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接続詞 or は初期中英語に初出する,意外と古くはない接続詞である.古英語では類義で oþþe, oþþa が用いられており,その起源は *ef þau (if or) の短縮形と考えられている(Old Saxon に eftho が文証される).これらの古英語形は1225年頃に消失し,1200年頃から代わって台頭してきたのが語尾に r を付加した oþer である.この r の付加は,outher (OE āþer, ǣġhwæþer "either"), whether (OE hwæþer) からの類推 (analogy) によるものと説明される.似たような類推作用は,古高地ドイツ語 aber, weder の影響下で odo, eedo に r が付加された現代高地ドイツ語の oder にも見受けられる.
oþer は間もなく弱化して中間子音が落ち,短い語形 or へと発展した.これは,ever から e'er への弱化・短化とも比較される.しかし,南部方言では16世紀後半まで強形の other がよく保存されていたことに注意を要する.現代英語の相関表現 (either) A or B は,古くは other A other B や other A or B とも言われ,さらに or A or B へと発展した.この最後の表現は Shakespeare でも頻出するが,その後すたれた.
なお,「他の」を表わす other は,上記と直接語源的に関連しない.こちらは「#1162. もう1つの比較級接尾辞 -ther」 ([2012-07-02-1]),「#1107. farther and further」 ([2012-05-08-1]) で触れたように,either, neither, whether, after, nether, bresbyter, further などと同じ接尾辞に由来する.もっとも,上述の通り "or" の意味の other の r が,これらの語の語尾に影響されたらしいという事情を考えれば,起源を共有するとはいえずとも,間接的な関係はあったとみなせる.
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最終更新時間: 2024-09-24 08:28
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