01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
3日前の6月22日(水)に,YouTube 「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」 の第34弾が公開されました.「昔の英語は不規則動詞だらけ!」です.
-ed をつければ過去形になる,というのは単純で分かりやすいですね.大多数の動詞に適用される規則なので,このような動詞を「規則動詞」と呼んでいます.一方,日常的で高頻度の一握りの動詞はこの規則に沿わず,「不規則動詞」と呼ばれています.sing -- sang -- sung や come -- came -- come のような,暗記しなければならないアレですね.語幹母音を変化させるのが特徴です.
上記の YouTube で話したことは,歴史的には不規則動詞のほうが先に存在しており,規則動詞は歴史のかなり遅い段階に初めて現われた新参者である,ということです.規則動詞は新参者として現われた当初は,例外的なものとして白眼視されていた可能性が高いのです.しかし,その合理性が受け入れられたのでしょうか,瞬く間に多くの動詞を飲み込んでいき,古英語期が始まるまでにはすっかり「規則的」たる地位を確立していました.逆に,オリジナルの語幹母音を変化させるタイプは,当時すでに「不規則的」な雰囲気を醸すに至っていたというわけです.
このような動詞を巡る大変化は,ゲルマン語派に特有のものでした.つまり,この変化は英語,ドイツ語,アイスランド語などには生じましたが,フランス語,ロシア語,ギリシア語などには生じていないのです.すなわち,ゲルマン語派にのみ生じた印欧語形態論の大革命というべき事件でした.
YouTube により関心をもった方は,専門的な話しにはなりますが,この重大事件について,ぜひ次の記事を通じて深く学んでみてください.英語史のおもしろさにハマること間違いなしです.
・ 「#3345. 弱変化動詞の導入は類型論上の革命である」 ([2018-06-24-1])
・ 「#182. ゲルマン語派の特徴」 ([2009-10-26-1])
・ 「#3135. -ed の起源」 ([2017-11-26-1])
・ 「#3339. 現代英語の基本的な不規則動詞一覧」 ([2018-06-18-1])
・ 「#764. 現代英語動詞活用の3つの分類法」 ([2011-05-31-1])
・ 「#178. 動詞の規則活用化の略歴」 ([2009-10-22-1])
・ 「#3385. 中英語に弱強移行した動詞」 ([2018-08-03-1])
・ 「#3670.『英語教育』の連載第3回「なぜ不規則な動詞活用があるのか」」 ([2019-05-15-1]) と,そこに示されている記事群
2024 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2023 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2022 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2021 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2020 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2019 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2018 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2017 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2016 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2015 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2014 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2013 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2012 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2011 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2010 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2009 : 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
最終更新時間: 2024-12-16 08:44
Powered by WinChalow1.0rc4 based on chalow