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hellog〜英語史ブログ / 2020-10-23

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2020-10-23 Fri

#4197. 小澤実氏による「ルーン文字の遍歴」の連載(研究社)がスタートしています [runic][notice]

 「研究社 Web マガジン Lingua」にて,小澤実氏(立教大学)による「ルーン文字の遍歴」と題する連載がスタートしています.第1回のプロローグは「ルーン文字とは何か」で,ルーン文字史の概説となっています.読みやすい,おもしろい! 専門家によるルーン文字史がこういう形で読めるとは,何とも素晴らしい時代になりました.小澤氏と研究社に感謝いたします.
 私自身はルーン文字やその背景の歴史を専門にしているわけはないのですが,ルーン文字について,英語史あるいは文字論の話題として runic の各記事で様々に取り上げてきました.かつてルーン文字の起源について駄文を記した折には,当の小澤氏に突っ込み(=ご指摘)を入れていただくなどしてお世話になりました.
 第1回の記事から,初期近代の北欧において,当時発展した文献学を後ろ盾にして「自分探し」としてのルーン文字研究が流行したという趣旨の文章を引用させていただきます

初期近代、北欧の過去に対する関心が高まった結果、「ゴート・ルネサンス」と呼ばれる古代スカンディナヴィアの文化の復興運動が起こりました。ギリシアやローマとつながりのない北欧において、北欧が出身地と考えられたゲルマン人の一派ゴート人と自らのつながりを明らかにしようとする知的運動です。そこで注目されたのが、ヘブライ文字、ギリシア文字、ラテン文字といった聖書で使われる文字とも異なるルーン文字です。自らの歴史をどこまで遡ることができるかという意識に囚われた初期近代の北欧知識人らは、ルーン文字の収集と研究に意を注ぎました。


 まったく同じ時期,イングランドでも同様に,文献学を後ろ盾にしてアングロサクソン研究という「自分探し」が流行りました.このブログの主題でもある「英語史」は,この時期の「自分探し」の副産物として,英語に関する歴史的な知識が蓄積された結果の姿といっても過言ではありません.当時の流行として「ある種の意図」をもって収集された知識が,現代の「英語史」のベースとなっています.
 連載のなかで述べられているように,ルーン文字の誕生は2世紀頃という大昔であり,しかも中世後期までには実用上は廃用となったわけではありますが,それは初期近代,そして現代という異なる時期に,その時々の「意味づけ」を与えられ,蘇ってきたという事実があります.同じように,英語史における「古英語」も,やはりその時々の「意味づけ」を与えられつつ受容されてきました.
 ルーン文字と古英語の上記の平行性も念頭におきつつ,今後の連載の展開を楽しみにしたいと思います.

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最終更新時間: 2022-11-26 07:58

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