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hellog〜英語史ブログ / 2016-08-21

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2016-08-21 Sun

#2673. 「現代世界における英語の重要性は世界中の人々にとっての有用性にこそある」 [language_myth][sociolinguistics][world_englishes]

 本ブログでは何度目かの話題である.現代世界における英語の重要性と「華々しい成功」は,決して英語という個別言語のもつ言語的な特質に帰せられるべきものではない.そうではなく,単に社会的に役立つからこそ重要なのである.このことは,何度でも繰り返し述べておく必要がある.というのは,英語万能主義の神話が,世界のあちらこちらで,そして日本ではとりわけ広く深く,信じられているからである.英語が「偉い」とすれば,それは言語的にではなく社会的に「偉い」というにすぎない.
 Algeo and Pyles (224) から同趣旨の主張を引用しよう.世界の英語変種を見渡した後,締めくくりの段落で次のように述べている.

What, then, it may be asked, is the English language? Is it the speech of London, of Boston, of New York, of Atlanta, of Melbourne, of Montreal, of Calcutta? Is it the English of the metropolitan daily newspaper, of the bureaucratic memo, of the contemporary poet, of religious ritual, of football sportscasts, of political harangues, of loving whispers? A possible answer might be, none of these, but rather the sum of them all, along with all other blendings and developments that have taken place wherever what is thought of as the English language is spoken by those who have learned it as their mother tongue or as an additional language. However, the most important variety happens to be the standard English written by British and American authors---and it should be clear by now that the importance of that language is due not to any inherent virtues it may possess, but wholly to its usefulness to people around the world, whatever their native language.


 英語は,複雑な屈折や文法性がなく,語順も固定していて学びやすいという理由で世界語として採用されているわけではない.英語は,発音体系や語彙体系が優れているという理由で世界的に受け入れられているわけでもない.英語は,言語的には他の無数の言語に比べて,とりわけ優れているわけでも劣っているわけでもない.ただの1つの言語である.しかし,英語は,特に近代期以降の歴史を通じて,世界中に拡散してきた.それにより,世界の多くの人がコミュニケーションの道具として採用し,社会的な有用性を高めてきた.だから,現代世界において英語は「偉い」ことになっているのである.
 この主張は以下の記事で繰り返してきたので,是非そちらも参照されたい.「#1072. 英語は言語として特にすぐれているわけではない」 ([2012-04-03-1]),「#1082. なぜ英語は世界語となったか (1)」 ([2012-04-13-1]),「#1083. なぜ英語は世界語となったか (2)」 ([2012-04-14-1]),「#1607. 英語教育の政治的側面」 ([2013-09-20-1]),「#1788. 超民族語の出現と拡大に関与する状況と要因」 ([2014-03-20-1]),「#2487. ある言語の重要性とは,その社会的な力のことである」 ([2016-02-17-1]) .

 ・ Algeo, John, and Thomas Pyles. The Origins and Development of the English Language. 5th ed. Thomson Wadsworth, 2005.

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最終更新時間: 2019-03-14 09:23

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