今学期の大学院のオムニバス講座「人文学の方法論(デジタル・ヒューマニティーズ)」の1講義として,主に人文系の履修者を対象に「言語研究とデジタルコーパス・辞書・方言地図」を話す機会がありました.単発の授業ということで,準備した資料も今後活用されることもなさそうですので,差し障りのない形に加工した上でこちらに公開しました.基本的には,英語史を専門としない人文系大学院生向けの講義のために準備した参考資料です.スライド中からは hellog 記事への参照もたくさんあります.
1. 「言語研究とデジタルコーパス・辞書・方言地図」
2. まず,コーパスとは?
3. 1980年代以降の英語史研究
4. 英語コーパス発展の3軸
5. 主な歴史英語コーパス
6. 主な歴史英語辞書
7. 主な歴史英語方言地図
8. コーパス研究の功罪
9. 参考文献
私からは英語史研究におけるデジタル資料との付き合い方というような話しをしたわけですが,ほぼ皆が異なる分野を専攻する学生だったので,議論を通じて各々の分野での "DX" の進展について教えてもらう機会も得られ,たいへん勉強になりました.
本年度前期,2022年5月18日(水)19:00--20:40を初回として,10週にわたりオンラインで東京言語研究所の「理論言語学講座」の一環として「史的言語学」を担当します.具体的には英語史概説の講義となります.公式な案内としては,講座概要 (PDF)をご覧ください.申込期限は5月9日(月)となっています.
本日の午前中に上記講座の「ガイダンス」が開かれました.そこで講座紹介のために用いた簡単なスライドをこちらにも公開しておきますので,ご覧ください.
1. 東京言語研究所2022年度理論言語学講座(前期)ガイダンス史的言語学
2. 「英語史概論」 --- 英語を歴史的・通時的にみる
3. 受講にあたって
4. この講座で学べること
5. なぜ英語史を学ぶのですか? --- 担当者の私的回答
英語史は学際的な領域ですので,カバーすべき範囲も広くなります.限られた期間の講座となりますが,本ブログなども利用して足りない部分を補っていただければと思います.以下もご参照ください.
・ 「#4727. 英語史概説書等の書誌(2022年度版)」 ([2022-04-06-1])
・ 「#4729. ぜひ英語史学習・教育のために hellog の活用を!(2022年度版)」 ([2022-04-08-1])
3月19日(土)15:30--18:45に,朝日カルチャーセンター新宿教室にて標題のお話しをさせていただきました.2年半ほど前より12回に渡る「英語の歴史と語源」シリーズを開講してきましたが,そのダイジェストとして番外編ではありますが第13回を開いた次第です.これで本当にシリーズ終了となります(シリーズ全体については「#4702. 講座「英語の歴史と語源」のダイジェスト「英語語彙の歴史」のご案内」 ([2022-03-12-1]) をご覧ください).第13回の番外編も前回に続き対面・オンラインのハイブリッド形式で行ないましたが,合わせて多くの方々にご参加いただきました.ありがとうございます.
ダイジェストとは言いながらも,実際には新しい話題も少なからず加えましたので,ある程度独立した内容となっていたかと思います.とりわけ英語と日本語の語彙史の比較などは,シリーズ中では簡単に触れることはあっても詳しくは取り上げてきませんでしたので,今回の機会を借りて注目することができました.
今回の講座で用いたスライドをこちらに公開します.以下はスライドの各ページへのリンクです.
1. 英語の歴史と語源・13「英語語彙の歴史 ? ダイジェスト英語の歴史と語源」
2. 「英語語彙の歴史 ? ダイジェスト英語の歴史と語源」
3. 目次
4. 1. はじめに ? 英語語彙史の概要
5. 過去12回の「英語の歴史と語源」シリーズ
6. 2. 英語語彙の規模と種類の豊富さ
7. 語源で世界一周
8. 3. 日英語彙史比較
9. 4. 印欧語族
10. 5. 英語語彙史の詳細
11. 6. 現代の英語語彙にみられる歴史の遺産
12. 7. 現代英語の新語形成
13. 8. 英語の人名の歴史
14. 9. 英語語彙史から考える語彙拡充の功罪
15. 「インク壺語」の大量借用
16. 大量借用への反応
17. インク壺語,チンプン漢語,カタカナ語の対照言語史
18. 10. おわりに
19. 参考文献
長きにわたってシリーズにご参加いただいた方々には感謝いたします.ありがとうございました.
今後は新シリーズとして4回にわたり「英語の歴史と世界英語 --- 世界英語入門」を開講する予定です.初回は少し先の6月11日(土)となりますが,案内はすでにこちらに出ていますので関心のある方はご参照ください.今後ともよろしくお願いいたします.
去る3月6日(日) 14:40--16:10 に,Zoom 開催の言語教育エキスポ2022のシンポジウム「英語史を英語教育に生かす」にてお話しさせていただきました.関係の先生方にはシンポジウムの準備から当日までたいへんお世話になりました.参加された皆様にも,たいへん貴重なご意見やご質問をを賜わりました.ありがとうございます.
