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hellog〜英語史ブログ / 2013-01-26

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2013-01-26 Sat

#1370. Norwich における -in(g) の文体的変異の調査 [sociolinguistics][style][register]

 「#1363. なぜ言語には男女差があるのか --- 女性=保守主義説」 ([2013-01-19-1]) で,Norwich における -ing の発音に関する Trudgill による社会言語調査を見た.そこでは,標準的な -ing と非標準的な -in' のそれぞれの使用頻度が,階級別および性別にどのように異なるかを表で示した.Trudgill は,この -ing の変異について,ほかにも文体別に調査を行なっているので,それを見ておこう.
 一般に,くだけた会話などの略式的な文体では非標準的な異形が選ばれ,単語を丁寧に読み上げるように要求されるような格式ばった文体では標準的な異形が選ばれる可能性が高いと予想される.そこで,Trudgill は,各社会階級を代表する被験者から,4種類の文体における -in(g) の発音を引き出し,標準形と非標準形の生起率を比べた.4種類の文体とは,最も格式ばったものから順に,(1) 単語リストを読み上げてもらう word-list style (WLS),(2) 文章を読み上げてもらう reading-passage style (RPS),(3) formal speech (FS),(4) casual speech (CS) である.以下は,Trudgill (87) から取った,非標準形 -in' の階級別および文体別の生起率である.さらに,グラフでも表わした.


WLS (%)RPS (%)FS (%)CS (%)
Middle Middle Class00328
Lower Middle Class0101542
Upper Working Class5157487
Middle Working Class23448895
Lower Working Class296698100

Stylistic Variation of (ing) in Norwich

 予想通り,全階級において,略式的な文体であればあるほど,非標準形 -in' の生起率が高い.最も高い階級の最も略式的な文体における値と,最も低い階級の最も格式ばった文体における値が,それぞれ28%と29%でほぼ並んでいるのが注目に値する.いずれかの階級に属する個人であっても,文体に応じて標準形と非標準形を何らかの割合で使い分けているのが普通であることがわかるだろう.

 ・ Trudgill, Peter. Sociolinguistics: An Introduction to Language and Society. 4th ed. London: Penguin, 2000.

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