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hellog〜英語史ブログ / 2017-10-01

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2017-10-01 Sun

#3079. 拙訳『スペリングの英語史』が出版されました [notice][spelling][spelling_pronunciation_gap][history][hel_education][toc][link]

 9月20日付で,拙訳『スペリングの英語史』が早川書房より出版されました.原著は本ブログで何度も参照・引用している Horobin, Simon. Does Spelling Matter? Oxford: OUP, 2013. です.本ブログを読まれている方,そして英語スペリングの諸問題に関心をもっているすべての方に,おもしろく読んでもらえる内容です.

does_spelling_matter_front_cover
サイモン・ホロビン(著),堀田隆一(訳) 『スペリングの英語史』 早川書房,2017年.302頁.ISBN: 978-4152097040.定価2700円(税別).



 「本書をただのスペリングの本だと思ったら大間違いである.ここには,英語史,英文学をはじめ,英語の教養がぎっしりと詰まっている」との推薦文を,東大の斎藤兆史先生より寄せていただきました.また,本書の帯に「オックスフォード大学英語学教授による,スペリングの謎に切り込む名解説」という売り文句がありますが,訳者も英語のスペリングに関する読ませる本としては最高のものであると確信しています(もう1冊の読ませるスペリング本として,Crystal, David. Spell It Out: The Singular Story of English Spelling. London: Profile Books, 2012. も薦めます).
 本書には,このスペリングやあのスペリングの背景にこんな歴史的な事件が関与していたのか,と驚くエピソードが満載です.例えば・・・

 ・ 合衆国副大統領の政治生命の懸かった,potato のスペリングをめぐる醜聞
 ・ 『指輪物語』のトールキンは,独自のアルファベット体系を考案し,それで日記をつけていた
 ・ 最古の英文はローマ字ではなくルーン文字で書かれていた
 ・ 中英語期には such の異なるスペリングが500種類もあった
 ・ ルネサンス期のラテン語かぶれの知識人が,doubt の <b> のような妙なスペリングの癖を生み出した
 ・ シェイクスピア『リア王』で語られる,英語における <z> の文字の冷遇
 ・ Smith さんか,Smythe さんか,はたまた Psmith さんか --- 名前のスペリングへのこだわり
 ・ みずからの遺産を理想的なアルファベット考案の賞金にあてた劇作家バーナード・ショー
 ・ ウェブスターがアメリカ式スペリングの改革に成功したのは,独立の愛国心とベストセラー『スペリング教本』の商業的成功ゆえ
 ・ 電子メールに溢れる省略スペリングは,英語の堕落の現われか,言語的創造力のたまものか

 本書の目次は,以下の通りとなっています.



 日本版への序文
 図一覧
 発音記号
 1 序章
 2 種々の書記体系
 3 起源
 4 侵略と改正
 5 ルネサンスと改革
 6 スペリングの固定化
 7 アメリカ式スペリング
 8 スペリングの現在と未来
 読書案内
 参考文献
 訳者あとがき
 語句索引



 原著の著者ついて,簡単に紹介しておきます.サイモン・ホロビン氏はオックスフォード大学モードリン・カレッジ・フェローの英語学教授です.英語史・中世英語英文学を専門としており,以下のような主要著書を世に送り出してきました.まさに気鋭の英語史研究者です.

 ・ Horobin, Simon and Jeremy Smith. An Introduction to Middle English. Edinburgh: Edinburgh UP, 2002.
 ・ Horobin, Simon. The Language of the Chaucer Tradition. Cambridge: Brewer, 2003.
 ・ Horobin, Simon. Chaucer's Language. 1st ed. Basingstoke: Palgrave Macmillan, 2006. 2nd ed. 2012.
 ・ Horobin, Simon. Studying the History of Early English. Basingstoke: Palgrave Macmillan, 2009.
 ・ Horobin, Simon. How English Became English: A Short History of a Global Language. Oxford: OUP, 2016.

 また,最近はあまり更新されていないようですが,著者は2012年から Spelling Trouble という英語のスペリングの話題を提供するブログで,いくつかの記事を書いています.
 ちなみに個人的なことをいえば,訳者はグラスゴー大学に留学し2005年に博士号を取得しましたが,当時,著者はグラスゴー大学で教鞭を執っており,訳者の学位審査官の1人でもありました.あのときもお世話になり,このたびもお世話になり,という経緯です.さらに,2年前の2014年12月には,本書にインスピレーションを受けて開催したシンポジウムに著者を招き,英語のスペリングについて一緒に議論する機会をもつことができました(cf. 「#2053. 日本中世英語英文学会第30回大会のシンポジウム "Does Spelling Matter in Pre-Standardised Middle English?" を終えて」 ([2014-12-10-1])).
 間違いなく英語のスペリングがよく分かるようになります.『スペリングの英語史』を是非ご一読ください.

 ・ Horobin, Simon. Does Spelling Matter? Oxford: OUP, 2013.
 ・ サイモン・ホロビン(著),堀田 隆一(訳) 『スペリングの英語史』 早川書房,2017年.

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最終更新時間: 2019-05-23 17:48

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