私がお話しした題目は「「大母音推移」の英語教育上の役割を再検討する(近年の研究動向を踏まえて)」です.私自身が何か大母音推移 (gvs) についてオリジナルの新しい研究を試みたわけではまったくなく,あくまで学史を振り返っただけでした.予稿・概要はこちらからどうぞ.
何かの役に立つかもしれませんので,発表で用いたスライド資料を公開します.100年以上にわたって英語史研究者を魅了してきた「大母音推移」の行く末に思いをはせていただければと.以下はスライドの各ページへのリンクです.
1. 「大母音推移」の英語教育上の役割を再検討する(近年の研究動向を踏まえて)
2. 目次
3. 1. はじめに
4. GVS を母音四辺形で示すと
5. 2. GVS の研究史概観
6. 3. GVS の 5W1H
7. 具体的な単語例で
8. 4. GVS の「例外」
9. 4つの問題点
10. /ɛː/ > /eː/ > /iː/ の2段階の上げ
11. GVS 後に別途生じた音変化の結果
12. 近代以降のフランス借用語において
13. GVS は無強勢母音や短母音とは無縁
14. 派生語ペアにみる母音の長短
15. 派生語ペアにみる母音の長短の例外
16. 5. GVS の解体
17. GVS の貫徹度は方言によって異なる
18. 各々の母音変化は部分的には関連し合っているものの,独立した音変化である
19. GVS 進行表
20. 後期古英語期から後期近代英語期までの長期にわたる様々な母音変化の一部
21. 6. おわりに
22. 参考文献
23. 素朴な疑問 (1) 「nature と mature は1文字違いですが,なんで発音がこんなに異なるのですか?」
24. 素朴な疑問 (2) 「なぜ friend はこの綴字でこの発音なのですか?」
ちなみに,先日の Voicy 「英語の語源が身につくラジオ」 でも(散歩しながら)大母音推移についてしゃべったばかりなので紹介しておきたいと思います.大母音推移の威力と魅力を味わってみてください.
・ 「大母音推移(前編)」(2022年3月8日放送)
・ 「大母音推移(後編)」(2022年3月9日放送)
3週間前のことですが,1月22日(土)に,ひと・ことばフォーラムのシンポジウム「言語史と言語的コンプレックス ー 「対照言語史」の視点から」の一環として「初期近代英語期における語彙拡充の試み」をお話しする機会をいただきました.Zoom によるオンライン発表でしたが,その後のディスカッションを含め,たいへん勉強になる時間でした.主催者の方々をはじめ,シンポジウムの他の登壇者や出席者参加者の皆様に感謝申し上げます.ありがとうございました.
私の発表は,すでに様々な機会に公表してきたことの組み替えにすぎませんでしたが,今回はシンポジウムの題に含まれる「対照言語史」 (contrastive_linguistics) を意識して,とりわけ日本語史における語彙拡充の歴史との比較対照を意識しながら情報を整理しました.
当日利用したスライドを公開します.スライドからは本ブログ記事へのリンクも多く張られていますので,合わせてご参照ください.
1. ひと・ことばフォーラム言語史と言語的コンプレックス ー 「対照言語史」の視点から初期近代英語期における語彙拡充の試み
2. 初期近代英語期における語彙拡充の試み
3. 目次
4. 1. はじめに --- 16世紀イングランド社会の変化
5. 2. 統合失調症の英語 --- ラテン語への依存とラテン語からの独立
6. 英語が抱えていた3つの悩み
7. 3. 独立を目指して
8. 4. 依存症の深まり (1) --- 語源的綴字
9. 5. 依存症の深まり (2) --- 語彙拡充
10. オープン借用,むっつり借用,○製△語
11. 6.「インク壺語」の大量借用
12. 7. 大量借用への反応
13. 8. インク壺語,チンプン漢語,カタカナ語の対照言語史
14. 9. まとめ
15. 語彙拡充を巡る独・日・英の対照言語史
16. 参考文献
昨日11月23日(火)の 15:00?17:00 に,Zoom 開催の第2回英語教員養成コアカリキュラム・研究フォーラムのシンポジウム「コアカリのこれから?10年後を見据えて?」にてお話しさせていただきました.シンポジウムの準備から当日までお世話になりました東京学芸大学の馬場哲生先生,粕谷恭子先生,高山芳樹先生,およびシンポジウムでご一緒させていただきました卯城祐司先生(筑波大学),松下信之先生(大阪府教育庁)には感謝致します.たいへん実りある時間を過ごすことができました.
「英語史科目の現状・課題・提案」と題する内容で,英語教育やコアカリにおける英語史の位置づけについて15分間ほど発表する機会をいただき,その後,発表者間や他の参加者からの質疑応答を経て,ディスカッションに進みました.普段私は英語史を専門科目と位置づけて研究・教育を行なっていますが,今回は英語教育・行政の観点から英語史を見てみるという貴重な機会に恵まれました.
日々の本ブログや拙著などでも英語教育の視点は常に含めているつもりですが,念頭においているのは個々の読者であって,必ずしも組織的な英語教育・行政を意識していたわけではありません.その意味で今回のシンポジウムは新鮮で,学ぶことが多かったように思います.
