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hellog〜英語史ブログ / 2010-07-02

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2010-07-02 Fri

#431. 諸説紛々の言語の起源 [origin_of_language][onomatopoeia]

 言語の起源は謎に包まれている.なぜ,どのように,どのタイミングでヒトは言語を獲得したのか.言語の起源に関しては,古来,議論百出,諸説紛々である.あまりに途方もない説が次々と提案されたこともあって,[2009-12-14-1]の記事でみたようにフランスの言語学会は1866年にこの議論を禁止したほどである.(言語起源論の復活については[2010-01-04-1]を参照.)
 これらの珍説はいずれも想像の産物なのだが,現代の言語学の教科書でも繰り返し取り上げられてきた伝統的な「申し送り事項」なので,本ブログもその伝統の継承に貢献したい.それぞれ名付け方がおもしろい.

 ・ the bow-wow theory
   動物の鳴き声などをまねた擬声語 ( onomatopoeia ) から発達した.
 ・ the pooh-pooh theory
   感極まって発した本能的な叫びから発達した.
 ・ the ding-dong theory
   雷の音などをまねた擬音語 ( onomatopoeia ) から発達した.
 ・ the yo-he-ho theory
   集団が共同作業するときに発する掛け合いの声から発達した.
 ・ the ta-ta theory
   言語は身振りが声として反映されたものである.
 ・ the ta-ra-raboom-de-ay theory
   儀式的な歌や踊りから発達した.

 Brinton and Arnovick (18--19) によればこれらの珍説が受け入れられないのは,客観的な裏付けがないということはいうに及ばず,二つの誤った前提に基づいているからだという.(1) 言語が擬音語や直示語から発達したという前提だが,そこからどのように高度に記号的な体系へと飛躍したかが説明されない.(2) 言語は原始的な形態から複雑な形態へと発達したという前提だが,記録に残る最古の言語は現在に比べて特に単純な形態を有しているわけではない.言語の複雑さという観点からは,原初の言語も現代の言語も遜色はないはずである.
 現段階では言語の起源については speculation 以外の解答はないようである.Edward Vajda 氏による The Origin of Language の記事も参照.

 ・ Brinton, Laurel J. and Leslie K. Arnovick. The English Language: A Linguistic History. Oxford: OUP, 2006.

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