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hellog〜英語史ブログ / 2018-04-09

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2018-04-09 Mon

#3269. Blake の英語史時代区分の第2期 [periodisation][norman_conquest][grapheme][ab_language][ormulum][standardisation]

 「#3231. 標準語に軸足をおいた Blake の英語史時代区分」 ([2018-03-02-1]) で紹介したように,Blake による英語史時代区分は,徹頭徹尾,標準化という観点からなされた区分である.一般的な英語史の時代区分に慣れていると,おやと思うところがいくつかあるが,とりわけノルマン征服 (norman_conquest) に一顧だにせず,1066年という点をさらりと乗り越えていくかのような第2期(9世紀後半〜1250年)の設定には驚くのではないか.ノルマン征服といえば,通常,英語史上およびイングランド史上最大の事件として扱われるが,Blake の見解によると,あくまで第2期の内部での事件という位置づけだ.
 Blake によれば,第2期はウェストサクソン方言の書き言葉標準が影響力をもった時代とされる.しかし,ノルマン征服によってウェストサクソンの書き言葉標準は無に帰したのではなかったか.また,「#2712. 初期中英語の個性的な綴り手たち」 ([2016-09-29-1]) で取り上げたように,1250年までに局所的ではあれ,AB language, Orm, Laȝamon において標準語に準ずる類の一貫した綴字習慣が発達しており,これらは来たるべき新しい時代の到来を予感させるという意味で,むしろ第3期に接近しているととらえるべきではないか.
 しかし,ノルマン征服後,12世紀後半から13世紀にかけて見られるこれらの限定的な「標準的」綴字は,Blake によれば,あくまで後期古英語のウェストサクソン標準語に起源をもつものであり,そこからの改変形・発展形ととらえるべきだという.確かに少なからぬ改変が加えられており,独自の発展も遂げているかもしれないが,かつての標準語の流れを汲んでいるという意味で,その本質は回顧的なものであるとみている.
 この回顧的な性質を保っていた,第2期の最後のテキストの1つは,1258年の「#2561. The Proclamation of Henry III」 ([2016-05-01-1]) だろう.ここではかつての標準語の名残が見られるといわれ,その最も分かりやすい例が <æ> の使用である.Blake (135) によれば,古英語の流れを汲んだ <æ> の英語史上最後の使用例だという.
 この辺りの年代を超えると,回顧的な雰囲気は消え,明らかに新しい次の時代,つまり標準語という概念がない時代へと入っていく.Blake (131) 曰く,

From now on there were no further attempts to create a standard English writing system which could be said to look back to that found earlier, and Old English manuscripts ceased to be living texts which were copied and recopied. A period of uncertainty as to writing in English succeeded, and when a new standard started to arise it would be based on different premises and a different dialect area.


 ・ Blake, N. F. A History of the English Language. Basingstoke: Macmillan, 1996.

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最終更新時間: 2018-09-27 05:09

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