簡単なものではありますが,シンポジウムで用いたスライドをこちらに置いておきます.以下にスライドの各ページへのリンクも張っておきます.
1. タイトルページ
2. 英語史科目の現状・課題・提案
3. 目次
4. 1. はじめに:コアカリのなかの英語史
5. 「英語学」の項目 (p. 8)
6. 第3項「英語の歴史的変遷,国際共通語としての英語」
7. 2. 英語史科目の現状
8. 3. 英語史科目の課題と提案
9. 4. 学界の潮流と英語史の強み (1)
10. 学界の潮流と英語史の強み (2)
11. 学界の潮流と英語史の強み (3)
12. 学界の潮流と英語史の強み (4)
13. 5. 英語教育への具体的応用
14. 6. おわりに:教員の引き出しを増やす英語史
15. 英語史のお勧め文献
16. 拙著・拙論
昨日,立命館大学にて「世界の "English" から "Englishes" の世界へ」と題する講演を行ないました.準備から当日の運営までお世話になりました立命館大学の岡本広毅先生を始め,関係の先生方,学生の皆さんには感謝いたします.ありがとうございました.
対面&オンラインによるハイブリッドの形態で行ないましたが,多くの方々にご参加いただくことになりました.講演後には,とりわけ対面で出席くださった立命館大学国際コミュニケーション学域の先生方や学生の皆さんと,2時間に及ぶ "World Englishes" を巡る議論に花が咲き,私にとってもたいへん楽しく啓発的な時間となりました.議論を通じて,多様性の「許容」という用語が何を意味するのか,また "mutual intelligibility" といってもそこには常にパワー(バランス)が関わるものではないか,などの的を射た数々の指摘をいただき,確かにと頷きました.私自身の不勉強を思い知らされましたが,たいへん考えさせられる時間でした.
今回のような公開講演のスライド等の資料は,原則として公開する方針を採っていますので,こちらよりご覧ください.参加された方々におかれましては,ぜひ復習などのためにご利用ください.そうでない方々には,スライドだけでは必ずしも講演の全容は伝わらないかとは思いますが,ご参考までに.
以下にスライドの各ページへのリンクも張っておきます.
1. タイトル
2. 世界の "English" から "Englishes" の世界へ
3. 目次
4. 1. はじめに --- 英語の世界性と多様性
5. 英語の話者人口
6. 3種類の英語
7. 複数形の "Englishes"
8. 2. 英語の世界的拡大 --- ドイツ北部から世界へ
9. 関連年表
10. "World Englishes"
11. 3. 英語の歴史的多様性 --- 減少しないエントロピー
12. 4. 英語に作用する相反する2つの力 --- 求心力と遠心力
13. 5. おわりに --- 英語は常に多様だった
14. World Englishes に関するお勧め文献(お勧め順に)
15. 参考文献
16. 補遺1:世界英語のモデル
17. 補遺2:ピジン語とクレオール語
「英語史」は古い英語を解読するだけの分野ではありません.もちろんそれは非常に重要な課題であり,そこに土台があることは間違いありませんが,現代の英語を把握するための新しい(というよりも最新の)視座を提供してくれる分野でもあります."World Englishes" を入り口として,ぜひ英語史という領域に関心をもってもらえればと思います.
去る10月23日(土)15:30?18:45に,朝日カルチャーセンター新宿教室にて「英語の歴史と語源・12 「市民革命と新世界」」を,対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド形式で開講しました.2年ほど前に開始した「英語の歴史と語源」シリーズの最終回ということですが,何とか走りきることができました.参加者や朝カルのスタッフの皆さんのおかげです,ありがとうございました.
今回は,革命で大荒れだったスチュアート朝の時代,ほぼまるまる17世紀に焦点を当てました.ルネサンスの熱気が冷め,革命で荒れた時代ながらも,抑制と理知に特徴づけられた英語の散文が発展してきました.この時代の散文は,私たちにとってそれなりに現代的に見えます.とりわけ王政復古後の散文の文体は,私たちにとって身近で知っている英語の文章という感じがします.
そして,英語そのものもぐんと現代に近づいきています.この時代までに綴字の標準化はかなりの程度進んでいましたし,文法的にいえば例えば疑問文・否定文における do の使用など,現代的な統語的規則が確立しました.
17世紀半ばから18世紀初頭にかけて,英語を統制するアカデミー設立への関心が高まりましたが,1712年にその試みが頓挫すると,以後,関心は薄まりました.現在に至るまで英語アカデミーなるものが存在しないのは,このときの頓挫に負っています.英語が世界化した21世紀,アカデミーの不在は良いことなのか悪いことなのか.この現代的問題を論じる上でも,17世紀の英語を巡る状況を理解しておくことは重要です.
今回の講座で用いたスライドをこちらに公開しますので,ご覧ください.以下にスライドの各ページへのリンクも張っておきます.復習などにどうぞ.
