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hellog〜英語史ブログ / 2009-07-13

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2009-07-13 Mon

#76. Norman French vs Central French [norman_french][doublet]

 昨日の記事[2009-07-12-1]で,英語の waffle と フランス語の gaufre の対応に言及した.このペアにみられる語頭の子音 /w/ と /g/ の差はフランス語の方言の差に起因する.
 1066年のノルマン人の征服を契機に,中英語期だけでも約1万ものフランス語単語が借用された.中英語前期のノルマン王朝の時代に英語に入ってきたフランス借用語は,主にノルマン方言 ( Norman French ) の形態だった.それに対して,中英語中期以降に英語に入ってきた借用語は,中央のパリ方言 ( Central French ) の形態だった.NF と CF には子音や母音の音韻対応があり,そのうちの一つが /w/ と /g(u)/ だった.
 wafflegaufre の例でいえば,前者が /w/ をもつ NF 形,後者が /g/ をもつ CF 形である.同様に,1066年に征服をなしとげてイングランド王として即位した William の名は,フランス語では Guillaume 「ギヨーム」と発音される.ここでも,前者は /w/ をもつ NF の形態であり,後者は /g/ をもつ CF の形態である.
 さて,英語の側は,フランス語の方言間のそんな対応を知ってか知らずか,語源的には同一のフランス単語を別々の時期に,かたや NF から,かたや CF から借り入れたので,両形態が共存する結果となった.このような一対の語を二重語 ( doublet ) という.以下に,/w/ と /g(u)/ の対応を示す二重語のペアを,初出年代とともに挙げよう.添えた日本語訳は現代英語における代表的な意味である.

NF CF
warden 「番人」 ?a1200 guardian 「守護者」 1417
warison 「攻撃開始の合図」 ?a1300 garrison 「駐屯地」 a1250
warranty 「保証(書)」 a1338 guaranty 「保証(書)」 1592
reward 「報いる」 ?a1300 regard 「みなす」 1348


 上に述べた経路とは少し異なるが,もともとゲルマン語の単語で /w/ をもっていたものが,フランス語へ借用されて /g(u)/ となったものも多く,この経緯で /w/ と /g(u)/ が英語の中で共存しているという例も少なくない.war -- guerilla, ward -- guard, wile -- guile などを参照.

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最終更新時間: 2019-03-14 09:23

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