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hellog〜英語史ブログ / 2019-06-08

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2019-06-08 Sat

#3694. 朝尾 幸次郎(著)『英語の歴史から考える英文法の「なぜ」』 [sobokunagimon][review][toc][hel_education]

 今年3月に出版された朝尾 幸次郎(著)『英語の歴史から考える英文法の「なぜ」』が広く読まれているようだ.拙著の『英語史で解きほぐす英語の誤解 --- 納得して英語を学ぶために』(中央大学出版部,2011年)や『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』(研究社,2016年)と同趣旨の本ということもあり関心をもって手に取ってみたが,実に読みやすく,分かりやすい.
 内容をどこまで掘り下げているかという観点からいえば,この新刊書は浅掘りである.しかし,「まえがき」 (iv) にあるように,著者は英語史の事前知識を想定しないという立場をとっており,その趣旨からすると,むしろ詳しすぎない程度に記述を抑えているセンスは素晴らしいと言ってよいだろう.本書が手に取ってもらいやすい理由である.
 著者が実例を挙げることを重視したと述べているとおり,本文にも〈英文法こぼれ話〉にも,読者の興味を引く例が掲載されている.ところどころに,見事なキャッチフレーズやセンスの光る解説がみられる.「英語は歴史的かなづかい」のような言い方もその1つだ.
 以下に目次を付そう.章節のタイトルがそのまま素朴な疑問になっているものが多い.本ブログでも扱ってきた話題が多く取り上げられているので,ブログ内をキーワード検索などして記事も眺めていただければと思うが,同じ問題でも,人が変われば眺め方も変わるものである.本書の解説を読んでみて,私自身の手持ちの解説とは異なり,ナルホドと思ったケースも多々あった.是非ご一読を.



 1 英語の始まり
  1.1 ブリテン島の攻防
  1.2 現代英語
  1.3 近代英語
  1.4 中英語
  1.5 古英語
  〈英文法こぼれ話〉 日比谷公園のルーン文字
 2 「てにをは」はどこにある
  2.1 「は」はどこにある
  2.2 屈折の話
  2.3 英語は聞き取りにくい
  〈英文法こぼれ話〉 アポストロフィー大論争
 3 代名詞にだけ主格・目的格があるのはなぜ
  3.1 古い姿を残す1人称代名詞
  3.2 単数にも複数にも you を使うのはなぜ
  3.3 文法性を捨てた3人称代名詞
  3.4 同じ起源だった who, what, why
  3.5 主格と目的格のせめぎあい
  〈英文法こぼれ話〉 who と whom,どちらを使う
 4 屈折はなぜ消えた
  4.1 英語消滅の危機
  4.2 消えた屈折
  4.3 代名詞の they はどこから来た
  〈英文法こぼれ話〉 ポアロはことばの名探偵
 5 格はどこへ行った
  5.1 主語・目的語は何でわかる
  5.2 なぜ It's me. と言うのか
  5.3 なぜ There is/are と言うのか
  5.3 なぜ go home と言うのか
 6 〈3単現〉だけでない動詞の謎
  6.1 不規則動詞は例外か
  6.2 〈3単現〉に -(e)s をつけるのはなぜ
  6.3 be 動詞が無秩序なのはなぜ
  〈英文法こぼれ話〉 『トム・ソーヤーの冒険』に現れる古英語の〈3単現〉
 7 未来形はどこにある
  7.1 「未来形」の謎
  7.2 will が未来を表すのはなぜ
  7.3 shall が未来を表すのはなぜ
 8 仮定法は仮定を表すのか
  8.1 なじみの薄い「法」
  8.2 ものの見方・とらえ方
  8.3 従節に現れる仮定法現在
  8.4 影の薄い仮定法
  8.5 過去形で現在を表すのはなぜ
  8.6 命令文に動詞の原形を使うのはなぜ
 8 仮定法は仮定を表すのか
  9.1 can に〈3単現〉の -s をつけないのはなぜ
  9.2 仮定法の意味を担うようになった may
  9.3 なぜ must には過去形がないのか
  9.4 could, might の将来
 10 覚えきれない単語の謎
  10.1 英語史上最大の危機
  10.2 こんなに語彙が多いのはなぜ
  10.3 不思議な綴り字の謎
  〈英文法こぼれ話〉 U・V・W の謎
 11 前置詞 of の意味はなぜ混乱している
  11.1 「の」では理解できない
  11.2 前置詞 of が所有格の意味を表すのはなぜ
  11.3 所有格と of のどちらを使う
 12 英語は歴史的かなづかい
  12.1 母音を目で見る
  12.2 姿を変えた英語の母音
  12.3 規則的に不規則な英語の綴り字
  〈英文法こぼれ話〉 ghoti の謎
 13 A の謎:可算・不可算はどうして決まる
  13.1 数詞から生まれた不定冠詞
  13.2 可算・不可算はだれが決めた
  13.3 形あるもの・ないもの
  13.4 なぜ a few と言うのか
  〈英文法こぼれ話〉 歴史に残った不定冠詞のつけ忘れ
 14 定冠詞の謎:the はつけるの,つけないの
  14.1 指示代名詞から生まれた定冠詞
  14.2 認識の共有
  14.3 輪郭をつくる
  14.4 とりたて
  〈英文法こぼれ話〉 ハックルベリー・フィンとトム・ソーヤー
 15 関係代名詞に that と wh- があるのはなぜ
  15.1 that を接続詞に使うのはなぜ
  15.2 that, who, which, what を関係代名詞に使うのはなぜ
  15.3 関係代名詞は省略されたのか
  〈英文法こぼれ話〉 二重否定は肯定か
 16 that で程度・結果を表すのはなぜ
  16.1 なぜ so/such ... that と言うのか
  16.2 なぜ so that ... で結果・目的を表すのか
  16.3 なぜ that が「そんなに」と言う意味になるのか
 17 不定詞に to がつくのはなぜ
  17.1 なぜ「不定詞」と言うのか
  17.2 不定詞に to がつくのはなぜ
  17.3 疑問文・否定文に do/does/did が現れるのはなぜ
  〈英文法こぼれ話〉 明治時代の助動詞 do
 18 不定詞は何を表す:to 不定詞と原形不定詞
  18.1 to 不定詞の意味はどこから生まれる
  18.2 動名詞と to 不定詞,何が違う
  18.3 知覚動詞と使役動詞:原形不定詞を使うのはなぜ
 19 現在完了形に have を使うのはなぜ
  19.1 現在完了はなぜ〈have+過去分詞〉なのか
  19.2 完了・結果・経験・継続の意味になるのはなぜ
  19.3 なぜ have to という言い方をするのか
 20 進行形は進行を表すのか
  20.1 進行形はなぜ〈be+...ing〉なのか
  20.2 クローズアップで見せる進行形
  20.3 なぜ be going to という言い方をするのか

 あとがきに替えて――『オックスフォード英語辞典』を使う



 ・ 朝尾 幸次郎 『英語の歴史から考える英文法の「なぜ」』 大修館,2019年.

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最終更新時間: 2019-10-22 18:30

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