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昨日3月4日の午前から午後にかけて,ゼミ内で2021年度の卒論報告会(オンライン)を開催しました.1日がかりでしたが,報告者である4年生はもちろん,khelf に所属の学部2年生,3年生,院生その他も出席し,盛会となりました.
今年度は13件の卒論が提出され,その一覧は「#4665. 2021年度に提出された卒論論文の題目」 ([2022-02-03-1]) で挙げましたのでここで繰り返しませんが,改めて英語史・英語学が扱う範囲の広さを確認することができました.今年度も,時代を超えて人気のテーマもあれば,時代性を反映した時事的なテーマもありました.それでもここ数年の卒論題目を眺めながら一つひとつの卒論を思い出してみると,大まかな傾向も見えてくるように思われます.
例えば,近年,研究手法として電子資料を用いる研究が当たり前となってきました.これ自体は予想できることかと思いますが,とりわけこの2年間は皆がコロナ禍で巣ごもりを余儀なくされたために,その傾向に拍車がかかったように思われます.各種のコーパスや OED などの辞書を用いた研究はますます多くなってきましたし,ネット上の音声や動画を利用する研究,ウェブ上で英語話者などにアンケートを実施するケースも増えてきました.
もう1つの傾向として,様々な英語変種,とりわけ世界英語 (world_englishes) への関心も明らかに高まってきました.以前は英語変種に関する研究といえば英米差を扱うものが多く,たまにカナダ英語やオーストラリア英語が参入してくるといったふうに主要な ENL 変種をターゲットとした話題が多かったと思います.しかし,特にここ数年で,主要でない ENL 変種,ESL 変種,ピジン語,クレオール語を含む様々な英語変種への関心が高まってきました.ただし,数年間で生じた急激な変化というよりは,徐々に強まってきた傾向だろうと理解しています.
最後に,報告会後の懇親会で院生から指摘があったのですが,社会言語学的な視点の研究が目立ってきているのではないかということでした.これは,研究の潮流ということもありますが,一方で堀田ゼミや慶應英文の特徴(バイアス?)が反映されているだけかもしれません.ですので,何とも言えませんが,今年度そのような視点からの卒論が多かったというのは事実だと思います.
さて,これで今年度の公式なゼミ活動は一応終わりました.しかし,すでに新年度にかけての様々な企画が動き出しています.例えばこの4月と5月には,1年前と同様に「英語史導入企画」を打ち上げる予定です(cf. 「#4417. 「英語史導入企画2021」が終了しました」 ([2021-05-31-1])).4月より,またよろしくお願いいたします.
参考までに,これまでの卒業論文の題目についてはこちらの記事セットにまとめました.関連して sotsuron あるいは khelf メンバー・研究テーマ紹介にも参考になる情報があります.1年前の「#4330. 春のゼミ合宿にて卒論・修論報告会を開催しました」 ([2021-03-05-1]) もどうぞ.
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最終更新時間: 2024-10-26 09:48
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