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本ブログでも何度かその名前に触れているが,英語帝国主義批判の立場から現在の英語問題を斬る論客の1人に中村敬がいる.2004年に出版された『なぜ,「英語」が問題なのか? 英語の政治・社会論』の「まえがきに代えて――『英語問題』とは何か」において,中村は「英語問題」を読み解くためのキーワードとして,以下の17点を挙げている (13) .
1. 関係の非相互性
2. 支配と被支配
3. 英語賛美(英語奴隷)と国粋
4. (日本における)英語一言語主義と天皇制
5. 一元化と多元化
6. アングロサクソン(西洋)中心主義と(政策としての)二国間関係
7. 植民地主義(教育)
8. 下からの植民地主義
9. 精神の植民地化
10. 強迫観念
11. 他者観
12. ことばの身体性と身体化
13. 英語普遍主義
14. 再生産
15. 言語的不平等と社会経済的不平等
16. 英語帝国主義と英語一極集中状況
17. 市場原理
そして,これらを1つのキーワードで要約すれば「社会的不正義(不公正)」だという.中村の立場がよく分かるキーワードが並んでいるが,多くのキーワードが,近代における英語の世界的拡大の歴史を前提とした概念を表わしている点は重要である.もっといえば,これらは英語史上のキーワードでもあるのだ.英語史研究・教育はこれらの問題に対して何を提供できるか.真面目に向かい合うべき問題群である.
中村の英語(史)観については,以下の記事も参照.
・ 「#1067. 初期近代英語と現代日本語の語彙借用」 ([2012-03-29-1])
・ 「#1072. 英語は言語として特にすぐれているわけではない」 ([2012-04-03-1])
・ 「#1073. 英語が他言語を侵略してきたパターン」 ([2012-04-04-1])
・ 「#1194. 中村敬の英語観と英語史」 ([2012-08-03-1])
・ 「#1606. 英語言語帝国主義,言語差別,英語覇権」 ([2013-09-19-1])
・ 中村 敬 『なぜ,「英語」が問題なのか? 英語の政治・社会論』 三元社,2004年.
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最終更新時間: 2024-10-26 09:48
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