1. 英語の歴史と語源・12「市民革命と新世界」
2. 第12回 市民革命と新世界
3. 目次
4. 関連年表
5. 1. スチュアート朝と市民革命 --- 清教徒革命と名誉革命
6. 2. ルネサンスの熱狂から革命・王政復古期の抑制と理知へ
7. 3. 英語の市民化とアカデミー設立の試み
8. 4. 17世紀の英語の注目すべき事項
9. 5. 英語の世界展開が本格的に開始
10. まとめ
11. 参考文献
12. 補遺1:フランシス・ベーコン『随筆集』 (Essays, 1597) より「怒りについて」
13. 補遺2:サミュエル・ピープス『日記』 (Diary, 1825) より「1665年のペストに関する記録」
「英語の歴史と語源」シリーズはこれにて終了ですが,次期も別の話題で講座を開く予定です.
昨日と今日,私のゼミのオンライン合宿が行なわれています.2日目の今日は,様々な活動の間に,私の「World Englishes 入門」が挟まります.趣旨としては,次の通りです.
英語が複数形で "Englishes" として用いられるようになって久しい.現在,世界中で使われている様々な種類の英語を総称して "World Englishes" ということも多くなり,学問的な関心も高まってきている.本講演では,いかにして英語が世界中に拡散し,World Englishes が出現するに至ったのか,その歴史を概観する.そして,私たちが英語使用者・学習者・教育者・研究者として World Englishes に対してどのような態度で向き合えばよいのかについて議論する.
準備したスライドをこちらに公開します.以下にスライドの各ページへのリンクも張っておきますので,復習などにご利用ください.
1. World Englishes 入門 for khelf-conference-2021
2. World Englishes 入門 --- どう向き合えばよいのか?
3. 目次
4. 1. はじめに --- 世界に広がる英語
5. 2. イギリスから世界へ
6. 関連年表
7. 3. 様々な英語
8. ピジン語とクレオール語
9. 4. 英語に働く求心力と遠心力
10. 5. 世界英語のモデル
11. おわりに
12. 参考文献
先週7月31日(土)15:30?18:45に,朝日カルチャーセンター新宿教室にて「英語の歴史と語源・11 「ルネサンスと宗教改革」」と題してお話しをしました.今回も多くの方々に参加いただきました.質問やコメントも多くいただき活発な議論を交わすことができました.ありがとうございます.
今回は,16世紀の英語が抱えていた3つの「悩み」に注目しました.現在,英語は世界のリンガ・フランカとなっており,威信を誇っていますが,400年ほど前の英語は2流とはいわずともいまだ1.5流ほどの言語にすぎませんでした.千年以上の間,ヨーロッパ世界に君臨してきたラテン語などと比べれば,赤ちゃんのような言語にすぎませんでした.しかし,そのラテン語を懸命に追いかけるなかで,後の飛躍のヒントをつかんだように思われます.16世紀は,英語にとって,まさに産みの苦しみの時期だったのです.
今回の講座で用いたスライドをこちらに公開します.以下にスライドの各ページへのリンクも張っておきますので,復習などにご利用ください.
1. 英語の歴史と語源・11「ルネサンスと宗教改革」
2. 第11回 ルネサンスと宗教改革
3. 目次
4. 1. 序論
5. 16世紀イングランドの5つの社会的変化
6. 2. 宗教改革とは?
7. イングランドの宗教改革とその特異性
8. 印刷術と宗教改革の二人三脚
9. 3. ルネサンスとは?
10. イングランドにおける宗教改革とルネサンスの共存
11. 4. ルネサンスと宗教改革の英語文化へのインパクト
12. 16世紀の英語が抱えていた3つの悩み
13. 5. 英語の悩み (1) - ラテン語からの自立を目指して
14. 古英語への関心の高まり
15. 6. 英語の悩み (2) - 綴字標準化のもがき
16. 語源的綴字 (etymological spelling)
17. debt の場合 (#116)
18. 他の語源的綴字の例
19. 語源的綴字の礼賛者 Holofernes
20. 7. 英語の悩み (3) - 語彙増強のための論争
21. R. コードリーの A Table Alphabeticall (#1609)
22. 一連の聖書翻訳
23. まとめ
24. 参考文献
25. 補遺1:Love’s Labour’s Lost
26. 補遺2:「創世記」11:1-9 (「バベルの塔」)の Authorised Version と新共同訳
次回の第12回はシリーズ最終回となります.「市民革命と新世界」と題して2021年10月23日(土)15:30?18:45に開講する予定です.
去る5月29日(土)の15:30?18:45に,朝日カルチャーセンター新宿教室にて「英語の歴史と語源・10 大航海時代と活版印刷術」を開講しました.全12回のシリーズですが,いよいよ終盤に入ってきました.今回も不自由の多い状況のなか参加していただいた皆さんに感謝致します.いつも通り,質問やコメントも多くいただきました.
今回のお話しの趣旨は以下の通りです.
15世紀後半?16世紀前半のイングランドは,ヨーロッパで始まっていた大航海時代と活版印刷術の発明という歴史上の大事件を背景に,近代国家として,しかしあくまで二流国家として,必死に生き残りを模索していた時代でした.この頃までに,英語はイングランドの国語として復活を遂げていたものの,対外的にいえば,当時の世界語たるラテン語の威光を前に,いまだ誇れる言語とはいえませんでした.英語史では比較的目立たない同時期に注目し,来たるべき飛躍の時代への足がかりを捕らえます.
