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hellog〜英語史ブログ / 2010-03-07

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2010-03-07 Sun

#314. -ise か -ize か (2) [spelling][bre][bnc][lob][flob][corpus][suffix][z]

 [2010-02-26-1]の記事で取りあげた話題の続編.先日の記事では,単語によって比率は異なるものの,イギリス英語では -ise と -ize の両方の綴字が行われることを,BNC に基づいて明らかにした.高頻度20語については,おおむね -ise 綴りのほうが優勢ということだった.
 通時的な観点がいつも気になってしまう性質なので,そこで新たな疑問が生じた.-ise / -ize のこの比率は,過去から現在までに多少なりとも変化しているのだろうか.大昔までさかのぼらないまでも,現代英語の30年間の分布変化だけを見ても有意義な結果が出るかもしれないと思い,1960年代前半のイギリス英語を代表する LOB ( Lancaster-Oslo-Bergen corpus ) と1990年代前半のイギリス英語を代表する FLOB ( Freiburg-LOB corpus ) を比較してみることにした.
 それぞれのコーパスで,前回の記事で取りあげた頻度トップ20の -ise / -ize をもつ動詞について,その変化形(過去形,過去分詞形,三単現の -s 形,-ing(s) )を含めた頻度と頻度比率を出してみた(下表参照).

itemLOB: rate (freq)FLOB: rate (freq)
-ise-ize-ise-ize
recognise59.6% (99)40.4% (67)71.8% (127)28.2% (50)
realise63.2% (134)36.8% (78)68.7% (125)31.3% (57)
organise65.6% (42)34.4% (22)67.2% (43)32.8% (21)
emphasise37.7% (20)62.3% (33)62.9% (39)37.1% (23)
criticise52.0% (13)48.0% (12)80.0% (24)20.0% (6)
characterise0.0% (0)100.0% (4)56.3% (18)43.8% (14)
summarise35.3% (6)64.7% (11)64.7% (11)35.3% (6)
specialise56.3% (18)43.8% (14)81.8% (27)18.2% (6)
apologise68.8% (11)31.3% (5)70.6% (12)29.4% (5)
advertise100.0% (41)0.0% (0)100.0% (55)0.0% (0)
authorise77.4% (24)22.6% (7)68.2% (15)31.8% (7)
minimise90.0% (9)10.0% (1)80.0% (16)20.0% (4)
surprise100.0% (182)0.0% (0)100.0% (173)0.0% (0)
supervise100.0% (10)0.0% (0)100.0% (9)0.0% (0)
utilise70.0% (7)30.0% (3)83.3% (5)16.7% (1)
maximise50.0% (2)50.0% (2)50.0% (9)50.0% (9)
symbolise50.0% (3)50.0% (3)40.0% (4)60.0% (6)
mobilise66.7% (2)33.3% (1)20.0% (1)80.0% (4)
stabilise58.3% (7)41.7% (5)33.3% (3)66.7% (6)
publicise81.8% (9)18.2% (2)84.6% (11)15.4% (2)


 いずれも100万語規模のコーパスなので,トップ20とはいっても下位のほうの語の頻度はそれほど高くない.だが,全体的な印象としては,-ise の綴字が30年のあいだにじわじわと増えてきているようである.頻度比率に大きな変化の見られないものも確かにあるが,著しく伸びたものとして emphasise, criticise, characterise, summarise, specialise などがある.ただ,これはあくまで印象なので,全体的に,あるいは個別の単語について統計的な有意差があるのかどうかは別に検証する必要がある.また,LOB には characterise は一例も例証されないが characterisation は確認されたことからも,動詞だけでなく名詞形の -isation / -ization も合わせて調査する必要がある.さらには,対応するアメリカ英語の状況も調査し,イギリス英語の通時的変化(もしあるとすればであるが)と関係があるのかどうかを探る必要がある.

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