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[2009-12-14-1]で,近年,言語起源論が復活してきていることに触れた.その背景には (1) 宗教観の衰退,(2) ヒトの研究の進展,があると述べた.(2) はもちろん言語学そのものの発展も含むと考えてよい.認知言語学,心理言語学,言語獲得論のめざましい発展は,言語起源論の再興と無縁のはずはない.さらに見逃してはならないのは,生成文法の影響である.この点について,中島氏 (78) より引用する.
ことばの誕生や進化の問題は,言語学の分野では,一八六六年のパリ言語学会で封印されて以来,正面から学術的に取り上げられることがほとんどなかった.だが生成文法を始めとする新言語学の発展は,言語機能の個体発生(言語習得)の解明に挑んできたのであるから,その延長として言語機能の系統発生(言語起源や進化)に関心を向けたとしても不思議はない.
他には,近年の pidgin 語研究の発展も,言語の生まれた最初期の形態を推定するのに大きく貢献している.
20世紀最後の四半世紀は,新ダーウィン主義の名のもとに「進化」が諸分野でキーワードとされた.言語変化論に関心をもつ者として,大いに示唆を与えてくれるこの学問的潮流が今後も発展してゆくことを期待したい.
・中島 平三 「言語の時代を見つけた『言語』と言語研究のこれから」 『月刊言語』38巻12号,2009年,74--79頁.
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最終更新時間: 2024-11-26 08:10
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