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hellog〜英語史ブログ / 2019-04-01

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2019-04-01 Mon

#3626. 柳 朋宏(著)『英語の歴史をたどる旅』 [review][norman_french][doublet][pictish]

 年度初めに,新刊の英語史入門書を1冊紹介します.私も多方面でお世話になっている中部大学の柳朋宏氏の書かれた『英語の歴史をたどる旅』が,この3月に出版されました(柳先生,ご献本いただきましてありがとうございます).中部大学ブックシリーズ Acta の30作目という位置づけです.
 柳氏は英語の通時的な言語変化を理論的な観点から分析する研究者として活躍されていますが,今回はご専門の内面史的な要素をばっさり切り落とし,英語外面史(主に中世前期)を,簡略化も複雑化もしすぎずリーダブルに記述したのが最大の特徴かと思います.イギリスで著者自らが撮影した写真などが多く掲載され,図表やコラムも豊富でありながら,本体価格800円というのも驚きです.
 取り上げられている話題としては,イギリス国旗,日本における英語接触の歴史,ルーン文字,羊皮紙といった文化的な要素が多く,気軽に読み進めていくことができます.ツボをつく細かなネタも満載です.たとえばノルマン・フランス語 (norman_french) と中央フランス語 (Central French) の2重語 (doublet) の話題について,本ブログでもいくつか取り上げてはきましたが,pinch (つまむ)と pincers (やっとこ)というペアもそうだったのかと教わりました(本書 p. 69; cf. 「#76. Norman French vs Central French」 ([2009-07-13-1]),「#95. まだある! Norman French と Central French の二重語」 ([2009-07-31-1]),「#388. もっとある! Norman French と Central French の二重語」 ([2010-05-20-1])).イノシシやガチョウを描いたピクト人のシンボル (Pictish symbols) なども,写真とともに紹介されており,興味を引かれました(本書 p. 32--34).
 本書で扱われている時代は古代・中世についての記述が大半ですが,新年度に各大学で開講される英語史概説の講義はおよそ古代・中世から始まるわけですので,学生にはタイムリーです.英語外面史への最初の一歩としてふさわしい図書です.

 ・ 柳 朋宏 『英語の歴史をたどる旅』 中部大学ブックシリーズ Acta 30,風媒社,2019年.

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最終更新時間: 2019-08-26 05:13

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