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hellog〜英語史ブログ / 2014-01-06

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2014-01-06 Mon

#1715. Ireland における英語の歴史 [irish][ireland][irish_english][history][map]

 Fennell (198--200) を要約する形で,アイルランドにおける英語使用の歴史について略述する.アイルランドにおける英語の影響を歴史的に記述する上で,重要な時期が3つある.1つは,アイルランドにアングロ・ノルマン軍を送り込んだ Henry II (1133--89) の治世下の1171年である.しかし,このときには英語は威信を得られず,じきにアイルランド語話者によりアイルランド化されてしまった.1366年に Statutes of Kilkenny により英語の地位を補強する施策がなされたが,効果は出なかった.1550年代に宗教改革への反発から,プロテスタントを象徴する英語に対してカトリックを象徴するアイルランド語という構図が作り出され,16世紀中,アイルランドにおける英語の立場は風前の灯だった.  *
 しかし,続く17--18世紀は,英語の影響に関する第2期として重要な時期となった.この時期,イングランド人はプランテーションを建設することによりアイルランドを植民地化した.18世紀にはアイルランドの都市部では英語の威信が高まり,アイルランドの支配層も威信を求めて英語を学ぶようになった.独立の動きがあった1790年代には,すでに多くのアイルランド人が英語を話すまでになっていた.
 決定的な影響を及ぼした第3期は,1800年の連合法 (Act of Union) によりアイルランドがイギリスに併合されて以降の時期である.英語は威信の象徴となり,反対にアイルランド語は発展の妨げと意識されるようになった.貴族の子弟は子供をイングランドに送って教育するまでになった.20世紀初期には J. P. Synge, Sean O'Casey, W. B. Yeats などがアイルランド英語による文学活動で成功を収め,英語の威信はいや増しに高まった.1800年の時点ではアイルランド人口の過半数がアイルランド語を母語としていたが,1851年にはその比率は23%まで減じ,さらに1900年には5%にまで落ちていた.1900年には,実に85%を超える人口が英語の単一言語話者となっていたのである.19世紀に英語話者比率が著しく増加した背景として,4つの要因が考えられる (Fennell 199) .

(1) the expansion of the railways out form English-speaking Dublin and Belfast;
(2) the spread of education, first in unofficial 'hedge' schools and then in the national schools from 1831, where English was promoted and the use of Irish actively discouraged;
(3) dramatic demographic change caused by famine and the massive emigration to America and other countries from 1830 to 1850. The famine particularly decimated the Irish-speakers in the west of Ireland, possibly halving the number of speakers.
(4) the association of English with progress, modernization and an international voice. . . . [E]ven nationalist politicians in Ireland preached their message in English, in the knowledge that it would bring them a wider audience.


 1916年のイースター蜂起の後になって,アイルランド語がアイルランドのアイデンティティとしてみなされるようになったが,英語の基盤はすでに盤石となっていた.現在も,アイルランドのEUにおける立場は英語国としての立場に負っているし,Dublin の国際都市としての名声も英語に負っているともいえるのである.

 ・ Fennell, Barbara A. A History of English: A Sociolinguistic Approach. Malden, MA: Blackwell, 2001.

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最終更新時間: 2019-05-23 17:48

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