故宇賀治正朋先生の著書に『英文法学史』がある.御遺族が御遺稿を自費で出版されたとのことで,非売品として一般には知られていない著書である.先日,知り合いの研究者より1部をいただく機会があった.ここに目次を示し,宇賀治先生がいかにして英文法史を紡いだかを概観したい.大きな見取り図が得られる.
1 序章
1.1 Grammar: 定義と構成部門
1.2 Grammar: 最初の適用言語ラテン語
第1部 先史時代 ー 英文法の源流
2 古代ギリシアの文法研究
2.1 古代ギリシァ前期
2.1.1 プラトン ー 始原の言語学書 対話篇『クラテュロス』
2.1.2 アリストテレス ー 文法学の祖
2.1.3 ストア派の哲学者たち ー 文法は論理学の一分野
2.1.4 まとめ
2.2 古代ギリシァ後期 ー ヘレニズム時代
2.2.1 アレクサンドリアの文法家
2.2.1.1 ディオニュシオス ー 「文法術」の出現
2.2.1.2 評釈と意義
2.2.1.3 アポロニオス ー 統語論の開拓者
第1部 定冠詞・関係代名詞
第2部 代名詞
第3部 文法違反(solecism)・動詞・分詞
第4部 前置詞・副詞
3 古代ローマの文法研究
3.1 ウァッロ ー 屈折形態論の創始者
3.2 歴史的意義
3.3 ドナトゥス ー 現代にいたる文法組織の大綱を決定
I.
Ars Minor
II.
Ars Maior
3.4 評価
4 中世イングランドの文法研究
4.1 イングランドの状況
5 英文法の出現
5.1 時代背景
5.2 Bullokar から1600年まで
文献解題1. William Bullokar:
Bref Grammar for English (1586)
5.3 1601年から1700年まで
文献解題2. Ben Jonson:
The English Grammar (1640)
文献解題3. John Wallis:
Grammatica Linguae Anglicanae (1653)
5.4 1701年から1800年まで
文献解題4. Lindley Murray:
English Grammar, Adapted to the Different Classes of Learners (1795)
・ 宇賀治 正朋 『英文法学史』 研究社印刷,2012年.
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