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標題のような here や there を第1要素とし,前置詞を第2要素とする複合副詞は多数ある.これらは,here を this と,there を it や that と読み替えて,それを前置詞の後ろに回した句と意味的に等しく,標題の語はそれぞれ by this, of this, to that, with that ほどを意味する.現代では非常に形式張った響きがあるが,古英語から初期近代英語にかけてはよく使用され,その種類や頻度はむしろ増えていたほどである.だが,17世紀以降は急激に減ってゆき,現代のような限られた使用域 (register) へと追い込まれた.衰退の理由としては,英語の構造として典型的でないという点,つまり総合から分析への英語の自然な流れに反するという点が指摘されている (Rissanen 127) .文法化した語として,現代まで固定された状態で受け継がれた語は,therefore のみといってよいだろう.
現代英語で確認される使用域の偏りは,すでに中英語にも萌芽が見られる.here-, there- 複合語は,後期中英語ではいまだ普通に使われているが,ジャンルでみると法律文書での使用が際だっている.以下は,Rissanen (127) の Helsinki Corpus による調査結果である(数字は頻度,カッコ内の数字は1万語当たりの頻度を表わす).
Statutes | Other texts | |
---|---|---|
ME4 (1420--1500) | 68 (60) | 621 (31) |
EModE1 (1500--70) | 77 (65) | 503 (28) |
EModE2 (1570--1640) | 84 (71) | 461 (26) |
EModE3 (1640--1710) | 126 (96) | 191 (12) |
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最終更新時間: 2024-11-26 08:10
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