が独立しておもしろく,どこからでも読み始めることができます.1語1語の背景にあるドラマに触れるうちに,英語という言語がいかに多様な歴史を背負っているかを肌身で実感することになります.単語間の横のつながりにも気づく機会が多いでしょう
しかし,これら入口の本だけでは,まだ「塔」の全貌は見えてきません.そこからさらに一歩踏み込むための深化のプロセスが必要です.
英語史の全体像,英語史の見方という骨格を習得した学習者が次に進むべきは,体験としての英語史です.そこで力を発揮するのがこの2月25日に刊行された『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』です.概説を通じて得た知識を,実際の古英語や中英語の原文にぶつけてみる.音や形を自らの目で確かめる作業を通じて,歴史は抽象的な知識から,確かな手応えを伴う身体的な経験へと昇華されます.
一方で,単語と語源のおもしろさに目覚めた学習者が,その探究を縦に掘り下げたいと思ったときに必須となるのが,『英語語源辞典』新装版(2024年)です.『英語語源ハンドブック』で得た興味を,借用経路や形態変化の詳細,精緻な語形成の分析へとつなげていく.1語1語の背後に潜む数百年の時間を徹底的に掘り下げるこの作業は,まさに学問的な醍醐味に溢れています.
これら4冊の関係を整理すると,以下のようになります.
・ 全体ルート:思考のレンズを得る(『はじめての英語史』) → 原文で身体化する(『古英語・中英語初歩』)
・ 単語ルート:語源のおもしろさを知る(『英語語源ハンドブック』) → 1語1語を徹底的に深掘りする(『英語語源辞典』)
興味深いのは,どちらのルートから登り始めても,結局はもう一方のルートと交差する点にあります.単語を深く追えば必ず言語全体の歴史的背景に行き着きますし,全体を学べば必ず具体的な語の変化という事実に立ち返ることになります.英語史の学びは,平面的な移動ではなく,螺旋状に上昇していく循環構造です.本当に「塔」らしく見えてきたのではないでしょうか.
前回の記事で紹介した写真は,まさにこの立体的な学びの構造を可視化したものと捉えることができます.土台があり,横の広がりがあり,縦の高さと深さがある.これらが組み合わさって初めて,「英語史の塔」は安定して自立します.
どこからこの塔を登り始めるかは,読者の皆さん次第です.以下にまとめます.
1. まず英語史の全体像を俯瞰したいなら『はじめての英語史』から
2. 単語の語源や語彙のつながりに惹かれるなら『英語語源ハンドブック』から
3. 過去の英語の響きを直接聴きたいなら『古英語・中英語初歩』へ
4. 単語の語源を本格的に深掘りしたいなら『英語語源辞典』へ
英語史の入門者であれば1か2をお薦めしますが,すでに学びを始めている方は,心の赴くままにどこから始めても構いません.これら4冊は互いに補完し合い,行き来することで皆さんの「英語史」をより立体的なものにしてくれるはずです.
私は「英語史をお茶の間に」をモットーとしています.専門性の追求と親しみやすさは,決して矛盾するものではありません.「英語史の塔」の4冊は,その理想を具現化する1つの形です.塔は眺めるための飾りではなく,より遠く,より深くを見渡すための場所です.ぜひ,ご自身に合った登り方を見つけ,英語という言語の新しい景色を楽しんでいただければと思います.
全4冊へのアクセスは,研究社公式のこちらのHPが便利です.
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
・ 堀田 隆一 『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』 研究社,2016年.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.

昨日3月1日(日)の朝日新聞朝刊サンヤツ広告に,研究社から出版されている4冊が掲載されました.最初の2冊は,ここしばらく私自身が推しに推してきた『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』と『英語語源ハンドブック』です.前者はつい先日,2月25日に刊行されたばかりの本,後者は昨年6月15日に刊行され3重版となっている本です.
今回この2冊が並んで掲載されたことには,「英語史をお茶の間に」届けようと日々hel活を展開している者として,感慨を覚えます.というのは,2冊は一見すると別々の目的をもつ本に見えるかもしれませんが,実は英語史という「塔」を登る上で,興味深い関係で結ばれているからです(cf. 「#6150. 「英語史の塔」が建っています」 ([2026-02-27-1])).
近々の記事で詳しく解き明かす予定ですが,英語史への入口には「全体から入るルート」と「単語から入るルート」の2つがあると考えています.『英語語源ハンドブック』は,身近な単語のエピソードから入る「単語ルート」の強力な案内人です.一方,『古英語・中英語初歩』は,英語史の骨格を学んだ者が次に進むべき「全体ルート」の深化プロセス,すなわち原文を通じた身体的経験を得られる1冊です.
この2冊は良い具合に交わります.『ハンドブック』で単語の語源に魅了されたのであれば,その語が生まれた時代にあって,どのような響きをもっていたのかを知りたくなるはずです.すると,自然と『初歩』の原文へと導かれていくでしょう.
逆に,『初歩』で古英語の格変化や中英語の綴字に悪戦苦闘している学習者が,個々の語の背景にあるドラマを知れば,その学習は彩り豊かなものへと変わります.
つまり,この2冊は,語源という「点」の知識を,文献という「面」の経験へと繋ぐ,あるいはその逆へと橋渡しする関係にあります.ミクロからマクロへ,そしてマクロからミクロへ.このクロスオーバーこそが,英語史の学びを立体的なものにしてくれるのです.
皆さんにおかれましては,以上の関係を意識しつつ,2冊の間をぜひ行き来してみてください.英語史のさらなる魅力に気づくことになるはずです.
・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.
・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
Powered by WinChalow1.0rc4 based on chalow