hellog〜英語史ブログ     前の日     次の日     最新     2018-08     検索ページへ     ランダム表示    

hellog〜英語史ブログ / 2018-08-22

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

2018-08-22 Wed

#3404. 講座「英語のエッセンスはことわざに学べ」のお知らせ [notice][etymology][proverb][hel_education][asacul][link][rhetoric]

 9月8日(土)の15:00?18:15に,朝日カルチャーセンター新宿教室にて講座「英語のエッセンスはことわざに学べ」を開講します.知る人ぞ知る,ことわざは英語表現の醍醐味を味わうのにうってつけの素材なのです.以下の趣旨でお話しする予定です.

 どの文化においても,ことわざは人生の機微を巧みに表現するものとして,古くから人々に言いならわされてきました.英語文化においても例外ではなく,古英語期よりことわざが尊ばれ,ことわざ集が編まれてきました.現代に伝わる英語のことわざを学ぶことにより,英語文化で培われてきた人生の知恵を味わえるばかりではなく,英語そのものの深い理解に達することができることは,あまり気づかれていません.ことわざの英語には,太古より存続してきた英語特有の韻律があり,古英語や中英語に起源をもつ英語らしい文法・語法が息づいています.
 例えば,「塵も積もれば山となる」に対応する Many a little makes a mickle. は,古英語に典型的な頭韻という詩法と強弱音節の繰り返しという韻律が見事に調和した,言語的にも優れたことわざです.「地獄の沙汰も金次第」に相当する Money makes a mare to go. では,使役の make にもかかわらず to 不定詞が用いられており,現代の文法からは逸脱しているように思われますが,ここにも韻律上の効果を認めることができます.
 本講座の前半では,千年以上にわたる英語のことわざの歴史を具体例とともにひもとき,後半では現代まで受け継がれてきた英語のことわざに用いられている様々な言語的な技法を読み解くことにより,現代に残る数々のことわざをこれまで以上に楽しむことを目指します.


 英語史の概要はある程度知っているけれども,その知識の骨組みに具体的に肉付けしていこうとすれば,古英語や中英語の原文を読んでいく作業が避けられません.とはいうものの,多くの英語学習者にとって,外国語の古文を読み解くなどということは,あまりに敷居が高いと思われるのではないでしょうか.そこでよい材料となるのが,ことわざです.ことわざには,しばしば古い言葉遣いが残っています.そのようなことわざを題材に,古い音韻,形態,統語,語彙,意味,語法,方言などをつまみ食いつつ,英語史を学ぼうという趣旨です.英語の語彙増強や文法理解にも役立ちますし,英語史の枠をはみ出して,英語学,そして言語学一般の話題への導入にもなります.
 もちろん,ことわざの内容自体もおおいに味わう予定です.どうぞお楽しみに.
 本ブログでも,時々ことわざについて取り上げてきたので,以下の記事をご覧下さい.

 ・ 「#564. Many a little makes a mickle」 ([2010-11-12-1])
 ・ 「#780. ベジタリアンの meat」 ([2011-06-16-1])
 ・ 「#910. 語の定義がなぜ難しいか」 (1)」 ([2011-10-24-1])
 ・ 「#948. Be it never so humble, there's no place like home.」 (1)」 ([2011-12-01-1])
 ・ 「#955. 完璧な語呂合わせの2項イディオム」 ([2011-12-08-1])
 ・ 「#970. Money makes the mare to go」 ([2011-12-23-1])
 ・ 「#978. Money makes the mare to go」 (2)」 ([2011-12-31-1])
 ・ 「#2248. 不定人称代名詞としての you」 ([2015-06-23-1])
 ・ 「#2395. フランス語からの句の借用」 ([2015-11-17-1])
 ・ 「#2691. 英語の諺の受容の歴史」 ([2016-09-08-1])
 ・ 「#3319. Handsome is as handsome does」 ([2018-05-29-1])
 ・ 「#3320. 英語の諺の分類」 ([2018-05-30-1])
 ・ 「#3321. 英語の諺の起源,生成,新陳代謝」 ([2018-05-31-1])
 ・ 「#3322. Many a mickle makes a muckle」 ([2018-06-01-1])
 ・ 「#3336. 日本語の諺に用いられている語種」 ([2018-06-15-1])

Referrer (Inside): [2018-09-15-1]

[ 固定リンク | 印刷用ページ ]

2024 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2023 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2022 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2021 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2020 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2019 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2018 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2017 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2016 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2015 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2014 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2013 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2012 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2011 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2010 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2009 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12

最終更新時間: 2024-04-08 06:04

Powered by WinChalow1.0rc4 based on chalow