今回の講座で用いたスライドをこちらに公開します.以下にスライドの各ページへのリンクも張っておきます.
1. 英語の歴史と語源・10「大航海時代と活版印刷術」
2. 第10回 大航海時代と活版印刷術
3. 目次
4. 1. 大航海時代
5. 新航路開拓の略年表
6. 大航海時代がもたらしたもの --- 英語史の観点から
7. 1492年,スペインの栄光
8. 2. 活版印刷術
9. 印刷術の略年表
10. グーテンベルク (1400?--68)
11. ウィリアム・キャクストン (1422?--91)
12. 印刷術と近代国語としての英語の誕生
13. 印刷術の綴字標準化への貢献
14. 「印刷術の導入が綴字標準化を推進した」説への疑義
15. 綴字標準化はあくまで緩慢に進行した
16. 3. 当時の印刷された英語を読む
17. Table Alphabeticall (1604) by Robert Cawdrey
18. まとめ
19. 参考文献
次回のシリーズ第11回は「ルネサンスと宗教改革」です.2021年7月31日(土)の15:30?18:45に開講予定です.英語にとって,ラテン語を仰ぎ見つつも国語として自立していこうともがいていた葛藤の時代です.講座の詳細はこちらからどうぞ.
8ヶ月ほども前の話しで恐縮だが,昨年9月20日(日)にオンラインで開催された2020年度駒場英語史研究会にて,特別企画「電子コーパスやオンライン・リソースを使った英語史研究 ― その実践と可能性」に発表者として参加させていただいた.私の専門とする英語史の時代が中英語期なので,その時代の方言地図とタグ付きコーパスを紹介する趣旨で「LAEME & LALME を用いた英語史研究入門」と題して話す機会をいただいた.タイトルにある LAEME と LALME というものは,中英語を代表する2つの姉妹方言地図につけられた名前である.研究会では,とりわけ妹分である初期中英語期の LAEME の紹介に焦点を当てた,
研究会の様子はすでに「#4166. 英語史の各時代のコーパスを比較すれば英語史がわかる(かも)」 ([2020-09-22-1]) で簡単に報告したが,私の発表で用いたスライド資料について,活用されないよりはされたほうがよいと思ったので,こちらにて公表しておきたい.以下はスライドの各ページへのリンク.
・ 1. 駒場英語史研究会特別企画「電子コーパスやオンライン・リソースを使った英語史研究 ― その実践と可能性」LAEME & LALME を用いた英語史研究入門
・ 2. 本スライド資料
・ 3. 中英語 =「方言の時代」
・ 4. LAEME & LALME =「方言の時代」に使える最強の研究ツール
・ 5. LALME (書籍版)の外観
・ 6. LAEME & LALME との私的なお付き合い
・ 7. LAEME & LALME が提供してくれるもの
・ 8. LAEME & LALME のすごい点(学史上の意義)
・ 9. LAEME & LALME の強みと弱み
・ 10. LAEME のデータ点とサイズ (cf. #856)
・ 11. LAEME コーパスの「代表性」 (#1263)
・ 12. LAEME のタグ体系
・ 13. The Owl and the Nightingale (MS Cotton) の冒頭2行
・ 14. 対応する LAEME の tag file
・ 15. LAEME で(やろうと思えば)できることの例
・ 16. LAEME でやりにくいことの例
・ 17. LAEME の機能紹介
・ 18. お題1 3単現語尾の通時・方言分布 (#2142)
・ 19. お題2 nighti(n)gale の n (#797)
・ 20. お題3 through の異綴字はどれだけあったか? (#53)
・ 21. お題4 between の異形態はどれだけあったか?
・ 22. お題5 third の音位転換はいつ,どこで起こったか?
・ 23. お題6 初期中英語の「キーワード」抽出
・ 24. LAEME & LALME を利用したその他のミニ研究
・ 25. 参考文献・サイト
高度に専門的なツールなので取っつきにくいのは承知ながらも,LAEME を用いるとこんなことができますよ,ということでブレストしてみた「15. LAEME で(やろうと思えば)できることの例」に目を通していただければと.
先日の記事「#4338. 講座「英語の歴史と語源」の第9回「百年戦争と黒死病」のご案内」 ([2021-03-13-1]) でお知らせしたように,3月20日(土)の15:30?18:45に,朝日カルチャーセンター新宿教室にて「英語の歴史と語源・9 百年戦争と黒死病」を開講しました.数ヶ月に一度,ゆっくり続けているシリーズですが,いよいよ中世も終わりに近づいて来ました.
今回も厳しいコロナ禍の状況のなかで参加していただいた皆さんには感謝致します.熱心な質問やコメントもたくさんのいただき,ありがとうございました.
