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現代英語で何らかのレベルの「休止」を表わす代表的な句読記号としては,<.> (period, full stop), <!> (exclamation mark), <?> (question mark), <;> (semicolon), <:> (colon), <,> (comma) がある.これらには古英語に起源を有するものもあれば,もっと後発のものもある.今回は Crystal (24--26) を参照しながら,古英語から中英語にかけて用いられていた「休止」を表わす4種類の主要な句読記号を紹介しよう.
(1) punctus versus.形としては現代の <;> (semicolon) に近いが,役割としては陳述の終わりを示す現代の <.> (period, full stop) に相当する.
(2) punctus elevatus.形としては現代の <;> (semicolon) を逆転回させたもの(つまり右上に向かってひげが伸びる)であり,上昇イントネーションを伴う文中の休止に用いられた.現代風に喩えれば,"When you arrive (2), get a key from the porter (1). When you leave (2), hand it in at reception (1)." のように,(2) の位置で punctus elevatus が,(1) の位置で punctus versus が典型的に用いられた.
(3) punctus interrogativus.いわゆる疑問文の末尾にふされる疑問符だが,もともとの形は現在の <?> ではなく,点の上に右上に伸びる <~> が加えられたような記号だった(punctus elevatus よりも曲がりくねって大袈裟なひげ).
(4) punctus admirativus または punctus exclamativus.中英語期の14世紀後半に導入された感嘆符.もともとの形は,右向きに傾いた <:> (colon) の上に長いアクセント符合がついたものだったが,これが後に <!> という形へ発展した.
ラテン語で positurae (positions) と呼ばれたこれらの句読記号が常用されるようになるのは8世紀以降のことであり,(4) のように中英語で初めて現われたものもあれば,ほかに近代英語になって確立した遅咲きのものもある.関連して「#575. 現代的な punctuation の歴史は500年ほど」 ([2010-11-23-1]),「#2666. 初期近代英語の不安定な句読法」 ([2016-08-14-1]) を参照されたい.
・ Crystal, David. Making a Point: The Pernickety Story of English Punctuation. London: Profile Books, 2015.
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最終更新時間: 2024-11-26 08:10
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