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hellog〜英語史ブログ / 2015-04-01

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2015-04-01 Wed

#2165. 20世紀後半の借用語ソース [loan_word][statistics][lexicology][french][japanese][borrowing]

 現代英語の新語の導入においては,複合 (compounding) や派生 (derivation) が主たる方法となってきており,借用 (borrowing) の貢献度は相対的に低い.ここ1世紀ほどの推移をみても,借用の割合は全体的に目減りしている (cf. 「#873. 現代英語の新語における複合と派生のバランス」 ([2011-09-17-1]) や「#874. 現代英語の新語におけるソース言語の分布」 ([2011-09-18-1]),「#875. Bauer による現代英語の新語のソースのまとめ」 ([2011-09-19-1]),「#878. Algeo と Bauer の新語ソース調査の比較」([2011-09-22-1]),「#879. Algeo の新語ソース調査から示唆される通時的傾向」([2011-09-23-1])) .
 だが,相対的に減ってきているとはいえ,語彙借用は現代英語でも続いている.#874Algeo の詳細な区分のなかでも示されているように,ソース言語は相変わらず多様である.「#45. 英語語彙にまつわる数値」 ([2009-06-12-1]),「#126. 7言語による英語への影響の比較」 ([2009-08-31-1]),「#142. 英語に借用された日本語の分布」 ([2009-09-16-1]) では,現代英語への語彙提供者として案外日本語が有力であることに触れたが,日本語なども含めたソース言語別のより詳しい割合が知りたいところだ.
 Algeo (78) は,Garland Cannon (Historical Change and English Word-Formation. New York: Peter Lang, 1987. pp. 69--97) の調査に基づいて,20世紀後半に入ってきた借用語彙のソース言語別割合を提示している.具体的には,およそ1963--88年の間に英語に入ってきた借用語を記録する4つの辞書を調査対象とし,ソース言語別に借用語を数え上げ,それぞれの割合を出した.その4つの辞書とは,(1) The Barnhart Dictionary of New English since 1963 (1973), (2) The Second Barnhart Dictionary of New English (1980), (3) Webster's Third (1961), (4) The Barnhart Dictionary Companion Index (1987) である.それぞれから407語, 332語, 523語, 166語を集めた1428語の小さい語彙集合ではあるが,それに基づいて以下の調査結果が得られた.

 (1) BDNE(2) BENE2(3) 81W3(4) BDCRank
French31.4%17.521.212.01
Spanish6.610.86.112.72
Russian3.45.42.124.13
Japanese7.99.36.39.04
African6.17.26.73.05
Italian4.74.510.72.46
German5.95.44.85.47
Greek6.94.88.01.28
Latin5.25.19.4 9
Yiddish5.72.75.03.610
Arabic2.03.91.76.011
Chinese1.74.23.66.012
Portuguese1.02.71.01.813
Hindi2.20.90.22.414
Hebrew0.71.50.41.215
Sanskrit1.71.20.8 16
Persian0.21.2 1.817
Afrikaans0.51.50.4 18
Dutch0.20.3 1.819
Indonesian0.20.30.81.220
Malayo-Polynesian 2.10.2 21
Norwegian0.2 1.50.622
Swedish1.00.31.0 23
Korean 0.60.80.624
Vietnamese1.00.30.6 25
Amerindian 1.20.6 26
Bengali0.50.90.2 27
Danish0.5 1.0 28
Eskimo0.50.30.20.629


 表に記されていない30--56位の言語群は合わせても全体として1%にも満たないが,念のために次のような言語である.Amharic, Annamese, Basque, Bhutanese, Catalan, Czech, Hawaiian, Hungarian, Irish, Khmer, Mongolian, Papuan, Pashto, Pidgin English, Pilipino, Polish, Provençal, Punjabi, Samoan, Scots (Gaelic), Serbo-Croatian, Tahitian, Thai (and Lao), Turkish, Urdu, Welsh, West Indian.
 BDC でロシア語が妙に高い割合を示しているが,これは編集上の偏りに起因する可能性がある.偏りの可能性を差し引いて考えると,ロシア語は順位としてはアラビア語と中国語の間の12位前後に付くと思われる.
 15位までの言語についてグラフ化したのが,下図である.

Source Languages of New Loanwords from 1963 to 1988


 このグラフは,「#874. 現代英語の新語におけるソース言語の分布」 ([2011-09-18-1]) でみた Bauer の調査に基づくグラフの場合とソース言語の設定の仕方が異なるので,比較しにくいところがあるが,フランス語,ギリシア語,ラテン語,ドイツ語などが上位で健闘している様子はいずれのグラフからも見て取ることができる.スペイン語やイタリア語などのロマンス諸語も堅調といってよい.そのなかで,非印欧語として筆頭に立っているのが日本語である.アフリカ諸語,アラビア語,中国語も続いており,英語の cosmopolitan vocabulary 振りは現代においても健在といえるだろう.

 ・ Algeo, John. "Vocabulary." The Cambridge History of the English Language. Vol. 4. Cambridge: CUP, 1998. 57--91.

Referrer (Inside): [2019-08-09-1]

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最終更新時間: 2019-08-26 05:13

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