今回は,黒死病が重要テーマの1つということもあり,タイムリーを狙って「[特別編]コロナ禍と英語」という話題から始めました.その後,14--15世紀の2大事件ともいえる百年戦争 (hundred_years_war) と黒死病 (black_death) を取り上げ,その英語史上の意義を論じました.このような歴史上の大事件は,確かに後世の私たちにも強烈な印象を与えますが,その時代までに醸成されていた歴史の潮流を後押しする促進剤にすぎず,必ずしも事件そのものが本質的で決定的な役割を果たすわけではないと議論しました.現在のコロナ禍も大きな社会変化を引き起こしていると言われますが,本当のところは,既存の潮流を促進しているという点にこそ歴史上の意義があるのかもしれません.
今回の講座で用いたスライドをこちらに公開しておきます.以下にスライドの各ページへのリンクも張っておきます.
1. 英語の歴史と語源・9 「百年戦争と黒死病」
2. 第9回 百年戦争と黒死病
3. 目次
4. 1. [特別編]コロナ禍と英語
5. OED の特集記事
6. 2. 英語の地位の低下と復権(1066?1500年)
7. 英語の復権の歩み (#131)
8. 3. 百年戦争 (Hundred Years War)
9. 百年戦争前後の略年表
10. 百年戦争と英語の復権
11. 4. 黒死病 (Black Death)
12. 黒死病の社会(言語学)的影響 (1)
13. 黒死病と社会(言語学)的影響 (2)
14. 英語による教育の始まり (#1206)
15. 実は当時の英語(中英語)は繁栄していた
16. 黒死病は英語の復権に拍車をかけたにすぎない
17. まとめ
18. 参考文献
次回のシリーズ第10回は2021年5月29日(土)の15:30?18:45を予定しています.印欧祖語から始まった講座も,いよいよ近代に突入します.お題は「大航海時代と活版印刷術」です.この話題について,再び皆さんと議論できればと思います.講座の詳細はこちらからどうぞ.
「#4254. 講座「英語の歴史と語源」の第8回「ジョン失地王とマグナカルタ」のご案内」 ([2020-12-19-1]) でお知らせしたように,12月26日(土)の15:30?18:45に,朝日カルチャーセンター新宿教室にて「英語の歴史と語源・8 ジョン失地王とマグナカルタ」と題して話しました.ゆっくりと続けているシリーズですが,毎回,参加者の皆さんから熱心な質問やコメントをいただきながら,楽しく進めています.ありがとうございます.
今回は英語史としてもイングランド史としても地味な13世紀に注目してみました.歴代イングランド王のなかで最も不人気なジョン王と,ジョンが諸侯らに呑まされたマグナカルタを軸に,続くヘンリー3世までの時代背景を概観した上で,当時の英語を位置づけてみようと試みました.そして最後には,同世紀の初期と後期を代表する中英語の原文を堪能しました.難しかったでしょうか,どうだったでしょうか.私自身も,資料を作成しながら,地味な13世紀も見方を変えてみれば英語史的に非常におもしろい時代となることを確認できました.
講座で用いたスライドをこちらに公開しておきます.以下にスライドの各ページへのリンクも張っておきます.
1. 英語の歴史と語源・8 「ジョン失地王とマグナカルタ」
2. 第8回 ジョン失地王とマグナカルタ
3. 目次
4. 1. ジョン失地王
5. 関連略年表
6. 2. マグナカルタ
7. マグナカルタの当時および後世の評価
8. Carta or Charter
9. Magna or Great
10. ヘンリー3世
11. 3. 国家と言語の方向づけの13世紀
12. 4. 13世紀の英語
13. The Owl and the Nightingale 『梟とナイチンゲール』の冒頭12行
14. "The Proclamation of Henry III" 「ヘンリー3世の宣言書」
15. まとめ
16. 参考文献
次回のシリーズ第9回は2021年3月20日(土)の15:30?18:45を予定しています.話題は,不運にもタイムリーとなってしまった「百年戦争と黒死病」です.戦争や疫病が,いかにして言語の運命を変えるか,じっくり議論していきたいと思います.詳細はこちらからどうぞ.
「#4170. 講座「英語の歴史と語源」の第7回「ノルマン征服とノルマン王朝」のご案内」 ([2020-09-26-1]) でお知らせしたように,10月3日(土)の15:30?18:45に,朝日カルチャーセンター新宿教室にて「英語の歴史と語源・7 ノルマン征服とノルマン王朝」と題する講演を行ないました.久し振りのシリーズ再開でしたが,ご出席の皆さんとは質疑応答の時間ももつことができました.ありがとうございます.
ノルマン征服 (norman_conquest) については,これまでもその英語史上の意義について「#2047. ノルマン征服の英語史上の意義」 ([2014-12-04-1]),「#3107. 「ノルマン征服と英語」のまとめスライド」 ([2017-10-29-1]) 等で論じてきましたが,今回の講座では,ノルマン征服という大事件のみならず,ノルマン王朝イングランド (1066--1154) という88年間の時間幅をもった時代とその王室エピソードに焦点を当て,そこから英語史を考え直すということを試してみました.いかがだったでしょうか.講座で用いたスライドをこちらに公開しておきます.以下にスライドの各ページへのリンクも張っておきます.
