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新人(ホモ・サピエンス)の起源については,アフリカ単一起源説と多地域進化説がある.後者は,先行して世界に展開していたホモ・ネアンデルターレンシスなどの旧人が,各地で新人へと進化したという仮説である.一方,前者は新人はアフリカに現われたが,その後,旧人や原人が暮らす各地へ進出していったとするものである.
近年は,ミトコンドリアDNAを利用した遺伝子変異の分布の研究により,約20万年前にアフリカに現われた1人の女性「ミトコンドリア・イブ」の存在を想定したアフリカ単一起源説が優勢となっている.さらに,2003年にはエチオピアで約16万年前のものとされる人骨(ホモ・サピエンス・イダルトゥと名付けられた)が発見されており,現生人類に進化する直前の姿ではないかと言われている.
ミトコンドリア・イブの年代については諸説あり,上で述べた約20万年前というのは1つの仮説である.ミトコンドリア・イブの子孫たち,すなわち新人がアフリカを出た時期についても諸説あるが,およそ10万年前のことと考えられている.その後の世界展開については,谷合 (241) を参照して作成した以下の地図を参考までに.
ホモ・サピエンスがその初期の段階から言語をもっていたと仮定するならば,この移動の地図は,そのまま人類言語の拡散の地図となるだろう.
関連して,「#160. Ardi はまだ言語を話さないけれど」 ([2009-10-04-1]),「#751. 地球46億年のあゆみのなかでの人類と言語」 ([2011-05-18-1]),「#1544. 言語の起源と進化の年表」 ([2013-07-19-1]),「#1749. 初期言語の進化と伝播のスピード」 ([2014-02-09-1]),「#1755. 初期言語の進化と伝播のスピード (2)」 ([2014-02-15-1]) も参照.また,Origins of Modern Humans: Multiregional or Out of Africa? の記事も参考になる.
・ 谷合 稔 『地球・生命――138億年の進化』 SBクリエイティブ,2014年.
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最終更新時間: 2024-11-26 08:10
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