1. 英語の歴史と語源・7 「ノルマン征服とノルマン王朝」
2. 第7回 ノルマン征服とノルマン王朝
3. 目次
4. 1. ノルマン征服,ten sixty-six
5. ノルマン人とノルマンディの起源
6. エマ=「ノルマンの宝石」
7. 1066年
9. ノルマン王家の仲違いとその後への影響
10. ウィリアム2世「赤顔王」(在位1087--1100)
11. ヘンリー1世「碩学王」(在位1100--1135)
12. 皇妃マティルダ(生没年1102--1167)
13. スティーヴン(在位1135--1154)
14. ヘンリー2世(在位1154--1181)
15. 3. 英語への社会的影響
16. ノルマン人の流入とイングランドの言語状況
17. 4. 英語への言語的影響
18. 語彙への影響
19. 綴字への影響
20. ノルマン・フランス語と中央フランス語
21. ノルマン征服がなかったら,英語は・・・?
22. まとめ
23. 補遺: 「ウィリアムの文書」 (William’s writ)
24. 参考文献
次回は12月26日(土)の15:30?18:45を予定しています.話題は,今回のノルマン王朝に続くプランタジネット王朝の前期に注目した「ジョン失地王とマグナカルタ」についてです.いかにして英語がフランス語の「くびき」から解放されていくことになるかを考えます.詳細はこちらからどうぞ.
「#3977. 講座「英語の歴史と語源」の第6回「ヴァイキングの侵攻」のご案内」 ([2020-03-17-1]) でお知らせしたように,3月21日(土)の15:15?18:30に,朝日カルチャーセンター新宿教室にて「英語の歴史と語源・6 ヴァイキングの侵攻」と題する講演を行ないました.新型コロナウィルス禍のなかで何かと心配しましたが,お集まりの方々からは時間を超過するほどたくさんの質問をいただきました.ありがとうございました.
講座で用いたスライド資料をこちらに置いておきます.以下にスライドの各ページへのリンクも張っておきます.
1. 英語の歴史と語源・6 「ヴァイキングの侵攻」
2. 第6回 ヴァイキングの侵攻
3. 目次
4. 1. ヴァイキング時代
5. Viking の語源説
6. ヴァイキングのブリテン島襲来
7. 2. 英語と古ノルド語の関係
8. 3. 古ノルド語から借用された英単語
9. 古ノルド借用語の日常性
10. 古ノルド借用語の音韻的特徴
11. いくつかの日常的な古ノルド借用語について
12. イングランドの地名の古ノルド語要素
13. 英語人名の古ノルド語要素
14. 古ノルド語からの意味借用
15. 4. 古ノルド語の語彙以外への影響
16. なぜ英語の語順は「主語+動詞+目的語」なのか?
17. 5. 言語接触の濃密さ
18. 言語接触の種々のモデル
19. まとめ
20. 参考文献
次回は4月18日(土)の15:30?18:45を予定しています(新型コロナウィルスの影響がますます心配ですが).「ノルマン征服とノルマン王朝」と題して,かの1066年の事件の英語史上の意義を考えます.詳細はこちらよりどうぞ.
「#3833. 講座「英語の歴史と語源」の第5回「キリスト教の伝来」のご案内」 ([2019-10-25-1]) で案内した朝日カルチャーセンター新宿教室の講座を11月2日(土)に終えました.今回も大勢の方に参加していただき,白熱した質疑応答が繰り広げられました.多岐にわたるご指摘やコメントをいただき,たいへん充実した会となりました.
講座で用いたスライド資料をこちらに置いておきますので,復習等にご利用ください.スライドの各ページへのリンクも張っておきます.
1. 英語の歴史と語源・5 「キリスト教の伝来」
2. 第5回 キリスト教の伝来
3. 目次
4. 1. イングランドのキリスト教化
5. 古英語期まで(?1066年)のキリスト教に関する略年表
6. 2. ローマ字の採用
7. ルーン文字とは?
8. 現存する最古の英文はルーン文字で書かれていた
9. ルーン文字の遺産
10. 古英語のアルファベット
11. 古英語文学の開花
12. 3. ラテン語の借用
13. 古英語語彙におけるラテン借用語比率
14. キリスト教化以前と以後のラテン借用
15. 4. 聖書翻訳の伝統
16. 5. 宗教と言語
17. 外来宗教が英語と日本語に与えた言語的影響の比較
18. 日本語における宗教語彙
19. まとめ
20. 補遺:「主の祈り」の各時代のヴァージョン
21. 参考文献
次回の第6回は少し先の2020年3月21日(土)の15:15?18:30となります.「ヴァイキングの侵攻」と題して英語史上の最大の異変に迫る予定です.
「#3806. 講座「英語の歴史と語源」の第4回「ゲルマン民族の大移動」のご案内」 ([2019-09-28-1]) で案内した朝日カルチャーセンター新宿教室の講座を10月20日(日)に終えました(当初の予定は10月12日(土)でしたが,台風19号により延期しました).今回も過去3回とともに,質疑応答を含め参加者の方々と活発な交流の時間をもつことができました.
講座で用いたスライド資料はこちらに置いておきます.自由にご参照ください.以下に,スライドの各ページへのリンクも貼っておきます.
1. 英語の歴史と語源・4 「ゲルマン民族の大移動」
2. 第4回 ゲルマン民族の大移動
3. 目次
4. 1. ゲルマン民族の大移動とアングロ・サクソンの渡来
5. ゲルマン語派とゲルマン諸民族
6. 「アングロ・サクソン人」とは誰?
7. 「イングランド」「イングリッシュ」「アングロ・サクソン」の名称
8. 2. 古英語の語彙
9. 古英語の語形成の特徴
10. 複合 (compounding) と派生 (derivation)
11. 隠喩的複合語 (kenning)
12. 3. 現代に残る古英語の語彙的遺産
13. 古英語語彙だけで構成された現代英語文
14. 偽装複合語 (disguised compound)
15. まとめ
16. 参考文献
17. 補遺:Anglo-Saxon Chronicle の449年の記述
次回,第5回の講座「キリスト教の伝来」は,11月2日(土)の15:15?18:30に予定されています.ご関心のある方は,是非こちらよりお申し込みください.
「#3781. 講座「英語の歴史と語源」の第3回「ローマ帝国の植民地」のご案内」 ([2019-09-03-1]) で紹介したとおり,9月7日(土)15:15?18:30に朝日カルチャーセンター新宿教室にて「英語の歴史と語源・3 ローマ帝国の植民地」と題する講演を行ないました.過去2回と同様,大勢の方々に参加いただきまして,ありがとうございました.核心を突いた質問も多数飛び出し,私自身もおおいに勉強になりました. *
今回は,(1) ローマン・ブリテンの時代背景を紹介した後,(2) 同時代にはまだ大陸にあった英語とラテン語の「馴れ初め」及びその後の「腐れ縁」について概説し,(3) 最初期のラテン借用語が意外にも日常的な性格を示す点に注目しました.
特に3点目については,従来あまり英語史で注目されてこなかったように思われますので,具体例を挙げながら力説しました.ラテン借用語といえば,語彙の3層構造のトップに君臨する語彙として,お高く,お堅く,近寄りがたいイメージをもってとらえられることが多いのですが,こと最初期に借用されたものには現代でも常用される普通の語が少なくありません.ラテン語に関するステレオタイプが打ち砕かれることと思います.
講座で用いたスライド資料をこちらに置いておきます.本ブログの関連記事へのリンク集にもなっていますので,復習などにお役立てください.
次回の第4回は10月12日(土)15:15?18:30に「英語の歴史と語源・4 ゲルマン民族の大移動」と題して,いよいよ「英語の始まり」についてお話しする予定です.
1. 英語の歴史と語源・3 「ローマ帝国の植民地」
2. 第3回 ローマ帝国の植民地
3. 目次
4. 1. ローマン・ブリテンの時代
5. ローマン・ブリテンの地図
6. ローマン・ブリテンの言語状況 (1) --- 複雑なマルチリンガル社会
7. ローマン・ブリテンの言語状況 (2) --- ガリアとの比較
8. ローマ軍の残した -chester, -caster, -cester の地名
9. 多くのラテン地名が後にアングロ・サクソン人によって捨てられた理由
10. 2. ラテン語との「腐れ縁」とその「馴れ初め」
11. ラテン語との「腐れ縁」の概観
12. 現代英語におけるラテン語の位置づけ
13. 3. 最初期のラテン借用語の意外な日常性
14. 行為者接尾辞 -er と -ster も最初期のラテン借用要素?
15. 古英語語彙におけるラテン借用語比率
16. 借用の経路 --- ラテン語,ケルト語,古英語の関係
17. cheap の由来
18. pound (?) の由来
19. Saturday とその他の曜日名の由来
20. まとめ
21. 参考文献
「#3774. 広島慶友会での講演「英語史から見る現代英語」のお知らせ」 ([2019-08-27-1]) でお知らせしたとおり,先週末の土日にわたって広島慶友会にて同演題でお話ししました.5月の準備の段階から広島慶友会会長・副会長さんにはお世話になっていましたが,当日は会員の皆さんも含めて,活発な反応をいただき,英語・日本語の話題について広く話し会う機会をもつことができました.
初日の土曜日には,「英語史で解く英語の素朴な疑問」という演題でお話しし,その終わりのほうでは,参加者の皆さんから具体的な「素朴な疑問」を募り,それについて英語史の観点から,あるいはその他の観点から議論できました.特に言語ごとに観察される「クセ」とか「フェチ」の話題に関しては,その後の懇親会や翌日の会にまで持ち越して,楽しくお話しできました(言語の「フェチ」については,fetishism の各記事を参照).
2日目の日曜日には,「英語の方言」と題して,方言とは何かという根本的な問題から始め,日本語や英語における標準語と諸方言の話題について話しました.こちらでも活発な意見をいただき,私も新たな視点を得ることができました.
全体として,土日の公式セッションおよび懇親会も含めまして,参加された皆さんと一緒に英語というよりは,言語について,あるいは日本語について,おおいに語ることができたと思います.非常に有意義な会でした.改めて感謝いたします.
せっかくですので,講演で用いたスライド資料をアップロードしておきます.
・ 講演会 (1): 英語史で解く英語の素朴な疑問
・ 講演会 (2): 英語の方言
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